七海「はい～。新宿中心に展開してるとっても美味しいラーメン屋さんなのれすよ～。今度のオフに食べに行きましょ～」

涼「ふうん。七海ちゃんのオススメっていうことは魚介系のラーメン？」

七海「れすれす！“飲む煮干し”とも呼ばれる超濃厚スープがウリなのれす。こないらみくさんを連れて行ったらお店に入ったらけで気絶しちゃいましたけろ」

涼「え゛……大丈夫なのそれ」

七海「七海が認めたアイドルの涼さんなら問題ないれす！れも服に煮干しのニオイが付いちゃうかもなのれ汚してもいい服れ来てくらさいね～」

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【新宿駅】

涼「ひえぇ……迷ってたら待ち合わせギリギリになっちゃったよ……」

ｷｮﾛｷｮﾛ

涼「まだ七海ちゃんは来てない、か」

涼「もう、なんで新宿駅ってこんな迷路みたいな造りなんだろ。あちこち改修してるから構内掲示もわかりにくいし」


ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

涼「それにしても人が多いな……七海ちゃん小さいから見失わないようにしないと」

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ　ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

涼「ちょっと走ったけど服装乱れてないかな？パッドの位置もズレてないか確認しとかないと……」

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ　ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ　ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

涼「ん？」

？？「…………」

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ　ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ　ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

涼（女の子が自動改札でハマってる……）

？？「おのれ……以前敗北した仕返しというわけですか。あれだけの現金をチャージしたにも関わらず通さないとは無礼な改札機ですね」

涼「あの、それたぶん一度改札の外まで下がってタッチし直せば通れますよ」

？？「む？」

ｻｯ　ﾋﾟﾋﾟｯ　ﾊﾞﾀﾝ

？？「わお。いとも簡単に屈服しましたね。無礼者ではなく単なるツンデレでしたか」

涼「しっかりタッチできてなかっただけだと思いますけど……」

？？「感謝します見知らぬ人よ。このご御はなぎポイント200点をもって……おや」

じ～～～っ

涼「な、なんですかジロジロ見て」

？？「……身長162センチ、体重54キロ、スリーサイズ上から80・59・80。七海ちゃんから聞いた特徴とピタリ一致しますね。あなたが秋月涼さんですか」

涼「え、七海ちゃんの知り合い？」

？？「先日アイドルデビューを果たした凪です。久川凪です。そう、これから行く予定のラーメン屋さんと同じ名前。運命的ですね。デスティニー」

涼「七海ちゃんは？」

凪「静岡でバラムツを食べすぎたせいで病院送りです。なんでも全身の穴という穴から油を噴出したそうで」

涼「ひえっ」

凪「まあ、“次は2口までにする”と言い張ってまた食べる気満々らしいので大丈夫でしょう。とはいえ当分は病室から出られそうにないので、凪が代わりに」

涼「元気そうならいいけど……。とりあえず凪ちゃん、今日はよろしく」

凪「ではナビゲーター・凪を起動しましょうか。スマホの地図を開くだけです。初乗り876円でご案内します」

涼「はは……お手柔らかによろしく」

涼（さすがに冗談だよね？）

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～5分後～

凪「迷いました」

涼「早いね！？」

凪「上京してから何度目かの衝撃。都会の広さに完敗。徳島の牧歌的な街並みが懐かしいです」

涼「もう私が自分で調べるよ……ラーメン凪で検索すれば出るよね？」

凪「それでは七海ちゃんに合わせる顔がありません。ここは凪が責任を持って情報収集してきましょう。ちょうど良さげな場所もありますし」

涼「良さげな場所？」

凪「ほら、そこの看板にデカデカと書いてあるではありませんか」



“無料案内所”



