ｻﾞｰｻﾞｰ

あ……

レッスンで気がつかなかったけど、雨が沢山降ってる……

終わったから、外にスケッチに行こうと思ったんだけどなぁ……残念

傘は……あった。よかった

でも、まだ雨が強いし事務所で少し待っていようかな……

『こんにちは。今日は、あいにくの雨模様ですが、蟹座のみんなの運勢は……』

そういえば、昨日は朋さんと奏さんが誕生日だったなぁ……

お二人とも私より年上だし、大人っぽくて……



朋さんはみんなをぐいぐいって引っ張っていったり、中心になってムードメーカーになってたりして……



奏さんは……その……………

すごく色っぽくて、高校生なのに大人の人にも負けないぐらい……


え、えっち……です





はわわわ……こんなこと思ってるから、みんなからむっつりさんとか言われちゃうのかなぁ

はぅ……

奏「くしゅん！」

朋「どったの？」

奏「うぅ……どこかの藤居さんが、昨日のラッキーアイテムが下着だよって言うから……」

朋「うん。この時期から、冷房とかでお腹とか冷えるもんね」

奏「」

奏「///」ﾎﾟｯ

朋「……まさかエッ「い、言わないで（///）」……うん」

ﾊﾞﾀﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

ん……？

ｶﾞﾁｬ

悠貴「降られちゃいましたっ！」

肇「かなり強くなってきてますね……」

藍子「散歩していたら、いつの間にか空があやしくなってて……」

わわっ……みんなずぶ濡れ……

えっと、タオルタオル……



あった……え、えっと……

悠貴「ここで脱いじゃいますっ！」ｶﾞﾊﾞｯ

肇「悠貴さんっ？！」

藍子「きゃっ…もう、プロデューサーさんがいたらどうするんですかぁ！」



うぅ……ちょっと近づけません

でも、悠貴ちゃんの着替えとかないから……

響子「タオルタオルっと……あ、由愛ちゃん。用意してくれてたんだ」

由愛「は、はい……着替えとか……」

響子「とりあえずシャワーだけ浴びてもらうから、後は大丈夫だからね」

由愛「は、はい……」



ﾐﾝﾅｰ

ｱ､ﾀｵﾙ



すごいなぁ……私なんて今だに気後れしちゃうのに……

……あのお花見（※）の時から、全然変わってないのかなぁ

うぅ……ダメダメです





※ あんさんぶるの「うららかリズム」の話です

ｶﾞﾁｬ

かな子「みんな〜、暖かい飲物を用意してきたよ」

悠貴「わぁ……ありがとうございます！」

藍子「とりあえずシャワーを浴びて落ち着かないと」

肇「すみません。ちょっと行ってきますね」

かな子「うん。まだアツアツだから大丈夫だよ」



響子「あれ？マグカップが一個ありませんね」

かな子「あれ？そういえば……この間、友紀さんと晴ちゃんが野球やってて」

響子「二人はしばらくおやつ抜きにしましょう」

かな子「で、巻き込まれたほたるちゃんと歌鈴ちゃんが沢山割ったんだったね」

響子「うーん。どうしよう……」

……そういえば、ちひろさんが割れた分を買っておきますって言っていたような

えっと……

ｺﾞｿｺﾞｿ



響子「由愛ちゃん？」

あ、あった……えっと

響子「マグカップですか？」

由愛「きゃっ」

ﾎﾟﾛｯ

あーっ！

お、落ちちゃう！！



ﾄｽｯ

え……

心「はぁと、ナイスキャッチ☆」

響子「あぁ、よかったぁ」

心「ふふっ、日頃鍛えたアイドル力が試された……なーんて」

かな子「でもすごかったです」

由愛「あ、ありがとうございます……」

心「なぁに、はぁともお茶会への参加状が貰いたくてな」

かな子「あ、はい。よかったらビスケットもありますので」

響子「じゃあ、心さんの分もマグカップを洗ってきますね」

……

すごいなぁ……

私もあんな風に素早く動けるのかなぁ……

……もっとレッスンしないとダメなのかな



心「……」

心「あのな」

由愛「ひゃい！！」

心「そんなに驚かれると、はぁとショックだぞ☆」

由愛「す、すみません……」

心「で、さ」

心「ちなみに今の、緊急出力を使ったもんで、明日は筋肉痛間違いなし。わかる？」

由愛「えっと……」

心「つ･ま･り」

心「はぁとも無理しちゃったんだわ」

由愛「はぅ……」

えっと……もしかして私、今、口に出してた？

心「口に出さなくてもわかるって」

心「そんな顔してたらな」

由愛「はぅぅぅ……」

心「はぁとでよければ話してみろ。これでも由愛ちゃんの倍生きてきたんだゾ☆」

由愛「……で、ダメダメだなぁ……って思ったのです」

心「うん。ダメダメだな」

由愛「はぅぅ……」

や、やっぱりダメなんだ……

心「そうやって考えてることが、ダメダメノ介だって気がついていないとこだゾ☆」

由愛「えっと……」

ダメダメノ介って……

心「はぁとが由愛ちゃんの歳だった頃なんか、有名なアイドルになって歌って踊りたいなんて願望でしかなかったんだから」

