美也「ふんふ～ん♪」

朋花「あら、美也さん。おはようございます～。何だかご機嫌ですね～」

美也「お～、朋花ちゃん。おはようございます～。そうなんです～、実は今度、虹を作るお仕事をいただきまして～」

朋花「虹を作る……？ホースで水撒きでもして、ということですか～？いえ、お仕事というのですからもっと大掛かりな……」

美也「それはそれとして、朋花ちゃん。天気予報の歴史をご存知ですか～」

朋花「天気予報の歴史？いえ、詳しくありませんね～。ですが、考えてみるにその起源は、かなり昔に遡るのではないでしょうか～」

美也「その心は～？」

朋花「天気というのは今なお私たちの生活と切り離せないものです～。作物の生育はもちろんのこと、戦乱の世では戦の策略にも関わる部分だったでしょうね～。それに雨乞いや日乞いというのも聞きますし」

美也「ふむふむ」

朋花「つまりは文字通り生死を分ける要素であった。そうであるならば、太古の昔から多くの人がどうにかして予想しようと試みていたと思います～」

美也「なるほど～。さすが朋花ちゃんですな～。私が調べたところでは、気象にまつわる本は紀元前に既に記されていたそうですよ～」

朋花「そうでしたか～。ですが、その時代の科学技術では、経験則を文字にしてまとめておく程度しかできなかったのでは？」

美也「はい～。1600年代になって温度計や気圧計が発明されたことで、気象にまつわる情報というのが数値として蓄積できるようになったわけです～」

朋花「そういった機器が世間に浸透するには時間が必要ですよね～？天気予報が始まったのはいつ頃なんですか～」

美也「1800年代半ばに欧米諸国で始まり、日本では明治時代にヨーロッパの研究者を招聘して運用が始まったそうです～」

朋花「ということは、およそ150年の歴史があるというわけですね～」

美也「ちなみに朋花ちゃんがさっき触れたとおり、天気というのは状況によっては軍事機密扱いもされたようでして～、戦時中には予報が中止されたそうですよ～」

朋花「そうなんですね～。ところで、どうして急に天気予報の歴史の話を？虹を作るお仕事というのと関係がありそうですけれど」

美也「？？　いえ、直接的な関係はないですよ～、むふふ」

朋花「……」

美也「さて、それでは本題なのですが～」

朋花「本題？今のは前置きだったんですね～。なんでしょう～」

美也「朋花ちゃんは下駄占いを知っていますか～？」

朋花「……。あの、あれですよね、明日天気になぁれと言って下駄を宙に蹴り上げる……合っていますか？」

美也「お～、そうです～。ご存知でよかったです～。私もおじいちゃんから教わっただけで、実際にしたことはないのですが～」

朋花「私も自分でしたことはないですね～。下駄を履く機会自体が稀ですし。わざわざ蹴り上げなんてしませんから～」

美也「む～ん……そうなんですよ～。かく言う私も下駄を持っていません～。なので、今日はこちらのスリッパで代用しようと思うんです～」

朋花「美也さん？その話しぶりだと、あたかも今から下駄占い、いえ、スリッパ占いをするように聞こえるのですが」

美也「はい～、そうですよ～。むんっ」

朋花「……」

美也「朋花ちゃんも協力してくださいますよね～？」

朋花「幸い、レッスンまではまだ時間がありますので、お付き合いできますが～。くれぐれも室内の備品を損なわないようにしましょうね～」

美也「もちろんです～。琴葉ちゃんに『控え室で下駄占いをしてはいけません！』って貼り紙をされてしまいますからね～」

朋花「それは昴ちゃんもびっくりでしょうね～。私としては天気予報の歴史が前置きで下駄占いが本題であったことに驚きを隠せませんが～」

美也「それでは、朋花ちゃん。どうぞ、こちらの中から好きなスリッパを選んでください～」

朋花「たくさんありますね～」

美也「家にあったものを全部持ってきたんです～」

朋花「お家の人が困ると思うのですが～」

美也「ついでに、ここにくる途中で雑貨屋さんに寄って追加しました～」

朋花「その熱意はどこからくるんですか～」

美也「やはり予報を的中させるにはいろいろなスリッパがいるかと思いまして～」

朋花「スリッパの種類と占いの精度の関連性は皆無だと思うのですが～」

美也「なんと～。朋花ちゃん、もしかして既に検証済みなんですか～、やりますな～」

朋花「いえ、ただの一度もスリッパ占いなるものをしたこともなければ、そのデータを収集したこともないですよ～」

美也「朋花ちゃん、これなんてどうですか～？朋花ちゃんによく似合いますよ～」

朋花「スリッパの似合う、似合わないという話題はこれまで、ギリギリありそうでなかったですね～、新鮮ですがわくわくしません～」

美也「本当ならブタさんのスリッパを用意したかったんですが～」

朋花「そうがっかりせずとも、こちらのイルカ模様は存外気に入りましたよ～」

