広い広いドーム会場。たくさんの、本当にたくさんのファンが、来てくださいました。
熱い歓声とサイリウムの洪水が、止むこともなくドームを埋め尽くしています。
もはや疑いようのない、トップアイドルです。
私はきっと、これ以上ないくらい幸せ者なのでしょう。
――下腹部に貴方の痛みを感じながら、夢にまで見たこのステージに上がれるのですから。
私は平気な顔をして、踊ります。
貴方を含んだその唇から、二人で苦心のすえヒットさせたあの歌を紡ぎます。
何も知らないのでしょう、ファンの皆さんの熱量はさらに上がり、とどまる気配すらありません。
見えますか、プロデューサーさん。
見てください、プロデューサーさん。
目に焼き付けて、二度と忘れないようにしてくださいね。
私たちのお祭りが、もうすぐ終わろうとしていますよ。