P「はい。桃子にはすでに連絡してありますので、待たせていただければ」

守衛「構わないさ。そうそう、見たよ、この間のシャンプーのCM。ダンス、かわいかったですよ」うんうん

P「本当ですか？ありがとうございます！」にこっ

守衛「孫といっしょに見てたんだけど、もう『買って買って』ってうるさくてねえ」はっはっは

P「それはそれは。気に入ってくれたなら何よりですよ」にこにこ

守衛「あんまり言うもんだから、買いすぎちゃって。私も今使ってますよ」つるーん！

P「は、あはは…。と、ところで。今日はずいぶんと、車が多くありませんか？」はて

守衛「ああ、今日は授業参観があるからね。保護者の方たちの車ですよ」

P「えっ！桃子からは、何も聞いてませんでしたが…」あせり

守衛「ああ、大丈夫。今日は下級生の参観日でね。桃子ちゃんたち、上級生は明日ですから。五年生は、確か調理実習だったかな？」はっはっは

P「ああ、そうでしたか。…確かに、明日はオフですね」うんうん

　たったったった…

P「お、噂をすれば」

周防桃子（以下桃子）「…ふぅ、お待たせ！お兄ちゃん」ぴたっ

P「ああ、こんにちは、桃子。それじゃ、また」ぺこり

守衛「ええ、また。桃子ちゃん、お仕事頑張ってね」ふりふり

桃子「うん、ありがとう、守衛さん！」ぺこり

2、仕事後、桃子の家前

　ぶろろろろろろろ…

　ききっ

P「……ふー、今日の撮影なかなか長かったな…。桃子、家に着いたぞ」のびー

桃子「……」シーン…

P「……？桃子？」ひょい

桃子「……すぅ…スゥ…」すやぷぅ

P「…ありゃ、寝ちゃったか…。…今日大変だったもんな。…そうすると…」ふむ

　がちゃ、ぱたん

　がちゃ、ひょい。ぱたん。

　スタスタスタ…

　ぴんぽーん！

インターホン「はい？」

P「夜分にすみません。私、桃子のPです。開けてもらってもいいでしょうか？」

インターホン「ああ、少々お待ちください」ぷつっ

　スタスタスタ…

　がちゃん

桃子の祖母（以下祖母）「お待たせしました。…あら、まあ」あらあら

P「仕事が遅くなって、疲れちゃったみたいで…。よろしければ、ベッドまで…」小声

桃子「……スゥ…」お姫様抱っこ状態

祖母「わかりました。では、こちらへ」小声

P「お邪魔しまーす…」小声

　スタスタスタ…

祖母「ここが、桃子の部屋です」がちゃり

P「ありがとうございます。…よっと…」起こさないように、慎重に…

桃子「ん…」むずむず…スヤァ…

P「…よし、それじゃ…ん？」はて

桃子「ん…おに…ちゃ…」袖つかみ

P「……」ふむ…

P「……おやすみ、桃子。また、明日な」なでなで

桃子「ん…ふふ…スゥ…スゥ…」にこっとして手を離す

　ぱたん

祖母「…桃子があんなに懐いているなんて、驚きました」あらあら

P「はは、寝てたからですよ。……本人には言わないでくださいね？多分、勝手に部屋に入ったってバレたら怒られますから」ははっ

祖母「ふふ、そうかもしれませんね。…ところで、Pさん。今日、これからご予定はありますか？」

P「予定？いえ、今日はこのまま直帰ですね」はて

祖母「でしたら、お茶でもいかがですか？桃子の仕事の様子を教えていただきたいのですが…」

P「なるほど、そういうことでしたら、喜んで」にこっ

　お茶会タイム

祖母「へぇ、桃子が自分からそんなことを？」

P「ええ。おかげで助かりましたよ」

　ぴぴっ！ぴぴっ！ぴぴっ！

P「うん？何の音でしょう？」はて

祖母「ああ、ごはんが炊けたみたいですね」

P「おっと。……うわ、もうこんな時間か。すっかり話し込んじゃいましたね」あらら

祖母「ええ、本当に。せっかくだし、ご飯も食べていきますか？桃子も喜ぶでしょうし」にこ

P「いえ、いきなり来て、そこまでご厄介になるわけにはいきませんよ」よっと

祖母「そうですか？今日はありがとうございました。劇場での桃子の話がいろいろと聞けて、よかったです。また、ぜひお話を聞かせてくださいね」ぺこり

P「いえいえ、こちらこそ。家での桃子の話が聞けたんで、楽しかったですよ。…ああ、そうだ」

