【赤緑23周年記念SS】百合子「私は、ポケモンマスターです!」その2
1 : 1   2019/03/28 21:35:53 ID:hzBBvn9CN.
前:http://imasbbs.com/patio.cgi?read=6773&ukey=0&cat=ml

注意
1:キャラ崩壊
2:長編
3:ゲームとは異なる展開
4:駄文
5:更新早かったり遅かったり
6;赤緑といいつつ青ピカ要素もある

上の続きです
初見だよって人やおさらい用とかに参考画像用意したのでどうぞ
多分分かるようになってるはず・・・
次レスでは簡単なこれまでのあらすじも書くので、どうぞ

それでは、冒険スタート!
337 : 1   2019/09/20 00:41:40 ID:vRcNS4Axzg
翌日

Pカチュウ「…あーよく寝た!」

瑞希「…」
このみ「…」
タケシ「…」

Pカチュウ「あれ、どうしたんだ?そんな真剣な顔で写真を眺めて…」

瑞希「プロデューサー、とりあえずこれを見てください」

Pカチュウ「見たところ何の変哲もない写真に見えるけど?」

タケシ「百合子の後ろの辺りを見てみろ」

Pカチュウ「……あ」

このみ「見えるでしょ?透明なモヤモヤしたものが百合子ちゃんの後ろにあるのが…」

Pカチュウ「こ、これって心霊…」

タケシ「言うな!」ブルブル

このみ「とりあえずこれは百合子ちゃんには内緒にしておきましょう」

瑞希「その方がいいですね」


百合子「…ZZzzzz」


スプーン<……カタッ
338 : 箱デューサー   2019/09/20 06:56:48 ID:Ebe0KkKkRk
おや?スプーンのようすが…?
339 : 1   2019/10/02 18:32:07 ID:L4pCENfU2c
森の中で食料調達中の百合子とPカチュウ

百合子「皆さんだけずるいですよ!どうして写真見せてくれないんですか?」プンプン

Pカチュウ「い、いやあれさ!ピンぼけしててさ!とても見られるものじゃなかったんだよ!!」

百合子「むむむー怪しい…」

Pカチュウ「今度早坂さんに会ったらまた撮ってもらおうな!」

百合子「…はい」

Pカチュウ(流石に百合子に心霊写真見せるわけにはいかないからなあ…)

百合子「そういえば、トキワシティまで後どれくらいなんでしょうか?」

Pカチュウ「…あと二日って所かな。明日にはトキワの森に入れそうだ」

百合子「サカキとの戦いまであと1か月…みっちり修行をしないとですね!」

Pカチュウ「……」

百合子「Pカチュウさん、どうしたんですか?」

Pカチュウ「…実はな百合子…」

百合子「はい」

Pカチュウ「俺は今、でんきわざを出すことが出来ないんだ」

百合子「え!?」

Pカチュウ「ヤマブキシティでマサキを倒すのに体内の電気エネルギーを全て消費してしまったんだ…治療が終わって身体が治っても、電気エネルギーばかりはどうしようもなかった」

百合子「そんな…」

Pカチュウ「だからごめん!俺はしばらく戦力にはなれない…」ギリッ

百合子「Pカチュウさん……」

???「今は力を失っていても――」

Pカチュウ「!?」
百合子「声!どこから!?」

???「戦う意志さえあれば何度でも立ち上がれる――」

百合子「近くから聞こえてるのに、姿が、見えない!」

Pカチュウ「百合子!上!!木の所に!!」

百合子「…」チラッ

ワタル「それが戦士だ!」キリッ

百合子「超重要人物っぽい人が木の枝に引っかかってぶら下がってるううう!!」ガビーン
340 : 1   2019/10/02 18:41:22 ID:L4pCENfU2c
百合子「誰ですかあなた!」

ワタル「ふっ、名乗るほどのものではない、ワタルと言うポケモントレーナー、それだけの存在さ…」

Pカチュウ「思いっきり名乗ってるし!」

百合子「そのワタルさんがどうして木に引っかかってるんですか?」

ワタル「ポケモンで空を飛んでいてな、かっこよく着地しようとしたらこうなってしまったわけさ!ハハハハハ!!」

Pカチュウ(うわあ…)ドンビキ

ワタル「だから俺を下ろしてくれお願いします」

百合子「どうしましょうか?」

Pカチュウ「変人ではあるけど、悪党ではなさそうだし、助けてやろう。けど、すぐに逃げような。こんな変人と関わり合いになりたくないから」


ワタル「礼を言うぞ」

Pカチュウ「じゃあ俺たち先を急いでるから…」

ワタル「まあ待て!礼と言ってはなんだが、俺のイケメンプロマイド写真をやろう!」

Pカチュウ「いや、いらないから」

ワタル「では俺のサインもくれてやるぞ!」キュッキュッ

Pカチュウ「俺の顔に書くなあああ!」ガビーン
341 : 1   2019/10/02 18:45:35 ID:L4pCENfU2c
ワタル「何故断る!この竜騎士<ドラゴンナイト>の異名を持つ俺のサインだぞ…!」

百合子「…!」ピクッ
Pカチュウ「竜騎士って…」

ワタル「戦いの宿命を背負った男、深淵を打ち払う聖なる光を司る者」

Pカチュウ「知らんわ!」

ワタル「話の通じない奴め」ヤレヤレ

Pカチュウ「ちゃんと通じるように話せよ」

百合子「戦いの宿命…それは悲しく、切ない…魂に刻まれた運命の道しるべ…」

ワタル「!?…女、名を聞こう」

百合子「百合子…七尾、百合子…」

ワタル「二つ名は?」

百合子「風の戦士、もしくはlilyknight」

ワタル「ということは、属性は…」

百合子「風」

ワタル「…」
百合子「…」

ガシッ!
2人は固い握手を交わした!

Pカチュウ(何か意気投合しちゃったああああああああああああああ!!)

百合子「この人絶対いい人ですよ!!」

Pカチュウ「嘘だろ!こいつただの変人マントマンだぞ!!」

ワタル「百合子、見どころのある奴だ、気に入った!」

百合子「あなたこそ!なかなかのセンスの持ち主と見ました!あっちで語り合いましょう!私の仲間…風の戦士たちを紹介します!」

ワタル「頼む!」

スタスタスタ…

Pカチュウ「どうしてこうなった……にしても、ワタル、か…どこかで聞いたことがあるような…」
342 : おやぶん   2019/10/02 21:30:33 ID:5fwFGCxBBo
ポケモン世界の食料事情って謎だよな、あの世界の肉って…。
343 : 1   2019/10/04 00:54:17 ID:Rlb.vuE5CQ
百合子「紹介します!さっき出会ったばかりの…」

ワタル「ワタルだ、人は俺のことを竜騎士<ドラゴンナイト>と呼ぶ!」

タケシ「…は?」
このみ「え?な、なんて?」

Pカチュウ「当然その反応になるよな…」

百合子「どうしたんですか皆さん!何だかノリが悪いですよ!」

ワタル「おそらく、俺の発するオーラに当てられたのだろう…『これ』は『力』を持たないものには強すぎる…」

百合子「なるほど!」

このみ「また随分と個性的な人が現れたわね…」

ワタル「褒めてくれるな」

このみ「褒めてないわよ!?」

ワタル「うっ!!」ドサッ

百合子「どうしたんですか!急に腕を押さえて!」

ワタル「すまない、昔邪竜をこの右腕に封印してな…たまに力が弱まるんだ……くっ!沈まれ俺の右腕…!!」

百合子「お…おお!凄い…ファンタジーだ…!」キラキラ

Pカチュウ「…」
タケシ「…」
シゲル「…」
もはやツッコむ気力も失った三人
344 : 1   2019/10/04 01:02:20 ID:Rlb.vuE5CQ
このみ「百合子ちゃん!今すぐ元の場所に戻してきなさい!」

ワタル「人を野良犬扱いするなー!」ガビーン

瑞希「まあまあ馬場さん、落ち着いてください」ドードー

このみ「瑞希ちゃん、だけど私放っておけないわ!この人、明らかに変人よ!常時半裸のタケシくんがまともに見えるくらいやばいのよ!」

タケシ「いい加減泣くぞ俺」

瑞希「ワタルさん、あなた四天王の1人ですね」

このみ「え!?」
シゲル「ええ!?」
Pカチュウ「えええ!?」
タケシ「ええええ!?」
百合子「えええええ!!?」

ワタル「ほう、何故分かった」ゴゴゴゴゴ

瑞希「答えは単純です」

ワタル「ならばお手並み拝見と行こうか!名探偵様の推理ショーを!!」バッ

ざわ・・・ざわ・・・

瑞希「プロデューサーの顔に書いてあるサインにはっきり書いてあるからです」


四天王ワタル!参上!!


百合子「……あ、本当だ」

ワタル「…」
瑞希「…」

ワタル「見事な推理だ!褒めてやるぞ女ァ!!」

瑞希「それほどでもありません……えっへん」

このみ「推理どこよぉ!?」ガビーン
345 : 1   2019/10/04 01:20:29 ID:Rlb.vuE5CQ
シゲル「こいつが四天王…伝説とまで言われたカントー最強の4人の内の1人…!俺が倒すべき相手…!」

タケシ「こんな変人マントが…」

Pカチュウ「思い出した…そうだ、ワタルって四天王…」

百合子「凄いです!ワタルさんがあの四天王だったなんて!」

ワタル「やれやれ、一般人にはあまり知られたくなかったんだけどな」

このみ「で、その四天王がどうしてここに?」

ワタル「ある男を探していてな」

瑞希「ある男、ですか」

ワタル「あぁ、お前たちもよく知っている人物…お前たちが追っているあの男…」

百合子「ま、まさか…!」

ワタル「ロケット団の首領・サカキ!俺たちの目的は奴を倒し、拘束すること!!」

百合子「サカキを倒す!?」

ワタル「俺たち四天王のもう一つの顔でな、悪のポケモントレーナーを始末して回っている…サカキは一級犯罪者、その正体はずっと謎に包まれていたが、最近奴がトキワジムのジムリーダーであることが分かった」

タケシ「それであんたはサカキと接触しようとここに?」

ワタル「それもあるが…お前たちとの接触も俺の目的の1つなのだ」

百合子「私たちとですか!?」

ワタル「お前たちのことは知っているぞ!七尾百合子、喋るピカチュウ、それにちっちゃい少女と名探偵、お前たちは異世界から来たらしいじゃないか」

Pカチュウ「へぇ、流石の情報網ってところだな」

ワタル「よその世界から来たお前たちが…この世界に騒乱をまき散らす種となりえる者であるならば、俺はお前たちを始末するつもりだった」

百合子「し、始末って…!」

ワタル「すなわちお前たちの殲滅」ニヤッ
346 :   2019/10/04 01:20:39 ID:Rlb.vuE5CQ
続く
347 : 師匠   2019/10/04 12:57:28 ID:0dUkqsVjeg
SSRを出さないカメラマンは捕まえて欲しいです。
348 : 1   2019/10/06 23:55:35 ID:QUZB2ZvR6o
このみ「つまり私たちの敵!?」

瑞希「…」カチッ

ワタル「話は最後まで聞け……俺の考えは、お前たちと直接会ってから判断するつもりだ
った…そしてその結果、お前たちはこの世界に害をなす存在ではない、と判断した」

瑞希「その考えに至った理由は何なのでしょうか?」

ワタル「それはこの百合子!いや、風の戦士!同じ志を持つものに悪党はいないと思った
のだ!敵?否!お前は我が盟友だ!!」

百合子「えへへ、なんだか照れますね」テレテレ

他一同ズッコケる

瑞希「…何はともあれ、四天王を敵に回さなくて安心しました」

このみ「そうね、この人あんな感じだけど、一応この地方最強の1人なんでしょう?」

シゲル「そのはず…なんだけどな…」ドヨーン

ワタル「俺はお前たちとは争わないし、危害を加えるつもりはない。安心するがいい!ハ
ーハハハハ!」

百合子「四天王が味方側にいるなんて、心強いですね」

シゲル「おいちょっと待て!さっきの話を聞く限りだと、あんたはサカキを倒すつもりで
ここに来たわけだろ?」

ワタル「その通りだ!とんがり頭の少年!」

Pカチュウ&タケシ(お前も人のこと言えた髪型かよ…)ドヨーン

シゲル「ふざけんな!サカキを倒すのはこの俺様だ!!部外者は引っ込んでろ!!」

百合子「ちょっと待ってください!倒すという点でいうなら私だって!」

ワタル「お前たちに勝てる見込みがあるのか?」

百合子「え…!?」
シゲル「なんだとぉ!!」
349 : 1   2019/10/07 00:12:39 ID:4LqkIpWwrI
ワタル「トキワジムのジムリーダーは代々、高いトレーナー能力を持つものだけが就任を
許される。奴は歴代でも最強のトキワジムリーダーだ!何故なら奴が就任してから一度も
ジム戦で勝てたトレーナーがいないからだ!」

百合子「つまり、完全無敗…」ゾワッ

このみ「確かに、ボスが負けたって話は聞いたことがないわ」

タケシ「だ、だけどでも俺たちはタマムシでサカキを倒しただろ!」

Pカチュウ「あれはサカキ1人に対して俺たち全員で立ち向かっていったのと地下アジトが崩れ始めて勝負が中断したこと、何よりサカキが手を抜いていたからこそのあの結果だ…とても勝ったと言える試合じゃなかった」

タケシ「そ、そうだな…もしあのまま続けていたらどうなっていたか分からなかった」

ワタル「はっきり言ってお前たちには荷が重すぎる、ここは俺に任せておけ」

百合子「すみませんけど、そう言われて引き下がれませんよ」

このみ「百合子ちゃん…」

百合子「タケシさんから始まり、カスミさん、マチスさん、エリカさん、ナツメさん、キ
ョウさん、カツラさん…!この世界に来てから今日まで、ジムリーダーの皆さんと戦い続
けてきました!ここで引き下がったら、今まで戦ってきた皆さんに申し訳がありません!」

