【安価SS】全7話 765プロ劇場ドラマ制作 
1 : 3流プロデューサー   2021/07/04 17:40:23 ID:aUJjsmqGmk
立ってくれよー
2 : 変態インザカントリー   2021/07/04 17:41:03 ID:aUJjsmqGmk
立ったよ、スレが!!
ミリドラ第4弾スタートに便乗して、こちらもはじめていけたらなーって
第3回となりますが、前回、前々回と内容面でつながりはありません。
安価形式としては、こちらで用意したあらすじ(大枠)の穴を埋めていってもらいつつ、物語の舵取りをしてもらうイメージです
過去の制作に軽く目をとおしていただければ雰囲気がわかるかも

第1回 メイン:琴葉
http://imasbbs.com/patio.cgi?read=20101
第2回 メイン:のり子
http://imasbbs.com/patio.cgi?read=20542
3 : EL変態   2021/07/04 17:41:18 ID:aUJjsmqGmk
前回と前々回の反省をふまえて今回の方針・進行要領

・公序良俗を遵守 7月中での完結を目標とする

・スレタイどおり全7話構成を予定。これまでより起承転結を意識するつもり

・(会話パートを別として)各話のあらすじを清書時の加筆修正含め原則1000字以内とし、レスは最大で3分割に留める

・安価箇所を最大4とし、複数のレスからの無理のある融合を控える

・安価募集期間(=レスの有効期限)を39時間に原則固定 

・1つでもレスがつけば執筆続行 つかない状態が続けば打ち切りもやむなし

・余裕があれば各話のワンシーンのコラージュを作成(絵心はない……!)
4 : プロデューサーちゃん   2021/07/04 17:42:25 ID:aUJjsmqGmk
今回はいわゆるバディもの(≒ダブルヒロイン体制)で物語を組んでいきたく思っています(細かいジャンルは後ほど、というか安価しだい)

初日である今日はまず、メインとなるアイドル2人(バディ)の候補選出を行います!
このレス直後(少なくとも)5レス分のIDを判定に用いますよ~
→前回同様、ミリシタアプリ内のアイドル順に並べた際の765プロ所属52人それぞれにアルファベット小文字・大文字を割り振る方法
例:天海春香=a、春日未来=n、桜守歌織=Z

IDを左から読んでいき最初に現れるアルファベットと最後に現れるアルファベットの2つでバディ候補を5組選出
※なお、「最初も最後も同一のアルファベット」「IDに含まれるアルファベットが1種だけ」の場合には2種(小文字・大文字)とみなして選出

早い話、レスさえしてもられば自動で選出が済みますので、某スレみたいに1文字でもいいし、今回の制作への要望やアドバイス等があればそちらをレスしてくださると助かります
何卒、ご協力お願いします!
5 : 箱デューサー   2021/07/04 18:31:49 ID:hC87SSqaRQ
片方は熱血、片方は冷静という王道パターン
もしくは笑い飯のようなダブルボケパターン?
6 : あなた様   2021/07/04 18:52:31 ID:BoKJSNwWnQ
今度こそ担当こい?
7 : Pはん   2021/07/04 19:53:27 ID:SzcROxcSfU
前回は最後で参加出来なかった
今度こそ通しで参加したい
8 : お兄ちゃん   2021/07/04 20:24:53 ID:k973fG2naw
毎回楽しみにしてます
9 : プロデューサーちゃん   2021/07/04 22:05:30 ID:2lTfftrENo
わっほいたのしみ
10 : Pーさん   2021/07/04 22:12:48 ID:aUJjsmqGmk
レスありがとうございます!

候補選出処理
hC87SSqaRQ
→(h,Q)=貴音・のり子

BoKJSNwWnQ
→(B,Q)=亜利沙・のり子

SzcROxcSfU
→(S,U)=可憐・昴

k973fG2naw
→(k,w)=亜美・茜

2lTfftrENo
→(l,o)=真美・静香

……になるはずなのですが、のり子が重複している上に前回のメインなのでのり子Pには申し訳ありませんが両方とも最後から2番目のアルファベットで再処理をします。
※のり子の登場がなくなることを意味するわけではないです。実際、前回では前々回に登場したアイドルが多数登場しています。
11 : der変態   2021/07/04 22:13:03 ID:aUJjsmqGmk
よって今回のメイン候補は以下の5組
貴音・瑞希
亜利沙・未来
可憐・昴
亜美・茜
真美・静香
12 : 下僕   2021/07/04 22:15:02 ID:hC87SSqaRQ
亜利沙・未来の凸凹ワチャワチャコンビとか見てみたい
13 : プロデューサー   2021/07/04 22:18:18 ID:BoKJSNwWnQ
可憐昴いいね
14 : レジェンド変態   2021/07/04 22:24:41 ID:aUJjsmqGmk
次にこの5組から1つを選びつつ今回のドラマのタイトル/大まかなジャンル区分を募集します
具体的には以下のようなレスを募集します

例1 たかみずで『月下のジョーカー』 (ジャンルはミステリ)
例2 亜利沙・未来 「アップテンションフューチャー!」 
例3 可憐と昴でスポ根もの

→「メインとなるコンビ」は必須として、タイトルかジャンルの区分あるいはその両方を付してレスお願いします
最終的には集まったレスの中からこちらが独断と偏見で選んだものを採用します
ただし「○○に一票」「××は面白そうやな」などレス同士でのやりとりも参考にしたいと思います
なお、いくつも思い浮かぶ人もいるかと思いますが一番読みたいものにしぼってレスお願いします!

レスの有効期限は7/6 01:59:59までとしてみます
(順当に行けば7/6中に第1話のあらすじ投下予定)
15 : 彦デューサー   2021/07/04 22:28:32 ID:aUJjsmqGmk
念のため補足しておくと、>>10でQをqに置き換えて処理しなかったのは、qが琴葉に該当するアルファベットでどちらにしてもメイン重複になったからです
16 : Pサマ   2021/07/04 22:32:16 ID:BoKJSNwWnQ
可憐昴で学生探偵もの
17 : 変態インザカントリー   2021/07/04 22:32:56 ID:1f6PkoDTlY
まみしずで超テニスもしくはテニヌ(うどん要素は排除)
18 : 1   2021/07/05 14:59:40 ID:uHITLqDAjU
レスありがとうございまっし! 
副業休憩中にageとくぞ〜
実際に描けるかはともかくSFやファンタジーだと、片方が人間でもう片方は人間ではなく機械だったり妖精だったりってのも定番すよね

まだまだ募集中です!!!!
19 : ごしゅPさま   2021/07/05 22:27:45 ID:iNy4CeHrQ2
>>16
普段は可憐が運動系、昴が文化系という事でひとつ
20 : 1   2021/07/06 04:55:19 ID:yYaWSJ.Su2
レスありがとうございましたー
メインは可憐・昴でジャンルは学生探偵もの(高校生or大学生?)を採用
劇中設定としては>>19も取り入れるとして、誰かがロコされてしまう展開よりもいわゆる日常系ミステリになりそうな予感
そのあたりは安価しだいですね 
スレの性質的に整合性はそんなに求めないほうがいいかもです

本日(7/6)の17~18時頃に第1話のあらすじを投下する予定
何かご意見・ご想像・ご要望等々あればお昼頃までにレスをくださるとありがたいです!
何卒最後までお付き合いください
21 : P君   2021/07/06 12:23:08 ID:WGILyjdvq2
どっちかがめちゃくちゃ頭良いのかそれとも本当に協力しあって謎を解くのか
22 : 1   2021/07/06 17:49:45 ID:yYaWSJ.Su2
思ったより時間がかかりそうなので、気長に待っていてください!
事件の根幹部分を安価で振るかも……?
23 : Pさぁん   2021/07/06 19:23:26 ID:yYaWSJ.Su2
タイトル未定 第1話 あらすじ投下します
24 : Pしゃん   2021/07/06 19:24:58 ID:yYaWSJ.Su2
partA
5月下旬、春の嵐が過ぎ去った直後。私立未理遠女子学園の高等部棟の中庭にて【A】という怪現象が起こる。
学園内部で教師陣と生徒会執行部が中心となって調査が進められるも、まったく成果が出ない。
高等部1年生で、【B】部に所属する永吉昴は怪現象そのものより、敬愛する部長の【ID判定】が、怪現象が起きてからというもの、妙にそわそわとしているのが気がかりだった。
部長は何か知っているのでは、ひょっとして部長が……と不安が募る昴。いよいよ本人に問いただそうと決意した矢先に、今は使われなくなった旧棟の階段下で倒れている部長が発見される。
おそらく階段から転げ落ちたのだろう、全身を強く打ち付けたらしく、一命はとりとめたものの意識不明の重体となった部長。
そうして学園内に奇妙な噂がまことしやかに囁かれるようになった頃、季節外れの転入生が学園にやってくる。
名前は篠宮可憐。彼女は転入してからありとあらゆる部活動に体験入部し、運動部連中からはこぞって、ぜひ入部してほしいと懇願されるほどの身体能力を有していた。
しかし、可憐はすべての勧誘を断っているという。曰く、「私を満足させる香りがしないから」らしい。
25 : プロデューサーはん   2021/07/06 19:25:21 ID:yYaWSJ.Su2
partB
梅雨入り宣言がされた日、可憐はついに昴たち【B】部のもとへもやってきた。活動にまるで興味を示すことなく、去ろうとする可憐だったが同級生である昴の暗い表情がふと目にとまり、そのわけを訊ねる。
学園内で直接的に触れることがもはや禁忌となっていた話題、すなわちあの中庭での怪現象と部長の怪我のことを可憐に少しずつ話す昴。
すると可憐はそれまで見せたことがない面差しで、瞳を爛々とさせて昴の話に耳を傾け、そして話が終わると昴の手をとって言った。
「ああっ、これなのね、私が求めていた香りは……! 混沌とした謎と甘美な秘密、人の心の光と闇とが擦れて生まれる火花の持つ匂い、その焦げつきの芳香が私を高くへと導くのよ……!」
かくして昴は可憐の「捜査」に半ば強引に付き合わされることとなり―――?
26 : Pさぁん   2021/07/06 19:26:02 ID:yYaWSJ.Su2
※【A】学園の中庭で起きたこと 怪現象とありますが(時間をかければ)1人の人間の手で行える範疇のものでお願いします、また、あまりに猟奇的な類のものは× 警察等の外部組織の介入なしに学園内部で処理できる(と判断された)現象/事象です

※【ID判定】意識不明の重体となった部長 このレス直後のレスのIDに最初に現れるアルファベットにて判定 ただし実年齢15歳以上とし、また昴・可憐の場合にも2番目以降で再判定

※【B】昴が所属する部活動 文化部に限定 ただし大人数がいそうな部活は避けてほしいです

※【C】(本文記載なし) 次回、2人がまず向かう場所、行うことは?

