【百合注意】雪歩が手編みのマフラーを可憐に贈る話
1 : プロデューサー殿   2020/12/12 16:56:23 ID:2kV7v7VJ1M
百合注意です。苦手な方はブラウザバックお願いします。
ネタ成分少なめ? コメディな感じではないです。ただただ、じれったい話。
2 : 夏の変態大三角形   2020/12/12 16:56:39 ID:2kV7v7VJ1M
劇場 どこかの部屋 バッグの中をのぞく雪歩

雪歩(よ、よしっ! 持ってきているよね、部屋に忘れていないよね……って、もう何度も確認しているけど。ラッピングも大丈夫、あとは可憐ちゃんが来てくれるのを待つだけ)

雪歩(うう、緊張しますぅ。ダ、ダメ! 何気なく渡さないとね、しれっと。日頃、お世話になっているからーって)

雪歩(可憐ちゃん、喜んでくれるかな…? 出来栄えは悪くないと自分では思うんだけど……。それとなーく、響ちゃんにコツを教わったり、いろいろと調べながら編んだんだよね)

雪歩(何度でも失敗してもいいように、夏がはじまってすぐに編み始めて、お仕事や学校の合間に時間をつくって……案の定、失敗作もあったけど、でも―――ちゃんとできた、うん、大丈夫)

雪歩「すぅー、はぁー……すぅー、はぁー。お、お茶を飲んで落ち着こう」

雪歩「どうせ淹れるなら、可憐ちゃんのことを考えてハーブティーがいいかな? 外から帰ってきたら身体が冷えているだろうし、ジンジャーなんていいかも」
 
雪歩「……早く会いたいな」
3 : 我が下僕   2020/12/12 16:56:54 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩「お茶を飲んで、ちょっとだけ落ち着けたかな」

雪歩(時計、何度も見ちゃう。約束した時間までまだあるのに。可憐ちゃん、もうお仕事終わったかな? 電車に乗って、それから……)

雪歩(そわそわしてもしかたない、ってわかっているんだけどなぁ。こんなことなら、次の公演に向けてのダンスレッスン、もう少し長くしておけば……ううん、それよりサイン書きだやファンレターのお返事……で、でも、きっと集中できないよね)

雪歩(私が可憐ちゃんにあげるのは白いマフラー。可憐ちゃんのイメージカラーである赤系にするか迷ったけど、たぶんそれは可憐ちゃん自身で買ったりファンの方からの贈り物であったり……って、これは体のいい言い訳、都合のいい建前)

雪歩(本当は、可憐ちゃんに私を近くに感じてほしいから。だから、白。劇場で、イメージカラーが白である子は他にもいるけど……まぁ、それはともかく。私の色に少しでも染めたい、だなんて、そんなことは口が裂けても言えないですぅ。重い、よね。ただでさえ手編みなのに)

雪歩「―――詩を書こうかな。今のこのドキドキ、この気持ち……形にしてみたいかも。声にはしなくても、ううん、できなくても」

雪歩「…………」
4 : Pしゃん   2020/12/12 16:57:08 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩(――! ノックの音、そして……)

可憐「お、お邪魔します……。雪歩ちゃん、おはようございます」

雪歩「おはよう、可れ―――っ!?」

可憐「雪歩ちゃん?」

雪歩「え、あ、えっと、素敵だなーって、その、マフラー……」

雪歩(昨日会ったときはまだ首元にストールもマフラーも巻いていなかったよね。今日が特別、冷えこんだわけでもないし。そもそも冷え込む前に、つまり可憐ちゃんがマフラーをつけ出す前、欲しいなぁって思うその日その時、ばっちりなタイミングを見計らってプレゼントしたいって考えていたわけだし)

可憐「あ、ありがとうございます…♪」

雪歩(……っ。いい笑顔、営業用のじゃなくて、すごく自然な、私が大好きな表情……)
5 : 師匠   2020/12/12 16:57:22 ID:2kV7v7VJ1M
可憐「これ、実は父からのプレゼントなんです…!」

雪歩「お父さんからの?」

可憐「はい…! 昨夜、突然に。早めのクリスマスプレゼントだよって。今年のクリスマスはライブやお仕事でバタバタしていて家族でゆっくりは過ごせないからって」

雪歩(クリスマス前夜、私のバースデーライブに可憐ちゃんも参加してもらう予定。それにクリスマス当日だって、いっしょにお仕事が入っていて……)

