【Xm@s祭】茜「ウ……ウソでしょ……こ……こんなことが……こんなことが許されていいのか」
1 : Pしゃん   2022/12/24 16:23:50 ID:kfumFAXKKA
プリニャン茜のイラストと「カモンカモン、コールマイネーム!」を見て思いついたお話
2 : Pさん   2022/12/24 16:25:03 ID:kfumFAXKKA
茜「あ……兄ちゃんが茜ちゃんのプリンを盗み食いしてるッッ!!」

兄「んだよ。そんな大声出さなくてもいいだろ」

茜「い、家出してた人が急に帰ってきてたらビックリして当然でしょー!?3年間もどこでなにしてたのっ!?てか、なんで勝手にプリン食べてるのっ!?」

兄「色々あったんだよ……悪いけど少し部屋で休ませてくれ。疲れてんだ」

バタン

茜「ちょっと兄ちゃん!……もう!」
3 : Pたん   2022/12/24 16:25:55 ID:kfumFAXKKA
茜(3年ぶりなんだから“ただいま”くらい言ってくれてもいいのに)

茜(ひねくれてて、何聞いてもはぐらかしてばっかりで……全然変わってないじゃん)

茜(……小さい頃は優しかったのにな)



茜「あ!もうこんな時間だ!」

茜「兄ちゃん!夜まで出かけてくるからね!後で話聞かせてよね!」
4 : 変態インザカントリー   2022/12/24 16:26:14 ID:kfumFAXKKA
――――――


――――


――
5 : 兄(C)   2022/12/24 16:27:02 ID:kfumFAXKKA
【商店街】

茜「ヘイヘイヘイヘイ!そこのカレシー!クリスマスケーキの予約はお済みかい?まだだよね!はいチラシどーぞ!」

ピラッ

茜「キミぃ、人生で一度もモテた時が無さそうな顔してるねぇ!せめて美味しいもの食べて元気出して!ね☆」

ピラッ

茜「かわいい茜ちゃんのイチオシはプリンケーキ!チラシに載ってるから良かったら一緒に買っちゃってねー!」

ピラッ
6 : P君   2022/12/24 16:30:54 ID:kfumFAXKKA
茜「ふーっ……このペースなら全部配り終えられるかな~」

茜「茜ちゃんみたいな美少女が売り子してるんだから売上アップ間違い無しだよね!ということはバイト代も……ムフッ」

茜「ウチに帰る前にプリン買ってこうかな~。取っておいたやつは兄ちゃんに食べられちゃったし」


茜(……そういえば、なんで兄ちゃんって家出してたんだっけ?)

茜(えっと…………あれ?……思い出せない……?)

茜(なんか……すごく大変なことがあったような……?……なんだっけ……?)
7 : 最低最悪変態プロデューサー   2022/12/24 16:31:52 ID:kfumFAXKKA
兄「……おい」

茜「ニ゛ャーッ!?な、な、なにっ!?兄ちゃん、いつからそこにいたのっ!?尾行!?ストーカー!?」

兄「んなワケあるか。たまたま通りかかっただけだっつーの」

茜「だったら急に後ろから声かけないでよ~。まだ心臓バクバクしてる……」
8 : プロ太郎さん   2022/12/24 16:33:10 ID:kfumFAXKKA
兄「そんなことよりお前、まだバイトができる歳じゃねーだろ。なんでこんなことしてんだ」

茜「このお店、友達の実家なんだよね。お金が欲しくて欲しくてたまらない茜ちゃんのために一肌脱いでもらってるのさ」

兄「なんか欲しいもんでもあるのか」

茜「物じゃなくて夢のため!アイドルになるにはたくさんお金が必要だからね!」

兄「はあ?」
9 : プロデューサーさま   2022/12/24 16:34:26 ID:kfumFAXKKA
兄「アイドルって……お前まだ諦めてなかったのかよ」

茜「あったり前でしょー!こんなにかわいい茜ちゃんのことを知らない人が大勢いるなんて、人類の損失!冒涜!地球滅亡!」

兄「言葉の意味がバラバラじゃねーか」

茜「だからこの私!野々原茜がアイドルになろうと言うのだよ!兄ちゃん!」

兄「ふうん……ま、あんまり遅くならないようにしろよ。メシ作っといてやるから」

茜「はいはい。言われなくても……って」
10 : プロデューサー   2022/12/24 16:36:24 ID:kfumFAXKKA
茜「兄ちゃんが料理!?家庭科の成績がド底辺で授業参観の笑いものだった兄ちゃんが!?」

兄「本当のことでも多少はオブラートに包めよ」

茜「いやいやだってさあ……」

ビュオッ!
バサバサバサッ!


