ツムギ=ウォーカー「遭難してしまったやいね…」
1 : プロデューサー   2019/01/10 02:13:26 ID:VJvtKEDOq2
「この島…いったいどこなのだろうか」
2 : 彦デューサー   2019/01/10 02:27:41 ID:VJvtKEDOq2
とある劇場で起きた、凄惨な事件からしばらく―――

僕は探偵業務に忙殺されていた。
そうされていたかった、というのが本当のところかもしれない。
どうすべきだったのか、これからどうすべきなのか、
考えた時間もあったが、いずれも結論を得る前には止めてしまった。

このまま、忘れていくのだろう。
ただの痛ましい事件の一つとして。
世の探偵が、きっとそうであるように。

かくして訪れた久しぶりの休暇に、ふと船旅に出てみたのだが…

「まさか船が難破するとは」
3 : あなた様   2019/01/10 09:12:12 ID:vA2NN8tZV6
サクラモリアーティ教授と共に滝壺に落ちたら無人島に辿り着いたんでは……。
4 : Pさぁん   2019/01/10 18:38:49 ID:zbgH6NaAg6
SSかな?期待
5 : プロデューサーはん   2019/01/10 19:57:19 ID:Ba0wxWSzns
続きを書くんだよぉ!(期待
6 : 1   2019/01/11 01:20:18 ID:XgBZRb4ST2
「まあ、生きて流れ着いただけ奇跡的だ…」

「一人…でしょうか。他の乗員は…」

「……」

「それにしてもここは……どうやら無人島ではなさそうだ。簡素だけど船着き場に…道もある」

「……少しは希望があるかもしれない」
7 : ごしゅPさま   2019/01/11 01:26:53 ID:XgBZRb4ST2
「この道を辿ってみよう…人がいるなら、日が高いうちに…」

「足が重い…警部みたいな走り込みはしんげん、うちは…」



「ん……あれは」



「建物……館?」
8 : プロデューサー殿   2019/01/11 01:29:47 ID:XgBZRb4ST2
「ずいぶんと立派な…こんな島で?」




『……』

「…メイドの方が表に出ている、声をかけるなら今しかない」
9 : おにいちゃん   2019/01/11 01:38:37 ID:XgBZRb4ST2
『あら……』

「突然すみません…あの、僕の乗っていた船が難破してしまって、この島に漂着を…」

『……?』

「ああ、僕は探偵で、今日は久々の休暇で船に…じゃなくて…ええと」

『……』

「あの、中々信じてもらえないとは思うのですが…」

『あ…いえ、そういうわけではございません。そうですね、昨夜は荒れましたもの』
10 : バカP   2019/01/11 01:42:03 ID:XgBZRb4ST2
「…それで、その」

『ええ、さぞお疲れでしょう…どうかしばらく当家でお休み召されませ』

「あ……っ」

『どっどうされましたか』

「い、いえ!なんだか安心してしまって…あ、ありがとうございます」




『……どうぞ、中へ。ここにおられてはお風邪を召されます』
11 : プロデューサー殿   2019/01/11 01:44:20 ID:XgBZRb4ST2
「いいお湯でした…」

『ようございました。お召し物は汚れを濯ぎますので、今しばらくお預かりいたします』

「何から何まで、本当に何とお礼を言ったらいいか…」

『いえ…もうお休みになられますか?』

「ええ…そうさせていただけると」

『かしこまりました』
12 : Pくん   2019/01/11 01:47:40 ID:XgBZRb4ST2
『こちらをお使いくださいませ』

「よ、よろしいのですか?こんなに良い部屋…」

『お気になさらないでください、もとより余していた部屋ですから』

「ありがとうございます…と、申し訳ありません、名乗るのが遅れてしまいました」
「僕の名前は、ウォーカーと申します。職業は…探偵です」

『……まあ』

「このたびは、本当に感謝の念に絶えません。このご恩は必ず…」
13 : バカP   2019/01/11 01:51:12 ID:XgBZRb4ST2
「そういえば…こちらのご主人にもお礼を申し上げたいのですが…」

