若葉「ん……ん……」

若葉「ふぁぁぁ……」

若葉「もう朝か……」



ｶﾞﾗｯ

若葉「おはよう」

若葉P(以下P)「よぉ、早いな。まだ撮影まで時間があるぞ」

若葉「そんなこと言って。最年長の私がしっかりしないとダメだからね」

P「よぉ、若葉お姉ちゃん！」

若葉「もぅ……また、からかって……」ﾌﾟｲｯ

P「ははっ、楽しく話せたな」

若葉「ん……」ｽﾝｽﾝ

若葉「この香りはフレンチトースト？」

P「正解」

若葉「ふふっ、久しぶりだからね」

P「じゃあ、テーブル拭いて、カップを用意してくれるか？」

若葉「はーい」

若葉「じゃあ」

二人『いただきます』

若葉「わぁ、トロトロ」ﾌｧｻ

P「昨日から漬けておいたからな」

若葉「うん、おいしい」ﾊﾟｸｯ

若葉「ん……牛乳変えた？」

P「いや？バニラビーンズなら少し入れたがな」

若葉「それにしてはすっごい濃厚だもん」

P「バターはたっぷり使ったからか？」

若葉「多分それかも」

P「ははっ、明日はマストレさんに呼ばれるか？」

若葉「んもぅ……」

ﾁｭｯ

若葉「今夜、ダイエットにつき合ってもらうからね」

P「はいはい」

若葉「おいしかったよ」

P「それはなにより」

若葉「じゃあ、先に出るからね」

P「現場だったな。台本とか忘れ物はないかー？」

若葉「大丈夫だよー」





若葉「いってきまーす」ﾀﾀｯ

P「気をつけてなー」

P「さて、片づけたら俺は事務所へ行くか」ｶﾁｬｶﾁｬ

―撮影地

千枝「皆さーん、こんにちはーっ！」

『こんにちはー』

ありす「今日は『こどもの日。L.M.B.Gのみんなと一緒にカレーを作りましょう』に来てくださってありがとうございます」

『ありがとうございまーす』

桃華「それでは早速ですが、メンバーの紹介ですわ」




…………
………
……

P「どう？うまくいってる？」

モブP「あ、チーフ、お疲れ様です。283のあさひちゃんが休みで代わりに小糸ちゃんが来ているぐらいですね」

P「ん？何で休みか聞いてるか？」

モブP「何でも、前日に……」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ﾎﾜﾝﾎﾜﾝ

―前日

黛冬優子「あさひー！」

芹沢あさひ「あ、冬優子ちゃん。どうしたんすか？」

冬優子「明日カレーのイベントに参加するんでしょ？」

あさひ「はいっす。冬優子ちゃんは参加できないんすねです」

冬優子「……それはいいのよ。それより、今からおいしいカレー屋に連れて行ってあげるから、それで勉強しなさいよ」

あさひ「冬優子ちゃんのおごりっすか！？」

冬優子「はいはい、奢ってあげるわよ」

あさひ「やったー！」

……………

P「待った。黛って、うちの志希より辛党という噂の……」

モブP「はい……あとは想像のままに」

P「はぁ……まったく」

P「天井社長には俺から伝えておく。とりあえず怪我とか出さないようにやるぞ」

モブP「はいっ！」

千枝「じゃあ、カレーを作り始めましょう」

ありす「手順としては」

材料を切る

スープを作る

材料を入れ煮込む

カレー粉を入れる

さらに煮込んでできあがり

桃華「以上ですわ」



ｻﾞﾜｻﾞﾜ

桃子「ねぇ、育」

育「どうしたの、桃子ちゃん？」

桃子「えっと……スープってカレーに必要なの？」

育「」

環「……たまき、不安になってきたぞ」

育「と、とりあえず、順番通りに作っていけば大丈夫だよ」

育「(たぶん……)」

材料を切る

千枝「手を切らないようにプラスチック包丁やセラミック包丁」

ありす「あと簡単に皮を剥けるようにピーラーも用意しました」

桃華「それでも怪我をすることがありますので、必要でしたら既に切った野菜も用意してありますわ」



梨沙「とか言われてるけど」

薫「これぐらいはできまー」ｼｭﾙｼｭﾙ

みりあ「普段からみりあはお手伝いしてるからね」ﾄﾝﾄﾝ

梨沙「まぁ、これぐらいはねぇ……って、晴？」

晴「ば、バカ！今、声をかけるなよ！」

ｽｰ

ｻﾞｸｯ

晴「ふぅー」

梨沙「何が『ふぅー』よ！人参に皮がついたままじゃないの！」

晴「え？人参に皮ってあんのか？」

梨沙「晴……」

みりあ「晴ちゃん……」

薫「晴ちゃん……」

晴「だーっ！おまえら、そんな目で見るなーっ！」



ｺﾄﾝ

小春「ふぅ〜やっと切れました〜」

梨沙「……小春、アンタもうちょっと堂々とやりなさい」

小春「でも〜、小春はこれぐらいのスピードでしか〜」

梨沙「スピードはいいわ。みんなもいるんだし。それより、アイドルなんだから、もっと目立たないとテレビにも映らないわよ」

小春「わぁ〜、わざわざありがとうございます〜」ﾎﾟﾔﾔﾝ

スープを作る

桃子「で、どうやってスープを作るの？」

