P「………あのさ、貴音」

貴音「はい？」

P「別に俺の仕事が終わるまで待ってなくていいんだぞ。まだかかりそうだし…」

貴音「いえ、Pは私のために残業されているのですから、私もお付き合いするのが筋です」

P「それが俺の役目なんだから気にしなくていいんだよ。貴音だって明日の仕事が…」

貴音「体調管理の心配なら不要です。お待ちしている時間で資料を読むこともできますので」

P「う～ん……」

P（こりゃ引き下がりそうにないな…相変わらず妙なところで頑固な奴だ……）

P「まあ、あまり無理はしないでくれよ。俺もなるべく早く終わらせるから」

貴音「はい」

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【PM　10：20】


カタカタカタ…
カタカタカタ………タンッ

P「はあああ～～っ」

貴音「終わりですか？」

P「いや、もう少し…。この企画書の修正を急がねえと――」

グウゥ～～～～っ………


P「げっ」

貴音「まあ」

P「……」

貴音「…………」

P「すまん、こんなことアイドルに頼むべきじゃないんだが…」

貴音「買い出しですね？」

P「悪い。コンビニでサンドイッチと…お茶でいいや。お金渡すから貴音も欲しいもの買ってきてくれ」

貴音「承知いたしました」

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P「で、貴音はカップ麺か」

貴音「はい。やはり夜食と言えばらぁめんです」

P「“天下一品 京都濃厚鶏白湯”…へえ、あの天一がカップ麺も出してるのか」

貴音「つい先日発売されたばかりです。なかなか手に入れられないでいたのですが、運よく入荷しているのを見つけまして」

Ｐ「天一なあ…しばらく行ってないけどなんというか、異端だよな、あのラーメン」

貴音「こってりした味わいを売りにしたらぁめんは数あれど、麺にまとわりつくほど濃いすうぷはなかなかお目にかかれませんからね」

Ｐ「そうそう。濃厚すぎて口に入れるとざらつくというか、“噛める”んだよな。もうポタージュに片足突っ込んでる感じ」

貴音「聞いたところによると、あのすぅぷの秘密は多種多様な野菜を炊きこんでみきさぁしていることにあるとか。濃厚でありながら脂っこさをそれほど感じない、不思議な滋味は野菜由来なのですね」

Ｐ「なるほど……確かに天一って胃が疲れてるときとかでも不思議と食べたくなるしな…あれは野菜パワーだったのか…」

貴音「二日酔いや徹夜麻雀で荒れた胃腸に天一を流し込むと、“幸せえ～っ”といった気分になりますね」

Ｐ（二日酔い？徹マン？コイツ未成年だよな？）

貴音「それは、とっぷしぃくれっとです」

Ｐ「しれっと人の心を読むんじゃない」

貴音「さて…」

ズッ…ズズ……
ズズ～～～っ

Ｐ（ゴクリ）

Ｐ（いかんな…目の前で見せられるとこっちも食べたくなってくる…）

貴音「……ふむ」

Ｐ「ど、どうだ？」

貴音「一言で言い表すなら…。“頑張ってはいる”“これはこれで”といったところでしょうか」

Ｐ「あ、そんな感じ？」

貴音「まあ、名店再現系のかっぷらぁめんとはそういうものですから」

Ｐ「ふーん…」

貴音「ところでＰ、さんどいっちに手が付いていないようですが」

Ｐ「ん？ああ、そうだったな…」


Ｐ（もう完全に脳がラーメン食いたいモードになってておさまりがつかねえんだよチクショウ！）


貴音「なんと、それは大変なことですね」

Ｐ「だから人の心を読むなって！」

貴音「では、そんなＰに耳寄りな情報です」

Ｐ「ん？」

貴音「実は先週、向かいの大通りに天下一品の店舗が開店いたしまして……深夜1時まで営業しておりますので、今から向かえば間に合うかと」



Ｐ「…………は？」

Ｐ「………」

貴音「……………」



Ｐ「……………………貴音」

貴音「はい」

Ｐ「お前、このために遅くまで残ってたのか？俺をラーメン食いたい気分にさせてタカるために？」

貴音「はい」

Ｐ「わざわざ天一のカップ麺買ってきたのも作戦？」

貴音「はい♡」

Ｐ「♡（はあと）じゃねーよそれなら最初からラーメン食べに行きましょうで済んだ話だろーが」

貴音「いえ、これも1度食べてみたいと思っておりましたので」

Ｐ（こ、この野郎…）

貴音「して、いかがなされますか？乗り気でないのでしたら私ひとりで…」

Ｐ「いきまあす！」

貴音「そう言っていただけると思っておりました……あなた様♡」

Ｐ（ちくしょう殺し文句のはずなのに全然ときめかねえ！！）

P（こうして俺は残業を切り上げて貴音と天一に駆け込んだ）


P（麺をすすり、スープを文字通り噛みしめ、得も言われぬ多幸感に包まれる）


P（そう、俺は幸せなのだ……貴音の前に積み上げられていくどんぶりと軽くなった財布から目を逸らし、そう自分に言い聞かせた………）

お　し　ま　い

これが私のPドルです
味の評価とかは個人的な好みなので多少の偏りがあるのはご了承ください

おつです！
天一のカップラーメンあるなんて知らなんだ…
これはあかんて。深夜にラーメンはダメですよ。
食いたくなるて。マジで。今すぐにさあ！

私も貴音とラーメン行きたい……

乙です
明日の夕食が天一に決まりました