春香「ねぇ、雪歩。お菓子作り以外で私の特技ってわかる？」

雪歩「え？転ぶこと？」

春香「あれは特技じゃないから！せめて、転んでも怪我しないことだから！」

雪歩「じゃあ、罪作り？」

春香「は？」

雪歩「劇場でまた別の女の子に手だしているんでしょ！！」

春香「またってなに！？誰にも手なんて出していないからね！？」

雪歩「そんなこと言って、粉をかけまくりですぅ。ふっくら焼き上がってますぅ」

春香「ベーキングパウダーか！いや、いいよ、無理にお菓子作り要素入れなくても」

雪歩「ついでに私の胸もふくらまないかなぁ……って何言わせるの！？」

春香「勝手に妄想膨らますな！」

雪歩「春香ちゃんの特技かー、そうだなぁー」

春香「すっと本題に戻るのね」

雪歩「やっぱりあれじゃない？場をなんかいい感じにまとめる、みたいな？」

春香「めちゃくちゃ雑な言い方！リーダーシップとか、そういうのでいいじゃん」

雪歩「あー、それ、メープルシロップ」

春香「お菓子作りから離れて！あのね、私の特技と言えば人の相談に乗ることでしょ？」

雪歩「調子に乗るじゃなくて？」

春香「うるさいよ！それでね、私としては後輩たちの相談に乗ってターニングポイントになれたらって思うんだ」

雪歩「わぁ！かっこいい!ひゅー、ひゅー！　ところで昨日ね、可憐ちゃんがね、」

春香「流すなーっ！ここからだから！　相談に乗ってあげて10年後ぐらいに言われたいわけ」

雪歩「えっ、春香さんってまだ17歳やっているんですか！？みたいな？」

春香「みたいな？じゃないよ！！その道の人に謝りなよ！そうじゃなくて『今の私があるのは春香さんのおかげです』って」

雪歩「それなら私が言ってあげよっか」

春香「べつに雪歩は後輩じゃないじゃん」

雪歩「ん、ん。今の私の清楚イメージがあるのはそうでもない春香さんがいるおかげです」

春香「お腹真っ黒くろすけじゃん！！」

雪歩「今の私の奇行ぶりが目立つのは普通っぽい春香さんがいるおかげです」

春香「よくわからないけど、褒めてないのはわかった！」

雪歩「今の私にここまで劇場内お姉ちゃん力があるのは何人か譲ってくれた春香さんのおかげです」

春香「そんな事実はない！！　ちゃんと後輩に言われたいの、私は。ほら、悩んでいる後輩役やって。的確なアドバイスするから」

雪歩「その役、引き受けるか悩ませてもらっていい？」

春香「いいからさっさとして！」

雪歩「う～ん……悩むなぁ。どうしようかなぁ。無難に白のワンピース？でも攻めた感じもほしいなぁ」

春香「待って。衣装や服装の悩みは、ほら、私以外でも適任けっこういるから」

雪歩「じゃあ勝負下着を選んでもらおうかな」

春香「何がじゃあなの！？もっとこう、あるでしょ？アイドルの仕事のことでさ」

雪歩「う～ん……悩むなぁ」

春香「どうしたの？そんな暗い顔して」

雪歩「実は有名コスメブランドからタイアップのオファーがきていて……」

春香「すごいじゃん！それでそれで？」

雪歩「先方が言うにはうちの事務所から適役のアイドル4人を選んでほしいって。悩むなぁ。どの子がいいかなぁ。曲も発注しないとなー」

春香「企画する側なの！？そういうの社長さんやプロデューサーさんの立場じゃん！」

雪歩「んー、曲としては新しい時代の挑戦で、断崖絶壁に登るような、ハードコアテクノ調で……」

春香「却下！嫌な予感しかしないよ！　って、いやいや、そういうの私じゃ解決できないから、もっと普通ので！」

雪歩「う～ん……悩むなぁ」

春香「どうしたの？そんな暗い顔して」

