Ｐ「そういわずに！頼む！」ｶﾞｻｶﾞｻ

ジュリア「……嫌だ」

Ｐ「お願い！一生のお願い！」ｺﾄｯ

ジュリア「嫌だ」

Ｐ「頼むって！な？」ｽｯｽｯ

ジュリア「……そう思うならケータリング並べながら頼むのやめろよ」

Ｐ「分かった、手は止めよう」

Ｐ「その代わり、ジュリアもちょっとギターを置いて話を聞いてくれ」

ジュリア「……そんなに大切な話なのか？」

Ｐ「そう！大切なの！」

Ｐ「なんたって、『水着』の話だから！」

ジュリア「……」

運送屋「こんにちはージュリアPさん、注文した品をお持ちしました」

Ｐ「な？だから一回ギター置こう？ソファーの背もたれに立てかけとこう？」

ジュリア「……分かったよ」ｺﾄｯ

Ｐ「な？大事な話だから、な？」

ジュリア「……」

Ｐ「弦も一旦緩めといてな？面倒かもしれないけど後でチューニングし直してくれな？」

ジュリア「……」

Ｐ「あ、その前に弦拭いとくか？錆とか気になるタイプか？」

ジュリア「うるせーな！早く話進めろよ！」

Ｐ「まあまあ、落ち着いて聞いてくれよ」

ジュリア「怒らせてるのは誰なんだよ……」

Ｐ「それじゃあ、仕事の件なんだけどな」

ジュリア「ああ」

Ｐ「とりあえず肉まん買ってきたから、それでも食べながら話そうか」ｺﾞｿｺﾞｿ

ジュリア「真面目な話なのか？それともただの雑談なのか？」

Ｐ「お腹空いてると思ってさ」

ジュリア「別に空いても満腹でもない」

Ｐ「そうか、じゃあホラ、食っとけ食っとけ」

ジュリア「……」

ジュリア「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ジュリア「……で？パレオがなんだって？」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

