【ミリSS】桃子「ねえ、お兄ちゃん。桃子がお嫁さんになってあげる」
1 : do変態   2026/07/24 21:10:53 ID:xy6aeeN6Do

桃子SSであります。
ここで出てくるプロデューサーは桃子の専属マネ的な個々についている感じを想定してます。
なお、区切り区切りに出てくる『桃子(12)←この数字』は年齢です。

以上。

ゆるりと書いていきます。
お付き合いいただければ幸いです。
2 : 毎日変態   2026/07/24 21:18:18 ID:xy6aeeN6Do

桃子(12)

「ねえ、お兄ちゃん。今日はクリスマスなんだけど…、まだお仕事してるの?」

窓の外は真っ暗。
そんな中、劇場の事務室にて桃子に背を向けたお兄ちゃんがパソコンに向かい合いながら笑い声をあげた。

「まあな。年が明けたらライブが待っているし、何よりも昨今の働き方改革で休日は一切連絡がつかない会社も増えたんだ。故に連絡事項の通知と情報共有はこの一週間が肝になる!」
「ふーん」

つまりはタブン、大事なお仕事という事なんだと思う。
でも、何より桃子の方を見てくれないお兄ちゃんにモヤッとした。

「ところで桃子は今日、ダンスの振り入れの日だったな。順調か?」
「桃子はプロなんだよ? 当たり前でしょ」
「ははは。愚門だったな、ならよかった」
3 : Pチャン   2026/07/24 21:26:39 ID:xy6aeeN6Do

そう言いながら手帳から名刺を取り出してパソコンの画面と交互に見比べるお兄ちゃん。
今は桃子とお話ししているのに。なのに桃子の方を一度も見ない。パソコンから一度も視線を外さない。大事なお仕事ってことはわかってはいる。

でも…、やっぱモヤモヤする…。

「ねえ、お兄ちゃん」
「どうした?」

やっぱり桃子の方を見ない。

「お兄ちゃんって、カノジョいないの?」
「げっふ、カファ!ごほ…!………なんて?」

あ、やっと桃子の方を見た。

「だから、カノジョ。いないのかなって」
「な、なぜ?」
「だってお兄ちゃん。クリスマスなのにこんな時間まで一人でお仕事してたから」
「あー。まぁ、………御覧の通りだな」
4 : Pチャン   2026/07/24 21:33:43 ID:xy6aeeN6Do

「やっぱいないんだ」
「いたら…、今日くらいは早く帰っていたかもな」
「ふーん。そっか、そうなんだ」

抑えきれずクスリと笑ってしまう。
そしたらお兄ちゃんがちょっと落ち込んじゃった。

えっと、どうしよ。…あ。

「ねえ、お兄ちゃん」
「…どうした?」
「桃子、ケーキ食べたい。イチゴの載ったクリスマスケーキ」
「どうしたんだ、急に」

もー!
お兄ちゃん察しが悪い!

「だから! 遅くなってもいいから、お兄ちゃんは桃子の事を家に送るの。それで、途中のコンビニとかでケーキ買って。…一緒に食べよ」

ちょっと恥ずかしくなって最後は声がちっちゃくなっちゃった。
でも、やっと察しの悪いお兄ちゃんにも伝わったみたい。
5 : Pくん   2026/07/24 21:41:39 ID:xy6aeeN6Do

「…そういうことか。ありがとな、桃子」
「ふん…。別に…、桃子がケーキ食べたかっただけだもん」

お兄ちゃんが笑いをかみしめるように手で口を隠した。
なんかすっごく恥ずかしい。

…でも、実は桃子も頬が緩まるのを必死にこらえてる。だって、これって…。お兄ちゃんのクリスマスの予定を桃子が独り占めにしちゃってるってことだもん。

「じゃあ、さっさと終わらせなきゃいけないもんを終わらせるか」
「あ、そうだ。お兄ちゃん」
「ん?」

お兄ちゃんと目が合う。
ちょっと恥ずかしくてプイと背けてごにょごにょと言葉を紡ぐ。

「さっき、…カノジョいないって言ったでしょ?」
「ハハハ。急に刺してくるじゃないか桃子」
6 : プロデューサー殿   2026/07/24 21:46:13 ID:xy6aeeN6Do

