それからの出来事()
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真「かわいいは戦争」(妄想SS的なもの・スタマス)
1 :
プロデューサー
2022/01/15 21:16:40
ID:/YiD4I/mqM
たて
2 :
番長さん
2022/01/15 21:18:17
ID:/YiD4I/mqM
とある小さなお店のショーケースの中。ここはボクらのステージであり戦場だった。
「今日は誰かに買ってもらえるかな?ね、真ちゃん」
と甘奈が言う。その隣に居る甜花も控えめに頷いている。
ボクらは売り物のドールだった。
ピンク色でフリルのたっぷり付いた衣装を着せられ、かわいらしくポーズを取らせてお客さんがやってくるのを今か今かと待ち構えている。
3 :
プロデューサー様
2022/01/15 21:19:31
ID:/YiD4I/mqM
つい最近まで一緒だった居た琴葉はやさしそうな男性の心を見事射止め、ここを出ていった。ボクや他のみんなが見ても、誰もが思い描く理想のヒロインとでも言うような容姿で、とてもかわいい子だった。
このショーケースの中ではその時一番かわいい子が勝者なのだ。そしてそのかわいい子が買われていき、また次のかわいい子に入れ替わる。
琴葉はきっと迎えられた先で大切にされているのだろう。みんなそうなりたくて仕方がない。
4 :
プロデューサーはん
2022/01/15 21:22:17
ID:/YiD4I/mqM
「でもさー、ずっとここでだらだらしてられるならそれでも別に良いよね〜」
とお気に入りの小さなソファの上にねっころがっている杏が言った。
「て、甜花も……できればずっとゴロゴロしてたいな……」
内向的な性格の甜花も同意した。でもそういうわけにもいかないのだ。
一度もかわいいの頂点に立てず、売れ残ってしまった子はそのうち狭い箱に押し込められ、倉庫の奥に仕舞われてずっと出てこられないというウワサだ。誰にも愛されずひとりぼっちのまま忘れ去られていくのはドールたちにとって生命を落とすのと同じくらい怖いことだ。
そういうわけで、この乙女が夢見心地でうっとり漂うような甘い空間の中では日夜生存競争が行われている。
5 :
我が下僕
2022/01/15 21:25:21
ID:/YiD4I/mqM
「よーし、今日こそボクのかわいさでみんなをメロメロにするぞー!」
「真ちゃん元気いっぱいだね、甘奈も頑張らないとなぁ」
ボクも当然やる気のあるドールの1人だった。外の世界も気になるし、何より自分を気に入ってくれた人に連れ出してもらえるなんてロマンチックだもんね。
6 :
プロヴァンスの風
2022/01/15 21:26:28
ID:/YiD4I/mqM
甘奈は明るくてとっても優しい。容姿のよく似た甜花とは正反対の性格だけど、2人はすごく仲良しだ。
「あ、人が来たよ!」
7 :
ダーリン
2022/01/15 21:28:10
ID:/YiD4I/mqM
そうこうしているうちにお店が開いてお客さんがやってくる。ガラスの前で足を止めて、向こう側のボクらをじっと見つめる人も居る。
こうなると全員選ばれるために必死だ。みんなこの場所で自分が一番かわいいと証明したくて仕方がない。
『あなたが好き!一緒にお家に連れて帰って』
とでも言わんばかりの微笑みを顔に貼り付けて熱い眼差しを送る。やがてアピールに成功した子たちが少しずつ去っていき、また新しい子が補充されるという寸法だ。
8 :
der変態
2022/01/15 21:30:15
ID:/YiD4I/mqM
さっきまで1人の女性が食い入るようにしてケースを見ていたけど、気だるそうにしていた杏を選んで嬉しそうに帰っていった。
あんなに競い合いには興味がなさそうだったのに要領がいいんだもんなぁ。
体は一層小さいけれど髪がキレイでサラサラで、本物の妖精みたいに愛らしかったから無理はないけど。
その後、女の子とその母親らしい人がやってきた。
9 :
おにいちゃん
2022/01/15 21:32:00
ID:/YiD4I/mqM
「わあ、双子のお人形だ!かわいい!」
と甜花と甘奈の2人を見て目を輝かす。
お店の主人にお願いしてショーケースを開けてもらい、女の子は小さな手で甘奈をそっと抱き上げた。
「この双子ちゃんがほしいな……ママだめ?」
「でも今日買うのは一つだけって約束したでしょ?」
10 :
そこの人
2022/01/15 21:33:31
ID:/YiD4I/mqM
女の子に抱き上げられた甘奈の表情は笑顔のままだけど、微かに不安の色が滲んだように見えた。
それでも駄々をこねる女の子に困った顔をしていた母親がふと甜花の方を見やる。そして少し考えて、
