【アリスと兄P】
ありす「…ケホッ、ケホッ」
P「38度、か…。熱、なかなか下がらないな。
よし。明日のライブは、お休みにしよう」
ありす「……そういうわけには、いきません。
明日のライブは、レッドベリィズにとって…ケホッ、大事なライブだって、兄さんなら分かるでしょ?
巴さんに迷惑、かかっちゃうじゃないですか」
P「もし本番中に倒れたらお前、どうするつもりだ?」
ありす「…え」
P「当然、ライブは中止だ。
巴だけじゃない。お金を払ってまで来てくれたファンのみんなや、会場のスタッフにまで迷惑がかかるんだぞ。
まして周囲に感染させたら、大問題になってしまう。
リスクヘッジの面からみても、お前は休まなきゃいけないんだよ、ありす」
ありす「…っ!」
ガバッ(布団を被る)
P「キツい事言っちゃったな。ごめんな。
明日のライブには、晴をつけるから、もう、心配しなくていい。
ゆっくり休んでくれ、ありす」ナデナデ
「……迷惑かけちゃってゴメンね。お兄ちゃん」
P「(こりゃそうとう弱ってるな…)
ありすは何も悪くないんだから、気にするな。
…そうだ、何か欲しいものはあるか? 可愛い妹のためなら、なんだって…ん?」プルルル…
P(電話? ありすから?)
P「……もしもし?」
「…お話、してください。
小さいころ一緒のベットで語ってくれた、兄さんの空想話を、もう一度、聞きたいです」
P「参ったな…。…まあいい、やってみよう。
……ある日ありすが事務所を歩いていると、突然、バニーガールの菜々さんが、喫煙室から飛び出してきて――」
ありす(事務所の皆が出てくるそのお話は、文香さんが教えてくれる小説と違って、荒唐無稽で、不思議な事ばかり)
ありす(けれど私は、なんだかすっかり安心してしまって、不思議な不思議な夢の世界へと、おちていくのでした)