朋花「ク、クリーニング……？」

母「ええ。毎晩抱いて眠るのはいいですが、朋花ったら涎を垂らしたりもしていたみたいで、汚くなっていましたからね」

朋花「嘘！　そんなわけないもん！　朋花、聖母だから涎なんて……」

母「朋花？　母を嘘つき呼ばわりするのですか？」

朋花「うっ……」

母「安心なさい。信頼できる業者さんに頼んでありますし、幸い一週間で仕上がるようですし……」

朋花「一週間もかかるんですか！？」

母「一週間だけ、ですよ。偶然、生徒さんのお知り合いに……」

朋花「やだ！　朋花、トクガワがいないと眠れないもん！　すぐに返して！」

母「朋花？　急に駄々をこねだすなんて、それでも自称聖母なのですか？」

朋花「で、でも……っ。トクガワは、その、まつりさんにいただいた大切な子で、だから……」

母「きちんと許可をとらなかったのは、私も悪く思っております。ですが、いい機会ですから、ぬいぐるみ離れしてみてはどうです？」

朋花「そ、そんな……」

母「泊りがけの地方ロケや、この前の合宿では眠れたのでしょう？」

朋花「それは……お仕事で疲労が溜まっていたからであって、それに合宿では……」

母「合宿では？」

朋花「………美也さんが抱き枕代わりになってくれたので、なんとかなったんです」

母「なんと。呆れましたよ、朋花。ふぅ……しかたありません。美也さんには私のほうから話しておかないとですね」

朋花「お母様、またそうやって、私に黙って美也さんのライブに勝手にいくのはやめてください！」

母「むっ……私はアイドル宮尾美也のファンですからね、当然の権利です。みゃおみゃおみゃ～、です」

朋花「と、とにかくトクガワと一週間も離れるなんて、私、我慢できません！」

母「辛抱なさい。会えない時間がかえって2人の愛をいっそう強くするものだと、まつりちゃんから借りた漫画にもありましたよ」

朋花「お母様！？　いつの間に、まつりさんから漫画を借りたのですか！？」

母「あの子にはいつもあなたがお世話になっているようですからね。以前、時間を作っていただいたのです」

朋花「それでどうして漫画を借りるような仲になるのです！？」

母「朋花？　母は何も一方的に漫画を借りてはいませんよ？　代わりに朋花の小さい頃の写真や撮影したビデオを見せたり――」

朋花「なにしているんですか！？」

母「今度、イベントにも誘われたのでいってまいります。朋花はお仕事を頑張るのですよ」

朋花「え、えぇ……」

母「さて、そろそろ千鶴ちゃんにお料理を教わりにいきませんと」

朋花「！？？！！？」

母「夕飯を楽しみにしておくといいですよ」

朋花「もうっ、お母様のバカっ。もう知りませんっ！」

母「あっ……朋花ったら。ふぅ……聖母の母というのも簡単なものではないですね～」



まつり「――――みたいな展開を期待して、この子豚のぬいぐるみ、トクガワを贈呈するのです！　可愛がってほしいのです！」

美也「命名は私がしたんですな～、むふふ♪」

朋花「…………」

まつり「ほ？　どうしたのです、朋花ちゃん。感動で言葉に詰まってしまったのです？」

美也「お～、レアな表情ですね～。とっても、ぎこちない笑顔です～」

朋花「まつりさん、美也さん……。こうしたサプライズプレゼントは、ええ、たしかに嬉しいですよ～？　素直に」

まつり「それはよかったのです！」

美也「2人で探した甲斐がありましたね～」

朋花「ただ……先ほどの妄想はなんですか～？」

まつり「トクガワとの突然の別れに動揺する朋花ちゃん15歳なのです！」

美也「一週間後、そこには感動の再会があるんですぞ～」

朋花「いえ、まず抱き枕にすることはないと思いますね～。抱き心地はいいですが～」ｷﾞｭｯ

