1 :   2025/05/06 01:44:59 ID:IhSsPEj4KM

家が近所って事でよく遊んだんだ。俺とのり子と、たまにのり子の兄貴も混じってプロレスごっこをよくやった。男友達みたいな感じで2人してよくヤンチャしてはのり子のお母さんに怒られた。
中学の時だったかな?のり子が髪を整えてきた事があって俺に「どう?」と感想を求めてきた。その時初めてのり子に対して今までに無い感情が芽生えたがうまく言葉にできず、思わず「強そう」って言ってしまった。コブラツイストをキメられた。
ある時、のり子が原付の免許を取ったと聞いて、俺もすぐに免許を取った。少しでも良いのに乗りたくてバイトに明け暮れた。思えばこの辺りから2人の会話が少なくなっていたかもしれない。
大学に入ってしばらくして、のり子からアイドルになったと連絡が来た。突然な話で驚いたが招待を受けて劇場に向かう。ステージで歌い踊るのり子はキラキラ眩しく輝いていた。ステージの後のり子と少し話ができた。アイドルや劇場の話の後、話題はのり子の事になった。「今日のアタシ、どうだった?」今までは言わなかった。いや、言えなかった言葉を言おうとしたその時のり子は言葉を続けた。「こんなアタシでも、可愛いって言ってくれる人がいてさ…」見たことの無い表情だった。照れくさそうな、どこか嬉しそうな。
そうか。俺はのり子に可愛いって言いたかったんだ。でも俺の可愛いって言葉は多分、もうのり子に届かない。