～1日目～


霧子「こんにちは……限界アイドルの幽谷霧子です……」

霧子「今日は29歳の誕生日……なので、ちょっと贅沢しちゃいます」

ｺﾞｿｺﾞｿ
ﾀﾝｯ

霧子「子供用歯磨き粉……大人買いです……ふふ……」

霧子「いちごと……バナナと……こっちはグレープ……」

霧子「まずはバナナから……」ﾁｭﾊﾟ

霧子「うん……科学的な甘さ……」

霧子「いちごは…」ﾁｭﾊﾟ

霧子「ちょっと香料がきついかな……でも、クセになる味……」

ｷﾞｭﾙﾙﾙ…

霧子「……おなか空いたなあ」

～2日目～


霧子「限界アイドルの幽谷霧子です……さすがに昨日は限界すぎたので……今日は、ナポリタンを作ります……」

霧子「用意するのは……ケチャップとウスターソース……あと、人参……の皮」

霧子「野菜の皮って、冷凍して保存しておけばスープの出汁とかに使えるんです……」

霧子「そんな余裕ないけど……」

霧子「まずは人参の皮を刻んで……油で炒めて……」

霧子「同時進行でパスタを茹で……あれ？」

ﾎﾞﾛｯ

霧子「バキバキに折れてる……どうして……？」

霧子「……しょうがないか」

霧子「茹で上がった麺と人参の皮をフライパンに投入……ケチャップとウスターソースを和えて味を調整しながら炒め……」

霧子「ちょっと焦げ目がつくくらいが理想……はい、完成」

霧子「人参の皮……食感は良くないけど、香りは強いから……細かく刻めば料理のアクセントになります……」

～3日目～

霧子「限界アイドルの幽谷霧子です……冷凍庫に挽肉があったので……今日は、餃子にします」

霧子「まずは小麦粉を……きゃっ！？」

ﾄﾞﾎﾞｯ!

霧子「う、嘘……なんで袋に穴が……？」

霧子「……はあ。お掃除しなきゃ」

(小麦粉が無くなったので片栗粉で挽肉餡を作ってパンに付けて食べました)

～4日目～


霧子「食材無くなっちゃった……」

霧子「お米はあるけど……なにか買い足さないと……でも今月の予算が……」

霧子「う～ん……」


PLLLLLL……

霧子「あれ……あさひちゃん？」

ﾋﾟｯ

あさひ『霧子ちゃん！配信見てたんすけど、お米があるなら無理に買い出ししなくてもいいんじゃないっすか？』

霧子「でも、それだけじゃ……」

あさひ『調味料はあるんすよね？』

霧子「まあ、一通りは……お醤油、お味噌、お酢……」

あさひ『それで3食安泰じゃないっすか。醤油ごはん・味噌ごはん・お酢ごはん！』

霧子「い、いくらなんでもそれは……というか、お酢ごはんって……」

あさひ『霧子ちゃん、お寿司好きっすよね？』

霧子「まあ……」

あさひ『なら問題無いじゃないっすか』

霧子「ええ……？」

(あさひは霧子と別方向に限界なようです)

～5日目～


霧子「今日は……大崎甜花ちゃんと、コラボ配信……です……」

甜花『にへへ……甜花、押し入れからライブなう……ﾋｯｸ』

霧子「あの……甜花ちゃん、もしかして酔ってる……」

甜花『ないよ～。酔ってないよ～。ﾋｯｸ』

霧子「でも……後ろに、ストゼロの缶がたくさん見えるけど……」

甜花『らいじょーぶ……ぜ～んぶ空き缶らから……にへへ……』

霧子(それってもう飲んでるってことだよね！？)

甜花『年金問題、地方の過疎化、貧困格差……甜花にはな～んにも関係な～い……！』

(放送事故or剽窃ギリギリの内容になりそうなので急遽お開きになりました)

～6日目～


霧子「この前の配信で赤スパをくれた……えっと……“幽谷原理主義者”さん……ありがとう……」

霧子「いただいたお金でスタッフさんが漆塗りの食器を買ってきてくれました……」

ﾄﾞﾝｯ

霧子「綺麗……すごく薄くて軽い……」

霧子「さっそく、このお椀でごはんを食べようと思います……」

霧子「冷凍ごはんをお椀によそって……ラップをかけて……レンジで3分！」

ﾁｰﾝ!