『申し訳ございません…主は留守にしております。何分、本日は来客の予定がなかったものですから』

「す、すみません」

『いえ…では、お目覚めのときにお食事をご準備いたしますね』




『ごゆるりとお休み召されませ』
14 : プロデューサーはん   2019/01/11 01:55:51 ID:XgBZRb4ST2

 「あなたのやったことはどうあれ…ただの殺人です」

 そうだ。ならばなぜ――

 『私を憐れに思ってくれるのなら…』

 庇うような。人の命を――

 『私は常に真実を――リアルを求めた』

 目の前で喪って。
15 : ぷろでゅーしゃー   2019/01/11 01:57:26 ID:XgBZRb4ST2

 「…そこから降りてきてください。…僕と一緒に、警察に行きましょう」

 誰一人にさえ、

 『さようなら―――愛するミリオン座』

 手が届かなかった。

 「     」

 僕はただ、茫然と眺めているしかなかった。
16 : お兄ちゃん   2019/01/11 01:58:54 ID:XgBZRb4ST2

 一体何のためにこの舞台上で生きている。

 いっそ、探偵という自分の配役を投げ出して―――
17 : そなた   2019/01/11 02:00:59 ID:XgBZRb4ST2



『どうかこのことは、誰にもお話しにならないでくださいね』

それでも僕は。




---
18 : プロデューサー様   2019/01/11 02:04:01 ID:XgBZRb4ST2
「……」

『お目覚めですか』

「……」

『……お食事は必要ございませんね』

「ええ。ここは」

『ご明察のとおりかと存じます』



「祖母の国の言葉で…黄泉比良坂。現世とあの世のはざまですね」
19 : ぷろでゅーしゃー   2019/01/11 02:06:17 ID:XgBZRb4ST2
『昨夜、私どもは三人の方を幽世へお渡しする予定でした』

「……」

『ですが、少々“手違い”があったようでございます。結局、三人のうちお二人が、辛うじて現世に留まられました』

『渡られたお一人は…他のお二人を教え導く立場のようでございました。彼女の献身なくば、お二人も同じ路を辿られていたことでしょう』

『…しかし、私どもとしては予定に狂いが生じました。主は…かなり強引に“辻褄合わせ”を試みたようでございます』

「それで、代わりに僕が招かれたということですか」
20 : プロデューサー様   2019/01/11 02:08:42 ID:XgBZRb4ST2
『もともとは二人を呼び戻そうとしたようでございます。結局のところ、それは叶いませんでしたが』

「……」

『ウォーカー様が“探偵”でおられるなら…おそらく尋常より“此方”に近いお方でしょう。最近に起きたことで、お心当たりはございませんか」

「……ええ」

『主が乱暴に力を振るいましたゆえ、巻き込んでしまったものと存じます。申し訳ございません』
21 : Pさぁん   2019/01/11 02:10:34 ID:XgBZRb4ST2
『今のうちに…お帰りになられた方がよろしいかと』

「…意外ですね。僕を帰すのですか?」

『主が戻れば、ウォーカー様をどのようにするかわかりません。私は…主の命は絶対ですから』

「……」
22 : せんせぇ   2019/01/11 02:11:43 ID:XgBZRb4ST2


「……お世話になりありがとうございました。僕は」


「仕事に戻ります」


---
23 : 箱デューサー   2019/01/11 02:13:12 ID:XgBZRb4ST2
『おーーい。ウォーカーくーん?』




「……っ」

『君も大概寝坊助だね。この間も大事な時に寝過ごしていませんでした?』
24 : そなた   2019/01/11 02:14:29 ID:XgBZRb4ST2
「…そんなはずは。……ここは?」

『もう港に着きますよ。…しかしまったく、こんなところでも鉢合わせるんだから』

「警部はどうしてこの船に?」

『出張です。列車で行けばもっと早いんですが。あいにく気が進まないのでね』
25 : おやぶん   2019/01/11 02:16:10 ID:XgBZRb4ST2
『この間の後始末ですよ。「屋根裏の道化師」を目前にしながら犯行を防げず、逃走されて逮捕も叶わぬまま被疑者死亡、警察のメンツは丸潰れ。事件が有名になったおかげで、お叱りが五月蠅いったら』