レスの有効期限は  7/8 10:59:59まで 
何卒ご協力お願いします!
27 : そこの人   2021/07/06 19:35:01 ID:L3O.0g4UUw
A 何故か中庭に移動させられた校長の銅像に腕が生える
B 料理部
C 図書室
28 : P様   2021/07/06 19:42:03 ID:WGILyjdvq2
A 花壇の花が次々と枯れる
B 天文部
29 : プロデューサーちゃん   2021/07/06 19:44:53 ID:.ns.RH0GEY
A:花壇の植物が土ごと植え替えられていた(生育に問題はないらしい)
B:SF研究会
C:高所に登って学園全体を見渡す
30 : Pちゃま   2021/07/06 21:19:43 ID:iXbAyZPzeY
A土が掘り起こされ大きな穴があけられる
Bオカルト研究会
C理科室
31 : プロデューサーくん   2021/07/07 00:03:15 ID:OMMNQg0iwA
A中庭の花壇が不可思議な形で荒らされる(屋上から見ると何かの模様のように見える)
B写真部
C屋上
32 : 1   2021/07/07 17:10:36 ID:hzoquKG9N2
ageついでに部長のID判定処理しておきます

>>27 L3O.0g4UUw →L =二階堂千鶴


あと、タイトルについても募集中です
とはいえ、曲がりなりにもミステリだとすれば、事件の在り様(とその真相への手がかり)を示唆するようなものは現段階では下手につけられない…?
可憐や昴というキャラクターに重きを置いたタイトルになるんかな
もしかしたら、しれっとこちらで決定するかもです
33 : 箱デューサー   2021/07/07 18:59:12 ID:bXRyXZLezM
月並みながら
「二人で学園(探偵)生活、始めました!」なんていかがでしょうか?
34 : バカP   2021/07/07 19:15:23 ID:FuWhINSK.c
昴の部活に応じて「○○部のフレグランス探偵」とか

あと本筋にどう絡むかはさておき可憐が生活力壊滅してるタイプとかどうだろう?
35 : プロデューサー殿   2021/07/08 11:02:22 ID:A4kfmN8DKo
レスありがとうございます!!

清書版を今日の夕方以降に投下する予定です
第2話については翌朝(7/9)の見込み
最後までお付き合いお願いします
36 : ボス   2021/07/08 19:20:13 ID:l5aP7EaRdE
第1話投下していきますよー
タイトルは>>34さんの意見を参考に

制作第3回「フレグランスは写らない」スタートです!

37 : そなた   2021/07/08 19:20:29 ID:l5aP7EaRdE
第1話

春の嵐が過ぎ去った5月下旬。
私立未理遠女子学園の高等部の中庭を彩る花壇が何者かによって荒らされ、土が掘り起こされて穴となった部分は大小合わせて39か所にも及んだ。
『嵐の夜に、花壇の地下深くに眠っていた屍たちか、あるいはチュパカブラのような怪物たちが何かを契機に目を覚まし、次々に這い出たに違いない』――――そんな怪談めいた噂が生徒の間で交わされる。

写真部に所属する1年生の永吉昴は、1週間が過ぎても犯人やその目的がわからない怪現象そのものより、敬愛する部長の二階堂千鶴が妙にそわそわとしているのが気がかりだった。
部長は何か知っているのでは、と不安が募る昴。
いよいよ本人に問いただそうと決意した矢先、旧棟の階段下で倒れている千鶴が発見される。
階段での転落が原因なのだろう、全身打撲を負った千鶴は打ちどころが悪く、意識不明の重体となってしまう。

そうして学園内の奇妙な噂がまたひとつ増えた頃、季節外れの転入生が学園にやってきた。
38 : ボス   2021/07/08 19:20:43 ID:l5aP7EaRdE
彼女の名前は篠宮可憐。
転入してからありとあらゆる部活動に体験入部し、運動部連中からはこぞって、ぜひ入部してほしいと懇願されるほどの身体能力を有している、ポーカーフェイスの美しい少女だった。
可憐はすべての勧誘を「私を満足させる香りがしない」と断っていた。
梅雨入り宣言がされた日、可憐はふらりと昴たち写真部のもとへもやってきた。30分もしないうちに飽きたのか、去ろうとする可憐だったが同級生である昴の暗い表情がふと目にとまり、そのわけを訊ねた。
昴は表立って話されることはなくなった噂、つまり中庭で起きた怪現象とそして部長の転落事故について可憐に話してみた。
すると可憐はそれまで見せたことがない面差しに変わり、瞳を爛々とさせる。
話が終わるやいなや、昴の手をとって言った。
「ふふっ……甘美なる謎と秘密、人の心の光と闇とが擦れて散る火花、その焦げつく香りこそ私が求めていたものよ」

かくして昴は可憐の「捜査」に半ば強引に付き合わされることとなり―――?
39 : P君   2021/07/08 19:30:51 ID:l5aP7EaRdE
第1話は以上です。
自分で縛りを設けたとはいえ、800字程度では本当に大枠部分で終わっちゃいますね
細部は脳内補完でお願いします

せっかくなので制作方針を示しておくと、エピローグまでには少なくとも以下の2つの謎を解決しないといけないのかなと思います
a.部長(千鶴)の怪我の真相→旧棟にいた理由とは? そして事故なのかそれとも……
b.中庭の怪現象→誰が何のために 

aとbをつなぐ事実・人物を明らかにするための捜査が第2話~第5話あたりまで続くのではないでしょうか
新たな謎cをベストなタイミングで発生させ、その真相がすべてを繋ぐ……そんな安価捌きができると面白いかなーって

何卒最後までご協力お願いします!
40 : ダーリン   2021/07/08 20:49:45 ID:xmToj9.gbE
毎度タイトルの一枚絵のクオリティ高いなおいw
41 : プロデューサー様   2021/07/08 22:10:35 ID:.OSmiJM9QY
機体
42 : 高木の所の飼い犬君   2021/07/09 07:22:15 ID:aAEAkeI9Kk
おはようございます
第2話 あらすじ投下していきます
43 : バカP   2021/07/09 07:22:34 ID:aAEAkeI9Kk
捜査1日目。放課後、曇り空の下。可憐は昴を連れて西棟の屋上まできていた。昴が鍵の入手経路を訊くと、天文部からだという。
定期的な天体観測に屋上を利用することが多いため部で所持しているのだとか。体験入部したときに仲良くなった子がいたという。
「宇宙もまだまだ謎が多いから魅力的ではあるのよね。さて、今はそんなことより、」と可憐は昴の手を引き、フェンス近くまで導く。
そして「教えてくれるかな?この学園のこと」と可憐は昴に微笑んだ。昴は促されるまま、学園について、まずは今まさに目にしている建物の配置から説明するのだった。
44 : 会話part1   2021/07/09 07:23:05 ID:aAEAkeI9Kk
昴「高等部は、見てのとおり西棟・中央棟・東棟、あとは体育館と講堂の5つの建物に加えて、ほら、あそこ。あの小さい旧棟を合わせて6つの建物があるんだ」

可憐「旧棟って今は使われていないってことよね」

昴「まったくというわけじゃないんだ。実は【A】」

可憐「ふうん……」

昴「それでも、二階堂部長がふらりと行くような場所ではないのは間違いないよ。部長は気ままに写真をどこでも撮るってタイプでもないんだ」

可憐「そうなのね。旧棟も気になるけど………例の中庭は?あれかしら」
45 : 会話part2   2021/07/09 07:23:29 ID:aAEAkeI9Kk
昴「そう。中央棟の真ん中に位置するあの空間だよ」

可憐「わざわざ棟をくり抜かなくても西棟や東棟との間にあってもいいと思うけど」

昴「それはこの学園が発展してきた経緯と関係があるんだって。ちゃんと調べたことはないけど。なんでも、30年前ぐらいはあの旧棟がこの学園のすべてだったって」

可憐「本当?この30年でここまで築き上げるなんて、よっぽどの投資家や資金繰り事業上の幸運にでも恵まれたのかしら」

昴「さあ……。あのさ、篠宮さんは中庭の件がこの学園の歴史と繋がりがあると思っているのか?」

可憐「そうでもないわよ? 正確には現段階で優先して調査する事項ではないと判断しているってことだけど」
46 : 会話part3   2021/07/09 07:23:55 ID:aAEAkeI9Kk
昴「まぁ、そうだよな。花壇の下にタイムカプセルでも埋まっていたならまだしも……」

可憐「へぇ、面白い考えね。何か理由があってタイムカプセル秘密裏に掘りだすために、誰か生徒の親が生徒に頼んで、みたいな?」

昴「うん。たとえば今の時代になってすっげープレミアになったサインボールなんかを入れていて、売ってお金にするか手元に置いておきたいからー、とか、そういう動機」

可憐「なかなか見つからなくてどこもかしこも穴だらけ、なんて間抜けを通り越して愚かだけれども」

昴「でもなー、聞いたところによると、あの中庭にそういうのって、べつに埋まってなかったって話なんだよ」

可憐「それは誰からの情報?」
47 : 会話part4   2021/07/09 07:24:16 ID:aAEAkeI9Kk
昴「園芸部の【ID判定】だよ。同じクラスの」

可憐「………そんな子いたかしら」

昴「おいおい……」

可憐「昴ぐらい可愛い? だったら顔ぐらいは憶えているかも」

昴「し、知らないよ、そんなの」
48 : ダーリン   2021/07/09 07:24:34 ID:aAEAkeI9Kk
可憐が改めてその子から話を聞きたいというと、昴はこの時間であれば東棟そばの温室にいるかもと応じた。
そうして可憐たちは屋上をあとにする。
温室に行くと果たして彼女がいた。園芸部はこの温室とその付近の花壇の世話がメインであり、中庭の手入れについては専門業者の定期的な管理があるらしい。
未理遠女子学園の中庭は学園案内のパンフレットには必ず掲載される程度に学園を象徴する空間であり、また、参加人数が限定される表彰式等に会場として用いられる場所である。
そこでの怪現象であるからこそ学内で奇妙な噂も急速に、そして真実味を帯びて広まったわけだが……。
可憐が、園芸部は完全に中庭にはノータッチなのか訊ねると、そうではないと返される。
対外的なアピールもあるのだろう、生徒会執行部と合同で、決まった時期に草花の植え替え作業があるそうだ。
ちょうど嵐の前に、すなわち5月の大型連休明けすぐに今年は行っているという。
そのときなにか変わったこと、気になったことはなかったを訊いてみる昴。が、園芸部員は首を横に振る。
「でも、あの人だったら……」と園芸部員は執行部の書記を務める生徒を紹介してくれる。当日、同じく作業にあたっていたという。
容姿端麗、頭脳明晰、快刀乱麻―――【B】の学園内での評価はかなり高い。
昴たちは礼を言って温室を去る。可憐は生徒会室へ向かうより先に、現場、つまりは中庭に寄ることにした。
夕暮れの色に染まる中庭。怪現象発生後、しばらくは立入禁止だったのが解除されている。
不意に、可憐は昴に「【C】?」と訊ねた。(以下、昴の返答加筆)
49 : おにいちゃん   2021/07/09 07:30:57 ID:aAEAkeI9Kk
※今回の物語の性質上、何がどう真相を左右する情報となるか書いている自分もわからないので、清書時に本編外で出てきた情報は軽くまとめるつもりです

※【A】旧棟の現在の用途あるいは旧棟にある現在でも使用されている部屋・設備等

※【ID判定】園芸部員 この直後のレスにて判定 既出キャラの場合は判定ずらし

※【B】生徒会執行部書記 おそらく手がかり(の1つ)を持っている人 原則多数決 

※【C】中庭にて可憐が昴にした質問とは? 事件関連でも昴(や千鶴)のパーソナリティ関連でも お任せします!