霧子「ああああああああっ！？お椀がグニャグニャにいっ！？」

(Q：木の食器をレンジに入れたら変形してしまいました。なぜでしょうか？)

(A：木製食器は内部に水分が含まれているため、レンジで温めると膨張して変形・ひび割れを起こします。レンジに適した食器かどうかを事前に確認しましょう。お前は愚か)

～7日目～


≪未読メッセージ　2件≫

あさひ≪今夜、甜花ちゃんと一緒にルカさんのお店行くっす。霧子ちゃんもどうっすか？≫
あさひ≪霧子ちゃんこの前誕生日だったし、わたしらがご馳走するっすよ≫


霧子「わあ……嬉しい……」

ﾋﾟﾎﾟｯ♪
霧子≪ありがとう……。今日は打合せがあるけど、その後なら大丈夫……≫

ﾋﾟﾎﾟｯ♪
あさひ≪それじゃまた後で、よろしくっす～≫

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～Bar【CLOUD NINE】～


霧子「外食なんて久しぶりだなあ……」

ｶﾞﾁｬ!

冬優子「幽谷霧子おおおおおおおおおっ！！」

霧子「え！？」

ﾑｷﾞｭ!

冬優子「大丈夫！？ちゃんとごはん食べてる！？ふゆのスパチャ受け取ってくれた！？」

霧子「ちょ……くるしっ……」

あさひ「冬優子ちゃんがっつきすぎっすよ。それじゃハグ通り越してサバ折りっす」

冬優子「あっ……ごめんなさい、つい……」

霧子「大丈夫……久しぶりだね、冬優子ちゃん」

霧子「あれ？甜花ちゃんは？」

あさひ「あたしより先に来てたんすけど、冬優子ちゃんが帰らせちゃったっす」

冬優子「あの子昨日の夜から24時間耐久酒カス配信やっててね……最後のほうで“このまま友達と飲みに行く”とか言ってたから嫌な予感がしたのよ」

冬優子「で、ふゆが来てみたら案の定店の前でぶっ潰れてたからタクシーに叩き込んで送り返したってわけ」

霧子「あはは……」

あさひ「冬優子ちゃんって結構真面目にあたしらの配信見てくれてるんすね～」

冬優子「あんたのメシマズ配信は全っ然面白くないけどね。ま、創作のネタにはなるけど」

霧子「創作……？」

あさひ「冬優子ちゃん今ラノベ作家やってるんすよ。ゴリゴリの百合小説ばっかっすけど」

霧子「わあ……すごいなあ……」

あさひ「アイドル時代から溜めこんでた妄想を全開にした冬優子ちゃんは無敵っす！こないだの新作なんてヒロインがどう見ても霧子ちゃんで」

ﾎﾞｷﾞｬ!

冬優子「幽谷霧子も興味があったら読んでみてね。ふゆにやましい気持ちとかは全然ないから」

霧子「う……うん……」

あさひ「前が見えねえ」

ルカ「――おい。注文もしねえでいつまでくっちゃべってんだ」

霧子「あ、ルカさん……すいません……」

ルカ「さっさと頼め。元同僚のよしみで席用意してやってんだからな」

あさひ「用意もなにもこの店いつもガラガラだから関係なくないっすか？」

ﾄﾞｸﾞｼｬ!

