涼「こ、コブダイ……？」

七海「はいれす！七海は初めて会った時からそう思ってたのれすよ～」

涼「はあ……」

七海「む。なんかいまいちリアクションが薄いれすね」

涼「悪いけど私、あんまりお魚のこと知らないから……コブダイって言われてもよくわからないというか、イメージが湧かないというか」

七海「なら！今から一緒に水族館でお勉強するれす！お魚アイドルの名にかけて、涼さんにコブダイの魅力を伝授してあげちゃうのれすよ～」

ｶﾞｼｯ

涼「え、今から！？ていうか七海ちゃん、握力強っ……！？」

七海「ふっふっふっ、ハクレンにバラムツ、果てにはプラークラベーンまで釣り上げてきた七海のパワーを甘く見ないれ欲しいれすね！さあ、水族館まで一直線れすよ！」

涼「ちょっ、引っ張らないでっ！？ぎゃおおおおおおおん！」

　・<゜)))彡

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　・<゜)))彡

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【天空タワー水族館】

七海「見てくらさい涼さん！土佐金れす！ランチュウれす！パンダ蝶尾もいるれす！」

涼「ねえ、ここにいるソフトボールみたいな大きさの金魚って本物？全然動かないんだけど……」

七海「それは江戸錦れすね～。ここまれ大きくなると泳ぐのがおっくうなのれお昼寝してることが多いのれすよ～」

涼「へえ……。水族館で金魚が見られるとは思ってなかったけど、見たこともない種類がいて楽しいね！」

七海「金魚は今でも品種改良が続けられていて、その総数は100以上とも言われてるのれす。同じ種類の金魚れもそれぞれ模様や体形が違うから見てて飽きないんれすよね～」

涼「そうだね……時間忘れてずっと見てられそう……」

涼「だけど七海ちゃん、本来の目的忘れてない？」

七海「ふぇ？」

涼「ほら、なんだっけ……コブダイ？を見に来たんじゃなかったっけ」

七海「……は、あはははは、もちろんれす！忘れてなんかいませんよ！」

涼（目が泳ぎまくってるけど、黙っておこう）

七海「ほらほら！あの水槽の上のほうれ泳いれるおっきな魚がそうれすよ！」

涼「えっと、あのまだら模様のやつ？」

七海「それはヤイトハタれす！もうちょっと下！」

涼「……もしかして、あのオデコが出っ張った魚？」

七海「そうれす！」

涼「はあ……あれが……」

涼（すごいオデコだなあ……アゴはしゃくれてて……歯もごつくて……）

七海「ろうれすか？なかなかユニークなお魚れしょ？」

涼「あー……うん……まあ……」

七海「なんか、喉にお魚の骨が刺さったみたいな顔れすね」

涼「フクザツというか……七海ちゃんはなんで私とコブダイが似てると思ったのか、そこが気になるなって」

七海「ああ、そのことならこれからわかるはずれすよ」

涼「？」

七海「ほら！水槽のお掃除をするダイバーさんが潜って来たれす！」

ﾂﾝﾂﾝ　ﾂﾝﾂﾝ
ﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸ

涼「なんか……コブダイがダイバーさんの周りをぐるぐる泳ぎだしたね」

七海「お口でダイバーさんをつんつんしてますね～。遊んれ遊んれ～って言ってるみたいれす～」

ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

七海「ダイバーさんが“お仕事中らからあっち行っててね”ってナデナデしてますね～。七海もやってみたいれす！」

涼「へえ、あんなに人懐こい魚なんだ」

七海「大きくなった個体はあんまり外敵に襲われることがないのれ、初めて見た人間にも興味津々れ近るいてくることがあるらしいれす！」

七海「涼さんも、初対面の七海とすぐ友達になってくれました。とっても嬉しかったのれすよ」

涼「あ、そういうこと？私とコブダイが似てるって」

七海「はいれす！よその事務所の人に会う機会、なかなか無いのれちょっと不安らったんれすけろ、今はお魚の次くらいに大好きなのれす！これからも末永くお友達れいてほしいれす～」

涼「えへへ、面と向かって言われると、ちょっと、照れちゃうな……」

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【カフェスペース】

涼（さて、七海ちゃんはトイレに行ってるけど……せっかくだし、飲み物でも奢ってあげちゃおうかな）

涼（オススメは……へえ、ペンギンの形の氷が入ったドリンクなんてあるんだ……可愛い♡これにしよっと）

涼（あ、ドリンク乗せるプレートにお魚の解説が書かれてる！サービスが細かいなあ）

涼（どれどれ、コブダイの解説は……っと）


《コブダイ》
北海道から九州の岩場に生息する大型魚で、体長1ｍ以上に成長することもあります。
性転換をする魚としても有名で、子供のころはすべての個体がメスですが、やがて群れのなかで最も大きく成長した個体がオスに性転換し、小さなメスを従えたハーレムを形成します。

涼（…………ん？）

“性転換をする魚としても有名”

涼（んんんんん？？）

“　性　転　換　を　す　る　魚　”