Pカチュウ「そうだな!サカキを素通りしたらチャンピオンなんて夢のまた夢だもんな!」

ワタル「…ならば盟友に今一度問おう!お前はサカキを倒せるのか!」

百合子「たとえ負けたって何度でも挑みます!「負けを認めない」のが必勝の一歩ですか
ら!ですよね、Pカチュウさん!」

Pカチュウ「ああ!!」
350 : 1   2019/10/07 00:24:06 ID:4LqkIpWwrI
ワタル「どうやら意志は固いようだな」

百合子「はい!」

シゲル「俺もやるぜ百合子!」

百合子「シゲルさん!」

シゲル「サカキは俺にとっても敵だ!何よりこいつを倒して四天王…お前たちへの挑戦権を得る!」

ワタル「サカキだけではなく、俺たちをも倒すと?」

シゲル「おお!俺は未来のポケモンチャンピオンになる男だ!覚えておけ!!」

ワタル「ふっ、お前たちの執念と野心!実に気に入った!!」

百合子「じゃあ!」

ワタル「やりたいようにやるがいい!ただし、俺が無理だと判断したら、その時は俺がお前たちの尻ぬぐいをしてやる!感謝するがいい!!」

シゲル「それはいらないお世話になるだろうな!」

Pカチュウ「頑張ろうな、百合子!」

百合子「はい!!」

瑞希「あのワタルさん、1ついいでしょうか」

ワタル「どうした名探偵?」

瑞希「あなたたちの目的に関してよく理解しました。ですが、それを一般トレーナーである私たちに話しても良かったのですか?」

ワタル「…」
瑞希「…」

ワタル「あ、これ言っちゃいけなかったんだ!すまん!聞かなかったことにしてくれ!!」

一同(ええええええええええええええええええええええええ!!)
351 : 1   2019/10/07 00:38:16 ID:4LqkIpWwrI
翌日

百合子「シルフ、“りゅうのいかり”!」

シルフ「!!」バッ

百合子「トキワジム挑戦までまだ3か月近く残ってる!それまで特訓して強くならないと!」

Pカチュウ「この期間で俺もエネルギーの回復をしないと!」

ワタル「お前たち!特訓とはいい心がけだぞ!」

百合子「ワタルさん!」

ワタル「ほう、これが百合子のポケモンたちか!ふむ、なかなか鍛えられているな…数多の修羅を乗り越えてきたものの眼をしている」

百合子「えへへへ」

ワタル「…このハクリュー、通常より大きい体をしているな。進化前はよく食べて栄養を取っていたのだろう」

シルフ「!?」

百合子「凄い!当たってる!」

Pカチュウ「見ただけでそんなことが分かるのか?」

ワタル「ドラゴンのことなら、何でもわかる!何故ならそう!俺は竜騎士<ドラゴンナイト>だからだ!!」ドヤァ

Pカチュウ「耳元で騒ぐな!」

ワタル「…しかし百合子よ、お前はまだこのハクリューの力を使いこなせていないな?」

百合子「え!?」
352 : 1   2019/10/07 00:41:25 ID:4LqkIpWwrI
ワタル「わざのキレが弱い、お前もそうだが、ハクリュー自身も力の入れどころを理解していない様子だ…体つきから見ても、進化したのはここ最近のようだから無理もないだろうが」

百合子「う…それも当たりです」シュン

ワタル「だが安心しろ!この俺が決戦の日までお前たちを鍛えてやる!」

百合子「ほ、本当ですか?」

Pカチュウ「何を企んでるんだ?」

ワタル「人聞きの悪い奴だ、俺はただ盟友のためにと思っただけだ」

Pカチュウ「ほんとかよ…」

ワタル「どうやら、俺はお前からあまり信用されていないらしいな。すまんな、俺がお前よりイケメンだから嫉妬させてしまって…」

Pカチュウ「そんなんじゃないってーの!」イラッ

ワタル(百合子がサカキを倒せるとしたら、その可能性を握っているのはおそらくこのハクリュー…、少しでも奴といい勝負をさせるためなら俺の惜しみなく協力するさ…)

百合子「頑張ろうね、シルフ!」
シルフ「!」コクコク

ワタル(俺もこの眼で直に見てみたいのさ…!異世界から来たポケモントレーナーの持つ可能性、その全力ってやつを…)ニヤッ
353 : 1   2019/10/07 00:47:17 ID:4LqkIpWwrI
続く

カモネギに次いで、ポニータも姿を変えて剣盾に登場するそうで
百合子PTの活躍、いいぞ
354 : プロデューサーさま   2019/10/07 01:28:29 ID:R9RCU7usJI
ゲーム基準にすると百合子の手持ちはサカキと相性悪くてなぁ
つむぎで全抜き狙うかって状態
355 : 1   2019/10/09 21:53:42 ID:nPYb.UXB0.
一方その頃

瑞希「プテラ、そのまま上昇」

シゲル「先回りだ、リザードン!」

リザードン「!」ガシッ
プテラ「!?」

シゲル「いいぞ!プテラの頭を掴んで、そのままイワークに投げつけろ!」

イワーク「!?」ドゴッ
タケシ「イワーク!!」

瑞希「ここまで、ですね」

タケシ「2人を相手にして、流石の強さだな」

シゲル「いや、まだまだだ」

タケシ「俺に言わせれば、その歳で十分の実力だとは思うけどな」

シゲル「足りないんだ…!俺はもっと強くなりたいだ」

瑞希「シゲルさんの夢は、確かポケモンチャンピオンになることでしたね」

シゲル「そうさ!だから、次のジム戦に負けるわけにはいかねぇんだ!サカキやワタル相手に渡り合うことが出来なければ、俺はこの先、世界最強を名乗れない!それに…」

瑞希「それに?」

シゲル「い、いや、何でもねぇ!とにかくだ!お前らには感謝してるぜ!練習相手になってくれてよ!」

タケシ「気にするな、俺たちもできるだけのサポートはしたいと思っていたからな」

瑞希「でも何故馬場さんには声をかけなかったんですか?」

シゲル「ば、バカやろぉ!このみに迷惑はかけられねぇだろうが!」

タケシ「あ、そ、そうか…」

シゲル「それによ、惚れた相手には弱みを見せたくねぇっていうか…」

このみ「え?何の話かしら?」バッ

シゲル「どっしえええええええ!!」ビクッ

瑞希「馬場さんどうしたんですか?」

このみ「お昼ご飯が出来たから呼びに来たんだけど…本当に何かあったの?」

タケシ「大丈夫だ、問題ない」

瑞希「とりあえずお昼にしましょう」
356 : 1   2019/10/09 22:01:07 ID:nPYb.UXB0.
百合子「美味しい~」

シゲル「い゛き゛て゛て゛よ゛か゛っ゛だ゛!!」バクバク

タケシ「泣くか食うかどっちかにしろよ…」

Pカチュウ「このみさんの手料理本当美味しいです、毎日食べたいくらいですよ」

このみ「そう?嬉しくって何だか照れちゃうわね」///

シゲル「はいはいはい!俺も俺も!!」グイッ

ワタル「…」スッ

タケシ「あっ!お前俺の分横取りするな!」

ワタル「すまん、この封じられた左腕が勝手に…!し、静まれ…!」

タケシ「この間は右腕って言ってたよな!?」

Pカチュウ「うまいうまい!」ガツガツ

このみ「どんどん食べてちょうだいね♪」

シゲル「このっ!」バッ

Pカチュウ「あっ!俺のだぞ!!」

シゲル「へんっ!てめぇはその辺のどんぐりでも食ってろ!!」バクバク

Pカチュウ「やろう!シゲロウ!」ボカボカ

シゲル「シゲルだあああああ!!」ボカボカ

このみ「男子は元気ね~」モグモグ

瑞希「皆さん、落ち着いてください」モグモグ

百合子(瑞希さん、ちゃっかり自分の分はキープしてる)

このみ「百合子ちゃん、スープはいかが?」

百合子「いただきます!えーと、スプーンはもらったやつを使おうかな」

スプーン<ぴくっ
百合子(え!体が勝手に!)

タケシ「百合子!お前まで俺の分横取りするのか!」

百合子「え!いや、違うんです!このスプーン持ったら勝手に腕が動いて!」

タケシ「ワタルのネタ真似したって誤魔化されないぞ!」

ワタル「ネタではない!断じてだ!俺の腕には禁じられし力が封じられててだな!」グイッ

このみ「あなたたち、静かにしなさい…!」ゴゴゴゴゴ

男たち「あ、はい…」

百合子「な、何で私までー!」

瑞希「おいしい…」モグモグ
357 : 1   2019/10/09 22:16:39 ID:nPYb.UXB0.
タケシ「シゲル、皿は洗い終わったか?」

シゲル「ああ……ったく!お前らのペースに乗るとロクなことがねえ!」

タケシ「まあそう言うなって、慣れれば楽しいものだ」

シゲル「慣れたくねえ…」

タケシ「にしても百合子め、俺が大事にとっておいた料理をこのスプーンで……ん?」

シゲル「どうした?」

タケシ「いや、スプーンに名前が彫ってあったのを見つけた」

シゲル「名前?」

タケシ「ああ……R…E…I…K…A……REIKA?ん、誰だ?」

シゲル「んなことどうでもいいだろ!それよりこれ終わらせてトレーニングの続きやろうぜ!」

タケシ「あ、ああ!そうだな……」


このみ「百合子ちゃん」

百合子「あれ?このみさん!どうしたんですか?」

このみ「ちょっといいかしら…」

百合子「も、もしかしてさっきのことで?」

このみ「違うわ!そのことじゃなくて…ちょっと大事な話を、ね…」

百合子「?」



ワタル(いいぞ百合子…もっとだ…!もっと鍛え上げてやる…!)



瑞希「――というわけです」

シゲル「けっ!言われなくてもやってやらあ!!」



百合子「このみさん…」

このみ「だからお願い!百合子ちゃん!!」



Pカチュウ(俺は今回のバトルに参加することはできない…けど、休んでる暇はない!俺も今できることを精いっぱいやるんだ!!)

タケシ「はい!サイドチェストオオオオオオオオオオオオ!!」

Pカチュウ「って!人がシリアスな心情の時に、横で筋トレすんな!!」



一行は打倒サカキのため、動き出す
その中で様々な想いが交錯し、

そして、いよいよ決戦の日に!
358 : 1   2019/10/09 22:16:53 ID:nPYb.UXB0.
続く!
359 : 1   2019/10/14 01:26:09 ID:Vi0az23Oa2
~トキワシティ~

Pカチュウ「ついにここまで来たな」

百合子「ちょっと緊張してきました」

このみ「落ち着いて深呼吸よ!ひーひーふー!」

百合子「ひーひーふー」

Pカチュウ「使いどころ違う!」

百合子「…い、行きましょうか」

シゲル「ああ」

がちゃ!

瑞希「誰もいませんね」

タケシ「ま、まさか俺たちに恐れをなして逃げ出した…?」

Pカチュウ「そんな小物だったらどれだけ良かったか」


サカキ「ようこそトキワジムへ」


百合子「サカキ!!」

Pカチュウ「現れたな!」

このみ「ボス…」

サカキ「臆病風に吹かれて逃げ出すかと思っていたが、その度胸褒めてやろう」

シゲル「誰が逃げ出すかよ!!」

百合子「お互いここで決着をつけるとき!今度こそあなたを倒してみせる!」

サカキ「その減らず口が最後までたたけるといいのだがな」

ワタル「貴様こそ、いつまでも余裕でいられると思ったら大間違いだ」

サカキ「招かれざる客…四天王というものはよほど暇と見える」

ワタル「トキワジムのジムリーダーに俺の存在を知っていてもらえるとは光栄だな……いや、ロケット団の首領、と訂正した方がいいかな?」

サカキ「…私を倒すつもりか?」

ワタル「そう思っていたところだがな!お前を倒すのは俺ではない!このルーキーたちがお前を倒す!!」

サカキ「ほう」

このみ「2人の実力を過去と一緒だと思ったら大間違いよ!」

サカキ「すっかり正義が板についているようだな、裏切り者」

このみ「っ!」

サカキ「何を吠えようが、この世界においてお前はこちら側の人間だ…自分が何をしてきたか、忘れたわけではあるまい?」

このみ「…」
360 : 1   2019/10/14 01:32:23 ID:Vi0az23Oa2
瑞希「いいえ、馬場さんはあなたとは違います」

サカキ「シルフカンパニーで見た顔だな」

瑞希「初めまして、真壁瑞希です」

サカキ「瑞希、私はこのみと話しているんだ、口を挟まないでくれたまえ」

瑞希「いいえ、仲間が言いたい放題されているところを黙っていられません」

このみ「瑞希ちゃん…」

瑞希「私は途中加入なもので詳しい所分かってはいませんが、ロケット団に加担し、悪事を働いてことは聞いています、許されないこともしてきたのかもしれません…ですが馬場さんがその件に関して悔いていることは分かります。あなたのように平然と悪事を働く人とは違います」

ボンッ!
フリーザー「その通りだ瑞希!!」

百合子「なんか勝手に出てきた!」ガビーン

このみ「フリーザー!」

フリーザー「このみは私の主人…主人が過去に罪を犯したのならば、私も共にそれを償おう!美しく、な!!」

ワタル「…」チラッ

サカキ「ポケモン風情が出しゃばってくるとはな…」

フリーザー「覚えておけ!人間とポケモンの信頼関係の強さを!!そこの見知らぬ男よ、君もそう思うだろ!」

ワタル「うるさああああい!俺に話しかけんなァ!!」クワッ

フリーザー「えええええええええええええええええ」ガーン

ワタル「俺は氷ポケモンが大っ嫌いなんだ!分かったら俺のそばに近づくな鳥野郎!!」ペッ

フリーザー「あ…あぁ…」(遠い目)

Pカチュウ(人間とポケモンの信頼関係とはいったい)ドヨーン
361 : 1   2019/10/14 01:35:49 ID:Vi0az23Oa2
瑞希「とにかくです、馬場さんへのこれ以上の侮辱は私が許しません」

このみ「ありがとう、瑞希ちゃん……後、フリーザーも」

サカキ「相も変わらず茶番か」

このみ「ボス、私はずっと後悔してきたわ。百合子ちゃんたちと行動を共にするようになってからも、どこか私は皆とは違う世界にいるような感覚だった」

サカキ「その通りだ、やはりお前は賢い女だ」

このみ「けどそれは今日でおしまいよ。皆と本当の意味で笑いあえるように、私は今日、過去の自分に決着をつけに来たのよ!」

百合子「このみさん!」
シゲル「流石俺の彼女だぜ!!」

このみ「見ててもらうわよボス!私の意思を!!」

サカキ「…」

Pカチュウ「百合子、ごめんな…!肝心な時にお前を助けてあげられなくて…!ここで、ただ見てるだけだなんて…!」

百合子「…そんなことないんです。Pカチュウさん…プロデューサーさんが見てくれていると思うと、勇気が湧いてくるんです。だから私は夢に向かって歩み続けられる。だから見ててください、成長した私の姿を!」

Pカチュウ「…あぁ、分かった!」

タケシ「俺からも言わせてもら
百合子「サカキ!!」
タケシ「ちょっと言わせて!!」ガビーン

百合子「フィールドの外にいる皆の想いは私たちに繋がっている!対戦相手は私とシゲルさんだけじゃない!全員があなたの相手なんだ!!」

Pカチュウ「俺が付いてるぞ!頑張れ!!」
瑞希「七尾さんに託しました……えいえいおー」
このみ「お願い、勝って…っ!」
ワタル「それでこそ我が盟友よ!!」

タケシ「…」ドヨーン
フリーザー「…」ドヨーン

シゲル「さあ始めようぜ!!最後のジム戦をよぉ!!」
百合子「勝負だ!サカキ!!」

サカキ「いいだろう…、来い…!お前たちの夢も信念も…全てを滅ぼしてやる、王の、力によってな!」
362 : do変態   2019/10/14 06:28:56 ID:Ixcj8lH8Po
タイプ相性が悪いからってwww
363 : 1   2019/10/17 23:48:38 ID:3x5b2urPmc
百合子「それでは、まずは私から…」

