それからの出来事()
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【ミリマスSS】美也「マシュマロを作ってきましたよ~」まつり「!!」
1 :
夏の変態大三角形
2022/09/18 13:54:52
ID:dOU2EMO2Kc
地の文があります。
2 :
バカP
2022/09/18 13:55:45
ID:dOU2EMO2Kc
「みなさ〜ん、マシュ
事務室のドアを開けて入ってきた宮尾美也と、その胸に抱えられてるバスケット。
そしてゆったりとしたリズムで発された言葉から単語を判別した瞬間、徳川まつりは一瞬で気配を消し、目にも止まらぬ速さでソファの影に身を潜めた。
マロを作って来ましたよ〜。みんなで食べましょ〜」
「わぁ、美味しそうな香り……あれ、まつりさんは……?」
3 :
Pサン
2022/09/18 13:56:14
ID:dOU2EMO2Kc
ソファの影で事務室の現状を一瞬で整理した徳川まつりは、密かに眉を顰めた。対面でお喋りしていたのは異常な索敵能力を持つ篠宮可憐、奥のデスクにはプロデューサーと青羽美咲。
さらにそのプロデューサーとお話ししていたのが。
「ご自分でマシュマロを作られるなんて、美也さんは凄いですね〜」
天空橋朋花である。
彼女もまた人智を超えた感覚の持ち主であるとともに、人の嘘や後ろめたさを感じ取る能力に優れている。
篠宮可憐と宮尾美也だけであれば、相対しても何とかなった確率が高い。しかし、天空橋朋花が加わるとなると勝算は一気に低くなる。
4 :
プロデューサー
2022/09/18 13:56:50
ID:dOU2EMO2Kc
「くんくん……あれ、ソファの後ろ……?」
時間が無い。決断を急がなければ。
幸いなことに篠宮可憐の声は小さく、まだ誰の耳にも届いていない。
しかし、宮尾美也がこの場にいる全員でマシュマロを食べようと提案するならば、篠宮可憐は徳川まつりに声をかけることだろう。
おそらく篠宮可憐の視線は既にソファに向けられている。
目にも止まらぬ速さで移動できなくも無いが、そうすると何故高速で移動したのか篠宮可憐は疑問に思うだろう。
5 :
彦デューサー
2022/09/18 13:57:17
ID:dOU2EMO2Kc
選択肢その1。
目にも止まらぬ速さで篠宮可憐の首筋に手刀を打ち込み気絶させた上で、事務室にいる全員から視認されぬように部屋を出る。
出来なくもないが、ドアの前を宮尾美也が陣取っていることで難易度がかなり高い。また、篠宮可憐はこの後お仕事が入っている。業務に支障が出ることは避けたい。
選択肢その2。
姿を晒した上で、全員を説得してこの場から退避する。
説得しなければならない人物に天空橋朋花が含まれている時点でかなり分の悪い戦いになる。時間をかければかけるほど不利になり、他の者が乱入する危険も高まる。
6 :
ハニー
2022/09/18 13:57:50
ID:dOU2EMO2Kc
選択肢その3。
「可憐ちゃん」
「え……?」
「まつり、美也ちゃんとかくれんぼをしている最中なのです。見つかってはならないのです」
徳川まつりは嘘をついた。
シロツメクサ が囁くような小さな声だった。しかし、嗅覚だけでなく異常な聴覚も持つ篠宮可憐だけにはその声がしっかり届いていた。
7 :
Pしゃん
2022/09/18 13:58:17
ID:dOU2EMO2Kc
「美也ちゃんは、まつりの好物のマシュマロで誘き出す作戦なのです。その手には乗らないのです」
「そ、そうなんだ……」
徳川まつりは篠宮可憐を仲間に引き入れることに成功した。ソファの影に徳川まつりが隠れていることを知っているのが篠宮可憐だけであれば、彼女が他の者に告げない限り他の者が知る術は無い。
「おや〜。今日はなんだか人が少ないですね〜」
