―――その世界に空はなかった。
惑星規模での大規模な災害から数百年後――。
僅かに生き残った人々は、この大災害を予見していたいくつかの国家によって建造された地下都市「アルストロメリア」に移り住み、
「ナーチャン」と呼ばれるAI管理機構に自らを委ね、その庇護と統制のもとに暮らしていた。

長い時の中で、アルストロメリアでは国家に代わって「アイドルプロダクション」が力を持ち、やがて「アイドルプロダクション」は力を求め、互いに争いを始めた。
しかしその争いすらも、「ナーチャン」の掌の上の出来事に過ぎなかった。
「ナーチャン」があまりに生活に溶け込んでいるため、「ナーチャン」自体の存在が希薄になるほど、日常の全てが管理されている世界。
その支配を受けない唯一の例外は、報酬によってのみ依頼を決定し、機動兵器「千雪」を駆る「283」と呼ばれる傭兵達のみであった。

全てが予定された世界。
だがそれは、徐々に狂いを生み始めていた