「なら…、えっと。桃子が、カノジョになってあげても、いいよ…?」
「…魅力的な提案ではあるが、桃子にこういう話はまだ早いな」
「…ふーん」

ふーん。ふーーーん。
そうなんだ。

“まだ”なんだ。

「まだ…」

つまり“いつか”は。
確かめるように呟いたあと、お仕事に戻るお兄ちゃんの背中を見つめながら上機嫌に「ふーん」と鼻を鳴らした。
7 : EL変態   2026/07/24 21:51:26 ID:xy6aeeN6Do



桃子(14)

「ちょっとお兄ちゃん! なんで桃子またタコの被り物なの!?」
「いやな、先方からのご指名で…」

ご指名!?
信じられない! やっぱなんか桃子に変なイメージがついちゃってる!!

でも、お兄ちゃんが引き受けてしまったからには桃子はやり遂げるしかない。だって、桃子はプロだから。

「はぁ…、桃子も環みたいにちゃんとしたグラビアやりたい…」
「けどな桃子。たこ焼きのチェーン店のキャンペーンガールに選ばれるってのは凄いことなんだぞ」
「それは嬉しいけど…」
8 : 我が友   2026/07/24 21:59:22 ID:xy6aeeN6Do

確かにお兄ちゃんの言う通り。
嬉しくないわけではない。むしろ嬉しいし、選んでくれた事は有難い。

でも…、やっぱり複雑。

ムスッと唇を尖らせる。

「タコの表現、上手くなったな。桃子」
「それは嬉しくない!」

タコの被り物の時の映像が一度大々的に話題になってしまったせいで、どこの番組に呼ばれても一度はタコの格好をさせられるのが定番になったの、未だに納得できてないんだから!!桃子はプロだから!ちゃんとやるけど!!
でも納得してないし、しないもん。

「それで、どうする? せっかく海まで来たし泳ぐか?」
「まだ5月だよ? 入ったら冷たくない?」
「あー、確かに。日差しは夏みたいなんだけどな」
9 : 5流プロデューサー   2026/07/24 22:07:36 ID:xy6aeeN6Do

それはそう。
空を見上げる。青々とした空へと積乱雲が立ち上っていた。

でも、おかげで水着でも寒く無くて助かったけど。まぁ、水着の撮影じゃなくてタコの着ぐるみを上から着せられて撮影したんだけど!

「波打ち際までいってみるか?」
「うん、そうだね。じゃあ行こ、お兄ちゃん」
「ちょい待ち、靴を脱ぐから」

靴を脱いだお兄ちゃんは裸足で、桃子は撮影の時に貰ったちょっとおしゃれなサンダルを履いて波打ち際へと向かう。あ、やっぱちょっと海水はまだ冷たい。
それをお兄ちゃんに言おうと顔をあげて気づいた。

右を見て、左を見て、確信した。
砂浜を歩いてるの…、男女のペアばかり。たぶん、カップル。
10 : ごしゅPさま   2026/07/24 22:11:54 ID:xy6aeeN6Do

「うわ、予想以上に水が冷たいな」
「うん」
「こりゃ泳ぐのは無理そうだぞ、桃子」
「うん」

なんか、気づいちゃったら意識しちゃう。
普通に、いつも通りに。

………いつも通りって、どんなだったっけ?