P「明日は授業参観らしいですね？今度はその時の、学校での桃子の話を聞かせてください」にこっ

祖母「え？授業参観、ですか？」はて

P「え？学校の守衛さんからそう聞いたんですが…？」はて

祖母「私は何も。……気を使ったんでしょうが、困りましたね…。明日は健康診断の予約を入れてまして…」むむむ

P「えっと、ご両親のどちらかが出席するという線は…？」おずおず

祖母「ない、でしょうね。それなら私も知っているでしょうし…」むむむ

P「……あの、でしたら。お願いがあるんですが…」

3、授業参観日　家庭科室

　ざわざわ…ざわざわ…

山田（男子）「うっへー。人多すぎだろ…」はぁ

佐々木（女子）「そ、そうだね。緊張してきたかも…」わたわた

桃子「あんまり緊張してると、危ないよ？包丁や火も使うんだから」

佐々木「う、うん。ありがとう、桃子ちゃん。深呼吸深呼吸…」すーはー

山田「なーんで授業参観なんてあるのかね。親なんて来ても恥ずかしいだけじゃねーか。なあ？」

佐々木「や、山田君…！」あせあせ

桃子「……そうだね。来ないほうが楽だと思うよ」親愛度ダウン

山田「だよなー！周防がうらやましいぜ！」よし、楽しく話せたな！←話せてない

桃子「……」ひくひく

佐々木「や、山田君、もうそろそろ始まるから、静かにしてよう？ね？席について…」はらはら

山田「はいはい、委員長様のおっしゃる通りに…っと」どすん！

　キーンコーンカーンコーン…

先生「はい、それじゃ、授業を始めます。日直さん？」

桃子「はい、起立！」

　ガタッがたたっ

桃子「礼、着…！？」

　がらっ

P「あ、すみません、5年3組の授業ってここで…」小声

桃子「お、お兄ちゃん！？」ぎょっ！

　ざわ…ざわ…

「え？お兄ちゃん？」

「桃子ちゃんってお兄ちゃんいたんだ？」

「あんまり似てないね」

　ざわ…ざわ…

先生「えー、周防さん？」

桃子「す、すみません。着席！」

　がたっがたたっ

P「……」やっちまったかな…って顔

桃子「……」後で説明してよの顔

先生「…コホン。それでは、授業を始めますね。今日はポテトサラダを作ります。保護者の方も資料を見てください」

P「あ、どうも。ありがとうございます」小声で受け取る

先生「まずは……」

　教師説明中

先生「はい、こんな感じです。それじゃ、実際に作っていきましょう。保護者の方は見守っていてあげてくださいね」

　がたたっ

　ざわざわ…

山田「おい、周防」

桃子「ごめん、桃子、ちょっとだけお話してくるね」さっ

山田「あ、おい！」

　スタスタスタ…

桃子「お、に、い、ちゃ、ん？」笑顔

P「や、やあ、桃子。おはよう。どうした？授業中だろ？」震え声

桃子「いいから、ちょっとこっち」ぐいっ

P「お、おう」

桃子「で、なんでお兄ちゃんがここにいるの？」ひそひそ

P「えー、昨日守衛さんに授業参観があるって聞いて、桃子のおばあちゃんは出られないっていうから、代わりに…」ひそひそ

桃子「桃子、一言も聞いてないんだけど？」ひそひそ

P「桃子のおばあちゃんが…」

祖母『言ったら絶対に「わざわざ来なくていい」なんて言うでしょうから、黙っておきますね？』

P「って…」

桃子「おばあちゃん！？」ひそひそ

P「もちろん、学校側にも許可は取ってるから、安心してくれ。それに…」ひそひそ

桃子「それに？」ひそひそ

P「俺も、学校での桃子の様子を知りたかったんだよ。なにせ、俺は桃子のお兄ちゃんだからな！」ぐっ

桃子「…………はー…。いいよ。仕方ないからいいにしてあげる」

P「ありがとな、桃子」

桃子「でも！次からはちゃんと桃子にも言うこと。いい？」

P「はい、ごめんなさい」ぺこり

桃子「よろしい。それじゃ、桃子行くから。ちゃんと見ててね？お兄ちゃん」

　スタスタスタ…

桃子「ごめん、お待たせ！」ぺこり

佐々木「う、ううん。全然大丈夫だよ。桃子ちゃんのお兄さん、ずいぶん年が離れてるんだね？」はて

山田「っていうか、周防って一人っ子だろ？誰だよアイツ」むっすー

桃子「えっと…親戚。そう、親戚のお兄ちゃんだよ、うん」

桃子（Pだって言ってもよくわからないだろうし、長くなるからもうこれでいいや）