茜「にゃっ!?風が……!」

兄「あーあ。余計なことに気い取られてるからチラシ吹き飛ばされちまって……しょうがねえなあ」

茜「こんなことで減給くらってたまるかー!」

タッ!
シュババババババババ!!

兄「なにっ」
11 : Pたん   2022/12/24 16:37:28 ID:kfumFAXKKA
茜「あと1枚……上かっ!」

ダンッ! パシッ

茜「しゃあっ!これで全部拾えたね!」


兄「お前……今の動き……」

茜「なーに?茜ちゃんが運動神経バツグンなのは昔から知ってるでしょ?」

兄「屋根の高さまで跳んでたぞ……」

茜「本気出せば3階の窓にだって入れちゃうよ!アイドルデビューの暁には全能力解放してお客さんのド肝抜いてやるんだ!」

兄「……」
12 : 我が友   2022/12/24 16:37:54 ID:kfumFAXKKA
――――――


――――


――
13 : Pさぁん   2022/12/24 16:39:21 ID:kfumFAXKKA
【野々原家】

茜「うう……ぐすっ……ううう~」

兄「なに呻いてんだよ」

茜「だってよ……!兄ちゃん……!腕が!じゃなくて献立が!貧しすぎるよっ!うら若き乙女のディナーがおにぎりと味噌汁だけなんてえっ……」

兄「お前好きだっただろ。おかかの握り飯」

茜「茜ちゃんは成長したの!今は白トリュフをたっぷりふりかけたキャビアのおにぎりが好物なんだよ!」

兄「嘘つけ。そんなもんウチで作れるわけないだろ」
14 : 魔法使いさん   2022/12/24 16:40:02 ID:kfumFAXKKA
茜「ノリが悪いよ兄ちゃん!そんなんだからモテなさすぎ友達いなさすぎなんだよ!」

兄「よし、片づけるか」

茜「にゃーっ!?ごめんごめん冗談だよー!かわいい妹の顔に免じて許して!ね?」

兄「……フン」

モグ……ムグ……
パクパク
ズズズ~ッ
15 : 変態マスター   2022/12/24 16:41:26 ID:kfumFAXKKA
兄「……」

茜「……」

兄「……茜。……俺……今まで……その……」

茜「いいよ。まだ言わなくて」

兄「えっ」


茜「頭のなかぐちゃぐちゃで整理ついて無いんでしょ?見たらわかるよ」

兄「それは……」

茜「気持ちが落ち着いて、話したくなったときに話してくれればいいよ。それまで茜ちゃんは宇宙よりひろ~~~い心で兄ちゃんを受け入れてあげるからさ」

兄「……」
16 : イルデューサー   2022/12/24 16:42:16 ID:kfumFAXKKA
兄「変わらねえな、お前」

茜「にゃ?」

兄「ふざけた態度のくせによく人のこと見てて……困ってる友達がいたらすぐ助けに行ってたよな。結局失敗して事態を悪化させることのほうが多かったけどよ」

茜「なんと……!ついに気づいてしまったんだね兄ちゃん!茜ちゃんの優しさとかわいさに!」

兄「かわいさは関係ねーだろ」
17 : プロデューサー殿   2022/12/24 16:43:03 ID:kfumFAXKKA
兄「……今日はもう寝るわ。じゃ」

バタン


茜(茜ちゃんが変わってない、ね)

茜(逆に兄ちゃんは変わったって言うか……戻った?って感じかな?)

茜(態度は相変わらずつっけんどんだけど……優しかった頃の兄ちゃんが、ちょっと戻ってきてる気がする)

茜(兄ちゃんなりに変わろうとしてるのかな……ま、着ているパーカーのセンスは昔のまんまだけど)
18 : 我が友   2022/12/24 16:43:40 ID:kfumFAXKKA
茜「……あっ!」

茜「兄ちゃん、しれっと部屋に戻ってったけど後片付けしてない!茜ちゃんに押し付けやがったなー!!」
19 : 高木の所の飼い犬君   2022/12/24 16:44:05 ID:kfumFAXKKA
――――――


――――


――
20 : Pちゃん   2022/12/24 16:48:38 ID:kfumFAXKKA
【12月24日】

茜「ありがとうございましたー!」

バタン

茜「うっし、ケーキの配達お終い!茜ちゃん、自分の身体能力が恐ろしくなってきたよ……ふっふっふっ」

茜「さーて、早く帰らないと兄ちゃんとの約束に遅れちゃう!」
21 : 監督   2022/12/24 16:51:08 ID:kfumFAXKKA
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(前日)

