それからの出来事()
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【ミリSS】千鶴「まつりの照れた表情って見たことありませんわね」まつり「ほ?」
1 :
Pしゃん
2022/08/01 19:30:02
ID:hM8fHqAWGI
立ったら投下していきます
短めのほのぼの
2 :
Pさぁん
2022/08/01 19:30:20
ID:hM8fHqAWGI
まつり「急にどうしたのです、千鶴ちゃん」
千鶴「さっき劇場に戻ってくる電車の中で聞いたんですの。耳に入ったといいますか」
まつり「ほ?まつりの話を誰かがしていたのです?」
千鶴「いいえ、そうではありませんわ」
まつり「というと?」
千鶴「中学生ぐらいの女の子2人が話していましたの。少女漫画について」
まつり「ひょっとして、まつりが出演していたドラマの原作なのです?」
千鶴「え?ああ、そうした話ではなく。漫画と現実って違うという話ですの」
まつり「漫画と現実が違う……?」
3 :
バカP
2022/08/01 19:30:35
ID:hM8fHqAWGI
千鶴「たとえば、王子様や貴公子だなんて周囲からもてはやされるイケメン」
まつり「それは実際にいるのです。劇場で言うと真ちゃんなのです。もちろん、女の子だけれど」
千鶴「いること自体はいいのですわ。ただ、その彼が何の接点もない隣のクラスの地味で冴えない主人公にいきなり恋に落ちる」
まつり「少女漫画あるあるなのです」
千鶴「なんでやねん、と電車で女の子は言っていましたわ」
まつり「ご都合主義的な展開に訴えを起こしていたのです?」
千鶴「そういうことですわね」
まつり「けれど、そういうのは大抵、後から理由や背景といったものが描写されるはずなのです」
千鶴「といいますと?」
まつり「偶然にも主人公がその彼の窮地を救ったり、他の子とは違う反応や理解を示したり、気づいていないだけで運命的な再会だったりなのです」
4 :
P様
2022/08/01 19:30:47
ID:hM8fHqAWGI
千鶴「なるほど。さすがに、特に理由はないけどピーンときたから付き合って!ではないのですわね」
まつり「それで押し通されても読者がついてこないのです」
千鶴「でしょうね。そもそも、地味で冴えないというのが自称でしかないパターンもありそうですわ」
まつり「きっとそうなのです。劇場でも自称ちんちくりんや自称地味な子がいるけど、あてにならないのです」
千鶴「ところで彼女たちの話を耳にして、劇場で少女漫画が好きな子たちを自然と思い出していましたの」
まつり「姫以外だと、静香ちゃんに真ちゃん、小説だったら律子ちゃんや百合子ちゃんあたりなのです」
千鶴「そのとおりですわ」
まつり「加えて言うなら、琴葉ちゃんも役作りの参考にって読んでいた気がするのです」
5 :
箱デューサー
2022/08/01 19:31:01
ID:hM8fHqAWGI
千鶴「少女漫画を原作としたドラマや映画に出演経験のある子も少なくないですわね」
まつり「みんなの活躍はわんだほー、なのです♪」
千鶴「それにまつりがよく布教しているとも聞きますし」
まつり「ほ?大それたことではないのです。スイーツの美味しいお店や、コスメや音楽をおすすめするのと同じなのです」
千鶴「言われてみればそうですわね」
まつり「千鶴ちゃん、それでその流れからどうしてまつりの表情に話が移るのです?」
千鶴「女の子たちが話していたんですの。クール系のイケメンが主人公のとった行動に、赤面してしまって顔をさっと隠すシチュエーションはいいものだと」
まつり「ふむふむ……わかるのです。ギャップってやつなのです」
千鶴「個人的に、冷血漢に少しばかり優しくされて、ときめいてしまうような筋書きはいかがなものかと」
まつり「そういうのとはまた別なのです!くーるな王子様が普段見せないきゅーと!な顔がいいのです」
6 :
Pたん
2022/08/01 19:31:14
ID:hM8fHqAWGI
千鶴「キュート……?クールなのにキュートですの?」
まつり「人間、いろんな面をもっているものなのです」
千鶴「それは、クール系美少女ユニットがクール系であってクールではないのと関係ありますの?」
まつり「ないのです」
千鶴「そんなわけでわたくしは思ったのです。まつりの照れた顔を見たことがないと」
まつり「ちょっと飛躍している気がするのです」
千鶴「自分ではどう思いますの?」
まつり「ほ?」
千鶴「たとえば、まつりはドレスアップルームで鏡を見ているところに声をかけると『姫が、世界で一番きゅーと!なのです?』と返すことがあるでしょう?」
まつり「ほ……?」
7 :
仕掛け人さま
2022/08/01 19:31:27
ID:hM8fHqAWGI
千鶴「勘違いしないでくださいまし。堂々とした立ち居振る舞い、自信の現れは間違いなく魅力の1つですから、揶揄するつもりはありませんわ」
まつり「あ、ありがとうなのです」
千鶴「アイドルであることも相まって、日常的に褒められ慣れているから、ありふれた賛辞ではそれほど照れないでしょう?」
まつり「うーん……否定はできないのです、たぶん」
千鶴「役の上では照れ顔や羞恥からの赤面というのも演じたことがありますわよね」
まつり「オペラセリアのときにあったと思うのです」
千鶴「役に入り込むことで、照れたり恥ずかしがったりしているということですわよね」
まつり「そうなのです。千鶴ちゃんだって映画やドラマでの演技経験があるから、わかるはずなのです」
