P「えぇ…無理じゃんもう……」

比奈「大丈夫っス……大丈夫……ネームはもう出来てるし…下描きはすぐ描けるっスから…あとはペン入れと仕上げさえ出来れば……」

P「その『さえ出来れば』がどれだけ大変なものかお前が一番わかってるだろうに…」

比奈「大丈夫っスよ…本編8Pぐらいにして残り8P適当なおまけ漫画とかで済ませちゃえばもう余裕っスよ」

P「それもう半分が適当じゃん。やっぱり無理じゃん」

比奈「大丈夫っスよアイディアはありまスから」

P「アイディアってなんだよ」

比奈「これ、オマケ漫画用に考えたキャラクターっスけど」

P「オマケ漫画のアイディア？もう半分でいくの決めちゃってるじゃん」

比奈「ﾌﾌ…オマケ漫画とはいえ自信作っスよ……これがオマケ漫画の主人公、『とにかく明るいプロデューサーくん』っス」

P「安心できないね。何これ？すごい俺じゃん。しかもとにかく明るい格好してる。なんで？俺なんか悪いことした？」

比奈「ﾌﾌ…安心してください」

P「……？」

比奈「履いてるっスよ」

ﾍﾟﾗｯ←パラパラ漫画風

P「やめろアイドルが下ネタ！お前許されるギリギリ外のラインだぞ今！」

P「比奈お前さぁ……先週とかあったじゃん休み。俺スケジュール調整したじゃん？何やってたのお前……」

比奈「……録り貯めてたアニメ観ながら…色々…ネーム考えたり……アニメの絵描いたり……サーチして感想漁ったり……」

P「うん。SNSにイラスト楽しそうに上げてたもんね。テンション上がってたよね。それは知ってる」

比奈「……」
P「……」

比奈「……どうしてこんなことに……」ｸﾞｽｯ…
P「……」

P「……はぁ…仕方ないな」

比奈「！！」

P「こう見えて俺は学生時代漫研の奴の漫画を手伝ったりしてたことがあったんだ」

比奈「えっ……」

P「徹夜はなるべくしたくないが……手伝うよ、比奈」

比奈「プロデューサー……！」

P「お前は俺の、大切なアイドルだもんな」

比奈「……っ」

比奈「プロデューサー……！」

P「……まぁ、約束したしな」

比奈「……」

P「比奈……俺達が初めて会った時に言った事を覚えてるか？」

比奈「！」

【回想】

P『おれたちは二人なら最強だ。寒いのも腹ペコなのも全然へっちゃら』

P『約束する。ずっと一緒だ絶対はなれない』

P『ほらもう何も怖くないだろ？』

比奈『……！』

【回想終わり】

比奈「プロデューサー……！」

P「うん、言ってないねそれ。そのエピソードはない。何それなんの記憶？何と混ざったの？」

P「比奈、初めて会った時に俺は言ったよな？」

P「『アイドルになっても好きなことを辞める必要はない。漫画を描きたければ描いていいし、何かあれば自分も手伝う』」

比奈「……！」

P「まぁ正直……かなり自業自得な気がしてるけど、約束は約束だしいつもアイドル頑張ってくれてるからな。今がその約束の時だ」

比奈「プロデューサー……！」

【親愛度が50上がった！】

P「滅茶苦茶上がったね。え？そんな上がることなのこれ」

比奈「ありがとうございます、プロデューサー……。なら、申し訳ないっスけど、アタシと地獄に付き合ってください。よろしくお願いします！」

P「……仕方ないな。任せろ！」

【……こうして、二人の地獄の戦いが始まった】

【それはまさに地獄だった。襲いかかる眠気、エナドリの過剰摂取による吐き気、短時間で酷使した事による急性鞘炎、時間がないのに描いてる途中で構図変えたくなる、塗りミス、液タブのエラー、保存形式のミス、二人の戦いは〆切ギリギリまで続いた】

【そして……】

比奈「……」
P「……」

比奈「……できた」ﾎﾟﾂﾘ

P「……あぁ」ﾎﾟﾂﾘ

比奈「……ぁぁ…あぁ……！」

ｶﾞﾀﾝｯ

比奈「できたーーー！！わーーーんっ！！」ﾜｰﾝｯ!

P「出来たぞーーー！！うおーーーっ！！」ｳｵｰｯ!

比奈「出来たっス！完成したっスよ！プロデューサーのおかげでス！」

P「やったな比奈！ハハ！やったぞ俺達！なあオイ！」

比奈「ハイ！ありがとうございまス！プロデューサーがいなけりゃ完成できませんでしたっス！」

P「ほんとだなオイ！ほんとだよ俺！俺すごくない？俺を褒めてやりたいよ！」

比奈「ほんとっスよ！プロデューサーは救世主っス！」

P「比奈……！」

比奈「……思えばずっとそうでしたね……プロデューサーは……アタシが日陰に、暗闇にいる時には必ず引っ張り出してくれるんス……」

P「……比奈？」

比奈「……いつもいつも、アタシの人生をいい方向に変えてくれる」

P「……」

比奈「そんな貴方だから……アタシみたいな奴でもこんなとこまで来れたんでス」

P「……」

P「……それは違うぞ、比奈」

比奈「……ぇ？」

P「ここまで来たのは、全部全部比奈の自分の力だ。俺はきっかけに過ぎない。少し助けるだけ、でも本質は違うんだ」

P「全部全部、お前の力なんだよ」

比奈「プロデューサー……」

比奈「…ありがとうございます」

P「…いいんだよ」

比奈「じゃあ！早速！この新刊データ出してきまス！」

P「あぁ、いってこい！！」

比奈「ハイっス！」

比奈「今回の漫画は自信作っスよ！今までの一番の力作っス！」

P「そうか！よかったな！」

比奈「ハイ！それじゃあ出してきます！」

ﾊﾞﾝｯ!

比奈「この新刊、『とにかく明るいプロデューサーくん』を！！」

P「いやそっちでいくんかい！！？」

【完】

終わりです。荒木先生の新刊、『とにかく明るいプロデューサーくん(16P・800円)』をよろしくね

乙乙！！

関ちゃん「比奈さんのベストは本当にそれ？」

関ちゃん「まだ、時間はあるよ？」

>>19
なぜベストを尽くさないのか的な

事務所内で頒布したらそこそこ需要ありそうなのがまた...

『とにかく明るいプロデューサーくん(16P・800円)』

1 6 P ！

もう全編オマケ漫画になっちゃってるじゃん！なんで！？

安心してください

本編ですよ

回想が上弦陸で草
乙ぅ