Ｐ「ああ、ジュリアに着てもらって撮影をって話だ」

ジュリア「……正直、あたしとしてはあんまり気が進まないな」

Ｐ「そう言うなよ、結構おいしい仕事みたいなんだから」

ジュリア「ふーん」

Ｐ「まず、撮影は短時間」

ジュリア「はあ」

Ｐ「衣装も一着、着替えなし」

ジュリア「ほお」

Ｐ「撮影場所は実際の浜辺で、夕日をバックに数枚パシャパシャッと」

ジュリア「なんか、ホントに簡単だな」

Ｐ「っていうのに、さっきハンコ押してきたから、よろしくな！」

ジュリア「事後承諾かよ！？」

ジュリア「おい、待て待て待て」

ジュリア「もうハンコ押したぁ！？」

ジュリア「何考えてんだあんた！」

Ｐ「ああ、押してきた！」

Ｐ「ポンッ☆っとな！勢いで決めてきたぜ！」

ジュリア「いや、せめて一回あたしに話通してくれよ！」

Ｐ「いや、でもほら、勢いって大事だからさ、この業界」

Ｐ「先方が、『ね？こんな感じで行っちゃいましょうよ、Ｐさぁ～んｗｗｗｗ』って言うからさ、俺も」

Ｐ「『そっすねーｗｗｗｗ』ﾎﾟﾝｯ☆彡　つって！」

ジュリア「ポンッ☆、じゃねえよ！」

Ｐ「サインもポンッ☆　つってｗｗｗｗｗ！」

ジュリア「何がポンなんだよ！！」

ジュリア「ったく、何なんだよ一体……」

Ｐ「ま、そういうわけでもう決まって、動き出してるからさ」

Ｐ「一つよろしく頼むよ」

ジュリア「まあ、もう決まったなら仕方ないけどさ……」

ジュリア「……で？今、どこまで進んでんだ？」

Ｐ「ああ、実はもう現地行って撮るだけなんだ」

ジュリア「おいおい、急な話だな」

Ｐ「まあ、結果的にな？結果的にそうなってはしまったが」

ジュリア「ムカつく言い方だな」

Ｐ「えーっと、明日の５：３０羽田→グアム行きの飛行機に乗って」

Ｐ「で、現地に着いたら軽く現地の下見をして」

Ｐ「夕方撮え……」

ジュリア「だから待てって」

Ｐ「なんだ、どうしたどうした」

ジュリア「急だな！？全体的に！！」

Ｐ「だから、そう言ってるだろ」

ジュリア「心配事が多すぎるだろ！」

Ｐ「はあ？どこが？」

Ｐ「もう日本は寒くなってきたけど、グアムなら問題ないし」

Ｐ「天候も快晴の予定だし……」

Ｐ「……あっ、もしかして学校のことか？」

Ｐ「あー！そういえば！もう夏休み終わりか！」

Ｐ「うーっわ！忘れてたわ！ごめんごめん！」

Ｐ「……悪いけどジュリア、一日休んでくれるか？」

ジュリア「いや、そういうことじゃない」

ジュリア「いや、学校もそうだけどさ」

ジュリア「もっと他にあるだろ？な？」

Ｐ「……現地の食事が口に合うかとか？」

ジュリア「違う！」

ジュリア「色々あるけどさ、例えば――」

ジュリア「パスポートはどうすんだよ」

Ｐ「それは取っといた、ほい」ﾎﾟｲｯ

ジュリア「どうやってだよ……」

ジュリア「これ違法なのじゃないだろうな……」ﾊﾟﾗﾊﾟﾗ

Ｐ「で、えーっと、肝心のパレオなんだけどな」

ジュリア「あ、そうそう、そうだ」

ジュリア「こういうのって、あたしの希望とか聞いてくれたりするのか？」

ジュリア「一応、自分で着るもんだから、あたしもちょっとは選びたいんだけど……」

Ｐ「あ、ごめん、もう買っちゃったわ」

ジュリア「おい！！」

Ｐ「」

Ｐ「怒鳴るなよ……怖いよ……」

ジュリア「いや、そんなにビビるなよ……」

ジュリア「あのさ、そうじゃなくてな？」

ジュリア「一応あたしの仕事なんだからさ、ちゃんとあたしにも前もって話をしてくれよ」

ジュリア「そりゃ、あたしだってこういう仕事が来てブツクサいうのは悪い癖だけどさ」

ジュリア「仕事なんだから、できる限りのことはするし」

ジュリア「覚悟決めたらちゃんと根性みせるからさ」

ジュリア「だから、仕事とってくる前には、できる限り相談してくれ」

ジュリア「あたしとあんたはパートナーだろ？……な？」

Ｐ「ジュリア……」

Ｐ「……そうだよな、俺が悪かったよ」

Ｐ「これからはジュリアにちゃんと相談する」

