【SS秋祭り】静香・エミリー・千鶴の3人が蕎麦屋に行く話
1 : プロちゃん   2021/09/25 05:32:15 ID:5aKwR66xGc
スレタイどおりSS秋祭り投稿作品です 
スレ主だよー
http://imasbbs.com/patio.cgi?read=22108&ukey=0&cat=765

立ったら投稿していきますね
2 : ぷろでゅーしゃー   2021/09/25 05:34:44 ID:5aKwR66xGc
静香「はぁー………」

千鶴「あら?静香、どうかしましたの。そんな深い溜息なんてついて」

静香「あっ。千鶴さん。いえ、べつに大したことではないんです。ちょっとさっきのお仕事で失敗しちゃって」

千鶴「まぁ、そうでしたの。静香、昼食はもう済まされましたの?」

静香「へ?」

千鶴「今からエミリーといっしょにお昼ご飯を食べに行くんですの。もしよければご一緒にいかが?」

静香「えっと……」

千鶴「気持ちを切り替えるのに、美味しいものを食べるのも方法の1つだと思いますわよ。もっとも静香の口に合うかまではわかりませんが……」

静香「どこに食べにいくつもりなんですか?千鶴さんとエミリー……。私、そんなに持ち合わせもないですよ?」

千鶴「金銭面なら心配無用ですわ。セレブのわたくしとて毎日三食、セレブな食事をしているわけではありませんわよ?」

静香「言われてみれば、ふつうにコンビニのから揚げとか食べていたような……」

千鶴「あれはその、庶民の味を研究していたのですわ!おほほ……。ん、ん。何はともあれ、実はつい先日、劇場近くにお蕎麦屋さんを見つけましたの」

静香「蕎麦屋ですか!?」
3 : そこの人   2021/09/25 05:37:11 ID:5aKwR66xGc
千鶴「そ、そんなに興奮しなくても。落ち着きなさいな」

静香「すみません。でもまさかこの近辺で私が把握していない麺類のお店があるなんて!」

千鶴「あ、そういう……。それでどうしますの?なんでしたら、私が勝手に言い出したことですから、今日はご馳走しますわよ」

静香「そんな、悪いですよ。でも、お誘いには乗らせていただきます。食べにいきましょう、お蕎麦を……!」

千鶴「ちなみにまだ食べていないのですが、カツ丼も美味しいらしいですわ」

静香「はい?蕎麦屋でカツ丼?」

千鶴「ええ。蕎麦の出汁を使ったものだそうで。セットメニューもあるみたいですわ」

静香「蕎麦とカツ丼の?」

千鶴「そうですわ。健啖家向けなのか、少々量が多くはありますが。記憶が正しければ、どちらかをミニサイズにできるはずだったので、試してみてもいいかもしれませんわね」

静香「私は遠慮しておきます。お蕎麦屋ではお蕎麦を堪能する、それが正道でしょうから」

千鶴「そ、そう」(さっきの暗い顔から一転、なんて凛々しい表情、さすが麺道を進みし静香……面倒だとは思っておりませんわよ?)
4 : プロデューサーちゃん   2021/09/25 05:39:28 ID:5aKwR66xGc
エミリー「千鶴さん、お待たせしました。静香さん、おはようございます♪」

静香「おはよう、エミリー。あのね、私も一緒にお蕎麦を食べに行くことになったの。いいかしら?」

エミリー「まぁ!静香さんともいっしょにご飯を食べられるなんて嬉しいです!」

静香「ふふっ、そう言ってくれると私も嬉しいわ」

千鶴「では、いきましょう。雲行きが怪しいですし、雨が降らないうちに。念のため、傘を持っていきますわ」

静香「はい!」



道中

静香「降ってきちゃいましたね、雨」

千鶴「ええ、それほど激しくもなく、風も吹いていないのが幸いですわ。しとしとと長く降り続けるような雨……典型的な秋雨ですわね」

エミリー「秋霖とも言うのですよね」

静香「しゅうりん?」

エミリー「はい。霖というのは雨に林と書きまして、3日以上続くような長雨のことを意味する文字らしいです。雨が木立のように並んで降る様を表しているのだとか」

千鶴「エミリーは勉強家ですわね」

エミリー「ついこの前、貴音さまに教わったんです!……えへへ」

静香「へぇ、たしかに貴音さんはそういったことに詳しい気がするわね。そういえば、イギリスもけっこう雨が降るんじゃないの?えっと……霧のロンドンがどうこうって前に百合子がブツブツと言っていたような。うん?あれはまた別の話かしら」
5 : Pちゃま   2021/09/25 05:41:50 ID:5aKwR66xGc
エミリー「実のところ、そんなに降るわけでもないんです」