「桃子…?」
「んえ!? な、なに?」
「いや、ほら。桃子の仲間を捕まえたって」
「ふぇ、なか…。は、タコ? …ってタコは桃子の仲間じゃないけど!!」

お兄ちゃんの腕を叩いてタコを海の中に落とす。
11 : バカP   2026/07/24 22:16:03 ID:xy6aeeN6Do

「もう…!」
「あぁ…、ももこ…」
「タコのこと桃子って言わないで! 桃子はこっちだよ!」

桃子は自分のことをビシッと指をさす。
そして、二人で見つめあってどっと声を出して笑いあった。

うん、そう。お兄ちゃんはいつだってこんな風にちょっとおどけて桃子の調子を取り戻してくれる。
そんなところが…。

「んで、何かあったのか?」
「別に。…カップルが多いなーって」
「ん? ああ、確かに」

今更ながらに気づいたようで周囲を見回しながら頷いている。
12 : Pくん   2026/07/24 22:20:05 ID:xy6aeeN6Do

「桃子たちも、そんな風に見えているかな…?」
「おそらく親子か、兄妹じゃないか?」
「ふーん…」

不満で口を再度尖らせる。
………そっか。やっぱり“まだ”なんだ。

まだまだお兄ちゃんにとって桃子は子供。

「早く大人になりたいなぁ…」

わざとお兄ちゃんに聞こえるように呟いた独り言。
お兄ちゃんが浮かべる複雑そうな笑顔に、胸がざわめいた。
13 : ぴぃちゃん   2026/07/24 23:20:43 ID:xy6aeeN6Do

桃子(16)

お兄ちゃんが結婚した。
相手は桃子の知らない人。お兄ちゃんはいつの間にか付き合っていて、いつの間にか結婚していた。

それを初めて知った時、桃子は一晩中泣いた。
涙が枯れても気分は晴れず、朝が来ても気分は暗いまま。

だって、桃子はお兄ちゃんのことが好きだったから。ずっと、ずっと大好きだったから。結婚したいの好き。お兄ちゃんは桃子の特別だったから、桃子もお兄ちゃんの特別になりたかった。
なのに…。

「あーあ…」

大人ではない自分が憎らしい。
大人として見てくれなかったお兄ちゃんが恨めしい。

「これが、失恋なんだ…」

胸が痛い。血が流れていないのが不思議なくらい。
喪失感が酷い。何も手につかないくらい。

ただボウッと自分の左手の薬指に視線がいく。
そして酷く苦い味が口に満ちる。お兄ちゃんの指には銀色のリングが輝いて、桃子の指には銀色のリングが輝いていないから。
14 : おにいちゃん   2026/07/24 23:30:47 ID:xy6aeeN6Do

結局…、“まだ”の溝は埋められないまま。
そして、その溝は今後も…。

「あれ、桃子。まだ劇場に残っていたのか?」

扉の開く音と共に現れたのは件のお兄ちゃん。新婚ほやほやの。
チラリと追ってしまった視線は左手に銀色のリングを捉える。そして勝手に胸に痛みが走った。

「家に帰ってもすることないもん」
「おばあちゃん、心配しないか?」
「平気。だって桃子はしっかりしてるって知ってるから」

八つ当たりのようにぶっきらぼうに言った自分が嫌になる。
けど、お兄ちゃんは朗らかに笑って「確かにそうだった」と言った。

そして何時ものように桃子の頭に手が伸びてくる。あの、優しく撫でてくれる大きな手が。

「……え」

けど、その手は桃子の頭に触れる直前でぴたりと止まった。
いつもなら、優しく桃子の頭を撫でてくれるのに。

なんで? もしかして、結婚したから?


「あー、すまん。もう子供じゃないし、嫌だよな」


違った。
そっか。ようやく、桃子はお兄ちゃんにとって大人になったんだ。
嬉しくない…。今更。もう、そんなの桃子にとって何の意味もない。

だったら ───


「─── 桃子はまだ子供だもん。イヤじゃない」
15 : 3流プロデューサー   2026/07/24 23:40:12 ID:xy6aeeN6Do

目を丸くして苦笑するお兄ちゃん。
そして桃子のことを上から下まで見て、「まぁ、確かに」と言った。

もしかして…。

「ねえ、お兄ちゃん。失礼なこと考えてない?」
「いやいやいや、そんなことないぞ!?」
「じ~~~」

目をそらすお兄ちゃん。
やっぱり。

桃子はまだまだ成長期だもん。環と育の成長が速いだけだもん。

「お疲れ様、桃子。この前のライブも完璧だったな。次のお仕事は…、舞台デビューだったな」
「うん。そうだよ」
「桃子がいっぱい頑張ってるの、俺はちゃんと知っているからな」

