琴葉「例年この時期は忙しいけど、今年はなんやかんやあって一部のアイドル以外はオフ……プロデューサーも明日には出張先から帰ってきて久々の年末休みを楽しむはず……」

琴葉「こんなチャンスはもう二度とないかもしれない。これまであの人の鈍感さに翻弄され続けてきたけど、今度こそ決めて見せる」

琴葉「というわけで、皆協力してくれるわよね」

星梨花「琴葉さんのためなら」

昴「なあ、ホントに協力したら事務所で野球するの許可してくれるのか！？」

千鶴「わたくしは特にメリットが見当たらないのですが……」

琴葉「千鶴さん、もし今回の計画が失敗したら4人でヤケ食いパーティでもしましょうか。商店街のお店巡りとかもいいですね」

千鶴「全力で助太刀いたしますわっ！！」

琴葉「作戦はこうよ。プロデューサーさんは明日の12時に空港に到着するはずだから、3人で迎えに行って、SS百貨店のクリスマスセールに誘うの。私は別ルートで向かうから適当なタイミングで合流しましょう」

千鶴「琴葉も一緒に来ればよいのでは？」

琴葉「あくまで“偶然出くわした”という体裁をとりたいんです。そのほうが運命的というか、ロマンチックじゃないですか」

千鶴「そ、そういうものでしょうか……」

琴葉「百貨店に到着するのが13時くらいとして……まずはお昼を食べて、適当にお店を見て回ってて欲しいな。なるべく自然体でね」

昴「じゃあオレがメッセージで位置を送るよ。どこ歩いてるのかわかったほうが合流しやすいだろ」

星梨花「ご飯の時間を考慮すると、琴葉さんの合流は14時以降という感じですね」

琴葉「そうね。その後は適当な理由をつけて皆に帰ってもらって……あとは、私がやるわ」

千鶴（色恋沙汰の話のはずなのに物言いが物騒すぎませんこと？）

琴葉「皆の交通費と食事代は渡しておくから安心して。プロデューサーさんは奢ろうとするだろうけど、私と過ごすためのお金は残しておいて欲しいから」

千鶴（さすがに厚かましすぎるような……でも、結局琴葉の出費が一番多くなるのだから妥当……なのでしょうか？）


琴葉「作戦会議は以上。それでは、解散！」

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クリスマスのヒミツ①
イタリアではサンタではなく魔女がプレゼントを持ってくるらしい
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～12月24日～


琴葉「こっちがいいかな……でもあんまり着飾りすぎてるのも不自然だし……」

琴葉「そうだ、ちょっと薄着にしていけばプロデューサーさんが上着貸してくれたりとか……ふふふ」

ｶﾞﾁｬ


昴「琴葉～……」

琴葉「えっ？皆どうしたの？プロデューサーさんは？」

星梨花「それが、空港で合流したとたんに“美希さんがゴネて仕事にならないから助けてくれ”って出張先のスタッフさんから連絡が入って……」

千鶴「その……そういう状況なので、プロデューサーは現地にとんぼ返りされてしまいました……」

琴葉「……」

琴葉「…………」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ


琴葉「今から名前を呼ぶ人は部屋に残りなさい。星梨花ちゃん、昴ちゃん、千鶴さん、アンポンタン」

昴「いや最初からオレたちしかいないけど。つーかアンポンタンって誰のこt」

ドッカーーーーン！

琴葉「命令したじゃない！」

琴葉「プロデューサーさんを連れて来るように！命令したじゃない！」

琴葉「いったい誰が、どこのどいつが私の命令に背いたのっ！？」

星梨花「琴葉さん落ち着いて……！命令に背くなんてそんな、わたしたちじゃどうしようもなくて……」

琴葉「3人雁首揃えてただプロデューサーを見送っただけ？力ずくでも引き留めなさいよ！役立たずは大っ嫌いだ！」

昴「なんだよそれ！？完全に八つ当たりじゃねえか！」

琴葉「大っ嫌いだ！臆病者！裏切り者！バーーーカ！！」

千鶴「いくら琴葉でも言い過ぎですわ！わたくしたちだって貴方のために……！」

琴葉「プロデューサーもプロデューサーよ……！久しぶりのお休みなのにあっさり美希ちゃんのとこに舞い戻って……！」

ﾊﾞﾁﾝ!