雪歩「なぜか詩花も玲音もいつの間にか、忌々しい765プロの劇場に入り浸っているんだ……！」

春香「黒井社長ーっ！！」

雪歩「共通の衣装を貰ったりもしているみたいで、中にはきわどいやつもあるんだぞ？！」

春香「あるんだぞ！？じゃないよ！そんなの私にどうこうできないよ！もっと私でも解決できるやつでお願い」

雪歩「う～ん……悩むなぁ」

春香「どうしたの？そんな暗い顔して」

雪歩「今日の夕食はお肉にしようかお魚にしようか、迷いますぅ」

春香「急に悩みのレベル下がっていない？！アイドル、微塵も関係ないし！！」

雪歩「どうしようかなー、ここ６日は焼肉だからなー」

春香「食べすぎぃ！！魚にしなよ、魚に！」

雪歩「ギョギョギョッ？！」

春香「え、なに、私のこと舐めているの？！」

雪歩「はぁ？！舐めていいなら舐めますけど！？全身隅々ペペロペロンですけど！？」

春香「謎の逆ギレ！！　アイドルのお仕事で悩んでいてよ、ずばっと解決してあげるからさぁ！！」

雪歩「う～ん……悩むなぁ」

春香「どうしたの？そんな暗い顔して」

雪歩「あ、春香さん。ちょっとお仕事で悩んでいることがあって……」

春香「そっかぁ。私でよければ相談に乗るよ？」

雪歩「わぁ！ありがとうございます！謹んでお断りしますぅ！」

春香「断るなーっ！！相談しないとはじまらないでしょ！」

雪歩「実は今度の公演で初めてユニットのリーダーに抜擢されたんです」

春香「あー……。みんなをまとめるのって難しいよね」

雪歩「そうなんです。まずはお互いをもっと知ろうと思って、親睦会を開いたはいいんですけど」

春香「うまくいかなかった？」

雪歩「はい……気がついたらなぜかみんな、私を深く愛しちゃって牽制し合っているんですぅ」

春香「カリスマーっ！！　予想外の悩みに早変わりしちゃったよ！！」

雪歩「あのぉ、何かアドバイスありません？」

春香「へ？えーっと、その、あ、愛は分け合えるものじゃないかな？あはは……」

雪歩「参考になりました！！――――10年後！！」

春香「！？」

雪歩「今の私がいるのは春香さんのおかげなんです」

春香「う、うん」

雪歩「一夜にして恋人が7人ほどできた際に、アドバイスしてもらったんです。じゃあ曜日制にしたら？って」

春香「言っていないよ！？」

雪歩「まぁ、結局は私のほうが物理的に分割されちゃったんですけど、ははは」

春香「物理的？！　むしろ猟奇的な展開！　もっと普通の悩み事持ってきて！」

雪歩「う～ん……悩むなぁ」

春香「どうしたの？そんな暗い顔して」

雪歩「あ、春香さん。ちょっとお仕事で悩んでいることがあって……」

春香「そっかぁ。私でよければ相談に乗るよ？」

雪歩「ﾁｯ。　じゃあ、お願いしますぅ♪」

春香「舌打ちすなーっ！！喜んで相談してきなよ！」

雪歩「実は同期のアイドルが売れているのに私は全然売れていないなぁって。焦っちゃうんですぅ」

春香「うんうん、わかるよその気持ち。でもね、比べるのは同期じゃなくていいんだよ」

雪歩「どういうことですか？」

春香「ライバルは昨日の自分なんだよ。毎日、昨日の自分に勝っていけばね、今は想像できないぐらいの高みにたどり着けるから」

雪歩「でも、昨日の自分なんて犬の糞みたいなもんですよ？」

春香「は？」

雪歩「寝たいだけ寝て、掘りたいだけ掘って、焼きたいだけ肉焼いて、そんな自分に勝ってもどうにもならないですぅ」

春香「そ、そんなことないって。一歩ずつ一歩ずつ成長していくことが大切で……」