ジュリア「わかってくれたなら、それでいいさ」

Ｐ「俺とジュリアは、兄妹なんだもんな」

ジュリア「いや、そこまでは言ってない」

Ｐ「それでな？お兄ちゃん、ジュリアのパレオもう買ってきちゃったんだけど」

ジュリア「勝手に設定作るなよ」

Ｐ「自腹で」

ジュリア「マジかよ」

Ｐ「\30,900のパレオ、見てくれるか……？」

ジュリア「高くねえか？」

Ｐ「お兄ちゃん、頑張って選んできたから」

Ｐ「ジュリアに似合うパレオはどれかなって、一生懸命考えたから」

Ｐ「さ、見てくれ」

ジュリア「大丈夫かあんた？ちょっと気持ち悪いぞ？」

Ｐ「サイズはたぶんぴったりだと思うから」

ジュリア「だいぶ気持ち悪いな」

ジュリア「……ふーん、結構いいじゃないか」

Ｐ「そうだろ？青のグラデーションが海っぽくていいだろ？」

ジュリア「そうだな、かなり大人っぽいデザインだな」

Ｐ「ああ、ジュリアは結構青も好きかと思ってな？」

ジュリア「ああ、気に入ったよ」

Ｐ「お兄ちゃん、ジュリアのこと意外とよく見てるだろ？」

ジュリア「お、おう」

ジュリア「あ、でもちょっと待ってくれ」

Ｐ「なんだ？」

ジュリア「これ、デザインは好きだけど生地が薄すぎないか？」

Ｐ「は？」

ジュリア「あたし、こんな薄いの恥ずかしいかも……」

Ｐ「……」

Ｐ「ジュリアさあ……」ﾊｧ

Ｐ「どうしてお前はそう、一言多いんだ？」

ジュリア「いや、そんなこと言ったって、あたしこんなの着たことないし」

ジュリア「今のはただの感想っていうか……」

Ｐ「いや、文句だろ」

Ｐ「せっかく買ってきてやったのにさぁ……」

ジュリア「……あんたが勝手に買ってきたんだろ」

Ｐ「お前さ、さっきもそうだったじゃん」

Ｐ「俺がせっかく肉まん買ってきてやったのに」

Ｐ「別に腹減ってたわけじゃないとか言って対して嬉しそうにしないし」

Ｐ「その割に一応受け取って完食するし」

Ｐ「ほんとなんかさ、そういうトコあるよな」

ジュリア「いや、だからあたしが頼んだわけじゃないだろ」

Ｐ「この前だってそうだよ！」

Ｐ「俺がアイス買って帰ってきたら！」

Ｐ「『アイス？まあ、一応食べるかな』って言って！」

Ｐ「そのくせペロッと平らげたなあ！？」

ジュリア「いや、だって別に食べたくなかったけどアイスくれるから……」

Ｐ「乗り気じゃないのにペロっと行くって」

Ｐ「お前育ち盛りかよぉ！？」

ジュリア「たぶんそうなんじゃねえの？」

Ｐ「ほんと！そういうトコあるよ、お前！」

ジュリア「」ﾑｯ

ジュリア「そんなこというなら、そもそも連絡してからおやつ買って来ればいいじゃないか」

ジュリア「『今コンビニだけどなんか食べたいものある？』って」

ジュリア「LINE飛ばせばいいだけの話だろ」

Ｐ「だってお前、LINEの返信遅いじゃん！！」

Ｐ「２時間くらい余裕で時間開けるのにそんなこと聞いたってどうしようもないじゃん！！」

Ｐ「言っとくけど俺２時間もコンビニにはいないからね！？」

ジュリア「じゃあ、電話くれればいいだろ！」

Ｐ「電話は電話でなんか機嫌悪いときあるじゃん！」

Ｐ「なんで機嫌悪いのって聞いたら」

Ｐ「『練習してる曲が上手くいかない』って」

Ｐ「そんな時に『今コンビニだけど何かおやついる？』とは聞きづらいじゃん！！」

ジュリア「別に聞けばいいだろ！そんなこと！」

ジュリア「あー、そういうことなら言わせてもらうけどさ」

ジュリア「あんただって他人のこと言えないぜ？」

ジュリア「さっきだって、大事な話っていいながらみんなのおやつ準備してるし！」

ジュリア「パワポ作りながらあたしの相談に乗るし！」

ジュリア「いっつも気を利かせたつもりで買ってくる一弦は種類違うし！」

Ｐ「それは言えよぉ！」

ジュリア「第一、なんだよ今回の仕事は……！」

ジュリア「百歩譲ってパレオはいいさ、それはいい」

ジュリア「それにしてもなあ……」

ジュリア「明日5:30の便はどう考えてもおかしいだろうがああ！！」

Ｐ「ぐうっ……！」

