石川社長「それは突如としてオープンした765プロの新たな本拠地……」

石川社長「しかしその実態については驚くほど情報が錯綜しているわ……」

石川社長「曰く、“巨大なビルだった”“古代の神殿のようだった”“天守閣と恐竜の化石を見た”などなど……どういう訳か訪れた人全員がバラバラな感想を口にしているとか……」

石川社長「にも関わらず、評判はすこぶる良い……“また来たい”と、誰もが口を揃えて褒める……もはや同業者として無視できない存在っ……」

石川社長「というわけで尾崎さん、一緒に調査に行きましょう」

尾崎「い、いきなりですね……今日は絵理がオフなので構いませんが」

石川社長「ありがとう。私ひとりで行こうかと思っていたんだけど、“敷地内で緑色のバケモノを見た”っていう噂を聞いてね……ちょっと怖くって」

尾崎「はい？」

石川社長「まあ、死傷者が出たという情報は無いから大丈夫でしょう。エスコートよろしくね」

尾崎(どうしよう、猛烈に帰りたくなってきた)

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～765プロライブ劇場～


尾崎「……」

石川社長「ふむ……」

尾崎「えっと……あれ、しゃちほこですよね……」

石川社長「向こうには恐竜の化石も見えるわ」

尾崎「なんかデカいクルーザーも停泊してるし……これ、本当にアイドルの劇場なんですか？こち亀のテーマパークじゃなくて？」

石川社長「おしゃれなカフェがあったかと思えば……そのすぐ隣に……スフィンクス……」

尾崎「自由すぎる……！なにもかもが……！」

石川社長「フフ……これは私の主観だけど……やはり765は……全体的になんとなく……雑……！」

石川社長「全員が全員思いつきで行動しているから……必然的にこうなる……！」

～飲食ブース～


尾崎「美味しいっ！社長、これ見た目は生ゴミだけどすごく美味しいですよ！！」

石川社長「ええ……こんなものが一番人気だと聞いたときは仰天したけど……確かに味は一級品ね……“女子力やきそば”っ……」

石川社長「なんでも最初はただの毒物だったけど改良を重ねて無害化に成功したとか……」

尾崎「フグ毒の研究か何かですか？」

石川社長「でもね尾崎さん……もし……あなたがその研究をしたとして……店に出す？」

尾崎「うっ……」


ざわ…


尾崎「確かに……そんなことしようとは思えないですね……」

石川社長「でしょう？せいぜいクックパッドに載せるのが関の山……！」

尾崎(被害が大きくなりそうだからそれもやらないかな)

石川社長「しかし765ではそれを平気で店に出し……あまつさえ……名物メニューにまで押し上げている……！」

石川社長「なんという大胆さ……いえ、蛮勇と言うべきかしらね……！」

～売店～


石川社長「尾崎さん、この“でんでんむすくん”というキャラなのだけれど」

尾崎「すごい種類のグッズが出てますね。ぬいぐるみ、キーホルダー、アクリルスタンド……うわ、等身大タペストリーまである」

石川社長「でも、今スマホで調べたところによると765のマスコットでもなんでもないらしいわ」

尾崎「え！？でもこんなにプッシュされてて……」

石川社長「もともと北上麗花が冗談で持ち込んだだけだとか……」

尾崎(ぐっ……！じゃあなんでこんなに人気なのよ……！)

～控え室～


ｶｷｰﾝ!　ｸﾞﾜｯｼｬｱｱｱﾝ!
ﾊﾞｷﾊﾞｷﾊﾞｷﾊﾞｷ!!

尾崎「なんか急に野球が始まりましたよ！？」

石川社長「まあまあ……ひとまず様子を見ましょう……」

尾崎「いやぼんやりしてる場合じゃないですって！！」


ｶｷｰﾝ!　ｶｷｰﾝ!　ｶｷｰﾝ!
ﾄﾞｶﾊﾞｷｸﾞｼｬ!!

