愛「楽しみだな～！あたし刑事ドラマ好きだからこういう仕事に憧れてたんですよ～！」

春香「ねえ、愛ちゃん？もう一度聞くけど一日“巡査”なの？“署長”じゃなくて？」

愛「あたしみたいなヒヨっ子がいきなり署長なんてやらせてもらえないですよ。まずは交番のお巡りさんからスタートってことです」

春香「う～ん……そんな仕事聞いたことないけど……」

愛「それで、今日は春香さんに警察のお仕事について教えてもらいたいなって！前に一日署長のお仕事してましたよね？」

春香「面目ないんだけど、はるかさんと一緒に遊んでたら終わったって感じだったからよく覚えてないんだよね……それに一日署長ってただのPRだから実際に警察のお仕事をするわけじゃないし……」

愛「そうなんですか」

春香「ちなみにどこで勤務するの？」

愛「それが765プロの近くなんですよ。公園の側にある交番で……」

春香「え！？」

愛「なんですか？急に大声出して」

春香「いや、その、ちょっとびっくりしちゃって……。そっか……よりにもよってあそこかあ……」

春香「まあ、一日だけだし……たぶん、大丈夫だよね……うん……」

愛「？」

　・

　・

　・

　・

～一日巡査勤務当日～


ｶﾞﾗｯ

愛「おはようございまーーす！！」


ｼｰﾝ…


愛「あれ？おはようございまーーーす！！！」

ｼｰﾝ…

愛「変だなあ。留守なわけないのに……奥の部屋かな？」

愛「失礼しまーす」

ｶﾞﾗｯ



≪さあ注目の馬は中団からやや後ろ！直線コースでどんな脚を見せてくれるのか！≫

女性警官「まだよ……もっとこらえて……」

≪直線コースを迎えました！先頭はアンブラスモア！最内をついたのはキングヘイロー！外を通ってエアジハード上がってくる！それからステイゴールド!≫

女性警官「よしっ！行けっ！行けっ！行けっ！」


≪残り200を切って外からセイウンスカイ！そしてスペシャルウィーク！≫

女性警官「は？ちょ、ウソでしょ？」


≪スペシャルウィーク伸びる！ステイゴールド逃げ切れるか！スペシャルウィーク！ステイゴールド！スペシャルウィーク！スペシャルウィークだ！スペシャルウィーク1着ゥーーッ！！≫

女性警官「ふざけんなああああっっっ！！」

ﾄﾞｶｰﾝ!