レスの有効期限は7/11 01:59:59まで 清書はグッと短くまとめます
何卒ご協力お願いします!
50 : Pサン   2021/07/09 07:52:07 ID:H/9aqs4eoE
A 学園資料室
B 朋花
C 「昴はこの学校、好き?」
51 : せんせぇ   2021/07/09 08:06:32 ID:PfZIEXeSrg
A和室
B紬
C二階堂先輩との出会いについて
52 : プロデューサーちゃん   2021/07/09 20:15:09 ID:aAEAkeI9Kk
ageついでにID判定処理

>>50 H/9aqs4eoE→H=舞浜歩
園芸部員は歩に決定 

あと、>>49の「清書時に本編外で出てきた情報を軽くまとめる」というのは、原則1000字以内のあらすじとはべつに、情報だけをまとめたレスを加えるという意味です。
53 : Pはん   2021/07/09 20:41:59 ID:aRrIo13wdk
A:旧図書室(原則非公開)
B:茜
C:この学園で嗅いできた匂いで変わったものは無いか(ここで昴は友人の体験談を思い出す)
54 : 貴殿   2021/07/11 04:30:47 ID:SuMwt4YLdM
レスありがとうございます
第2話投下していきます!

55 : 変態大人   2021/07/11 04:31:05 ID:SuMwt4YLdM
第2話

捜査初日。可憐と昴の2人は西棟の屋上へとやってきた。可憐曰く、屋上の鍵は体験入部の際に仲良くなった天文部の子から借りたらしい。
可憐は昴に学園について話を聞く。現在では3つの棟に加えて体育館や講堂、温室としった設備が充実している学園であるが、かつては小さな棟1つだけであったことがわかる。どうやらここ30年で大きく発展と遂げたようだ。
千鶴が発見された旧棟は基本的に使われていないのだが、茶道部・華道部が部室として使用している和室と、学園の資料室として位置づけられている旧図書室(入室および資料閲覧には許可が必要)が機能を失っていないのだという。

つづいて中庭の怪現象に関して、昴は園芸部員である同級生の舞浜歩を可憐に紹介する。
歩は畑わさびを栽培しており「本当はさ、沢わさびがいいんだけど、さすがにここじゃ無理なんだよなー」と話した。
中庭でのことを聞くと、園芸部はそれほど手入れに携わってはいないそうで、ただ、定期的に生徒会と合同で植物の植え替え等の作業はあるとのこと。
歩は「生徒会初期の天空橋先輩だったら、何か気がついているかも。あの人、ただ者じゃないからさ」と、可憐たちは嵐の前の中庭での植え替え作業時にいた天空橋朋花の情報を得るのだった。

可憐と昴は歩に礼を言って温室をあとにする。そのまま生徒会へは向かわず、現場である中庭に寄ることにした。
不意に可憐が昴に部長である千鶴とはどう知り合ったのかを訊く。
56 : おにいちゃん   2021/07/11 04:31:24 ID:SuMwt4YLdM
可憐「普通に入部の際にってところかしら?」

昴「あー……実はそうじゃないんだよ。初めから写真に興味があったわけじゃないし」

可憐「というと?」

昴「去年の春、ようするに入学して間もない頃にさ、放課後の図書室で会ったんだよ」

可憐「もしかして、書架を前に同じ本をとろうとして手がぶつかって、顔を見合わせて―――みたいな?」

昴「ちがう、ちがう、そんな少女漫画めいた出会いじゃないって。えっと………寝顔を撮られたんだ」

可憐「二階堂先輩はそうした写真を撮るのが趣味なの? たしかに昴の寝顔だったら……いえ、それよりも、図書室は眠る場所ではないわよね?」

昴「うっ……まぁ、その、入学してから、いろいろあって、疲れちゃっていたんだよ。だから、ついうとうとしちゃって」

可憐「それで二階堂先輩は? 昴の寝顔をネタに写真部に勧誘したってわけじゃないでしょう?」
57 : ぷろでゅーさー   2021/07/11 04:31:38 ID:SuMwt4YLdM
昴「それはそうだよ。そんな変な勧誘のされ方だったら断るって。……まず寝顔を撮ったことを『ごめんなさい、あまりも可愛らしかったから記録しておきたかったのですわ』なんて謝られてさ、その成り行きで部長がそれまでに撮った写真、えっと、誰かの寝顔じゃなくて、風景だったり動植物だったりな?それを見せてもらってさ、自分の口から自然とすっげーって声が漏れちゃっていたんだよね」

可憐「ふふっ、二階堂先輩の撮る写真に心を動かされたってことね」

昴「そういうこと。でさ、すっげー、すっげー、言っていたら、部長がちょっと照れた風に『これぐらいであればあなたでもすぐに撮れるようになりますわ。そうですわ!わたくしたちの写真部に入りませんこと?図書室の寝台特急さん♪』って誘ってくれたんだよ」

可憐「素敵な先輩ね」

昴「うん。………どうして旧棟なんかにいたんだろう」

可憐「……こほん。捜査を再開しましょうか。その先に納得のいく答えがあるのを信じて」


第3話につづく
58 : Pちゃん   2021/07/11 04:39:18 ID:SuMwt4YLdM
情報整理
・学園はここ30年で急成長を遂げた

・千鶴が発見された旧棟には茶道部/華道部の部室となっている和室と資料室として位置づけられている旧図書室が存在する
(→が、昴が不思議がっていることからわかるとおり、千鶴が普段からそこに通う理由があるわけではない)

・歩の証言=少なくとも嵐の前の時点で、中庭(の簡単に掘り出せる程度の深さに)に何か埋まっていたということはない

・昴は図書室の寝台特急として千鶴に可愛がられている

以上が今後の展開を左右するか否かはわかりません 安価しだいです
第3話のあらすじ投下は早くて今夜を予定
何卒最後までお付き合いください!
59 : Pちゃん   2021/07/11 05:34:28 ID:tMXbx1h.n2
情報の整理たすかる
60 : プロデューサー   2021/07/11 05:37:40 ID:SuMwt4YLdM
肝心なことを書き忘れていたーっ!
朋花を選んだのは「票が同数の際にはIDに最初に現れる数字(1桁)の大きさで判定している」からです
すなわち>>50さんだと9で>>51さんだと無し(<0と判定)、>>53さんだと1ってわけです、はい
次回以降もこれでいきます
61 : der変態   2021/07/11 22:12:49 ID:SuMwt4YLdM
第3話 あらすじ投下します
今回、安価箇所が穴埋め形式とは言えないですが、次回はまたもとに戻るかもです
62 : Pさぁん   2021/07/11 22:13:03 ID:SuMwt4YLdM
第3話

予定したよりも中庭に長居したせいか、可憐と昴が生徒会室に行くと既に施錠されており、室内の明かりもきちんと消されているようだった。
しかたなしに2人が帰路につこうと生徒会室前で振り返ると、廊下の奥から、2人がいる方向にゆっくりと近づいてくる人影があった。
窓から差し込む夕日が、その生徒の顔を照らすものだから、2人ははじめその生徒の顔がわからなかった。
すぐ近くまでやってきて互いに表情がはっきりと判別できる距離になると「不思議な香り……」とそばで可憐が呟くのを昴は耳にした。
昴もまたどことなく空気が変わるのを感じた。
「何か生徒会にご用ですか~?」
彼女は立ち止まって2人に微笑む。慈愛に溢れた聖母を思わせる笑みだ。リボンの色からして3年生のようである。
見蕩れてしまったとでもいえばいいのか、うまく言葉が出てこない昴。それに対して、可憐は書記の天空橋朋花に聞きたいことがあるのだとすんなりと言うのだった。
「ふふっ……偶には忘れ物をしてみるものですね~。私を探す人たちにこうして会えたのですから~」
先とは違い、いたずらっ子っぽく笑う。昴が「もしかしてあなたが天空橋先輩?」と訊くと彼女は「ええ、そうですよ~」と肯いた。
63 : プロデューサー   2021/07/11 22:13:27 ID:SuMwt4YLdM
朋花「私に話というのは?」

昴「えっと……」

可憐「中庭での怪現象、それに二階堂先輩の階段転落について」

朋花「………穏やかじゃないですね~」

可憐「お話、聞かせてもらえますか?」

朋花「単なる興味本位からでなければ、協力しますよ~?」
64 : プロヴァンスの風   2021/07/11 22:13:41 ID:SuMwt4YLdM
朋花「とはいえ、内容が内容ですから、ここで立ち話というわけにはいきませんね~」

可憐「………そうですね」

朋花「それに今日はもう時間もありません~。明日、改めてお話をする場を設けるということで構いませんか~?」

可憐「はい、それでかまいません。」

朋花「ふふふ……では明日の放課後にまたお会いしましょう。場所は……誰か手の空いている者に案内させますよ~」

昴「は、はい」

朋花「では、気をつけてお帰りになってくださいね~。篠宮さん、永吉さん」
65 : ごしゅPさま   2021/07/11 22:13:56 ID:SuMwt4YLdM
朋花は2人の脇を通り抜けて、鍵を取り出し生徒会室を開錠する。そのままするりと入っていった。無暗に部外者を招き入れるつもりはないようだ。

昴「な、なあ、篠宮さん」

可憐「なあに?」

昴「こっちは名乗っていないよな?」

可憐「そうね。でも、昴、そんな不安そうにすることかしら?」

昴「えっ」

可憐「転校してきて早々、ありとあらゆる部活に体験入部をしては去っていくような変哲な人間、広く知られていて当然だわ」

昴「自覚はあるんだな……って、待てよ、それじゃあ、篠宮さんが知られているのはわかるけど、なんで―――」

可憐「なぜ昴のことまで?それはもっと単純よ」
66 : そこの人   2021/07/11 22:14:12 ID:SuMwt4YLdM
昴「そうなのか?」

可憐「昴は可愛いから、上級生の間で知られていてもおかしくないじゃない」

昴「は?」

可憐「永吉昴が妹なのずるいだろ大学なんてのもあると聞くわ」

昴「ないよ!?」

可憐「ま、明日になればわかるわね。今日はさっさと帰りましょう」

スタスタと先を行く可憐、慌てて追いかける昴だった。
ちなみに可憐は学園前のバス停からバスに乗って帰り、昴は自転車なので一緒なのは校門までなのだが。
67 : プロデューサーさん   2021/07/11 22:14:25 ID:SuMwt4YLdM
翌日 雨
昼休みに、可憐は昴の持ってきたお弁当からひょいっと玉子焼きを一切れ頂戴したかと思えば、「調べ物があるの」とふらりと姿を消した。
あまりに自然に行われた不当行為に、昴は少しの間、何が起きたのかわからなかった。
そんな昴を気の毒に思ったのか、近くにいた歩が「よかったら、これ」と差しだしてきたのは本わさび使用の練りわさびチューブだった。

