白石紬は激怒した。
1 : Pくん   2018/02/21 00:15:07 ID:FC2Mg7bxUI
必ず、かの無神経で不躾なPにあんみつを買わせなければならぬと決意した。
2 : プロデューサーちゃん   2018/02/21 00:19:20 ID:RHDhFyYUBk
紬には都会が分からぬ。紬は、金沢からのお上りである。
3 : ぷろでゅーしゃー   2018/02/21 00:19:31 ID:3yWw5GTLfc
紬にはプロデュース業が分からぬ
4 : 我が下僕   2018/02/21 00:22:07 ID:eSgvjsKGHQ
三味線を弾き金魚と遊んで暮らしてきた。
けれども不躾に対しては人一倍敏感であった
5 : 彦デューサー   2018/02/21 00:27:46 ID:RHDhFyYUBk
きょう未明紬は金沢を出発し、野を越え山越え72里半離れた此の東京の街にやって来た。
6 : プロデューサーちゃん   2018/02/21 00:28:33 ID:eSgvjsKGHQ
今日未明紬は石川を出発し野を越え山を越え117里離れたこの東京にやって来た
7 : 箱デューサー   2018/02/21 00:32:20 ID:PQi2oM1i9o
>>5
>>6
なんだこいつら・・・
8 : バカP   2018/02/21 00:38:33 ID:pHnMNqU7Sc
紬には父も、母もいる。女房は無い(あたりまえやん)。妹はいないはずだ。金沢の実家に置いてきた金魚の一匹、東京に連れてきた金魚の妹は、村の或る律気な錦鯉を、近々、花婿として迎える事になっていた。
9 : 仕掛け人さま   2018/02/21 00:39:20 ID:B79dwzsqio
星梨ヌンティウスが磔にされちゃうんだ・・・
10 : プロちゃん   2018/02/21 00:41:08 ID:qjZj.cfjUk
結婚式も間近かなのである。紬は、それゆえ、花嫁の水槽やら祝宴の餌やらを買いに、はるばる東京にやって来たのだ。
11 : Pちゃま   2018/02/21 00:42:24 ID:iMYrOABvN2
先ず、その品々を買い集め銀座の大路をぶらぶら歩いた。
12 : せんせぇ   2018/02/21 01:27:10 ID:kRXYRmKco6
おう、早くひどく赤面するところまで書くんだよ
13 : プロデューサーちゃん   2018/02/21 02:41:25 ID:kaX0t.HaYM
>>9
桜守歌織、怒りの防衛出動
14 : 彦デューサー   2018/02/21 02:42:02 ID:FmXAEKwyKs
星梨ヌンティウスとかwwwwwww
15 : お兄ちゃん   2018/02/21 07:41:50 ID:.bq1X64I7M
蹴飛ばされるアオノリ
16 : 我が友   2018/02/21 07:52:41 ID:DOYGnu3Zp6
>>12
先生それエンディングまで来ません!
