ひなた：んしょ。

昴：おーっす。

ひなた：どうも、木下ひなたです。

昴：永吉昴だぜ。

ひなた：ふたりあわせて、木製バットです。

２人：よろしくお願いしまーす。

ひなた：あのね。聞いて欲しいことがあるんだわ。

昴：どした？　言ってみろよ。

ひなた：私、北海道の田舎出身でっしょや？

昴：そうだよなー。すっげー田舎なんだってな。

ひなた：ほんと、野生の動物もいっぱい出るんだわ。

昴；あー、なんとなく想像つくなー。

ひなた：なんせ十二支の動物、全部見かけるくらいだからねえ。

昴：それはすごい田舎だなー。

昴：……竜出てくんの？

ひなた：あはは、それは冗談だよお。流石に竜は出てこねえべさ。

昴：あー良かった。そりゃそうだよな。

ひなた：けども、トラは出てくるんだよねえ。

昴：充分おっかねえなおい！？

ひなた：まぁ、そんな田舎に住んでる私だけどもね。

昴：田舎って怖えー……。

ひなた：この前、実家に帰省した時なんだけどねえ。

昴：おう。

ひなた：じいちゃんの手伝いで、山に木を切りに行ったんだべさ。

昴：山に木を切りに。

ひなた：そしたらねえ。私が斧で木を切ってる時に……。

昴：えっ、ちょっと待て。

ひなた：なんだい？

昴：ひなたが斧、使ってんの？

ひなた：そうだよお。与作みてえにヘイヘイホーって切ってるだべさ。

昴：たくましいなおい。

ひなた：そいでね。木を切ってる最中に、手を滑らせちゃったねえ。

昴：滑らせて？

ひなた：斧を、山ん中にある池に落としちゃったんだわ。

昴：あれ？　ひょっとして。

ひなた：そしたらねえ、池の中からボコボコ―って泡が吹いてきて。

昴：マジかよ。

ひなた：白い衣を着た、女の人が浮かんできたんだあ。

昴：激熱じゃねーか！

ひなた：激熱だよお。

ひなた：そいでね。木を切ってる最中に、手を滑らせちゃったねえ。

昴：滑らせて？

ひなた：斧を、山ん中にある池に落としちゃったんだわ。

昴：あれ？　ひょっとして。

ひなた：そしたらねえ、池の中からボコボコ―って泡が吹いてきて。

昴：マジかよ。

ひなた：白い衣を着た、女の人が浮かんできたんだあ。

昴：激熱じゃねーか！

ひなた：激熱だよお。

ひなや：でね。女の人が私に向かってこう言ったんだあ。

ひなた：『あなたが落としたのは、この金の斧ですか？　それともこの銀の斧ですか？』

昴：ひなた！　ここでウソつかずに正直に答えなきゃいけねーからな？

ひなた：「違うよう。どっちの斧も私んじゃねえべ」

昴：よっしゃ。それで良いそれで！

ひなた：『それではあなたが落としたのは、この普通の斧ですか？』

昴：うんうん。

ひなた：「ん～？　いやぁ、その斧も私んじゃねえべさ」

昴：あれ？　どうした。

ひなた：えっ、なんだい？

ひなた：お前が落としたのって、普通の斧だったんじゃ？

ひなた：いやあ、違う違う。よく見ると別モンだったよう。

昴：別モン？

ひなた：女の人は新品の斧を出してきたんだよう。私の使ってた斧はかなりくたびれてたからねえ。

昴：あー。それでそこも正直に答えたわけだ。

ひなた：斧に5/45って書いてあっから、あと５回使っちまうと完全に壊れちまうとこだったんだよお。

昴：ファイアーエムブレムか？　お前の田舎の農機具には回数制限ついてんのかよ。

ひなた：そしたら『あなたは正直者なので、この金の斧と銀の斧をさしあげましょ』って。

昴：よっしゃ！　やったじゃん！

ひなた：「いやいや、そんな事されたら困るから、壊れかけの斧を返してくほしいべ！」

昴：なんでだよ！　良い斧貰っておけば良いだろ！

ひなた：ダメだよお。

昴：なんで！？

ひなた：だってその斧、お向かいの岡林さんから借りたモンなんだもの。

昴：そりゃ、ちゃんと返さないといけねえな！