佐々木「そ、そうなんだ。カッコイイお兄さんだね」ぽっ

山田「はー？おっさんじゃん」むっすー

P（何かわからないけど、あの男の子ににらまれてる気がする…）はて

桃子「まあ、お兄ちゃんのことはもういいでしょ？それより、待たせちゃったけど、サラダ作ろ！」さておいて

佐々木「う、うん。そうだね。もうジャガイモは洗ってあるから…」

桃子「じゃあ包丁で、軽く十字に切り込みを入れるんだよね」ちょんちょん

佐々木「うん。皮をむきやすいように…」

桃子「…うん、できた。あとは鍋にお芋を入れて、水をたくさん入れて…」

山田「かぶるくらいってどれくらいだ？」ジャー…

佐々木「や、山田君！そんなにたくさん入れなくていいから…！これくらいで大丈夫…！」

山田「ふーん？じゃあ俺包丁とまな板洗うわ」よっこいせ

佐々木「ああ、そ、そんなに洗剤たくさん使わなくても…！」

桃子「委員長、料理得意なの？」

佐々木「う、うん。よくお母さんのお手伝いしてるし…」

桃子「そうなんだ？それじゃ、頼りにさせてもらうね」にこっ

佐々木「う、うん！頑張るね…！」ぐっ

佐々木「じゃあ、中火で沸騰させて、沸騰したら弱火にして、20分…」

桃子「その間に玉ねぎとベーコンを切って、炒めておくんだね」ふむふむ

山田「なー、委員長。玉ねぎってどんだけ皮剥けばいいんだ？」べりべり

佐々木「そ、それくらいで大丈夫…！そしたら、洗って切るね」

佐々木「うう…ぐす…」とんとん

桃子「玉ねぎって、ホントに涙出るんだね…」ぐす

山田「目が…目が―！」ぐすぐす

桃子「フライパンを火にかけて…油を入れて…」

　かちっ！ぼぼぼぼぼ…

佐々木「先に玉ねぎを炒めて、火が通ったらベーコンも入れるんだって」

桃子「へー、お肉のほうが先じゃないの？」はて

先生「ベーコンはそのまま食べても大丈夫だからね。生のお肉ならお肉から焼いてね」

山田「ふーん。これくらいでいい？」じゅー…

佐々木「う、うん。もういいと思うよ」

桃子「じゃあ、これをボウルに入れて…っと、よし」うんうん

先生「それじゃ、ジャガイモがゆであがるまで、包丁やまな板、作業台の片づけをしてねー」

生徒達「はーい」

P（桃子、なかなか手際がいいじゃないか。今度「おまかしぇ」のゲストにでも入れてみようか…？）ふむ

　ぴぴぴっぴぴぴっ

先生「はい、20分経ちましたね。それじゃ、お湯を捨てて。熱いので気を付けてくださいねー」

桃子「次は皮をむくんだよね」

山田「あちっ！めっちゃ熱い！」ぱっぱっ

佐々木「や、山田君！素手じゃ危ないから、ペーパータオルを使って…！」

桃子「皮をむいて…あとはこれをお箸とかで一口サイズに割る、と」ぐりぐり

桃子「…包丁で切っちゃダメなの？」はて

先生「包丁で切るよりも、割ったほうが断面がぼろぼろになって、マヨネーズが絡みやすくなるの」

佐々木「なるほど…」めもめも

山田「あとはさっきのベーコンとかとマヨネーズで混ぜれば完成だな！」

桃子「うん……んしょ…んしょ…よし、盛り付けて…」

生徒「できた！」わーい！

先生「はい、それじゃ、片づけをして、保護者の皆さんと一緒に食べてみましょう」

桃子「……！」

桃子（そっか、お兄ちゃんが食べるんだ、これ…！）

桃子（完全に忘れてたけど…どうしよう、うまくできてるかな…？）あせあせ

P「おつかれ、桃子。手際よくできてたぞ」ぐっ

桃子「お、お兄ちゃん…」あせり

P「うん、見た目もおいしそうだ…。食べていいか？」

桃子（……ちゃんとレシピ通りだし…。うん、大丈夫、多分）

桃子「…いいよ。はい。どうぞ」そっけなく

P「ありがとう。それじゃ、いただきます」ぱくり

桃子「………」どきどきどきどき…

P「……うん、うまい！よくできてるぞ！」ぐっ

桃子（よ…よかったー…）ほっ

桃子「ふふん！当然でしょ？それじゃ、桃子も…うん、おいしい！」

P「ああ、いくらでも食べられそうだ」もぐもぐ

桃子「あ、お兄ちゃん、食べ過ぎ！おばあちゃんにもあげるようにタッパー持ってきたんだから！」さっ

P「おっと、それはごめん。でも…美味しかったな…」じー…