「じゃあ、ママがあっちのお人形さんをもらうからお揃いにしようか」
「えっ、いいの?」
「ちょうどママもかわいいお人形が欲しかったの。パパには内緒ね?」
「やったー!ありがとうママ!」
11 :
ぷろでゅーしゃー
2022/01/15 21:34:03
ID:/YiD4I/mqM
おおはしゃぎで喜ぶ女の子。こうして甜花と甘奈もここを去ることになった。
「ずっと一緒にいようね!」
と親子に連れられて出ていく2人はとても幸せそうに見えた。
12 :
ボス
2022/01/15 21:36:29
ID:/YiD4I/mqM
とうとう同じ時期にこのお店にやってきた子はみんな居なくなってしまった。
お客さんが求めるものはいかにも女の子らしいふわふわとしたかわいらしさであって、その点ではボクは異端者だと自分では分かっていた。
短い髪、くっきりとした眉、自分のどのパーツもお淑やかでかわいいふわふわヒロインには程遠く感じられた。
それでも、いつかはそんなボクを見つけてくれる人が現れると信じていたから頑張ってこれたんだ。だけど……
ある日の夜、ボクの衣装の金具が壊れているのをお店の主人が見つけた。
「あちゃー、まあ売れ残りだしいいか」
そう言うと、さっさとボクを箱に入れて蓋を閉じてしまった。
(そんなぁ……暗いよ、助けてよ……)
13 :
ご主人様
2022/01/15 21:43:49
ID:whmD1gYlK6
なんでショーケースに置きっぱにしてるだけで壊れたんだ?
14 :
高木の所の飼い犬君
2022/01/15 21:44:16
ID:/YiD4I/mqM
こんなとき人間なら涙がこぼれるのかな。でもボクにはどうすることもできなかった。
それからどれだけ時間が経ったのか分からない。朝も夜もない暗闇に、いきなり光が差し込んできた。
(え?)
15 :
Pしゃん
2022/01/15 21:46:06
ID:/YiD4I/mqM
驚いている間に手が伸びてきて、外に引っ張り出された。
手の正体はお店の主人だった。だけど目の前には見知らぬ男性。
「本当にこれなんですか?お客さん」
「間違いない、この子です。よかった、間に合って」
16 :
我が下僕
2022/01/15 21:47:40
ID:/YiD4I/mqM
話を聞くと、このドール……つまりボクのことを外でたまたま見かけてから心を鷲掴みにされてしまい、お迎えするかどうしようか悩んでいたところ突然店頭から姿を消してしまったので、居ても立っても居られず直接確認しに来たという。
「趣味は人それぞれとはいえやっぱり男がドールなんて恥ずかしいと思ってしまって……」
と彼は照れくさそうに頭をかいた。
(う、うそ!信じられない、奇跡だ!)
心の中で何度も叫んだ。まさか自分のことをそこまで探してくれる人が居るなんて、夢にも思わなかった。
17 :
ご主人様
2022/01/15 21:48:50
ID:/YiD4I/mqM
そんな声にならない喜びを噛みしめていると、
「お客さんも物好きですねぇ、他と比べると男勝りって言うか、顔があんまり女の子らしくないでしょ」
グサリ。
うぅ……気にしてたのに……。
それに対して男性が応えた。
「そんなことないですよ!とても美人だしキリッとした顔立ちがロリータファッションで引き立てられてすごく綺麗でかわいいんですよ!」
「そ、そうですか」
18 :
せんせぇ
2022/01/15 21:52:07
ID:/YiD4I/mqM
か、かわいいって……きれいだって言われた……。
(う、うれしいな)
すると男性はこちらを見て優しく微笑んだ。
その笑顔を見た瞬間、胸の奥がキュッとなる感覚に襲われた。
ずっと奥の方がせわしなく跳ねて落ち着かないような気持ち。
(あれ?なんだろう、この気持ち……)
(ああ、そうか。これがきっと───)
19 :
プロデューサーちゃん
2022/01/15 21:52:51
ID:/YiD4I/mqM
それからというもの、ボクは彼の家にお邪魔して、幸せに暮らしている。
きっとボクだけじゃなくみんなが、本当に大好きな人に巡り合えることは奇跡なんだと思う。
だからこの時間を大切にしたい。
ボクらは、恋をしているんだ。
おしまい
20 :
P殿
2022/01/15 22:10:03
ID:HnJUestNyg
乙
こういう素敵な発想のSSが書けるようになりたいです
21 :
プロデューサークン
2022/01/16 07:19:56
ID:/m9h68Ir7Q
真かわいい、幸せになって
22 :
Pサマ
2022/01/16 12:09:45
ID:sLfrU3LHGs
よかった
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