※ゆきかれの人です
※キャラ崩壊注意
※実況と解説で担当する人が分かれていることも多いみたいですけど、そもそもこのSS、そんなに実況解説しないです

可憐「あ、あの、雪歩ちゃん！　スコップを研いでいるところすみません……！」

雪歩「研いでいないよ！？　たしかに剣先スコップなんかはディスクグラインダーっていう、」

可憐「そんなことより私の相談を聞いてくれますよね？」

雪歩「聞くけど！　毎回、この導入いるかなぁ？！」

可憐「実は……今度、実況解説のお仕事をすることになって」

雪歩「実況解説？　えっと、野球やサッカーとか、ああいうの？」

可憐「いえ、セパタクローです」

雪歩「なんで！？」

可憐「Ｐさんに、わ、私も何か新しいお仕事をしてみたいんです！って勇気を出して頼んでみたら、と、とってきてくれたみたいで……」

雪歩「ハードル高くない！？　えっ、可憐ちゃん、セパタクローに詳しいの？」

可憐「あれですよね、競技中、攻める側はカバディ、カバディ……って言い続けないといけないやつですよね」

雪歩「それ、カバディ！！　その部分の知っていてなお間違えるの！？」

可憐「うう……実はセパタクローのことは全然知らないんです。ひょっとして、せがた三四郎の親戚ですか……？」

雪歩「セガサターンの宣伝マスコットは関係ないですぅ！！　完全に、語感だけで思い込んでいるよね！？」

可憐「野球の実況だったら『投げた―っ！』と『打ったーっ！』だけなので楽だったんですけど……」

雪歩「そんなことないよ！？」

可憐「セパタクローについては、最悪、『動いたーっ』だけで乗り切りますね」

雪歩「ほんとに最悪だよ！　乗り切れるビジョンないよ！」

可憐「……閃きました！　今から実況解説の練習をしておけばいいですよね……！」

雪歩「あの、まずはセパタクローのことをきちんと予習しておいたほうがいいと思うよ？」

可憐「よ、よーしっ、それじゃあ、私、今日は雪歩ちゃんの実況解説をすることにします…！」

雪歩「まるで話を聞いていない！？　え、なに、私の実況解説って」

可憐「おおっと！　萩原選手、戸惑いが隠せないーっ！」

雪歩「えぇ……」

可憐「雪歩ちゃんは普段どおり、劇場でレッスンやサイン書きやポエム執筆やボーリングやお茶汲みしていてください」

雪歩「さらっと混ぜたけど、ボーリングはしないよ！？」

可憐「実況は篠宮可憐がお送りします…！」ﾑﾌｰ

雪歩「ドヤ顔、世界一可愛いよ！」


ｶﾞﾁｬｯ

春香「おはようございまーす。あっ、雪歩と可憐ちゃん。おはよう」

可憐「で、でたーっ！　天海春香選手！」

春香・雪歩「！？」

春香「せ、選手？」

可憐「とびきりの笑顔で挨拶を繰り出してきました……！　素敵ですっ。これに対して萩原選手、どう出るのでしょう…？」

雪歩「え、えっと、お、おはよう春香ちゃん」

可憐「おどおどしているーっ！　でも、そういう表情も可愛いです…！」

春香「なんなの、これ、どうしたの」

雪歩「かくかくしかじかちんちくりん……で」

春香「ああ、そういうことなんだ。頑張っているなぁ、可憐ちゃん」

雪歩「努力の方向音痴な気がするけどね」

春香「ところで―――今日はね、いつもより気合を入れて作ってきました、じゃーん♪」

可憐「で、出ましたっ！！　天海選手の得意技、お菓子作り……！　しかも今回はホールケーキ……！　圧倒的っ…！　萩原選手、為す術なしかっ……？」

雪歩「可憐ちゃん、大丈夫？　顎とか鼻の形変わっていない？」

春香「あはは……」

雪歩「切り分けるのにナイフがいるかな。持って来るついでに、何か合う飲み物も用意するね」

可憐「きたーっ！　萩原選手、ここでカウンター炸裂…！　いつもお茶を淹れている給湯室、すなわち自分のテリトリーに勝負を持ち込むつもりです…！」

春香「ありがと。私も手伝うよ」

雪歩「いいよ、いいよ。春香ちゃんはここで（めんどくさい状態の）可憐ちゃんの面倒をみてあげていて」

可憐「お互い、牽制し合っています……！　この後の展開に目が離せません…！」

春香「……雪歩が連れていけば？　あくまで雪歩メインの実況解説なんでしょ？」

雪歩「うん、まぁ……。可憐ちゃん、手伝ってくれる？」

可憐「おおっと！　萩原選手、ここでチャレンジするつもりです……！」

雪歩「チャレンジ？」

静香「ざっくり説明すると、プロテニスの試合で導入されている、ボールのイン・アウトをビデオによって再判定するシステムのことです。（人間の審査員による）ジャッジに不服があった際に
異議を申し立てることで発生するものですね」