まつり「最初はそうやって照れていた朋花ちゃんですが、数日後にはすっかりトクガワを夜のお供に、いい夢を見ているのです」

朋花「それと……いくら妄想とはいえ、私は家であんな風ではないのですが～」

美也「なんと～。でも、公式で『違う』と明言されない限り、そうではないと言い切れませんな～」

まつり「悪魔の証明ってやつなのです？」

朋花「悪魔なのは、まつりさんでは？」

まつり「ほ？　朋花ちゃんは小悪魔なまつりにメロメロなのです？」

朋花「ともかく、さも私が劇場やファンの前では演技しているような想像はやめてくださいね～？」

美也「おや～、演技と言えば―――」

雪歩「ミリオンライブシアターデイズでは、2020年7月20日（月）15：00より、期間限定イベント『プラチナスターツアー～Parade d'amour』が開催予定ですぅ！　TAからTCにかけて役を獲得し、出演した映画でそれぞれ迫真の演技をみせてくれた、琴葉ちゃん、志保ちゃん、まつりちゃん、歌織さん。歌唱力はもちろんのこと、いわゆる演技派アイドルの四人がユニットを組むみたいですぅ！！
その名もオペラセリア・煌輝座……！　まさに煌めく舞台ですぅ！！　あの夜想令嬢とはまた違ったコンセプトで、な、なんと劇中では志保ちゃん以外が男性役で、男装少女である志保ちゃんを取り合う（？）展開っぽいですぅ！！　公開されたフルMVでの台詞パートだけでもお腹いっぱい、胸いっぱい、薔薇いっぱいですぅ！！　MV解放後は、私を取り合う四条さん、真ちゃん、千鶴さんのスクショが貼られること間違いなしですぅ！！！」


まつり「宣伝ありがとうなのです、雪歩ちゃん」

美也「『まつりりしい』楽しみですな～」

朋花「キービジュアルのまつりさん、悪い顔（褒め言葉）していますね～」

まつり「というわけで、朋花ちゃん。ちょっと練習に付き合ってほしいのです」

朋花「練習？」

美也「壁にドンッってやって、顎をクイッとするやつですな～」

朋花「そんなシーンはありそうでなさそうですが～。それに私が相手をしなくてもいいのではありませんか～？」

まつり「ほ？　遠慮はいらないのです。まつりも全力で演じてみせるのですよ。ほら、一旦トクガワを下ろしてあげるのです」

雪歩「ここで唐突なまつとも！？　わっ、わわわ私、撮影するね！」

まつり「『君のことを少し、勘違いしていたみたいだ』」ｶﾍﾞﾄﾞﾝｯ

朋花「……っ。！！　まつりさん――――」



朋花「あの、壁が……」　まつり「ほ？」

ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞｯｼｬｰﾝｯ

美也「お～、まつりちゃんが手をあてた壁が丸ごと崩れてしまいましたね～。粉々です～」

まつり「そうはならないはずなのです」

雪歩（はっ、これはもしかして性別の壁を越えた愛というメタファーなんじゃ！？）

朋花「まつりさん～？　力の入れ方が間違っていませんか～？　崩れきる前に避難できたからよかったですが～」

まつり「しかたないのです。朋花ちゃんの綺麗な顔を近くで見たら、つい照れてしまったのです。……力持ちの妖精さんが」

朋花「ふふっ。そういうことにしておきましょう～♪」

雪歩「あっ、壁際に置いていたトクガワさんが瓦礫で……」

美也「む～ん……小汚い子豚ちゃんになってしまいましたな～」

朋花「美也さん、その言い方はどうなんですか～」

まつり「えっと……。それではクリーニングに出すのです。ね？」

おしまいなのです！

土日が副業だったので、当日に宣伝SSでした～。
今回のボーダーやばそうですね（３万ポイント教感）

おつー、最初の妄想の続きはよ

聖母ママすこここ

俺、トクガワって苗字に変えてくるわ

月曜の朝から助かる

たすかる

実に自然な宣伝だった
おつ

色々はかどるね

ありがたやありがたや