伊織「八百長なしで役を勝ち取ってやるわ」

伊織「でも人を怖がらせるってのが上手く掴めないのよね」

やよい「それならイメージしやすいように私と一緒に練習しようよ」

伊織「ありがとうやよい」

やよい「えっと...孤島に漂流した主人公が唯一建つ館に訪れた所を女主人が迎え入れるシーンだね」

伊織「私が女主人やるから、やよいは館に訪れる主人公をお願い」

やよい「はーい」

ピンポーン

伊織「どうぞ、お入りなさい」

ガチャ

やよい「いーーおーーりちゃんあーーそーーぼ!!」

伊織「友達の家に来た小学生...!」

伊織「主人公は友達の家に遊びに来る小学生じゃないの」

やよい「はわっ間違えちゃいましたー」

伊織「主人公の年齢をもっと上げて頂戴」

ピンポーン

伊織「どうぞお入りなさい」

ガチャ

やよい「どうもーこんばんはこんばんは」

やよい「いやーこんなおっきい館に住んでるお母さんはやっぱり綺麗!!」

やよい「大丈夫ですかお母さん少しだけお邪魔しますね」

やよい「おや?あちらにあるのは」

やよい「美味しそうな晩御飯じゃないですかー!」

伊織「突撃隣の晩御飯...!」

伊織「なんで孤島にヨネスケが来るのよ」

やよい「たまにはそういうこともあるかなーって」

伊織「ないわよ」

伊織「取りあえず馴れ馴れしくやりすぎね」

伊織「後で女主人と敵対するんだからもっと距離感を出しなさい」

ピンポーン

伊織「どうぞお入り...」

バターン

やよい「たのもーーーう!!!!」

伊織「道場破り...!」

伊織「ここは道場じゃなくて孤島の館」

やよい「押忍!」

伊織「道場破りなんかこないの」

やよい「押忍!」

伊織「分かった?」

やよい「押忍!」

伊織「絶対分かってないわね」

伊織「やよい確認だけど主人公は遭難してるのよ」

やよい「はわっ忘れてましたー」

伊織「大事な事だから忘れないで欲しかったわ」

ピンポーン

伊織「どうぞお入りなさい」

ガチャ

やよい「リストラされて妻と子供にも逃げられて残ったのは借金だけなんです」

伊織「人生の遭難者...!」

伊織「主人公は実際に遭難してるのよ」

伊織「館に辿り着いた感じでやって欲しいわ」

ピンポーン

伊織「どうぞお入りなさい」

ガチャ

やよい「脂肪です」

やよい「糖分です」

やよい「塩分です」

伊織「出たな余分三兄弟...!」

伊織「ねぇやよい」

伊織「私まだ一言しかセリフ言えてないのよ」

やよい「へぇー大変だね」

ピンポーン

ガチャ

やよい「奥さんまたお邪魔しますヨネスケです」

伊織「あんたまだいたの!?」

やよい「この島は他にお宅が無いから晩御飯が見つから無くて参っちゃうなぁ」

伊織「...でしょうね!!さっさと帰った方がいいわ」

やよい「それじゃあテレビ局の船で帰らせていただきます」

ピンポーン

ガチャ

やよい「人生だけじゃ無くて実際にも遭難してしまいました」

伊織「あんた踏んだり蹴ったりね...」

やよい「私はどうやって本土に帰ればいいですか?」

伊織「ヨネスケと一緒にテレビ局の船で帰りなさい」

ピンポーン

ガチャ

やよい「帰りの船をたのもーーーう!」

伊織「あんたもヨネスケと一緒に帰りなさい!!」

ピンポーン

ガチャ

やよい「帰れない」

やよい「帰れない」

やよい「帰れない」

伊織「お前らもヨネスケと一緒に帰れえええええええええ‼︎‼︎」

伊織「はあはあ」

伊織「…ところで小学生を見なかった?」

伊織「1番初めにウチの館に来たんだけど」

やよい「いやー晩御飯も小学生も見つからなかったですね」

やよい「押忍!見てないっス」

やよい「見てないですね」

やよい「見てないです」
やよい「見てないです」
やよい「見てないです」

伊織「えっ...じゃああの小学生は」

やよい「……」

伊織「幽霊...?」

やよい「……」

伊織「……怖っ」

やよい「伊織ちゃん、これが怖がらせるって事だよ」

やよい「どう?役を掴めた?」

伊織「…確かに掴めたけど」

伊織「何故かしら」

伊織「感謝はしたくないわね」

終わりです

このSSじゃTCの宣伝を上手く出来てない気がするので最後に軽く宣伝しときますね

正直、「孤島に建つ館の女主人役」ってだけなら似合うアイドルは他にいるんですけど、今回のテーマはサスペンスホラーなんですよ。ほら、ホラー映画ってゴリゴリのマッチョが脅し役につくことないじゃないですか、細身の女性だったり、ハッピーの象徴であるピエロだったりするんですよ。本来なら怖くないものが怖い行動をする事で恐怖が2倍にも3倍にもなるんです。そうなるとやっぱりホラーの脅し役は猫被るのが上手い伊織の得意分野というか、もはや専売特許なんですよ。
単純な気高さとかミステリアスさでなら確かに上はいるけど可愛さと気品の高さとの高低差で考えたなら伊織が最強なんだよなあ
それで物語を想像するとさ、遭難した主人公たちはポツンと建っている館に恐る恐る入るわけですよ、それを迎え入れるのは女主人を名乗る少女とそのメイド。少女が主人を名乗る事に違和感を覚えつつも女主人の人当たりのいい歓迎に心を許すんです。ところが何らかのタイミングで豹変するんすよ、高圧的になる方向の変化でもいいし、ヒステリックに叫ぶ方向の変化でもいいですねぇ。悩ましいところです。いや、伊織がどっちも出来るゆえの嬉しい悩みなんですけどね。とにかくこの豹変するって所が今一番推したい...。

それでは伊織が女主人役を勝ち取れる事を信じて一足先に館のオーナメントになってます（シャンデリア）