203 : 変態インザカントリー   2021/06/04 18:23:05 ID:uACKqZ8Vwk

第10話 cパート
その日の夜。小雨が降る中を琴葉は空猫喫茶店に向けて歩いた。
「あの、琴葉さん」
可奈のフルートに聞き入ってしまって、ついうとうととしていた琴葉。自分を呼ぶ声に気づくと、すぐ隣に彼女はいた。
近くで見れば、見るほどに、可奈の存在感がおよそ生者のそれとは異なることに気がつく。もしかせずとも、彼女は……
「そろそろ、私の話もしておこうかなって」
「可奈さんの?」
「はい。歌織さんからもOKが出たので。結論からいうと、私は琴葉さんの持つ力を高める役割なんです」
「私の力を、高める……?」
「はい! この力を歌織さんはバースオブカラーって呼んでいます。なんだかカッコいいですよね♪」
「カッコイイかはさておき……なんだか、クールもカワイイも叶えてゆける、ちっぽけでタフネスな勇気と努力を感じますね」
「???」
「それでその能力っていうのは―――」
可奈から詳細を聞こうとしたそのとき、店の出入り口のドアが開く。
そこにいたのは雨に濡れた歌織だった。いつの間にか、雨足は強まっていたらしい。