ﾄﾞｱｶﾞﾁｬ

デレP「ただいま～っと」

ﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀ…

響子「おかえりなさい！　Pさん！」

デレP「ああ、ただいま」

響子「今日もお疲れ様です。うふふっ♡」

響子「ご飯もうちょっとでできますからね！　着替えて手洗っちゃってくださいっ」

デレP「はいよー」

ｽﾀｽﾀｽﾀ…

デレP「あれ、周子？」

周子「ん、おはえいー」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

デレP「こたつでみかん食いながら言うんじゃないよ」

周子「……」

デレP「いやみかん食う方優先すんのかよ」

周子「食べながら喋るんはお行儀悪いやん？」

デレP「今しがたしてただろうが」

周子「せやから反省して食べきったやん」

デレP「ああ、そう……」

デレP「さて、着替え……ん？」

デレP（ベッドが盛り上がってるな…。誰かいるのか？）ﾉｿﾞｷｺﾐｰ

あやめ「う～ん、むにゃむにゃ…」

デレP「……」

デレP「周子ー？」

周子「んあ？　どしたん？」

デレP「ベッドに忍者が寝てるんだけど」

周子「あたしが来た時にはもう寝とったよ」

デレP「そうか。どうりで呼んでも出てこないわけだ」

あやめ「んふふ…。こしあんですな…」

デレP「あやめー？　お楽しみのとこ悪いけど起きてー？」

あやめ「P殿～。いけませんよ～」

あやめ「……P殿？」

あやめ「！！！」ｶﾞﾊﾞｯ

あやめ「おおおおはようございますP殿！　あやめは寝ておりませんよ！？」

デレP「いやがっつり寝てたがな」

あやめ「違います！　お布団を温めていただけです！」

デレP「周子が前から寝てたって言ってたよ？」

あやめ「なんでバラしちゃうんですか周子殿！」

周子「シューコちゃん嘘つけないから～」

あやめ「それがもう嘘では！？」

周子「ひどーい。あたしのこと嘘つきな女狐だなんて…」

あやめ「そこまでは言ってませんが！？」

デレP「はいはい、とりあえず着替えるから出てって」

あやめ「いえ！　あやめが傍でお守りします！」

デレP「出てってー」ﾎﾟｰｲ

あやめ「あーれー」

デレP「着替えましたよ、と」

周子「……」ﾑｷﾑｷﾓｸﾞﾓｸﾞ

あやめ「……」ﾑｷﾑｷﾓｸﾞﾓｸﾞ

デレP「君ら、そんなにみかん食べて大丈夫なの？　これからご飯よ？」

あやめ「あやめはまだ3個めなので大丈夫です」

周子「止まらへんからしゃーないやろ」

デレP「今食べてるのでやめておきなよ」

響子「あっ、Pさーん。洗濯物出しておいてくださいねっ。明日洗濯機回しますから！」

デレP「うーい」

デレP「でさあ、1個聞いていい？」

響子「なんですか？　ご飯ならもう出せますよ？」

デレP「いや、そうじゃなくてさ」

周子「もーPさん、ご飯の後でええやん」

あやめ「そうですよ。せっかくのご飯が冷めてしまいますよ」

デレP「君らにも聞きたいんだけど」

響子「じゃあなおさらご飯の後ですね。はーい運んでくださーい♪」

あやめ「かしこまりました！」

周子「わーい、響子ちゃんのご飯や～」

デレP「……やれやれ」

響子「今日のメインは豚の生姜焼きですよっ。付け合わせにキャベツもたっぷり千切りにしました！」

周子「わー、おいしそー♪」

響子「副菜にきんぴらごぼうとお新香もありますから、そっちも食べてくださいね」

デレP「充実した夕飯だなぁ」

響子「ご飯もお味噌汁もおかわりできますからねっ」

あやめ「なんと…！　それは嬉しい…！」

周子「そんならPさん？」

デレP「ああ。じゃあお手を合わせて」

4人「いただきます！」

デレP「味噌汁うっま……」

