[765プロ事務所]

貴音「ただいま戻りました」ｶﾞﾁｬ

P「貴音、レッスンお疲れ様」

貴音「お気遣いありがとうございます」
貴音「おや、そちらのチラシは…」

P「駅で配ってたんだ。先週カフェが駅前にオープンしたらしい」

貴音「存じております。雰囲気の良いかふぇが開店しておりました」

P「カフェがオープンしたら二人で一緒に行こうって話、今でも有効かな？」

貴音「はい、私もあなた様と行けたらと思っておりました」
貴音「私が前に行った時は…」

P「そうか、雰囲気の良さそうなカフェだけど俺はまだ行ってないんだよ。初めて行くのは貴音と一緒がいいから」

貴音「…!」
貴音「…ええ、私もです。まだそのカフェに行っておりません」

P「今から楽しみだな」

P「このチラシによるとパンケーキが美味しいらしいんだよ」

貴音「ええ真美味なパンケーキでした。」

P「…貴音？」

貴音「はい何でしょうか？」

P「もしかしてこのカフェに行ったことがあるんじゃないか？」

貴音「いえ…行ったことはございません」

P「“真美味”なんてパンケーキを食べないと出てこない感想だろ？パンケーキを食べたってことはカフェに行ったってことじゃん」

貴音「…はっ！」

P「どうして行ったこともないカフェのパンケーキ味を知っているんだ？」

貴音「えぇと…それは…偶然ではないかと」

P「偶然…かなぁ」

貴音「そうですそうです」

P「まぁいいや」
P「このカフェけっこう人気みたいだね」

貴音「ええ、いつ見ても客人で賑わっております」

P「開店日は長い行列が出来たらしいよ」

貴音「はい、私も長時間待ちました」

P「貴音、やっぱりカフェに行ってるじゃん」

貴音「いえ、行っておりません」

P「行列に並んだら絶対もう入店するじゃん」

貴音「いえ、行ったことはございません」

P「じゃあなんで行列に並んでたんだ？」

貴音「それは…たまたまではないかと」

P「たまたまかなぁ」

貴音「そうですそうです」

P「うーん…ああこれこれ」
P「春香と千早が昨日カフェに行った時の写真があるんだよ」

貴音「なにやら二人とも楽しそうな笑顔ですね」

P「ああ、それにオシャレな店内だな、もう有名人のサイン色紙が飾ってあるよ」

P「ん？このサインは…」

貴音「私のサインです」

P「行ってんじゃん」

貴音「行っておりません」

P「飲食店にあるサインは店に来た有名人のしかないんだよ」
P「むしろサインがあるのに行ってない方が問題だぞ」

貴音「行ったことはございません」

P「じゃあなんで貴音のサインが置いてあるんだ？」

貴音「それは…気のせいではないかと」

P「気のせいかなぁ」

貴音「そうですそうです」

P「…ふーん、喫茶店みたいに回数券があるらしいな」

貴音「ええ、回数券ならお得にかふぇを利用できるそうですね」

P「何枚のセットで販売しているんだろう？」

貴音「私の回数券が10枚ですので11枚綴りですね」ﾍﾟﾗ

P「行ってんじゃん」

貴音「行っておりません」

P「回数券なんてそのカフェでしか買えないはずだけど」
P「…ってか既に1枚使ってるじゃん！」

貴音「行ったことはございません」

P「じゃあなんで回数券が10枚に減ってるんだ？」

貴音「…それはとっぷしーくれっとかと」

P「トップシークレットかなぁ」

貴音「そうですそうです」

P「どうやら固めのドーナツが話題らしい」

貴音「ええ、そうですね」
貴音「実家のさーたあんだぎーよりも固かったようです」

P「行ってんじゃん」

貴音「行っておりません」

P「実家のサータアンダギーと比較するって事は響と二人で行ってるじゃん」

貴音「いえ、美希も含めた三人で行きました」

P「行ってんじゃん!!」

貴音「行っておりません」

P「確実に行ってんじゃん！」
P「もうここからの言い訳は流石に無理だぞ！」

貴音「…」

P「どうしてだ貴音？行ったことあるならそれでいいじゃないか」
P「もしかして俺をからかっているのか？」

貴音「いえ...実を言うと…あなた様と"初めて"を共有したかったのです」

P「初めて？」

貴音「あなた様は私とかふぇに行く約束をとても大切にしておりました。ですが、私は卑しくもかふぇに行ってしまいました」

P「卑しいなんてことは無いと思うが…」

貴音「それがこの場から消えたいほど恥ずかしかった故、稚拙な嘘を吐いてしまったのです」
貴音「たとえそれが偽りであったとしても…真実になって欲しい思いが抑えきれず…」

P「貴音…すまない」

P「まさか俺の言葉が貴音を追い詰めていたなんて思わなかったんだ」
P「…そうだ、俺に駅前のカフェについて詳しく教えてくれないか？カフェで貴音が嬉しかった事とか楽しかった事を全部知りたいんだ」

貴音「あなた様…もちろんです！」

仲直りした二人は仲良くカフェに行き
楽しい時間を過ごしましたとさ

おしまい