【千早と弟P】
※二人とも成人済みです
千早「…あら? これってガン保険のパンフレットじゃない。
優アナタ、私より若いくせに、もうそんなこと考えているの?」
P「こういうのは何事も、早いほうが良いんだって。
姉さんも入る?」
千早「私は……どうしようかしら」
P「ほら、この先何が起こるかなんて、誰にも分からないでしょ?
実はすでにガンに侵されている可能性だってあるし、ひょっとしたら、とつぜん事務所に隕石が落ちてきて、二人ともペシャンコになる可能性も否定できないじゃないか」
千早「…なにそれ、同列に扱っていい問題なの?」クスクス
P「それにさ。例えば、このあと…
僕が、車に牽かれて死んでしまうかもしれない。
そんな未来だって、あるかも知れないでしょ」
千早「…っ、そう、ね……」ザワッ
千早(何故かしら…仮定の話なのに、こんなにも胸がザワめくなんて…)
P「幼い僕の鼻先を、車が物凄い勢いで走り抜けていったことを、今だ鮮明に思い出せる。
運が悪かったら、僕はあのとき、死んじゃっていたのかもしれない」
千早「……優」
P「だからね、姉さん。
今やれることは、ぜんぶやっておきたいんだ。
…僕はまだ、姉さんの歌を、聴いていたいから」
千早「……私もガン保険、入ってみようかしら。
紹介してくれる?」
P「ホント?
じゃあ一緒に入ろう、約束だよ?
……ええと、こういうのって家族割とか、あるのかな……」ガサガサ
千早(確かに、この先どうなるかなんて、誰にも分からない。
けれどもし、この幸福が続けられるのなら、私も、今できることはやっておきたい。
…私もまだ、優と歩いていたいから)
千早(……果てない道を、ずっと、二人で)