白石紬は激怒した。
1 : Pくん   2018/02/21 00:15:07 ID:FC2Mg7bxUI
必ず、かの無神経で不躾なPにあんみつを買わせなければならぬと決意した。
2 : プロデューサーちゃん   2018/02/21 00:19:20 ID:RHDhFyYUBk
紬には都会が分からぬ。紬は、金沢からのお上りである。
3 : ぷろでゅーしゃー   2018/02/21 00:19:31 ID:3yWw5GTLfc
紬にはプロデュース業が分からぬ
4 : 我が下僕   2018/02/21 00:22:07 ID:eSgvjsKGHQ
三味線を弾き金魚と遊んで暮らしてきた。
けれども不躾に対しては人一倍敏感であった
5 : 彦デューサー   2018/02/21 00:27:46 ID:RHDhFyYUBk
きょう未明紬は金沢を出発し、野を越え山越え72里半離れた此の東京の街にやって来た。
6 : プロデューサーちゃん   2018/02/21 00:28:33 ID:eSgvjsKGHQ
今日未明紬は石川を出発し野を越え山を越え117里離れたこの東京にやって来た
7 : 箱デューサー   2018/02/21 00:32:20 ID:PQi2oM1i9o
>>5
>>6
なんだこいつら・・・
8 : バカP   2018/02/21 00:38:33 ID:pHnMNqU7Sc
紬には父も、母もいる。女房は無い(あたりまえやん)。妹はいないはずだ。金沢の実家に置いてきた金魚の一匹、東京に連れてきた金魚の妹は、村の或る律気な錦鯉を、近々、花婿として迎える事になっていた。
9 : 仕掛け人さま   2018/02/21 00:39:20 ID:B79dwzsqio
星梨ヌンティウスが磔にされちゃうんだ・・・
10 : プロちゃん   2018/02/21 00:41:08 ID:qjZj.cfjUk
結婚式も間近かなのである。紬は、それゆえ、花嫁の水槽やら祝宴の餌やらを買いに、はるばる東京にやって来たのだ。
11 : Pちゃま   2018/02/21 00:42:24 ID:iMYrOABvN2
先ず、その品々を買い集め銀座の大路をぶらぶら歩いた。
12 : せんせぇ   2018/02/21 01:27:10 ID:kRXYRmKco6
おう、早くひどく赤面するところまで書くんだよ
13 : プロデューサーちゃん   2018/02/21 02:41:25 ID:kaX0t.HaYM
>>9
桜守歌織、怒りの防衛出動
14 : 彦デューサー   2018/02/21 02:42:02 ID:FmXAEKwyKs
星梨ヌンティウスとかwwwwwww
15 : お兄ちゃん   2018/02/21 07:41:50 ID:.bq1X64I7M
蹴飛ばされるアオノリ
16 : 我が友   2018/02/21 07:52:41 ID:DOYGnu3Zp6
>>12
先生それエンディングまで来ません!
17 : ご主人様   2018/02/21 07:54:06 ID:SrRf4pRqow
歩いているうちに紬は、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきな紬も、なんなん…になって来た。
18 : >>17の前   2018/02/21 08:05:02 ID:Ywr2QPd8dg
紬には竹馬の友があった。星梨ヌンティウスである。今は此の東京の町で、アイドルをしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。
19 : Pさぁん   2018/02/21 08:11:47 ID:1nQd9gCB0M
路で会った新参Pを捕まえて、何かあったのですか、2年前此の町に来た時には、夜でも皆がステマして町は賑やかだった筈ですが、と質問した。
20 : Pさぁん   2018/02/21 08:12:44 ID:T5qh3bklDc
>>13
歌織さんによって、星梨ヌンティウス(ついでにキングロコ)は、熱海の旅館から紬のいる東京へ…
21 : プロデューサー殿   2018/02/21 08:13:09 ID:Ywr2QPd8dg
路で逢った(萩原組の)若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の町に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈だが、と質問した。(萩原組の)若い衆は、首を振って答えなかった。
しばらく歩いて石油王に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。石油王は答えなかった。紬は両手で石油王のからだをゆすぶって質問を重ねた。石油王は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。



「王様は、年幾ばく女子を集めて育てているのです。」
22 : プロデューサーはん   2018/02/21 08:37:28 ID:SrRf4pRqow
「なぜ集めているのだ。」
「下心を抱いている、というのですが、誰もそんな、下心を持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を辱めたのか。」
「はい、はじめはリボンをつけたメインヒロインを。それから、72の歌姫を。それから、ゆとりの金髪を。それから、正統派希望の元看護士の成人女性を。」
「おどろいた。国王(P)は乱心か。」
23 : 仕掛け人さま   2018/02/21 10:16:14 ID:E7UiR0u866
(最後アイドルとしてはヤバいだろ…)
24 : おやぶん   2018/02/21 12:08:35 ID:1nQd9gCB0M
「いいえ、乱心ではございませぬ。親愛度を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは事務員の心をもお疑いになり、少しくなまけている者には、新衣装を開発することを命じて居ります。御命令を拒めば記念日にちなんで、コスプレさせられます。きょうは、六人コスプレさせられました。」
 聞いて、紬は激怒した。「呆あきれたPだ。生かして置けぬ。」
 紬は、単純な女であった。金魚鉢を背負ったままで、のそのそはいって行った。たちまち彼女は、シアターの裏に住み着いたチワワに捕縛された。
調べられて、紬の懐中からは水引細工の髪留めが出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。紬は、Pの前に引き出された。
25 : プロデューサーさん   2018/02/21 12:16:16 ID:4GJy0LH.Oc
「この水引細工で何をするつもりであったか。言え!」暴君Pは静かに、けれども威厳を以もって問いつめた。そのPの顔はアルファベットのPで、眉間の皺は、落書きだった。

「アイドルを暴君の手から救うのだ。」と紬は悪びれずに答えた。
「おまえがか?」Pは、憫笑した。
「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの爆死した心がわからぬ。」
26 : ご主人様   2018/02/21 12:36:01 ID:x/TXYsRfjs
72の歌姫を辱めるって凄い一文だよね。
27 : プロデューサー   2018/02/21 12:38:29 ID:SrRf4pRqow
「なんやいね!」と紬は、いきり立って反駁した。
「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。Pは、アイドルの忠誠をさえ疑って居られる。」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心とガシャ率は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟つぶやき、ほっと溜息ためいきをついた。
「わしだって、平和を望んでいるのだが。」
28 : プロデューサーさん   2018/02/21 12:47:30 ID:4GJy0LH.Oc
「なんの為の平和だ。自分のSSR艦隊を作るためか。」こんどは紬が嘲笑した。「罪の無い女の子をコスプレにして我欲を満たす、何が平和だ。国王は、バカなのですか?」