涼「ﾌﾞｰｰｰｰｯ！？」

凪「いきなりの毒霧攻撃ですか。涼さんはアイドルではなくプロレスラーだったと」

涼「笑い事じゃないよ！アイドルがあんなとこに行っちゃダメっ！！」

凪「アイドルは情報屋の使用禁止？初耳ですね。縛りプレイですか。それとも田舎者に売る情報は無いとでも」

涼「とにかく！私がスマホで調べて案内するから！黙って付いてきて！」

凪「わーお。何やら事情がおありのようですね。付き従いましょう。カルガモのように」

涼（なんとなく付いてきてたから気づかなかったけど、ここ思いっきり歌舞伎町の中じゃないか！）


涼（どこを見てもド派手な看板ばかり……うう、刺激が強すぎるよお）


涼（早く目的を果たして帰ろう……）

ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

涼（ラーメン凪……あった。ゴールデン街の中にあるのか）

涼「凪ちゃん、場所がわかったからこっちに……あれ？いない？）


チャラ男「キミ可愛いね！何歳？どこ住み？てかラインやってる？」

凪「凪は14歳ですよ。女子寮で生活してます。ラインはやってません」

涼「ちょおおおおおおおおおい！？」

涼「何やってるのっ！あんなテンプレみたいな怪しい人相手しちゃダメっ！」

凪「しかしアイドルたるものファンサービスを大切にしろとプロデューサーに教わりました」

涼「そういうのは仕事の時だけでいいんだよ！時処位っ！TPO！」

凪「ところであのお店の看板、“休憩2200円”と書かれてますがどういう意味なのでしょうか。入って休むだけにしては高すぎと思います」

涼「あーもう！目開けるの禁止！手繋いであげるから黙って付いてきて！」

凪「白昼堂々目隠しプレイですか。このままどこに連れ込まれるのか、なにをされてしまうのか。非日常の刺激に凪は期待と不安を覚えています」

涼「ラーメン食べに行くだけだよっ！！！」

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【ラーメン凪】

涼「着いた……少し歩いただけなのにどっと疲れた気がするよ……」

凪「なんとアングラな街並み。でもどこかで見たことがあるような、不思議な感覚を覚えます」

涼「いろんなドラマや映画の舞台になってるからなんとなく目にしたことがあるんじゃないかな。“深夜食堂”とか」

凪「おー。そのドラマならゆーこちゃんと一緒に観てましたよ。ではせっかくなのでナポリタンでも食べに行きましょうか」

涼「しれっと本来の目的忘れないでよ……」

ｶﾞﾁｬ

店員「イラッシャイマセー」

涼「さて、ようやく念願のラーメンに……」


むわわわわ～～ん


涼「オグッ！？」

涼（ぐっ……なに……この……ニオイ……！）


涼（き……キツイ……！煮干しが入った袋に頭を突っ込んだみたいだ……！）


涼（みくさんが気絶するのも当然だよ！あの人魚大嫌いなんだから！！）

凪「…………」

涼「凪ちゃん……だいじょぶ……？」

凪「……けん」

涼「え？」

凪「じょっけん、はやぐ、がっで」

凪「凪は、ななみぢゃんに、託されだんです。自分とおなじ名前の、運命のラーメン。涼ざんのボディガード。だがら、やりどげまず。そこに山があるなら、登るのが、凪」

涼「ついさっきナポリタン食べたいって言ってたしボディガードしてたのはむしろ私のほうだよね」

凪「いいがらはやぐっ！！」

涼「う、うん」

涼（どっちみちもう店に入っちゃったんだから、後戻りはできないよね）


涼（マイペースでちょっと変わった子だけど、凪ちゃんの覚悟は本物だ）


涼（僕も腹をくくろう……そして生きて帰るぞ！みんなの待つ事務所に！）



涼「うおおおおおおおおおおおおおっ！！！」

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～数日後～

七海「ろうれした？ラーメン凪は」

涼「ああ、うん……凄かったよ……いろいろと……」

凪「まったくの未体験領域でした。まるで伊豆から見える北海道のごとし」

涼「食券を買って……席について……ラーメンが出て来るまでの時間がやけに長く感じられて……実際は数分だったんだろうけど……」