雪歩「でもっ！同期のアイドルは私なんかの10倍売れているのに、100倍努力しているんですぅ！！」

春香「卑屈ーっ！！じゃあもう、同期見倣えばいいじゃん！！努力しなよ！」

雪歩「参考になりました！！――――10年後！！」

春香「今ので？！」

雪歩「今の私がいるのは春香さんのおかげなんです」

春香「……」

雪歩「私が卑屈になっているときに、アドバイスをもらったんです。友情・努力・勝利！！！だって」

春香「どこぞの少年漫画誌か！！そんなふわっとしたので解決できるかーい！！」

雪歩「う～ん……悩むなぁ」

春香「ど、どうかしたの。そんな暗い顔して」

雪歩「あ、春かあさん」

春香「母親になった覚えはないよ！！」

雪歩「ちょっとお仕事で悩んでいることがあって……」

春香「私でよければ相談に乗るよ」

雪歩「えー、マジうけるんですけどー、マジパネェ」

春香「いいからさっさと相談！」

雪歩「実は今度、ドラマのヒロインとして出演させてもらえることになったんですけど。難しいシーンがあって」

春香「へぇ。どんなシーン」

雪歩「それがキスシーンなんです」

春香「そ、そうなんだ」

雪歩「私、したことないから……。春香さん、よかったら私と練習……してくれますか？」

春香「アウト―っ！！いきなり上目づかいで艶っぽい声出すなーっ！ドキドキするわーっ！！」

雪歩「参考になりました！！」

春香「何が？！」

雪歩「――――10年後！！　今の私がいるのは春香さんのおかげなんです」

春香「お、おう」

雪歩「いかにも相談にしてほしい感じで控え室に入ってきた春香さんをからかったら、すごく快感で」

春香「はぁ？！」

雪歩「今では、からかい上手系アイドルの道をまっしぐらです♪」

春香「思っていたのとちがーう！解決しているかもだけど！ちがーう！」

雪歩「う～ん……悩むなぁ」

春香「ど、どうしたの。そんな暗い顔して」

雪歩「あ、活火山……」

春香「春香さんだよ！！　活火山ってギリギリ語感が近いかなってレベルじゃん！」

雪歩「やっほー！」

春香「うっさいわ！」

雪歩「参考になりました！！――――10年後！！」

春香「は？」

雪歩「…………」

春香「…………」

雪歩「…………」

春香「…………。ねぇ、どうしちゃったの？」

雪歩「10年前に春香さんにうるさいと言われたのがショックで、話せなくなったんですぅ」

春香「そんなに引きずるようなことかなぁ！？」

雪歩「う～ん……悩むなぁ」

春香「どうしたの。そんな暗い顔して」

雪歩「やっぱり、顔を見せるのが恥ずかしいからって黒いお面被るのダメですかね」

春香「ダメだよ！！」

雪歩「う～ん……ナマステ」

春香「悩めよ！相談しなよ！」

雪歩「実は人生観を変えるためにインドでも行こうかなって。でも遠いから近場のインドカレー屋さんから挑戦でいいでしょうか」

春香「いってらっしゃい！！」

雪歩「春香ちゃん。いろいろあったけど、これだけは言わせて」

春香「え？」

雪歩「今、こうして2人でおふざけして楽しんでいられるのは、私のおかげなんですぅ」

春香「そこは春香さんにしといて！！もういいよ！」


春香・雪歩「ありがとうございましたーー」

以上です
当初は、大半を元ネタに沿う形でいこうと思ったんです
でも動画を見返すと、表情や声、それに身振り手振りに依る部分が大きくて、無理だなーって
漫才なんだから当然ですよね　
はるゆきスクショはないです　親切などなたかが貼ってくださると嬉しいです

最初から最後までずっと面白くてすごい
はるゆきもいいね