可憐「私のお小遣いじゃ、とても買えないような、こ、高級というか、その、すごくいいものみたいで……なんだかセレブや芸能人にでもなったみたいで」

雪歩「ふふっ。みたいじゃなくて、可憐ちゃんは本当にアイドルだよ。でしょ?」

可憐「そ、そうでした……てへへ」

雪歩(手触りはわからないけど、でも、たしかにそのマフラーは……記憶が正しければ有名ブランドのもので、可憐ちゃんにとっても似合っていて。嬉しそうにしている可憐ちゃんを見て、私も嬉しく、そうなるはずなのに。いつもだったら、それでいいのに)
6 : 師匠   2020/12/12 16:57:37 ID:2kV7v7VJ1M
可憐「……? 雪歩ちゃん?」

雪歩「えっ。あー……えっと、ここ座ってくれるかな。お茶の用意するね。それから……今日のお仕事のお話、聞かせてほしいな、ふふ」

可憐「はい♪」

雪歩(―――――どうしよう)

雪歩(べつにマフラーを複数持っていたっていい。そんなのわかっている。けれど……私のマフラーじゃ、可憐ちゃんをあんな風に喜ばせることってできないかも。見劣りしちゃう。ううん、可憐ちゃんはいい子だからそういうの気にしないだろうし、同じぐらい喜んでくれるよね)

雪歩(だったら、この胸もモヤモヤは私の勝手、だよね。さらりと渡してしまえばそれでいい……って割り切れない自分がいる。私が、私が可憐ちゃんの一番の特別でありたいだなんて、そんなこと少しでも考えてしまう、おこがましい自分が……)

可憐「くんくん……いい香り。あ、あの、それで今日のお仕事は―――」
7 : 貴殿   2020/12/12 16:57:51 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩(可憐ちゃんの話を聞く。なるべくいつもどおりに、聞こうとする。楽しそうに話す可憐ちゃんが好き。お仕事のことで真剣に悩む可憐ちゃんだって好き。私自身の成長につながることだってある、可憐ちゃんからは日頃からたくさんもらってばかり)

可憐「それでそのとき―――」

雪歩「えー? 本当なの? へぇ、それじゃぁ……」

雪歩(悟られたくない、知られたくない。私、今……落ち込んでいるって。自分勝手にへこんでいるって。バッグは閉じたままで。それでいいって思っている)

可憐「ふふふっ、もうっ、雪歩ちゃんったら……」

雪歩「いやいや、可憐ちゃんこそ、ほら、あの時だって――」

雪歩(わかっている。いますぐに『あ、そうだ』なんて言って、バッグから箱を取り出して、そう、綺麗にラッピングした箱を、私からの贈り物、手編みのマフラーを可憐ちゃんに渡してしまえばいいんだって)

雪歩(そのために今日は呼んだのに。お仕事終わりに、劇場寄ってくれる?なんて。私の都合で)
8 : P君   2020/12/12 16:58:04 ID:2kV7v7VJ1M
可憐「ふふっ……。あの、雪歩ちゃん、いいですか?」

雪歩「え? な、なに?」

可憐「確認といいますか……今日、私をこの部屋に呼んだのって……?」

雪歩「! あのね……ただこうして可憐ちゃんとお話がしたくて。それだけなの。ほら、今日を逃すとお仕事のスケジュールの関係で、数日間ほど会えなくなるから。迷惑だった?」

可憐「いえ! 誘ってくれて嬉しかったです…! 私のほうでも、スケジュールのチェックしていたら、雪歩ちゃんと会えない日が続くんだって、寂しいなぁなんて、そんなことちょうど考えていた時にメッセージがきて、え、えっと……ありがとうございます」

雪歩「そんなお礼なんて……」

雪歩(咄嗟に出てきた嘘。隠し事。手編みのマフラー…私が自分で使えばいいかな。可憐ちゃん以外に贈るなんて……それはないから。可憐ちゃんのことを想って編んだものだから)

雪歩「私も、寂しいなって…」
9 : 貴殿   2020/12/12 16:58:18 ID:2kV7v7VJ1M
可憐「雪歩ちゃん? そ、そんな泣きそうにならなくても……! あわわ…」 