凪「相対性理論の世界ですね」

涼「ラーメンが出てきた瞬間匂いが限界突破して……麺の上の煮干しと目が合った気がして……」

凪「ふと卓上に目を向けると、お酢のビンにまで煮干しがぎっちり詰められてましたね。生気のない瞳が凪を見つめていました」

涼「でも……ホントに不思議なんだけど……一口食べた瞬間……」

凪「匂いが、気にならなくなりました」

涼「煮干しがそのまま液体になったみたいな……濃いスープだったんだけど……なぜかスルスル箸が進んで……」

凪「きしめんのオバケみたいな超幅広麺が衝撃でしたね。モチモチ、ぴらぴら、とぅるんとぅるん」

涼「それで……スープを飲み終わると……丼の底に……」

凪「“我が煮干に一片の悔いなし”。まさかの世紀末覇者でした。許可取ってるのでしょうか」

七海「かいつまんれ言うと～、ふたりとも大満足ってことれすね！」

涼「うん、美味しかったのは間違いないかな。いろいろと強烈なことがありすぎて感想が
整理しきれてないけど……」

凪「同じ名を持つ者としてリスペクトせざるを得ない味でした。凪は大都会の洗礼を受け、また一歩大人になれた気がします。涼さんに感謝」

涼「あはは……今度はもっと初心者向けの場所で遊ぼうね。遊園地とか」

七海「七海は水族館付きの遊園地がいいのれす！」

凪「次こそは必ず3人で集まりましょう。我ら天に誓う。生まれた日は違えど、死すときは同じ日・同じ時を願わん」

凪「おや七海ちゃん。そろそろレッスンの時間ですよ」

七海「はっ！？忘れてました！それじゃ涼さん、また後れ連絡するのれす！」

ｶﾞﾁｬ　ﾊﾞﾀﾝ

凪「凪も行きます。涼さん、またいつか」

ｶﾞﾁｬ　ﾊﾞﾀﾝ

涼「ふふっ。なんだかんだで結構楽しいオフだったな」

涼「さて、私も帰ろっと」

ｶﾞﾁｬ

涼「あれ、凪ちゃん？忘れ物でもしたの？」


凪？「……」


涼（……ん？なんか、凪ちゃんと似てるようで違うような？」

凪？「……ﾆｺｯ」

颯「はじめまして！なーの……凪の妹の颯です！先日は姉が大変お世話になりました！」

涼「ああ、妹さんがいたんだ！そっくりだね！」

颯「聞いたところによると、歌舞伎町のど真ん中を目隠しした状態で歩き回るプレイを敢行したらしいですね！すごくドキドキしたってなーが言ってました！」

涼「め、目隠しなんかしてないよ。それに近いことはしたけど」

颯「へー。それでなーを“一歩大人にした”んですかあ？」

涼「まあ、さっきも本人にそう言われたけど」


颯「ふーん……」

颯「あ、涼さん襟に糸くずがついてますよ。はーが取ってあげる」

涼「本当？ありがとね」

颯「じっとしててね……そう、そのままの姿勢で…………おらーっ！！」


ゴッ！


涼「痛あ゛っ！？」

颯「なーになんてことしてくれたんだーっ！田舎者だと思ってっ！！怪しいトコに連れ込んであれこれしたなっ！！」

涼「ちょ、ちょっと待って！？なにか誤解が……」

颯「問答無用！」

ゴッ！ゴッ！ゴッ！
ゴァアアアアアアアアアアア！


ピキピキピキ…！


涼「なっ、なに！？私の身体が凍っていくっ！？」

颯「必殺！アイス・ロック・ジャイローーーーッ！！！」


グワッシャアアアアン！！


涼「ア゛ッッーーーー！！」

お　し　ま　い

繁華街歩くのに抵抗がある人には西新宿店がオススメです

乙

とりあえずこの涼さんに、私が作ったいちごを使った麺料理をどうぞ

なんという飯テロ&ダイマ
下北沢店好きだったけど潰れちゃったんだよなあ

凪と休憩2200円のお店に行って楽しいことしたいです

伊豆から見える北海道ってドラマCDで奈緒が言ってたやつじゃん
ネタが細かい

>>39
涼ちんなら女子寮でいつもシてるのでは?

なお、女子寮で出した分を男子寮でお尻から注入されている模様

てっきり店主が凪ですっとんきょうなラーメンが出てくる話かと思ったら
実在する店なんすね
おつおつ

→でデレステのロード画面を表現する発想が凄いわ

たまらない…

後に男性アイドルだと知って、また攻撃しそう
(リアルではMOIW2023で共演してる)

どうでも良いけどDSSSって書かれると某メーカーの曲芸商法を思い出す

かわいい

はーちゃん酷いｗ

最近涼ちんとアイドルが絡む創作がないので癒される