ぽんぽんと撫でられる頭。
これ、大好き。心が温かくなる。大好き。

やっぱり、大好き。

本当は、もう好きでいちゃダメって判ってる。
でも、だけど。
16 : Pちゃま   2026/07/24 23:47:21 ID:xy6aeeN6Do

「ねえ、お兄ちゃん。桃子、まだ子供だから…。これからもお兄ちゃんに甘えても、いい?」
「………俺は桃子のプロデューサーだぞ?」

ふーん。
大人って、やっぱりズルい。

桃子の本音、伝わったのに伝わってないフリ。でも、大人に負けないくらい桃子もズルをした。分別のつかない子供のふりをして敗れた恋を延命させた。

「ねえ、お兄ちゃん。大好き」
「俺も大好きだぞ」

お兄ちゃんが笑いながら軽く言うことで深い意味の消えた『好き』。
ふーん、お兄ちゃんそんなことするんだ。桃子は大人にあしらわれる小さな子供。

でも、今はまだそれでいい。
今だけは、子供でいい。子供のままでいい。
だって、やっぱり桃子はお兄ちゃんのこと、諦められないから。
17 : 毎日変態   2026/07/25 02:39:47 ID:1.fy.qNB7E
いつくっつくのかニマニマ楽しんでたらビターエンドだった…
でもこういうのも大好き
18 : プロデューサーはん   2026/07/25 07:43:50 ID:mNdUTtiIgg
良いものを読ませてもらいました
桃子のいじらしさがたまらんです
19 : EL変態   2026/07/25 08:30:43 ID:L4KeW1fIyQ
14歳でもタコキャラやらされてるの好き
20 : 師匠   2026/07/25 08:36:31 ID:n/TVn1Y.62
なんでタコのとき育と環は一緒じゃないんですか
桃子よりNORINORIでやってくれるよ
21 : 番長さん   2026/07/25 14:37:58 ID:Ax2qgrWhNE
途中で泣きました
22 : プロデューサー様   2026/07/25 18:01:54 ID:pD5mWIjZWo
桃子には心から幸せになって欲しいと思ってる
でもあまりにも悲恋が映えるとも思ってる
23 : 師匠   2026/07/25 20:28:42 ID:EgMr00bLrs
>>1
実はまだ続くんですよね?
24 : Pチャン   2026/07/26 00:21:18 ID:4WZd1tkLOM

続きます
サーセン誘われてカラオケ行ってました
25 : ミスター・オールドタイプ   2026/07/26 00:30:46 ID:4WZd1tkLOM

桃子(18)

最近、お兄ちゃんが元気ない。
朝は特に思いつめた表情をしている。お仕事中は…、いつも通り?
でもお仕事終わりは憂鬱そうな顔をする。

…ということは、問題があるのはお家のことだと、思う。

「ねえ、お兄ちゃん」
「…ん? どうした桃子」
「どっかご飯でも食べに行こ。私、今日はパスタ系が食べたい」

「うーん」と言いながら左腕の腕時計を見るお兄ちゃん。
ほんの少しだけ表情に陰を落とすも、直ぐに笑顔で桃子を見た。

「まあ、たまにはいいか」
「やった! お兄ちゃんもパスタでいい?」

桃子の問いに頷いたお兄ちゃん。良かった。なら、この個室のあるお店に出来る。
26 : 最低最悪変態プロデューサー   2026/07/26 00:31:49 ID:FphgXJkM5w
>>24
オッケー
パンツ脱いで待機するわ
27 : プロデューサー君   2026/07/26 00:38:53 ID:4WZd1tkLOM


時刻は22時を回ったあたり。
お店のラストオーダー30分前。

目星を立てていた個室のある店舗の中でお兄ちゃんと桃子は向かい合って座っていた。

「お兄ちゃんは何にする?」
「すき焼きパスタってどんななんだろうな。非常に興味深い」
「私は普通に紫蘇明太にしよっかな」
「あー。王道だな、外れ無しだ」

とりあえずお兄ちゃんはすき焼きパスタでいいのかな?
手元の端末を操作してお兄ちゃんに見せたところ頷きが返ってきたから『送信』をタップして注文完了。
ちなみにお兄ちゃんは他にも日本酒も頼んでいた。甘口らしい。桃子は正直違いとか判らない。未成年だからね。