美也「せっかくなので私のは朋花ちゃんが選んでくれませんか～？えっと、今日のお洋服に合わせた、トータルコーディネートを考えてお願いします～」

朋花「唐突に難しいオーダーをしてきますね～。では……こちらの猫ちゃん柄のものはどうでしょう～」

美也「お～、私から猫を連想しての安直な発想ですね、悪くありませんね～」

朋花「いつもどおり温和な口調なのに、なんだか内容が辛辣な気がしますが、聞かなかったことにしますね～」

美也「では、占いに移りましょう～。さぁ、朋花ちゃん、お先にどうぞ～」

朋花「そこは私に譲るんですね～」

美也「掛け声の確認をしておきましょう～」

朋花「明日天気になぁれ、でよかったですよね～？」

美也「そうです～。ですが、朋花ちゃん」

朋花「はい？」

美也「明日天気になぁれ、とはどういう意味なんでしょう～。普通は晴れに、あるいは雨に、なんでしたら雪に、といった掛け声のほうが自然ではないですか～」

朋花「ここにきて疑問をぶつけられるとは予想できませんでしたね～」

美也「お～、ではこの疑問の答えこそ、このスリッパ占いで……」

朋花「スリッパがそれを示す、というよりスリッパの状態からその答えを読み取るのは無理だと思いますよ～」

美也「なんと～」

朋花「察するに、『下駄さん、明日の天気を示す形、向きとなって』というのを縮めたのが、明日天気になぁれということではないでしょうか～」

美也「朋花ちゃんは下駄にもさん付けするんですね～。可愛いですな～。スリッパもスリッパさんですか～？」

朋花「美也さん、もっと他に言うべきことがありませんか～」

美也「掛け声の真意はさておき、占っていきましょう～、お～！」

朋花「マイペースにもほどがありますが、そんなところも好きなので許してあげましょう～」

美也「それ～っ！」

朋花「結局、美也さんが先にするんですね～」

美也「………」

朋花「………」

美也「あの、朋花ちゃん。こういうときは晴れですか、それとも雨ですか～」

朋花「さぁ……どうしてこう絶妙な落ち方になったんでしょうか～、スリッパが横向きで床に倒れている光景自体が珍しくありませんか～」

美也「間をとって曇りでいいですか～？」

朋花「私にそれを判断する資格はありませんが、美也さんがそう思われるのであればそれでいいと思います～」

美也「では、さらに間をとって狐の嫁入りということで～」

朋花「間とっちゃいましたね～。日照りの中の雨というのはそう長く続かないと思いますが、もうそれでいいと思います～」

美也「あっ、紬ちゃんのSSR【…コン♪　白石紬】は何も関係ありませんからね～？」

朋花「それならわざわざ話題に挙げなくてもよいのでは～？」

美也「あのイラストに惹かれてミリシタを始めたものの、限定だったのを知って、はわわっ！となったPさんがいたとかいなかったとか～」

朋花「あるあるですね～」

美也「限定と言えば、SHSのSSRも今のところ、セレチケで選べるでもないようなのでPU以外はすり抜け狙いか天井で取るしかないみたいですね～」

朋花「まさかSSRの話が続くとは思いませんでした～」

美也「朋花ちゃん、私のSHSは見てくれましたか～？」

朋花「もちろんですよ～。いつものゆるふわなセミロングも可愛らしいですが、ああいう結った髪型も素敵ですね～」

美也「衣装のほうもチェックしてくださっていますよね～？」

朋花「なぜか当然のように言いますが……ええ、あのいろんなお天気が集まったような衣装、とてもお似合いだと……あっ」

美也「むふふ、朋花ちゃん、何かに気づきましたね～」

朋花「虹を作るお仕事というのはもしかして？」

美也「ふんふ～ん♪　朋花ちゃん、私たち2人のSHS覚醒後イラストってどこか似ていると思いませんか～？」

朋花「そう言われてみれば、たしかにそうですね～」

美也「というわけで、それ～っ♪」

朋花「ここでもう片方のスリッパを蹴り上げるのは、やはり予想できませんでしたね～」

美也「お～！鼻緒が上、表向きですよ～」

朋花「明日は晴れ、みたいですね」

美也「では、いっしょにピクニックにいきましょう～」

朋花「突然のお誘いですね～」

美也「ダメですか～？」

朋花「いいえ、そのお誘い、喜んで引き受けますよ～♪」

美也「よかったです～、むふふ」

朋花「やれやれ……美也さんといると、いつでも快晴ですね～、ふふっ」


おわりですよ～

以上です
3800字足らずの勢いだけで書いたSSですよ～

みやともを書いてくれる人がいるとのことで、待っていましたが……待ちきれず自分でも書いちゃいましたわ
何にしても、SHSみやともキテる、それを伝えたかった

乙です
読んでてすごいと感じるのは一見淡々と会話しているだけに見えてダレずにスルスルと読める巧みな文章ですね。読んでいて非常にテンポが良いと感じます