そして放課後、可憐が昴の髪を無遠慮にいじっていると見慣れない1人の生徒がやってきた。どうも1年生のようだ。

【ID判定】「篠宮さんと永吉さんはおられますか? 朋花様の命でお迎えにあがったのですが」

可憐と昴は顔を見合わせる。あの人、何者なんだ。
68 : 3流プロデューサー   2021/07/11 22:14:40 ID:SuMwt4YLdM
1年生に案内されたのは生徒会室ではなく旧棟の和室だった。朋花は茶華道部に所属してもいるそうだ。
茶華道部が部室として利用している、そう昴は話していたが、実際には新棟である東棟に設けられてた新しい和室が今の部室であり、旧棟については半ば倉庫のような扱いらしい。

1年生「もしくは朋花様が少数を相手に個人的にもてなしたい場合に使われると聞きます」
昴「へ、へぇ……」
可憐「もてなす、ね」

もしや和服で?と思ったが、昴たちを迎えた朋花は昨日と同じく制服だった。
案内をしてきた1年生に丁寧に礼を言う朋花。1年生は感激した様子で、その場を後にするのが口惜しくも見えた。

朋花「くつろいでくださってけっこうですよ~」
可憐「では、遠慮なく」
昴「……!」

朋花に促されて床に座る可憐であったが、その美しい正座姿に昴は驚く。え、そこまできれいに座らないといけないのか。
無論、朋花についてはまさに座れば牡丹といった具合なのであった。
69 : 師匠   2021/07/11 22:14:52 ID:SuMwt4YLdM
朋花「さて、何からお話すればいいでしょう~」

可憐「かくかくしかじか……てへへ♪」

朋花「なるほど、なるほど~」

昴「すっげー……」
70 : 師匠   2021/07/11 22:15:23 ID:SuMwt4YLdM
今回の安価
=生徒会執行部書記 天空橋朋花からの情報・事件解決の手がかり

嵐の前、中庭での園芸部と合同で行った花々の植え替え作業中に気になった事象/人物→【A】
二階堂千鶴と朋花自身の関係、何かエピソード→【B】
(生徒会活動を通じて得た情報を基に)何か学園の歴史で気になっていること→【C】
次回、朋花との話終了後、次に可憐と昴が向かう場所や訪ねる人物(の素性・身分)→【D】

※細かくなくとも、ふわっとした感じでレスしてくださればこちらでなんとか処理します
※このレス直後のレスIDで朋花に気に入られている、朋花を信奉する1年生を判定
※朋花との会話部分は加筆予定あり その他の部分は清書時に大幅にカットし、まとめる予定
※劇中で篠宮可憐が奪った玉子焼きは、永吉昴役の永吉昴の手作りを使用し、弁当の残りはキャストのみなさんで美味しくいただきました

レスの有効期限は 7/13 16:59:59まで
何卒ご協力お願いいたします!
71 : Pさぁん   2021/07/11 23:24:02 ID:Oz9vCtNwMA
A→植え替える予定のない花が急遽加えられた
B→師弟関係
C→旧棟は前にも取り壊しが行われそうになったことがある
D→職員室
72 : 魔法使いさん   2021/07/12 02:28:23 ID:PrrgrmkwkY
A植える花の本数の倍の数の穴が掘られていたが、園芸部員達は誰一人気にしている様子はなかった
B千鶴は生徒会の手伝いをたまにしていた(役員ではない)
C写真部に保管されている学園の歴史を綴ったアルバムに抜け落ちているページ(または巻)がある
D旧校舎の資料室
73 : 貴殿   2021/07/12 06:52:04 ID:zTN6cW2EZc
A作業をずっと遠巻きに見ている生徒がいた
B家が近所の親友同士
C財務状況で無理をしてでも学園の土地を拡張している
Dながよしすばるが妹なのずるいだろ大学
74 : プロヴァンスの風   2021/07/12 17:25:16 ID:S6kIZQTT2k
ageついでに朋花を信奉する一年生役のアイドルを判定処理

>>71 Oz9vCtNwMA →O=豊川風花

前回(第2回の制作)とのギャップすごいっすね
お前のような高1がいるか!ってなりそうだけど、可憐も大概なんだよなぁ

引き続き募集中です!
75 : 我が友   2021/07/12 18:27:27 ID:18sS7OR3mo
B中学時代、朋花への襲撃を千鶴が未然に防いだ
C過去に1名だけ役員を解任された者がいる
D学園の情報屋(朋花の紹介)
76 : プロデューサーさま   2021/07/13 04:24:29 ID:4PRptP93/w
A:自然と周りに溶け込んでいた人がいたけれど、実は誰も知らなかった
B:互いに意図はしていない筈なのにちょくちょく出会う(前世を思い出すような思い出さないような)
C:細かい情報を総合すると、意図的に旧校舎を保存しようとしているのではないか?
D:千鶴の実家とその近辺
77 : プロデューサー様   2021/07/13 18:18:25 ID:iAY7xC2U.Y
レスありがとうございます!!
第3話投下していきます

78 : EL変態   2021/07/13 18:18:42 ID:iAY7xC2U.Y
第3話
園芸部員・舞浜歩の情報で中庭について何かしっていそうな生徒会執行部書記・天空橋朋花との接触を図る可憐と昴。
夕暮れの生徒会室前で会った彼女は2人のことを知っているようであり、話であれば日を改めてほしいと言う。
その翌日、可憐たち2年生の教室に清楚で刺激的な1年生・豊川風花(93-61-91)が「朋花様の命でお迎えにあがりました」とやってくる。
彼女によって案内されたのは旧棟の和室であり、そこは茶華道部の実質的な旧部室であり、朋花が個人的にもてなすために使用される部屋でもあるらしかった。
79 : ぷろでゅーしゃー   2021/07/13 18:18:52 ID:iAY7xC2U.Y
昴「え? 中庭での植え替え作業をずっと遠巻きに見ている生徒がいた?」

朋花「ええ、ですがどこの誰かまでは……。中庭内にいたのではなく、東側の2階の廊下、その窓から見下ろしてたようなので~。私の円の範囲すれすれの地点でしたから、はっきりと感知できたなかったんです~」

可憐「作業が行われたのは、土曜日のことでしたよね?」

朋花「そうですよ~。中央棟の2階には文化部の部室も多いので、もしかするとそこの誰かかもしれませんね~」

可憐「天空橋先輩としては、その人、何のために見ていたと思います?」

朋花「さあ……興味の対象として考えられるのは2つ。1つは中庭そのもの。それが草花なのか、中庭という空間に対する何か思い入れなのかは知りませんが」

昴「もう一つは?」
80 : 高木の所の飼い犬君   2021/07/13 18:19:06 ID:iAY7xC2U.Y
朋花「作業にあたっていた人、でしょう」

可憐「たとえば、天空橋先輩?」

朋花「ええ、あり得ないとは言えないですね~。ここまでお二人を案内してきた風花ちゃんも、実は入学して早くから私のことを暇さえあれば追いかけていた子でして~、それで話をしてみるうちに悪くない子だと判明したので今は次期生徒会役員候補として手伝ってもらっているんです~」

昴(というよりは、天空橋先輩の従者みたいだよな?)

可憐(本人が喜んで務めているからいいと思うわ)

朋花「……これぐらい、ですね~。あの日に関して気になることと言えば~。また何か思い出すことがあればお話しますね~」

可憐「ありがとうございます」

昴「確認だけど、じゃあ、べつに明らかに変なやり方、っていうかな?植え替え作業でおかしな点だったり作業をした人の中で変な人だったりはいなかったってことですよね?」

朋花「方法については問題ないかと~。もしおかしなことをその場でする人がいれば、私が黙って見逃すとでも?」

可憐「……ないでしょうね」
81 : Pたん   2021/07/13 18:19:19 ID:iAY7xC2U.Y
昴「ところで、さっきから気になっていたんだけれど……あそこに置いてあるバッグは天空橋先輩の?」

朋花「? そうですが、何か……?」

昴「いやさ、ほら、あの子豚のキーホルダー。部長も持っていたなーって思って」

可憐「そうなの?」

昴「うん。可愛いけど、見慣れないキャラクターだし、間違いないよ。えっと……たしか部長は友達といっしょに遠出したときのお土産だって」

朋花「ふふっ……そうですね~、あれは私と千鶴がお揃いで買ったものです~」

可憐「どうも二階堂先輩とは、生徒会執行部と写真部の部長という関係よりも深い間柄なようですね?」

朋花「家が近所の親友なんです~。思えば、かれこれ15年の付き合いになりますね~」

可憐(アケマスの頃からともちづってあったのね)

昴(そういう話じゃないと思う)
82 : お兄ちゃん   2021/07/13 18:19:38 ID:iAY7xC2U.Y
朋花「千鶴には生徒会の仕事も手伝ってもらっていましたし、なんだったら生徒会に誘ったこともあります~。でも、断られてしまいまして~」

昴「へえ、そういうの向いていそうなのに」

朋花「ええ、向いていると思います~。ですが『わたくしには写真部がありますから』ときっぱりと」

可憐「……写真部、あまり人がいないんだったわよね」

昴「うん。きちんと活動が続けられているのは、みんなをまとめてくれて、いろいろ企画とか提案してくれる部長のおかげなんだよなー。部長の1つ上の代は1人、2人しかいなくて2年の頃から千鶴先輩がほとんど部長みたいなものだったって聞いた」

朋花「永吉さんのことは千鶴から何度も話を聞いていましたよ~」

昴「そ、そうだったんだ」

朋花「図書室の寝台特急さんですよね~? 本当に可愛らしい寝顔でした~」

昴「えええっ!??!? あ、あの写真、消してくれたって話していたのに~!!」
83 : 5流プロデューサー   2021/07/13 18:19:50 ID:iAY7xC2U.Y
朋花「ふふふっ、千鶴は気に入った写真はそう簡単に消さない、いえ、消せない性分ですから~」

可憐「…………」

昴「えー、そうなのか。あれ?もしかして天空橋先輩もすやぷぅしているところを……」

朋花「はい?」

昴「な、なんでもないです!」

朋花「ふふっ、千鶴ったらいつ目を覚ましてくれるんでしょうね~。こんなに私を心配させるなんて、まったくひどい人です~。昔から気づけばいっしょにいるような仲なんです~。前世では共に一生を遂げでもしたのか、そうでなければ逆に反発しあうような関係でもあったのか、たとえば吸血鬼とそれを討つ使命を帯びた騎士……なんて考えてもしかたありませんけれど。千鶴は堂々としているか思えば、裏ではそうでもないないんですよ~?あの子は………」

にこにこと話す朋花であったが、すーっと涙が頬を伝った。それがわかって一番驚いているのは朋花自身であるらしく「あら」と彼女にしては間抜けな調子な声を出して、顔を手のひらで覆うのだった。
84 : P殿   2021/07/13 18:20:04 ID:iAY7xC2U.Y
昴「天空橋先輩……えっと…」