シゲル「ちょーっと待て!俺からやらせろ!」

百合子「いやいや、ここは主人公である私が!」

シゲル「誰が主人公だ!誰が!」

このみ「あの2人、大丈夫かしら?」

Pカチュウ「ちょっと心配になってきたかも」

百合子「…いや、ここはあえて先行を譲ることで、後に私の活躍を劇的に演出することができるのでは…」ブツブツ

シゲル「おい、さらっと俺を捨て駒にする算段をしてんじゃねぇ!」

サカキ「そんなに戦いたいのなら、2人まとめてかかってきたまえ」

百合子「え!?」
シゲル「何だと!?」

サカキ「配慮だよ…お前たちが少しでも私といい勝負が出来るように、とね」

シゲル「なめやがって…!」

百合子「完全に私たち、下に見られてますね!」プンプン

ワタル「いいだろう!その話、乗った!!」

百合子「何でワタルさんが決めてるんですか!?」ガビーン
シゲル「そうだ!勝手に決めんじゃねぇ!!」

ワタル「少しでも勝てる要素が追加できるのなら、乗らない手はないだろう!」

百合子「だけど…」

サカキ「私は一向に構わん。はっきり言って、お前たち2人を相手に勝つことなど造作もない」

百合子「むっ!」

シゲル「上等だ…!大口たたいたことを後悔させてやる!」

サカキ「決まりだな」フッ

タケシ「2対1か、いい方向に流れていったな」

瑞希「ですが安心はできません、むしろ、その逆…」

タケシ「え?」
364 : 1   2019/10/17 23:58:05 ID:3x5b2urPmc
サカキ「ルールの説明をさせてもらおう」

百合子「…どうぞ」

サカキ「お前たち2人の使用ポケモンは各3体ずつ、交代はあり。フィールドに出せるポケモンは2体までだが、それらはお前たちのどちらかのポケモンのみでも良しとする」

百合子「つまり私たちは2人で実質6体のポケモンを操れる」

シゲル「その気になれば、俺のポケモン2体を場に出してバトルできるのか」

百合子「それじゃあ私の出番が無くなっちゃうじゃないですか!」ガビーン

シゲル「バーカ!お前が先にくたばったら、俺だけで戦わなきゃいけなくなるだろ!そういうことだ!」

百合子「あ、なるほど……って私が倒される前提!?」

シゲル「勝敗は、俺たち2人が全滅したらお前の勝ちってことでいいんだよな?」

サカキ「あぁ、その通りだ」

シゲル「安心したぜ、どっちかが倒された時点で負けになったら興ざめだからな」

サカキ「どのみち、お前たちが全滅すれば同じことよ」

シゲル「…」チッ

百合子「サカキ、あなたはさっき『お前たちの2人の使用ポケモン』と言っていたけど、あなたの使用ポケモンは…?」

サカキ「2体…私が操るポケモンは2体だ」

Pカチュウ「何!?」
このみ「使用ポケモン2体で6体を相手するつもりなの!?」

サカキ「やる気になってくれたかね?」

シゲル「…あぁ、やる気になったぜ…!俺をとことんなめてるお前に対する怒りでな!!」

サカキ「お前の感情などどうでもいい…、お前たちが何を考えようが、私の勝利という結果には変わりはないのだから」

シゲル「こいつを倒すため、俺の夢のため…こいつにはぜってぇ負けられねぇ!だから足引っ張るんじゃねぇぞ!」

百合子「は、はい!」
365 : 1   2019/10/18 00:10:05 ID:XdGA.QdT7M
瑞希「悪い予感が当たりました」

タケシ「さっき言いかけてたのってこのことか?」

瑞希「本来、チームというのは日ごろから積み上げてきた信頼関係が大きく左右してきます。アイドルユニットもポケモンバトルもそれは同じ……」

ワタル「付け焼き刃のコンビネーションは、その名のとおり切れ味抜群!敵味方どころか己自身も傷付けかねない禁断の武器よ!」

このみ「あなた、それを予想できたのに2人にタッグ戦を進めたの!?」

ワタル「さあ?何を言っているのやら…」

このみ「ムキー!やっぱり信用できないわ!」

ワタル「ハッハッハ!」

Pカチュウ(百合子…)
366 : 1   2019/10/18 00:21:54 ID:XdGA.QdT7M
タケシ「悩んでも仕方ないさ、こうなった以上俺たちは成り行きを見守るしかない」

Pカチュウ「…そうだな」

タケシ「それよりもあっちだ」チラッ

このみ「大体あなたのことは前々から胡散臭いとは思ってたのよ!」

ワタル「人聞きが悪いぞ!俺はただ百合子たちの全力のバトルが見たいだけだ!」

このみ「全力?」

ワタル「異世界から来てからの短い期間で、ジムリーダーを撃破しロケット団を壊滅させたお前たちの力、俺は非常に興味を持っている!だから、追いつめられた百合子が土壇場でどれだけの力を発揮するのか直に見てみたかったのだ!だから別にお前たちに悪意を持っているわけではない!」

このみ「信用できないわね…」ジトー

ワタル「やれやれ、これも宿命を背負ったものの定めか…」フッ

このみ「瑞希ちゃんもこの男に何か言ってやって!」

瑞希「ワタルさん」

ワタル「ん?」

瑞希「付け焼き刃とは切れ味の悪いという意味なので、先ほどの発言は訂正した方がよろしいかと」

ワタル「…」

瑞希「…」

ワタル「ハーハッハッハ!」

このみ「誤魔化すなァ!!」
367 : 1   2019/10/18 00:22:46 ID:XdGA.QdT7M
サカキ「試合開始だ」

シゲル「行けっ!」
百合子「お願い!!」

サカキ「ゆけ」

カメックス「!」ボンッ
つむぎ「!」ボンッ

サイドン「!」ボンッ

このみ「あの時のサイドン!?」

タケシ「シルフカンパニーを破壊したサカキの切り札…!こんな初っ端から!?」

Pカチュウ「だけど、こっちは水タイプ2体!相性的に圧倒的有利!」

ワタル「…セオリー通りならな」

シゲル「だったらこっちも最初から全力だ!カメックス!!」

百合子「つむぎ!!」

「「“ハイドロポンプ”!!!!」」

サイドン「!?」ボシュッ!

百合子「やった!直撃!!」

サイドン「…」ニヤッ

ドドドドドドドドド!!

シゲル「喰らいながら突っ込んできやがった!?」

百合子「そんな!弱点のはずなのに!!」

サイドン「グオオオッ!!」

ガシッ!
つむぎ「!?」
カメックス「!?」

2体の頭を掴んだサイドンは、そのまま地面にたたきつけた!

シゲル「なっ…!」

百合子「つむぎ!!」

サカキ「…どうやら勝負以前の問題だったな、これでは準備運動だ」
368 : おやぶん   2019/10/18 06:36:02 ID:gmHicKUxvc
きゃー!サイドンかっこいいぃぃぃ!!!
369 : 1   2019/10/30 23:35:53 ID:UmIzFPm7Ao
百合子「これが…サカキの真の実力…!」ゾワッ

サカキ「…放心していていいのかね?」

サイドン「!」ガシッ
つむぎ「!?」

百合子「つむぎ!!」
サカキ「やれ」

ドゴッ!!
再度つむぎを掴み、壁まで投げ飛ばした!

シゲル「くそっ!カメックス、もう一度攻撃だ!!」

カメックスは、起き上がりその体の砲台をサイドンに向けようとする
だが!

サイドン「!」バシッ

その前にサイドンが尻尾がカメックスの顔にヒット!
よろけたところに更に尻尾をカメックスの足元に叩き込んで追い打ちをかけた
バランスの崩れたカメックスはそのまま倒れこむ

サカキ「実に単純、そして浅はかな思考だ。その程度で私を倒そうとしているとは、な…」


ワタル「まあ、当然の流れだな」

このみ「どういうことよ!?」

ワタル「ジムリーダーとは、ポケモンの持つ各タイプを極めた者たちのことを指す。例えばだ、このみ嬢、あなたがもしそのエキスパートたちとバトルすることになったら、どうする?」

このみ「当然相手のタイプに得意なポケモンを使うわ」

ワタル「その通り……だが!それをジムリーダーが考えていないと思うか?」

このみ「あ…!」

タケシ「俺たちジムリーダーは苦手タイプとのバトルの対策は当然積んできている。それこそ、専門のタイプと同じくらいに熟知する程にな」

瑞希「タイプ相性で攻めることは正攻法ですが、ジムリーダーはそれを逆手に取ってくるでしょうね…カツラさんも同じようなことを言っていました」

このみ「確かに…戦法が読まれやすくなってしまうわね」

タケシ「考えてみたら、百合子がジム戦で露骨にタイプ相性で攻めたのって今までなかったな」

Pカチュウ「そ、そういえば…」ドヨーン
370 : 1   2019/10/30 23:52:54 ID:UmIzFPm7Ao
サカキ「何故、マサキ・ミュウツーが最強になり得なかったのか…それは奴が最強のポケモンではあったが、ポケモントレーナーではなかったからだ。強い力を『使う』ことが出来ても、それを『活かす』ことができないのでは何も意味がない…真の最強とは、道具の本質を理解し、自在に操る者のことなのだよ」

百合子「道具…!」ムッ
シゲル「やろう…」

サカキ「サイドンはじめん・いわタイプのポケモン…みずとくさタイプには特に弱いが、サイドン自身は鍛え上げればみずタイプのわざを使用することが出来る……こんな、風にな!」

サイドン「!!」ザバッ

シゲル「“なみのり”!」
百合子「嘘!?」

ザッバーン!!

百合子「び、ビショビショ…」ガーン

シゲル「だけど、みずタイプにみずわざ使ってもぜんっぜん効かねぇぜ!!」

サカキ「…私が、意味もなくそんなことをするとでも?」

サイドン「…」ピタッ

Pカチュウ(水たまりに手を突っ込んだ…?)

サカキ「今の“なみのり”で、フィールドもお前たちのポケモンも濡れてしまったな」ニヤッ

タケシ「はっ!まずい!!」

百合子「え?」

シゲル「カメックス、距離をとれ!百合子!お前もギャラドスを離れさせろ!!」

百合子「ええ!?」

サイドン「…」ビリビリ
サカキ「“10まんボルト”」

バリバリバリ!!
つむぎ「!?」
カメックス「!!」

百合子「でんきわざまで使えるの!?」

サカキ「ポケモンの能力を理解し、最大限に活かす……これがポケモントレーナーだ」
371 : 1   2019/10/31 00:02:10 ID:bW0UayoUEw
つむぎ「…」ハァハァ

百合子「良かった、まだ体力が残ってる」


ワタル「ポケモンは自分のタイプわざ以外のわざを使っても、その威力は大きく落ちる」

瑞希「あの“10まんボルト”は、相手を倒すために放ったのではなく、『自分はみずタイプに対して有効なわざを持っているぞ』と相手に印象付けるための行動ですね」

このみ「あれを見てしまった以上、百合子ちゃんもシゲルくんもここからの戦い、“10まんボルト”を警戒しなくてはいけなくなってしまう…」

ワタル「ポケモンバトルはポケモン同士の肉体的バトルでもあるが、実はトレーナー同士の精神バトルでもある。いかに相手トレーナーより精神的優位に立てるか、それが勝負のカギになる」


サイドン「ぐおおっ!!」ドドドド

百合子「また突っ込んできた!」

シゲル「戻れ、カメックス!」

サカキ「…」

ボンッ!
フシギバナ「!!」

シゲル「“つるのムチ”!」

フシギバナ「!」バッ

シゲル「くさタイプわざでぶっ潰す!!」

百合子「やった!これなら!!」

サカキ「サイドン」

サイドン「!」ガシッ

シゲル「何!つるを掴んだ!」

サイドン「グオオオオッ!!」ブンッ
フシギバナ「!?」

タケシ「そのまま投げ飛ばした!?」

百合子「つむぎ!“ハイドロポンプ”!」
つむぎ「ギャオオオオオオス!」

サカキ「無駄なことを」

攻撃が放たれた時、サイドンのドリルが回転を始めた!
ドリルは“ハイドロポンプ”を拡散し、威力を弱めたのだった!

百合子「これも、ダメ…!」
372 : 1   2019/10/31 00:12:47 ID:bW0UayoUEw
サカキ「ギャラドス…みず・ひこうタイプ……厄介な相手だが、このわざで黙らせることができる」パチンッ

サカキが指を鳴らすと、つむぎの頭上から無数の岩が落下してきた!

百合子「“いわなだれ”!」
つむぎ「ギャアウッ!」バタッ

サカキ「サイドンの“いわなだれ”を耐えるとはなかなかタフなやつ…だが体力は風前の灯火」

つむぎ「…」ギロッ

サカキ「すぐに引導を渡してやる……サイドン」

サイドンがつむぎに接近しようとした瞬間、サイドンの背後から“つるのムチ”が迫ってきた!

シゲル「よそ見すんじゃねぇ!俺もいるってことを忘れるなよ!!」

サカキ「忘れてなどいないさ」

サイドン「ぐおうっ!!」バシッ

シゲル(腕の一振りで弾かれた…!)

サカキ「いつでも狩れる獲物だ、後回しにしていただけのこと」フッ

サイドン「…」ドスドス

サカキ「そんなに先に倒されたいのなら、そのフシギバナから始末してやろう」

フシギバナ「…!」

サカキ「やれサイドン」

サイドンの振り上げた拳がフシギバナに放たれた!

ガシッ!
サイドン「!?」

サカキ(サイドンの攻撃を受け止めた…!)

百合子「言ったはずだサカキ!私たちだけじゃない、ここにいる全員で戦っているんだ!」


ガラガラ「…!」ガシッ


サカキ「この、ポケモンは…!」

シゲル「お前…!ガラガラ!?」

百合子「私には仲間から託された、この想いがある!!」

このみ「百合子ちゃん…ガラガラ…ッ!」
373 : 1   2019/10/31 00:14:27 ID:bW0UayoUEw
続くよ
374 : そなた   2019/10/31 06:55:17 ID:onfhZUSAq.
え?めっちゃ強ない?
375 : 1   2019/11/22 23:20:55 ID:RqyixMHKQQ
>>357に遡る

百合子『あの、大事な話って…?』

このみ『お願い百合子ちゃん!ボスとのジム戦で私のポケモンを使ってほしいの!』

百合子『こ、このみさん!?』

このみ『私の不始末を百合子ちゃんに尻ぬぐいさせるのは良くないことだって分かってる……けど、私も何かの形で力になりたいの!』

百合子『何を言ってるんですか!このみさんはいつだって私の力になってくれているじゃないですか!』

このみ『…私はこの世界に来て記憶を失って…そして多くの人たちに迷惑をかけてきた…!』

百合子(このみさん…涙…)

このみ『百合子ちゃん…!私も一緒に戦わせて!お願い!!』
376 : 1   2019/11/22 23:21:33 ID:RqyixMHKQQ
百合子(私は今、このみさんの想いを背負ってる…!もうこのみさんの泣いている顔は見たくない!敗けられない…敗けたくない!!)