兄『お前さ、彼氏とかいんの?』

茜『ニ゛ャッ!?にゃにゃにゃにゃ、にゃに゛っ!?何言い出すの急にっ!?』

兄『いや、要は明日予定あるのかどうか聞きたいだけなんだけどよ』

茜『なら最初からそう言ってよ……まあ、茜ちゃんはモテモテだから疑う気持ちはよー-くわかるけどね?アイドル志望の身としてはなんというか、そういったことには慎重にならざるを得ないと言いますか……バイト終わってからはその……なにも……』

兄『なら、寄り道しないで帰ってこいよ。プリン買っといてやるから』

茜『えっ』

兄『じゃ、約束だかんな』
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22 : ご主人様   2022/12/24 16:52:00 ID:kfumFAXKKA
茜(兄ちゃんのあの様子……ついに空白の3年間についての話があると見た!)

茜(我慢に我慢を重ねてきたけど茜ちゃんの好奇心はもう限界だよ!根掘り葉掘りあることないこと全部聞いてやるもんね!)

茜(……そういえば、“根掘り葉掘り”って言葉、おかしくない?根っこは土の中に埋まってるけど葉っぱをどうやって掘るんだろ?)


??「すいません、ちょっとよろしいですか?」
23 : Pサマ   2022/12/24 16:53:21 ID:kfumFAXKKA
茜「ごめんね!残念だけどケーキはもう完売だよ!」

??「いえ、ケーキの話ではなく……私、こういう者なのですが」

ピラッ

茜「名刺?……えっ!?765プロのプロデューサーさん!?」

P「失礼ながら、ここのところ商店街であなたのお仕事を拝見しておりまして……。単刀直入にお聞きしたいのですが、アイドルにご興味は?」

茜「あるあるあるある!!むしろありすぎって言うか!」
24 : P殿   2022/12/24 16:55:36 ID:kfumFAXKKA
茜「これってスカウトだよね!?事務所はドコ?いつからお仕事開始?茜ちゃんはいつでもいいよ!」

P「いつでも、ですか……では、今から事務所にお越しいただけませんか?幸い、今日はウチの社長も在社しておりますので」

茜「えっ、今から?」


茜(兄ちゃんとの約束に遅れちゃうけど……でも、こんなチャンス見逃せないよ!)


茜「……いいよ!」

P「では、すぐ近くに車を停めてありますので……」
25 : へっぽこ大名行列   2022/12/24 16:57:43 ID:kfumFAXKKA
ガチャ バタン

茜「えっと、765プロってどの辺にあるのかな?あんまり遅くなるとウチの人に心配されちゃうかも……」

P「大丈夫です。すぐ着きますよ」


P「天国にね」


茜「えっ」

プシューー!!

茜「!?なっ、なにっ?こっ……れ……?」

ガクッ
26 : プロデューサー様   2022/12/24 16:58:05 ID:kfumFAXKKA
――――――


――――


――
27 : プロデューサー様   2022/12/24 16:59:01 ID:kfumFAXKKA
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ガシャーーン!

兄『なんでだよ!なんで俺がっ……!』

母『落ち着いてっ……お願いだからっ……』

兄『ふざけんな!てめえが俺をこんな体に生んだんだろうが!』

父『そんな言い方をするな!母さんは……!』

兄『てめえも同罪なんだよクソ親父!!』

ドガッ!
28 : プロデューサーさま   2022/12/24 17:00:09 ID:kfumFAXKKA
茜『あにちゃん……どうしたの……?』

兄『!!茜……』

茜『ケンカはだめだよ……パパちゃんとママちゃん、ないてるよ……?』

兄『うるっ……せえ……!』

茜『え?』

兄『うるせえんだよ!妹のくせに!兄妹なのに!なんでっ、俺だけっ……!』

茜『あにちゃん……?』

兄『お前がっ……!お前が死ねばよかったのに!!』

兄『くそおおおおおおおおおおおおお!!!』
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29 : お兄ちゃん   2022/12/24 17:00:41 ID:kfumFAXKKA
茜(ああ……思い出した……)

茜(あの日……家に帰ったら兄ちゃんが暴れてて……パパちゃんママちゃんは泣いてて……)

茜(それから……兄ちゃんは人が変わったみたいに乱暴になって……家を飛び出した)

茜(……なんで、今まで忘れてたんだろ)
30 : プロ太郎さん   2022/12/24 17:01:57 ID:kfumFAXKKA
茜(急に変わった兄ちゃんが……怖かった……いなくなったときも、悲しい気持ちより、ほっとする気持ちのほうが大きくて……)

茜(だから……兄ちゃんの身になにがあったのか、パパちゃんにも、ママちゃんにも聞かず終いで……)