「だまれ、下賤の者。」王は、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿とガチャの排出率の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔になってコスプレされてから、泣いて詫
びたって聞かぬぞ。お前を唐揚げにしてやろうか!」
29 : バカP   2018/02/21 12:55:39 ID:aKU8UBOVvg
「ああ、Pは悧巧りこうだ。自惚うぬぼれているがよい。私は、ちゃんとマイティセラる覚悟で居るのに。配役チェンジなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、紬は足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、公演までに三日間の日限を与えて下さい。たった一匹の妹金魚に亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は金沢で結婚式を挙げさせ、必ずここへ帰って来ます。」
30 : お兄ちゃん   2018/02/21 12:58:21 ID:hAoSlU3Eog
白石紬「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ」

うーん、この、こやつめ
31 : そなた   2018/02/21 13:54:05 ID:SrRf4pRqow
「ばかな。」と暴君は、嗄しわがれた声で低く笑った。
「とんでもない嘘うそを言うわい。コミケに行った音無小鳥が帰って来るというのか。」
「そうです。帰って来るのです。」
紬は必死で言い張った。
「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹金魚が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市に星梨ヌンティウスというアイドルがいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を辱めて下さい。たのむ、そうして下さい。」
32 : Pくん   2018/02/21 14:14:06 ID:iCXV8FnkUo
ピヨだってコミケ終わりゃ帰ってくるやろ
現実に返ってくるかは知らん
33 : 我が友   2018/02/21 15:46:17 ID:ehYQ3lYIEA
星梨ヌンティウスは何とか耐えたが
マイティセラるでダメだった
34 : ぷろでゅーしゃー   2018/02/21 16:02:58 ID:GoqJuoZIUo
それを聞いてPは、残虐な気持で、そっと北叟笑んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの女を、三日目に綺麗に着飾ってやるのも気味がいい。人とガチャは、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの女を辱めてやるのだ。世の中の、紳士とかいうPどもにうんと華やかに見せつけてやりたいものさ。

「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと辱めるぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「あなたは、バカなのですか?」
「はは。貞淑が大事だったら、おくれて来い。おまえの本心は、わかっているぞ。」
紬は口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。
35 : Pちゃま   2018/02/21 16:34:08 ID:SrRf4pRqow
竹馬の友、星梨ヌンティウスは、深夜、王城に召された。
暴君Pィオニスの面前で、佳よき友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。
紬は、友に一切の事情を語った。星梨ヌンティウスは頭に?マークを浮かべながら無言で首肯うなずき、紬をひしと抱きしめた。
友と友の間は、それでよかった。
星梨ヌンティウスは、縄打たれた。
紬は、すぐに出発した。初夏、満天の星である。
紬はその夜、一睡もせず72里の路を行く東京駅発金沢行きの新幹線の始発に乗り、村へ到着したのは、翌あくる日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。
紬の十六の妹金魚も、きょうは姉の代りにの呉服店の店番をしていた。
よろめいて歩いて来る姉の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく姉に質問を浴びせた。
36 : Pくん   2018/02/21 17:03:38 ID:diTndTmp8I
なんなん…
37 : Pさぁん   2018/02/21 17:04:03 ID:1nQd9gCB0M
「なんでも無い。」紬は無理に笑おうと努めた。
「東京に用事を残して来た。またすぐ東京に行かなければならぬ。あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」 妹金魚は頬を染めた。「うれしいか。綺麗な鉢も買って来た。」
 紬はまた、よろよろと歩き出し、家へ帰って仏壇を瑠璃色に飾り、来賓席を瑠璃色に調え、父親に怒られた。間もなく畳に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。
38 : ぷろでゅーさー   2018/02/21 17:10:23 ID:GaLOvdCBiA
>>20
借金の取り立てに来ていたひなた組長と子分環も追加で
39 : 箱デューサー   2018/02/21 17:16:20 ID:vuT9qlnA7Q
眼が覚めたのは夜だった。紬は起きてすぐ、錦鯉の養殖場を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。養殖場の主は驚き、いきなりなんやいね!、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、品評会の季節まで待ってくれ、と答えた。メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。養殖場の主も頑強であった。なかなか承諾してくれない。この人はなんなん⋯。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか主をなだめ、すかして、説き伏せた。
40 : 兄ちゃん   2018/02/21 19:39:41 ID:xh0QYQH9Rw
国王は、バカなのですか?
の決め台詞感好き
41 : 箱デューサー   2018/02/21 20:20:40 ID:.ABUN..6j6
おいメロスが出てきてるぞ
42 : Pしゃん   2018/02/21 20:36:54 ID:iMYrOABvN2
結婚式は、真昼に行われた。新郎(錦鯉)新婦(妹金魚)の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。祝宴に列席していた金沢市民たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、式場の中で、むんむん蒸し暑いのも怺え、陽気に歌をうたい、手を拍うった。紬も、満面に喜色を湛え、しばらくは、Pとのあの約束をさえ忘れて、会場の隅で一人あんみつを貪っていた。
祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。
43 : プロデューサー様   2018/02/21 20:37:53 ID:iMYrOABvN2
紬は、一生このままここにいたい、と思った。この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。紬は、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。紬ほどの女にも、やはり未練の情というものは在る。今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、

「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに東京に出かけます。大切な用事があるのです。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。あなたの姉の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、イベントのボーダーが駆け込みで上昇することです。あなたも、それは、知っていますね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはなりません。SSRが当たったらちゃんと報告しなさい。あなたに言いたいのは、それだけです。あなたの姉は、たぶん偉い女なのですから、あなたもそれを誇りに思いなさい。」
44 : ハニー   2018/02/21 20:40:58 ID:SrRf4pRqow
(大雨の中、妹金魚の結婚式は無事行われ盛り上がる中、明日に備えて眠りについた紬)
眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。
紬は跳ね起き、なんなん…、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。
きょうは是非とも、あのPに、人の信実の存するところを見せてやろう。
そうして笑ってマイティセラってやる。
紬は、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。
身仕度は出来た。さて、紬は、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。
私は、今宵、辱められる。辱められる為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。
Pの奸佞かんねい邪智を打ち破る為に走るのだ。
走らなければならぬ。
そうして、私はマイティセラれる。
若い時から名誉を守れ。さらば、金沢。若い紬は、つらかった。幾度か、立ちどまりそうになった。
えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。
45 : 兄ちゃん   2018/02/21 20:54:35 ID:iMYrOABvN2
金沢を出て、富山を横切り、新潟のだだっぴろい平野を通り抜け、信州に着いた頃には、雨も止やみ、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。紬は額の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。妹金魚たちは、きっと佳い夫婦になるだろう。私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐにシアターに行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり行こう、と持ちまえの呑気さを取り返し、好きな小唄をいい声で歌い出した。