雪歩「へっ? あ、これは、ちが―――」

可憐「え?」

雪歩「べ、べつに可憐ちゃんと数日離れ離れになるのが寂しすぎて涙目になっているわけじゃないんだからねっ!」

可憐「は、はい…?」

雪歩「な、なーんて……あはは」

可憐「ふふっ、雪歩ちゃんったら」

雪歩(寂しさは本当。けれど、今は距離を置くことができることに安心もあって。もしも明日も明後日も、可憐ちゃんがお父さんから貰ったマフラーを嬉しそうにつけているのを見たら、私、嫌なこと考えちゃうだろうから)
10 : EL変態   2020/12/12 16:58:33 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩(その日、私たちは笑ってお別れした。会えなくてもメッセージや電話しようねって話をして)

雪歩(いつからだろう。可憐ちゃんと過ごすのが当たり前になって。劇場の他の子とだって仲良くできているつもりだけれど、でも可憐ちゃんとは、なんて言えばいいかな、少し違って、もっともっといっしょにいたいなって)

雪歩(学校にいるときでも、家にいるときでも、加えて言うなら、自分の部屋で眠るとき、瞼の裏にふと浮かぶのは―――可憐ちゃんなんだよね)

雪歩(四条さんへの憧れや信頼とも、真ちゃんや春香ちゃんへの確かな友情とも何かが違うドキドキ……これってまるで―――そう考え始めたら、私は……)
11 : EL変態   2020/12/12 16:58:45 ID:2kV7v7VJ1M
数日後 劇場 控え室へと続く廊下 溜息をつく雪歩

雪歩(未練ってやつだなぁ。私、まだバッグの中に手編みのマフラーが入った箱をいれたまま。何かの拍子で、誰かに見られたら、どう言えばいいんだろう。雪の妖精さんに貰ったの、とでも言えばいいかな)

雪歩「ただいま、戻りましたぁ。――――えっ?」

可憐「………ぐすっ……ぐすっ」

雪歩(椅子に座ってうなだれ、すすり泣いている女の子。顔が見えずとも、それは紛れもなく可憐ちゃん。そしてその隣には心配そうな横顔、寄り添う律子さんの姿。私はそんな空間に投げ出されてしまいました)

律子「あ、雪歩―――」

雪歩(私に気づく律子さん。可憐ちゃんは気づいていないみたい)

雪歩「……何があったんですか?」
12 : 高木の所の飼い犬君   2020/12/12 16:59:05 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩(可憐ちゃんから少し離れて、私は律子さんから事情を小声で、手短に、うかがう)

雪歩「あのマフラーが……車に轢かれて、ダメになってしまったんですね」

律子「私が部屋に来た時はもうあの状態で。どういう経緯があって、そういう状況が生じたのか、詳細は聞きだせていないし、正直、そこを穿鑿してもしかたないけれど……」

雪歩「可憐ちゃんに怪我はないんですよね?」

律子「そこは安心して。自動車と可憐自身が接触していないのは確かみたいだから。体のほうは無事。何も問題ないわ。でも―――」

雪歩「心はそうはいかないですよね」

律子「そういうこと。ねぇ、雪歩、えっと、その……」

雪歩「律子さんにはこの後、お仕事が……?」

律子「……そうなの。しかもPは不在なのよ。それで……」
13 : プロデューサー様   2020/12/12 16:59:18 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩「律子さん―――私に任せてください、なんて言えないけど、でも、放っておくなんてできませんから」

律子「雪歩……」

雪歩「お仕事に行ってください、律子さん。ファンの前で、そんな顔しちゃダメですよ。……こういうの、いつもは律子さんが私に言ってくれますよね」

律子「そうね……ありがとね、雪歩」

雪歩「…………」

律子「雪歩?」

雪歩「とりあえずお茶を淹れてみます。私にできることって、そういうことしかないから」

律子「え? あ、えっと……」
14 : 変態インザカントリー   2020/12/12 16:59:29 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩(給湯室で独り、お茶を淹れた。そうして控え室に戻って来て、私を見やり、どこか腑に落ちない顔をしたままの律子さんを送りだす)

雪歩(何百回、何千回、多少の差はあれどしてきた工程、手慣れたものでした。それでも今日は手が鈍りました…)

雪歩(最低だ私―――――。どうしようもない、ろくでなし。一瞬、思ってしまったから。考えてしまったから。そこに嬉しくさえ感じてしまったから)