未来「えー？　プロの試合を審査するような人なんだし、そんな、間違えることあるのかなー」

静香「トッププロのサーブの球速は250㎞/hを越えるのよ？」

未来「すっごくはやい！」

雪歩「静香ちゃんに解説してもらったけど、べつに私、異議を申し立てていないよね！？」

春香「ほら、今、まさに『異議を申し立てたか否か』について異議を申し立てているから、いいんじゃない？」

可憐「異議ありっ！」

雪歩「なんなの！？」



可憐「というわけで、給湯室にやってきました」

雪歩「あれ？　千鶴さん？」

千鶴「あら、雪歩ちゃん、それに可憐。喉でも渇きましたの？」

雪歩「春香ちゃんがケーキを作ってきてくれたので、それに合う飲み物をと思って」

千鶴「まぁ、春香が？　あの子の作るお菓子は美味しいですものね」

雪歩「きっと高級なお菓子に慣れている、セレブの千鶴さんがそう言うなら、本当に美味しいってことですね」

千鶴「雪歩ちゃん、それは少し違いますわ」

雪歩「え？」

可憐「二階堂選手、ここで切り込んできたーっ！！」

千鶴「！？　な、なんですの、可憐！？」

雪歩「えっと、その、気にしなくていいですよ？　今日の可憐ちゃんは、あの、私の実況解説なので…」

千鶴「？？？」

可憐「萩原選手、二階堂選手の動揺を誘うことに成功しました……！　次の一手はどうするーっ？！」

雪歩「私のせいじゃないよね！？」

千鶴「……こほん。話は戻りますけれど、高級なお菓子であれば美味しいというわけでもないですし、ましてや春香の作るお菓子よりも価値あるものとは限らないですわ」

雪歩「というと…？」

千鶴「つまり―――」

可憐「心、ですね」

千鶴・雪歩「！！」

可憐「一流のお菓子職人であろうと、いつでも必ず食べる人のことを知っているわけではないですし、どんなに想いを込めようと伝わらない、伝えられないときだってあります。けれど、春香さんは食べてくれる私たちのことをよく知っていて、私たちが喜んでくれる姿を、美味しいと笑う光景をありありと思い浮かべながら作ることができます。そうして作られ、心の込められたお菓子……そう、ハルカズハートフルスイーツは、時に最高級のものをも霞ませる価値を持つことになるんです……！」

雪歩（めっちゃ饒舌！）

千鶴「ふふっ……さすがは可憐ですわね。わたくしからは、もう何もいうことがないですわ」

可憐「二階堂選手、敗北宣言だーっ！　勝利を手にしたのは、まさかの外野、篠宮選手ーっ！」

雪歩「自分で言っていて、おかしいって思わない？！」

可憐「お菓子だけに、ですか……？　萩原選手、今のギャグはマイナス20点です、氷点下です……！」

千鶴「雪歩ちゃん……」

雪歩「私が悪いんですかぁ！？！？」

可憐「そんなこんなで、春香さんのケーキを4人で食べ終わりました……！　美味しかったです…！」

雪歩「グルメリポーターを務めるお笑い芸人ばりのリアクションで、味の感想を可憐ちゃんが言うものだから、ツッコミしてばかりだったけどね」

可憐「萩原選手、この後の予定は？　次の対戦相手は？」

雪歩「レッスンまで時間があるから、事務所でサイン色紙を書こうかな」

可憐「ご一緒しますね…♪」

雪歩「手元が狂うとダメだから、変なことは言わないでね…？」

可憐「？」

雪歩「きょとんとした顔、可愛いよ！　でも、今日の自分を振り返ってみようね！？」

雪歩「…………」ｶｷｶｷ

可憐「萩原選手、すごい集中力です…！　一枚、一枚にファンへの感謝を込めています！」

雪歩「…………」ｶｷｶｷ

可憐「それにしても、『萩』と『荻』を間違えたりしないんでしょうか……？　や、やっぱりプロはすごいですね」

雪歩（自分の名前だからですぅ！！！！）ｶｷｶｷ

可憐「真剣な面持ちで……。横顔、綺麗だなぁ」

雪歩（！？）

可憐「くんくん……私が前に勧めた化粧水や乳液、使ってくれているんだ。嬉しいなぁ」

雪歩（え、なに、急になんなんですかぁ///）

可憐「………」ｼﾞｰｯ

雪歩（視線感じちゃいますぅ！！）

可憐「！！　萩原選手、頬を仄かに赤く染めているーっ！！　いったい、彼女に何があったのかーっ！？」

雪歩「可憐ちゃんのせいだよっっっ！！」



春香「ただイチャイチャしているだけなのでは……？」

千鶴「しっ、気づいても言わぬが花というものですわ」

後日

可憐「雪歩ちゃん、この数日間、ありがとうございます……！　おかげで実況解説のお仕事、な、なんとかなりそうです」

雪歩「うん、それならよかったよ、あはは……」

可憐「あと、言われたとおり、セパタクローについても予習してみました…！　のり子さんに教えてもらって」

雪歩「へぇ、プロレスだけじゃなくてスポーツ全般詳しいんだ」

可憐「さっそく試してみますね。えいっ、えいっ！」

雪歩「握力がないせいか、そんな痛くないけど……あの、これって、アイアンクローだよね！？」

可憐「セパタクローの親戚ですね♪」

雪歩「ちがうよ！？　仮に100万歩譲って親戚であったとしても、可憐ちゃんが知るべきはセパタクローのことだよ？！」

ｶﾞﾁｬｯ

Ｐ「ああ、雪歩。ちょうどいてくれたか。仕事のオファーがきたんだ」

雪歩「えっ？　どんなお仕事ですか」

Ｐ「ドキッ！アイドルだらけのセパタクロー大会の出場選手だ」

雪歩「なんで！？」

Ｐ「安心してくれ。実況解説は可憐がしてくれるぞ！」

雪歩「このことだったの！？」

可憐「だ、大丈夫ですよ、雪歩ちゃん！　いいですか、攻撃側のときは常にカバディ、カバディって……」

雪歩「だから、それはカバディ！！　もう、いいよ！」



おわりですぅ！

以上です。
キャラ大崩壊のボケボケ可憐ちゃんを書くのが慣れてきちゃいました
そろそろ次の段階に行かないとかもですね

セパタクローとカバディ勘違いネタあって草
可憐ちゃんも間違えるんだしよくあるミスだよねこれ