だらだらと電車は進み、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧いた災難、紬の乗った電車は、はたと、とまった。見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流滔々と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵に橋桁を跳ね飛ばしていた。

「なん…なん…?」
46 : プロデューサー殿   2018/02/21 21:00:07 ID:Rz4HCsBYFE
村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止やみ、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。
紬は額ひたいの汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや金沢への未練は無い。
妹たちは、きっと佳い夫婦になるだろう。
私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだ。
そんなに急ぐ必要も無い。
ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気さを取り返し瑠璃色金魚と花菖蒲をいい声で歌い出した。
ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ金沢駅に到達した頃、降って湧わいた災難、紬の足は、はたと、とまった。
見よ、駅の電光掲示板を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫はんらんし、濁流滔々とうとうと下流に集り、猛勢一挙に線路を破壊し、金沢駅発東京行きの新幹線は運行を見合わせていた。
47 : お兄ちゃん   2018/02/21 21:01:01 ID:Rz4HCsBYFE
書いてるうちに次の来てた…スルーして…
48 : Pちゃま   2018/02/21 21:10:36 ID:SrRf4pRqow
彼女は茫然と、立ちすくんだ。
あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟は残らず浪に浚さらわれて影なく、渡守りの姿も見えない。
流れはいよいよ、ふくれ上り、海美のようになっている。紬は川岸にうずくまり、女泣きに泣きながら若林神に手を挙げて哀願した。
「ああ、鎮めたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、シアターに行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのです。」
濁流は、紬の叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽あおり立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。
今は紬も覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。
ああ、神々も照覧あれ! 
49 : プロデューサーはん   2018/02/21 21:23:12 ID:1nQd9gCB0M
ミキサーにも負けぬ餡と蜜の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。紬は、ざんぶと流れに飛び込み、FTボーダーのようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんなんのこれしきとかきわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、若林神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸のエビフライのような樹木に、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。紬は大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。
50 : バカP   2018/02/21 21:33:51 ID:Rz4HCsBYFE
ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に双子の山賊が躍り出た。
「待てえーい!」
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちにシアターへ行かなければならぬ。放せ。」
「所がどっこい放さないかんね!お菓子とおこづかい全部を置いて行け!ついでにパンツの色は何色なのかな~?んっふっふ~」
「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これからPにくれてやるのだ。」
「え→つまんないじゃーんじゃあその命もらっちゃうよーん。」
「さては、Pの命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」
51 : おやぶん   2018/02/21 21:52:26 ID:1nQd9gCB0M
双子たちは、ものも言わず一斉に希煌石(キラジェム)を振りかざした。紬はひょいと、からだを折り曲げ、揚げたての唐揚げの如く片方の山賊に襲いかかり、その希煌石を奪い取って、「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、二人を殴り倒し、さっさと走って峠を下った。一気に峠を駈け降りたが、流石に疲労し、午後の灼熱の太陽がまともにかっと照って来て、紬は幾度となく眩暈を感じてはなんくるならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。もうスタミナ回復のジュエルもないのだ。年齢制限もあるのだ。天を仰いで、悔し泣きに泣き出した。
52 : そなた   2018/02/21 22:05:59 ID:3EIXvTBloM
南無三をなんなん…でもうダメだったwwwww
53 : ハニー   2018/02/21 22:26:20 ID:B79dwzsqio
なんなんとこれしきで草
54 : プロデューサー   2018/02/21 23:29:54 ID:iMYrOABvN2
ああ、あ、FTの濁流を泳ぎ切り、双子山賊をも撃ち倒し韋駄天、ここまで突破して来た紬よ。真の勇者、紬よ。今、ここで、うみみ走法のキメ過ぎで疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがてコスプレとカオスの海に沈められてしまうのだ。おまえは、稀代の不信の人間、まさしくPの思う壺だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎て、もはや働きたくないと自称する双葉杏ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐れた根性が、心の隅に巣喰った。