ジュリア「今、夜の８時だぞ！」

ジュリア「家帰って寝るのだって時間かかるんだからな！分かってんのか！」

Ｐ「く……」

ジュリア「そんで5:30の便ってことはそれよりだいぶ早く起きなきゃなんないんだからな！」

Ｐ「う……」

ジュリア「今から全力で帰ってシャワー浴びて寝て起きて空港行くってなったら！」

ジュリア「明らかにスケジュール間に合わないの分かるだろうが！」

Ｐ「あう……」

ジュリア「どんだけアホなんだよ！このバカプロデューサー！」

Ｐ「う、う……」

Ｐ「ごめんなさわぁぁあああああああん！！」

ジュリア「え？ちょっ」

Ｐ「だって、だってぇ！」

ジュリア「お、おい、泣くな！泣くなってば！」

Ｐ「魅力的なお仕事だと思ったからぁ！」

Ｐ「企画も分かりやすかったし、拘束時間も短いし……」

Ｐ「それなのにお金がいっぱい入ってくるみたいだったからぁ……」ｸﾞｽｸﾞｽ

ジュリア「わ、分かった！分かったからぐずるな！」

Ｐ「つい受けちゃったんだもん！」

ジュリア「だもんって、あんた……」

Ｐ「仕事にかこつけて、ジュリアにパレオを着せたかったんだもん……」ｸﾞｽｯ

ジュリア「本音出てるぞ？」

Ｐ「お兄ちゃん、妹の晴れ姿が見たかったんだもん……」

ジュリア「あんたはあたしの兄貴じゃないぞ？」

Ｐ「ぐすっ、ぐすっ」

ジュリア「……あー、もう分かった分かった」

ジュリア「着てやるよ、パレオ」

Ｐ「……ホントか？」

ジュリア「ああ、朝早いのも我慢するさ、そんなの飛行機の中で寝ればいいだけだしな」

Ｐ「……ちゃんとカメラの前でポーズとってくれるか？」

ジュリア「ああ、とるとる、バッチリ決めてやるよ」

Ｐ「そうか、ありがとう、ジュリア……」

Ｐ「じゃあ、明日悪いけどよろしくな」

ジュリア「ああ、任せてくれよ」


ジュリア「……」

ジュリア「ところでさ、プロデューサー」

Ｐ「ん、なんだ？」

ジュリア「あたし、もう一つだけ気になることがあるんだけど」

ジュリア「この仕事、聞けば聞くほど条件のいい仕事な気がするんだけどさ」

ジュリア「ホントに写真撮影だけでいいのか？」

Ｐ「ああ、そう言えばもう一つだけ条件があるんだった」

ジュリア「なんだよ」

Ｐ「えーっと」

Ｐ『写真撮影後、その写真を各種ＳＮＳアップし、以下のコメントをお願いします』

Ｐ『この日焼け止めクリームのおかげでグアムの日差しもへっちゃらでした！これからも愛用します！』

ジュリア「インフルエンサーじゃねえか！お断りだよ！」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おわり

大切な休日の午前中を浪費しました。
書いた後で見直すのが怖いのでこの糞ＳＳスレはこのまま落としてください。

おつー
バカPとジュリアの掛け合いすこ

勢いがいいバカP

よき、お疲れ様です
15分くらいの言い合いが目に浮かぶようだった

ジュリアっぽさがよく出てたし面白かった
Pはバカだなぁ

乙
皆もっと軽率にSS書いて

一人称がお兄ちゃんになるとこ好き

なるほどジュリアのパレオってそういう･･･

>>44
わし>>1じゃないけど、SSって書いて良いのか？

書いちゃダメってルールはないし、いいんじゃない？

>>39
だが断る。
>>46
SSじゃないけど似たようなのはあったし別にえんちゃう。

>>46
スレタイに【ミリオンSS】とか入れた方が分かりやすくはあるかな？

面白かった、また書いてほしい
他の人もぜひに

SSが増えれば管理人ちゃが専用のタグなり板なり増やしてくれるかもね(丸投げ)

SSといえば桃子先輩の作品があったな
俺も書けたら書きたい

（スレタイでサスケェのネタかと思った）

>>52
ジュリアァ！ お前のこしのパレオとってパレオ！

ジュリアと馬鹿Pのタッグ最高だってばよ！

読みやすくて面白かった。お疲れ！！

>>52
誰でもそう思う、俺だってそう思う

面白かったです！

オレオ取ってオレオみたいな語感で笑った