サカキ「…あの時のカラカラか」

ガラガラ「…!」キッ
サイドン「!」ギリッ

このみ(ガラガラの力が通用している…!これならいける――)

サカキ「ナメられたものだ」

百合子「!?」
このみ「!?」

サカキ「この程度で勝てる可能性を見出したか?……その程度の、力で」

サイドン「…!」ググッ
ガラガラ「!?」

百合子(サイドンの力が増していってる)

サカキ「じめんタイプ使いの私相手に、こんなお粗末なじめんポケモンを出してくるとは…実に不快だ……視界から消え失せろ!」

サイドン「グオオオオッ!」

百合子「ガラガラ、後ろに下がって避けて!」

ガラガラ「!!」バッ

サイドンの腕が、先ほどまでガラガラがいた場所に叩きこまれた!

百合子「凄い破壊力…!」ゾワッ

サイドン「…」チッ
サカキ「仕留めそこなったか、この愚か者め」

サイドン「!」ビクッ

サカキ「早くしろサイドン」

サイドン「…」ガタガタ

瑞希「とてつもない威圧感ですね」

タケシ「あぁ…人間相手にここまでの恐怖を感じたのは初めてだ…」
377 : 1   2019/11/22 23:33:54 ID:RqyixMHKQQ
サイドン「ぐ、グオオオオオッ!!」バッ

百合子「き、来た!」

ガラガラ「!」バッ

サイドン「!!」ブンッ

ドゴッ!!

百合子(ひえっ、あんなのまともに受けたら一発アウトだよ…)

サカキ「“いわなだれ”」

このみ「ガラガラ一点狙い!?」
Pカチュウ「避けろ!!」

ガラガラ「!」

サカキ「いつまで続くか見ものだな」

百合子「むむ、む…」ジー

タケシ「何やっているんだあいつは!何らかの指示を出してやらないとこのままじゃまずいぞ!」

ワタル「いや、違うな…あれは待っているんだ…反撃の機会を、な」

百合子(あのルート、比較的落石が少ない!あそこからなら…!)

ワタル「見出したか」ニヤッ

百合子「ガラガラ、斜め右上に移動して!」

ガラガラ「!!」バッ
サイドン「!?」

サカキ(…)

百合子「今度は斜め左上!そのまま真っすぐ!」

Pカチュウ「よしっ、ガラガラまで一直線だ!」

サカキ「ふふ…」

サカキが指を鳴らすと、ガラガラの頭上に一つの大岩が降ってきた!

サカキ「岩を1つ残しておいた…この時のためにな」

シゲル「読んでやがったのか!」

サカキ「終わりだ」
378 : 1   2019/11/22 23:42:07 ID:RqyixMHKQQ
このみ「まだ…終わりじゃないわ」

瑞希「馬場さん」

このみ「私のガラガラはこんなものに敗けない!」

百合子「その、通りです!!」

ガラガラ「…!」スッ

百合子「“ホネこんぼう”!!」
ガラガラ「!!」ブンッ

ドゴッ!!

サカキ「大岩を、破壊した…!」

このみ「後はこのまま!」
百合子「サイドンに攻撃するだけ!!」

ガラガラ「!!」バッ

百合子「“ホネ”!」
このみ「“こんぼう”!!」

ガラガラの強力な一撃がサイドンの顔面に叩きこまれた――
379 : 1   2019/11/22 23:50:19 ID:RqyixMHKQQ
Pカチュウ「やった!!」

タケシ「あいつらの想いの強さがサイドンを上回った!!」

サイドン「…」ニヤッ

百合子「…!?」

――かに思われた
しかし、その攻撃はサイドンの片腕によって、難なく防がれていた!

Pカチュウ「わざを生身で防いだ!?」

サカキ「サイドンは2000度のマグマにも耐えられる頑丈な皮膚を持つ…サイドンにとってその程度の物理攻撃は全くの無意味だ!」

サイドン「!」バッ

サイドンは腕を振り、そのままガラガラを吹き飛ばした

百合子「ガラガラ!!」

サカキ「想いだの意思だの、それがどうしたというのだ…いい加減それらが無意味だと何故気づかない?」

百合子「無意味なんかじゃ、ない!」

サカキ「…」


『全部、無駄だった…!今まで俺たちがやってきたことは何もかも――』


サカキ「なら刻め!決して覆らない、絶対的な現実というものを!」

サイドン「グオオオオッ!!」ブンッ

百合子「ガラガラ、避けて!!」
ガラガラ「!!」ヒュッ

サカキ「お前たち弱者は逃げ回ってる姿がお似合いだ、ふふふ」
380 : 1   2019/11/22 23:56:56 ID:RqyixMHKQQ
シゲル「ちくしょう!図に乗ってんじゃねぇ!」

サカキ「…」チラッ

シゲル「“つるのムチ”!!」
フシギバナ「!!」バシュッ

サイドン「…!」ガシッ

シゲル(また、止められた…!)

サイドン「グウウアウッ!!」

ブチッ!
掴んだ“つるのムチ”をそのまま引きちぎる
サイドンの足元に千切れたつるが無残に落ちていく

シゲル(くそっ!!みずタイプも克服してる、物理攻撃も全く効かない…、こんな化け物、どうやって倒せばいいんだよっ…!!)

シゲルは静かに俯いた

シゲル(俺の夢はここで終わるのか…悪党1人も満足に倒せないまま、こんなところで…)

この瞬間、シゲルの脳裏で様々な記憶が駆け巡っていた
今よりも小さい頃のこと、初めてポケモンを手に入れた時、
意気揚々と旅立とうとした日、百合子とPカチュウと出会った時のこと
シオンタウンやタマムシシティでの共闘、このみとの運命(自称)の出会い、
シルフカンパニーでの敗北…、
その悔しさをバネに修業をしたこと…

シゲル(修行……)

!?
ふと、シゲルはある日の修行のことを思い出した
381 : 1   2019/11/23 00:05:31 ID:WNTZPJltoA
>>357に遡る

シゲル『ちくしょう!一杯食わされたぜ!!』

瑞希『いえい』ピース

シゲル『瑞希のトリックプレイにはことごと引っかかる…!くそっ、巧妙すぎんだよ!』

瑞希『確かに、バレないように工夫していますが…それ以前にシゲルさんは少々冷静さに欠けているかと』

シゲル『そ、そんなこたあねぇよ!』

瑞希『…シゲザエモンさん』ボソッ

シゲル『ちっげえよ!!俺はシゲルだっつってんだろ!』

瑞希『と、こんな感じで相手の煽りにすぐ引っかかってしまう…それでは敵に思うつぼです』

シゲル『ぐ…ぬぅ…』

瑞希『戦いにおいて、熱さは必要ですが、それだけではいけません。頭は冷静に、心は熱く、です』

シゲル『な、なるほどな…』

瑞希『不利な状況になっても、冷静に状況分析です…そうすればきっと突破口を見出すことが出来る、というわけです』

シゲル「けっ!言われなくてもやってやらあ!!なんせ俺様は未来のチャンピオンだからな!!こんなところで躓いてなんていられねぇぜ!!」

瑞希『その意気です、シゲr……シゲキチさん』

シゲル『何で言い直した!?合ってたじゃん!!』ガビーン
382 : 1   2019/11/23 00:13:19 ID:WNTZPJltoA
シゲル(『頭は冷静に、心は熱く』…!落ち着け、俺!この世に無敵の化け物なんていやしねぇんだ!絶対に…突破口が…あるはず…!みず攻撃…物理攻撃…くさ……あっ!)

シゲルは先程サイドンが千切ったつるを凝視し、ある疑問が頭をよぎった

シゲル(物理攻撃は当然だが、本来弱点であるはずのみずタイプのわざも避ける気もなくそのまま喰らいながら突っ込んできた…!なのに、くさタイプのわざだけは、わざわざ『掴んで』防いだ……奴がもし、くさタイプも克服しているなら、喰らっても問題ないはずだ!だってそうじゃねぇか!奴は物理攻撃を耐えられるほどの皮膚を持ってるんだから!だけど、そうしねぇってことは……!)

シゲルは一つの結論に至ったのだった

シゲル(くさタイプだ!奴にくさタイプのわざは有効なんだ!!だとしたら…俺にもまだ手が残ってる!!“ソーラービーム”!!くさタイプわざで尚且つ物理攻撃じゃないこのわざならサイドンを倒せるかもしれねぇ!!……けど、問題は!)チラッ

百合子「ガラガラ!」

シゲル「……」


ガラガラ「…!」ゼェゼェ

サカキ「鬼ごっこもここまでだ」

百合子「うぅ…大ピンチ…」

サカキ「やれ」
サイドン「グオオオオオッ!」

百合子(このままじゃガラガラがやられるっ!)

百合子がモンスターボールを構えるのと、サイドンが攻撃を繰り出したのはほぼ同時!
一帯に砂煙が舞う

シルフ「…!」

サカキ「ハクリュー…!ガラガラに攻撃が通る寸前に交代したか」
383 : 1   2019/11/23 00:19:45 ID:WNTZPJltoA
タケシ「だ、だけどハクリューの攻撃力じゃあの重戦車みたいなサイドンの防御力を突破できるかわからな――」
ワタル「シャアアアアアアアアアアラアアアアアアップ!!」(渾身の右ストレート)
タケシ「ひでぶっ!!」ハナジブー

ワタル「ドラゴンの可能性は無限大なんだよ!貴様のような愚か者は地獄の業火に焼かれてしね!」(親指を下に向けながら)

タケシ「俺なんか悪いこと言ったか…?」ドヨーン

Pカチュウ「ドラゴン関係だと柄悪いなこいつ…」

このみ「やっぱり危険人物じゃない…」

瑞希「…」(タケシの頭を撫でる)


百合子(でも確かに、この状況を私たちだけで突破するのは難しいかも)

サカキ「蹴散らせ」

シゲル「フシギバナ!“はっぱカッター”!!」

サイドン「!?」
百合子「シゲルさん!」

サイドンは攻撃を中断し、すぐさま身体をのけぞらせて“はっぱカッター”を避けた

シゲル「ちっくしょおお!!」バンッ

手に持っていたモンスターボールを勢いよく地面にたたきつけた
その後、フシギバナをボールに戻し、そのまま百合子へと近づいていく

シゲル「全部てめぇのせいだ!てめぇが俺の足を引っ張るのがいけないんだ!!」

百合子「どうしたんですかシゲルさん!」

シゲル「どうしたもこうしたもねぇ!!」ドンッ

百合子「きゃっ!」バタッ

シゲルに突き飛ばされる百合子
身につけていたモンスターボールがコロコロと散らばり、転がっていく

Pカチュウ「!?」
384 : 1   2019/11/23 00:30:15 ID:WNTZPJltoA
シゲル「マサキ戦では見どころのある奴だと思ってたけど、買いかぶりすぎてたぜ!!最後のフォーメーションで格上の敵を追い詰めていったりよぉ、関心すらしてたんだぜ!!どうしてあの時みたいにやれねぇんだよ!!こんな結果になるなら、やっぱりお前と組むんじゃなかったぜ!!」

百合子「し、シゲルさん…」ウルッ

サカキ(自分の思い通りに行かないと理解し、癇癪か…。所詮は子供)

シゲル「俺がどれだけ夢にかけてきたと思ってんだ!」

シゲルは手のひらを広げて、百合子の眼前に出す

シゲル「5年だぞ!5年!!それがお前のせいで全部台無しだ!!」
百合子(!?)

シゲル「ちっ!ここからは俺だけでやる!お前みたいなやつ、いない方がマシだぜ!」

百合子「…」

タケシ「お、おい!何もそこまで言うことは!」
このみ「そうよシゲルくん!落ち着いて!!」

シゲル「うるせぇ!黙って見てろ!!」

このみ「!?」

瑞希「シゲルさん、一体何が…」

ワタル「……」
Pカチュウ「……」

シゲルは再び元の位置へと歩き出す

シゲル「最初からこうしてりゃ良かったんだ…!本当に馬鹿らしく思えてくるぜ…!」スタスタ

ポタポタ
シゲルの歩いた軌道に液体のような何かが落ちていく

サカキ(…血?)

シゲルがモンスターボールを構えた

シゲル「本当によぉ、どうしようもねぇよ!!」
百合子「…」

そして、投げた!

シゲル「俺ってやつはよぉ!!」

ボンッ!
つむぎ「ギャオオオオオオス!!」

サカキ「何!?」
385 : 1   2019/11/23 00:40:42 ID:WNTZPJltoA
その瞬間、今まで俯いていた百合子が不敵な笑みを浮かべた

百合子「“ハイドロポンプ”!!」

サイドン「!!?」

タケシ「どうなってるんだ!シゲルの投げたボールからつむぎが出てきた!?」

瑞希「恐らくあの時、入れ替えたんだと思います」

タケシ「はっ!シゲルが百合子を突き飛ばしたときか!」

瑞希「視線誘導……まんまとしてやられたぞ」

ワタル「ルール上、フィールドに出ているポケモンは片方のポケモンでも良いことになっている…そのルールをついた作戦ということか、随分と大胆不敵なやつだ」

Pカチュウ「それもあるけど、何より俺が驚いたのは…」

百合子「…よし」

Pカチュウ(百合子、お前がシゲルの策を察することが出来た、その成長っぷりにだ)

百合子「!」バッ

このみ「百合子ちゃんが走り出したわ!」

百合子はシルフをボールに戻し、
そして別のボールを取り出した!

サカキ(あの時の言い争いでボールを入れ替えたか…!だとしたら今持っているあのボールの中はシゲルのポケモン…いや、そうと見せかけて自分のポケモンか…!)

ワタル「ふふっ、サカキに若干の焦りが出てきたな」

Pカチュウ「どのポケモンが飛び出してくるか分からない…シルフカンパニーのマサキとの戦いで俺たちが使った『フォーメーション・ストーム』!あれはその亜種…!本来は乱闘戦専用フォーメンションを、あいつら!この土壇場で形にしたのか!」

つむぎ「ギャオオオス!!!」グルグル
サイドン「!?」

つむぎがサイドンに巻き付いた!

シゲル(よしっ!!)
386 : 1   2019/11/23 00:46:56 ID:WNTZPJltoA
百合子(あの時…)


シゲル『5年だぞ!5年!!それがお前のせいで全部台無しだ!!』


百合子(あの時シゲルさんの手のひらにあった……多分“はっぱカッター”で刻んだ傷のメッセージ!)