私は、これほどミリシタに課金したのだ。担当を引くまで課金し続けると誓った約束を破る気は、みじんも無かった。若林神も照覧、私は精一ぱいに課金し続けてきた来たのだ。動けなくなるまでうみみ走法で走って来たのだ。私は不信の徒では無い。ああ、できる事なら私のジュエルを割って、スタミナを全回復以上してみたい。担当への愛と溶かされ続ける札束だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。けれども私は、この大事な時に、精も根も運も金もジュエルもドリンクも担当からのプレゼントも尽きたのだ。
55 : ご主人様   2018/02/21 23:30:41 ID:iMYrOABvN2
私は、よくよく不幸な女だ。私も、きっとPに辱められてアイドルファイトさせられるに決まっている。私の一家もイキリ金魚だと笑われる。私は友を欺いた。イベントの中途で撤退するのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った運命なのかも知れない。星梨ヌンティウスよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。いまだって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとう、星梨ヌンティウス。よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。
56 : せんせぇ   2018/02/21 23:39:16 ID:iMYrOABvN2
どこまで作るかって難しいな・・・文字カウントしてないからついつい長くしてしまう
57 : Pチャン   2018/02/21 23:47:48 ID:PBPJYvFT/U
妙に力の入ったスレだw
58 : ぷろでゅーしゃー   2018/02/21 23:59:22 ID:1nQd9gCB0M
星梨ヌンティウス、私は走ったのだ。君を欺くつもりは微塵も無かった。私は負けたのだ。笑っておくれ。Pは私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。おくれたら、身代りを辱めて、私を助けてくれると約束した。Pは、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を放免するだろう。そうなったら私は永遠に裏切者だ。セリヌンティウスよ、私も着るぞ。君だけは私を信じてくれるにちがい無い。
いや、それも私のひとりよがりか?ああ、もういっそ悪徳者として生き伸びてやろうか。妹夫婦はまさか私を村から追い出すような事はしないだろう。
正義だの、信実だの、愛だの、考えてみればくだらない。人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。ああ、何もかもばかばかしい。どうとも勝手にするがよい。なんなんかな。――四肢を投げ出して、うとうとまどろんでしまった。
59 : 我が友   2018/02/22 00:10:38 ID:P5.hHYJLH.
ふと耳に、(*>△<)ナーンナーン、液体の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、何か流れているらしい。よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々と、何か小さく囁ささやきながらスパークドリンク10が湧き出ているのである。
60 : Pくん   2018/02/22 00:26:21 ID:JoTUlpBqgE
>>59
卑怯だろそれはwww
61 : 仕掛け人さま   2018/02/22 00:49:10 ID:hEbANd95jo
その泉に吸い込まれるように紬は身をかがめた。水を両手で掬って、一くち飲んだ。なんやいね…と長い溜息が出て、夢から覚めたような余韻の余白がした。歩ける。行こう。スタミナの100%恢復と共に、わずかながら希望が生れた。イベント遂行の希望である。わが身を殺して、唐揚げを守る希望である。斜陽は燃えないまま今も青く棚引いている。イベント終了までには、まだ間がある。私を、待っているアイドルがあるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれているアイドルがあるのだ。私は、信じられている。私の課金額なぞは、問題ではない。爆死してお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ!北陸新幹線。
62 : ダーリン   2018/02/22 01:04:03 ID:fmiCMIH4jU
>>61
最後他力本願じゃねえかwwww
63 : 兄ちゃん   2018/02/22 06:29:22 ID:Ikhq2O9f56
私は信頼されている。
私は信頼されている。
先刻の、あのちひろの囁きは、あれは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ。
五臓が疲れているときは、ふいとあんな悪い夢を見るものだ。
紬、おまえの恥ではない。やはり、おまえはまっこまっこりんの勇者だ。再び立って走れるようになったではないか。ありがたい!
私は、正義の士としてマイティセラる事が出来るぞ。ああ、陽が沈む。
ずんずん沈む。
待ってくれ、若林神よ。
私は生れた時から正直な女であった。
正直な女のままにしてマイティセラせて下さい。
64 : 我が下僕   2018/02/22 06:43:39 ID:QSmh/n4ON6
路行くまつり軍を押しのけ、跳はねとばし、紬は黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の成人アイドル組を仰天させ、いぬ美、ジャンバルジャン、とらたん、ジュニオール、アオノリを蹴けとばし、小川を飛び越え、うみみ走法の、十倍も早く走った。
天空橋騎士団と颯さっとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。「いまごろは、あの女も、衣装チェンジにかかっているよ。」
ああ、その女、その女のために私は、いまこんなに走っているのだ。
その男を死なせてはならない。
急げ、紬。おくれてはならぬ。
愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。
風態なんかは、どうでもいい。
65 : 我が下僕   2018/02/22 07:35:02 ID:21v4CcVzJU
紬は、いまはほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口からあんこが噴き出た。
見える。はるか向こうに東の京の電波塔が見える。電波塔は、夕陽を受けてきらきら光っている。
「ああ、紬様。」うめくような声が風とともに聞こえた。
「誰だ。」紬は走りながら尋ねた。
「フィ路子ストラトスでございます。貴方のお友達星梨ヌンティウス様の後輩でございます。」その若いアイドルも、紬の後について走りながら叫んだ。「もう、駄目でございます。走るのはやめて下さい。あのお方をお助けになることは出来ません。」
「いや、まだ陽は沈まぬ。」
「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。もうちょっとでも早かったなら!」
「いや、まだ陽は沈まぬ。」紬は胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。
66 : おやぶん   2018/02/22 07:35:48 ID:b/ks6rA4zI
紬は、いまは、ほとんど全裸体であったが謎の光で局部は完全に隠れていた。
呼吸も出来ず、二度、三度、口から白玉餡蜜が噴き出た。
見える。はるか向うに小さく、東京の市の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。
「ああ、紬様。」うめくような声が、風と共に聞えた。
「誰だ。」紬は走りながら尋ねた。
「エミリトラトシュでございましゅ。貴方の友人星梨ヌンティウス様の友人でございましゅ。」その若いアイドルも、紬の後について走りながら叫んだ。
「もう、駄目でございましゅ。むだでございましゅ。走るのは、やめて下さい。もう、あの方かたをお助けになることは出来ません。」
「いや、まだイベントは終わらぬ。」
「ちょうど今、あの方が舞台に立たれるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申しましゅ。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」
「いや、まだイベントは終わらぬ。」紬は胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。
67 : バカP   2018/02/22 07:41:18 ID:QSmh/n4ON6
どっちもあんこ吹き出しててダメだった
68 : 兄ちゃん   2018/02/22 08:19:59 ID:B4Ajvrbi6k
「やめて下さいでしゅ。走るのは、やめて下さいでしゅ。いまはご自分の貞淑が大事でしゅ。あの方は、あなたを信じて居りました。ステージに引き出されても、平気でいました。王様が、さんざんあの方をからかっても、紬さまは来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でございました。」
「あなたは、バカなのですか!?それだから、走るのではないのですか!?。信じられているから走るのです。間に合う、間に合わぬは問題でないのです。人の貞淑も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのです。ついて来なさい!エミリストラトシュ。」紬は、口に餡蜜を詰込みながら、ひたすらに走り続けた。


「ああ、あなたはおつむつむつむでしたか。それでは、うんと走るがいいでしゅ。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいいでしゅ。」