茜(兄ちゃんのこと、心配してあげなきゃいけなかったのに。全部忘れて、楽になろうとしてた)

茜(ごめんね……帰ったら、今度こそ話聞いてあげるからね)


茜(……兄ちゃん……)
31 : Pサン   2022/12/24 17:02:25 ID:kfumFAXKKA
――――――


――――


――
32 : ボス   2022/12/24 17:08:30 ID:kfumFAXKKA
茜「うっ……」


茜「あ……あれ?ここ、どこ……?」

ジャラッ

茜「えっ?て、手錠!?なんで!?」


P「……じゃ、受け渡しは3時間後にいつもの場所で。こんどはキャッシュで払ってくださいよ。換金だって最近は大変なんですから」

ピッ

P「まったく。裏稼業の人間も最近はケチ臭くなりましたねえ」
33 : レジェンド変態   2022/12/24 17:10:19 ID:kfumFAXKKA
茜「ねえ!これ、どういうことなの!?」

P「あれ、もう起きたんですか?かなり強い薬を使ったんですけどねえ……。さすが“奇跡の心臓”の持ち主は回復力が違う」

茜「薬……?心臓……?なに言ってるの……?」

P「寝てる間に色々と検査させてもらいました。あなたは数十億人に1人の特別な心臓……“G・ハート”の持ち主なんですよ」


P「特別な血液を作り出す心臓の影響であらゆる臓器、筋肉が活性化し、規格外の身体能力を得る……自分でも心当たりがあるでしょう?」

P「とある国のお偉いさんが、心臓病の娘の治療のためにこの心臓に懸賞金をかけてましてね。その額……5000万ドル」
34 : Pたん   2022/12/24 17:11:07 ID:kfumFAXKKA
茜「じゃあ765プロのプロデューサーっていうのは……!」

P「怒らないでくださいね。そんな話を信じるなんて馬鹿みたいじゃないですか。……まあ、そのおかげでボクは美味しい思いができるんですが」

スッ

茜「や、やめてっ!近づかないで!」

P「そんなに怯えないでくださいよ。どうせこの後はバラバラ死体になるだけなんだから、最期に楽しい思い出を作ってあげます」

茜「やだっ……やだあああああああッ!!」
35 : ぷろでゅーしゃー   2022/12/24 17:11:33 ID:kfumFAXKKA
茜(バチが……あたったのかな……兄ちゃんとの約束……破ったから……)


茜(嫌だよ……こんな所で……死にたくないよ……)


茜(兄ちゃん……!!) 
36 : Pサン   2022/12/24 17:12:16 ID:kfumFAXKKA
ゴゴゴゴ…
ゴゴゴゴゴゴゴ……


P「……?なんの音だ?」


ドカ――――ン!


P「なにっ、ショベルカー!?」

ゴッ!

P「ぐうっ!?」
37 : 5流プロデューサー   2022/12/24 17:13:11 ID:kfumFAXKKA
兄「茜えっ!!」

茜「あ、兄ちゃん!?何で!?」

兄「手錠か……こんなもん!」

バキバキバキ!


兄「逃げるぞ!壁の穴から……」

P「させませんよ」

兄「!?」
38 : Pサマ   2022/12/24 17:14:39 ID:kfumFAXKKA
P「兄妹がいたとは知りませんでした……あなたもさぞ、立派な臓器をお持ちなんでしょうねえ」

兄「てめえ……あんな派手に撥ねられてなんともねえのかよ」

P「妹さんのような“奇跡の心臓”ではないが……ボクもまた特異体質でね」

P「先天的にしなやかで強い骨格なんですよ。さらに東洋武術の呼吸法により一瞬で皮膚までも硬化させることができる。素手で殴るだけで人の骨を粉砕しグチョグチョに柔らかく潰す」

ポキポキ

P「今から身をもって体験させてあげますよ。あなたの顔面に大きな穴をあけます」
39 : 兄ちゃん   2022/12/24 17:15:26 ID:kfumFAXKKA
兄「はあーー?誰の顔に穴をあけるだってェ?」

P「あなたの血でこの拳を真っ赤に染めるッ!」

ダッ!

兄「その前にお前の返り血をたっぷり浴びてやるよ!」

ダッ!

ボボボボボッ
パンパンパンパンパン!!
40 : バカP   2022/12/24 17:16:35 ID:kfumFAXKKA
兄「ニャンニャン神拳“鷹鎌脚”!」

ギュオッ!!

P「っ!?」

パアン!

兄「ニャンニャン神拳“蠢蟹掌”!!」

ゴッ!