「それで…。何かあったの? 先週あたりからなんか変だけど」

手元の端末を元にあったところに戻しながらお兄ちゃんを見る。
あ、お兄ちゃんの眉が上がった。
28 : ぷろでゅーさー   2026/07/26 00:44:47 ID:4WZd1tkLOM

「え…? いや、特にこれと言っては…。な、ないぞ?」
「バレバレだけど。隠しても無駄」
「いやはや…。あはは…」
「お家で何かあったんでしょ。もしかして、奥さん?」
「うえ!? い、いやぁ、そんな事は…」
「お兄ちゃん、演技下手すぎじゃない?」

露骨に桃子から視線を外して水の入ったコップに手を伸ばすお兄ちゃん。
ジトッとした視線を向ける。あんな赤点でしかない演技で本当に誤魔化せると思ってるの?

「で、何があったの?」
「いや、その…。ね?」
「言って」
「あー…」

視線をさまよわせながらも、一度息を吐いてから桃子を見た。
29 : Pチャン   2026/07/26 00:50:51 ID:4WZd1tkLOM

「えっとな…。妻と、妊活での意見対立というか…」
「ふーん」
「俺がさ、仕事があんまりにも忙しいから…。今週の始めも泊まりだったし。だから今は子育てにあまり協力できそうもないから、子供はあと数年待ってくれって言ったんだ。けどな、妻の方は今すぐに欲しいから、俺の方が仕事を変えてくれって言われてさ…」

へぇ…。あの女、桃子からお兄ちゃんを盗るだけじゃなくて、プロデューサーも奪おうとしているんだ。
お兄ちゃんがプロデューサーを辞める?
そんなの無理。絶対にイヤ。

…でも、その感情は無理やり飲み込んでおくびにも出さない。
30 : 変態インザカントリー   2026/07/26 01:00:31 ID:4WZd1tkLOM

「お兄ちゃんはこのお仕事…、辞めたい?」
「いや、それは嫌だ。絶対に続けたい」

ヒュッと喉から息が漏れる。
本当に良かった…。桃子もお兄ちゃん以外がプロデューサーなんて考えたくもない。

「じゃあ、赤ちゃんは欲しい?」
「それは、まあ。欲しいな。今ではないけど、いつかは欲しい」
「ふーん。そうなんだ」
「子供は好きだぞ?」

お兄ちゃんがフッと優しく笑う。
それにドキッとしつつも手に持つグラスを軽く回して氷をカラリと鳴らした。

「なら、話し合うしかないんじゃない? お互いに譲り合ってどこかで妥協する。私はそれしかないと思うよ」
「そう、だよな。はは、桃子に話してよかったよ」
「何か愚痴とかあったら何時でも付き合ってあげる。一人で抱え込んじゃだめだよ」

31 : 最低最悪変態プロデューサー   2026/07/26 01:08:39 ID:4WZd1tkLOM

お兄ちゃんが「ありがとな」と言ったときに個室の扉がガラリと開いて店員さんが入ってきた。手に持つのはお兄ちゃんが頼んだ日本酒。

桃子とお兄ちゃんの視線が合って二人で笑った。桃子は心の中でも嗤った。


あの女を。


きっと、お兄ちゃんとあの女は話し合えば話し合うほどに溝が出来る。だって、妥協も何も譲れる範囲が交わってないのだから。
出産適齢期的に早く子供の欲しい女と、仕事が順調故に出産を遅らせてほしい男。この場合、女は絶対に譲らない。譲れない。なのに男が話し合ってお互いに妥協を求めようとすれば、女は間違いなく反発する。頑なになる。そして後々、男も反発して頑なになる。

