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夏の変態大三角形 2019/11/12 07:46:21
ID:Aw/O5M/3Pc
「朋花、一日遅れだけど改めて誕生日おめでとう」「ありがとうございます~。子豚ちゃんのフィギュアが可愛くなかったらお仕置きを考えていたところですよ~?」
今日、11月12日は私の誕生日の翌日です。彼は当日次の公演の打ち合わせが長引いてしまったらしく劇場に戻って来られませんでした。誕生日プレゼントは予め用意されていましたし、お祝いと戻ってこれなかった事を謝罪するメッセージも来ていました。
彼の対応に非はありません。むしろ良かったと褒めるのが聖母としての努めでしょう。けれどこうして余計なことを言ってしまうくらいには16歳になってもやはり私はまだまだ子供なのだと、そう痛感してしまいます。
「えーっと、お詫び代わりと言ってはなんだが、朋花にこれを受け取って欲しいんだ」
そうしていると彼が私に差し出したのは彼の名刺でした。彼が現場でいつも渡しているものですから何度も見たことがあるものです。何か細工でもあるのかと色々と見てみますが特に変わったところはありません。至って普通の名刺です。どういうことなのかと聞いてみると。
「俺は子豚ちゃんでも騎士団員でもなくプロデューサーだけどさ、それを形にしたことは無かったと思ってな。だからこの機会にプロデューサーとして……いや、違うな。朋花のパートナーとしてよろしくってことで受け取って欲しかったんだ」
……、呼吸が、心臓が、時間が、一瞬なにもかも止まってしまったような感覚……。そして頭の中に響く彼の一字一句。次に来た感覚は誰かに聞こえてしまいそうな程の胸の高鳴りと、まるでのぼせたような身体の火照り……。
動揺を悟られまいと姿勢を正して「それではこれからはその様にお願い致しますね~?」と聖母らしく返してみせましたが、彼の柔らかな笑みの瞳に映っていたのは首まで真っ赤にした私の姿がありました……。