P「がはっ!?」



P「……なーんてね」
41 : プロ太郎さん   2022/12/24 17:17:28 ID:kfumFAXKKA
兄「なにっ」

P「妙な格闘技を使うようですが……言ったでしょう、ボクは特異体質だと」

ゴッ!

兄「ぐふっ!」

P「そしてこうも言いました。“素手で人の体に穴をあけられる”と」

茜「兄ちゃん!逃げて!」


ド ス ッ !
42 : der変態   2022/12/24 17:20:31 ID:kfumFAXKKA
兄「がっ……!?あっ……!!」

P「臓器は傷つけませんよ。価値が下がりますからね。死ぬほど痛いだけです」

グリグリ グチュグチュ

兄「うがあああああああ!?」


茜「やめてええええええええええええええっ!!!」

ダッ!
ギョオッ

P「なにっ」
43 : 3流プロデューサー   2022/12/24 17:21:18 ID:kfumFAXKKA
バッ

P(な、なんて蹴りだ……躱さなければ確実に首をへし折られていた……)

茜「うああああああああっ!」

ギュオッ!!


P(こいつ……さっき兄が使った技を一瞬でコピーしたのか!?)

P(なんという動体視力……これが“奇跡の心臓”の潜在能力か!)

P「しかし!」
44 : EL変態   2022/12/24 17:23:12 ID:kfumFAXKKA
ガバッ! ダアーン!

茜「あうっ!?」

P「ハイキックは軸足を刈れば簡単に転がせるんですよ!タックルに入るタイミングも取りやすいですからね!」

P「そして!」


ガキッ


茜「はうっ」

P「転がせて背後を取ればどんな相手でも締め落とすことができる……日本の有名なマンガにも書いてあるでしょう?“完全にキマった裸締めからは絶対に逃げられない”と」
45 : Pチャン   2022/12/24 17:24:23 ID:kfumFAXKKA
ギリギリギリ

茜「くっ……あっ…………」

P「数秒で意識が無くなります。その後は……まあ、どーでもいいですよね。これから死ぬだけの人間にとっては……」

茜「うっ………ううううっ!」

グググ…


茜「ニャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


ダンッ!!

P 「なにっ」
46 : お兄ちゃん   2022/12/24 17:25:35 ID:kfumFAXKKA
P(バカな……裸締めをかけられたままこんなに高く跳躍するなんて!)


P(だけど無駄ですよ!たとえどんなに強く地面に叩きつけられたとしても、絶対にこの腕は離さない!)




兄「…………ナイスだ。茜」
47 : 監督   2022/12/24 17:27:16 ID:kfumFAXKKA
P「!?しまったっ、落下地点に……!」

兄「妹から……離れやがれ!」

ギュン!

兄「ニャンニャン神拳“蠢蟹掌”!!」

ゴッ!

P「ぐふっ!?」

ドカッ! ゴロゴロゴロ
48 : ダーリン   2022/12/24 17:29:08 ID:kfumFAXKKA
茜「げほっ!ごほっ!」

兄「茜っ!!」

茜「だい……じょぶ……へへ……ありがと、兄ちゃん……」


P「くっ……はっ……ははははっ!馬鹿ですねえあなた!この千載一遇のチャンスに!一度通用しなかった技を使うなんっ……てっ……」


ド ク ン !


P「ウッ!?」
49 : 夏の変態大三角形   2022/12/24 17:31:10 ID:kfumFAXKKA
ド ク ン !

P「なっ……ん……だっ……これっ……なに、を……!?」

兄「“蠢蟹掌”は一撃目で相手に“蟲”を埋め込み……二撃目で心臓を食い破る……禁断の奥義……」


兄「まあ、細かいコトはどーでもいいだろ……これから死ぬだけの人間にとってはよ……」

P「キ……サ……マっ……!」

ゴッ!

P「ぎゃっ!」
50 : 我が下僕   2022/12/24 17:32:32 ID:kfumFAXKKA
茜「兄ちゃん!」

兄「来るなっ!!」

ドガッ! ドゴッ! バキッ!

P「ぐはっ!あがっ!げぶっ!?」

兄「てめえっ……なんかのっ……血でっ……!茜の手を!汚してたまるかあっ!」

ギャリイッ!