17 : ご主人様   2018/02/21 07:54:06 ID:SrRf4pRqow
歩いているうちに紬は、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきな紬も、なんなん…になって来た。
18 : >>17の前   2018/02/21 08:05:02 ID:Ywr2QPd8dg
紬には竹馬の友があった。星梨ヌンティウスである。今は此の東京の町で、アイドルをしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。
19 : Pさぁん   2018/02/21 08:11:47 ID:1nQd9gCB0M
路で会った新参Pを捕まえて、何かあったのですか、2年前此の町に来た時には、夜でも皆がステマして町は賑やかだった筈ですが、と質問した。
20 : Pさぁん   2018/02/21 08:12:44 ID:T5qh3bklDc
>>13
歌織さんによって、星梨ヌンティウス(ついでにキングロコ)は、熱海の旅館から紬のいる東京へ…
21 : プロデューサー殿   2018/02/21 08:13:09 ID:Ywr2QPd8dg
路で逢った(萩原組の)若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の町に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈だが、と質問した。(萩原組の)若い衆は、首を振って答えなかった。
しばらく歩いて石油王に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。石油王は答えなかった。紬は両手で石油王のからだをゆすぶって質問を重ねた。石油王は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。



「王様は、年幾ばく女子を集めて育てているのです。」
22 : プロデューサーはん   2018/02/21 08:37:28 ID:SrRf4pRqow
「なぜ集めているのだ。」
「下心を抱いている、というのですが、誰もそんな、下心を持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を辱めたのか。」
「はい、はじめはリボンをつけたメインヒロインを。それから、72の歌姫を。それから、ゆとりの金髪を。それから、正統派希望の元看護士の成人女性を。」
「おどろいた。国王(P)は乱心か。」
23 : 仕掛け人さま   2018/02/21 10:16:14 ID:E7UiR0u866
(最後アイドルとしてはヤバいだろ…)
24 : おやぶん   2018/02/21 12:08:35 ID:1nQd9gCB0M
「いいえ、乱心ではございませぬ。親愛度を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは事務員の心をもお疑いになり、少しくなまけている者には、新衣装を開発することを命じて居ります。御命令を拒めば記念日にちなんで、コスプレさせられます。きょうは、六人コスプレさせられました。」
 聞いて、紬は激怒した。「呆あきれたPだ。生かして置けぬ。」
 紬は、単純な女であった。金魚鉢を背負ったままで、のそのそはいって行った。たちまち彼女は、シアターの裏に住み着いたチワワに捕縛された。
調べられて、紬の懐中からは水引細工の髪留めが出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。紬は、Pの前に引き出された。
25 : プロデューサーさん   2018/02/21 12:16:16 ID:4GJy0LH.Oc
「この水引細工で何をするつもりであったか。言え!」暴君Pは静かに、けれども威厳を以もって問いつめた。そのPの顔はアルファベットのPで、眉間の皺は、落書きだった。

「アイドルを暴君の手から救うのだ。」と紬は悪びれずに答えた。
「おまえがか?」Pは、憫笑した。
「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの爆死した心がわからぬ。」
26 : ご主人様   2018/02/21 12:36:01 ID:x/TXYsRfjs
72の歌姫を辱めるって凄い一文だよね。
27 : プロデューサー   2018/02/21 12:38:29 ID:SrRf4pRqow
「なんやいね!」と紬は、いきり立って反駁した。
「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。Pは、アイドルの忠誠をさえ疑って居られる。」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心とガシャ率は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟つぶやき、ほっと溜息ためいきをついた。
「わしだって、平和を望んでいるのだが。」
28 : プロデューサーさん   2018/02/21 12:47:30 ID:4GJy0LH.Oc
「なんの為の平和だ。自分のSSR艦隊を作るためか。」こんどは紬が嘲笑した。「罪の無い女の子をコスプレにして我欲を満たす、何が平和だ。国王は、バカなのですか?」

「だまれ、下賤の者。」王は、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿とガチャの排出率の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔になってコスプレされてから、泣いて詫
びたって聞かぬぞ。お前を唐揚げにしてやろうか!」
29 : バカP   2018/02/21 12:55:39 ID:aKU8UBOVvg