言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、紬は走った。紬の頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、紬は疾風の如くシアターに突入した。間に合った。
69 : お兄ちゃん   2018/02/22 08:21:50 ID:21v4CcVzJU
おつむつむつむで大草原
70 : 兄ちゃん   2018/02/22 08:25:51 ID:B4Ajvrbi6k
「待て。その人を殺してはならぬ。白石紬が帰って来た。約束のとおり、いま、帰って来た。」と大声でシアターの群衆にむかって叫んだつもりであったが、喉がつぶれて嗄れた声が幽かに出たばかり、群衆は、ひとりとして彼の到着に気がつかない。群衆の中には、「あの」歌織ンティナウスも混じっていた。
71 : Pチャン   2018/02/22 08:37:51 ID:RGv2/fnzv2
創作意欲が凄い
72 : バカP   2018/02/22 08:49:47 ID:IKxVlBImi2
やっぱ太宰治って神だわ
73 : 箱デューサー   2018/02/22 09:14:01 ID:b/ks6rA4zI
すでにステージの柱が高々と立てられ、マイティセーラーを着た星梨ヌンティウスは、徐々にステージに上がっていく。
紬はそれを目撃して最後の勇、先刻、濁流を泳いだようにサイリウムの浪を掻きわけ、掻きわけ、
「私だ、スタッフ! 辱められるのは、私だ。紬だ。彼女を人質にした私は、ここにいる!」と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついにステージに昇り、上がってゆく友の両足に、齧じりついた。観客は、どよめいた。
あっぱれ。ゆるせ、と口々にわめいた。星梨ヌンティウスの縄は、ほどかれたのである。
74 : 彦デューサー   2018/02/22 09:16:40 ID:b/ks6rA4zI
「星梨ヌンティウス。」紬は眼に涙を浮べて言った。
「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。君が若し私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」
星梨ヌンティウスは、すべてを察した様子で首肯うなずき、後ろの席まで鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。 ( *°ω°⊂彡☆))Д´) パーン
殴ってから優しく微笑ほほえみ、
「紬、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生れて、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」
メロスは腕に唸うなりをつけて星梨ヌンティウスの頬を殴った。 ( *°ω°⊂彡☆))Д´) パーン
75 : Pちゃま   2018/02/22 09:32:52 ID:QSmh/n4ON6
「ありがとう、友よ。」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。
群衆の中からも、歔欷の声が聞えた。
暴君Pィオニスは、観客の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。
「おまえらの望みは叶かなったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
どっと観客の間に、歓声が起った。
「最高、アイマス最高。」
ひとりの少女が、緋の衣装を紬に捧げた。
紬は、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「紬、君は、まっぱだかに白玉あんみつまみれじゃないか。早くそのプロローグルージュを着るがいい。この可愛い娘さんは、紬の裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」
勇者は、ひどく赤面し金沢に帰省した。
76 : バカP   2018/02/22 09:34:32 ID:21v4CcVzJU
77 : Pくん   2018/02/22 09:41:12 ID:20fa/s652.
ついに完結したか
面白かった乙
78 : プロデューサーさん   2018/02/22 09:52:40 ID:N6WRMcR92w
乙、原作の雰囲気を残してここまで面白くなるとは
79 : そなた   2018/02/22 09:54:25 ID:gOVxogeS52
このスレなんなん・・・
80 : プロデューサーちゃん   2018/02/22 09:58:17 ID:b/ks6rA4zI
リレーで書くの参加してたけどなんかSSとして結構いい感じになったんじゃないかな
81 : プロデューサー殿   2018/02/22 10:08:44 ID:H9psYzghIY
罪のない戸田くんが二回殴られててダメだった
82 : プロデューサー   2018/02/22 10:15:41 ID:4QPQBfw5nI
888888888
83 : ごしゅPさま   2018/02/22 10:29:55 ID:cl6mng020.
やっぱすげぇよプロルは・・・
84 : 我が友   2018/02/22 10:36:02 ID:uL1C0QIRQI
お疲れ様です。感動した!
85 : Pチャン   2018/02/22 11:27:25 ID:TpvU5JX12g
これは良スレ
86 : Pくん   2018/02/22 11:33:23 ID:O.Kht4gUlk
1レス1レスは笑えるのに通しで読むと謎の感動がwww
87 : お兄ちゃん   2018/02/22 11:41:18 ID:G2pvxLIDA6
文豪多すぎて草生えまくりだった。感動をありがサンキュー
88 : 兄ちゃん   2018/02/22 11:55:25 ID:xXJCxKsZQg
アイマスもついに教科書デビューか...
89 : Pチャン   2018/02/22 11:55:44 ID:DJd0Ji3ci.
結局金沢に帰省してて草
90 : せんせぇ   2018/02/22 12:12:29 ID:o6KrWoT7b6
忘れた頃に別作品でやろう(提案)
91 : Pチャン   2018/02/22 12:12:40 ID:IKxVlBImi2
「私は、ちゃんとマイティセラる覚悟で居るのに。配役チェンジなど決してしない。ただ、――」
「ただ、私に情をかけたいつもりなら、公演までに三日間の日限を与えて下さい」

からの

勇者は、ひどく赤面し金沢に帰省した。
92 : Pさぁん   2018/02/22 12:29:34 ID:NLI07v9gmQ
全裸じゃねえのかよ!
93 : プロちゃん   2018/02/22 13:15:30 ID:T3tsjW7tdY
最高、アイマス最高。で耐えきれなかった おつかれー
94 : ご主人様   2018/02/22 13:34:11 ID:ZolrcdhUKk
結局マイティセラるってなんなん?
95 : Pくん   2018/02/22 14:20:29 ID:MrSK5LKGNM
アイマス最高が完璧すぎるw
96 : プロちゃん   2018/02/22 14:21:02 ID:MrSK5LKGNM
やっぱアイマスってすげぇわ…(感心)
97 : プロデューサー   2018/02/22 18:48:48 ID:SKv8/OvCy.
ツムツムゎ走った……
98 : プロデューサーはん   2018/02/22 18:51:26 ID:21v4CcVzJU
かならす〃ぁσぁωみ⊃フェ了に参加Uなぃとと決意Uた…
99 : ごしゅPさま   2018/02/22 18:53:52 ID:Uss5X1e4QA
>>「この水引細工で何をするつもりであったか。言え!」暴君Pは静かに、けれども威厳を以もって問いつめた。そのPの顔はアルファベットのPで、眉間の皺は、落書きだった。

この部分でツボにはまってしばらく読み進められなかったw
100 : プロデューサーはん   2018/02/22 19:02:03 ID:21v4CcVzJU
いつも思うんだけどメロスの思考回路って島本和彦に酷似してる
101 : ご主人様   2018/02/22 20:23:15 ID:lAMiNaAVHg
でも……ツムギと星梨ヌンゎ……ズッ友だょ……!!
102 : 兄ちゃん   2018/02/23 22:50:01 ID:MOm2i7vx36
落とすにはもったいない奇才達だし、違うリレーssも見たいなぁ
103 : そなた   2018/02/23 23:00:22 ID:O0qqYCqH4c
題材をどうするか。短編で改編しやすそうな作品。蜘蛛の糸とかか
104 : プロデューサーはん   2018/02/23 23:01:31 ID:eMgksSqldo
あんまり連発すると飽きちゃうから、しばらくしてゲリラ的な感じでもいいと思うな
105 : Pチャン   2018/02/23 23:15:16 ID:WBmpvsht3w
タイトルか出だしにアイドルの名前が入るといいな
吾輩は白石紬である
みたいな
106 : プロデューサーはん   2018/02/23 23:36:57 ID:hYVO/jxKV.
>>105
名前はもうある。
107 : Pチャン   2018/02/23 23:37:49 ID:YbYfHJNfbM
パッと浮かんだのは「未来の馬鹿」(イワンの馬鹿)だけどトルストイだから結構難解…
http://www.aozora.gr.jp/cards/000361/files/42941_15672.html
108 : ごしゅPさま   2018/02/23 23:53:53 ID:MOm2i7vx36
はいほーの白い馬 とかどう?
109 : ダーリン   2018/02/24 00:43:16 ID:dL00jNEI6s