兄「ニャンニャン神拳!“ 塊 蒐 拳 ” !!」

ド ン ッ ! 
51 : レジェンド変態   2022/12/24 17:33:30 ID:kfumFAXKKA
P「………………グジュッ」

ドサッ


兄「は……はっ……ざまあ……見やがれ……」

ドサッ


茜「兄ちゃん!!!」
52 : 高木の所の飼い犬君   2022/12/24 17:33:50 ID:kfumFAXKKA
――――――


――――


――
53 : 変態お化け   2022/12/24 17:34:43 ID:kfumFAXKKA
兄「や……やっぱりお前はすげえなあ……も……ものが違う……天賦の才ってやつか……」

茜「もう喋らないで!救急車呼んだから!すぐにお医者さん来るから!」

兄「バーカ……今喋んなきゃ……もう……何も言えなくなっちまうだろ……」

茜「バカは兄ちゃんのほうじゃん!変なこと言わないでよ!」


兄「もともと……長くなかったんだ……俺は……“バースト・ハート”だから……」

茜「えっ?バースト……?」
54 : へっぽこ大名行列   2022/12/24 17:36:33 ID:kfumFAXKKA
兄「お前とは逆……治療法のない……先天性の心疾患で……突然、何の前触れもなく……心臓が止まる……」

兄「ガキの頃……いろんな病院に行かされたろ……?ウチの家系は……何代かに一度……バースト・ハート持ちの子供が……生まれるんだと……」

茜「じゃあ!兄ちゃんが大暴れしたあの日は!」

兄「ごめんなあ……父ちゃんも……母ちゃんも……辛かったはずなのに……お前に至っては……なにも知らなかったのに……俺は……八つ当たりしか……」


兄「怖かった……明日にでも……数秒後にでも……心臓が止まって……死ぬかもって……頭がおかしくなりそうだった……」

兄「家を飛び出して……あちこちで暴れまくって……もし、師匠が止めてくれなかったら……俺は……」

茜「師匠……?」
55 : プロ太郎さん   2022/12/24 17:38:15 ID:kfumFAXKKA
兄「暴れてた俺をぶちのめして……性根を、叩きなおしてくれた……ニャンニャン神拳も……その人から……」

兄「師匠が……言ってた……“人は生きるために生まれてくるんじゃない。なにかを成し遂げるために生まれてくるんだ”……って……残り少ない命で、なにをするかが大切だって……」

兄「だから……最期に、お前をっ……助けられて……満足……」


茜「バカッ!バカバカバカバカバカッ!」
56 : Pさぁん   2022/12/24 17:39:27 ID:kfumFAXKKA
茜「勝手に満足しないでよ!まだこれから楽しいコトいっぱいあるじゃん!」

茜「茜ちゃん、アイドルになるんだよ?有名人だよ!兄ちゃんもきっと勝ちまくりモテまくりウハウハで札束風呂にだって入れちゃうかもしれないんだよ!?だから……!」

兄「ははっ……札束風呂か……確かに……やってみたかったな……」


ドクン!


兄「はうっ」

茜「兄ちゃん!」
57 : 兄ちゃん   2022/12/24 17:40:59 ID:kfumFAXKKA
兄「お……俺のっ……荷物に……師匠の……連絡先が……」

兄「強く……なれよ……俺はもう……守って、やれない、から……」

兄「あと……変な奴に……ホイホイついてくなよ……プロデューサーは……お前が……自分で見つけろ……」

兄「大丈夫……お前なら……見つけられる……最高の……相棒……」


ドクン!


兄「ウ……」

茜「しっかりして!やだよっ!死んじゃやだっ!」
58 : プロデューサーくん   2022/12/24 17:42:00 ID:kfumFAXKKA
兄「あ……か……ね……」


ポフッ
ナデ……ナデ……


茜「え……?」

ナデ……ナデ……

兄「ごめん……プレゼント……これくらいしか……ない……けど……」



兄「メリー…………クリスマス…………」
59 : エビさん   2022/12/24 17:44:01 ID:kfumFAXKKA
兄「……」

兄「…………」


茜「兄ちゃん……?兄ちゃん!!」



茜「 う あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! ! ! ! 」
60 : ぷろでゅーしゃー   2022/12/24 17:44:18 ID:kfumFAXKKA
――――――


――――


――
61 : 変態お化け   2022/12/24 17:44:57 ID:kfumFAXKKA
~2年後~


P「…………おっ」

ガチャ バタン

茜「プロちゃんお待たせ~。時間大丈夫?」

P「ちょっと飛ばせば間に合うな。シートベルト締めてくれ」

茜「オッケー!」

カチッ
ブロロロロロロ……
62 : プロヴァンスの風   2022/12/24 17:46:22 ID:kfumFAXKKA
P「悪かったな。お兄さんの命日に仕事入れてしまって」