「ああ、Pは悧巧りこうだ。自惚うぬぼれているがよい。私は、ちゃんとマイティセラる覚悟で居るのに。配役チェンジなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、紬は足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、公演までに三日間の日限を与えて下さい。たった一匹の妹金魚に亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は金沢で結婚式を挙げさせ、必ずここへ帰って来ます。」
30 : お兄ちゃん   2018/02/21 12:58:21 ID:hAoSlU3Eog
白石紬「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ」

うーん、この、こやつめ
31 : そなた   2018/02/21 13:54:05 ID:SrRf4pRqow
「ばかな。」と暴君は、嗄しわがれた声で低く笑った。
「とんでもない嘘うそを言うわい。コミケに行った音無小鳥が帰って来るというのか。」
「そうです。帰って来るのです。」
紬は必死で言い張った。
「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹金魚が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市に星梨ヌンティウスというアイドルがいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を辱めて下さい。たのむ、そうして下さい。」
32 : Pくん   2018/02/21 14:14:06 ID:iCXV8FnkUo
ピヨだってコミケ終わりゃ帰ってくるやろ
現実に返ってくるかは知らん
33 : 我が友   2018/02/21 15:46:17 ID:ehYQ3lYIEA
星梨ヌンティウスは何とか耐えたが
マイティセラるでダメだった
34 : ぷろでゅーしゃー   2018/02/21 16:02:58 ID:GoqJuoZIUo
それを聞いてPは、残虐な気持で、そっと北叟笑んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの女を、三日目に綺麗に着飾ってやるのも気味がいい。人とガチャは、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの女を辱めてやるのだ。世の中の、紳士とかいうPどもにうんと華やかに見せつけてやりたいものさ。

「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと辱めるぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「あなたは、バカなのですか?」
「はは。貞淑が大事だったら、おくれて来い。おまえの本心は、わかっているぞ。」
紬は口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。
35 : Pちゃま   2018/02/21 16:34:08 ID:SrRf4pRqow
竹馬の友、星梨ヌンティウスは、深夜、王城に召された。
暴君Pィオニスの面前で、佳よき友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。
紬は、友に一切の事情を語った。星梨ヌンティウスは頭に?マークを浮かべながら無言で首肯うなずき、紬をひしと抱きしめた。
友と友の間は、それでよかった。
星梨ヌンティウスは、縄打たれた。
紬は、すぐに出発した。初夏、満天の星である。
紬はその夜、一睡もせず72里の路を行く東京駅発金沢行きの新幹線の始発に乗り、村へ到着したのは、翌あくる日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。
紬の十六の妹金魚も、きょうは姉の代りにの呉服店の店番をしていた。
よろめいて歩いて来る姉の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく姉に質問を浴びせた。
36 : Pくん   2018/02/21 17:03:38 ID:diTndTmp8I
なんなん…
37 : Pさぁん   2018/02/21 17:04:03 ID:1nQd9gCB0M
「なんでも無い。」紬は無理に笑おうと努めた。
「東京に用事を残して来た。またすぐ東京に行かなければならぬ。あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」 妹金魚は頬を染めた。「うれしいか。綺麗な鉢も買って来た。」
 紬はまた、よろよろと歩き出し、家へ帰って仏壇を瑠璃色に飾り、来賓席を瑠璃色に調え、父親に怒られた。間もなく畳に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。
38 : ぷろでゅーさー   2018/02/21 17:10:23 ID:GaLOvdCBiA
>>20
借金の取り立てに来ていたひなた組長と子分環も追加で
39 : 箱デューサー   2018/02/21 17:16:20 ID:vuT9qlnA7Q
眼が覚めたのは夜だった。紬は起きてすぐ、錦鯉の養殖場を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。養殖場の主は驚き、いきなりなんやいね!、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、品評会の季節まで待ってくれ、と答えた。メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。養殖場の主も頑強であった。なかなか承諾してくれない。この人はなんなん⋯。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか主をなだめ、すかして、説き伏せた。
40 : 兄ちゃん   2018/02/21 19:39:41 ID:xh0QYQH9Rw
国王は、バカなのですか?