周子「ほんまやねぇ…。ホッとする味やわ」

あやめ「生姜焼きおいしいです！　ご飯が止まりません！」

響子「うふふっ。お野菜も食べてくださいね？」

あやめ「生姜焼きおいしいです！」

周子「食べ盛りやねぇ…。あ、お新香おいし」

デレP「きんぴらも美味いなぁ」

響子「ほら、キャベツときんぴら取り分けましたよ」

あやめ「生姜焼きおいしいです！」

4人「ごちそうさまでした」

響子「食器は洗い桶に入れておいてくださいね、後で洗いますから」

あやめ「かしこまりました！」

周子「いや～、ほんまにおいしかったわぁ。あたし響子ちゃんの料理大好き」

響子「ありがとうございますっ♪」

周子「まったくうらやましいわぁPさん。あたしも響子ちゃんが作りに来る日はご相伴にあずからないと」

デレP「そのことなんだけどさぁ、そろそろ聞いていい？」

周子「なに？」

デレP「君らなんでウチにいるの？」

周子「？」

響子「？？」

あやめ「？？？」

デレP「いや、なんで3人揃って『何言ってんだコイツ』みたいな顔してんのよ」

周子「何言ってんのプロデューサーさん」

デレP「改めて声に出してくれるのね」

デレP「いやでも俺おかしいこと言ってないよね？　ここプロデューサーの部屋ぞ？　アイドルが来ていい場所ではないぞ？」

周子「でも来たいやん？」

デレP「『来たいから』で来たらダメなのよここは」

周子「『来たいから』だけじゃなければいい？」

デレP「来るのがダメなんだけど理由は一応聞いてやろう」

周子「こたつとみかんがあるから来た」

デレP「それ寮でもよくない？」

周子「寮にこたつ無いからここしかあらへんもん、こたつでぬくぬくできる場所」

デレP「自分の部屋にこたつ置きなさいよ」

周子「Pさんの部屋にくればこたつあるんだからわざわざ自分の部屋に置く必要ないやん」

デレP「来んなって言ってんのよ」

周子「もう～、Pはんったらいけずやわぁ」

デレP「雑に紗枝はん出すな」

デレP「はぁ…。じゃあ、響子は？」

響子「放っておくとPさんファストフードばかり食べてますし、栄養のあるご飯を食べてもらいたいなって

響子「あと、お部屋の掃除やお洗濯も必要ですよね？」

デレP「まあ必要だけども…。わざわざ響子にやってもらうことでは」

響子「私の仕事を奪うんですか！？」

デレP「響子の仕事は学生とアイドルだからね？」

響子「Pさんの身の回りのお世話に何よりも生きがいを感じてるというのに…！」

デレP「そこまで言う？」

響子「食事も生活も私なくしてはならないでしょう？」

デレP「そこまでではないよ？」

響子「いつかはそうさせたいです」

デレP「なんか怖いこと言ってる」

デレP「んで、あやめは」

あやめ「いつでも主のお傍に控えているのが主君の影たる忍の務め！」

デレP「うん、君はそうだよね。暇さえあれば護衛してくれてるもんね」

あやめ「もちろんです！」

デレP「頼んだ覚えはないんだがなぁ……」

あやめ「頼まれずとも務めます！」

デレP「別にいいからね？　あとこれ世間一般ではストーカーと言われてもおかしくないよ？」

あやめ「なんと！　我々は主従関係ですからそんなことはありませんよ！？」

デレP「主従になった覚えもないんだけどな」

あやめ「では……妾…？？」

デレP「やめなさいどこで覚えたのそんな言葉」

デレP「だいたいどうやって入ってきてるのよ君たち。鍵を渡した覚えはないんだけど？」

周子　ｽｯ

響子　ｽｯ

あやめ「？　こっちに何かあります？」ｽｯ

デレP「お前か」ﾑﾝｽﾞ

あやめ「あだだだだ！！　アイアンクローは！！　アイアンクローは！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