かける言葉が見つからなかった。

朋花「すみません、私としたことが、あの、これは見なかったことに……」

手で目をこすり二人に顔を向けようとする朋花であったが、その腫れつつある目元が痛ましい。

可憐「これ、よければ使ってください」

ハンカチを差し出す可憐。朋花は少しだけ躊躇し、しかしどうしようもなく溢れてくる涙に負けて、可憐に礼を言うと受け取った。
85 : EL変態   2021/07/13 18:20:23 ID:iAY7xC2U.Y
その後、落ち着いた朋花から2人はさらにいくつかの手がかりになりそうな情報を得る。
まず一つは中庭の植え替え作業、それが終わったときに記念撮影があり、その撮影係を務めたのが二階堂先輩であったこと。
作業そのものには最後の少しだけ携わっただけなようだ。その日は写真部の活動はなかったが、朋花との約束があって来ていたらしい。
二つ目、生徒会に保管された資料(過去の生徒会誌)によれば旧棟は今から何年か前に解体の話があがったようだが取り止めになったのだとか。
ただ、朋花曰くその詳細が記された書類が生徒会にないのはいいにしても、教師側に旧棟解体について確認をとっても、事実関係がよくわからないだという。
つまり、なぜ解体が取り止めになったのか、工事費用面以外で積極的に現状維持させる理由……そういった部分をはっきりと知る人間がいない。
細かい情報を総合すると、意図的に旧校舎を保存しようとしているのではないか――――そんな推測すらあった。
隠しているのか、知る人が退職しているのか…それはわからない。生徒会側として朋花が知っているのは、その旧棟解体について生徒として最大限に関わった役員がいた形跡があるが、どうやら解任されているみたいだった。
あくまで形式的なものであるから、もしかすると自主的なものかもしれないとも朋花は話してくれる。


可憐質は朋花から別れ際に「ここだけの話なのですが、」と、倒れている千鶴を最初に発見した職員のことを教えてもらった。
彼女に会いに職員室に行くことにする2人。
その職員はなんとぉ!あの「ながよしすばるが妹なのずるいだろ大学」の卒業生らしいのだが――――?

第4話につづく
86 : ダーリン   2021/07/13 18:26:57 ID:iAY7xC2U.Y
情報整理
(a)嵐の前の中庭での作業について
1.文化部の部室が並ぶ2階あたりから中庭の様子をうかがう人物の気配があった
2.千鶴は作業そのものには参加していないが作業後の記念写真を撮影している
3.中庭内で露骨に不審な動きをしていた人物はいないと思われる

(b)旧棟と学園
1.何年か前に解体の話があがったものの、詳細を知る人間がほとんどいないまま、解体せずに現在に至る
2.旧棟の解体に賛成あるいは反対のどちらかで大きく関わったと思われる生徒会役員が過去にいるが、彼女は役員を解任されている
87 : Pサマ   2021/07/13 18:31:49 ID:iAY7xC2U.Y
最後の最後でながいも大学を出しましたが76.5%ギャグなので、次回には出身大学の設定はなくなっていると思います……ご容赦ください

第4話のあらすじ投下は早ければ明日にでも
皆様のご意見・ご想像・ご要望募集中です
ちなみに第4話では冒頭にあれこれと補完すべき情報の提示をしておこうかなと

あと、正直、まだ事件解決の形は決まっていないです
ほんとに安価に投げるかもって今のところ思っています
何卒最後までお付き合いください!
88 : 5流プロデューサー   2021/07/14 07:10:44 ID:pW9DCri6GQ
おはようございます
第4話あらすじ投下していきます
89 : Pサマ   2021/07/14 07:11:06 ID:pW9DCri6GQ
第4話 あらすじ

旧棟での千鶴転落事故・事件の第一発見者である職員のもとへと行くことにした可憐たち。
可憐は「その前に昴に共有しておきたいことがあるわ」と言う。


昴「共有しておきたいこと?あっ、もしかして昼休みにしていたっていう調べ物?」

可憐「そうよ。よく覚えていたわね。よしよしながよし」

昴「こ、こらっ、急に頭をわしゃわしゃするなって!」

可憐「えへへ……、じゃなくて、こほん。中庭での怪現象について、確認しておきたいことがあったの」

昴「というと?」
90 : ごしゅPさま   2021/07/14 07:11:17 ID:pW9DCri6GQ
可憐「昴はあれがどういった立場にある人間の仕業だと考えている?まさか噂どおりに、地中からチュパカブラが這い出たなんて信じていないでしょうね?」

昴「信じていないって。……どういった立場って、えっと、学園とは何の関係もない侵入者なのか内部の人間なのかってところからか?」

可憐「どっちだと思う?」

昴「そりゃ、内部の人間じゃないかな。ここまで調査で何か中庭には秘密がありそうだし」

可憐「そうね。そもそも中庭という空間を考えれば、やはり外部の人間が、ってことはなさそうなのよね」

昴「それはあれ、昼間でも夜中でもあんなところに外部の人間が長いことはいられないって話?」

可憐「そういうこと。昼休みに、学園の防犯上のセキュリティ面について軽く調べてきたの。その手の管理や警備体制について詳しそうな先生掴まえてね」
91 : レジェンド変態   2021/07/14 07:11:31 ID:pW9DCri6GQ
昴「よく教えてもらえたなぁ」

可憐「一から十までってわけにはいかなったわよ。それに、まぁ、ちょっと脅迫めいた訊ね方になったかも」

昴「え?」

可憐「知っていることを話さないと、学園の安全管理に問題があるとして、中庭での出来事を含め経営側やマスコミにいろいろ話しちゃいますよ♪って。幸い、私が近頃噂の転校生でおかしなやつだって認識されていたから冗談じゃないだろうって受け取って、教えてくれたわ」

昴「それ、幸いか……?」

可憐「ということで、防犯カメラや夜間のレーザーセンサーのおおよその配置からして、中庭での一件は内部の人間による犯行だと判断したわ。外部からの人間だと何の記録もされずには無理がある。ま、内部の人間だからこそ、学園側は警察を呼ぶまではしなかったんでしょうね、犯人がすぐわかると予想していたのかも。それとも、大事になんてしたくなかったっていうほうが適切かな」

昴「なぁ、内部の人間にしても夜中にこっそり入ったわけじゃないのか?」

可憐「ええ、現実的なのは『帰らなかった』っていう方法よ。どこか中庭に近い場所に身を潜めて、作業後もやり過して、何食わぬ顔で翌日に『登校』していたのではないかしら。……シャワーなんて浴びていないだろうから臭そうね。私がいれば土の匂いをたどってわかったかも、なんてね」
92 : プロデューサーはん   2021/07/14 07:11:51 ID:pW9DCri6GQ
昴「なあ、だとしたら、あの日帰らなかった生徒がわかれば……」

可憐「無理でしょうね。たとえば生徒用玄関にカメラがあったとする。とても高性能な。でも、一旦そこから出て別のルートからどの棟内に入ることも可能よね、1階の窓からとか。あるいは一軒一軒保護者にでも確認をとっていく?あの日、お子さんはお家にちゃんと帰りましたかー?って。ふふっ、それはそれで現実的じゃないわ。仮に怪現象発生が今日だったとしてもね。家庭によっては午後6時あたりから翌朝午前6時ぐらいまでなら顔を合わさない家族だってあり得るし、なんだったら一人暮らしの子だっているにはいるでしょうし。他にもいくらでも細工できそうよね」

昴「そ、そうだな。ってことは、真相を突き止めるにはこれまでどおり『何か目的があってなされたこと』だって前提のうえで、そうする理由を持つ人間を探すってことだよな?」

可憐「そう。既に発生から日が経っていて、現場も復元されているから物的証拠を突きつけるのは無理でも、犯人と呼べる人がいるならたどり着かないといけない」

昴「その人物が部長と、そして部長の事故と何か関係があるかもしれない、からか」

可憐「そしてこれまでの調査でわかりつつあるのは、学園の歴史にも何か関係しているってことよね。はい、じゃぁ、長い前置き終わり。いくわよ、職員室」

昴「ああ!」
93 : プロデューサーさん   2021/07/14 07:12:03 ID:pW9DCri6GQ
職員室へと行き、朋花からの情報で得た人物とコンタクトをとろうとする2人。
しかし、【A】は多忙な人物であるらしく、またも日を改めたほうがよさそうだった。
降りしきる雨の中、可憐はバスで、昴はレインコートを着込んで自転車で帰宅した……。

帰宅後、シャワーを浴び終えた昴は【B】からメールがきていることに気づく。
【B】は写真部の数少ない後輩で、千鶴が旧棟で発見されるその前日も部室にいた。対して昴はその日、兄からの頼みで用事があったので早々に帰宅している。

「思い出したことがあるんです。二階堂部長が話していたことで」

【B】のメールはそう始まっていた。慌てていたのか、文章にはところどころ誤字脱字があった。
内容としては【C】というものだった。

翌日 雨は激しさを増していた。
可憐はいつもより一本早いバスで到着した。いわゆる朝練のある運動部などが利用する便だ。調べておきたいことがある。
教室へ向かう途中で可憐は【ID判定】に声をかけられたのだが―――?
94 : プロデューサー様   2021/07/14 07:12:12 ID:pW9DCri6GQ
※【A】第一発見者である職員とは?18歳以上の劇場アイドルの中から。原則多数決。何の教科や仕事を担当しているかも合わせて書いていただくと助かります。
※【B】写真部の後輩とは?17歳以下の劇場アイドルの中から。こちらも原則多数決。
※【C】後輩が千鶴転落の前日に、千鶴から聞いた話とは? ずばりそのまま「明日、○○から旧棟に呼び出されていますの」みたいなのは無しで
※【ID判定】雨降りの早朝、可憐に声をかけた人物 可憐と昴以外なら登場済キャラでも判定採用 どういう展開になるかは未定
※清書時に安価をもとに加筆して、物語を大きく動かすつもり。人物安価が今回多いですが、もしかするとこの中に……いえ、まだわかりませんけど。
※昴のシャワーシーンはキャストのみなさんで美味しくいただきました

レスの有効期限は7/16 01:59:59まで
ご協力お願いします!
95 : ぷろでゅーしゃー   2021/07/14 17:16:10 ID:bLjA777OIU
A 律子(化学)
B 星梨花
C 最近とても忙しく疲れている(もしかしたら写真部以外のどこかで活動をしていたのかもしれない、単純に疲れていて転落したということも考えられるが…)
96 : 高木の所の飼い犬君   2021/07/14 18:31:58 ID:KBkLhMMpTA
A まつり(魔法部顧問)
B 紗代子
C 図書室の寝台特急新作ですわ!(写メ)
97 : そなた   2021/07/14 19:43:19 ID:Ez.b6QMiAY
Aこのみ
B響
C面白い(興味深い)写真がいくつか撮れたので、現像して調べようと思っている
98 : そなた   2021/07/15 19:04:01 ID:yhaSHyYWU2
ageついでに判定処理