ｿﾞｸｯ

涼（ま……まさかね？そんなワケない、よね？七海ちゃんとは色々あったけど、バレるようなヘマなんてしてないし……）

七海「涼さん！」

涼「ぎゃっ！？七海ちゃん、いつの間に戻ってきてたのっ！？」

七海「そ、そのジュースは、もしかして……」

涼「あ、うん。オススメらしいから七海ちゃんも一緒にどうかなって……」

七海「ありがとうございますー！！！これすっごく有名なメニューなんれすよ！」

ﾁｭｰﾁｭｰ

七海「おいしい～♡」

涼「ははは……喜んでもらえて良かったよ……」

涼（なにを動揺してるんだ僕は……じゃなくて私は！考えすぎだって！バレてるわけないから！ここは堂々としてないと……）

涼（落ち着け……落ち着くんだ……冷たい飲み物でも飲みながら……）

ﾁｭｰﾁｭｰ

七海「ところれ涼さん、ひとつ聞きたいことがあるんれすけろ」

涼「ん、なあに？」


七海「涼さんはいつ男の子になるのれすか？」


涼「ﾌﾞｰｰｰｰｰｰｰｰｯｯｯ!?」

涼「ごほっ、げはっ、な、いきなりなんてこと言うのっ！？」

七海「らって、コブダイアイドルの涼さんならいつかは男の子になっちゃうんれすよね？そんれ七海や876プロの人たちを囲って爛れた桃色のハーレムを作るんれすよね？」

涼「するわけないから！！っていうか、そんな言葉どこで覚えてきたのぉ！？」


ﾋﾟｰﾝﾎﾟｰﾝﾊﾟｰﾝﾎﾟｰﾝ
《ご来場の皆様、ただいまよりチンアナゴのお食事タイムが始まります。ぜひご覧ください》


七海「はっ！？もうそんな時間れすか！行きましょう涼さん！チンアナゴれすよ！チンアナゴ！」

涼「　チ　ン　ん　ん　！？　」

七海「ここの水族館の名物なんれす！砂からにょろにょろ～って這い出してきてきて、ピン！って立って、ぱくっとエサを丸呑みするのれすよ～」

涼「た、た、立つぅぅ！？そんな、私違うから！チンでもないし、勃つなんてことありえないから！！」

七海「なんれそんなに震えてるのれすか？怖くないれすよ？とっても可愛いから一緒に見に行くのれす！」

ｽﾞﾙｽﾞﾙ

涼「ひっ、引っ張らないでっ！違うの！私はチンじゃない！チンじゃなーい！」


涼「　ぎ　ゃ　お　お　お　お　お　お　お　お　お　お　お　お　お　お　お　お　ん　！　！　！　」

　・<゜)))彡

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モバP「まあ……強引に連れ出した七海のせいでもあるし……なんだかんだ一緒に遊んでくれたのは有難いんですけど……」

モバP「水族館で大騒ぎして警備員呼ばれるのは……勘弁してほしかったかなって……」

涼「ごめんなざいいいいぃ……」


七海「すぴー……」

モバP「で、コイツはチンアナゴのぬいぐるみ抱いて夢の中、と。自由すぎだろ」

涼「警備さんには落ち着いて話したらわかってもらえて……騒ぎになっちゃったから早く帰ろうと思ったんですけど……七海ちゃんが“まらまら遊び足りないれすー！”って……」

涼「恥ずかしくてその後のことはよく覚えてないんですけど……どさくさに紛れてグッズとか、色々買わされちゃってたみたいで……」

モバP「悪魔かコイツは」

モバP「あとで使ったお金の額教えてくださいね。ウチが払うんで」

涼「そんな、私が迷惑かけたのに」

モバP「いいんですって。変なこと言って動揺させた七海も悪いし、お互い様です。なによりアイドルにお金使わせたなんて知れたら俺が石川社長に殺されちまう」

モバP「七海はちょっと奔放すぎというか……周囲を振り回すこともあるんですが、悪い奴じゃないんです。こんなこと言うのはおこがましいんですが、良かったらまた遊んでやってください」


七海「えへへ……涼さん……またいっしょに……すぴー……」


モバP「本人もこう言ってますし」

涼「……」

七海（涼さんも、初対面の七海とすぐ友達になってくれました。とっても嬉しかったのれすよ）

七海（今はお魚の次くらいに大好きなのれす！これからも末永くお友達れいてほしいれす～）


涼「……はい。こちらこそ」

涼「これからもよろしくね。七海ちゃん」

七海「くか～……」

お し ま い

ちなみにチンアナゴという名前は犬の狆（ちん）が由来なので如何わしい意味は一切ないです

乙
素晴らしいの一言です｡この手の「涼ちんが振り回されるSS」が大好きなので自分もこんなSSが書きたいのですが、まだまだ自分の力量不足を痛感しました
でも、このSSを目標にこれからも頑張りますね!

天空タワー...金魚...チンアナゴ...モデルになった水族館が一発でわかりますな

オチでこれ思い出したわ

オチでこれ思い出したわ

すまん、ファイル形式のせいで画像貼れてなかった