日本の真ん中の方、愛知県には、広い草原がひろがり、そこにすむ人たちは、むかしから、 ひつじや、牛や、馬などをかって、くらしていました。
この愛知県に、はいほー琴という、がっきがあります。がっきのいちばん上が、はいほーの かたちをしているので、はいほー琴というのです。いったい、どうして、こういうがっきができたのでしょう。 それにはこんな話があるのです。
むかし、愛知県の草原に、まつりという、まずしいひつじかいの姫がいました。 まつりは、としとったこのみさんと、ふたりきりで、くらしていました。
110 : プロちゃん   2018/02/24 01:21:40 ID:tWTCIFmESw
紬が理想のエミリー教育論を記す
「エミーリ」
111 : 仕掛け人さま   2018/02/24 01:27:19 ID:0NC8OyQTa2
注文の多い佐竹飯店
112 : おにいちゃん   2018/02/24 01:28:27 ID:W/Kx42LglU
>>111
注文より多い佐竹飯店ってどう?
113 : ぷろでゅーしゃー   2018/02/24 01:29:24 ID:W/Kx42LglU
>>109
はいほーの白い馬採用されてたwww
114 : お兄ちゃん   2018/02/24 10:31:03 ID:W/Kx42LglU
物語じゃないといかんのかな?
詩じゃ駄目かな?
115 : そなた   2018/02/24 10:32:10 ID:rVf9NK0bwg
教科書に載ってるような作品ならわかりやすく書きやすい
116 : ぷろでゅーしゃー   2018/02/24 10:40:28 ID:dL00jNEI6s
コノミーとか
117 : ぷろでゅーさー   2018/02/24 10:55:39 ID:KKYev7zFdQ
教科書で面白いの…エーミールとか?
118 : プロちゃん   2018/02/24 10:59:29 ID:oHFWPoQkHI
スイミー
モチモチの木
ごんぎつね
大造じいさんとガン
雨ニモマケズ
少年の日の思い出
ふたりはともだち
こころ
山月記
サラダ記念日
羅生門
教科書で覚えてる限りだとここらあたりかなぁ
119 : ぷろでゅーしゃー   2018/02/24 10:59:59 ID:W/Kx42LglU
中原中也って教科書載ってる?
120 : プロちゃん   2018/02/24 11:04:09 ID:oHFWPoQkHI
汚れつちまつた悲しみに
がのってたはず
121 : プロデューサーはん   2018/02/24 11:05:08 ID:KKYev7zFdQ
りっちゃんサラダが異様に美味かった覚えがある
122 : プロちゃん   2018/02/24 11:06:25 ID:oHFWPoQkHI
志賀直哉の「城の崎にて」好きだったなぁ
123 : プロデューサー殿   2018/02/24 11:36:02 ID:W/Kx42LglU
>>120
汚れつちまつた唐揚げに 


同じ詩篇に「みちこ」ってのもあるがさすがに載ってないか
124 : 箱デューサー   2018/02/24 15:41:22 ID:rfR/8wWSD2
961のおっさん、あんただったのか...で泣いた
125 : ご主人様   2018/02/24 17:44:56 ID:OyBYtZDtuw
>>103
「泣いた赤鬼」とかどうだろか
126 : あなた様   2018/02/24 17:57:34 ID:rVf9NK0bwg
SSで泣いた赤鬼と100万回生きた猫をASが演じるやつなら見たことあるな
127 : 我が下僕   2018/02/24 18:52:52 ID:E3uza7QNJI
クラムボンはやまなしだっけ?
128 : ハニー   2018/02/24 18:53:51 ID:0NC8OyQTa2
檸檬とか舞姫とかあったな
129 : Pちゃま   2018/02/24 19:21:40 ID:W/Kx42LglU
てぶくろをかいに
好きだった
130 : 彦デューサー   2018/02/24 19:42:34 ID:LPvh90Kr5w
最近は鴎外、漱石も知らない高校生とかもいるし、題材によっては解らないPもいるんだろうなぁ。
131 : プロデューサーちゃん   2018/02/24 19:46:31 ID:W/Kx42LglU
>>130
さすがにそんなのいまいよ
図書室に必ず置いてあるだろ
132 : ハニー   2018/02/24 19:52:16 ID:OyBYtZDtuw
>>130
教科書や課題図書以外読んでない社会人だっていくらでもいるだろうし、学生に限った話でもないな
133 : プロデューサーちゃん   2018/03/04 12:58:03 ID:jOMdn4sm4o
面白かったから上げるよ
134 : プロちゃん   2018/03/15 02:19:22 ID:c0zflkfF7I
あげ
135 : ぷろでゅーさー   2018/05/09 17:22:45 ID:hIkuc59tCE
初めて読んだが凄いスレだ
136 : プロデューサー様   2018/05/09 20:14:50 ID:snZA0Td6Ng
そういや結局あんみつ買わせられてないな
137 : 箱デューサー   2018/05/22 00:16:40 ID:PbWpO2f8F2
教科書ネタが上がってたので上げ
138 : おやぶん   2018/05/22 03:48:25 ID:NoUlxeceU6
 私はその人を常にコロと呼んでいた。だからここでもただコロと書くだけで本名は打ち明けない。これは世間を憚はばかる遠慮というよりも、その方が私にとって自然だからである。私はその人の記憶を呼び起すごとに、すぐ「コロちゃん」といいたくなる。筆を執とっても心持は同じ事である。よそよそしい伴田路子などはとても使う気にならない。
139 : Pさぁん   2018/05/22 05:02:16 ID:zPoxnoNwNI
私がコロちゃんと知り合いになったのは劇場である。その時私はまだ若々しいアイドル候補生であった。暑中休暇を利用してオーディションに行った友達からぜひ来いという連絡を受け取ったので、私は多少の金を工面して、出掛ける事にした。私は金の工面に二、三日を費やした。ところが私が会場に着いて三分と経たたないうちに、私を呼び寄せた友達は、急に金沢から帰れという電話を受け取った。

(書いたけどさすがにこゝろ全文は長くないですかね……)
140 : プロデューサーはん   2018/05/23 00:18:44 ID:soOqIE6dFw
アクメ漱石かな?
141 : おやぶん   2018/05/29 22:03:48 ID:evIo0t7s.k
誕生日だから上げ
142 : あなた様   2018/06/11 01:13:46 ID:YjkY6BEmFU
定期的に読んでほしいからage
143 : プロデューサーちゃん   2018/06/21 12:04:33 ID:xm.b/O0s7M
>>139
だから協力して作るんだぞ
144 : バカP   2018/06/21 13:58:36 ID:dl0uhLmsv.
紬岳<点の記>
というタイトルだけは思いついた。
145 : お兄ちゃん   2018/06/21 22:14:45 ID:5nkpJaFvx2
初めて読んだ。おもしろい・・・奇才Pたち、ありがとう。

>>138,139のこゝろも読みたいものだ
146 : ぷろでゅーさー   2018/06/21 23:10:35 ID:y0A3Vu6p.k
>>144
つむつむの未踏峰に観測しに行く話か

…お隣の登山家案件が頭に浮かんだので早苗さんのところに自首してくる
147 : せんせぇ   2018/06/28 19:05:33 ID:VQ1/EvrsPw
>>144
パブリックドメインじゃないみたいなので……