この場合の問題解決方法なんてお兄ちゃんが妥協するしかない。でも、桃子が妥協なんてさせない。絶対に。
32 : 我が友   2026/07/26 01:16:47 ID:4WZd1tkLOM

お手洗いに行くと言ってお兄ちゃんが席を立った。
それを笑みを浮かべて手を振りながら見送る桃子。

そう、桃子は中立的な意見を述べる善良な第三者。お兄ちゃんの信頼厚いお兄ちゃんに寄り添いつつも的確な意見を伝えるコメンテーター。

向かいに誰もいなくなって温もりの消えた個室。


「お兄ちゃんのこと、“もう”返してもらうから」


装いを脱いだ桃子の冷たい独り言がよく響いた。
33 : 変態インザカントリー   2026/07/26 01:26:07 ID:4WZd1tkLOM

桃子(20)

結局、あれから然程に日も経たずお兄ちゃんたちは破局した。
理由は『価値観の相違』というもの。桃子がお兄ちゃんにちょっと耳打ちしたことでお相手さんとの歯車が食い違ったことは気づかれてはいない。

まぁ、桃子は善良な第三者だからね。

でも、破局した当初はお兄ちゃん、かなり落ち込んでいたなぁ…。おかげさまで桃子の出番が出来たんだけど。たっぷり慰めて、意識してもらって、お酒を注いで、二人きりの時間を作った。桃子のたくさんの初めてをお兄ちゃんにプレゼントすることができた。
お兄ちゃんは頭を抱えていたけど、桃子的には作戦通り。

おかげさまで ───

「桃子、準備は出来たか?」
「ばっちりだよ。私はもう大人、だよ?」

今日のライブでもってアイドル桃子は引退。
明日からは女優に転向。だから…、桃子は明日から正式にお兄ちゃんのカノジョ。

まぁ、もう結婚の予定も話し合ってる。
34 : 変態お化け   2026/07/26 01:34:02 ID:4WZd1tkLOM

「ねえ、お兄ちゃん」
「どうした桃子」
「………後悔、してる?」

一瞬首を傾げたお兄ちゃん。
直ぐに生真面目な表情で深くうなずいた。

「せめて告白くらいは自分からしたかったなぁ。なんか流れでこう…、手を出してしまったのは…」
「でも、そうでもしなきゃお兄ちゃん…。桃子のこと意識してくれなかったでしょ?」
「……それは、どうだろうな」
「……え?」

えっと、違うの?
お兄ちゃんの急な言葉に桃子の全身の熱が顔に集まる。

「プロポーズは俺からさせてくれよ?」
「う、うん」
35 : ミスター・不純物   2026/07/26 01:44:19 ID:4WZd1tkLOM

プロポーズ…!

その言葉にさらに熱の集まった顔で頷いた桃子の頭を温かいお兄ちゃんの手が触れる。
その手を両手でギュッと握ってお兄ちゃんの顔も見ずに言葉を漏らした。

「ねえ。お兄ちゃんは…、本当に桃子でいいの?」
「…久しぶりに桃子の一人称が名前になったな」

声を出して笑うお兄ちゃんの手をギュッとつねるように握る。
直ぐに謝罪の言葉が飛んできたために許してあげることにした。

…いちおう、お兄ちゃんが桃子のことを“大人”として見てくれた時から『私』を使う事にはしてる。さっきはちょっと忘れちゃったけど。

「むしろさ、桃子は俺でいいのか?」

当たり前。桃子はお兄ちゃん以外考えられない。
だって桃子は、ずっと、ずうっとお兄ちゃんが大好きだったから。

「桃子はお兄ちゃんがいい。お兄ちゃんじゃなきゃ、ヤダ」
36 : ミスター・不純物   2026/07/26 01:51:18 ID:4WZd1tkLOM

両手で掴んでいたお兄ちゃんの手を放して、お兄ちゃんの背中へと手を回すようにギュッと抱きしめた。

やっと、やっと手を伸ばして触れられる距離になった。
もう絶対に手放すつもりはない。

「それは光栄だな」

はは、と笑って桃子の頭をぽんぽんするお兄ちゃん。
釣られて桃子も肩を揺らして笑ってしまった。


「なら、プロポーズは気合を入れないとだな」
「うん。待ってる」
「そしたら、流石に桃子のお兄ちゃん呼びともお別れか…?」
「あ……」

そっか、そうなったら旦那さんだし、お兄ちゃんはなんか違う。
なら、えっと…。
37 : あなた様   2026/07/26 01:55:27 ID:4WZd1tkLOM