琴葉「チクショーめえぇぇぇぇっ！！！」

琴葉「いつもいつもっ……！こんな風に邪魔が入ってばかり……！たまにチャンスが来ても……！あの朴念仁は気づいてくれないしっ……！」

琴葉「私もやれば良かったんだ……奥手にならず……もっとストレートなアピールを……」

琴葉「スターリンのようにっ！！」

千鶴（なぜそこでスターリン！？）

琴葉「ハア……ハア……」

琴葉「魅力……ないのかなあ……私……」

琴葉「きっとそうだよね……だって……美希ちゃんのほうが……私なんかより……」

琴葉「　お　っ　ぱ　い　ぷ　る　ん　ぷ　る　ん　っ　！　！　」

琴葉「……終わりね」

琴葉「戦争は……負けだ……」


昴（意味が分からねえ）

星（うっく……ひっく……）

千鶴（星梨花、泣かないでくださいまし）


琴葉「……解散してよし」

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クリスマスのヒミツ②
チェコでは鯉のビール煮込みがクリスマスの定番料理らしい
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琴葉「……ぐすっ」

琴葉「ひとりきりだと……寒いなあ……」

女の子「うずくまって、お姉ちゃんオナカ痛いの？」

琴葉「えっ？」

女の子「こっちおいでよ。カゼひいちゃうよ」

琴葉「あなた、誰？どこから来たの？」

女の子「こっちこっち」

ｸﾞｲｸﾞｲ

琴葉「ちょっとっ！？引っ張らないで……！」


ｷﾞｭﾜﾝ!

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ

琴葉「……えっ」

琴葉「ここ……学校……？どうしてこんなとこに……？」

琴葉（それに、なんだか見覚えがあるような……？）

男の子『ねえ、なんでダメなんだよ！？』

女の子『ダメじゃなくて……その……わたし、そういうのよくわかんなくて……』

男の子『わかんないってなんだよ！なんども好きって言っただろ！ほかに好きなやついるのかよ？』

女の子『そうじゃない……そうじゃないけど……うう……』


琴葉（え……！？あの女の子は……私……！？小学生の頃の……）

老婆「ませたガキだねえ。気持ちの押し付けだけじゃなにも伝わらんだろうに」

琴葉「！？」

老婆「大抵の“モノ”は執着し続ければいつか手に入るだろうさ。車だろうが、家だろうがね。だけど“人の心”だけは別だろ？アンタがあのガキを好きにならなかったようにね」

琴葉「……私にはプロデューサーを射止める可能性が無いって言うんですか。どんなにアピールしても無駄だって言うんですか」

老婆「さあね。執着で人の心を動かせることもあるし、動かせないこともある。やってみなきゃわからん」

老婆「でもね。自分の事しか見えてない今のアンタには絶対無理だと思うよ」

琴葉「っ……！」

老婆「付いてきな。もっと面白いものを見せてやるよ」

琴葉「……」

老婆「ほら、こっちだよ」


ｷﾞｭﾜﾝ!

男性1『芸能人の葬式だってのにずいぶん寂しい感じでしたねえ』

男性2『親族と一部の関係者だけならこんなもんだろ。今度のお別れ会は盛大にやるさ』

男性1『人数のことじゃなくて……なんていうか、誰も悲しんでませんでしたよね。別れを惜しんでる様子じゃなかったような』

男性2『ま、色々と良くない噂も多い人だったからな。先立たれた旦那ともギクシャクしてたらしいし』

男性1『そうなんですか？凄く情熱的な恋愛結婚だったって聞いてますけど』

男性2『実際は押しかけ女房に近かったらしいぞ。かなり強引で事務所でも疎まれてたんだと』

男性1『そういえばアイドル時代の同僚の人たちが全然来てませんでしたね……』

男性2『意中の相手を手に入れられたとしても、友達のひとりもいないようじゃ人生味気ねえだろな。心を許せる相手は多いに越したことはないんだからよ』

琴葉「……」

少女「棺桶の中、覗いてみる？」

琴葉「いい。誰が入ってるのかわかってるから」

少女「そっか。じゃあ“私たち”がなんなのかも察しがついてるかな」

琴葉「さっきの女の子は“過去”……お婆さんは“未来”……そしてあなたは……“現在”」

少女「うんうん。理解が早くて助かるよ」

少女「じゃあ帰ろっか。ちなみに提案なんだけどさ、一応これってクリスマスの奇跡的なやつだから、ちょっとだけオマケして“別な場所”に連れてってあげてもいいよ。プロデューサーさんが君の事を好きな世界とか」

琴葉「“元通りの場所”“元通りの時間”に帰して」

少女「いいの？こんなチャンス二度とないよ？」

琴葉「お願い。やらなくちゃいけないことがあるの」

少女「……そうこなくっちゃね」


ｷﾞｭｲｲｲｲｲｲﾝ!