の決め台詞感好き
41 : 箱デューサー   2018/02/21 20:20:40 ID:.ABUN..6j6
おいメロスが出てきてるぞ
42 : Pしゃん   2018/02/21 20:36:54 ID:iMYrOABvN2
結婚式は、真昼に行われた。新郎(錦鯉)新婦(妹金魚)の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。祝宴に列席していた金沢市民たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、式場の中で、むんむん蒸し暑いのも怺え、陽気に歌をうたい、手を拍うった。紬も、満面に喜色を湛え、しばらくは、Pとのあの約束をさえ忘れて、会場の隅で一人あんみつを貪っていた。
祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。
43 : プロデューサー様   2018/02/21 20:37:53 ID:iMYrOABvN2
紬は、一生このままここにいたい、と思った。この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。紬は、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。紬ほどの女にも、やはり未練の情というものは在る。今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、

「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに東京に出かけます。大切な用事があるのです。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。あなたの姉の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、イベントのボーダーが駆け込みで上昇することです。あなたも、それは、知っていますね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはなりません。SSRが当たったらちゃんと報告しなさい。あなたに言いたいのは、それだけです。あなたの姉は、たぶん偉い女なのですから、あなたもそれを誇りに思いなさい。」
44 : ハニー   2018/02/21 20:40:58 ID:SrRf4pRqow
(大雨の中、妹金魚の結婚式は無事行われ盛り上がる中、明日に備えて眠りについた紬)
眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。
紬は跳ね起き、なんなん…、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。
きょうは是非とも、あのPに、人の信実の存するところを見せてやろう。
そうして笑ってマイティセラってやる。
紬は、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。
身仕度は出来た。さて、紬は、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。
私は、今宵、辱められる。辱められる為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。
Pの奸佞かんねい邪智を打ち破る為に走るのだ。
走らなければならぬ。
そうして、私はマイティセラれる。
若い時から名誉を守れ。さらば、金沢。若い紬は、つらかった。幾度か、立ちどまりそうになった。
えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。
45 : 兄ちゃん   2018/02/21 20:54:35 ID:iMYrOABvN2
金沢を出て、富山を横切り、新潟のだだっぴろい平野を通り抜け、信州に着いた頃には、雨も止やみ、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。紬は額の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。妹金魚たちは、きっと佳い夫婦になるだろう。私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐにシアターに行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり行こう、と持ちまえの呑気さを取り返し、好きな小唄をいい声で歌い出した。

だらだらと電車は進み、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧いた災難、紬の乗った電車は、はたと、とまった。見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流滔々と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵に橋桁を跳ね飛ばしていた。

「なん…なん…?」
46 : プロデューサー殿   2018/02/21 21:00:07 ID:Rz4HCsBYFE
村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止やみ、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。
紬は額ひたいの汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや金沢への未練は無い。
妹たちは、きっと佳い夫婦になるだろう。
私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだ。
そんなに急ぐ必要も無い。
ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気さを取り返し瑠璃色金魚と花菖蒲をいい声で歌い出した。
ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ金沢駅に到達した頃、降って湧わいた災難、紬の足は、はたと、とまった。
見よ、駅の電光掲示板を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫はんらんし、濁流滔々とうとうと下流に集り、猛勢一挙に線路を破壊し、金沢駅発東京行きの新幹線は運行を見合わせていた。
47 : お兄ちゃん   2018/02/21 21:01:01 ID:Rz4HCsBYFE
書いてるうちに次の来てた…スルーして…
48 : Pちゃま   2018/02/21 21:10:36 ID:SrRf4pRqow
彼女は茫然と、立ちすくんだ。
あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟は残らず浪に浚さらわれて影なく、渡守りの姿も見えない。
流れはいよいよ、ふくれ上り、海美のようになっている。紬は川岸にうずくまり、女泣きに泣きながら若林神に手を挙げて哀願した。
「ああ、鎮めたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、シアターに行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのです。」
濁流は、紬の叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽あおり立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。
今は紬も覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。
ああ、神々も照覧あれ! 
