爆乳桃子を見習って自分で用意しないと

自分て昴の事かよｗ

百合子が用意する

「ええええええ！？！？」

突如とした叫び声が聞こえて俺は慌てて叫び声の聞こえた劇場の廊下へと慌てて出ていく。
そこには左の手で口元を抑える百合子と、照れくさそうに頬を掻くフリフリのワンピースを纏った昴がいた。

そして…。

「ええええええええ！？！？！？」

当然のごとく俺もまた百合子と同じように叫び声を上げる事となった。

＊＊＊

「んで、何があった？」

問いかける俺とまるで赤べこのように追従して頷く百合子。
それに対して深く深くため息を吐いた昴はフリルの付いたワンピースの裾をつまみながら渋々と口を開く。

「なんか兄ちゃんがさ…。あ、一番上の将人兄ちゃんなんだけど。なんかアイドルなんだからもうちょっと女の子らしくなった方が良いんじゃないかって。」
「いや、別に昴は今の昴のままで十分に魅力的だが。」
「そうですよ！昴さんは今のままでもカッコよくていいと思います！」

俺と百合子の言葉にはにかみながら「ありがとな」と答えるも少しだけ考え込んだ昴はでも…、と続ける。

「兄ちゃんのいう事も確かにって思ってさ。もうちょっと女の子っぽくしおらかに…？」
「”お淑やかに”か？」
「”しおらしく”かもしれません。」
「そうそれ。お淑やかでしおらしいほうがいいんじゃないかなって思ったんだよ。」

腕を組んで頷く昴。
俺としては別に今のままの昴でもよいが…、だが本人が決意したのであればそれを無理に止める事はしない方がよいだろう。

「なるほどな。」
「まずは形からって事で兄ちゃんが買ってくれたこのフリフリのスカートを履いてみたんだけど…。」

それは昴のお兄さんからのプレゼントだったのか。

一歩だけ遠ざかってみて昴の全身を改めて視界に収めてみる。
うん、似合っている。永吉家の長男の見る目はかなり良さそうだ。

「もしかして昴さんのお兄さん…。このワンピースを着て欲しかっただけなのでは？」
「シッ、百合子。みなまで言ってやるな。」

解らないなら解らないままでいい事もあるのだ。
コクリコクリと頷く百合子を後目に昴と向かい合う。

「決意の方はよく理解した。何か俺に出来る事はあるか？あと百合子も。」
「わ、私にも何かできる事があったら言ってください！」
「本当！？ありがとな、プロデューサー！百合子！」

…と、いう事で俺と百合子はこうして昴のお淑や化大作戦のメンバーとなったのだ。

一日目

今日も昴はスカートを履いてきたのだが…。
その恰好は何処か見覚えがあるものだった。

「もしかして昴…、百合子の服装パクった？」
「ああ！オレとしては女の子って言ったら百合子だからな。形から入ってみた。」
「な、なななんだかとても恥ずかしいんですけれど…。」
「まあ確かに百合子は黙って座っていればただの美少女だからな。」
「えへへへ…ん？それ褒めてませんよね！？」

完全に褒めてはいないが美少女と認めてはいる。
ただし図書室の暴走特急なんてあだ名がつくような美少女は頭文字に”残念”が付くこと間違いなし。是非とも反省してくれ。

という事で抗議の声を上げる百合子へはムニーしておいた。

「いひゃいいひゃい！いひゃいですぷろりゅーひゃーはん！」
「…なあプロデューサー。百合子を見習えば女の子っぽくなれるのかな？」

ムニーされて涙目の残念美少女を見て少々不安になってしまったらしい昴。
まあでもたとえ残念美少女であっても見習う所はある。

「百合子の言動や妄想癖は見習わなくていいが立ち振る舞いは見習えるところがあると思うぞ。」
「えー、本当？」
「ちょっ、昴さん？なんか視線に哀れみが入ってません？」
「例えば昴はズボンに慣れてるから座るときに結構足を開いたりするだろう？」
「え？そうだったかなぁ…。」

