ガラス一枚隔てた先の惨劇を横目に池袋晶葉はほぞをかんだ。
　分かっていても、プロデューサーと良く似たモノが、同僚の両足を切り落とすというのは直視しがたい衝撃があった。
　スプラッタを背に、愛用の作業机の前へ座ると腕を組んで視線を中空へ投げる。間を置かずに4回ノックの音が響いた。

　「入るぞーって、うわ！　なんだこの惨状！？」

　どうやら彼もあの光景を見たらしく、続けざまに悲鳴にも似た声を上げた。

　「また何か実験でもしてたのか？」　

「プロデューサーと晴の人格をトレースしたAIを泉の協力の下開発して、私が作ったロボットにのせてみたんだが……どうやら具合が悪かったようでな」
　「ああ……大分具合が悪そうだな」

　ガラス向こうのロボットたちは晶葉が動作停止をさせたのか、両足を切断した直後の状態で静止している。
　晴に似たロボットの両足から漏れる燃料が人の体液のようで、どうにも怖気が走った。

　「まさか足癖が悪い程度で両足を切断するとは……一体何が問題だったのだろうか……」