デレP「正直に言いなさい」

あやめ「ちょっとばかし『鍵写しの術』を……」

デレP「いつの間に鍵盗んでスペア作ってたんだお前は」ﾑﾝｽﾞ

あやめ「これも忍びの術ですいだだだだ！！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

デレP「はぁ…。鍵交換しないと」

周子「大変やねぇPさん」

デレP「他人事みたいだけど周子のせいでもあるんだからな？」

周子「あたしはこたつにおるだけで無害やもーん」

デレP「不法侵入の部分を無視しないで？」

響子「身内になれば不法侵入じゃないですよね？」

デレP「仮に家族や親族でも住居侵入罪は成立し得るからね？」

響子「家族…。私が妻だなんて…。ふつつか者ですが精一杯頑張りますねっ」

デレP「『仮に』の部分を無視しないで？」

デレP「君らなんなん？　常識ってもんがないの？」

周子「二次創作に常識なんて持ち込んだらあかんよ」

デレP「メタ発言やめて」

周子「ていうかPさんだって最初めっちゃ受け入れてたやん。驚くこともなく」

響子「そうですよ！　私のことだって本当の奥さんみたいに接してくれたじゃないですか！」

デレP「いやー、動揺してはいけないと思ってなるべく平静を装った」

デレP「『何してんだお前ら！』って怒鳴るわけにもいかないし」

響子「優しいですね…。流石、私の旦那様です」

デレP「いつのまに結婚したことになってるの？」

周子「ははは。ホンマやわなんやのその冗談」

響子「なんですか周子さん。こたつにいるだけでよかったんじゃないんですか？」

周子「ふ～ん。言いよるやん？」

デレP「おっと？　急にどうした？」

響子「こたつ、プレゼントして差し上げますから寮のお部屋に置いて存分にぬくぬくしてていいんですよ？」

周子「まだまだおままごと楽しいやろ？　奥様のフリして家事楽しんでる間Pさんの相手はあたしに任せてくれてええんよ？」

デレP「突然の修羅場」

あやめ「危険な空気を感じます！　P殿、あやめの後ろに！」

デレP「俺の後ろに隠れながら言わないでくれる？」

響子「どうしたらPさんに憑りつくのをやめてもらえますかねぇ。お稲荷さんでも作ってあげましょうか？」

周子「こんこーん♪　ほならそのお稲荷さん、Pさんと一緒にいただきます♪」

響子「ダメですよ、1人で食べてください。Pさんには私の愛情たっぷりの料理を食べてもらいますから」

周子「稲荷にも愛情は入ってるやろ？」

響子「愛憎かもしれませんよ？」

デレP「あやめ、あの2人止めてきてよ」

あやめ「わ、わたくしには荷が重い任かと…！」

デレP「主君の命が聞けぬと申すか？」

あやめ「むむむ…、それを言われてしまうと……」

デレP「さあ行けっ！　あやめ！」

あやめ「ええい南無三！　はっ！！」

あやめ「お2人とも！　争いはやめてくだされ！　P殿は争いを望んでおりませぬ！」

周子「は？　なに正義面しとるん？　そもそもあやめちゃんやってPさんを独占しようとしてるやろ？」

響子「そうですよ。いつでもついてまわってPさんもご迷惑だと思いますよっ」

あやめ「なっ！　あやめにはP殿をお守りするという使命が…！」

響子「頼まれてはないんですよね？」

あやめ「うぐっ」

周子「Pさんも甘やかすからあかんねんで？　迷惑なことは迷惑って言わな」

デレP「こっちにも飛び火が」

周子「この際やからハッキリさせとこうよ。Pさんと一緒にいるのは誰がふさわしいか」

あやめ「の、望むところです！」

響子「そうですねっ。Pさんに決めてもらいましょう！」

周子「もちろんシューコちゃんを選ぶよね？　Pさん？」

あやめ「あやめがいつでも傍におりますよ！　P殿！」

響子「私なら身の回りのお世話、なーんでもやります！　Pさん♪」

周子「さあ、誰にするん？」

デレP「うーん。まず3人とも寮に帰ってくれる？」

デレP「そもそもね？　人の家に勝手に入っちゃダメなんだからね？」

デレP「あとなんか勘違いしてるけども、君らアイドル。私プロデューサー。公私混同しないように」

デレP「仲良くしてくれるのはありがたいけど、何事も越えちゃいけないラインってあるから」

デレP「わかった？　わかったら送っていくから、帰る支度して」

周子「正論おもんない」

響子「夢見させてくださいよ」

あやめ「P殿はロマンを知らないのですか？」

デレP「なんなんだお前ら喧嘩売ってんのか」

周子「ええやんかー。現役のアイドルに好かれてるんやで？」

響子「お嫁さんにしたい度No.1のアイドルに手料理振る舞ってもらえるんですよ？」

あやめ「おはようからおやすみまでアイドルが近くにおりますよ！」

デレP「聞き分け無い子は嫌いです一生出入り禁止にします」

周子「さー帰ろかー。はよせんと置いてくでー」

響子「明日はお掃除とお洗濯したかったけど仕方ないですね」

あやめ「えっあっ2人ともずるいですぞ！　あやめも退散します！」

デレP「現金だな君たち」

デレP「まあ、帰ってくれるんならなんでもよし。あとあやめはスペアキー返してよ」

あやめ「返さなかったら？」

デレP「担当替えてもらいます」

あやめ「お受け取りくだされ」

あやめ（まあ、型は手元にありますし……）

デレP「型も後で回収しにいくからね」

あやめ「P殿はエスパーですか！？」

デレP「鍵写しって言ってたから型あるだろうなと思ってカマかけた」

あやめ「くっ、誘導尋問ですか……」

デレP「隠したりしても探し出してやるからなー」

＿＿＿
＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿

デレP「こってり絞ったし鍵も交換したし、あれからアイドルのアンブッシュもなくなって我が家が平和になったなぁ」

デレP「さ～て、ただいまーっと」ﾄﾞｱｶﾞﾁｬ

唯「あっ！　Pちゃんおつかれ～！」

デレP「……もう引っ越そうかな」

以上になります。
読んでいただきありがとうございました。

超ショートのSSは他所でちょこちょこ書いてましたがこのくらいの長さのものはほぼ1年ぶりだったので
久しぶりにとんでもなく産みの苦しみを味わいました。でも間に合ってよかったです。

なおSS内の一部行為は、実際にやると本当に罪に問われる可能性がありますので絶対に真似しないでください。

大晦日に滑り込みの一作乙です!
一難去ってまた一難なPさんドンマイｗ

>>27
家賃100万円ぐらいかかるけど、帝国ホテルに住めるよ?
もちろん２食付き、掃除洗濯サービス完備

乙！面白かった～

>>27
なるほどドアガチャだから開けるたびに別のアイドルが出るのか