女性警官「あ゛……お゛……」

女性警官「…………」


愛「えっと、おまわりさん？」

女性警官「なによ！アンタあたしを馬鹿にしてんの？巡査さんと呼びなさい巡査さんと！」

愛「あ、ごめんなさい！一日巡査のお仕事で勤務することになった日高愛です！よろしくお願いします！」

女性警官「ああ、そういやそんな話が来てたわね……。巡査長の片桐早苗よ。とりあえずそこのロッカーに制服が入ってるから着替えてちょうだい」

愛「はいっ！」

ｶﾞﾁｬ

愛「うわあ……本物の制服だあ……あれ？」

愛「早苗さん、この帽子についてるドス黒いシミはなんですか？」

早苗「ああ、それ松本クンのやつだわ。こないだロシアンルーレットで遊んでて即死しちゃったのよねー。アハハハハ」

愛「ええ……」

早苗「縁起悪いからあたしの貸してあげるわ。冷蔵庫や電子レンジは自由に使っていいからね」

愛「あ、それじゃお弁当を冷蔵庫に入れさせてください」

ﾊﾟｶ

愛「……ビールがぎっちぎちに入ってて隙間が無いんですけど」

早苗「ごめんごめん！すぐ取り出すわ。これとこれと……」

ﾋｮｲﾋｮｲ

早苗「これくらい空ければ充分かしら」

愛「ありがとうございます」

早苗「じゃ、交番の仕事について説明するわね」

ﾌﾟｼｯ
ｺﾞｸｺﾞｸ

早苗「一番の仕事はやっぱりパトロールね。公園の見回りをしたり、駐車違反の取り締まりをしたり」

ﾌﾟｼｯ
ｺﾞｸｺﾞｸ

早苗「あとは落し物の相談を受け付けたり……道を聞かれたら教えたり……」

ﾌﾟｼｯ
ｺﾞｸｺﾞｸ

早苗「たまに巡回中にパチンコ行ったり映画観たりするのもやめられないわね……ﾋｯｸ」

ﾌﾟｼｯ
ｺﾞｸｺﾞｸ

愛「へえ～、大変なんですね！」

早苗「そしていざという時は銃を取って戦う！こないだも特殊詐欺グループのアジトにカチこんで全員しょっぴいてやったわ！」

愛「すごい！」

早苗「でしょお？リーダーが車で逃げようとしたんだけど、あたしの愛銃からは逃れられなかった……ﾋｯｸ」

早苗「あそこにライトバンが停まってるでしょ？ちょうどあれくらいの距離だったわね……あたしは慌てずに銃を取り出して……」

ﾁｬｶｯ

早苗「弾丸がバックドアのガラスから犯人の肩をかすめるイメージで……こう……ﾋｯｸ」

愛「あの、銃を構えて説明しなくても大丈夫ですよ？危ないし……」

早苗「狙いを定めて……ねらい、を……」

ﾄﾞｷﾞｬｯ!!

愛「ちょっ！？」

ﾊﾞｺﾞｰﾝ!