雪歩(私のマフラーを渡すチャンスだって)

雪歩「はい、可憐ちゃん。ラベンダー」

可憐「…………」

雪歩「覚えている? ずっと前に、私がお仕事で失敗して、落ち込んでいた時に可憐ちゃんが淹れてくれたんだよね。気持ちが落ち着くからって。あれから、私、ハーブティーにも興味持ったんだよね。……なんて、今はそんな思い出、どうでもいいかもだけど」

可憐「……っ。……い、いただきます」
15 : 夏の変態大三角形   2020/12/12 16:59:41 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩「うん。泣けるだけ泣いて、ゆっくり飲んで……それからお話しようね。とりとめないこと」

雪歩(そうして、静かでゆったりとした時間が流れました。可憐ちゃんはもう声をあげず、私はその静かに流れる涙を最初はそっとハンカチで拭き取って。それからつい彼女に触れたくなって、だから指で涙を掬いさえして。可憐ちゃんはされるがままで。涙を流す可憐ちゃんも綺麗だけれど、その悲しい顔に、私も切なくなってしまうのでした)

可憐「……ごめんなさい、雪歩ちゃん」

雪歩(絞り出した声。かすれ声は、私の耳にきちんと届いて)

雪歩「ううん、可憐ちゃんが謝ることなんて、理由なんてひとつもない。可憐ちゃんは何も悪くないよ」

可憐「でもっ……雪歩ちゃんにそんな悲しそうな顔させてしまっているから。迷惑かけているから…」

雪歩「じゃあ、私が謝らないとね。悲しそうな顔なんてしてごめんね、可憐ちゃん。不安になっちゃうよね。私も、頭の中、ごちゃごちゃしていて」

可憐「雪歩ちゃん……?」
16 : Pはん   2020/12/12 16:59:51 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩「可憐ちゃんが笑ってくれたなら。すぐには無理でも、それでも立ち直って、いつもの素敵な笑顔をくれたなら、私も笑える気がするなぁ。だって、私……大好きだから、可憐ちゃんのこと」

可憐「あう……そ、そういうの、ずるいです……」

雪歩「わかっている。ずるい子だって、自分が……嫌な子だって」

可憐「え?」

雪歩「な、なんでもない。おかわり飲む?」

可憐「雪歩ちゃん……あの……えっと」

雪歩「どうしたの?」
17 : 我が友   2020/12/12 17:00:05 ID:2kV7v7VJ1M
可憐「何か隠し事していませんか?」

雪歩「――――っ。突然だね」

可憐「は、はい。けど、気になっちゃって」

雪歩「マフラーのことより?」

可憐「…っ。そ、それは、その……」

雪歩(いつもの私だったら、こんなこと言わないだろうなって思う。ううん、誰だって言わない。励まそうと、元気づけようとしている人間の台詞じゃない)

雪歩「……ごめん」

可憐「な、なんだか変です。今日の雪歩ちゃん。い、いえ、この前のときから―――」
18 : 兄ちゃん   2020/12/12 17:00:27 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩「この前?」

可憐「雪歩ちゃんが、お仕事終わりの私を劇場に呼んでくれた日です。そうです、この前、最後に私たちが直に話した日です…」

雪歩「そっか。そうなんだ。私……変かな?」

可憐「くんくん……」

雪歩「ひゃっ!? な、なんで嗅ぐの!?」

可憐「これは隠し事をしている匂いです……なんて、わからないですけど、でも……私、その、えっと、雪歩ちゃんのことを知っているつもりですから」

雪歩「それってどういう……?」

可憐「あ、あくまで『つもり』なんですけど…いえ、むしろ『もっと知りたい』なのかな……雪歩ちゃんと過ごす時間が増えて、雪歩ちゃんのことをどんどん知っていって、だからきっと―――」

雪歩「………」
19 : 仕掛け人さま   2020/12/12 17:00:38 ID:2kV7v7VJ1M
可憐「今の雪歩ちゃんがいつもの雪歩ちゃんじゃないってことは、何か隠しているっていうのは、お、お見通しなんです……! 私も、雪歩ちゃんのこと、大好きですから…!」