ラインでは金魚が病気だからと断ってあったけれども友達はそれを信じなかった。友達はかねてから国元にいる親たちに勧まない結婚を強いられていた。彼女は現代の習慣からいうと結婚するにはあまり年が若過ぎた。それに肝心の当人が気に入らなかった。それで夏休みに当然帰るべきところを、わざと避けて渋谷のパルコで遊んでいたのである。彼女はラインを私に見せてどうしようと相談をした。私にはどうしていいか分らなかった。けれども実際彼女の金魚が病気であるとすれば彼女は固《もと》より帰るべきはずであった。それで彼女はとうとう帰る事になった。せっかく来た私は一人取り残された。
 劇場のレッスンが始まるにはまだ大分日数があるので事務所におってもよし、帰ってもよいという境遇にいた私は、当分元の宿に留まる覚悟をした。友達は金沢のある呉服屋の娘で金に不自由のない女であったけれども、学校が学校なのと年が年なので、生活の程度は私とそう変りもしなかった。したがって一人ぼっちになった私は別に恰好な宿を探す面倒ももたなかったのである。

(長い...)
148 : お兄ちゃん   2018/06/28 19:22:53 ID:VQ1/EvrsPw
 宿は商店街でも辺鄙な方角にあった。クレープだのサーティワンだのというハイカラなものには長いアーケードを一つ越さなければ手が届かなかった。京王線で行っても百二十四円は取られた。けれども個人の商店はそこここにいくつでも建てられていた。それに市場へはごく近いので仕入れをやるには至極便利な地位を占めていた。
 私は毎日市場へ仕入れに出掛けた。古い燻ぶり返った屋根の間を通り抜けて河川敷へ下りると、この辺にこれほどの商店街ユーザーが住んでいるかと思うほど、買物に来た主婦や主夫で砂の上が動いていた。ある時は海美が銭湯のように頭をでごしごししている事もあった。その中に知った人を一人ももたない私も、こういう賑やかな景色の中に裹まれて、砂の上に寝そべってみたり、膝頭を波に打たしてコロッケを配って廻るのは愉快であった。
 私は実にコロをこの雑沓の間に見付け出したのである。その時商店街にはスタバが二軒あった。私はふとした機会からその一軒の方に行き慣れていた。この辺に大きな冷蔵コインロッカーを構えているイオンと違って、各店に専有のコインロッカーを拵えていないここいらのスタバには、ぜひともこうしたコインロッカー風なものが必要なのであった。彼らはここで茶を飲み、ここで休息する外に、ここで海美に洗濯させたり、ここで汗をかいた環を清めたり、ここへスマホやパスモを預けたりするのである。ガラケーしか持たない私にも画面がバキバキになる恐れはあったので、私はのり子に会うたびにその茶屋へ一切を預ける事にしていた。
149 : そなた   2018/06/29 22:15:43 ID:xVP9Wh3YgA
 私がそのスタバでコロちゃんを見た時は、コロちゃんがちょうどポップな色使いのパーカーを脱いでこれから店へ入ろうとするところであった。私はその時反対に冷房で冷えた身体を温めようと店から出てきていた。二人の間には目を遮ぎる幾多の黒い頭が動いていた。特別の事情のない限り、私はついにコロちゃんを見逃したかも知れなかった。それほど店が混雑し、それほど私の頭がぱぽーであったにもかかわらず、私がすぐコロちゃんを見付け出したのは、コロちゃんがエミリーを伴れていたからである。
150 : Pちゃま   2018/06/30 10:29:22 ID:KY1YlfsxNU
 そのエミリーの優れて白い皮膚の色が、スタバへ入るや否や、すぐ私の注意を惹いた。純粋の日本の浴衣を着ていた彼女は、それを床几の上にすぽりと放り出したまま、腕組みをして海の方を向いて立っていた。彼女は我々の穿くスク水一つの外何物も肌に着けていなかった。私にはそれが第一不思議だった。私はその二日前に由井が浜まで行って、コロッケを揚げながら、長い間エミリーの海へ入る様子を眺めていた。私のフライヤーをおろした所は少し小高い丘の上で、そのすぐ傍がホテルの裏口になっていたので、私の凝としている間に、大分多くの男が塩を浴びに出て来たが、いずれも胴と腕と股は出していなかった。女は殊更肉を隠しがちであった。大抵は頭にユニクロ製の頭巾を被って、海老茶や紺や藍の色を波間に浮かしていた。そういう有様を目撃したばかりの私の眼には、スク水一つで済まして皆なの前に立っているこのエミリーがいかにも珍しく見えた。
 彼女はやがて自分の傍を顧みて、そこにこごんでいる路子に、一言二言何かいった。その路子は砂の上に落ちたタオルを拾い上げているところであったが、それを取り上げるや否や、すぐ頭を包んで、海の方へ歩き出した。その人がすなわちコロちゃんであった。
151 : バカP   2018/07/02 19:33:56 ID:BdKV1q8D9E
なんかドンマスを思い出すわww
152 : せんせぇ   2018/07/02 20:51:07 ID:5zFl/DJmRU
じゅげむを題材に全体曲の歌詞を作ろうとする話は考えたけどまとまりきらないのよね
153 : プロデューサー様   2018/09/03 15:26:01 ID:te3yfTdP8o
名作だよね
154 : Pしゃん   2018/10/10 16:38:00 ID:pnCKRMQslk
いつ見てもおもろい
155 : ぷろでゅーさー   2018/10/12 17:06:19 ID:4j.W1MsfoQ
 私は単に好奇心のために、並んで浜辺を下りて行く二人の後姿を見守っていた。すると彼女らは真直に波の中に足を踏み込んだ。そうして遠浅の磯近くにわいわい騒いでいる多人数の間を通り抜けて、比較的広々した所へ来ると、二人とも泳ぎ出した。彼女らの頭が小さく見えるまで沖の方へ向いて行った。それから引き返してまた一直線に浜辺まで戻って来た。スタバへ帰ると、シャワーも浴びずに、すぐ身体を拭いてポップな色使いのパーカーを着て、さっさとどこへか行ってしまった。
 彼らの出て行った後、私はやはり元のテーブルに腰をおろしてIQ◯Sを吹かしていた。その時私はぽかんとしながらコロちゃんの事を考えた。どうもどこかで見た事のある顔のように思われてならなかった。しかしどうしてもいつどこで会った人か想い出せずにしまった。
 その時の私は屈托がないというよりむしろ無聊に苦しんでいた。それで翌日もまたコロちゃんに会った時刻を見計らって、わざわざスタバまで出かけてみた。するとエミリーは来ないでコロちゃん一人イメージカラーのリボンが付いた麦藁帽を被ってやって来た。コロちゃんは眼鏡をとって台の上に置いて、すぐタオルで頭を包んで、すたすた浜を下りて行った。コロちゃんが昨日のように騒がしいオーディエンスの中を通り抜けて、一人で泳ぎ出した時、私は急にその後が追い掛けたくなった。私は浅い水を頭の上まで跳かして相当の深さの所まで来て、そこからコロちゃんを目標に抜手を切った。するとコロちゃんは昨日と違って、一種の弧線を描いて、妙な方向から岸の方へ帰り始めた。それで私の目的はついに達せられなかった。私が陸へ上がって雫の垂れる手を振りながらスタバに入ると、コロちゃんはもうちゃんとポップな色使いのパーカーを着て入れ違いに外へ出て行った。
156 : 仕掛け人さま   2018/10/12 17:09:02 ID:vBY95EW6QA
>>155
夏目漱石のこころか
157 : プロデューサーさん   2018/11/06 01:43:20 ID:kqdCxbUxBA
こコロ
158 : お兄ちゃん   2018/12/21 09:37:42 ID:qblz8ZDC3Q
久しぶりに上げ
159 : ダーリン   2018/12/21 10:59:52 ID:vRKWa5ZTDg
雪歩で畜犬談とか面白そう
160 : Pちゃま   2018/12/21 11:35:17 ID:hOiCcp3VAM
>>159
いいのが思い浮かばなかったので、とりあえず猫にしてみた