「あ、あなた…?」
「ふは! なんか違和感あるな」
「うん。なんか慣れなさそう」

なら、もうちょっとお兄ちゃんのまま、かな?
何はともあれ、桃子の初恋は ───

「どうした、桃子?」
「ううん、何でもない。なんか、幸せだなぁって」

─── いろいろあったけど成就した。

ズルもした。悪いこともした。
きっと、全部をお兄ちゃんに言う事は出来ない。

でも“まだ”だったんだから…、“もう”いいよね?

「ね、お兄ちゃん♪」
「うん?」
38 : プロデューサーさん   2026/07/26 01:56:02 ID:4WZd1tkLOM

以上
終わりです

日をまたいで長々とありがとうございました
39 : プロデューサーちゃん   2026/07/26 08:16:09 ID:jRBJpZlht6
ちょっと黒い桃子すき
このくらい愛されたい
40 : 箱デューサー   2026/07/26 08:18:23 ID:hB9aGGIu4Q
おっちょこちょいだなあ〜
桃子(19)が飛んでますよ?
41 : Pはん   2026/07/26 08:30:49 ID:bwO4GNixbw
俺も桃子にあなたって呼ばれたい人生だった
42 : お兄ちゃん   2026/07/26 08:45:30 ID:jRBJpZlht6
桃子(19)は前後の文脈見るにR-18描写入っちゃうよぉ…
43 : 変態・オブ・ザ・イヤー   2026/07/26 11:25:15 ID:2WE9op/gWg
つまり、20になる前に手を出したと


見た目が11歳のパイセンならワシも手を出すがな
44 : EL変態   2026/07/26 11:34:02 ID:azz2ioOTZk
>>43
👮いい話なのにこれだからロ◯コンは…
45 : プロデューサーさま   2026/07/26 11:39:11 ID:qkLZHL2Qoc


桃子が争奪戦に勝つにはこういう「好意を伝えつつ妹ポジをキープし成人後に来たチャンスで猛攻」というルートになるよなあ
46 : せんせぇ   2026/07/26 12:34:06 ID:BR912rLkvE
>>45
なるほど…
47 : プロちゃん   2026/07/26 13:45:18 ID:xBoq0SoejU
>>42
18歳を過ぎてるからなんの問題もないのでは
48 : プロデューサーさま   2026/07/26 14:35:53 ID:q5ROyVsIzU
メンタル弱ってる状況で明らかに自分に好意がある成人済美少女に夜2人きりで酔わされて慰められたら
いくら妹みたいなものだったとは言ってもね…
49 : 最低最悪変態プロデューサー   2026/07/27 22:38:01 ID:fq7.O8hcfY
1乙
とてもよかった

続きが読みたいw
50 : ミスター・馬車馬   2026/07/29 16:35:48 ID:lsya0HigVI

続き…
娘誕生からの娘が母の真似してPを『お兄ちゃん』と呼んで桃子が焦る話か
51 : お父さんネズミさん   2026/08/08 23:34:28 ID:M5R782Q7fk
>>1なんですが
ここに投稿したものって自分のピクシブアカウントで投稿してもいいもんなんですかね?

ちょっと見返したいときに読みづらいので編集して投稿しなおしたいのですが…
52 : プロ太郎さん   2026/08/09 00:47:42 ID:Ca/OnEwWFI
>>51
前にやったときは、何も言われなかったですね
利用規約でも特に問題になりそうな点はなかったと思います
一度確認されてみては?
53 : プロデューサー   2026/08/09 16:17:24 ID:W88CaIWFrs
>>52
確かに規約的には問題なさそうですね

ありがとうございます
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