>>95 bLjA777OIU→b=如月千早

雨降りの早朝に可憐に声をかけたのは千早ということで
生徒会の一員ぐらいのポジションにしとこうかなー

引き続きレス募集中です!
99 : プロデューサーさん   2021/07/15 19:30:43 ID:gFa3pK5iZM
A:まつり(文芸部顧問、生徒たちからの悩み相談をよく受け持っていて、ついた愛称がまほー使い)
B:星梨花
C:>>97、どんなのかと聞かれて「珍しい娘が来てくれましたの」と答えた(誰かはお預けを食わされたまま)

それはそれとして、昴のシャワーシーンは残っていないのでしょうか?
100 : 兄ちゃん   2021/07/16 09:24:40 ID:d94rpC7lq6
レスありがとうございます
第4話投下していきます

>>99
あまり詳しくないのですが、現実だとドラマでけっこうローティーンのシャワーシーンって流すものなんですかね
昴は15歳だからローティーンといっていいか微妙な所恵美ですけど

101 : 箱デューサー   2021/07/16 09:24:53 ID:d94rpC7lq6
第4話
朋花から得た情報をもとに、旧棟の件で第一発見者である徳川先生を訪ねることにする可憐と昴。
しかし彼女はスペースチュパカブラの残党狩りだかがあるそうで、会うことができなかった。
かしこまった場を除けば、自身を「まつり先生」と生徒に呼ばせている若い美人教師で、朋花の話によれば文芸部顧問であるだけではなく旧棟の資料室(旧図書室)の管理も担っている。
生徒の相談にはよく乗りつつ、指導が必要なときはしっかりとする。一部からは内巻きの魔女と畏れられもしているのだとか。

日を改めることにして解散したふたり。
帰宅した昴に、写真部の後輩である箱崎星梨花からメールがくる。
転落以前に千鶴が、興味深い写真が撮れたと話していたのを思い出したのだという。
詳細を訊くと「秘密ですわ。……まさかあの方が、……なんて、ふふっ…いえ、なんでもないですわ」などと誤魔化されてわからなかったそうである。
他に何か覚えていないかと昴が星梨花にうかがう。
102 : プロデューサー   2021/07/16 09:25:06 ID:d94rpC7lq6
星梨花「それとはべつの話だとは思いますが、『図書室の寝台特急の新作が撮れましたの。今度、星梨花に見せてあげますわ!』って。昴さん、何のことだかわかりますか?」

昴「へっ?! い、いや、なんだろうな。さっぱり見当がつかないよ」

星梨花「うーん……。図書室に列車が走っていたなんて、私、初めて知りました!」

昴「え、あっ、そうだなー、びっくりだよなー」

星梨花「夢色トレインってことですね♪」

昴「発車オーライ!胸に」

星梨花「ドキドキが響けば 心拍音チューニング」

すばせり「出発ですっ!(ですっ!)」
103 : P君   2021/07/16 09:25:21 ID:d94rpC7lq6
翌朝、可憐は激しい雨の降る中、バスを降りた。
いつもより早い便。朝練習のある運動部が主に利用する便だ。
調べておきたいことがある。今のうちに。行こう、旧棟へ。
人目を避けるように、しかし可憐らしくエレガントに校内を歩いていると、不意に声をかけられる。
聞いたことのない声だ。
蒼い―――可憐は声をかけたきた彼女が纏う香りをそう表現する。それは単に色というよりもずっと深い意味を持っている、そんな気がした。
104 : あなた様   2021/07/16 09:25:40 ID:d94rpC7lq6
??「篠宮可憐さんよね?」

可憐「あなたは……?」

千早「私は3年生の如月千早。生徒会総務担当」

可憐「そう。如月先輩、私に何か用ですか?」

千早「用ってほどじゃないけれど……どこへ向かっているのかと思って。貴女は結局、どこの部活にも入らずじまい、こんな朝早くにここをうろついてるのは妙だわ」

可憐「私が何かしでかすとでも?」

千早「さあ。でも悪いことは言わないわ、下手に学園について嗅ぎまわるのはよしなさい」

可憐「…………。どういう意味なのか、捉えかねます」

千早「忠告はしたわ。それじゃ」

可憐「待って。何か知っているのなら、教えてくれません?たとえば――――のこととか」

千早「? そんなことを聞いてどうするの?」

可憐「ふふっ……もしかしたら謎をひとつ解く手がかりになるかもしれませんから」

千早「おかしな子。黙っていれば茉莉花のように綺麗で香り高いというのに」
105 : プロデューサーちゃん   2021/07/16 09:25:52 ID:d94rpC7lq6
某日 某所

まつり「やっと見つけた……。やっぱりあった。これがあればきっと―――――」



第5話へつづく
106 : レジェンド変態   2021/07/16 09:27:52 ID:d94rpC7lq6
第4話は読んでのとおり助走回になりました
それっぽいやりとり・シーン混ぜていますが、まだ真相どうするかなんて決めていないです!

第5話のあらすじは早ければ今夜 遅くとも明日の夜には投下するつもりです
最後までお付き合いください!
107 : ぷろでゅーしゃー   2021/07/16 09:39:04 ID:d94rpC7lq6
情報の整理
(1)
・中庭での怪現象は学園内部の人間の犯行でほぼ間違いない
・当日の目撃証言や生徒たちの行動を今になって調査するのは正確性からいって不可能に近い
・怪現象の目的(=それによって犯人が得たもの・結果)を推理することで犯人を絞るしかなさそう

(2)
・千鶴は何か「興味深い」写真を撮影していた それは「誰か」に関わるみたいだ
・千鶴は図書室の寝台特急の新作の撮影に成功している

(3)
・徳川まつりは、いつかどこかで何かを見つけた(探し当てた?)
・如月千早から可憐は何かを訊いたが、それは千早からしたら事件と直接関係があるとは思えないことらしい
・星梨花が登場したということは、ひょっとするとトイレピコプラも事件に関係してくる…?
108 : Pくん   2021/07/16 17:28:07 ID:77goDDX00E
千鶴「あの、トイレピコプラであんな目に合ったなどとは、わたくし納得がいかないのですが」
109 : そこの人   2021/07/17 21:57:07 ID:Flo382C4uU
第5話投下していきます!
110 : 彦デューサー   2021/07/17 21:57:11 ID:Flo382C4uU
第5話投下していきます!
111 : 我が下僕   2021/07/17 21:57:28 ID:Flo382C4uU
第5話 あらすじ
登校してきた昴は、可憐の席に荷物はあるものの、本人の姿がないことを不思議がった。
またふらりとどこか1人で出かけて調べ物をしているのだろうか。2人で調査をし始めたはいいが、まだ何も解決していない。
転校生に振り回されっぱなしというのも面白くない。ここは自分でも何か手がかりを得てあっと言わせてやろう―――そんなふうに昴が考えているところに歩が登校してきた。
昴はさっそく歩に、あの嵐の前の中庭での草花の植え替え作業を手伝った人について詳しく訊ねてみる。朋花以外にも話を聞けば、何か明らかになるかもしれない。
歩はそれならと、当日、歩以外に手伝いをしていた園芸部員を思い出す限り教えてくれた。
それをメモした昴は可憐には黙って、朝のうちに話を聞きに向かうのだった。全員は無理だろうから、授業と授業の間の小休憩時間もうまく使わないといけないな……。
112 : 仕掛け人さま   2021/07/17 21:57:43 ID:Flo382C4uU
昼休み

可憐「ねぇ、昴? どうしたの?顔色が悪いわよ」

昴「えっ。いや……そんなことないって。それよりさ、ちょっと今日は教室から離れてお弁当食べないか」

可憐「……それはつまり、私と2人きりで話したいことがあるというわけかしら」

昴「ううん、実はそうじゃなくて――――なぁ、歩。あのさ、いっしょにお昼どうかな」

歩「へ?いいの?ここ何日かはすばかれ空間を作っていたのに、そんな急なお誘いなんて」

昴「なんだその空間!? いやさ、まぁ、確認したいことがあって」

歩「確認したいこと?」

可憐「………」

昴「ついてきてくれるか」

歩「あ、ああ」
113 : プロデューサー   2021/07/17 21:57:59 ID:Flo382C4uU
廊下に出ると昼休み特有の喧騒に混じって雨音がひっきりなしにする。
じめじめとした空気の中、昴は先頭に立って歩く。可憐と歩はこの時季は髪の手入れが……と、たわいない話をしていた。
3人は写真部の部室に入る。千鶴がああいう状態の今、部室の鍵は昴が管理していた。
沈黙。いつの間にか重い空気が漂っていた。湿度のせいではない。

可憐「昴、確認したいことって?」

それを振り払うように可憐が言う。「私、お腹が空いているわ。話があるならさっさと済ませましょう」と朗らかに。
が、その目は口調とは裏腹に何かを察したみたいだった。

昴「そうだ、確認なんだ。これは……推理じゃない」

自分自身に言い聞かせるように昴が言う。

昴「なぁ、歩。あの日の夜、どこにいたか覚えているか」

歩「あの日の夜?おいおい、どの夜のことだよ?おおっと、篠宮さん、勘違いしちゃダメだよ。アタシと昴はそんな熱い夜を過ごす仲じゃ、」
114 : プロデューサーくん   2021/07/17 21:58:13 ID:Flo382C4uU
昴「中庭での怪現象、それが起きた前夜のことだよ」

歩「!」

可憐「昴、それってまるで……」

歩「―――――アタシを疑っているのか?」

昴は歩の言葉に、首を小さく横に振る。「まさか」と。しかしその顔色はよくない。笑い飛ばせなどしない。

昴「ちょっと長くなるけど、最初から話してみていいかな。頭の整理がしたいんだよ。まだごちゃごちゃしているんだ」

2人に向けて昴は言う。可憐は「ええ、いいわよ」と返して、歩に「あなたは?」とあえて訊いた。
歩は「ああ、いいよ。話してみなよ」と平然と返す。より正確には少々、声を上ずらせての返事だった。
115 : そなた   2021/07/17 21:58:33 ID:Flo382C4uU
中庭での怪現象、つまり39もの穴が開けられていたってやつ。地中深くから亡者だかチュパカブラだかが這い出てきたなんて噂が広まったわけだけれど、もちろん、そんなのあり得ない。
篠宮さんとも話したけど、現実的な犯行としては誰か学園内部の人間が夜中まで学園に残って、そしてやり遂げたことのはずだ。そういう手間と実際の作業量を鑑みれば、単なる愉快犯ではないだろうな。
中庭で穴を掘ることで何か見つけようとした。そこまでして見つけなければ、掘り起こさないといけないものがあった。こう考えるのが自然だよ。
そこで篠宮さんといっしょに歩や天空橋先輩から話を聞いてさ、あの中庭に何かあったんじゃないかってのを調べはじめた。

怪しい人物の証言もあったし、学園の歴史に妙な部分もあった。
でも実際に中庭に何か、という話はないんだよな。中庭そのものについて知るために、今朝、歩から聞いて主に園芸部員に話を聞いて回った。
そうしたらさ、いくつか気になる点が出てきたんだ。
116 : 5流プロデューサー   2021/07/17 21:58:44 ID:Flo382C4uU
可憐「気になる点? 園芸部員たちとの話で?」