『くさ』

百合子(あの時サイドンは“はっぱカッター”を防がないで避けた…そしてシゲルさんのメッセージ…!おかげでサイドンはくさタイプは効くってことに気づくことが出来た!)

シゲル(賭けだった…!あいつとはそんなに信頼関係を築いてきたわけじゃなかったから、俺の真意に気づかないかもしれないと思った…!なのにあいつは…っ!)

百合子(シゲルさんは確かに短気だけど、暴力をふるうような人じゃない!だから信じられた!シゲルさんがつむぎのボールを持って行った時も、『フォーメーション・ストーム』の話をしだしたときも、私なりに察することもできた!だから、私が今ここでやるべきことも、私なりに理解したつもり!)

百合子は走りながら、ボールを投げる態勢に入った

百合子「いっけええええええええええええええええええ!!」ヒュンッ

ボールが開きかけ、ポケモンが飛び出すその前に!
シゲルは大きく叫んだ!!

シゲル「“ソーラービーム”!!」

フシギバナ「!」

サカキ「狙いは“ソーラービーム”か!だがそれを放つためにはチャージ時間を要する!」

シゲル「だからこそのギャラドスだよ!」ニヤッ

つむぎ「ギャオオオウ!」ギュッ
サイドン「ぐおおお!」ミシッ

つむぎに巻き付かれ、絞めつけられているサイドンは身動きが取れなかった

サカキ「ギャラドスを使って動きを封じ、その間に攻撃をしようということか…!」

シゲル「その通りよ!俺のフシギバナの大技ぶちかまして、これで終わりにしてやる!『俺たち』の勝ちだ!!」
387 : 1   2019/11/23 00:51:19 ID:WNTZPJltoA
副業が繁忙期なので、執筆ペースかなり遅いです

今は、このみさんと莉緒ねぇがユニット組んだり、ポケモン剣盾が発売になったりしてますね
こちらもゆっくりペースで進めてます

世間のポケモンブームに肖って、少しでも楽しんでいただければいいなと思います
それでは、続く
388 :   2019/11/23 00:59:15 ID:kYCWO.SzbQ
>>387
おつおつー、遅くても書いてもらえて嬉しいです。
楽しみにしてまーす!
389 : 1   2019/12/20 00:47:27 ID:fKqrhqJUr.
サカキ「…」

百合子(あとはタイミングを見て、つむぎを回避させれば…)

サカキ「つくづく、めでたい思考をしているようだな」ボソッ

サイドン「グオオ…!」
つむぎ「!?」

シゲル「ま、まさか力づくで振りほどく気か!?」

百合子「頑張れつむぎ!」

サイドン「グオオオオウッ!」バッ

百合子「あーっ!片腕だけ出てきちゃった!」
シゲル「だけど、そんぐらいなら!」

サカキ「いいや、これで十分」

解放された片腕を、そのまま地面へと叩きつけた

サカキ「“じわれ”!」

叩きつけた拳を中心に、フィールド全域が、文字通り地面が割れて崩れ始めた!

百合子「きゃあっ!」

タケシ「あれは、シルフカンパニーを破壊した時の!」
瑞希「相変わらず凄まじい威力ですね」
Pカチュウ「じ、じめんわざはやばい!」ガシッ
このみ「んん!もがもがもが!」(ちょっと!私の顔に張り付かないでちょうだい!)

シゲル「フシギバナ無事か!?」

フシギバナ「!!」サッ

サカキ「そうだ、生き残るためにはどのみちチャージを中断せざるをえまい」

シゲル「ちきしょう…!」

ワタル「“じわれ”は非常に強力なわざではあるが、命中率が低い…!しかし、今回放ったのはわざそのものを当てるためではなく、“ソーラービーム”を中断させるため」

このみ「何もかも計算通りってわけね」

サカキ「“ソーラービーム”は太陽光をエネルギーに変換し、敵に放つわざ。しかし、室内ではその威力を発揮することはできまい」

シゲル(奴の言うとおりだ…!せめて、光をダイレクトにフシギバナに当てることが出来りゃあ…!)
390 : 1   2019/12/20 00:49:48 ID:fKqrhqJUr.
百合子(どうにかして太陽の光を…!)
つむぎ「…」チラッ

サカキ「着眼点は良かったが、所詮はその程度の実力、我らの足元にも及ばない…!」

つむぎ「…!」フルフル

サカキ「ん?」

つむぎ「!!」バッ
サイドン「!?」

百合子「つむぎ!」
Pカチュウ「ただでさえダメージを受けている身で特攻なんて無茶だ!!」

つむぎ「ギャオオオオオス!!」

“ハイドロポンプを一発繰り出すが、
今まで同様、サイドンに防がれてしまっている

つむぎ「!!」

今度は“バブルこうせん”の連撃

タケシ「あんなに闇雲に攻撃を連発しても、無駄にエネルギーを消費するだけだぞ!」
瑞希「冷静さを欠いているのでしょうか…?」

Pカチュウ(どちらかと言えば、つむぎは一歩引いて周りの状況を把握するタイプ!あんな直情的な行動に出るような奴じゃない!)

サカキ「見苦しい……サイドン、片づけろ」

その瞬間、“いわなだれ”がつむぎへと降り注がれる
ただでさえ大ダメージを負っている身で、こうかばつぐんのわざを受けてしまっては、
どう考えても、つむぎが助かる未来はない

しかし、つむぎはその局面で――

つむぎ「…っ!!」

百合子(尾をバネ状に……はっ!ま、まさか!!)
シゲル(あいつ…!!マジかっ!)

上へと大きく『跳んだ』!
391 : 1   2019/12/20 00:50:31 ID:fKqrhqJUr.
サイドン「!?」
サカキ「血迷ったか…自ら破滅を選ぶとはな」

このみ「このままじゃ岩に激突よ!」

百合子「“バブルこうせん”!!」

つむぎの口から放たれた“バブルこうせん”により、
岩は全て泡に包み込まれた!

サカキ「泡の弾力で衝撃を和らげたか…」

つむぎ「ギャオオオオオオス!!」ビュンッ

このみ「このままじゃ天井にぶつかっちゃうわ!」

Pカチュウ「…いや、これは」

ドスッ、とにぶい音が響く
勢いよく天井にぶつかり、頭が跳ね返る
天井にはわずかなヒビが入る

百合子「何だかハナダジムのことを思い出すね…、あの時はまだコイキングだったけど、こんな風に高く跳んでたよね…」

つむぎ「…」

百合子「風の戦士は自由に、そしてどこまでも高みに行く…!こんな天井に邪魔されたくないよね…!だったら!!」

つむぎ「っ!!」カッ

百合子「“ハイドロポンプ”!!」

つむぎの“ハイドロポンプ”が天井に炸裂!

サカキ(…そういうことか、奴らの狙いは…!)ギリッ

“ハイドロポンプ”の水圧を受けて、
ひび割れが徐々に広がり、そしてついに

百合子「希望の光を、照らせええええええええ!!」
つむぎ「ギャオオオオオオス!!」

崩壊した!
392 : 1   2019/12/20 00:51:58 ID:fKqrhqJUr.
Pカチュウ「…光だ」
このみ「太陽の…光…」

サカキ「行け、サイドン!!」
サイドン「!!」

瑞希「まずいですね、サイドンが光の方へ向かってます」

サカキ「光が差す場所はフィールド全域ではない!その場所にフシギバナを近づけさせなければよい!」

サイドンが光へと向かおうと動き出す、まさにその瞬間!
空中から岩が次々と降り注ぐ!
岩はサイドンの眼前に次々と落下し、移動を妨げた!

サイドン「!?」

サカキ「あれは、 “バブルこうせん”の時の…っ!」

つむぎ「!!」

つむぎは自身が落下しながらも最後の力を振り絞り、サイドンの頭上に落下するように無理やり身体を少しずつずらし、サイドンに激突した!

サイドン「グアウッ!!」

百合子「つむぎーっ!!」

シゲル「百合子!ボールよこせ!!」

百合子「シゲルさん!!」

シゲル「ギャラドスの作ったチャンス、ぜってえ無駄にはしねえぞ!!」

百合子「…はい!!」

先ほど交換したフシギバナのモンスターボールをシゲルへと投げ渡す
受け取った直後、フシギバナをモンスターボールへと戻し――

シゲル「頼んだぜ、フシギバナ!!」

――ボールを光の中に投げ入れた!

サイドン「グオオオオオッ!!」バシッ

起き上がるサイドン!
倒れたつむぎをフィールド外に投げ飛ばし、ボールを追った!
393 : 1   2019/12/20 00:53:20 ID:fKqrhqJUr.
つむぎ「…」

百合子「ありがとう…本当に…ぐすっ…つむぎは凄いよ…!」

意識が薄れていく中、つむぎはふと思い出した
ハナダジムで勝利し、百合子が褒めてくれたあの時のことを
ボロボロになり、全力を尽くし、ようやく得た勝利
百合子の役に立てたこともあり、嬉しくなって自然と笑みが出た
進化した今でも、その気持ちは変わらない
だから今も凄く嬉しくって…
意識が薄れていく中、

つむぎ「…」ニコッ

あの時のように笑うことが出来た
394 : 1   2019/12/20 00:54:03 ID:fKqrhqJUr.
百合子「…大丈夫、後は私とこの子に任せて…!」ギュッ


サイドン「グオオオオオッ!!」

シゲル「うすのろ野郎!お前のスピードよりもフシギバナが出る方がはえーぜ!」

サカキ「だろうな…!だが早かろうが遅かろうが、対面になればこちらが有利なのは依然変わらない真実」

シゲル「ちっ!」

百合子「いっけー!モンスターボール!!」

ボンッ!

ガラガラ「!!」バッ
サイドン「!?」

サイドンの目の前にガラガラが現れた!

シゲル「百合子!!」

このみ「ガラガラ!!」

百合子「ここから先へは行かせない!!」

ガラガラ「…!」ゴゴゴゴゴ
サイドン「…!」ゴゴゴゴゴ

サカキ「どこまでも…!」

百合子「…!?」

サカキ「…どこまでも…私をコケにしたいようだな…!いいだろう、まずは貴様たちから沈めてやる!」

百合子「それはこっちのセリフだ!行くよ!ガラガラ!!サイドンを倒そう!!」
395 : 1   2019/12/20 00:54:24 ID:fKqrhqJUr.
続く
396 : EL変態   2019/12/20 08:12:29 ID:VfpIl10DM2
つむぎぃぃぃぃぃ!
397 : 1   2020/01/01 00:47:04 ID:4hMF3K7XEI
ボンッ!
フシギバナ「!!」

シゲル(この太陽エネルギーなら“ソーラービーム”のチャージ時間はわずか約1分!ほぼ好きなタイミングで撃てる!だけど、問題は奴に攻撃を当てられるかってことだ!当たらなきゃ何の意味もねえんだ!)

百合子「ガラガラ!」
サカキ「サイドン“!」

シゲル「気張れよ!フシギバナの一撃でサイドンぶっ倒せるかどうかは、この一戦にかかってんだ!!」

ガラガラ「!!」
サイドン「グオオオッ!!」

このみ「…」

瑞希「大丈夫です、七尾さんとガラガラを信じましょう」

このみ「…えぇ」

ワタル「じめんタイプに絶対的なプライドを持つサカキは、ガラガラとの勝負を避けるような真似はしない…!ガラガラvsサイドン、じめんタイプの優劣を決める、文字通りの『決戦』というわけだ」

百合子「“ホネこんぼう”!!」

ガラガラ「!」ブンッ
サイドン「!!」ゴスッ

百合子「うぅっ!やっぱりこっちの攻撃がほとんど効いてない!」

サカキ「弾き飛ばせ!」

サイドン「ガウウッ!!」バシッ

ガラガラ「!!」ドシッ
百合子「大丈夫!?」

ガラガラ「…!」スタッ

サカキ「…まだ立ち上がるか」

サイドン「…」ニヤッ
398 : 1   2020/01/01 00:51:20 ID:4hMF3K7XEI
不敵な笑みを浮かべ、少しずつサイドンが近づいてくる
ガラガラは距離を取ろうとするが、足がふらつきうまく動けない
やがて目の前まで近づいてきたサイドンは、
そこから怒涛の連打でガラガラを襲った!

百合子(このままサイドンに好きにさせてたら、いずれガラガラはやられちゃう!そうすれば次に狙われるのはフシギバナ!それだけは避けないと…!!どうにかしなきゃ!ああ…でも…どうすれば…)

ガラガラ「…!」グウッ
このみ「ガラガラ!!」

百合子(…ハッ!しっかりしなさい七尾百合子!考えるんだ、今使える手段でどうやってサイドンを攻略できるのかを!!)

バシッ、と両手で頬を叩いて気合を入れる

百合子「痛いっ!」ジンジン

タケシ「…何やってんだあいつは」
Pカチュウ「百合子らしいというか…」ハハハ

百合子(ガラガラの使えるわざは、“ホネこんぼう”、“ホネブーメラン”、“かいりき”、“かげぶんしん”…!このわざをうまく使って、サイドンを足止めできればいいんだけど…単純な物理攻撃じゃサイドンには敵わない…!だったら…!)


ガラガラ「…」ゼェゼェ

サカキ「あれだけ攻撃を受けてもまだ立ち上がれるか、大した精神力だ」

サイドン「…!」ニヤッ

百合子(一か八か、やるしかない!!)

サカキ「今楽にしてやる」

サイドン「!!」ゴッ

百合子「ガラガラ!“ホネこんぼう”!!」

ガラガラ「!!」バッ

双方の攻撃がぶつかり合う!

サカキ「学習能力のない奴だ、力比べならサイドンの方が上だ」

百合子「確かに、単純勝負ならこっちが不利だけど…勝負は最後まで何が起こるか分からない!」

・・・

・・

399 : 1   2020/01/01 00:53:52 ID:4hMF3K7XEI
昴『くらえー!オレの必殺ボール!!』

百合子『とうっ!』スカッ

奈緒『ストライク!バッターアウトー!』

百合子『くっ!惜しい!』

恵美『いや、1ミリもかすってなかったじゃん』

百合子『昴さんが強すぎるんですよ~!私じゃ敵いっこないですって!』

昴『なーに言ってんだよ!勝負は最後まで何が起こるか分からないだろ?』

百合子『そういうものでしょうか?』

昴『そうそう!特に野球はどんなに相手を抑えてたって、逆転ホームラン打たれりゃ、それで負けることだってあるんだぜ!肝心なのは諦めない心だ!!』

奈緒『おっ!ええこというなあ!』

百合子『た、確かに…!主人公も絶体絶命のピンチに覚醒したりしますしね!』

昴『ん?まあよく分からないけど、そういうことだ!』???