ひなた：そうだよう。借りたモンはちゃんと返すのが礼儀だべさ。

昴：借りたモンとお中元はしっかり返さねえとな。

ひなた：そしたらねえ。『本当に欲の無い人ですね。それじゃあ金の斧と銀の斧。そして落とした斧もお返ししましょう』って。

昴：ようやくだな。

ひなた：でもねえ。なんか思ってたのと違うんだべさ。

昴：どうしたんだ？

ひなた：どっちの斧にも2/20って文字が書かれてあんだよう。

昴：あと2回で壊れるじゃねーかおい！？

ひなた：そうだよう。まったくの不良品をつかまされたよう。

昴：池の女神にとんだもんつかまされたな。

ひなた：仕方がねえから山を降りて家に帰ろうとしたんだけどねえ。

昴：おう。

ひなた：帰ってる途中で、ウサギを見かけたんだわ。

昴：ウサギ。

ひなた：すやすや―って居眠りこいててねえ。

昴：おいまさか。

ひなた：ちょっと前まで走ってたんだろうねえ。足跡がついてたよお。

昴：北海道におとぎの国一丁目でもあんのかな？

ひなた：そしたねえ、ウサギの隣をすーっと……。

昴：これはもう判った。あれだな。

ひなた：ツバメが通り過ぎて……。

昴：あっ違うわこれ。カメじゃねえんだ。

ひなた：それから、ハムスターが通り過ぎて。

昴：ハムスター？

ひなた：その次に鯉が通り過ぎて。

昴：どうやって！？　っていうかおい。

ひなた：そっからトラも通り過ぎて……。

昴；セリーグじゃねーか！　眠ってるウサギって余裕こいてた球団が他に抜かれたってことだろうが！

昴：……トラ居たじゃねーか！？

ひなた：だから最初に出てくるって言ったっしょや？

昴：あれ、ちょっと待て。この流れであと動物1匹出てきてねーぞ？

昴：おい。さっき竜出てこないって言ってたけど。実は居るんじゃ……？

ひなた：だから竜は流石に出てこねえべさ。

昴：ハブられてんの！？

ひなた：竜は居ないけど、その後でコアラが通ったんだわ。

永吉：あ、そっちか！　そっちなんだな！！　そりゃ出てこねーわ！！

ひなた：まあ、野生の動物達、みんなおっかなかったから、貰った金の斧と銀の斧を使って全部しめといたよお。

昴：むごいことするなおい！？

ひなた：やっつけることは出来たんだけどもねえ。

昴：トラとかに斧だけで勝ったんだ……。

ひなた：金の斧も銀の斧も壊れちまったべさ。

昴：どっちも2回しか使えなかったもんな！　そりゃ仕方ない！

ひなた：岡林さん家の斧は、なんとか守りきったよお。

昴：それは何よりだな。

ひなた：3/45って文字が出てたねえ。

昴：使っちゃってんじゃん！？

ひなた：仕方無かったんだよう。自分の命が一番大事さあ。

昴：そりゃそうかもだけど！

昴：というか金が2回　銀が2回　普通のが2回それぞれ減って……お前、居眠りしてたウサギまでやってんじゃねえか！！

ひなた：家に帰っておいしくウサギ汁にして食ったよお。

昴：居眠りしてたら本当の意味で人生終わってたと救いがねえなおい。

ひなた：とまぁ、岡林さんに斧は返せたけど、もう大変な目には遭いたくねえべさ。

昴：まぁ大変だったな。

ひなた：次からは自分ん家の斧を使うことにするべさ。

昴：じゃあ借りる必要なかっただろ！　もういいぜ！

２人：ありがとうございました。

お粗末様でした。
結成15年目のラストイヤーなので金属バットにM-1決勝行って貰いたいです。

理不尽に始末される動物たちに草（メインのマスコットはシャオパオなんだよなぁ……あの有袋類（今年から年齢の都合でバク転NGになった）が有名すぎるけど）

乙
ひなたには武器の使用回数が見えるのか…

>>11
ここ1行目、ひなたじゃなくて昴のセリフですね。
申し訳ございませぬ。

おつ！

前に鬼の話で書いていた人やんな　まとめられてもいたっけ
祭への参加ありがと！！

>>19
ここクッソ笑ったわ

すばひないいね
面白かった