育「おうちなら、鶏ガラとか野菜を入れたりして使うけど」

桃子「鶏ガラ？」

環「くふふ、環知ってるぞー！鶏の骨とかのことだぞー！」

星梨花「そういえば、うちの料理長もよくお鍋で煮込んでましたね」

桃子「な、なに……何でそんなのを入れるの……？」

育「骨の中にエキスとかうまみ成分とかあるんだって。まぁ、今日は固形のコンソメスープを使うけどね」ｶﾞｻｺﾞｿ

ﾁｬﾎﾟﾝ

星梨花「わぁ、そんな便利なのがあるんですかぁ」

桃子「もう！そんなのがあるんなら、先に教えなさいよ！」

材料を入れ煮込む

果穂「できたスープに切った野菜を入れるんですね！」

小糸「う、うん。で、あくとか出たら……」

果穂「悪ですか！？そんな卑怯な敵が出るんですか？」

智代子「悪じゃなくて灰汁。簡単に言うと人間で言う垢みたいなのだよ」

果穂「さすがチョコ先輩です！」

小糸「あ、あの……なんで子供限定のイベントなのに放クラのみなさんが……」

透「ふふっ、私もいるから」

小糸「ぴゃっ？！と、透ちゃん？」

円香「チームが二人しかいないから、アドバイザーとしてなら参加できるみたい」

小糸「そ、そうなんだ……」

凛世「それよりも……沸騰してます……」

果穂「た、大変です！」ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

小糸「と、とりあえず弱火にしないと」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

若葉「ねぇ……」

P「ん、どうした？」

若葉「あれ、いいの？殆ど勝手に参加し出してるけど」



『わー、こんなとこにチョコがあるー』ﾊﾟｸｯ

『チョコ？あ、バカ！それは…』

『……』

『智代子？』

『ひぃぃぃぃぃぃ！』

『カレールー……そのままで食されました……』



P「面白いからいいんじゃないかな？」

若葉「……はぁ」

カレー粉を入れる

小糸「ぴゃあぁぁ……ルーが減っちゃったよ……」

果穂「ま、まだ大丈夫です！ルーはまだありますから！」

夏葉「そうよ。それに減った分は粉を足せばいいのよ」ｻﾗｻﾗ

樹里「って、カレー味のプロテインを足すなぁ！」



透「ん……樋口、カレー粉ってどれだけ必要？」

雛菜「やはー、いつも作る時は、カレールーしか使わないから〜」

円香「ちょっとまって。こういうのは味見をしながらじゃないと」

透「え？」ｶﾞﾎﾞｯ

ﾄﾞｻｻｯ

小糸「ぴゃあ……絵の具を入れたみたいに黄色くなっちゃったよ……」

円香「あーさーくーらー」

透「ちょ、樋口。怖い怖い」

さらに煮込んでできあがり

梨沙「えっと……うちのカレー、甘口気味だからこっちと混ぜる？」

育「うちのカレーも……」

小糸「ぴゃあ！あ、ありがとうございます……」

樹里「これで食べられるものができそうだな」

果穂「はい！最後まで頑張りましょう！」



P「イイハナシダナー」

若葉「イイハナシカナー？」

千枝「それでは、みんなできあがったみたいです！」

ありす「みんな基本の材料は同じですが」

桃華「デレマス組は甘口、ミリマス組は中辛、シャニマス組は……辛口？になりましたみたいですわ」

P「うちの子達は、仁奈や薫に合わせてフルーツソースを追加で入れてたな」

若葉「おかげで味見した晴ちゃんが、すこし不満そうな顔をしてましたね」

P「3年の舌の差……ってやつか。ちょい前はあっち側だったくせにな」

若葉「それよりも……283のは、もうどうしようもないとして」

P「劇場組はまったく手を加えなかったからな」

P「料理初心者ばかりだから、食べられるものを……な場合は吉に繋がるが、お子様ばかりの時は辛かったりした時の判断が難しいな」

若葉「……ちょっと飲み物作ってきますね」

P「ラッシーか何かだな？」

若葉「はい。幸い、ヨーグルトと牛乳は材料にありましたからね」

P「いらない時は……いや、283の連中は確実に欲しがりそうだし頼む」

若葉「お姉ちゃんに任せなさい」ﾄﾞﾔ

桃華「それでは試食といきましょう」←デレ組カレー

ありす「私たちもいただきますね」←ミリ組カレー

千枝「……千枝、何か悪いことしたかな？」←シャニ組カレー



『それじゃあ』



『いただきまーす！』

ｶﾁｬｶﾁｬ

千枝「か、辛ーい！」

小糸「ぴぇぇぇぇ！」

果穂「ちょ、ちょっと辛いです！」



透「う……ん、辛いね」ｱｾﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

円香「あ……これは辛すぎ……」

夏葉「例え辛すぎでも」

樹里「果穂の作ったカレーだ、完食するぞ！」

智代子「で、でも辛すぎぃ！」



若葉「はーい、ラッシーお待たせしましたー」

