134 : 3流プロデューサー   2023/07/01 04:55:24 ID:gjjIHs5f76

【アリスと兄P】

ありす「…ケホッ、ケホッ」

P「38度、か…。熱、なかなか下がらないな。
よし。明日のライブは、お休みにしよう」

ありす「……そういうわけには、いきません。
明日のライブは、レッドベリィズにとって…ケホッ、大事なライブだって、兄さんなら分かるでしょ?
巴さんに迷惑、かかっちゃうじゃないですか」

P「もし本番中に倒れたらお前、どうするつもりだ?」

ありす「…え」

P「当然、ライブは中止だ。
巴だけじゃない。お金を払ってまで来てくれたファンのみんなや、会場のスタッフにまで迷惑がかかるんだぞ。
まして周囲に感染させたら、大問題になってしまう。
リスクヘッジの面からみても、お前は休まなきゃいけないんだよ、ありす」

ありす「…っ!」
 
ガバッ(布団を被る)

P「キツい事言っちゃったな。ごめんな。
明日のライブには、晴をつけるから、もう、心配しなくていい。
ゆっくり休んでくれ、ありす」ナデナデ

「……迷惑かけちゃってゴメンね。お兄ちゃん」

P「(こりゃそうとう弱ってるな…)
ありすは何も悪くないんだから、気にするな。
…そうだ、何か欲しいものはあるか? 可愛い妹のためなら、なんだって…ん?」プルルル…

P(電話? ありすから?)

P「……もしもし?」

「…お話、してください。
小さいころ一緒のベットで語ってくれた、兄さんの空想話を、もう一度、聞きたいです」

P「参ったな…。…まあいい、やってみよう。
……ある日ありすが事務所を歩いていると、突然、バニーガールの菜々さんが、喫煙室から飛び出してきて――」

ありす(事務所の皆が出てくるそのお話は、文香さんが教えてくれる小説と違って、荒唐無稽で、不思議な事ばかり)

ありす(けれど私は、なんだかすっかり安心してしまって、不思議な不思議な夢の世界へと、おちていくのでした)