少女「久しぶりに降りてきた甲斐があったよ。まだ人間には希望を持てるってわかったからさ」



少女「では、汝に幸多からんことを――」

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クリスマスのヒミツ③
クリスマスツリー発祥の地はドイツらしい
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ﾊﾞﾀﾝ!

琴葉「ごめんなさいっ！！」

千鶴「え、琴葉！？いつからそこに？」

琴葉「私どうかしてた……なんであんな酷いこと言っちゃったのか、自分でもわからなくて……本当にごめんなさい！」

昴「……フン」

星梨花「もういいですよ。わたしもパパに変なこと言っちゃうことあるし……謝ってくれたなら、もう気にしません」

昴「オレは納得いかねーけどな。いくらなんでも言っていいことと悪いことがあるだろ」

千鶴「昴、琴葉も反省しているのですからその辺で……」

昴「そーだなー。なんか旨いもんでも食べたら気が変わるかもなー」

ﾋﾟﾗﾋﾟﾗ

琴葉「あ、そのお金は……」

昴「そういや琴葉から預かった金使う暇なかったなー。でもこれっぽっちじゃ物足んないしなー。どーしよっかなー」

琴葉「わかったわ。もっと下ろしてくるからなんでも好きなものを……」

昴「あはは、冗談だよ！でも腹減ったのは本当だから皆でどこか食いに行こうぜ。それで仲直りだ！」

琴葉「昴ちゃん……！ありがとう……！」

千鶴「それではセレブすぎない範囲で、温まるものを……タンメンなどいかがでしょうか？ちょうど駅前に新しいお店がオープンしたとウチの常連さ……ｺﾞﾎﾝ、貴音から聞きましたの」

昴「おっ、いいね！夜店でタンメン！」

琴葉「決まりね。それじゃ早速出発しましょう！」

ﾀﾞｯ

星梨花「あ、琴葉さん！走ったら危ないですよ！」

琴葉「いいの！こうでもしなきゃ私の気持ちが……」

千鶴「ちょっと、本当に危ないですわよ！」

昴「そこの階段は滑るぞーーーッ！！」

琴葉「え？」

ﾂﾙｯ


ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ！！


琴葉「うわあああああああああああーーーーーッ！！！」

ドーーーン！

琴葉「ウギャーーーッ！！」

琴葉「いっつつつ……」

トラック「プップーーー」

琴葉「！？」


ドカーーーーーーン！！！


琴葉「ウギャーーーーーッ！！！」

ちゅど～～～ん！

琴葉「ウギャーーーーーーーーーッ！！！」

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クリスマスのヒミツ⑤
オーストラリアでは年2回クリスマスを祝うらしい
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～12月25日～

P「琴葉、本当に大丈夫なのか？トラックと正面衝突したって聞かされたんだが……」

琴葉「あはは……ちょっと入院する必要があるけど、見ての通りピンピンしてますよ。心配かけてすみませんでした」

P「いや、琴葉が無事ならそれでいいんだ。こうして顔を見るまでは生きた心地がしなかったよ。ずっと琴葉のことしか考えられなくてさ」

琴葉「……うれしい」

P「え？」

琴葉「いえ、なんでもないです。そういえば美希ちゃんのほうは大丈夫だったんですか？」

P「まあ、なんとかなったと言えるような、そうでもないような……聞いてくれよ、美希のやつがさあ……」

昴「あんな爆発に巻き込まれたのになんで平気な顔してるんだ……？」

星梨花「その……いわゆる“愛の力”というやつでしょうか」

千鶴「いえ、この場合はもっとふさわしい言葉がありますわよ」

星梨花「どんな？」

千鶴「昔からこう言うではありませんか」

千鶴「“バカは風邪ひかない”と」

お　し　ま　い

ディズニーの広告で知ったんですが今年はミッキーのクリスマスキャロル公開から40周年らしいですね
（2009年公開のアレもちょっとPRされてました）

まさかの総統閣下ネタ！しかも星梨花が泣くタイミング完璧過ぎるし
あとウギャーーーってアイドルのする悲鳴じゃねえ！(響は例外)
合間に挟まれる豆知識もよかったです。乙でした

乙です
男がストレートなアピールに弱いは本当だし
スターリン美希のお〇ぱいはぷるるんだし
琴葉閣下がお怒りなのもしょうがない

乙です

まさかのネタにびっくりこんでした

とりあえず今の季節。シドニーは雪がすごいんですよね

琴葉が瑞希に続いてヒゲ枠になるとは...
オチの千鶴さんが毒舌秀逸でした!

嘘字幕とモノホンの字幕が混ざっててこれもうわかんねえな

メインがデストルドーの面子なんで総統琴葉にそこまで違和感がない不思議
ミリシタのロード画面再現してるのも良いね