茜「いーよいーよ、教えてなかった茜ちゃんが悪いんだし。こうやってお墓参りの時間作ってくれただけでも感謝感激だよ!さっすがプロちゃん!」

P「ま、これくらいできないと茜の担当は務まらないからな」

茜「それでこそ茜ちゃんが見込んだ男……!スカウトした身として鼻が高いよ……!」

P「スカウトねえ。どっちかっていうと茜の押し売りって感じだったけどな」

ブロロロロロロ……
63 : プロデューサーさん   2022/12/24 17:47:04 ID:kfumFAXKKA
P「……あのさ」

茜「ん?」

P「えっと……その……」


P(お兄さん、どんな人だったんだ?……って聞きたいけど、さすがに無神経すぎるかな……亡くなってまだ数年らしいし……)


茜「……なるほど。茜ちゃんはわかってしまったよ。プロちゃんがなにを考えてるのか」

P「えっ」
64 : ごしゅPさま   2022/12/24 17:48:08 ID:kfumFAXKKA
茜「プロちゃん……茜ちゃんに対する劣情を抑えきれなくなってしまったんだね!茜ちゃんがかわいすぎるから!!」

P「いや全然そんなことないけど」

茜「ダメだよ!茜ちゃんはトップアイドルになるその日まで!プロちゃんの想いに応えることはできないッ!」

P「応えなくていいから話を聞いてくれ」

茜「どうしても手を出そうというのなら……茜ちゃんはプロちゃんに対してニャンニャン神拳奥義“幻魔拳”を使わざるを得ない……!」

P「幻魔拳は勘弁してくれ……こないだ素手でゴリラを倒した技じゃないか……」
65 : ごしゅPさま   2022/12/24 17:49:03 ID:kfumFAXKKA
茜「んでんで?ホントは何言おうとしてたの?」

P「あー……えっと……そうだ!そのパーカー!」

茜「にゃ?パーカー?」

P「前から思ってたんだけどさ、それ明らかにサイズ合ってないだろ?新しいの買ってやろうか?」

茜「だ、ダメだよ!このパーカーは茜ちゃんのトレードマークなんだから!」

P「でもぶかぶかで動きづらいんじゃないか?」
66 : Pサン   2022/12/24 17:50:30 ID:kfumFAXKKA
茜「いーのっ!茜ちゃんが!このパーカーを着て!アイドルするってことに意味があるんだから!」

P「そ、そうなのか?」

茜「このパーカーはすごいんだよ?着ているだけで元気100倍!なんたって2人分の力が宿ってるんだもんね!」

P「……2人分?」


P(…………ふうん。そういうことか)


茜「茜ちゃんはこのパワーでトップアイドルに登りつめて……お金ガッポガッポ稼いで……そんでいつか札束風呂に飛び込むんだ!その日まで戦いは終わらないっ!」

P「はは……ずいぶん懐かしいネタを知ってるんだな……」
67 : 貴殿   2022/12/24 17:51:46 ID:kfumFAXKKA
P(……思えば、俺は茜について知らないことだらけだ)


P(どうしてお金に拘るのか)

P(どうして家族の話をあまりしないのか)

P(どうして頭をなでられるのが好きなのか)


P(ことあるごとにサボりたがるくせに、運動神経バツグンなのは何故だ?)

P(ニャンニャン神拳とは一体なんなんだ?)


P(そもそも……あの日、どうして茜は自分から俺に声をかけてきたんだ?)
68 : P殿   2022/12/24 17:52:35 ID:kfumFAXKKA
P(……いや。俺から聞くべきことじゃないな)


P(茜が俺を信頼して……いつか、話したくなったときに話してくれればいい)


P(その日が来るまで……俺は、茜を支え続けよう)
69 : レジェンド変態   2022/12/24 17:53:34 ID:kfumFAXKKA
P「茜」

茜「なーに?」


ポフッ
ナデナデ


茜「あっ……」

P「今のうちに充電しておかないとな。今日の仕事はハードだぞ?」

茜「……うんっ!任せてよ、プロちゃん!」
70 : 3流プロデューサー   2022/12/24 17:56:07 ID:kfumFAXKKA
お し ま い

2022年は野々原茜というキャラクターの一大転機となりました。
グリマスから数えて10年もの間家族の設定が明かされなかったことで、「複雑な家庭環境なのでは?」「孤児院出身なんじゃないか?」「あの明るい性格は辛い過去の反転だったりして……?」等々の憶測を呼んでいた彼女ですが……それらをすべてひっくり返す両親と兄の登場。
いやあ……驚きましたね……ホント。

ただ、個人的には「なぜ10年も茜の口から家族の話題が出なかったのか?」という点が引っかかりました。進んで言及したくない理由があるのでは、と……。
天真爛漫で隠し事とは無縁そうな茜だけど、実は「言ってないだけ」のことが色々とあるのではないか、と……。