『畜猫談』

 私は、猫については自信がある。いつの日か、かならずキャラが被るであろうという自信である。私は、きっと被られるにちがいない。自信があるのである。よくぞ、きょうまで被られもせず無事に過してきたものだと不思議な気さえしているのである。諸君、猫はキャラである。志希を斃《たお》し、たまさかにはのあと戦ってさえこれを征服するとかいうではないか。さもありなんと私はひとり淋しく炬燵《こたつ》で丸くなっているのだ。
161 : せんせぇ   2019/03/05 10:15:05 ID:VH0lh9EkEU
>>155
 私は次の日も同じ時刻に舞浜へ行ってコロちゃんの顔を見た。その次の日にもまた同じ事を繰り返した。けれども物をいい掛ける機会も、レッスンをする場合も、二人の間には起らなかった。その上コロちゃんの態度はむしろ非社交的であった。一定の時刻に超然として来て、また超然と帰って行った。周囲がいくらカラフルでも、それにはほとんど注意を払う様子が見えなかった。最初いっしょに来たエミリーはその後まるで姿を見せなかった。コロちゃんはいつでも一人であった。
 或る時コロちゃんが例の通りさっさと海から上がって来て、いつもの場所に脱ぎ棄てたポップな色使いのTシャツを着ようとすると、どうした訳か、そのポップな色使いのTシャツに砂がいっぱい着いていた。コロちゃんはそれを落すために、後ろ向きになって、ポップな色使いのTシャツを二、三度振るった。するとポップな色使いのパーカーの下に置いてあったサングラスが板の隙間から下へ落ちた。コロちゃんはヘッドホンを首に掛けてから、サングラスの失くなったのに気が付いたと見えて、急にそこいらを探し始めた。私はすぐチェアーの下へ首と手を突ッ込んでサングラスを拾い出した。コロちゃんはサンキューですといって、それを私の手から受け取った。
162 : ごしゅPさま   2019/03/05 10:15:29 ID:VH0lh9EkEU
 次の日私はコロちゃんの後につづいてシーへ飛び込んだ。そうしてコロちゃんといっしょの方角に泳いで行った。218.18メートルほど沖へ出ると、コロちゃんは後ろを振り返って私に話し掛けた。広い蒼いシーの表面に浮いているものは、その近所に私ら二人より外になかった。そうして強い太陽の光が、眼の届く限り水と山とを照らしていた。私は自由と歓喜に充ちた腹筋・背筋・胸襟を動かしてシーの中で躍り狂った。コロちゃんはまたぱたりと手足の運動をやめて仰向けになったまま浪の上に寝た。私もその真似をした。青空の色がぎらぎらと眼を射るように痛烈な色を私の顔に投げ付けた。「愉快ですわね」と私は大きな声を出した。
163 : Pチャン   2019/03/05 10:32:47 ID:VH0lh9EkEU
 しばらくしてシーの中で起き上がるように姿勢を改めたコロちゃんは、「もうゴーホームしませんか」といって私を促した。比較的強い体質をもった私は、もっと海の中で遊んでいたかった。しかしコロちゃんから誘われた時、私はすぐ「ええ帰りましょう」と快く答えた。そうして二人でまた元の路《みち》を浜辺へ引き返した。
 私はこれからコロちゃんとレッスン仲間になった。しかしコロちゃんがどこにいるかはまだ知らなかった。
 それから中二日おいてちょうど三日目の午後だったと思う。コロちゃんとスタバで出会った時、コロちゃんは突然私に向かって、「ユーはまだ大分長くここにステイするつもりですか」と聞いた。考えのない私はこういう問いに答えるだけの用意を頭の中に蓄えていなかった。それで「どうだか分りませんわ」と答えた。しかしにやにや笑っているコロちゃんの顔を見た時、私は急にきまりが悪くなった。「コロちゃんは?」と聞き返さずにはいられなかった。これが私の口を出たコロちゃんという言葉の始まりである。
164 : Pしゃん   2019/03/05 10:33:33 ID:VH0lh9EkEU
 私はその晩コロちゃんのホテルを尋ねた。ホテルといっても普通のアパホテルと違って、広い温泉街にある東横インのようなホテルであった。そこに住んでいる人のコロちゃんの家族でない事もわかった。私がコロちゃんコロちゃんと呼び掛けるので、コロちゃんは苦笑いをした。私はそれが伴田路子に対する私の口癖だといって弁解した。私はこの間のエミリーの事を聞いてみた。コロちゃんは彼女の風変りのところや、もう鎌倉にいない事や、色々の話をした末、日本人にさえあまり交際《つきあい》をもたないのに、そういう外国人と近付きになったのはストレンジだといったりした。私は最後にコロちゃんに向かって、どこかでコロちゃんを見たように思うけれども、どうしても思い出せないといった。若い私はその時暗あんに相手も私と同じような感じを持っていはしまいかと疑った。そうして腹の中でコロちゃんの返事を予期してかかった。ところがコロちゃんはしばらく沈吟したあとで、「どうもユーのフェイスにはリメンブランスがありませんね。アナザーパーソンじゃないですか」といったので私は変に一種の失恋を感じた。
165 : ぷろでゅーさー   2019/03/14 23:09:37 ID:tzt7mfatsA
また文豪Pが現れてて草
166 : プロデューサーくん   2019/03/15 00:20:03 ID:9hiMzM9.p2
少しずつ進んでることに驚き
167 : 5流プロデューサー   2019/04/26 18:51:35 ID:Gr6kGtEx/A
あげ
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