百合子『よーし!次こそホームラン打ってみせる!!』

昴『オレも打たれないように、魔球を投げられるようにならないとな―!分裂する魔球とか投げてみたいぜ!』

奈緒『いや、それは無理やろ!』ガビーン

恵美『なら、アタシの消える魔球と勝負してみる?』スッ

奈緒『恵美が言うとシャレにならんわ!』ビシッ

琴葉『ふふ、楽しそうねみんな…』

百合子『こ…』
昴『琴葉!?』

琴葉『何回も言うけど、劇場で野球は…』

恵美『あっ!空からしじみ汁が!』

琴葉『え!?』クルッ

奈緒『今や!逃げるが勝ち―っ!』
恵美『ごめんね琴葉―!』

昴『オレたちも逃げるぞ!』
百合子『戦略的撤退、ですね!』

琴葉『って!ちょっと!待ちなさい!!』




・・

・・・
400 : 1   2020/01/01 01:01:18 ID:4hMF3K7XEI
百合子「絶対に!」

ガラガラ「!!」グググイッ

百合子「諦めない!!」

サカキ「大した意気込みだ、だがな」

サイドン「!!」グイッ
ガラガラ「!?」ヨロッ

サカキ「精神論で勝てれば苦労はしない……とどめをさせ」

サイドン「グオウッ!!」

百合子「“かげぶんしん”!!」
ガラガラ「…!」スウッ

サイドン「!?」

百合子「もっと!もっと!」

Pカチュウ「ガラガラがどんどん増えていく!」

2体、4体、6体…
サイドンの視界には今、約20体近くのガラガラで埋め尽くされていた

サカキ「まどわ――」

百合子「勝負だサイドン!!!!!」

サカキの声をかき消すほどの声量
その瞬間、ガラガラたちが一斉に構えだした

百合子「“ホネブーメラン”!!」

瑞希「無数の骨攻撃」

タケシ「“かげぶんしん”+“ホネブーメラン”の合わせ技か!!」

百合子(必殺!分裂する“ホネブーメラン”!)

サイドン「グウッ」タジッ

冷静に考えれば、サイドンの鎧のような皮膚ならこの攻撃の数々は余裕で防ぐことが出来る
しかし、敵がとった予想外の動きを目の当たりにし、サイドンの思考は一瞬停止した
『一瞬の思考の支配』、それこそが百合子の狙いだったのだ

百合子「今だ!!」

ガラガラ「!!」タッ
401 : 1   2020/01/01 01:07:03 ID:4hMF3K7XEI
攻撃を放ったガラガラの中の1体、
すなわち本物のガラガラがサイドンの方へと走り出す
そして、攻撃に気を取られているサイドンの股をスライディングでくぐりぬけた!

サイドン「!?」

ガラガラはそのままサイドンの尻尾を掴んだ!

サカキ「まさか、貴様!」

百合子「“かいりき”!」

ガラガラ「っ!」グイッ
サイドン「!!?」フワッ

Pカチュウ「サイドンを持ち上げた!?」

百合子「このまま背中から叩きつけてやる!」

タケシ「いいぞ!サイドンの重量なら起き上がるまでに時間がかかる!その隙“ソーラービーム”を当てればこっちの勝ちだ!」

サイドン「…」ニヤッ

サカキ「甘いな」

サイドンは持ち上げられながらも、腕の構えをとった

瑞希「まずいですね、このままでは叩きつけた瞬間に“じわれ”攻撃を仕掛けられます」

Pカチュウ「何!?」

サカキ「そういうことだ、近距離のガラガラもチャージで身動きの取れないフシギバナも今度は避けることもできない」

ワタル「ここまで、か」

このみ「いいえ、まだよ!私は2人を信じてる!!」

シゲル「そうだぜ!お前らの土壇場の強さを奴に見せてやれ!!」

ガラガラ「!!」

手足の全筋力をフル稼働!
体勢を変え、そのままジャイアントスイングでサイドンを振り回した!

百合子「ガラガラーッ!!」

ガラガラ「!!!」ブンッ
サイドン「!?」

タケシ「叩きつける寸前で…」
Pカチュウ「『投げ』に切り替えた!?」
402 : 1   2020/01/01 01:10:16 ID:4hMF3K7XEI
宙に放り投げられ、完全に身動きを封じられたサイドン!

シゲル「…よくやったぜお前ら!」
フシギバナ「!」

サイドン「!?」

百合子「後は…お願いします」

シゲル「任せろ!確実に仕留めてやる!!」

サイドン「ガアアアアア!!」

シゲル「“ソーラービーム”!!!!」

フシギバナから放たれた巨大なエネルギー砲がサイドンを貫いた!

サイドン「グ、グウ…」

直撃を受けたサイドンは、空中で気を失い、フィールドに叩きつけられた

Pカチュウ「か、勝った」

タケシ「やった!サイドンはひんしだ!」

百合子「や、やった…!」

シゲル「よしっ!!」

ワタル「見事だぞお前たち!!」


このみ「…」

ガラガラ「…」フラッ

このみ「…ありがとう」ウルッ
403 : 1   2020/01/01 01:11:58 ID:4hMF3K7XEI
サイドン「…」グッタリ

サカキ「なかなか面白いものを見させてもらった。余興としては上出来だ」

シゲル「余興だと!負け惜しみかよ!」

サカキ「負け惜しみ?サイドン如きを倒したからと言って調子に乗ってもらっては困る……お前たちにはまだ、我が手持ち最強のポケモンを見せていないのだからな」

このみ「え!?」

タケシ「サイドンがエースじゃなかったのか!?」

瑞希「驚きましたね」

サカキ「お前たちに見せてやる…真の王の力を」

ボンッ!

???「!!」グイッ
サイドン「」ガシッ

モンスターボールから出てきたポケモンが、サイドンの角を掴み、
そのまま片手で投げ飛ばした

Pカチュウ「なっ…!」

サカキ「眠れる狂王を呼び覚ましたことを後悔するがいい」

ニドキング「ガオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

百合子「あれが…サカキの真のエースポケモン…!」ゾワッ
404 : 1   2020/01/01 01:12:20 ID:4hMF3K7XEI
百合子:×ギャラドス(つむぎ)、ガラガラ、ハクリュー(シルフ)
シゲル:カメックス、フシギバナ、???

サカキ:×サイドン、ニドキング
405 : Pちゃま   2020/01/01 01:14:07 ID:4hMF3K7XEI
間に合った(間に合ったとは言ってない)
406 : プロデューサーちゃん   2020/01/01 08:41:13 ID:RX41C7c2cA
あけおめー、ことよろー
407 : 1   2020/01/24 00:52:07 ID:kj2g4pNCyI
少年『よっしゃ!俺たちの勝ちだ!よくやったぞニドラン!』

ニドラン♂「!」ニッコリ

ボーイスカウト『くそっ、負けたぜ!』

ガールスカウト『さすが未来のポケモンチャンピオンね!』

少年『へっ!チャンピオンなんて俺たちの夢の過程の一つでしかないね!』

2人『?』

少年「よーく聞けよ!俺たちがなるのはな――」


ニドキング「ガアアアアアアアアア!!」

ドゴッ!!
フシギバナ「」ガクッ

ガラガラ「…」バタリ

シゲル「な…」

瑞希「サカキがニドキングを出して、わずか1分…あっという間に場を一掃されるとは」
タケシ「これが、奴のエースの力…」

百合子「強すぎる…」

ガラガラ「…」フラッ

このみ「ガラガラ!」

サカキ「お前の足掻きはもう見飽きた」

ニドキングはガラガラにとびかかり、すぐさま首を掴んだ

サカキ「消え失せろ」

ものすごい勢いで場外へと投げ飛ばされた!
壁に激突し、その衝撃でわずかに残っていた意識が、ふっと消え去った

Pカチュウ「おい!大丈夫か!しっかりしろ!!」

このみ「ガラガラ!こんなになるまで…」

サカキ「フシギバナ、ガラガラ、戦闘不能だ」

このみ「!!」ギロッ
408 : 1   2020/01/24 00:53:02 ID:kj2g4pNCyI
サカキ「次の贄を差し出せ!我がニドキングがお前たちの血肉を全て喰らってやる!」

ニドキング「ガアアアアアアアアアア!!」

タケシ「サイドン以上のパワーだ、まずいんじゃないか…!」

Pカチュウ「残ってるポケモンはシルフと、シゲルのカメックスとまだ見ぬ1体…」

瑞希「カメックスはサイドン戦で体力を削られているので、少しでもあの攻撃を受けてしまえば負けは確実」

このみ「どうするの2人とも!?」

シゲル「そんなん決まってるぜ!戦って勝利をもぎ取るのみ!」

百合子「私たちの夢のために諦めません!!」

シゲル「カメックス!攻撃だ!!」

百合子「シルフ!」ボンッ

シルフ「!」コクッ

サカキ「ならば恐怖を刻み込むまでだ!お前たちが夢を見る度に思い出すように、念入りにな!」

百合子「“りゅうのいかり”!」
シゲル「“ハイドロポンプ”!」

サカキ「ニドキング」

ニドキング「…」ニヤッ

迫りくる2体の攻撃を、ニドキングは跳んで回避!

このみ「避けた!?」

百合子「こっちに来る!」

サカキ「“じしん”!」

着地と同時に、地面から伝わる攻撃に2体はダメージを受けた!

シルフ「…!」フラッ

ニドキング「!!」バッ

ニドキングの腕がシルフに迫る!

シルフ「!?」

Pカチュウ「あいつ、真っ先にシルフを倒す気だ!!」

百合子「掴まれる前に先手を打つ!」

シルフはそのままニドキングに向かって“とっしん”!

百合子「やった!」
409 : 1   2020/01/24 00:56:16 ID:kj2g4pNCyI
ニドキング「ガオウウッ!!」バシッ

シルフ「!!」

しかし、はじき飛ばされてしまった!

百合子「やってなかった!」ガビーン

タケシ「くそ、パワー差がありすぎる!」

瑞希「それにサイドンと比べて身軽ですね……厄介だぞ」

ワタル「サイドンが戦車なら、ニドキングはミサイルと言ったところか」

サカキ「残りポケモンが同じ1体でも、私とお前とでは天と地ほどの差があるのが分かっただろう…私の優位は依然変わりない」

百合子「まだ勝負は決まってない!」

サカキ「…お前たちの夢は、この敗北をもって終わるのだ」

百合子「絶対に終わらない!終わらせない!まだ私は諦めてない!!」

サカキ「現実を見ろ、お前は弱い…実力のない者がどんなに理想を謳っても、それは単なる空想…お前の理想は何一つ現実に成りえないのだ」

百合子「…」

サカキ「その夢に引導を渡してやろう…!」

ニドキング「…!」ジリッ

シルフ「!」
410 : 1   2020/01/24 01:00:07 ID:kj2g4pNCyI
百合子「…確かに、周りには私なんて比べ物にならない才能を持っている人がたくさんいる…!歌もダンスも、私は皆みたいに自信が持てないし!ポケモンバトルだって、この仲間たちの助けがあったからここまで来れた!」

このみ「百合子ちゃん…」

瑞希「七尾さん…」

百合子「だけど!だからこそもっと頑張ろうって思うんだ!アイドルもポケモンも、今の私が選んだ道だから!」

サカキ「…」

百合子「空想?大いに結構!私は巷では空想文学少女と言われてる女だ!」ドヤァ

タケシ「それは誇れることなのか?」

Pカチュウ「ま、まあ少なくとも百合子には」ドヨーン

百合子「心の中にいる理想の私に成るって決めたんだ!だから絶対に諦めない!」

サカキ「ならば問おう!お前は何を望む!お前は、何者だ!!」

百合子「…」

Pカチュウをはじめとした、七尾百合子に関わった者たちは皆感じ始めていた
百合子の周りの空気が変わったことに

百合子「私は」

自信に満ちた表情で、百合子は言い放った



百合子「私は、ポケモンマスターです!」
411 : プロデューサーさま   2020/01/24 09:44:12 ID:ODPQloTl7g
これは主人公
412 : 1   2020/02/11 01:05:46 ID:zH9/TvJf2g
サカキ「ポケモン、マスター…」


『俺がなるのはポケモンチャンピオンじゃねぇ!ポケモンマスターだ!』

『最強になって、いつか世界の頂点を立つんだ!それが俺の夢だ!』

『俺たちならできるよな!ニドラン!!』


サカキ(まさかその言葉を、再び聞くことになるとは……それも、こんな小娘の口から)

Pカチュウ「おいおい、ポケモンマスターって…サトシじゃあるまいし」

百合子「マスター…実にいい響き…!世界の頂に立つ者、ああ!最高です!!」キラキラ

Pカチュウ「…やれやれ」フッ

シゲル「へっ!マスターだろうが何だろうが、全てぶっ倒して、俺が頂点に立ってやるよ!」

百合子「私だって負けないですよ!」

サカキ「…盛り上がっているところ悪いが、その夢が今まさに潰えようとしているのを忘れたわけではあるまい」

百合子「もちろん忘れてなんていない!」

シルフ「!」キッ

ニドキング「…」ニヤッ


瑞希「単純な力比べでも、ニドキングの方が有利なこの状況で七尾さんたちは勝算があるのでしょうか」

Pカチュウ「シゲルはあるかもしれない、3匹目のポケモンを温存しているしな。百合子は……正直分からん」

タケシ「おいおい」

Pカチュウ「だけど、百合子は調子に乗ってるときが一番良かったりするからな」

このみ「確かにポジティブな気持ちを保てれば、うまく物事が進むこともあるけど…ポケモンバトルは1人でやってるんじゃないのよ?」

Pカチュウ「シルフ、か。あいつがこの激戦でどう立ち回れるか…」

ワタル「その点に関しては問題ないだろう」

Pカチュウ「え?」

ワタル「恐らくその心配は杞憂だ」

瑞希「どういうことでしょうか?」

ワタル「いずれわかるさ」
413 : 1   2020/02/11 01:12:38 ID:zH9/TvJf2g
ニドキング「!」バッ

ニドキングの攻撃はシルフに命中!

シルフ「…!」ドゴッ

サカキ「その目障りなハクリューは始末する、貴様の夢はそれで潰える!」

シルフ「…」フラッ

サカキ「立ち上がっても無駄だ!これで終わりにしてやろう!」

百合子(感じる…シルフの力が高まってきているのが…私にはわかる…)

シルフ「…!」カッ

……おや!?
シルフの ようすが……!


ワタル「!」

Pカチュウ「あれは、まさか!」

瑞希「間違いありません、あれは」

ワタル「来たあああああああああああああああああああああああああああああ!!」クワッ

外野一同「!?」ビクッ

ワタル「ついにハクリューが最終進化形態へと変貌するぞ!この時を待っていた!!フハハ!ハーハハハハハハハハハハ!!」フンフンッ

Pカチュウ「耳元で騒ぐな!」

このみ(…近くにいるのやめようかしら)ソソクサ


百合子「やった!ついにシルフが進化を――」

ニドキング「!!」キッ

Pカチュウ「まずい!ニドキングのやつ、攻撃を仕掛けるつもりだ!」

百合子「進化中を狙うなんて!」

サカキ「そんな猶予は与えん!やれ、ニドキング!!」

シゲル「カメックス!」

カメックス「!」ガシッ
ニドキング「!?」

シゲル「邪魔はさせねえよ!」
414 : 1   2020/02/11 01:19:42 ID:zH9/TvJf2g
サカキ「いいや、邪魔はお前たちの方だ」

ニドキングの攻撃がカメックスの甲羅を突き破った!