桃子「もう…そんなに気に入ったなら、また今度桃子が作ってあげる。もう作り方ばっちりだし！」

桃子「あ、お兄ちゃん、食べ過ぎ！おばあちゃんにもあげるようにタッパー持ってきたんだから！」さっ

P「おっと、それはごめん。でも…美味しかったな…」じー…

桃子「もう…そんなに気に入ったなら、また今度桃子が作ってあげる。もう作り方ばっちりだし！」

先生「はーい、聞いてください」

　ざわざわ…

先生「今日作ったのは基本的な作り方で、色々アレンジができます」

先生「例えば、レタスやキュウリを加えたり、ゆでたまごやトマトをトッピングしたり」

先生「他にも、パンにはさんでサンドイッチにしたり、チーズをのっけて焼いてグラタン風にしてもおいしいですよ」

山田「グラタン！俺好きなんだよなー」

先生「ぜひ、ご家庭でもいろいろ試してくださいねー」

P「サンドイッチか…。今度、たくさん作って、シアターのみんなでピクニック、なんてのもいいかもしれないな？」

桃子「いいかも！その時は、お兄ちゃんも手伝ってよね？」

P「ああ、もちろん」

　キーンコーンカーンコーン…

先生「それでは時間ですね。本日はありがとうございました。日直さん」

P「お、桃子」ぽん

桃子「はい！起立！礼！」

生徒「ありがとうございました！」

4、桃子の家

　がちゃり！ばたん！

桃子「おばあちゃん、ただいまー」

P「お邪魔しまーす」

祖母「桃子、おかえりなさい。Pさん、今日はありがとうございました」ふかぶか

P「いえ、こちらこそ。無理を聞いてもらってありがとうございます」ふかぶか

桃子「おばあちゃんもお兄ちゃんも。こういうだまし討ちみたいなのはもうやめてよね！」ぷんすか

P＆祖母「はい、ごめんなさい」ぺこり

桃子「もう。いいよ、許してあげる。次はちゃんと桃子にも言うこと。いい？」

P＆祖母「はい」

P「さて、それじゃ、お疲れさま、桃子。また明日な」くるっ

桃子「何言ってるの、お兄ちゃん？帰さないよ？」がしっ

P「えっ？」

祖母「そうですね。桃子が学校でどうだったか、ちゃんと聞かせてもらわないといけませんから」にこにこ

P「む…。そういわれたら断れませんね、わかりました」やれやれ

桃子「ちょっとお兄ちゃん？変なこと話しちゃだめだからね？」ジー…

P「変なこと？…ああ、日直のあいさつのと」

桃子「もー！」ぽかぽか！

P「いてて、冗談冗談だって」はっはっは

祖母「あらあら、楽しそうね。今日は三人分ご飯を炊いてありますから。ゆっくり聞かせてくださいね」にこにこ

P「わかりました。それじゃ、ごちそうになりますね」あはは

その後、三人で夕食を作ったり、食べながら左右から褒めちぎられた桃子が真っ赤になってとても可愛かったりしたのだが、それはまた、別の話。

　終。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19830618

一応シリーズものとして挙げております。
よかったらぜひ。

乙

桃子かわいい
あと、堂々とした擬音語擬態語がユニーク

乙です！
ジャーマンポテト買ってきて
桃子の画像見ながら食べれば
授業参観してる気分に！

「山田くん悪いな。俺は桃子のお兄ちゃんなんだ」むしゃむしゃ

乙　かわいかった
山田すき

ジャーマンポテトじゃなくてポテトサラダだった…

桃子のおばあちゃんが公式で来てしまった・・・！
結構喋らせたからちょっと戦々恐々としております。

イラストだけで一言も喋らなかったからセーフ
実はアステリズムでほんの少しだけ台詞があった(その時は顔は見せてない)

30歳で桃子の親を産んで、親が20代後半で桃子を産めば、もうアラカン越えの年齢か



早くおばあちゃんに曾孫を見せないと(ｼﾞｬｷﾞｨ!!)

関係ないがスレタイが
桃子「や、やあ、お、に、い、ちゃ、ん？」震え声
に見えてエ□い話かと思ってしまった

今回のお祭りは直接的なR18禁止ですので―。

こちら、あとがきとなります。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19869930