【ミリSS】桃子「ねえ、お兄ちゃん。桃子がお嫁さんになってあげる」
1 : do変態   2026/07/24 21:10:53 ID:xy6aeeN6Do

桃子SSであります。
ここで出てくるプロデューサーは桃子の専属マネ的な個々についている感じを想定してます。
なお、区切り区切りに出てくる『桃子(12)←この数字』は年齢です。

以上。

ゆるりと書いていきます。
お付き合いいただければ幸いです。
2 : 毎日変態   2026/07/24 21:18:18 ID:xy6aeeN6Do

桃子(12)

「ねえ、お兄ちゃん。今日はクリスマスなんだけど…、まだお仕事してるの?」

窓の外は真っ暗。
そんな中、劇場の事務室にて桃子に背を向けたお兄ちゃんがパソコンに向かい合いながら笑い声をあげた。

「まあな。年が明けたらライブが待っているし、何よりも昨今の働き方改革で休日は一切連絡がつかない会社も増えたんだ。故に連絡事項の通知と情報共有はこの一週間が肝になる!」
「ふーん」

つまりはタブン、大事なお仕事という事なんだと思う。
でも、何より桃子の方を見てくれないお兄ちゃんにモヤッとした。

「ところで桃子は今日、ダンスの振り入れの日だったな。順調か?」
「桃子はプロなんだよ? 当たり前でしょ」
「ははは。愚門だったな、ならよかった」
3 : Pチャン   2026/07/24 21:26:39 ID:xy6aeeN6Do

そう言いながら手帳から名刺を取り出してパソコンの画面と交互に見比べるお兄ちゃん。
今は桃子とお話ししているのに。なのに桃子の方を一度も見ない。パソコンから一度も視線を外さない。大事なお仕事ってことはわかってはいる。

でも…、やっぱモヤモヤする…。

「ねえ、お兄ちゃん」
「どうした?」

やっぱり桃子の方を見ない。

「お兄ちゃんって、カノジョいないの?」
「げっふ、カファ!ごほ…!………なんて?」

あ、やっと桃子の方を見た。

「だから、カノジョ。いないのかなって」
「な、なぜ?」
「だってお兄ちゃん。クリスマスなのにこんな時間まで一人でお仕事してたから」
「あー。まぁ、………御覧の通りだな」
4 : Pチャン   2026/07/24 21:33:43 ID:xy6aeeN6Do

「やっぱいないんだ」
「いたら…、今日くらいは早く帰っていたかもな」
「ふーん。そっか、そうなんだ」

抑えきれずクスリと笑ってしまう。
そしたらお兄ちゃんがちょっと落ち込んじゃった。

えっと、どうしよ。…あ。

「ねえ、お兄ちゃん」
「…どうした?」
「桃子、ケーキ食べたい。イチゴの載ったクリスマスケーキ」
「どうしたんだ、急に」

もー!
お兄ちゃん察しが悪い!

「だから! 遅くなってもいいから、お兄ちゃんは桃子の事を家に送るの。それで、途中のコンビニとかでケーキ買って。…一緒に食べよ」

ちょっと恥ずかしくなって最後は声がちっちゃくなっちゃった。
でも、やっと察しの悪いお兄ちゃんにも伝わったみたい。
5 : Pくん   2026/07/24 21:41:39 ID:xy6aeeN6Do

「…そういうことか。ありがとな、桃子」
「ふん…。別に…、桃子がケーキ食べたかっただけだもん」

お兄ちゃんが笑いをかみしめるように手で口を隠した。
なんかすっごく恥ずかしい。

…でも、実は桃子も頬が緩まるのを必死にこらえてる。だって、これって…。お兄ちゃんのクリスマスの予定を桃子が独り占めにしちゃってるってことだもん。

「じゃあ、さっさと終わらせなきゃいけないもんを終わらせるか」
「あ、そうだ。お兄ちゃん」
「ん?」

お兄ちゃんと目が合う。
ちょっと恥ずかしくてプイと背けてごにょごにょと言葉を紡ぐ。

「さっき、…カノジョいないって言ったでしょ?」
「ハハハ。急に刺してくるじゃないか桃子」
6 : プロデューサー殿   2026/07/24 21:46:13 ID:xy6aeeN6Do

「なら…、えっと。桃子が、カノジョになってあげても、いいよ…?」
「…魅力的な提案ではあるが、桃子にこういう話はまだ早いな」
「…ふーん」

ふーん。ふーーーん。
そうなんだ。

“まだ”なんだ。

「まだ…」

つまり“いつか”は。
確かめるように呟いたあと、お仕事に戻るお兄ちゃんの背中を見つめながら上機嫌に「ふーん」と鼻を鳴らした。
7 : EL変態   2026/07/24 21:51:26 ID:xy6aeeN6Do



桃子(14)

「ちょっとお兄ちゃん! なんで桃子またタコの被り物なの!?」
「いやな、先方からのご指名で…」

ご指名!?
信じられない! やっぱなんか桃子に変なイメージがついちゃってる!!