昴は思い至っていないみたいだが百合子は「なっていますよ…」と呟いている。まあこういうのはたいてい無意識化だから自分より周囲の方が気が付く。

「百合子はそこらへんちゃんと気を付けているからな。そういった立ち振る舞いは百合子に見習えると思うぞ。」
「なるほど…。よし！ちょっと意識してみる！」

そう言って昴は笑顔を浮かべた。

二日目

営業から劇場へと戻ると脚を揃えて座っているドヤ顔の昴が出迎えてくれた。

「どうでございましょうプロデューサー。ワタクシに掛かればすぐにマスターするのでございますよ。」
「トンチキな言葉遣いだがやればできるじゃないか。」
「えへへへ。そうだろ…そうでしょう？」

とはいえ昴の隣に座っていた百合子は渋い顔を浮かべている。
どうしたのかと思い顔を向けた。

「私としましては…、別に話し方まで変える必要は無いと思うんですけれど…。」
「まあ確かに。今のままだと”お淑やか”ではなくて百合子みたいに”面白少女”になってしまうかもしれないな。」

俺の言葉にチラと百合子へと視線を向けた昴が考え込む。
と、同時に百合子が「え、え？」と声を上げつつ俺へと詰め寄ってきた。

「待ってください！？ちょ、私って面白枠なんですか？正統派文学美少女ですけど！？」
「本も読む面白いお笑い芸人美少女だ。」
「アイドルですよ！？」
「とりあえず一人称を”わたし”に変えるくらいにしてみたらどうだ？そんなに一遍に代えても混乱してトンチキ百合子系アイドルになるだけどろうし。」
「百合子系アイドル！？なんですかそれ！？」

ズイと詰め寄ってくる百合子の頬をムニーする。
よし。静かになったな。

「オレ…じゃなくてわたし、やってみる。」
「ああ。それにしても所作ひとつで随分と見間違えたぞ。」

座り方ひとつで少年らしさから少女らしさへと随分と見違えた。
頑張ったなと言って百合子の頬っぺたを捕まえていた手を放して昴の頭を撫でた。

「うん…。」

俯いてしおらしい姿に早速誰かの真似をしたのか？なんて笑いが込みあがった。

三日目

フリル多寡なワンピースなどではなく以前に撮影でも着用した清楚な白ワンピースを纏った昴。
その昴がトトトと控えめな駆け足で駆け寄って来て俺の前で立ち止まった。

「ねえ、プロデューサー。わたし、女の子っぽい…、かな？」

心の中では「え？誰この美少女」だとか「は、とても可愛らしいです」やら何やらリフレインしてシナプスがバグっているのだが声に出ない。振り絞って出て来たのは。「ああ…」の二文字だけ。

だがそんな俺から発された二文字が嬉しかったのか、小さくぴょんと飛びはねた昴が「やった」と声を上げた。
なんだこの変わりようは。

何があった。いやマジで。
本当に何があった。本気の本気で。

という事で昴のお淑や化大作戦の参謀総長である七尾閣下へとヒソヒソと問いかける。

「百合子…。昴に何があった？本当に。」
「わかりません…。ですが王子様な昴さんもいいですがお姫様路線もいけると思いました。」
「プロデュース方針変わっちゃうよ。」

結論。参謀総長は何も知らなかった。
となると昴の心境の変化とかそういうのっぽい。

「純白のドレスを纏った昴姫を風の戦士ユリコが華麗にいひゃいいひゃい！？」
「妄想に飛ぶのが早いぞ幻想少女。」
「ちょ、ちょっと響きがカッコイイからって騙されませんからね！」

なにも騙そうとしていないんだが。
なんて百合子とヒソヒソ話をしていたら後ろの裾をクイクイと引っ張られた。

振り返ると唇を尖らせた昴。


「せっかく女の子っぽくしたんだから、わたしを見てよ…。」

こんな感じでしょうか。
おねむなのであやすみなさいです。

良いものだ･･･百合子とPの物理的距離が最後ので更に近くなりそうで、昴の嫉妬が増えそうで更に良い･･･

Pに「バカ」って海苔で書いた弁当あげるすばるんはどこで摂取できますか？

これは｢百合子はプロデューサーと仲良いよなぁ｣ってモヤモヤし始めるすばるんだ。