「……警部は手口を見抜いて事件を解決したじゃないですか。責められることは何も…」

『まあ、いろいろとあるのですよ、我々は。気ままなあなたと違ってね』

「言いますね。僕だって忙しく仕事に追われることくらいあるんですよ」
26 : ぷろでゅーさー   2019/01/11 02:18:57 ID:XgBZRb4ST2
「探偵らしく浮気調査でもしましょうか。最近は奥さん以外とも仲がよろしいんですね?」

『わ、私ですか?何を馬鹿な」

「ご一緒にランチまで」

『ちが、あれは迷惑なストーカー事件を解決したら是非お礼にと言うから無下にできなかっただけで』

「お心当たりが?」

『……ありません。まったく、最近は大人しくしているかと思えば…』
27 : 箱デューサー   2019/01/11 02:20:19 ID:XgBZRb4ST2



『…あの、妻には絶対言わないでくださいよ?』
28 : せんせぇ   2019/01/11 02:22:29 ID:XgBZRb4ST2
『本当に君は何と言うか…抜けているようで、油断も隙もありませんね』

「褒め言葉として受け取りましょう」

『…今度は何を嗅ぎまわってるんです?まったく、あんまり首を突っ込まないでくださいよ』

「言葉を翻すようですが、今日は仕事がありません。休暇中です。久しぶりの」

『…その割に、そんないかにも探偵、な恰好じゃないか』

「いかにもって。……い、いいじゃないですか別に」
29 : プロデューサーはん   2019/01/11 02:25:06 ID:XgBZRb4ST2
『そうか、ならいいんだがね。そんなキッチリバッチリな装いじゃ警戒もするってものです』

「そんな。最近は働き詰めでしたし、たまには休ませてくださいよ。このコートだってそろそろくたびれて…」

『…コート?』




『下ろしたてみたいに綺麗じゃないですか』
30 : Pしゃん   2019/01/11 02:29:31 ID:XgBZRb4ST2
『では私はこれで。いいですか、本当にあんまり首を突っ込まないでくださいよ!』

残念ながらその願いが叶うことはない。あの“警部”とは何やら因縁があるらしい。
きっとまた、今日のように顔を合わせることだろう。

「期待しないでください。何せ僕は――」

ようやくだが、僕は決めたのだ。

事件は、きっと忘れる。
しかしそこには確かに、必死に生きた彼女たちがいた。
僕こそが、彼女らが生きた証なのだ。
31 : Pチャン   2019/01/11 02:31:06 ID:XgBZRb4ST2
それこそが、僕がこの舞台に立ち続ける意味なのだ。

なぜなら僕の職業は――



「“探偵” です」



---
32 : 箱デューサー   2019/01/11 02:33:33 ID:XgBZRb4ST2
---
※公式にない設定や勝手な自己解釈及びご都合主義が多分に含まれますこと何卒ご容赦ください

ウォーカー君は早いとこ駒としての“探偵”の十字架を受け入れないとそのうち自○しそうとか思ったので勝手に救済
おとぎの国的要素を混ぜようとした結果サスペンスホラーがどこかへ行く始末
探偵を呼んだ意味がない…誰かウォーカー君シリーズ書いて…
---
33 : 我が下僕   2019/01/11 02:39:43 ID:XgBZRb4ST2
---
ツムギ=ウォーカー(とリリィ警部)の華麗な活躍が聴けるのは
THE IDOLM@STER MILLION LIVE! シングル「ラスト・アクトレス」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07H5VM168/sannziwow-22/ref=nosim/
だけ!
---
34 : プロデューサー   2019/01/11 08:56:31 ID:.X2wMTdHJo
おおー
完結してた

ウォーカーシリーズは書いてはいるけど、何分完結するか分からんからなぁ・・・
35 : ハニー   2019/01/11 09:13:37 ID:QmKlnLmD2M
ふざけたスレタイからの本格的なSSの温度差で風邪ひくわ
(おもしろかったよごちそうさま!)
36 : プロちゃん   2019/01/11 09:59:22 ID:YNhujHKPH.
これはできるイッチ。乙!!
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