でも、お兄ちゃんが引き受けてしまったからには桃子はやり遂げるしかない。だって、桃子はプロだから。

「はぁ…、桃子も環みたいにちゃんとしたグラビアやりたい…」
「けどな桃子。たこ焼きのチェーン店のキャンペーンガールに選ばれるってのは凄いことなんだぞ」
「それは嬉しいけど…」
8 : 我が友   2026/07/24 21:59:22 ID:xy6aeeN6Do

確かにお兄ちゃんの言う通り。
嬉しくないわけではない。むしろ嬉しいし、選んでくれた事は有難い。

でも…、やっぱり複雑。

ムスッと唇を尖らせる。

「タコの表現、上手くなったな。桃子」
「それは嬉しくない!」

タコの被り物の時の映像が一度大々的に話題になってしまったせいで、どこの番組に呼ばれても一度はタコの格好をさせられるのが定番になったの、未だに納得できてないんだから!!桃子はプロだから!ちゃんとやるけど!!
でも納得してないし、しないもん。

「それで、どうする? せっかく海まで来たし泳ぐか?」
「まだ5月だよ? 入ったら冷たくない?」
「あー、確かに。日差しは夏みたいなんだけどな」
9 : 5流プロデューサー   2026/07/24 22:07:36 ID:xy6aeeN6Do

それはそう。
空を見上げる。青々とした空へと積乱雲が立ち上っていた。

でも、おかげで水着でも寒く無くて助かったけど。まぁ、水着の撮影じゃなくてタコの着ぐるみを上から着せられて撮影したんだけど!

「波打ち際までいってみるか?」
「うん、そうだね。じゃあ行こ、お兄ちゃん」
「ちょい待ち、靴を脱ぐから」

靴を脱いだお兄ちゃんは裸足で、桃子は撮影の時に貰ったちょっとおしゃれなサンダルを履いて波打ち際へと向かう。あ、やっぱちょっと海水はまだ冷たい。
それをお兄ちゃんに言おうと顔をあげて気づいた。

右を見て、左を見て、確信した。
砂浜を歩いてるの…、男女のペアばかり。たぶん、カップル。
10 : ごしゅPさま   2026/07/24 22:11:54 ID:xy6aeeN6Do

「うわ、予想以上に水が冷たいな」
「うん」
「こりゃ泳ぐのは無理そうだぞ、桃子」
「うん」

なんか、気づいちゃったら意識しちゃう。
普通に、いつも通りに。

………いつも通りって、どんなだったっけ?

「桃子…?」
「んえ!? な、なに?」
「いや、ほら。桃子の仲間を捕まえたって」
「ふぇ、なか…。は、タコ? …ってタコは桃子の仲間じゃないけど!!」

お兄ちゃんの腕を叩いてタコを海の中に落とす。
11 : バカP   2026/07/24 22:16:03 ID:xy6aeeN6Do

「もう…!」
「あぁ…、ももこ…」
「タコのこと桃子って言わないで! 桃子はこっちだよ!」

桃子は自分のことをビシッと指をさす。
そして、二人で見つめあってどっと声を出して笑いあった。

うん、そう。お兄ちゃんはいつだってこんな風にちょっとおどけて桃子の調子を取り戻してくれる。
そんなところが…。

「んで、何かあったのか?」
「別に。…カップルが多いなーって」
「ん? ああ、確かに」

今更ながらに気づいたようで周囲を見回しながら頷いている。
12 : Pくん   2026/07/24 22:20:05 ID:xy6aeeN6Do

「桃子たちも、そんな風に見えているかな…?」
「おそらく親子か、兄妹じゃないか?」
「ふーん…」

不満で口を再度尖らせる。
………そっか。やっぱり“まだ”なんだ。

まだまだお兄ちゃんにとって桃子は子供。

「早く大人になりたいなぁ…」

わざとお兄ちゃんに聞こえるように呟いた独り言。
お兄ちゃんが浮かべる複雑そうな笑顔に、胸がざわめいた。
13 : ぴぃちゃん   2026/07/24 23:20:43 ID:xy6aeeN6Do