49 : プロデューサーはん   2018/02/21 21:23:12 ID:1nQd9gCB0M
ミキサーにも負けぬ餡と蜜の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。紬は、ざんぶと流れに飛び込み、FTボーダーのようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんなんのこれしきとかきわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、若林神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸のエビフライのような樹木に、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。紬は大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。
50 : バカP   2018/02/21 21:33:51 ID:Rz4HCsBYFE
ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に双子の山賊が躍り出た。
「待てえーい!」
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちにシアターへ行かなければならぬ。放せ。」
「所がどっこい放さないかんね!お菓子とおこづかい全部を置いて行け!ついでにパンツの色は何色なのかな~?んっふっふ~」
「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これからPにくれてやるのだ。」
「え→つまんないじゃーんじゃあその命もらっちゃうよーん。」
「さては、Pの命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」
51 : おやぶん   2018/02/21 21:52:26 ID:1nQd9gCB0M
双子たちは、ものも言わず一斉に希煌石(キラジェム)を振りかざした。紬はひょいと、からだを折り曲げ、揚げたての唐揚げの如く片方の山賊に襲いかかり、その希煌石を奪い取って、「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、二人を殴り倒し、さっさと走って峠を下った。一気に峠を駈け降りたが、流石に疲労し、午後の灼熱の太陽がまともにかっと照って来て、紬は幾度となく眩暈を感じてはなんくるならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。もうスタミナ回復のジュエルもないのだ。年齢制限もあるのだ。天を仰いで、悔し泣きに泣き出した。
52 : そなた   2018/02/21 22:05:59 ID:3EIXvTBloM
南無三をなんなん…でもうダメだったwwwww
53 : ハニー   2018/02/21 22:26:20 ID:B79dwzsqio
なんなんとこれしきで草
54 : プロデューサー   2018/02/21 23:29:54 ID:iMYrOABvN2
ああ、あ、FTの濁流を泳ぎ切り、双子山賊をも撃ち倒し韋駄天、ここまで突破して来た紬よ。真の勇者、紬よ。今、ここで、うみみ走法のキメ過ぎで疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがてコスプレとカオスの海に沈められてしまうのだ。おまえは、稀代の不信の人間、まさしくPの思う壺だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎て、もはや働きたくないと自称する双葉杏ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐れた根性が、心の隅に巣喰った。

私は、これほどミリシタに課金したのだ。担当を引くまで課金し続けると誓った約束を破る気は、みじんも無かった。若林神も照覧、私は精一ぱいに課金し続けてきた来たのだ。動けなくなるまでうみみ走法で走って来たのだ。私は不信の徒では無い。ああ、できる事なら私のジュエルを割って、スタミナを全回復以上してみたい。担当への愛と溶かされ続ける札束だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。けれども私は、この大事な時に、精も根も運も金もジュエルもドリンクも担当からのプレゼントも尽きたのだ。
55 : ご主人様   2018/02/21 23:30:41 ID:iMYrOABvN2
私は、よくよく不幸な女だ。私も、きっとPに辱められてアイドルファイトさせられるに決まっている。私の一家もイキリ金魚だと笑われる。私は友を欺いた。イベントの中途で撤退するのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った運命なのかも知れない。星梨ヌンティウスよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。いまだって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとう、星梨ヌンティウス。よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。
56 : せんせぇ   2018/02/21 23:39:16 ID:iMYrOABvN2
どこまで作るかって難しいな・・・文字カウントしてないからついつい長くしてしまう
57 : Pチャン   2018/02/21 23:47:48 ID:PBPJYvFT/U
妙に力の入ったスレだw
58 : ぷろでゅーしゃー   2018/02/21 23:59:22 ID:1nQd9gCB0M
星梨ヌンティウス、私は走ったのだ。君を欺くつもりは微塵も無かった。私は負けたのだ。笑っておくれ。Pは私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。おくれたら、身代りを辱めて、私を助けてくれると約束した。Pは、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を放免するだろう。そうなったら私は永遠に裏切者だ。セリヌンティウスよ、私も着るぞ。君だけは私を信じてくれるにちがい無い。
いや、それも私のひとりよがりか?ああ、もういっそ悪徳者として生き伸びてやろうか。妹夫婦はまさか私を村から追い出すような事はしないだろう。
正義だの、信実だの、愛だの、考えてみればくだらない。人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。ああ、何もかもばかばかしい。どうとも勝手にするがよい。なんなんかな。――四肢を投げ出して、うとうとまどろんでしまった。
59 : 我が友   2018/02/22 00:10:38 ID:P5.hHYJLH.