カメックス「!?」グラッ

サカキ「手負いのポケモンを仕留めることなど造作もない、他のポケモン同様、眠りにつくがいい」

シゲル「…なめんなよ」

サカキ「…何?」

シゲル「カメックスをなめるなって言ったんだ!!」

倒れる寸前のカメックスが最後の力を振り絞る
しかし、それは立ち上がるためではなく…
砲台の中に入っている『あるもの』を撃ちだすためだった

カメックス「!!」ボシュッ

瑞希「あれは」

Pカチュウ「モンスターボール!?」

このみ「いつの間に!?」

ボンッ!!
リザードン「グオオオッ!!」

サカキ「…そうか、あの時お前が地面にたたきつけたモンスターボールか…っ!」

シゲル「リザードン、空中から“かえんほうしゃ”だ!」

リザードン「ガアアッ!!」ボウッ
ニドキング「!!」

サカキ「小癪な」

シゲル「そう言うなよ、もっと面白いもんがこれから見れるぜ」

百合子「時はきた!今こそ風の騎士団が完全体へと昇華し、大いなる悪を討つ!」

シルフ(カイリュー)「!!」ドンッ!!

百合子「行くよ、シルフ!」
415 : 1   2020/02/27 07:57:33 ID:KMSH3MjWYc
ミリオンライブ 7周年&ポケモン24周年おめでとう!
今夜更新したい、な
416 : プロデューサー殿   2020/02/27 08:09:17 ID:bmnFK/M.BM
>>415
わーい、わーい!
みんな、洒落にならない怪我してませんかねぇ…。
417 : 1   2020/02/28 01:24:21 ID:2x6ehgGEsc
Pカチュウ「シルフが…進化した!」

シルフ「!」キッ

百合子「この決戦に備えてトレーニングを積み重ねて、今ようやくサカキ!あなたを倒す力がそろった!」ビシッ

サカキ「…」

このみ「やったわ!これならニドキングと渡り合える!」

瑞樹「はい、勝率が少し上がりました……やったぞ」

ワタル「殲滅してやれ!カントー地方唯一無二の最強ドラゴン・カイリューの力でな!フフフフ、フハハハハハハハハハハ!!すごいぞ!かっこいいぞー!!!」


サカキ「進化した程度でお前たちの勝ちが確定か?…笑止」

百合子「それは今から体感してもらえばわかること!行くよ、シルフ!」

シルフ「!」コクッ

百合子「こうげ――」
ニドキング「ガアッ!!」

百合子「え!?」

指示を出し終わる前に、先に動き出したのはニドキング!
シルフの懐に飛び込み、そのまま腕の力で突き飛ばした!

シルフ「!!」

タケシ「よし、持ちこたえた!」

ニドキング「!!」ブンッ

百合子「尻尾攻撃!?」

ニドキングの尻尾がシルフの足に衝撃を与え、倒れこんでしまう

サカキ「そのまま連打だ」

百合子「防いで!」

攻撃を防ごうと構えるよりも早く、ニドキングの攻撃が次々と命中!
絶え間なく続く攻撃に完全に動きを封じられているようだった

ワタル「進化して間もないからな、腕や足の使い方に慣れていないんだ」

Pカチュウ「そうか、今までずっと…」

サカキ「どんなに強力な力を持っていても、それを扱えないようでは話にならんな」

百合子「っ…!」

シルフ「…!」ギリッ

百合子「大丈夫だよシルフ!今日まで特訓を頑張ってきたんだから!」

サカキ「くだらん」

ズブッ!

シルフ「!?」

ニドキング「!」ニヤッ
418 : 1   2020/02/28 01:31:55 ID:2x6ehgGEsc
Pカチュウ「ああっ!!」
このみ「!?」
瑞希「…!」

百合子「し、シルフっ!!」

サカキ「ニドキングの尾の“どくばり”をカイリューの腹部に刺した……ただのどくではないぞ、“どくどく”と同等の効力を持つものだ、後数分で貴様は終わりだ」

シルフ「!」ガハッ

百合子(血…)

サカキ「力を得たことで逆に地獄を見ることになったな…思い上がった愚者の末路だ」

ワタル「サカキ、貴様ああああああ!」ジタバタ
タケシ「見苦しいぞ!落ち着け!」(ワタルを羽交い締めにしながら)

シルフ「…」ゼェゼェ

百合子「あ…」

サカキ「降参しろ百合子、夢を語ったその口で…自身の負けを宣言しろ」

百合子「!?」

サカキ「所々で言ったはずだ、お前たちに勝ち目はない…それが今明確な現実となってお前の目の前に形となった、そこの死にかけのカイリューがまさにそうだ」

シルフ「…!」ゼェゼェ

百合子「何を、勝手なことを…!」

サカキ「そういえばさっき言っていたな、自身はポケモンマスターと…、かつてその言葉を吐いた男を私は知っている」

百合子(私と同じ夢を持っている人が…)

サカキ「幼いころからトレーナーとしての才を発揮し、チャンピオンにまで上り詰めた。奴は間違いなく最強だった…だがそれは、カントー地方での話!奴は世界を知り、絶望した…!自分は井の中の蛙に過ぎなかったと、な。お前たちもそうだ!狭い世界しか知らない哀れな蛙よ!」

シゲル「やろう!ふざけたこと言いやがって!」

サカキ「虚勢だな、薄々理解しているのではないのか?ただそれを受け入れたくないだけ…子供の我がままだ」

シゲル「っ!!」

サカキ「選べ、降参か!敗北して仲間を失うか!」
419 : 1   2020/02/28 01:34:44 ID:2x6ehgGEsc
百合子「…前にPカチュウさんが言ってた、『負けを認めなければ負けじゃない』って」

Pカチュウ(タマムシで初めてサカキと対峙した時…あの時もボロボロだったもんな…)

百合子「私もシルフも、シゲルさんも負けを認めてない!負けを認めたら倒れていったつむぎとガラガラ、フシギバナやカメックス…それに応援してくれてる皆の気持ちを踏みにじる!私は絶対にそれをしたくない!」

サカキ「認める認めないの精神論ではないのだがな…まあいい、ならば現実を見せてやろう
……そのカイリューを始末することによってな!」

ニドキング「ガアアアアッ!!」

シルフ「!!」ガシッ

サカキ「!?」

Pカチュウ「ニドキングの攻撃を…『手』で防いだ!」

サカキ「馬鹿な、何故動ける…何故立ち上がれる…!全身にどくが回っているはずだ!?」

百合子「負けは認めない!それはつまり勝ちを信じること!シルフの勝利への執念を私は信じる!」

シルフ「!!」ビュウンッ
ニドキング「!!?」

このみ「ニドキングの首にシルフちゃんの尻尾が…!」

瑞希「“まきつく”攻撃…」

Pカチュウ「ミニリュウ、ハクリュー時代からずっと使い続けてたわざで!」

百合子「どんな逆境でも、自分と仲間を信じる揺るぎない精神の持ち主こそが…!」

シルフ「!!」グイッ
ニドキング「ガアアアアウガアアアアアアアアア!!」

百合子「世界最強なんだぁぁぁあああああああああああああっ!!」

首を絞めつけられたニドキングはそのまま投げ飛ばされた!

ニドキング「ガアアハッ!!」

Pカチュウ「やった!!」

タケシ「ついにニドキングに一泡吹かせた!!」
420 : 1   2020/02/28 02:00:00 ID:2x6ehgGEsc
百合子「シルフ!!」

シルフはクラウチングスタートの態勢を取り、翼を大きく広げる
その遠く眼前にいるニドキングに狙いを定めて…

サカキ「ニドキング!迎え撃て!!」

ニドキング「!!」バッ

サカキ「世界最強だと…!ほざけ!!」

百合子「何度だって言ってやる!絶対に諦めない!!」

ニドキング「グウウッ!!」ゴゴゴゴ

シルフ「…!!」

百合子「いっけええええええええええええええ!!」

直後!シルフは低空飛行し、そのままニドキングに突っ込んだ!!

ワタル「そうだ、それでいい!カイリューの本領は地上戦ではなく空中戦!カイリューの飛行スピードは同時に爆発的なパワーを生む!!」

百合子「風の戦士の力を!今この手に!!」

シルフ「!!!」ドゴオッ

サカキ「押し返せ!!」

ニドキング「ガアアアアッ!!」ガシッ
421 : 1   2020/02/28 02:18:21 ID:2x6ehgGEsc
瑞希「あのスピードを、受け止めるとは……敵ながら見事」

このみ「だけど、ニドキングを押してる!完全に受け切れていないわ!!」

Pカチュウ「とはいっても激しいぶつかり合いだ、力が一瞬でも緩んだ方が負ける!」


リザードン「…」ギリッ

シゲル「耐えろリザードン…力の応酬はカイリューに任せておけばいい…!俺たちは勝機を逃さねえようにチャンスをうかがうんだ…!」

リザードン「…」コクッ

シゲル(けっ『任せる』か…ほんっと、焼きが回ってるよな…)


ニドキング「グウウッ!!」ジリジリ

シルフ「!!!」

サカキ「っ!」


『誰がなんて言おうと、俺はポケモンマスターになるんだ!』

『夢は絶対諦めねぇ!』

『俺たちは最強だ、そうだろニドラン!!』


サカキ(どうして、こうもだぶる…!)ギリッ

百合子「このまま押し込めええええええ!!」

サカキ「百合子、どこまでも貴様は私の癇に障る…忌々しい女だ」

百合子「むっ!こっちだって!」

サカキ「だがっ!私と貴様は対極の存在だ!!勝つのは、『俺』だ!!」

百合子「違う!私たちが勝つんだ!!」

シルフ「!!!!」ドゴオオッ
ニドキング「!!!!」ドゴオオッ

このみ「止まった!?」

瑞希「2体の力はほぼ、互角」

サカキ「互角だと!本当にそう思っているのか?」

ニドキング「…」
シルフ「…?」

サカキ「リミッターを外せ」

ニドキング「…!」ニヤッ

サカキ「“あばれる”!」
422 : 1   2020/04/15 01:46:55 ID:paJ7mzgdJg
ニドキング「グオオオオオオオオオオオオッ!!」

百合子「様子が変わった!?」

サカキ「攻撃だ!!」

ニドキング「ガアアアアアアア!!」

シルフ「!?」ガハッ

Pカチュウ「速い!」

タケシ「しかもさっきよりもパワーが上がっている!」

ニドキング「!!」ブンッ

Pカチュウ「また攻撃が来るぞ!」

百合子「“りゅうのいかり”!」
シルフ「!!」ボオッ

このみ「決まった!」

Pカチュウ「しかも0距離!これならやつもひとたまりも――」

ニドキング「グガアアアアアアアア!!」バッ

このみ「って全然効いてない!?」

ニドキング「ガアアアッ!!」ドスッ

シルフの喉にニドキングの強烈な一撃が入った!

シルフ「!!?」

タケシ「喉への攻撃…!これじゃブレス系の攻撃ができない!」

ワタル「理性を失った狂戦士かと思ったが…むしろその逆だったようだな」

瑞樹「過去の戦闘から培われた知識と経験を元に動いている、とても計算尽くされた動き」

サカキ「これが俺と貴様たちとの差…戦場に身を置いてきた年月の差だ!」

百合子「っ・・・!」
423 : 1   2020/04/15 01:49:40 ID:paJ7mzgdJg
ニドキング「ガアアアッ!」

シルフ「……」


百合子「確かに年月の差では、どう頑張ったって勝つことはできない…!けど、今この瞬間にかける想いなら私たちの方が上だ!」


シルフ「!!」ガシッ

ニドキング「!?」


タケシ「ニドキングの攻撃を素手で受け止めた!」

百合子「いっけえええ!」

シルフの拳がニドキングの顔に直撃!

ニドキング「ガァ!?」

シルフ「!!」ブンッ

更に連撃!

Pカチュウ「いいぞ効いてる!そのまま畳みかけろ!」

サカキ「奴のどこにそんな力が…!?」

百合子「お願いシルフ!勝って!!」

ニドキング「…!」


『お前が頼りだ、勝てニドラン!』


ニドキング「ガアッ!!」ブンッ

シルフ「!?」ガハッ

Pカチュウ「反撃された!」
424 : 1   2020/04/15 01:52:11 ID:paJ7mzgdJg
百合子「そんな!ここまで押してたのに!」


ニドキング「グガアアア!!」ドゴッ

シルフ!!」バシッ


タケシ「殴り合いが始まった!」

このみ「2体とも凄い攻防だわ!」

瑞希「まさにこれはノーガード戦法、2体の気迫がここまで伝わってきます……すごいぞ」

サカキ「ニドキング」

ワタル「…他者の夢を見下していた貴様だが、そのポケモンの真意は果たして貴様のそれと一致しているのかな」

ニドキング「ガアアアッ!!」

サカキ(ニドキング、俺がかつて捨てた夢をお前はまだ追い続けているというのか…!)

シルフ「!!」ブンッ

ニドキング「!?」ヨロッ

百合子「やった!クリーンヒット!」

このみ「ニドキングが倒れるわ!」

ニドキング「…」

ここで両手をつけば完全に倒れることを防ぐことができただろう
しかし、ニドキングは絶対にそれを行わない
何故ならニドキングは『王』だから
『王』はいかなる相手であろうと絶対に跪くことはしない

ニドキング「…!」コオオッ

シゲル「ニドキングの口にエネルギーが集中していく…!」

Pカチュウ「ま、まさか!」

このみ「地面に向けて!」

ワタル「零距離 “はかいこうせん”!?」

シルフ「!?」
425 : 1   2020/04/15 01:58:46 ID:paJ7mzgdJg
“はかいこうせん”の衝撃でシルフとニドキングの中心で大きな爆発が起きた!
一帯は砂煙が舞い、一同の視界を奪った

このみ「シルフちゃんが!」

Pカチュウ「あいつ、自爆覚悟であんな大技を…!」

タケシ「これじゃ両方ダウンか…?」

百合子「いや、まだです!」

ビュンッ!!

タケシ「何か飛んでったぞ!」

百合子「皆さんお忘れですか?風の戦士の真価は空中戦にあり、ですよ!」ドヤッ

シルフ「…!」ゼェゼェ

瑞希「とっさに飛行してダメージを最小限に抑えたんですね」

ワタル「カイリューのスピードだからこその芸当ということだ、流石だぞカイリュー!」

シゲル「ったく!ヒヤヒヤさせやがって!」

百合子「シルフ、このまま空中から攻撃を――」

刹那!
カイリューの片翼を何かが貫く!