千鶴「ええ。でも今、わたくしが求めているのは徳川まつりの照れ顔なのですわ」
まつり「ほ?待つのです。求めているのです?ただ見たことないって話ではなかったのです?」
8 :
ごしゅPさま
2022/08/01 19:31:41
ID:hM8fHqAWGI
千鶴「まつり。わたくしは確信しているのです」
まつり「ほ?……ほ?」
千鶴「まつりの素の照れた表情というのは、大変可愛らしいものだと」
まつり「………」
千鶴「………」
まつり「姫、用事を思い出したのです。残念だけど、また今度なのです」
千鶴「ま、待ちなさいっ、まつり。これではわたくしが恥ずかしいだけですわ!」
まつり「なんで千鶴ちゃんが照れているのです!?」
千鶴「だって……。勇気を必要としましたの」
まつり「勇気?」
9 :
プロデューサー様
2022/08/01 19:31:55
ID:hM8fHqAWGI
千鶴「えっと、化学肥料や遺伝子組み換えを使わない、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減する、ようはオーガニックなあれとは違いますわよ?」
まつり「有機栽培と違うことぐらいわかるのです。ここでボケられても困るのです」
千鶴「ん、ん。つまりは、あなたの素の表情を望むこと、それを口に出すのが少々怖かったのですわ」
まつり「怖い?千鶴ちゃん、べつにまつりはそんなことで怒ったり嫌がったりしないのです」
千鶴「わかっていますわ」
まつり「ほ?まつりは、千鶴ちゃんの言いたいことがいまいちわからないのです」
千鶴「わたくしが、もしやと恐れていたのは隠しきられてしまうことですわ」
まつり「……」
千鶴「あなたにとって、まつり姫という在り方がどういったものか。それをまったく解していないわたくしではありませんもの。そのうえで『素』だなんてものを望むのは不作法な気もしますの」
10 :
P君
2022/08/01 19:32:07
ID:hM8fHqAWGI
まつり「それでも、話を振ってみたのです?」
千鶴「ええ、そうですわ」
まつり「そんなに照れた表情が見たいのです?」
千鶴「というより、もっと近づきたく思った、それだけですわ」
まつり「むむむ……。だけ、と言い切ってしまうには、なかなか深い内容なのです。ようするに、千鶴ちゃんはまつりと仲良くなりたいのです?」
千鶴「まとめてしまうと、そういうことですわね。はぁ……」
まつり「どうして溜息なんてするのです?」
千鶴「ん、ん。思ったよりうまくいかなかったからですわ。予定ではごくごく自然に対話を重ねていくつもりでしたの」
11 :
プロヴァンスの風
2022/08/01 19:32:20
ID:hM8fHqAWGI
まつり「計画的犯行なのです」
千鶴「犯行ってものではありませんわ!ただ、まぁ……あなたには見倣いたい部分が個人的にありますから」
まつり「見倣う?……千鶴ちゃんが?」
千鶴「お、おかしいことではないでしょう?わたくしたちは切磋琢磨して高みを目指す仲間なのですから」
まつり「そう言ってもらえると嬉しいのです♪ まつりも千鶴ちゃんに憧れている部分があるのです」
千鶴「本当ですの?」
まつり「もちろんなのです!ただね、千鶴ちゃん」
千鶴「はい?」
まつり「こう思うのも嘘ではないのです。まつりと千鶴ちゃんがもっと仲良くなって、お互いのことを何も隠さずにありのままで話して、笑い合って、照れてしまうこともあって、そういうのも素敵だなぁって」
12 :
プロデューサーちゃん
2022/08/01 19:32:38
ID:hM8fHqAWGI
千鶴「――――今はそうするのは難しい、まつりはそう思っていますの?」
まつり「千鶴ちゃんはどうなのです?」
千鶴「わたくしは……そうですわね、たしかに今はまだ、それこそ勇気が足りない気がしますわ」
まつり「そういうわけだから、千鶴ちゃん。今度のオフはまつりとデートするのです」
千鶴「え?いきなりではありませんこと?」
まつり「少女漫画の王子様ほどではないのです。まつりだって、千鶴ちゃんと仲良くなりたいとは思っていたのです」
千鶴「まつり………」
まつり「千鶴ちゃんがナイトさまとしてエスコートするのですよ?」
13 :
そこの人
2022/08/01 19:32:58
ID:hM8fHqAWGI
まつり「姫の素顔を覗こうとした罰なのです……ううん、それだと罪になっちゃうかな、えっと……」
千鶴「お姫様らしい言い回しも悪くありませんが、わたくしとしてはまつりから遊びに誘ってもらえるだけで嬉しいですわよ?」
まつり「本当?」
千鶴「当たり前ですわ。覚悟してくださいまし。わたくしなりに、あなたの照れた表情を見ることができるプランを立ててみせますわ。おーっほっほっほげほっごほっ、こほん♪」
まつり「楽しみにしているのです!ふふっ」
おしまい
14 :
Pさん
2022/08/01 19:33:29
ID:JEmsxV37xY
乙!
いいまつちづだった…
15 :
高木の所の飼い犬君
2022/08/01 19:36:41
ID:hM8fHqAWGI
以上です
思ったより中身ねぇな……!でも書けたから投稿はする!
当初は地の文あり、むしろ千鶴の一人称ないし三人称で千鶴を中心に動かす文章で、まつりの魅力っての描きつつ、もちろん千鶴の魅力も見せたかったんですけど……
夏が終わる前に、まつちづでシリアス寄りの一本をどうにか書いておきたいんですよねー
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