ふと耳に、(*>△<)ナーンナーン、液体の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、何か流れているらしい。よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々と、何か小さく囁ささやきながらスパークドリンク10が湧き出ているのである。
60 : Pくん   2018/02/22 00:26:21 ID:JoTUlpBqgE
>>59
卑怯だろそれはwww
61 : 仕掛け人さま   2018/02/22 00:49:10 ID:hEbANd95jo
その泉に吸い込まれるように紬は身をかがめた。水を両手で掬って、一くち飲んだ。なんやいね…と長い溜息が出て、夢から覚めたような余韻の余白がした。歩ける。行こう。スタミナの100%恢復と共に、わずかながら希望が生れた。イベント遂行の希望である。わが身を殺して、唐揚げを守る希望である。斜陽は燃えないまま今も青く棚引いている。イベント終了までには、まだ間がある。私を、待っているアイドルがあるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれているアイドルがあるのだ。私は、信じられている。私の課金額なぞは、問題ではない。爆死してお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ!北陸新幹線。
62 : ダーリン   2018/02/22 01:04:03 ID:fmiCMIH4jU
>>61
最後他力本願じゃねえかwwww
63 : 兄ちゃん   2018/02/22 06:29:22 ID:Ikhq2O9f56
私は信頼されている。
私は信頼されている。
先刻の、あのちひろの囁きは、あれは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ。
五臓が疲れているときは、ふいとあんな悪い夢を見るものだ。
紬、おまえの恥ではない。やはり、おまえはまっこまっこりんの勇者だ。再び立って走れるようになったではないか。ありがたい!
私は、正義の士としてマイティセラる事が出来るぞ。ああ、陽が沈む。
ずんずん沈む。
待ってくれ、若林神よ。
私は生れた時から正直な女であった。
正直な女のままにしてマイティセラせて下さい。
64 : 我が下僕   2018/02/22 06:43:39 ID:QSmh/n4ON6
路行くまつり軍を押しのけ、跳はねとばし、紬は黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の成人アイドル組を仰天させ、いぬ美、ジャンバルジャン、とらたん、ジュニオール、アオノリを蹴けとばし、小川を飛び越え、うみみ走法の、十倍も早く走った。
天空橋騎士団と颯さっとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。「いまごろは、あの女も、衣装チェンジにかかっているよ。」
ああ、その女、その女のために私は、いまこんなに走っているのだ。
その男を死なせてはならない。
急げ、紬。おくれてはならぬ。
愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。
風態なんかは、どうでもいい。
65 : 我が下僕   2018/02/22 07:35:02 ID:21v4CcVzJU
紬は、いまはほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口からあんこが噴き出た。
見える。はるか向こうに東の京の電波塔が見える。電波塔は、夕陽を受けてきらきら光っている。
「ああ、紬様。」うめくような声が風とともに聞こえた。
「誰だ。」紬は走りながら尋ねた。
「フィ路子ストラトスでございます。貴方のお友達星梨ヌンティウス様の後輩でございます。」その若いアイドルも、紬の後について走りながら叫んだ。「もう、駄目でございます。走るのはやめて下さい。あのお方をお助けになることは出来ません。」
「いや、まだ陽は沈まぬ。」
「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。もうちょっとでも早かったなら!」
「いや、まだ陽は沈まぬ。」紬は胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。
66 : おやぶん   2018/02/22 07:35:48 ID:b/ks6rA4zI
紬は、いまは、ほとんど全裸体であったが謎の光で局部は完全に隠れていた。
呼吸も出来ず、二度、三度、口から白玉餡蜜が噴き出た。
見える。はるか向うに小さく、東京の市の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。
「ああ、紬様。」うめくような声が、風と共に聞えた。
「誰だ。」紬は走りながら尋ねた。
「エミリトラトシュでございましゅ。貴方の友人星梨ヌンティウス様の友人でございましゅ。」その若いアイドルも、紬の後について走りながら叫んだ。
「もう、駄目でございましゅ。むだでございましゅ。走るのは、やめて下さい。もう、あの方かたをお助けになることは出来ません。」
「いや、まだイベントは終わらぬ。」
「ちょうど今、あの方が舞台に立たれるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申しましゅ。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」
「いや、まだイベントは終わらぬ。」紬は胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。
67 : バカP   2018/02/22 07:41:18 ID:QSmh/n4ON6
どっちもあんこ吹き出しててダメだった
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