静香「え、そうなの?」

エミリー「はい。晴れ間が少ないのは確かです。曇り空であるのが多いですね。でも、雨が降ったとしてもそう長く続くわけでもなくて、すぐにあがるんです。なので、傘を持ち歩かないって人も大勢いて」

静香「そうなのね」

千鶴「たとえば、東京とロンドンとで比べてみると一年間の降水量というのは、ロンドンは東京の半分以下だったはずですわ」

静香「なるほど、さすが千鶴さん。物知りですね」

千鶴「ふふん、当然ですわ! それはそうと、エミリー。こっちにきて間もない頃は天候での苦労もあったのではないかしら?」

エミリー「そうですね……慣れない長雨の時季というのは、どうしても気が滅入ってしまいますね。情趣ある風景に出会うこともありはしますが」

千鶴「晴れの日には見えない景色が広がっておりますものね。雨の日ならではの楽しみ方を持っていて損はないですわ」

エミリー「あとはついつい傘を忘れて、ひどい目にあったことも何度か。今では折り畳み傘を携帯するようにしています」

静香「備えあれば患いなし、ってやつよね。そうだ、こっちは湿度が高い分、向こうにいた時よりも髪のセットは大変なんじゃない? 見ている限り、いつもエミリーは綺麗にしているけれど」

エミリー「ありがとうございますっ! そう言う静香さんこそ、いつもお綺麗で、黒くまっすぐな髪……はわぁ、まさに大和撫子ですね!」

静香「そ、そうかしら。照れてしまうわね。……考えてみればこの中で髪の手入れが一番大変そうなのって―――」

千鶴「わたくし? えっと、その、専属のヘアスタイリストがおりますから、だ、大丈夫ですわよ!? ええ、べつに毎朝悪戦苦闘なんてしていないですわ!おーっほっほっほっほ、ごほん、けほん」
6 : Pしゃん   2021/09/25 05:44:43 ID:5aKwR66xGc
千鶴「と、話しているうちに着きましたわね」

静香「そばどころ・味裏音……店名と佇まいからして、隠れた名店っていう雰囲気ですね」

エミリー「私、なんだかわくわくしてきました。千鶴さん、お勧めはありますか?」

千鶴「そうですわね……気温はまだそう低くもありませんし、ここはやはりざるを味わうのがいいと思いますわね」

静香「ええ、秋新の風味を味わうには温よりも冷な気がしますね」

エミリー「秋新?」

千鶴「秋の新蕎麦ということですわ。蕎麦は夏と秋の年2回、収穫されますがそれぞれ収穫間もないものを使って打ったものを新蕎麦と言いますの。とはいえ、現代では品種改良、栽培方法、それに保存・保管技術も昔と比べて進歩しておりますから一年中、美味しいお蕎麦を食べようと思えば食べられますけれども」

静香「それでもやっぱり、味と香りの芳醇な秋蕎麦は格別ですね。蕎麦本来の先妻の味わいを愉しむために汁ではなく水につける食べ方もありますし」

エミリー「なんと……お蕎麦というのは奥深いものなのですね。寿司・天ぷら・そば・鰻が江戸の四大名物食だと聞いた覚えもあります!」

静香「エミリー?間違ってはいないと思うけれど、和の心として大切なものを忘れてはいないかしら?江戸に限らず、全国各地で食され、愛され続けているあれを」

エミリー「えっと…?」

千鶴「エミリー、ほら、静香といえば……」

エミリー「ああっ!すみません、静香さん、私ったらおうどんのことを失念しておりました……!」

静香「いいの。たとえ一時、忘れることがあっても思い出してくれればそれでいい。うどんは伝統と革新の中で未来永劫在り続ける、いわばエターナルハーモニーな存在であるとともに、人々の拠り所、ココロがかえる場所なのよ」

千鶴「……そ、そうですわね」

エミリー「あはは……」
7 : 高木の所の飼い犬君   2021/09/25 05:47:49 ID:5aKwR66xGc
しばし歓談を楽しむ3人。注文した品々が運ばれてくる。
そして――――