雪歩「………」

可憐「え、えっと、ど、どうでしょう…?」

雪歩「――――くすっ。ふふっ」

可憐「ゆ、雪歩ちゃん?」

雪歩「そんな、私のことをお見通しな可憐ちゃんに、私から、はい――――プレゼント」

可憐「えっ!? ど、どういうことですか」

雪歩「いいから、いいから。今、開けてくれる?」
20 : レジェンド変態   2020/12/12 17:00:53 ID:2kV7v7VJ1M
可憐「え―――これ……マフラー?」

雪歩「うん」

可憐「な、なんで……」

雪歩「私は可憐ちゃんのこと、見通せなかったから」

可憐「???」

雪歩「ん、ん。あの日ね、それを可憐ちゃんに贈るつもりだったの。それで呼び出したんだ。でも、渡せなくって。ううん、渡さなかった、か」

可憐「あ――――もしかして私がお父さんから貰ったマフラーしていたから…?」

雪歩「そういうこと。あんなに嬉しそうにしている可憐ちゃんに、ひんそーなマフラーを渡したところで喜んでもらえないだろうなって」

可憐「そ、そんなことないです、ぜったい…!」
21 : 兄ちゃん   2020/12/12 17:01:06 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩「うん。そうだね。今ならわかる。可憐ちゃんは優しい子だから。今日、とっても悲しいことがあって、それで落ち込んで、それなのに、私なんかのことを気に掛けてくれて。私、ほんと、ちっちゃいなぁって。ダメダメだなって」

雪歩(特別になりたいって、可憐ちゃんから好かれたいって、私は結局、自分のことばかり考えていたんだ……)

雪歩「ねぇ、可憐ちゃん」

可憐「は、はい」

雪歩「今、つけてもらっていいかな。私が巻いてあげたいの。いい?」

可憐「い、いいですよ。お願いします……ちょっと照れくさいですけど」

雪歩「ふふっ、じっとしていてね」

可憐「あ………これ、もしかして雪歩ちゃんの手作りですか?」
22 : 番長さん   2020/12/12 17:01:17 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩「うん」

可憐「優しい匂いが、雪歩ちゃんの香りがするから……」

雪歩「本当?」

可憐「はい」

雪歩「そっか。あのね、私、今、ドキドキしているの。どうしてかわかる?」

可憐「え? えっと……?」

雪歩「ふふっ、なんでもない」
23 : 箱デューサー   2020/12/12 17:01:30 ID:2kV7v7VJ1M
雪歩「これでよしっと。うん、よく似合っているよ」

可憐「わぁ……これ、雪歩ちゃん色ですね、なんて……。大切にしますね!……てへへ♪」

雪歩(涙を晴らした、その笑顔に私は釘付けになって、うまく言葉が出てこなくて)

雪歩「ずるいなぁ、もう……」

可憐「へ?」

雪歩「…なんでも似合うからずるいなぁって」

可憐「あ、ありがとうございます」
24 : 我が下僕   2020/12/12 17:01:53 ID:2kV7v7VJ1M
可憐「でも……私がもらうってだけなのは、いけませんよね。えっと、雪歩ちゃん」

雪歩「ライブ」

可憐「え?」

雪歩「私のバースデーライブで返してくれればいいかなって。その日はさすがに私が主役だけれど、遠慮しなくていいから。全力出し切って。ステージで輝く可憐ちゃんも私は……好きだから、とっても」

可憐「……わかりました! 私、精一杯、頑張って、盛り上げて、それで…雪歩ちゃんのお誕生日、祝っちゃいますね!!」

雪歩「ふふっ、期待しているね!」

雪歩(いつかそう遠くない未来、可憐ちゃんがこのマフラーを外してしまう、その季節が来るまでに。言えたらいいなって思います。私の気持ち。秘めた想い。たとえ私の好きと可憐ちゃんの好きが違っても―――)

おわりですぅ
25 : Pちゃん   2020/12/12 17:02:25 ID:2kV7v7VJ1M
以上です。いつか可憐からの片想いっぽいのも書いてみたいとも思っちゃう百合豚ですまんな。

マフラーネタってミリシタでは既にあんゆりでやっていましたね…。
4コマの、このみさんのやつも好き。

26 : Pさぁん   2020/12/12 18:39:12 ID:VxF83ETNIs
今までので一番好き
27 : Pさん   2020/12/13 01:02:01 ID:iiO2RqXg2c
マフラーをプレゼントする心理は、「アナタに首ったけ」なんですってね
乙かれゆき
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