シルフ「!?」

百合子「え!?」

サカキ「…右上空2時の方向に“どくばり”射出…よくやった」

ニドキング「…!」ニヤッ

百合子「サカキ!」

サカキ「これでご自慢の空中戦とやらは使えない…そのまま落下するがいい!」

百合子「ダメ!踏ん張って!!」

Pカチュウ「ダメだ!毒ダメージでただでさえ体力が落ちているのに、翼が片方負傷してるんじゃ…!」

シルフ「!!」

百合子「シルフ!!」

シゲル「おい、何か忘れちゃいねえか?」

リザードン「!!」ビュンッ

飛んできたリザードンがカイリューを背中を掴み、そのまま飛行した!

シゲル「ここからはリザードンが支える!」

百合子「シゲルさん!!」

シゲル「空中戦の再開行くぞォ!!」
426 : 1   2020/04/15 02:02:21 ID:paJ7mzgdJg
シルフ「…!」コクッ
リザードン「!!」ニッ

ニドキング「…!!」ギリッ

サカキ「…王であるお前を上から見下ろすあの愚か者どもが憎いか?」

ニドキング「…」コクッ

サカキ「ならば罰を与えねばな!王に歯向かったものに鉄槌を下せ!」

百合子「“りゅうのいかり”!」
シゲル「“かえんほうしゃ”!」

サカキ「“はかいこうせん”!!」

Pカチュウ「2体の複合技、これなら“はかいこうせん”に対抗できるはず!」

百合子「シルフ!頑張れー!!」

シルフ「!」クラッ

タケシ「だけどあいつも限界だぞ!」

瑞希「これでは力を発揮できない」

百合子「それでも!私は、信じる!」

シゲル「だな!ポケモントレーナーに基本中の基本!自分のポケモンをとことん信じぬく!!」

サカキ(信じる、だと…)

百合子「いっけー!シルフー!!」

シルフ「…っ!!」ゴオッ

ニドキング「…!!」グヌッ

Pカチュウ「いいぞ!押してきてる!」

サカキ「おのれっ!!」ギリッ

ニドキング「…」チラッ


『お前スゲーな!自分よりも大きなポケモンを倒しちまうなんて!』
『…』
『そう警戒すんなよ!……なあお前!俺と一緒に来ないか?』
『?』
『俺の名前はサカキ!俺とポケモンマスターを目指そうぜ!』


ニドキング「!!」カッ

シルフ「!?」

百合子「ニドキングの攻撃が急にパワーアップした!?」

シゲル「やべぇ!押され始めてんぞ!!」

ワタル(トレーナーがポケモンを信じているように、ポケモンもまたトレーナーを信じている……相互の関係がより強い方がこの勝敗を決するだろうな)フフッ
427 : 1   2020/04/15 02:06:12 ID:paJ7mzgdJg
サカキ「…ニドキング」

ニドキング「グオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」


このみ「まずいわ!このままじゃ2体とも倒されてしまう!」

Pカチュウ「シルフ!リザードン!」


シルフ「…」チラッ

百合子「…シルフ、それしか、ないんだね…!……シゲルさん!」

シゲル「ちっ!リザードン!」

リザードン「…」コクッ

シルフ「!!」バッ
リザードン「!!」バサッ

Pカチュウ「それぞれ左右に分かれて避けた!」

瑞希「確かにこれなら攻撃を避けられますが」

タケシ「今のシルフは負傷してて飛べないぞ!」

このみ「どうするつもりなの!?」

シゲル「リザードン!“ほのおのうず”!!」

“ほのおのうず”がニドキングを中心とした一帯を覆いつくした!

サカキ「ダメ押しのつもりか!その程度の炎で俺のニドキングは仕留められんぞ!!」

シゲル「そんなこと百も承知だっつーの!だから送り込んだぜ、王を仕留める刺客をな!」


シルフ「!!」ヒュウウッ


サカキ(上空からカイリューが落下してくる…これは!)

Pカチュウ「マサキ戦で使った炎のデスマッチ戦法!」

百合子「落下速度に乗せたシルフの一撃で、今度こそ倒して見せる!」

シルフ「…!」

サカキ「何度でも来るがいい!!何度でも叩きのめしてくれる!!」

ニドキング「…!」
428 : 1   2020/04/15 02:10:01 ID:paJ7mzgdJg
シルフとニドキングの拳がほぼ同時に放たれ、
クロスカウンターのようにそれぞれの攻撃を顔で受け止めた!

ニドキング「…っ!!」

サカキ(攻撃の重さは僅かにカイリューの方が上…)

百合子「勝つんだ!私たちは絶対に!勝つんだ!!」

シルフ「!!」ゴオオッ

ドシンッ!!
ニドキング「グガッ!!」バタン!!

Pカチュウ「ニドキングを殴り倒した…!」

タケシ「やった!!」

百合子(お願い…そのまま倒れてて…!)

サカキ「ニドキング…」

ニドキング「…」ゼェゼェ

百合子「!?」

タケシ「って立ち上がった!?」

瑞希「まだ立ち上がれるとは…」

シルフ「…」ギロッ
ニドキング「…」ゴゴゴゴ

百合子「…」ゴクリッ

サカキ「ニドキング」

ニドキング「グウウッ…」

サカキ「よくやった…」

ニドキング「……」ニッ

バタッ!
429 : 1   2020/04/15 02:15:37 ID:paJ7mzgdJg
このみ「ニドキングが倒れた…!」

瑞希「ニドキング戦闘不能……ということは」

Pカチュウ「ということはぁ!?」

百合子「勝った…勝ったんだ…!私たち、勝ったんだ!」

シゲル「よっしゃあああああああああ!!」

百合子「最強のジムリーダーを、私たちの力で倒したんだ…!」

Pカチュウ「百合子!!」

百合子「Pカチュウさん!」

Pカチュウ「よく、頑張ったな!」

百合子「…はいっ!」

Pカチュウ「シルフ、お前も大変だったろう?今はゆっくり――」

シルフ「……」ニッ

バタッ!

百合子「し、シルフまで!」

Pカチュウ「無理もないか…休ませてやろう」

百合子「そ、そうですね!あ、でもその前にどくけしを使わないと!!」アワアワ


ワタル「まさか本当にサカキを倒すとはな、見事だ異世界人…!……さて」

サカキ「…」

ワタル「サカキ、貴様を拘束する」

サカキ「…ふっ、俺を捕まえようということか」

ワタル「当然だ、俺はそのために来た……貴様は法で裁かれるべき悪だ」

サカキ「貴様の言うことはもっともだ…だが、そういうわけにもいかなくなった」スチャッ

ボンッ!

ダグトリオ「!」

サカキ「“じわれ”」
430 : 1   2020/04/15 02:21:22 ID:paJ7mzgdJg
ワタル「何ぃ!!」

百合子「えええええ!な、何ですか!?」

シゲル「やべぇ!ジムが崩れ始めてやがる!」

Pカチュウ「えええええ!?」ガビーン

百合子「早く外に!」

サカキ「百合子、シゲル……忘れものだ」

百合子「これは…」
シゲル「グリーンバッジ…!」

サカキ「もはや俺には必要のないものだ!ロケット団もジムリーダーの地位も、な!次に会う時は俺がチャレンジャーだ、1人のポケモントレーナーとしてお前たちに挑もう!それまで精々生き残るがいい!」

百合子「サカキ…」

Pカチュウ「おいここは危険だ!早く出ろ!!」

百合子「あ、はい!」

崩れ行くジムで百合子が最後に見た光景は、立ち去っていくサカキの姿だった

百合子(気のせいかな、何だか笑ってた気がする)

それを再度確認しようとしたが、彼の姿は落ちてくる瓦礫によって見失った後だった
431 : 1   2020/04/15 02:28:46 ID:paJ7mzgdJg
百合子「た、助かった…!」

Pカチュウ「し、しぬかと思った…!」

タケシ「…あれ、ワタルはどこにいった?」

ワタル「こ、ここだ…!」

百合子「うわ、瓦礫の中から出てきた!」

ワタル「マントが落ちてきた岩に挟まって逃げ遅れてしまった…」フッ

このみ「いや、かっこつけても手遅れよ」

ワタル「なっ!俺のイケメンでもカバーしきれないだと!馬鹿な!」

このみ「馬鹿はあなたよ」ドヨーン

シゲル「百合子」

百合子「シゲルさん、やりましたね!」

シゲル「ああ、礼を言うぜ」

Pカチュウ「シゲルが…礼を言った…!」

瑞希「驚きです」

シゲル「お前ら失礼だな!」ガビーン

百合子「お礼を言うのはこっちの方です、シゲルさんのおかげで勝利できたんですから」

シゲル「…」

百合子「シゲルさん?」

シゲル「今回の戦いで俺の実力が足りてないってことがわかった…俺もポケモンたちもこれからもっと鍛えて、最強に近づいてやる!」

百合子「…私もです!私も皆と一緒にもっと強くなります」

シゲル「…そうかよ!まあ、精々頑張れよ!……じゃあ俺は行くぜ!」

百合子「ええ!?戦いが終わって疲れてるでしょうし、もっとゆっくりでも…!」

シゲル「…次に会う時はセキレイ高原でだ…!そこで俺とお前、どっちが強いか決着をつけようぜ!」

百合子「…はい」

シゲル「Pカチュウも、それまで力取り戻しておけよ!アディオス!」
432 : 1   2020/04/15 02:29:10 ID:paJ7mzgdJg
瑞希「行ってしまいましたね」

このみ「ええ」

Pカチュウ「そ、そっか!俺の力!どうすればいいんだ!」

百合子「何かいい治療法があればいいんですけど…」

ボンッ!
フリーザー「1つだけ、方法があるかもしれん」

このみ「ちょっと勝手に出てこないでちょうだい!」

百合子「いい方法?何か知ってるんですか!?」

フリーザー「ああ、『あいつ』の力を借りれば、もしかしたらPカチュウの力を取り戻せるかもしれない」

Pカチュウ「誰なんだそれ!」

フリーザー「私と連なる伝説のポケモン……雷の力を司る、名を『サンダー』という」
433 : ご主人様   2020/04/15 08:14:00 ID:kgLIvt4lPU
サカキ戦終了お疲れ様!
次はサンダーか…、喋るのかな?喋るだろうなぁ。
434 : 1   2020/04/19 00:21:18 ID:2nASUDZUmc
百合子「サンダー、その人(?)ならPカチュウさんを治せるんですか?」

チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッ

フリーザー「恐らく、な」

チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッ

百合子「どういうことですか?」

チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッ

フリーザー「奴は…まあ少々正確に問題があってな……ところで、さっきから私の顔の近くで舌打ちするのやめてくれないか」

ワタル「あ゛あ゛ん゛!?」ゴルァ

Pカチュウ「お前話に入ってくんな!ややこしくなる!」

ワタル「へーへーわっかりやしたよぉ~!」

瑞希「キャラ変わりすぎですね……びっくりだぞ」

ワタル「けっ!こおりタイプってのは本当にお高く留まっていいご身分だぜぇ!」

このみ「何でヤンキー風なのよ」ドヨーン

ワタル「冷たくするだけしか能のないやつめ!闇の炎に抱かれて消えろっ!」

???「随分と…大口を叩くじゃないのワタル…」

ワタル「そ、その声は…」(振り返る)

カンナ「長期休暇は楽しかったかしら…」ゴゴゴゴ

ワタル「カカカカカカカカカカカカカカンナ!!」

カンナ「仕事サボって何やってんのぉ!!」ドゴオッ

ワタル「ふべっ!!」ハナジブー

百合子「ワタルさーん!」ガビーン

このみ(何だかちょっとすっきりしたかも)
フリーザー(いい気味だ)
435 : 1   2020/04/19 00:24:06 ID:2nASUDZUmc
ワタル「ど、どうしてここに…!?」

カンナ「帰りが遅いから様子を見に来たのよ、そしたらトキワジムが崩れるところが見えたからもしかしてと思って……で、サカキはどこ?捕まえたんでしょう?」

ワタル「…ふっ、逃がした」ドヤッ

カンナ「かっこ、つけて…言う事かああああっ!!」ドゴオッ

ワタル「ふごっ!!」

瑞希「何というキレのいい顔面ストレートパンチ…」

タケシ「あの女、出来る…!」

カンナ「…」チラッ

百合子「ひえっ、こ、こっち見てますよ…」

Pカチュウ「このままだと俺たちもボロ雑巾のようにボロボロに…」ガタガタ

カンナ「…迷惑かけて申し訳ないわね、こいつ言動があれだからあなたたちも苦労したでしょう」

百合子「い、いえ!むしろ色々と助けてもらったと言いますか…」

Pカチュウ「もしかしてあなた、四天王のカンナさんでは?」

カンナ「ええ、そうよ」

このみ「し、四天王!?」

瑞希「ワタルさんと同じ、カントー最強の4人の内の1人」

カンナ「…あなたが百合子さんね、噂はよく耳にするわ」

百合子「え?そうですか?ふふっ、照れますね!」ドヤッ

カンナ「今回のサカキ戦の件、私からお礼を言わせてもらうわ」

百合子「そんなお礼だなんて…!肝心なサカキは取り逃がしちゃうし…」

カンナ「それは気にしないで、全部こいつのせいだから」
ワタル「」グッタリ

百合子「それに私だけの力じゃないんです!さっき別れちゃったんですけど、もう1人戦ってくれた仲間もいるし、ここにいる皆が応援してくれたから…」

フリーザー「ふっ…」
タケシ「いや、お前は何にもしてないだろ!」ガビーン
436 : 1   2020/04/19 00:26:54 ID:2nASUDZUmc
カンナ「そう…いい仲間を持ったわね」

百合子「はい!自慢の仲間です!」

ワタル「そう言ってもらえると協力した甲斐があった」ムクリ

Pカチュウ「復活はやっ!」

ワタル「百合子、改めてグリーンバッジ入手おめでとうと言っておこう…これで君もリーグ挑戦という、最強への道に一歩足を踏み入れたわけだ」

百合子「えへへへ」

ワタル「サカキが失踪した今、8つのバッジを全て集めることが出来たのは百合子とシゲルの2人のみだ」

瑞希「ということは、七尾さんとシゲルさんの事実上の頂点争い」

百合子「そっか…そうなんだよね…」

ワタル「まあそれも、俺たち四天王を倒せたらの話だがな!」

カンナ「チャンピオンになるには、私たち四天王を全員倒さないといけないの」

このみ「まだまだ道は険しいわね」

ワタル「開催は3か月後!セキレイ高原で待っている!さらに実力を磨いて挑みに来るがいい!フフフ、ハーッハハハハハハハハハハ!!」

カンナ「馬鹿笑いしてないで、そろそろ行くわよ!」

ワタル「いたたたた!耳を引っ張るな!」

百合子「あの!ワタルさん!」

ワタル「ん?」

百合子「ありがとうございました!」

ワタル「…高みで待っている、必ず来い」

百合子「はいっ!」
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