「そ、そうだね……」
更に、篠宮可憐に「徳川まつりの居場所をバラしてはいけない」という意識を植え付けることにも成功した。
これで、隙を見て徳川まつりが高速で移動したとしても篠宮可憐がそのことを誰かに告げることは無いだろう。後はタイミングだけだ。
8 :
兄ちゃん
2022/09/18 13:59:04
ID:dOU2EMO2Kc
「可憐さん、さっきまでまつりさんがいませんでしたか?」
とはいえ、つい先程まで徳川まつりと篠宮可憐が優雅なティータイムを過ごしていたことは、当然この事務室にいる者には認知されている。中でも天空橋朋花はいち早くそのことに気を回した。
テーブルの上には二組のティーカップが置かれている。言い逃れは難しい。ここばかりは篠宮可憐のアドリブと演技力に頼るしか無いのだ。
徳川まつりはソファの影で同僚の活躍を祈った。
9 :
プロデューサーさま
2022/09/18 13:59:30
ID:dOU2EMO2Kc
「え、えっとぉ……。まつりさんは、きゅ、急な用事で出て行ってしまって……」
「可憐さん、何か隠していますね〜?」
ダメダメだった。
彼女の特技「ポーカーフェイス」が発揮されるのは外を歩く時とステージ上だけで、プライベートでは非常に感情豊かなのだ。あとすぐに冷や汗をかいて目が泳ぐ。
ソファの影にいる徳川まつりはその表情を伺うことは出来ないが、しどろもどろで慌てている様子が手にとるように分かった。
10 :
プロデューサーちゃん
2022/09/18 13:59:49
ID:dOU2EMO2Kc
「おー、マシュマロって自作できるんだな。ちょうど良いから休憩にしましょうか青羽さん」
「わー、良いですねぇ。それなら私はコーヒーでも……」
「こ、紅茶を! 私、美味しいハーブティーを持って来てるんです。と、朋花ちゃん、淹れるの手伝ってもらっても良い?」
いつもより数倍大きな声で、篠宮可憐が提案した。事情を知らない者たちであれば何かあったのではと考えるかもしれない。先般の彼女に疑念を抱いた天空橋朋花であれば尚更だ。
しかしその後の様子を伺うに、どうやら篠宮可憐はかなり強引に天空橋朋花を給湯室に連れて行こうとしているらしい。
11 :
EL変態
2022/09/18 14:00:19
ID:dOU2EMO2Kc
このタイミングに逃げろということか。徳川まつりは精一杯の配慮に感謝した。
「それなら私たちは座って待っていましょうか〜。可憐ちゃんたちが戻ってきたら一緒に食べましょ〜」
いつものほんわかした掛け声で、宮尾美也たちは着席を促した。どうやら徳川まつりが隠れているソファに座ったのはプロデューサーのようだ。
このメンバーで、かつこちらに意識が割かれていない現状ならば何とかなるはずだ。
徳川まつりは四足獣の如く身を丸め、鋼の様な大腿部を強張らせて跳躍せんとする姿勢を取った。
12 :
兄(C)
2022/09/18 14:00:52
ID:dOU2EMO2Kc
「それで、まつりさんはそんなところで何をしているんですか〜?」
徳川まつりの全身が、ぎゅっと縮み上がった。
視認はされていない。気配も消している。
それなのに、宮尾美也は状況と篠宮可憐の態度だけで、この盤面を読み切った。
油断していた。徳川まつりがそう考えるのも無理はない。それほどまでに彼女の口調はいつも通りで、一切の「揺らぎ」も孕んでいなかった。
13 :
プロデューサーさん
2022/09/18 14:01:21
ID:dOU2EMO2Kc
自身の詰みを察した徳川まつりは、小さく自嘲した。
そして、いっそ清々しいほどの元気の良さで、ソファの裏から立ち上がった。
「はいほー! 見つかってしまうとは、流石は美也ちゃんなのです!」
「うわぁびっくりした! どうしてそんなところに!?」
