ｻﾞｰｻﾞｰ

ミリP（以下P）「急ぐぞ！走れるか！？」

―それは急な雨

―今日の服は間違いなく、運動には向かない。しかも、雨を吸ってさらにスカートとか肌について動きづらくなる

―デートだからってお洒落し過ぎたかなぁ

桃子「ま……待ってよ、お兄ちゃん！」

ﾊﾞﾀﾊﾞﾀﾊﾞﾀ



―せっかくの休みの日。お兄ちゃんと行ったおいしいホットケーキのお店



―少しでも一緒にいたいと歩いて行ったのが悪かった……のかな

ﾊﾞﾀﾝ

―劇場も事務所も桃子の家もここからは遠いので、お兄ちゃんの家に到着する

P「とりあえず、先に中へ入っててくれ」

桃子「うん……」

―何度もお邪魔した家。大体の物があるとこはわかる

―でも、さすがに部屋はひんやりして……雨に濡れた体がぶるっと震える

P「うわぁ……昼にはまだ降らないって言ってたのになぁ」

P「ほい、バスタオルだ。大丈夫か？」ｽｯ

桃子「う、うん、今のところは……」

桃子「……は……ふぁ」



桃子「はっくっしょんっ！！」

―その日、一番大きい……口から出た音になったと思う

P「最近桃子と休みの度とか出掛ける度に降られるけど、天の神様はヤキモチでも焼いているのやら」

桃子「うぅ〜」

（もう……桃子、絶対に雨女だよぅ）

（まぁ……久しぶりにお兄ちゃんの家に来れたし、良かったこともあるけど）

P「とりあえず服を脱いで。お湯だけ溜めとくから、先にシャワーを浴びてきな」

桃子「う、うん」ﾊﾟｻｯ

桃子「お兄ちゃんは大丈夫なの？」

P「まぁな」

桃子「出る前、あんなに晴れてたのにね」ﾊﾞｻｯ

P「あぁ……」



―ここまで……男の人のうちに来て……

―少しだけ「もしかして」という期待が膨らむ

―そうすると……



―あとは切欠だけ

P「濡れた服は……その装いはさすがに簡単には乾かないだろうが、桃子のジャージぐらいならあったはずだから」

桃子「うん。とりあえずハンガーってどこだっけ？」

―下着姿のままお兄ちゃんに質問する

P「えっと、ハンガーは……」



「ぶえっくしょん！！」

―その音は静かなお兄ちゃん家に響き渡った

P「す、すまん……」

桃子「もう……お兄ちゃんも寒いんじゃない」



―踏み出す時はここだって思った

桃子「ねぇ……」



―切欠なんて、突然やってくるものなんだ

―半分ドキドキしながら、半分は頭で計算しちゃう私





―自分を信じて……



桃子「お兄ちゃんも風邪引いちゃうから」



桃子「一緒に……入らない？」

―さようなら

―「今までの私」



―ようこそ



―「お兄ちゃんの隣の私」

―わかってるつもりだった

―でも、すごくいっぱいいっぱいだった

―だからだろう、お兄ちゃんは……

―すごく



―優しかった

―アイドルとプロデューサーという引け目

―なんてものに躊躇する段階なんてとっくに終わってる

―だから

―キス一つで、寂しい気持ちなんか一辺に飛んで行く





―あとは……なんだっけ

―突撃あるばかり？

ﾄﾞﾎﾞﾎﾞﾎﾞ

―お湯を入れている音ばかり浴室に響く

P「……」

桃子「……」

P「……」

桃子「……」

P「……」



―気がついたらどっぷりと嵌まってて

―す、することが終わった時は、あんなに心臓がうるさかったのに……

―いざ冷静になると沈黙が辛いな……

―……

―こんな桃……私の姿もあったんだなって今更ながらに思っちゃう

―でも

―今のお兄ちゃ……貴方ならみんな見せることができるよ

―だから

「あのさ……」

「ぴゃっ！？」ﾋﾞｸｯ

「あ……すまん」

「で、な、何！？」

ﾄﾞｷﾄﾞｷ

「……」

「まだ渡してなかったんだけど……」



「今更だけど」

ｺﾞｿｺﾞｿ

―これはペアリング？



―違う……これってわ、私の名前が……

―つまり……これ結婚の……



「あー……女の子から誘われて情けないようですまないが」

―私から誘わなくても



「桃子の……アイドルとしてのさらなる輝きを見出だしてからでもよかったけど……」ｼﾄﾞﾛﾓﾄﾞﾛ

―どんな反応があるかなって……少し怖い思いをしなくても



―この人は

ｽｯ

「桃子？」



「まったく……」

―私を

「今更なんだから……」

ﾁｭｯ

―大好きです

―アイドルを始めた時、空っぽだった私



―今では宝物がいっぱい

―これからは想い出に変えて

―一緒に……みんなにばらまいていかないとね





―あ、二人の愛の結晶が先かな？

―私も頑張るから貴方も頑張ってね







P「……な、なんか寒気が」



おしまい

誤解されるといけませんが、こちらの桃子さんは12歳であるとはどこにも書いてません

あしからず







痛い痛い！首を掴んで振り回すのは勘弁！

乙
普通に11歳の桃子だと思って読み終えたからセーフだな
妄想は自由だから

>>16
感想ありがとうございます



の前にお詫びを。最後で12歳とありますが、正しくは20歳でした。改めてお詫び申し上げます

つうわけで、本当なら11歳の桃子で想像した方への煽りで締めたはずが、ミスにより締まってないんですよね

リベンジすっかな