昴「うん。まず、これは前にも言ったとおり、というか元々は歩から聞いた話だけれど、中庭の手入れってのは普段、園芸部が行っているわけではないんだよ」

可憐「ええ、覚えているわ。たしか専門業者が定期的に、だったわよね。それとはべつに生徒会と園芸部が合同で何か作業するのはある種のアピール、この学園の看板の1つとも言える中庭に生徒が関わっていることを対外的に印象付けるもの……だったかしら」

昴「そう、そんな感じ。で、わかったことの1つとしては中庭はやっぱり特別だってこと」

可憐「……どういうこと?」

昴「素人の目から見ると、わからなかったんだけど、中庭の植物たちってざっくり言っちゃうと、綺麗に育てるのが大変なものばかりなんだってさ」

可憐「へぇ……」
117 : 師匠   2021/07/17 21:59:06 ID:Flo382C4uU
昴「だからこそ生徒に下手に管理させない。中庭の維持にはお金をかける」

可憐「含みのある言い方ね。あたかもお金をかけていない場所がある、そんなふうだわ」

ちらりと可憐は歩を見やる。歩は黙って聞いている。

昴「園芸部には温室が用意されているのは、行ったから知っているよな?」

可憐「ええ、思ったより小さなところよね。それとは別に、外に花壇はたくさんあるけど」

昴「元々はなかったんだよ。あの空間は、今の3年生よりも上の代の園芸部員が少しずつ作り上げてきたものなんだって」

可憐「手作りの武道館ならぬ庭園ってところ?」

昴「そういうこと。ただ……」

可憐「ただ?」

昴「嵐は容赦なく襲いかかる」

歩「……!」
118 : Pはん   2021/07/17 21:59:37 ID:Flo382C4uU
可憐「乙女ストーム……」

あゆすば「ちがう、そうじゃない」
119 : 5流プロデューサー   2021/07/17 22:00:03 ID:Flo382C4uU
昴「嵐がくれば、どんなに大切に育ててきた草花をも一夜にして台無しにしてしまうことがある。対策を講じようにも準備には時間と設備、ようするにお金がかかる」

歩「………」

昴「園芸部員たちは学園側に何度か訴えを起こしているんだってさ。中庭と同様に、学園内のすべての花壇、植物に関して充分な保護措置がとられるべきだって」

可憐「中庭は特別。その聖域外に咲く花は凡庸。嵐が来れば散るのが運命。それを快く思わない者は当然いる、ってことね」

昴「うん。ここだけの話、って言われたけど、あえて明かすよ。歩は知っているだろうから。去年の3年生で園芸部の部長も現体制を革新しようとした1人だったみたいなんだ。すなわち、園芸部が専門業者から必要な知識を学んだり、設備を頂戴したり……言い換えれば園芸部の地位向上さ。それは去年の内に確約された、はずだった」

可憐「はずだった?」

昴「現生徒会長が白紙に戻したんだってさ。他に予算をかけるべき事項があるとかないとかで」

可憐「ふうん……ここまでの昴の聞き込みをもとにすると、あの中庭をよく思っていない園芸部員がいてもおかしくない、そういうことよね?」

昴「………ああ」
120 : プロデューサー殿   2021/07/17 22:00:17 ID:Flo382C4uU
歩「それで?」

昴「え?」

歩「それでアタシを疑ったわけ?もしかして園芸部員みんなに聞いて回るの?あの夜、何していた?って。馬鹿馬鹿しいよ」

昴「……話はまだ終わっていないよ」

歩「―――っ」

可憐「つづけて、昴。あなたは中庭の穴が、何かを掘りだすためのものではなく、中庭という聖域を穢すためのものだという発想にたどり着いた。でも、たしかに園芸部に動機があるにしたって、舞浜歩その人を真っ先に疑う理由にはならないわよね」

昴「だから、訊いてみたんだよ。部員の中で、例の部長と親しかった人はいないか、中庭とそれ以外の花壇の処置について不満を露わにしている部員はいないか、そしてあの植え替え作業の前後で妙な行動をしていた人に心当たりはないかって」

歩「ずいぶん、ずけずけと訊くんだね」
121 : 師匠   2021/07/17 22:00:35 ID:Flo382C4uU
昴「友達が犯人の可能性ってのをゼロにしたかったんだよ」

歩「!」

昴「でも……。聞けば聞くほどさ………歩、お前が本気で植物たちを愛しているってのがわかったよ。だからこそ感じている不平等ってのも」

歩「………」

昴「そういえば、って思い出した子がいたんだ。あの怪現象が明るみになった日、温室近くで歩が土だらけのスコップを片づけていたって。中庭とは関係なしに土仕事をしていたんだろうって思ったみたいだけどな」

歩「………」

昴「それに例の部長を最も敬慕していたのは歩、お前なんだってな。姉妹みたいに仲が良かったって」

歩「………」

昴「そして、最後に。あの嵐の前の植え替え作業。歩と同じく手伝った部員に聞いたよ。そんなに土を掘り返すことはなかったんだって」

歩「……それがどうしたんだよ」

可憐「昴は教えてくれたわ。中庭にタイムカプセルなんか埋まっていなかった。その話をあなたに聞いたって」

歩「え?」

昴「あの日の作業で、そんなに中庭一帯を掘り返すことはなかった。でも、歩は……篠宮さんが転校してくる前日か前々日ぐらいだったよな、中庭についてこっちから話をふったときに、自信ありげに答えたじゃんか。『中庭にはめぼしいものなんて何も埋まっていなかったよ』って。すぐに『植え替え作業のときには、だけどな。あのあと、誰か何か埋めたのかもな。それで今回の怪現象が……』って付け加えから納得しちゃった。今思えば追究しておくべきだったんだな」

歩「………」

昴「そうすれば、今、こんなところで『確認』しないで済んだかもしれない」
122 : プロデューサーはん   2021/07/17 22:00:51 ID:Flo382C4uU
昴「――――歩、お前なのか? 中庭にあれだけ穴を掘ったのは?」

そう昴が言い放った瞬間、稲光が走り、すぐさま雷鳴が轟く。近くに落ちたようだ。
きゃあっと叫んで可憐が昴に抱き着く。うわぁっと昴がバランスを崩した。
どんがらがっしゃーん! 部室の床に転げるふたり。
歩はそれをみて「ははは……」と力なく笑った。




歩「ああ……アタシだよ、アタシがやったんだ」
123 : Pさぁん   2021/07/17 22:01:12 ID:Flo382C4uU
その後、可憐と昴は歩から事情を、彼女とかつての園芸部の部長との日々や現生徒会長との確執について聞いた。
おかげで3人は午後の授業には出られなかった。雨は止むことなしに振り続けた。歩の嗚咽はその音にかき消される。

そしてそのまま放課後を迎えた。
124 : P君   2021/07/17 22:01:29 ID:Flo382C4uU
昴たちはびゅーりほー!な、まつり先生に話を聞くために職員室へ向かっていた。今日はお手すきであればいいのだが。

可憐「整理するわね」

道中、可憐が言う。昴はうなずく。

可憐「中庭での怪現象、それは園芸部員の犯行だった。動機は中庭の花々とそこ以外に咲く花々での不平等、差別、そして果たされなかった約束、すなわち敬慕する先輩が目指した状況改善案が反故となったこと。こんな感じかしら」

昴「………うん」

可憐「昴、そんなに表情を曇らせてばかりじゃいけないわ。あなたは私よりずっと頼もしい探偵ぶりを発揮したのよ。誇りなさい」

昴「そんなの無理だよ。……部長のことだってあるし」

可憐「そう、それよ」

悔しそうに可憐は。
125 : そなた   2021/07/17 22:01:43 ID:Flo382C4uU
可憐「私が勝手に思い描いていた筋書きはこうだった。『学園の歴史の裏側を知った誰かがその歴史において重要な何かが中庭に埋められているのを知り、それを掘り当てようとした。それは叶ったか、あるいは叶わなかったが、後日、何らかの形でその人物に写真部部長・二階堂千鶴は接触し、そして……突き落とされた』」

昴「現実は推理小説のようにはできていないってことだろ」

可憐「そう。二階堂先輩が怪現象が起きたあとにそわそわしていたのは、別件だったってことになるわ。いえ、そうとも決まってはいないわね。二階堂先輩があの怪現象をどう捉えていたかはわからないもの」

昴「部長が自分を含め、他の部員たちや天空橋先輩の知らないところで何か厄介事に関わっていたとしたら、あの怪現象を別なふうに解釈する可能性もあるってことか」

可憐「そういうこと。実態はわからないけど」

昴「なぁ、そういえば―――」

星梨花から聞いたことを昴は可憐に伝える。

可憐「興味深い写真、ね……」
126 : 3流プロデューサー   2021/07/17 22:01:53 ID:Flo382C4uU
昴「ところで、今朝、篠宮さんはどこに行っていたんだ?」

可憐「旧棟よ。その前に蒼い人にも会ったけど」

昴「??? 旧棟で何をしていたんだ?」

可憐「【A】」
127 : プロデューサーさん   2021/07/17 22:02:06 ID:Flo382C4uU

可憐たちが職員室に入ると、「めっ」という声がした。
直後、爆発音のようなものが聞こえたが、可憐たち以外の人間は気にも留めていないようだった。
職員室では日常茶飯事なのだろうか。
おそるおそる昴たちはまつり先生のもとへと行く。

まつり「よくきたのです」
可憐「デンジャラスな香り……!」
まつり「ほ?……ほ?可憐ちゃん、そう警戒しないでいいのですよ?」

まつり先生は可憐のこと、そして昴のことも知っているようだった。

まつり「千鶴ちゃんの大事な後輩なのですよね?」

優しい眼差しでそう言う。
128 : プロデューサー様   2021/07/17 22:02:19 ID:Flo382C4uU
昴「実は……そのことで話を聞きにきたんです」

そうして昴はまつりが第一発見者であることを朋花から聞いたことを打ち明け、そのときの様子を知りたいを話した。まつりは「うーん……でもこういうのは下手に話してはいけないのです……」と悩んでいたが昴の「お願い、まつり先生」という押しに負けて話し始めた。


まつり「気になることがあるにはあるのです。それは【B】」

可憐「えっ、それっていったい――――?」


清書につづく
129 : Pさぁん   2021/07/17 22:02:44 ID:Flo382C4uU
【A】可憐が早朝の旧棟で調べていたこととは?
【B】まつりが事故/事件現場で気になったこととは?
【C】次回、可憐たちが調査へ向かう場所/訪ねる人物とは?
【ID判定】最初についたスレ主以外のレスIDにて判定 次回、登場するゲストアイドル(端役) 登場済キャラの場合、ずらして判定