霧子「えっと……ラスティネイルで」

冬優子「ふゆはホワイトレディね」

あさひ「前が見えねえ」

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霧子「ふふ……こうやってお話してると昔に戻ったみたい……」

冬優子「そうね……昔はここにいる全員がアイドルだったのよね……」

あさひ「わたしと霧子ちゃんはまだ現役っすよ！」

冬優子「ああ、あんたもそうだったっけ？」

あさひ「ひどいっす～」

冬優子「――実はね、今度こっちに引っ越そうと思ってるの」

霧子「え……？作家さんならお家で仕事できるんじゃ……」

冬優子「そうだけど、やっぱり出版社がこっちに集中してるから色々と都合がいいのよ。小説の売れ行きもそこそこ良いから広い部屋借りられそうだし」

霧子「へえ……いいなあ……」

冬優子「それで……その、幽谷霧子っていつも配信で映ってる部屋に住んでるの？」

霧子「うん」

冬優子「気を悪くしないで欲しいんだけど、あそこって貴方には相応しくないというか……仕事で使う部屋と住む部屋が違ってても活動には問題ないでしょ？」

冬優子「だからその……良かったら、一緒に……」

霧子「……」

霧子「ありがとう。……でも、わたしは今の限界生活も楽しいと思ってるし……それを見て応援してくれるファンの人たちに嘘はつきたくないの……」

冬優子「……そうよね。普段はいい暮らししてカメラの前でだけ演技するなんて意味がないわよね。ごめんなさい」

霧子「ううん……心配してくれて、嬉しかった……お家が近くなるなら、またこうして会える機会も増えるよね……？」

冬優子「もちろん！いつでも声かけて！ふゆからも誘うから！」

霧子「えへ……楽しみ……」

霧子「わたし、明日も朝活配信するから……お先に」

冬優子「お休みなさい。……あ、スタッフにスパチャの使い道をもっとマシにしろって言っときなさいよ」

霧子「うん……お休みなさい」

ｶﾞﾁｬ
ﾊﾞﾀﾝ


あさひ「――またフラれちゃったっすね」

冬優子「うっさい」

ルカ「ほらよ。エスプレッソマティーニ」

ﾄﾝｯ

冬優子「え？頼んでないですよ？」

ルカ「1杯くらいサービスしてやるよ。これから常連になってくれんだろ？」

冬優子「……ありがとうございます。ちょうど苦いのが飲みたい気分でした」

あさひ「ルカさん！わたしホーセズネックが飲みたいっす！」

ルカ「ウチはそういう手間のかかるカクテルはやらねーよ。客の回転悪くなるからな」

あさひ「え～？いっつも暇なくせに」

ﾒﾒﾀｱ!

冬優子「これ、美味しいです。ほろ苦くて……」

ルカ「だろ？ママに教わったレシピでさ。人生には“苦味”が必要なんだよ」

あさひ「前が見えねえ」

　・

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霧子「はあ……今日は楽しかったなあ」


ｺﾞﾄｺﾞﾄ


霧子「あれ……？家の中から、音が……？」

ｶﾞﾁｬ

霧子「電気、電気……」

ﾊﾟﾁｯ

霧子「あ、ねずみさん……こんばんは……」

霧子「……」

霧子「…………！」

霧子「ひゃああああああああああああああああああああっ！？」

(Q：いつの間にか家にネズミが住みついていました。なぜでしょう？)

(A：クマネズミやハツカネズミは電線を伝ってマンションの高層階にも侵入してくることがあります。食べ物が齧られている・ごみ袋に穴を空けられている、糞が落ちているといった侵入のサインを見かけたらすぐに駆除業者を呼びましょう。お前は愚か)

お　し　ま　い


ちなみに原作で歯磨き粉の直食いは中毒の危険性があると記載されているので良い子は真似しないでください
https://shonenjumpplus.com/episode/17106567266985756745

乙
俺「前が見えねえ」

乙
というか原作あったのか…

大崎甜花（CV:青山吉能）

こ　れ　は　ひ　ど　い
冬優子もあさひもブレないなぁ
ルカが綺麗にバーテンダーに纏まってるのなんかすき

乙でした！

霧子＝ギリ子、甜花＝アヤ、あさひ＝ユリ、冬優子＝アイ、ルカ＝にいなさんかな