526 : THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!◆9RCctPo346c   2024/02/23 23:13:32 ID:AkPpxCOt/.

12人? 13人のはずじゃ、と一瞬思った百合子だったが、すぐにその理由を思いついた──律子さん、「MILLION LIVE!」だとアイドルだったけど、竜宮小町のいる世界なんだし、またプロデューサーになってるかも。

「……百合子さん……何か、あったの?」
「えっ?」
「……いつもより、無口な感じする、から……」

杏奈の言葉に、百合子はひやりとした。この世界にとって、自身は別次元からやってきた異邦人だ。その事実をうっかり漏らしでもしたら──白い拘束具を着せられて、監視カメラで24時間モニタリングされる精神病院に入院させられたりとか、表舞台に出てこない政府機関に拉致されて、サングラスをかけた黒服がガラス窓の向こうで見つめる中、マッドサイエンティストの研究材料にされたりとか!?
 ぼろを出したら、一巻の終わり。身震いした百合子は、とにかく言葉を絞りだした。

「まだちょっと眠くて。昨日、合宿のこと考えてたら、目が冴えちゃって……ふわぁ……」
「……そう、なんだ」
「杏奈ちゃんは、眠れた?」
「……うん……平気」

なんとか普通のやり取りに持ち込みながら、胸の内では溜息をもらす。「MILLION LIVE!」で一番仲が良く、描写も多かった杏奈との会話ですら、これでは。先行きに不安を抱えながら、百合子はホームへ下りるエスカレーターに足を踏み出した。