雛菜「ラッシー？」

凛世「主に……インドで飲まれているヨーグルトと牛乳が主原料の飲み物です」

千枝「日本だと、口当たりがすっきりするってカレーと一緒に飲まれるケースが多いですね」ｺﾞｷｭｺﾞｷｭ

樹里「はぁー、これがあれば何とか食えるわ」ﾌﾟﾊｰ

夏葉「ありがとう。助かったわ」ﾌﾟﾊｰ

若葉「まだあるから、遠慮しないで飲んでね」

放クラ、ノクチル『はーい』

桃子「ちょ、ちょっとこのカレー辛くない？」ﾋｰﾋｰ

星梨花「そうですか？私には、これぐらいがちょうどおいしいですが」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

育「桃子ちゃん……もしかしてお家のカレーって甘口？」

桃子「……わかんない」ﾎﾞｿｯ

桃子「外では食べないし、最近だと、お婆ちゃんのしかカレーは食べてないから」

環「なんでお婆ちゃん……ﾑｶﾞﾑｶﾞ」

育「だ、だったら、私がお隣(モバ)のカレーを貰ってくるよ」ｱｾｱｾ

桃子「いいわよ。あっち(シャニ)のラッシーと一緒に食べるのなら大丈夫だと思うし」

桃子「みんなで一緒に作ったのだから……」

星梨花「ふふっ、そうですね」

梨沙「晴〜、アンタには少し物足りないでしょ」

晴「あー、志希から貰ったタバスコがあるから大丈夫だ」

みりあ「タバスコ？駄目だよ、二十歳になってからじゃないと！」

桃華「それはタバコですわ」

桃華「簡単に言いますと辛いチリソースですわ」

薫「ピザとかで使うでー」

みりあ「へー。みりあはこれぐらいの辛さがちょうどいいし」

仁奈「」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

桃華「あら、仁奈さんはさっきから食べていらっしゃいますけど、そんなにおいしいのですか？」

仁奈「うめーですよ！」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

薫「よかったでー！」

梨沙「タマネギ、たっぷり炒めた甲斐があったわね」

晴「あれでホントにうまくなるんだな。知らなかったぜ」





仁奈「ママの用意してくれるチンするカレーの、数倍はうめーです！」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

みんな『あ……』ｺﾝﾜｸ

若葉「はぁ、無事(？)に終わったな」

P「……あいつらが、俺に仁奈を食事に連れてけとうるさかったんだからな」

若葉「まぁ……本当は家族の団欒が一番良いんですけどね」

P「仁奈のプロデューサー呼び出して、一緒に食事を取らせるように言っておいたがなぁ」

若葉「あぁ、あのプロデューサーさんなら大丈夫ですね。元が杏ちゃんのプロデューサーだから、炊事洗濯はお手の物でしょうし」

P「押し付けるようで後ろめたいんだが……」

若葉「適材適所ですよ」

P「そう言ってくれると助かる」

P「じゃあ、書類も終わったし俺たちも帰るぞ」

若葉「はいっ。あったかい我が家ですね」

P「あまり人に言いふらすなよ。一応秘密なんだからな」

若葉「えへへっ」ｷﾞｭｯ











ちひろ「あれで気が付かないと思っているあたり、抜けているとは思わないのかしら」

kwsm=ｻﾝ「わからないわ」

おしまい

明日にでも簡単なカレーのレシピを掲載しますね

では、ありがとうございました

乙です！
仁奈ちゃん、桃子、たっぷりお食べ

明日っていつだっけ……すっかり忘れてたよ



とりあえず作り方の導入だけ

イザベラ・ビートン＝サンの「ビートンの家政指南書」から引用

・肉を食べやすい大きさに切り(略)切り落としを煮詰めて肉汁にする

・鍋にバターを熱し、玉ねぎを茶色になるまで炒め、小麦粉とカレー粉を入れる

・5分煮込み、リンゴとブイヨンを加えて沸騰するまでかき混ぜ、蓋をして30分間煮込む

・いったん濾して火にかけ、再沸騰したところでレモン果汁を加え、肉を入れる

・肉を20分ほどホットソースに浸した後、炊き立てのご飯にのせて供する

日本の「割烹術参考書」で紹介されている「カレイライス」のレシピは

・肉、玉ねぎ、人参、じゃがいもは四角の賽の目に細かく切る

・牛脂をひいたフライパンで小麦粉を狐色になるまで炒り、カレー粉を入れスープで「薄トロロのように」溶かし、肉野菜を入れる(じゃがいもは人参、玉ねぎに火が通った後に入れる)

・弱火にかけ煮込み、塩で味を調える
・米はスープで炊き皿に盛る。チャツネを添えて出す

乙です！
現代のようなカレールゥが無かったころのカレーライスの作り方、参考になります！
後者の文献は明治の文明開期のものでしょうか。
米をスープで炊くというのがまた
普段の白米食とは違った特別なごちそう感がありますね