こうなるともう止まらなくて、「金に貪欲な理由」「初対面時の強引なセルフプロデュースの理由」その他諸々の妄想がどんどん膨らんで……気がついたらSSを1本書き上げていました。
そして執筆を通じて、野々原茜というアイドルが大変な魅力を秘めていることを改めて実感することができました。これからも目が離せないですね。

それでは皆様、よきクリスマスを。
71 : Pサン   2022/12/24 18:00:19 ID:Im8zjmc/Mw

凄い力作としか言えないぜ…
72 : Pサン   2022/12/24 18:12:07 ID:sP9sf0pZnY

一応グリ時代に家族のことはちょっと触れてたけど、七面鳥とか教会とかのせいで余計に孤児院っぽいって言われてた記憶
73 : おやぶん   2022/12/24 18:21:26 ID:EqXcRsLpsQ
やっぱりクリスマスには良質なタフマスSSが最高だよね、パパ

見事な力作やな…(ニコッ
74 : do変態   2022/12/24 19:45:08 ID:qNKJQbrM2s
乙です

茜ちゃんナデナデしたい欲がモリモリになりますわ
75 : 3流プロデューサー   2022/12/24 19:58:47 ID:sa0BOObvko
おつ
おもしろかった
76 : バカP   2022/12/24 20:17:36 ID:rCarAP5cKU
茜ちゃんのちょっとイラッとくる口調とか会話のところどころにパロディねじ込む癖とかプロちゃんとの漫才ぽい掛け合いとかの再現度がすごい...!
あのパーカーが兄貴の形見という発想も目から鱗です!
>>1さんの茜ちゃん愛にちょっと感動しちゃいました...乙です!
77 : 最低最悪変態プロデューサー   2022/12/24 20:58:16 ID:iTp5Qb8Oqk
家族とプロデューサーが茜ちゃんを支える⋯
ある意味“最強”だ
78 : 兄(C)   2022/12/25 00:05:44 ID:8T10FWLNbg
>>70
そんだけ真面目に考察して書いてなんでタフスレが出来上がるんだよ あーーっ!?

お話はシリアスな内容なのに最初から最後までタフ語録のオンパレードなせいで笑いが止まらないんスけど...いいんスかこれ

79 : せんせぇ   2022/12/25 13:11:05 ID:mRpr15fCtY
>>70
力作を練り上げた作者に勲章を与えたいよ

でも勲章はないから茜ちゃんのコラ画像をプレゼントするね
ほらよ しっかり受け止めろよっ

80 : Pチャン   2022/12/25 21:11:11 ID:e/NUku.UDw
ショベルカー登場で爆笑したのは俺なんだよね
原作もこの辺は完全にギャグマンガでしたね…

「茜ちゃんのパーカーが兄ちゃんのお下がり」という考察は他所でも見かけたけどそれをタフ二次創作に活用しようなんて考えたのは世界であんた一人だと思うよ

81 : 魔法使いさん   2022/12/25 23:40:19 ID:2IL/K9xC0A
>>80
絵上手すぎだろ
82 : 変態・オブ・ザ・イヤー   2022/12/25 23:52:18 ID:TbMyapbCD.
>>80
さすが猿先生だ、迫力が違う
83 : バカP   2022/12/26 00:06:11 ID:sl/rEGxkls
結局このSSってスレタイの時点で別の漫画のネタスレだったの?
茜ちゃんのSSだと思って開いたら何かよく分からん事になってるけど
84 : Pたん   2022/12/26 01:57:48 ID:.lHmkk2dMU
一般Pは普通の茜ちゃんSSとして読める
マネモブPはネタSSとして読める

チャンピオンのチキンのように普通に読んでもネタを探しながら読んでも楽しめる作品ということだ
85 : 夏の変態大三角形   2022/12/26 08:23:02 ID:T0h.NKnvmY
マネモブとそうでない人とで全然感想が違うの面白いな...
86 : P君   2022/12/26 09:55:37 ID:RBl/ExKR5s
>>64
野々原茜の正体見たり!

87 : Pちゃま   2022/12/26 19:57:23 ID:kBptbkZO6.
>>80
怒らないでくださいね
今でもギャグ漫画じゃないですか

88 : エビさん   2022/12/27 23:28:18 ID:AbIvWdzNX6
ギャグ漫画? 格闘マンガから進化したと言うてくれや
89 : プロヴァンスの風   2022/12/28 15:01:24 ID:J4wUkoOX/I
ワシ...師匠の正体に心当たりがあるんや...

90 : Pサマ   2023/01/01 10:43:06 ID:L9vorrGiaY
>>89
モグラってかっけぇぇーーーーー!
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