[謹賀新年] 杜野凛世が牛と戦う小説書きました
1 : ぷろでゅーしゃー   2021/01/02 00:06:56 ID:5QZCn7A9Pg
非情に肥壌あらず。その一途な少女の世界には、ある冒しがたい偶像があった。
人影。スレンダーで、眉目秀麗。そして何より、その優しい笑顔が忘れられない。
それはまさしく天使であった。
少女にとって、その姿はたまらなく愛おしいものであった。
ふと、天使の姿と、目の前にいるケモノの姿を見比べてみたくなる。
「不思議と、似通ったものでございますね。」
こころほのかに、笑みがこぼれた。

乳牛 (英:dairy cattle)。
体高約150cm、体重約700kg。
その堅牢な骨格は銃弾をも受け止める。まさしく地上最強の家畜。
対するは大和撫子、杜野凛世 (16)。
身長155cm、体重44kg、スリーサイズは上から70/54/78。
体重差656kgを愛の重さでカバー。群青き導火線に火を点すのは愛の天使。
互いに相手にとって不足なし。勝利の女神はせっかちだ。
2 : バカP   2021/01/02 00:08:39 ID:5QZCn7A9Pg
とびきりの南風。
その主は他でもない、『木刀』。
直撃すれば奥歯が欠けてしまうほどの乱打。
しかし、当たらないのである。
そう、それは偶蹄目の特徴『爪先立ち』による怒涛の回避。
牛の踵は脚の中部にあり、歩行の際に爪先しか地面につかない。これにより高い機動力が得られるのだ。
狼狽する一輪の花。
相違う太刀筋に、次第に苛立ちがこもる。

だが、風の前に震えるのは花だけではない。
木刀の柄に刻まれた、その銘。
『大和撫子』。
等身大のコタエはただ一つ。それの意味するところとは、即ち過剰なまでの自信の現れ。
そしてその源とは、言わずもがな情愛である。
愛に生きる者は、どこまでも残酷になれる。それを知る経産牛だからこそ、その太刀筋に顕れる暴虐の予感に慄くのであった。
3 : EL変態   2021/01/02 00:09:15 ID:5QZCn7A9Pg
ここで大和撫子は賭けに出る。
次の一太刀が外れると踏んで、足捌きに重点を置く。
手の内を緩めた一閃。
しかし、その気色が牛にも伝わったのか、その風鈴の鳴き声のような剣はしかと受け止められた。
大勢がふらりと傾く。
牛の体内にある『発酵タンク』。そこから生み出される莫大な熱量を運動エネルギーに変換。
そこから繰り出される突進はまさに反則級の破壊力。700kgもの筋肉の塊が荒神と化す。
4 : ご主人様   2021/01/02 00:10:38 ID:5QZCn7A9Pg
イスラエルの人々が荒野におるとき、安息日にひとりの人が、たきぎを集めるのを見た。
そのたきぎを集めるのを見た人々は、その人をモーセとアロン、および全会衆のもとに連れてきた。
しかし、どう取り扱うべきか、まだ示しを受けていなかったので、彼を閉じ込めておいた。
そのとき、主はモーセに言われた、「その人は必ず殺されなければならない。全会衆は宿営の外で、彼を石で撃ち殺さなければならない」。
そこで、全会衆は彼を宿営の外に連れ出し、彼を石で撃ち殺し、主がモーセに命じられたようにした。 
(民数記15:32-26)

その巨体は一瞬のうちに力を失い、よろけてしまう。
『ルーメンアシドーシス』。
発酵により産出される酸が増加しすぎると、胃の中のpH値が減少し、ホメオスタシスが崩れる。それによって間接的に蹄の血液循環が阻害され、炎症がおこることがある。
そう、過度なエネルギー生産により、牛はまさにこの状態に陥ってしまったのである。
5 : 5流プロデューサー   2021/01/02 00:11:18 ID:5QZCn7A9Pg
よろけた脚が少女の右手側にやってくる。
運命の悪戯か、帰結すべきところへやってきた。
日舞で培った、鋭い足捌きが閃く。
絶技『百時旋回』(はくときのめぐり)。
踏み締める大地を失った巨軀が、宙に舞った。

イスラエルの家のだれでも、牛、羊あるいは、やぎを宿営の内でほふり、または宿営の外でほふり、
それを会見の幕屋の入口に携えてきて主の幕屋の前で、供え物として主にささげないならば、その人は血を流した者とみなされる。彼は血を流したゆえ、その民のうちから断たれるであろう。
これはイスラエルの人々に、彼らが野のおもてでほふるのを常としていた犠牲を主のもとにひいてこさせ、会見の幕屋の入口におる祭司のもとにきて、これを主にささげる酬恩祭の犠牲としてほふらせるためである。
祭司はその血を会見の幕屋の入口にある主の祭壇に注ぎかけ、またその脂肪を焼いて香ばしいかおりとし、主にささげなければならない。
彼らが慕って姦淫をおこなったみだらな神に、再び犠牲をささげてはならない。これは彼らが代々ながく守るべき定めである』。
(レビ記17:3-7)
6 : バカP   2021/01/02 00:13:12 ID:5QZCn7A9Pg
はらはらと溢れる涙は、この場合は温かな牛乳だ。
(『地盗り』の『角度』が……『極まらない』……!?)
誰が予想できただろう。下駄の『鼻緒』がここで命を散らしたのである。
その足は正しい『角度』から切り込むことができず、相手に再起不能になるすんでのところで耐えることを許してしまった。
体勢を立て直した牛。再び猛る。
死線。そこで大和撫子が想うのは、愛おしい天使のことであった。
以前にもこうやって、鼻緒が切れてしまったことがあった。そんなとき、天使に羽根を分けてもらった。
非情に肥壌あらず。その一途な少女の世界には、ある冒しがたい偶像があった。
太陽がいっとう輝いて見えた。
7 : Pーさん   2021/01/02 00:16:08 ID:5QZCn7A9Pg
「人が紡いだ……気の遠くなるような時の中…… 貴方さまと同じ世に……生を得て……」
甘き蜜。
果てしなく広大な、その心の果て。
「凛世は、一生……プロデューサーさまについて参ります……」
____あぁ、やっぱり和傘がよく似合う。
終電時刻のほんの前、共に事務所を抜け出した。
8 : プロデューサークン   2021/01/02 00:16:51 ID:5QZCn7A9Pg
以上になります。
感想や添削など、是非お聞かせ下さい。
9 : 箱デューサー   2021/01/02 00:41:21 ID:MBS6L3XxrA
焼肉食いてえ・・・
10 : プロデューサークン   2021/01/02 00:50:51 ID:qJ1gO2GJ.g
牛は可愛いと思う。普通の牛もホルスタインも。
あの手のつぶらな瞳系の動物には弱いのよね。
11 : 監督   2021/01/03 17:55:18 ID:qn9qyhkaOU
わけがわからないよ
12 : Pサマ   2021/01/03 18:21:36 ID:IIs6TEe3tw
これ凛世ちゃん殉職してない?大丈夫?
13 : Pちゃま   2021/01/03 19:42:29 ID:QF/OnrCYwM
やばい、刺さる。それ。
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