早苗「しまった！引き金をフェザータッチで敏感にしてたんだった！」

愛「うわあああああああ！ライトバンのガラスが粉々にいっ！？」

早苗「まあ、とぼけちゃえばわかりゃしないわ」

愛「そんなこと言ったって弾が減ってるのはごまかせないですよ！」

早苗「なーに、報告書を書き換えて辻褄を合わせればいいのよ。これも交番の仕事のひとつだからね」

愛「そうだったんですか……！」

早苗「ちょうどいいからアナタに任せるわ。上手いこと書いておいてね」

愛「はいっ！」

　・

　・

　・

　・

～30分後～


愛「えっと……駐車違反の車を注意したところ運転していたのが指名手配中の凶悪犯だったことが判明……激しく抵抗したためやむなく発砲……」

早苗「いいわね～。ついでにそいつがあたしのサイフを盗んで逃げたことにすればちょっと手当もらえたりするかしら……ﾋｯｸ」

ﾌﾟｼｯ
ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

愛「早苗さんそのビール全部飲むつもりですか？」

早苗「だって勿体ないじゃない～。冷蔵庫から出しといたら交代の連中に飲まれちゃうかもだし～」

早苗「それにしても今日は厄日だわ……競馬で有り金全部スったし銃は暴発するし……」

愛「警察のお仕事って本当に大変なんですね！」

早苗「そうよ～。しかもこういう日に限って厄介ごとが転がり込んできたりするしね」


？？「あのう……」

早苗「ん？」

女の子「すんません、道さ聞きたいんだけども……この辺に765プロって会社はありませんかねえ」

早苗「なむこぉ？聞いたことないわ。なんかの間違いじゃないの」

愛「いやいや、有名な芸能プロダクションですよ！なんで知らないんですか！？」

早苗「あたしテレビは競馬中継しか見ないからね～」

女の子「東京は初めてなもんで……駅前の交番の人は親切に地図まで描いてくれたんだけど近くに来て迷っちまったべさ」

早苗「ハ、あそこの連中は暇でいいわねえ。こっちは忙しくてたまんないってのに」

女の子「でもお姉さん、昼間っからビール飲んですごく暇そうに見えるよお」

早苗「あ゛？」

早苗「それはなに？あたしがサボってるとでも言いたいわけ？」

女の子「そうとしか見えないけんど……」

早苗「田舎もんがナメた口利いてると公務執行妨害でしょっぴくわよ！」

女の子「ひっ！？」

愛「早苗さん落ち着いて！あたしが案内してきますから！さ、行こ！」

女の子「う、うん！」

早苗「ふん！新潟で米でも作ってろ！」

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　・

愛「ひなたさん、高木社長から直接スカウトされたんですか！？すごい！」

ひなた「そうかねえ。なんかバタバタと事が進んじまって実感がわかねえんだ」

愛「いいなあ……あたしはオーディション落ちまくりでスカウトとは無縁だったし……」

ひなた「そんでもあたしより年下なのにデビューしてて立派だよお」

ひなた「……ホントはね、地元を離れるのはちょっと怖かったんだ。アイドルのスカウトだって嘘ついて怖い所につれてかれることもあるらしいしねえ」

愛「田舎より悪い人は多いかもしれないけど、今日はあたしが付いてるから大丈夫です！警官と一緒に歩いてる子にちょっかい出す人なんていませんから！」

チンピラ「すいません、突然なんだけどアイドルに興味ない？」

ひなた「いたねえ」

愛「は、白昼堂々人さらいなんて！逮捕しますよ！」

チンピラ「こんな子供が警官なわけないだろ。つーか俺はただのプロデューサーだし。仕事の邪魔しないでくれ」

愛「そんな怪しい格好したプロデューサーだってあり得ないでしょ！」

チンピラ「あ゛あ゛！？ナメてんのかこのチビ！」

ひなた「ひいい……怖いよお……」

愛(あたしの体格じゃ大人には勝てない……でも、絶対に退かない！今のあたしはお巡りさんなんだから！)

チンピラ「……怒鳴っちまって悪かった。俺はちょっと話を聞いて欲しいだけなんだよ。頼むから落ち着いてくれ」

愛「嫌です！あたしは負けない！」


早苗「いい根性してるじゃない。ちょっと見直したわ」

チンピラ「は？」

早苗「必殺！“山嵐”っ！！」


ｷﾞｭｵｯ!
ﾄﾞｺﾞｵｵｵｵｵﾝ!


チンピラ「うげえっ！？」

愛「早苗さん！」

早苗「どう？姿三四郎のモデルになった西郷四郎の必殺技よ。体格で負けてたって技術でひっくり返せるんだから」

ひなた「助かったべさ……」

早苗「さーて、ロリコン異常性愛者には署でじっくり話を聞かせてもらうからね」

チンピラ「ま、待てよ！俺は本当にプロデューサーなんだって！」

早苗「はいはい。戯言はそのくらいにしとかないと更にえげつない技でお仕置きするわよ」

チンピラ「本当なんだって……俺は……俺は……！」

女子高生「おーい、プロデューサー？いつまで待たせんだー？現場に遅れちまうぞー？」

早苗「へ？今誰かプロデューサーって言った？」

女子高生「お、いたいた……なんでボコられてんだ？」

愛「ああっ！ノーティギャルズの向井拓海さん！？」

早苗「ってことは……さっきの話、マジ？」

P「だからそう言ってんだろ……！」

早苗「……ゴメンね♡」

P「ふざけんなっ！！！」

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～後日～


≪横暴！不良警官！≫
≪職務中にギャンブル・飲酒・発砲事故≫
≪あわや誤認逮捕寸前！≫

春香「あちゃ～。あのお巡りさん結局クビになっちゃったのか～」

愛「取材カメラにあれやこれやがバッチリ映っちゃってましたから……今思うとあたしもなんでヤバいと思わなかったんだろ……」

春香「あの人、近所では“始末書の早苗さん”って呼ばれてて有名だったんだよね。前にも交番を爆破したり、怪しい金儲けをしたりしてたんだって」

愛「今回のお仕事は本当に驚きの連続でした……いろんな意味で」

春香「まあ、無事に戻ってこれて良かったよ」

愛「ですね……でも……」



愛「一番驚きなのは……」

早苗『みんな盛り上がってるー？声が出てない子はタイホしちゃうぞー♪』

愛「早苗さんが拓海さんの事務所でアイドルデビューしたことですよね……」

春香「そうだね～。愛ちゃんのお母さんもそうだけど芸能界って本当にハチャメチャな人ばかりの世界だから」

愛「気にしたら負け、ですかね」

春香「そういうこと！」


ひなた(あたし、この世界でうまくやってけるんだろか？)

お　し　ま　い

愛が着れるサイズの警官服ってただのコスプレだよなあ……と、書き終わってから気づきました

北海道に直帰待ったなしだろ

ところで俺のメジロどこ？河内のオッサンどこ？

過激だった頃の両さんの台詞やね

>>42
この頃は、中川も麗子も過激だった