心「だから既にアイドルやってる由愛ちゃんは、はぁとより遥かに伸び代があるっての」

由愛「えっと……」

心「たしかにみんなを見ていると、先に進んでいるように思うわな」

心「はぁとだって、最近まで、よくてちょい役。オーディションなんて普通に落ちまくりだったからなぁ」

心「今だって楓ちゃんや美優ちゃんを見てて、あんなに出てて羨ましいとは思うし」

心「まぁマイナスを話しても仕方がないけどさっ」

心「あと、はぁとが羨ましいって言ってたのはナイショな」ｼｰ

由愛「あ、はい」

だ、大丈夫かなぁ……

心「まぁ、こんな天気じゃ憂鬱な気分になるわな」

心「だからね。こんな時、はぁとは雨に濡れてもいい恰好になって外に出るのさ☆」

由愛「え……」

えっと……風邪とか引かないのかなぁ

心「あー、その顔ははぁとが馬鹿だから風邪なんか引かねぇなぁ……って考えてんな」

由愛「はわわわ……ち、違います！違います！」

か、風邪は思ってたけど……

心「そうやって、人とまったく逆なことをやってみるのも楽しいぞ」

心「ま、実際に38度出したことあんだけどさ……」

由愛「……」

由愛「ふ……ふふっ……」

心「お、やっと笑ったな」

心「アイドルなんだから、笑わないと……な」

心「笑い方を忘れたから生きる力だって忘れちまう。そんな私に愛をください……そんな歌が昔あったなぁ」

由愛「そ、そうなんですか……」

心「うん。ちょうど由愛ちゃんの名前に愛があるから、はぁとにくれると嬉しいな」

由愛「あ……」

由愛「はいっ！私でよければ！」

心「うんうん」

心「じゃあ、今から外で走り込むの付き合えや」

由愛「え」









由愛「ええーっ！？」

心「いやぁ、いつもならナナパイセンかにゃんみくに茜辺りが付き合ってくれるけど、今日は誰もいないし」

心「悠貴ちゃんは今濡れたばかりだから可哀相だし」

心「たった今、はぁとに愛をくれるって言ってくれたもんなぁ……」

由愛「ふぇぇぇ……」

ﾊﾞｺﾝ

心「痛ぇ！」

響子「心さん。由愛ちゃんをいじめちゃいけませんよ」

心「いじめだなんて……はぁとは」

藍子「それにしては度が過ぎませんか？」

心「だって、最近マンネリで……」

響子「もぅ！今日はうどんの日だったから、夕御飯は冷やしうどんの予定でしたけど、はぁとさんだけアツアツの鍋焼「すみませんでしたぁ！」

響子「よろしい」



由愛「あ、あの……」

かな子「由愛ちゃんも、佐藤さんにいじめられてたら私達に言ってね」

由愛「あ、はい……」

心「うわ、ひでぇ。はぁと一人ワルモノかよ」ﾌﾞｰﾌﾞｰ

悠貴「走り込みでしたら、私が付き合いますからっ」

心「え？でも今シャワーを……」

肇「外……雨も止んだみたいですから」

心「あぁ、ホントだ！由愛ちゃんと話し込んでいたからいつの間にか……」

かな子「ふふっ、ちょうどおやつの時間ですから、まだ温かいうちに食べましょうね」

心「はぁい！」

響子「もぅ……返事だけはいいんですから」

響子「それから、由愛ちゃんにもいっぱいいい所はありますよ」

由愛「ふぇ……わ、私ですか？」

響子「みんなが濡れて来た時、タオルを用意してくれたり」

肇「おかげで風邪を引かずに済みそうです」

由愛「あ、あれは……」

響子「あとマグカップを探してくれたり……」

由愛「はぅぅ……」

かな子「だから、佐藤さんの話じゃないけど、自分をダメって思わないのが一番だよ」





心「つか、いつから聞いてた？」

響子「あ、安心してください。私も楓さんや美優さんには言いませんから」

心「〜！〜！」←言葉にならない

かな子「じゃあ、温かいのが欲しい人は？」

悠貴「わぁ……ホットカルピスですねっ」

ダメダメだと思っていた私……

でも……みんなからいい所があるって言われて……

心「じゃあ、このビスケットも手作りなんだ」

肇「いつもながら、すごいですね」

雨が止んで晴れるみたいに、少しだけど私の心にも灯が入ったみたいで……

よくわからないけど、もっと前に進もうって想いが出て来て……

藍子「ゆっくりでも歩んでいきましょうね」

由愛「はいっ！」



今すぐじゃなくてもいい、震えて来たこの想いの予感は……

いつか形になって届くといいな……





おしまい

まず、立ててから書くまで時間が空き過ぎたことをお詫び申し上げます（しかも自由がどっかいったし）

うーん。はぁとさんの口調が違うような……すまんかった



ではありがとうございました

ネタにもならない蛇足

年齢ネタを入れようと思ってたけど入れずにいて、もったいないので投下







心「やっべぇ、今になってはぁとが由愛ちゃんの倍の歳ってのが心に利いてきた……」

由愛「」

乙
年の重みは痛いけど、だからこそ言えることがあるやいね

>>21
感想ありがとうございます。

こういうアドバイザなキャラって、ともすればヘイトの対象になりやすいですからね。その点、しゅがはやナナ先輩なら重みがありますからと、使わさせて貰いました