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尾崎「はあ……はあ……」

石川社長「なんなのかしらね……この……劇場を満喫すればするほど……765がわからなくなっていく感じ……」

尾崎「前にフォーリンシーサイドのイベントを観に行ったときに似てる気がします……」

石川社長「あれはまだわかるわ……明確にウケを狙ってきてるから……わかりやすい……」

石川社長「でも765はそういう感じでもない……なんともこう……名伏しがたいおかしみというか……違和感というか……」

小鳥「あれ？石川社長、いらしてたんですか！？尾崎さんまで！」

石川社長「あら、見つかってしまったわね」

尾崎「おはようございます音無さん。御無沙汰してました」

石川社長「ちょうど良かった。私たちで考えていても答えが出なさそうだし、直接765の人に話を聞かせてもらいましょう」

小鳥「なにかあったんですか？」

尾崎「私たち、今日一日この劇場を見て回ったんですが……なんというか、765の皆さんがどこを目指しているのかわからなくなったと言うか……“765プロってなんなんだろう”という感覚に陥ってしまったと言うか……」

小鳥「ああ、そういうことですか……うーん……私が思うに……今の765プロは……」



小鳥「ズバリ！独立国家です！」

尾崎「はい？」

小鳥「空も飛べるし宇宙にだって行けるし……伊織ちゃんや星梨花ちゃんがいるから金もある！」

小鳥「765プロには全てがあるから……他に行く必要がない……！」


石川社長「ほー……」

小鳥「アイドルの皆もどんどん有名になって……まるで名古屋みたいでよね！有名人が生まれる場所！」

尾崎「なんでそこで名古屋が出るんです？」

小鳥「だって信長も秀吉も家康も、みーんな名古屋じゃないですか！」

尾崎(いや家康は三河でしょうが)

小鳥「ああそうだ……最近ライブでお披露目してから人気爆発中の曲がありまして……“断崖絶壁チュパカブラ”って言うんですが……」


♪～♪～♪～
『私たちは　チュパカブラです』
『チュパチュパチュパカブラ～』
『今から崖を登りまーす』

(中略)

『私たちは　チュパカブラです』
『チュッパチュパなカブラです』
『チュパチュパチュパカブラ～』
♪～♪～♪～

小鳥「聴いておわかりの通り！765プロライブ劇場は未来の首都なんです！」

小鳥「東京が1位とか大阪が1位とか……我々はそういう並びにいません……！」


石川社長「フフ……なるほどなるほど……」

尾崎「ご親切にどうもありがとうございました」

小鳥「それじゃ、そろそろ失礼させていただきますね。今日の公演も是非観ていってください！」

尾崎「……」

石川社長「尾崎さん」

尾崎「はい……」

石川社長「もうやめましょう……765について考えるのは……！」

尾崎「はい！」

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～翌日～


まなみ「それでただ劇場を満喫して帰ってきちゃったんですか！？」

石川社長「そんな言い方は無いでしょう。ちゃんと貴方へのお土産も買ってきてあげたんだし」

まなみ「領収書が会社の名前で切られてるんですが……」

石川社長「市場調査の必要経費よ」

尾崎「社長！来週の劇場は雪まつり仕様になるらしいですよ！」

石川社長「それは見逃せないわね。レコード会社との打合せが入ってるけど断っちゃいましょう」



まなみ(……私、本気で転職考えたほうがいいのかな……)

お　し　ま　い

765と名古屋って発音が似てるなって思ったところから思いついたお話でした

ハンチョウネタ？

安心しろ


喫茶マウンテンは名古屋市にあるぞ

エビフライのくだりをでんでんむすくんと結びつける発想に笑うしかない

確かに我々は一度７６５プロ劇場とは何なのか考える必要があるかもしれない

あと野球の効果音がとんでもない音のような……

乙でした！

まだミリオンがトンチキを売りにしてた頃の劇場やいね
ミリシタ世代には通じないネタかも

>>30
ミリシタがトンチキでないと言い切れるとでも？

貴様フォーリン・シーサイドがお笑いユニットだと愚弄する気かーっ
バラバラに切り刻んで犬に食わせてやる

そしてトンチキなライバー企画を立てたのは別の話

>>30
ウンババのあらすじを見てもそう言えますか？

>>32
大阪出身のボケと広島出身のボケで構成されたお笑いコンビなんだよなあ