桃子(16)

お兄ちゃんが結婚した。
相手は桃子の知らない人。お兄ちゃんはいつの間にか付き合っていて、いつの間にか結婚していた。

それを初めて知った時、桃子は一晩中泣いた。
涙が枯れても気分は晴れず、朝が来ても気分は暗いまま。

だって、桃子はお兄ちゃんのことが好きだったから。ずっと、ずっと大好きだったから。結婚したいの好き。お兄ちゃんは桃子の特別だったから、桃子もお兄ちゃんの特別になりたかった。
なのに…。

「あーあ…」

大人ではない自分が憎らしい。
大人として見てくれなかったお兄ちゃんが恨めしい。

「これが、失恋なんだ…」

胸が痛い。血が流れていないのが不思議なくらい。
喪失感が酷い。何も手につかないくらい。

ただボウッと自分の左手の薬指に視線がいく。
そして酷く苦い味が口に満ちる。お兄ちゃんの指には銀色のリングが輝いて、桃子の指には銀色のリングが輝いていないから。
14 : おにいちゃん   2026/07/24 23:30:47 ID:xy6aeeN6Do

結局…、“まだ”の溝は埋められないまま。
そして、その溝は今後も…。

「あれ、桃子。まだ劇場に残っていたのか?」

扉の開く音と共に現れたのは件のお兄ちゃん。新婚ほやほやの。
チラリと追ってしまった視線は左手に銀色のリングを捉える。そして勝手に胸に痛みが走った。

「家に帰ってもすることないもん」
「おばあちゃん、心配しないか?」
「平気。だって桃子はしっかりしてるって知ってるから」

八つ当たりのようにぶっきらぼうに言った自分が嫌になる。
けど、お兄ちゃんは朗らかに笑って「確かにそうだった」と言った。

そして何時ものように桃子の頭に手が伸びてくる。あの、優しく撫でてくれる大きな手が。

「……え」

けど、その手は桃子の頭に触れる直前でぴたりと止まった。
いつもなら、優しく桃子の頭を撫でてくれるのに。

なんで? もしかして、結婚したから?


「あー、すまん。もう子供じゃないし、嫌だよな」


違った。
そっか。ようやく、桃子はお兄ちゃんにとって大人になったんだ。
嬉しくない…。今更。もう、そんなの桃子にとって何の意味もない。

だったら ───


「─── 桃子はまだ子供だもん。イヤじゃない」
15 : 3流プロデューサー   2026/07/24 23:40:12 ID:xy6aeeN6Do

目を丸くして苦笑するお兄ちゃん。
そして桃子のことを上から下まで見て、「まぁ、確かに」と言った。

もしかして…。

「ねえ、お兄ちゃん。失礼なこと考えてない?」
「いやいやいや、そんなことないぞ!?」
「じ~~~」

目をそらすお兄ちゃん。
やっぱり。

桃子はまだまだ成長期だもん。環と育の成長が速いだけだもん。

「お疲れ様、桃子。この前のライブも完璧だったな。次のお仕事は…、舞台デビューだったな」
「うん。そうだよ」
「桃子がいっぱい頑張ってるの、俺はちゃんと知っているからな」

ぽんぽんと撫でられる頭。
これ、大好き。心が温かくなる。大好き。

やっぱり、大好き。

本当は、もう好きでいちゃダメって判ってる。
でも、だけど。
16 : Pちゃま   2026/07/24 23:47:21 ID:xy6aeeN6Do

「ねえ、お兄ちゃん。桃子、まだ子供だから…。これからもお兄ちゃんに甘えても、いい?」
「………俺は桃子のプロデューサーだぞ?」

ふーん。
大人って、やっぱりズルい。

桃子の本音、伝わったのに伝わってないフリ。でも、大人に負けないくらい桃子もズルをした。分別のつかない子供のふりをして敗れた恋を延命させた。

「ねえ、お兄ちゃん。大好き」
「俺も大好きだぞ」

お兄ちゃんが笑いながら軽く言うことで深い意味の消えた『好き』。
ふーん、お兄ちゃんそんなことするんだ。桃子は大人にあしらわれる小さな子供。

でも、今はまだそれでいい。
今だけは、子供でいい。子供のままでいい。
だって、やっぱり桃子はお兄ちゃんのこと、諦められないから。
17 : 毎日変態   2026/07/25 02:39:47 ID:1.fy.qNB7E
いつくっつくのかニマニマ楽しんでたらビターエンドだった…
でもこういうのも大好き
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