静香・エミリー・千鶴「いただきます!!!」



エミリー「私はお蕎麦だけではなく、衣付厚切り豚肉の油揚げ丼の小盛とお吸い物、お新香がついた定食にしました」

千鶴「わたくしはあえてのカツ丼単品に。―――っ! このカツは……ふっ、侮れないですわね。出汁やつゆの美味しさだけでどうにかしようとしているカツではありませんわ」

静香「!! これが千鶴さんお勧めのお蕎麦……んっ、んんん!!???! 見えます、真っ白な花が一面に広がる蕎麦の畑、秋風に吹かれる様、穏やかな太陽……はっ、私ったらいつの間にワンピースを?え、あなたが導いてくれるの?蕎麦の妖精?ふふっ、わかったわ、これもまた1つの、Catch my dreamってことなのね!」
8 : 兄ちゃん   2021/09/25 05:51:21 ID:5aKwR66xGc
食後

エミリー「ごちそうさまでした! 千鶴さん、今日は本当にありがとうございます!それに静香さんも!私、また大和撫子として一歩、成長できた気がします!」

千鶴「気に入っていただけたなら、わたくしも嬉しいですわ。もっと秋が深まりましたら、また3人で来ませんこと?次はとろろ月見そばを試してみたいんですの」

エミリー「月見……!ああ、それは風流ですね!月は貴音さまもお好きですし、ぜひまた……!」

静香「私もぜひ。今日は誘ってくれて本当にありがとうございました。仕事での失敗からいつもより早く立ち直れた気がします。調べてみたら、蕎麦の花の花言葉は『あなたを救う』……くよくよなんてしていられないですね」

千鶴「ふふふ、失敗は成功の基と言いますわ。落ち込んでいるよりも、負けん気の強い静香の方がずっと素敵ですわよ。それに、雪歩ちゃんたちも『しょーもないダメージ ポイ捨て推奨』と歌っておりますわね」

エミリー「真夏の金剛石ですね!」

静香「あ、うん」

千鶴「また何かあったらいつでも相談してくださいまし!あなたは独りではありませんから」

静香「千鶴さん……」
9 : 兄(C)   2021/09/25 05:54:07 ID:5aKwR66xGc
静香「私、今日は2人とお蕎麦を食べたおかげで改めて気がつけました。そばにいる人たちの大切さを!」

千鶴・エミリー「え?」

静香「い、今のは、べつにお蕎麦とそばを……」

エミリー「掛詞ですね!」

静香「は?」

エミリー「なんて機知に富んだお言葉!当意即妙とはまさにこのこと!さすがは静香さん!すごいでしゅ!いよっ、真の大和撫子♪」

静香「いや、だから、今のはべつに、そういう……って、いくらなんでも褒めすぎよ!?」

千鶴「静香が立ち直ってくれて嬉しいですわ……ただ、これからは寒くなる季節ですので、そういった駄洒落はほどほどに……」

静香「千鶴さん?!」

千鶴「さぁ、わたくしたちの劇場に戻りますわよ。そばを盛るより、ファンの方々を盛り上げるのがわたくしたちですからね。おーっほっほっほっほ、こほっ、けほん♪」


おわり お粗末様でした!
10 : 5流プロデューサー   2021/09/25 06:01:34 ID:5aKwR66xGc
前回の祭り同様、自分のSSにコメントは不要!何か思うところがあれば、SSを書いてください♡

とくに山場のない無難な仕上がりになったと思います
蕎麦や天候の細かい知識は持ち合わせていないし、調べていないのでそのあたりに詳しい人は「うん?」となったかもしれませんが

投稿間隔の制限の都合上、1レスにけっこう詰め込みました
これからSSを投稿しようと考えている方で、「15行まで」と表示されるのは無視できる仕様を知らない人がいたら今回は役立ててみるのもあり?
ただ、単なる掲示板マナー上の規制なのか、より内部的な負荷軽減か何かの指標なのかは管理人さんに問い合わせないとかなー
11 : 魔法使いさん   2021/09/25 07:17:59 ID:Rf0BFMh972
お疲れ様でした
食事シーンが圧巻で読んでいてお腹が減ってきました
12 : 監督   2021/09/25 07:26:53 ID:Nufr7SXQuQ
そうか、そろそろ新そばの季節か
13 : Pさぁん   2021/09/25 13:22:08 ID:ywCDvj28LE
おつ
そんなに蕎麦屋が近くにないから新蕎麦を売りにしてる所行ったことないなぁ
子供の頃ざる蕎麦めっちゃ好きだったの思い出した
久しぶりに食べたい
14 : 3流プロデューサー   2021/09/25 20:07:07 ID:klt3ccxHM6
お蕎麦もセレブ知識も美味しかった、よかったです
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