予想だにしていなかったお姫様の登場に、この部屋で唯一王子様と性別が同じ者が声を上げて驚いた。
正面に座っていた宮尾美也は驚く様子もなく、ただニコニコと次の発言を促すように徳川まつりを見つめていた。
14 :
おにいちゃん
2022/09/18 14:02:15
ID:dOU2EMO2Kc
「姫は、ダイエット中なのです。そんな時に姫の大好きなマシュマロを見たら、きっと沢山食べたくなっちゃうと思ったのです」
「え、ダイエットって、まつり別に全然太ったりしてなヴッ!」
少女たちのデリケートな話に割り込んできたデリカシーの足りない王子様候補生は、謎の手刀を首筋に差し込まれてゆっくりとソファに横たわった。
「では折角なので、味見だけでも〜」
徳川まつりが自身の状態を「詰み」と表現したのは、まさにこの部分だった。既にマシュマロを食べないという選択肢は望めない。
この負け戦で如何に被害を少なく抑えるか、そのためには篠宮可憐と天空橋朋花が帰ってくる前に「こと」を終える必要がある。王子様の戯言に付き合う時間はない。
15 :
Pちゃん
2022/09/18 14:02:57
ID:dOU2EMO2Kc
「と〜っても美味しそうなので、妖精さんには内緒で、一つだけ頂いちゃうのです! はむっ!」
手作りらしく市販品より少し大きなマシュマロ。
舌に触れた瞬間に唾液で表面が溶解した甘味の塊が味蕾を覆う。鼻を抜けるのは甘い春風。泡がしゅわしゅわ弾けてみるみる体積を減らしていく。
徳川まつりはマシュマロのようにぷにぷにのほっぺに手を添えて、顎を持ち上げながらふるふると顔を揺らした。
「んん〜!美味しいのです〜! 美也ちゃん、ありがとうなのです!」
「どういたしまして〜」
16 :
プロデューサーちゃん
2022/09/18 14:03:19
ID:dOU2EMO2Kc
「それじゃあ、ここにいるともっと食べたくなっちゃうので姫は逃げるのです。さよならなのです〜!」
「あっまつりちゃん、せめて可憐ちゃんたちの紅茶……行っちゃった」
青羽美咲の呼びかけ虚しく、徳川まつりは目にも止まらぬ速さで事務室を後にした。それと時同じくして、篠宮可憐と天空橋朋花が給湯室から茶器を揃えて戻ってきた。
「プロデューサーさ〜ん? こんなところで寝るなんて、どういう了見ですか〜?」
「いててて」
天空橋朋花が優しくも鋭くプロデューサーの頬を捻りあげる。その光景の奥に向けて鼻腔を鳴らした篠宮可憐は、安堵のため息をついた。
17 :
3流プロデューサー
2022/09/18 14:04:31
ID:dOU2EMO2Kc
全員が席についたことを確認して、宮尾美也は「それでは〜」と言い自作のマシュマロを口の中に放り込んだ。
狙った通りの上品な甘味と、弾力のある心地よい柔らかさの泡の感触が口いっぱいに広がった。
次いで、他の者もそれぞれマシュマロを口にする。
「美也さん、すっごく美味しいね」
「そうですね〜。今度は、まつりちゃんが好きなクッキーでも焼いてみようと思います〜」
おわり
18 :
プロデューサーちゃん
2022/09/18 16:38:49
ID:oZQ4F/ArvM
乙
今まで読んだ中で一番おいしそうなマシュマロ描写
姫視点だとどう感じるんだろうか
19 :
変態大人
2022/09/18 20:43:31
ID:La02V2Tk6U
面白いですね。もう少し長めのも読みたいかも
20 :
主
2022/09/19 06:54:35
ID:e.ocNdoOz6
女の子の体重に言及したPを悪者にして逃げる(Pにはその後埋め合わせをしておく)選択肢もあったろうに
やはり流石のまつりでもマシュマロ絡みとなると判断が鈍るか(そういう問題ではない)
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