レスの有効期限は7/19 12:59:59まで
何卒ご協力お願いします!
130 : ご主人様   2021/07/17 22:03:05 ID:Flo382C4uU
※勢いで解決してしまいました、中庭の件。細かな整合性は問われても答えられないかも
※朋花が気配を察した、中庭を見ていた人物は次回に判明予定 千鶴の件と絡めないのであればあの人しかいませんよね
※安価しだいでは、中庭も(歩たち園芸部の知る情報とは別に)まだ事件に関係する可能性があります
※清書時にはぐっと短くまとめる予定
※歩が自分の行為を学園側に告白するのか否かを含め、歩の今後は各自脳内で(明るい方向に)補完しておいてください。と言いつつ、エピローグ部分で触れたいですね

最後までお付き合いください!
131 : あなた様   2021/07/17 23:06:05 ID:LftpwQ.6jE
Aそもそも千鶴が旧棟で何をしていたのか足跡と残り香から調べてた(匂いが混ざると判別できないから誰も登校していないような早朝に単独行動が必要だった)
Bまつりが千鶴を発見した時、旧棟は内側から施錠されていた(まつり自身はうっかり鍵を忘れて「妖精さん」に「マスターキー」を持ってきてもらったらしい)
C千鶴の病室
132 : バカP   2021/07/18 18:28:51 ID:n8SyaTn.ZE
ageついでに次回ゲストアイドルの判定処理

>>131 LftpwQ.6jE →L = 二階堂千鶴
登場済なので2番目で判定→f = 菊地真

次回ゲスト(端役?)は真に決定
133 : プロデューサー   2021/07/18 19:32:32 ID:4jpO1VrDoM
A旧棟の空き教室が部活以外で使われた形跡があるかどうか
B千鶴は外靴のまま倒れていた
C如月千早
134 : プロデューサーちゃん   2021/07/18 21:16:20 ID:Xbr61q1GR2
A:自分が調べる事で、どんな輩が動き出すか確かめたかった
B:千鶴が握り締めたままの拳の中の紙片(何故かまつりが回収済み)
C:旧棟の資料室(そして訪ねてくるであろう妨害者)

やはり歩にもう少し出番が欲しいです(出来れば昴を助ける役どころで)
135 : ハニー   2021/07/19 22:46:49 ID:GN6Ougsqgg
レスありがとうございます!
遅くなりましたが、第5話投下していきます

>>134
歩の出番、約束はできませんが前向きに検討しますね

136 : P殿   2021/07/19 22:47:32 ID:GN6Ougsqgg
第5話
怪現象、すなわち穴だらけになった中庭。それは学園内部の人間が夜まで身を潜めて成し遂げたものだと推測される。
そうであるなら単なる愉快犯ではなく、目的があるはずだ。最も自然な解釈のひとつは、そこまでして掘り当てたい何かが中庭にはある(あった)というもの。
昴は改めて中庭について調査し始めた。嵐の前の植え替え作業を手伝った園芸部員たちに話を聞いて回るが、浮かんできたのは意外な事実だった。
昼休み、昴は可憐と歩を誘って写真部の部室を訪れる。そこで昴は調査結果にもとづいて、歩に「確認」を行う。果たして中庭での一件は歩の犯行だった。
千鶴の転落事故/事件と中庭での怪現象のつながりが実質上断たれたことで、可憐は彼女の描いていた推理が外れたことを悔しがる。一方で、真実にたどり着いた昴のことを褒めもするのだった。

放課後、可憐と昴は旧棟での倒れていた千鶴の第一発見者であるまつり先生から話を聞くため職員室へと向かう。
道中、昴が、今朝に可憐が行っていた捜査について訊ねると「旧棟の空き教室が部活以外で使われた形跡があるかどうか、探っていたの」と返された。
137 : プロデューサーちゃん   2021/07/19 22:47:48 ID:GN6Ougsqgg
昴「というと?」

可憐「早い話、隠し部屋がないかってことよ」

昴「隠し部屋だって?」

可憐「ええ。秘密の部屋と言い換えてもいいわよ。つまり、旧棟を解体せずに維持する理由、何か特別な部屋の存在を疑っているわけなの」

昴「それで成果は?」

可憐「空振り。きちんと施錠されている部屋はこの前に行った和室と旧図書室で、あとは自由に出入りできたけど、まったく空の教室と倉庫と化した教室があるってだけみたい」

昴「じゃあ、旧棟に秘密の部屋があるっていう線はないとみていいのか」

可憐「半々かしらね。一番怪しい旧図書室には入っていないし。大がかりな仕掛けで、そうね、たとえば地下室への階段が隠されでもしている可能性はまだ消えていないわ」
138 : Pくん   2021/07/19 22:48:00 ID:GN6Ougsqgg
いずれにせよ旧棟には何かまだ秘密がある―――ふたりの見解が一致したところで職員室へと到着する。
まつりに当日の現場で気になったことを訊くと、千鶴が紙片を握りしめていたことが明らかになる。
そして、救急隊が来る前にまつりはその紙片を抜き取ったのを白状する。
可憐たちがその紙片の詳細を問いただそうとしたそのとき、職員室にいた教師の1人が「本当ですか!?」と大きな声をあげた。
教室は誰かと電話しているふうだった。そのただならぬ声の調子に、可憐たちを含め、周囲の人間はつい視線を向ける。

「ほ、本当に二階堂が――――!?」

顔を見合わせる昴たち。
どうやら物語はここにきてさらなる展開を見せるようだったが―――?

第6話につづく……!
139 : ダーリン   2021/07/19 22:49:19 ID:GN6Ougsqgg
第6話のあらすじ投下は、早ければ明日を予定
もしかすると明後日になるかもです

ご意見・ご想像等々募集しています!
いよいよクライマックス!

何卒最後までお付き合いください
140 : お兄ちゃん   2021/07/20 18:53:45 ID:1Uxatbc876
更新、明日以降になります
141 : P様   2021/07/21 21:24:22 ID:bEnmSjb1gs
第6話下書き投下していきます
ご協力お願いします
142 : お兄ちゃん   2021/07/21 21:24:45 ID:bEnmSjb1gs
第6話 前編 

二階堂千鶴が目を覚ました。
そのニュースはすぐに学園内へと広まった。
いたずらに人が押し寄せても困るだけ、という理由で入院以来、積極的には明かされることのなかった病室の正確な場所は、相変わらず一部の人間しか知らなかった。
昴にしても千鶴が入院した直後に、写真部の後輩として一度訪れたことがあるだけだった。そのときは目を覚ますことのない千鶴の前で、ただ行き場のない気持ち、やるせない思いでいっぱいとなったのだった。
可憐と昴の両名が千鶴と話す機会を得たのは、その覚醒から二日経っての放課後のことであった。千鶴の親友であり、家族を除けば一番に覚醒した千鶴のもとへと駆けつけた朋花のお膳立てもあった。

「昴、よく来てくれましたわね」

入院前と比べて痩せた千鶴、その弱々しくもたしかな微笑みをまっすぐ向けられ、昴は涙を抑えられなかった。

「あなたは……? 昴のお友達かしら?はじめましてですわよね?」

人の顔と名前を記憶するのが特技である千鶴は初対面であることを確信して、可憐にそう訊ねた。
可憐は「【A】」と応じる。(以下、千鶴の反応加筆)
143 : ごしゅPさま   2021/07/21 21:25:06 ID:bEnmSjb1gs
昴が落ち着きを取り戻した後、可憐は本題に移ることにする。
旧棟での一件――――第一に、あれはまったくの事故であるのかそれとも……?
千鶴はゆっくりと病室内を見まわした。6人部屋である一般の病室に移っていたが、幸い、今の時間は千鶴たちしかいない。
こほん、と昴が知る限りひどく遠慮がちに咳払いをしたかと思うと、千鶴は「実は……」と話し始める。


可憐「よく覚えていない?」

千鶴「ええ、こればかりは自分でも情けなく思いますわ」

昴「じゃあ、旧棟にいた理由、目的ってのもわかんないのか?」

千鶴「おぼろげに思い出されるのは……そう、誰かに話があるか何かで呼び出されたような、いえ、もしかすると呼び出したのだったかしら」

可憐「写真のことは?」

千鶴「えっ?」

可憐「昴が、後輩である箱崎星梨花から聞いたと話してくれました。二階堂先輩は、旧棟での一件の前に『興味深い写真』を撮って、所持していたと」

千鶴「……………………」
144 : Pサマ   2021/07/21 21:25:19 ID:bEnmSjb1gs
昴「思い出せない?」

千鶴「いえ、覚えていますわ。なるほど、では、もしかすると……けれど、そうだとしたら………」

可憐「二階堂先輩?」

千鶴「昴、それに篠宮さん。申し訳ありませんが、これ以上、わたくしの口から話すことはありませんわ」

昴「へ?」

可憐「ずいぶんと唐突な拒絶ですね」
145 : der変態   2021/07/21 21:25:38 ID:bEnmSjb1gs
可憐「巻き込みたくないからですか? でも、次は目覚めることのない眠りにつかされるかもしれませんよ?」

千鶴「……!」

昴「なぁ、部長。教えてくれよ。何か思い出したんだろ? 握っていた【B】と書かれた紙片も関係あるんじゃないか?」

千鶴「わたくしが、握っていた紙片……?」

可憐「ええ、第一発見者である徳川先生が見つけて回収したようです」

千鶴「……ダメ、思い出せませんわ。それが意味するところは重要だ、そう直感がありますのに、その理由がわかりませんの」

可憐「それは困りましたね……とりあえず思い出した部分を話してくれませんか?」
146 : プロデューサーはん   2021/07/21 21:25:55 ID:bEnmSjb1gs
千鶴「どうしてもですの?」

昴「うん。部長がまた危険な目に合わないように、謎を解きたいんだよ」

千鶴「……きっと、あなたたちが思い描いているようなものではありませんわよ」

可憐「それは実際に聞いてから確認します」

千鶴「……………」

昴「部長、お願い!」
147 : そこの人   2021/07/21 21:26:25 ID:bEnmSjb1gs
千鶴「やれやれ、そんな顔をして……昴ったら……カメラを今持っていないことが悔やまれますわね」

可憐「ふふっ、それには同意見です」

昴「えっ、え?」

千鶴「…………。旧棟には秘密がある。それは【C】というもの。わたくしはそれを誰かと共に確かめようと、あの日旧棟を訪れた、そうだった気がしますわ」

可憐「写真はその秘密が事実であることを裏付けるもの?」

千鶴「間接的に、ですけれど」

昴「なぁ、その人って――――」




??「こんにちはーーーっ!!!」
148 : ダーリン   2021/07/21 21:26:38 ID:bEnmSjb1gs
病室に入るなり、こちらへ挨拶をかましてきた少女を可憐たちは見る。
美少年といっても差支えない容貌ではあったが、その制服姿から可憐たちと同じ女学園の生徒であり、しかもリボンの色からすると千鶴と同じ3年生であるようだ。

千鶴「真? 意外ですわね、あなたが来るなんて」

真「やだなぁ、同じ乙女武闘部の一員として気に書けるのは当たり前じゃないか!」

可憐「乙女武闘部?」

昴「………部長、どういうこと?」

千鶴「どうしても、というから名前だけ貸しただけですわ。というか、部ではなくあくまで同好会どまりですわよね?朋花が聞いたら、怒りますわよ」
149 : 夏の変態大三角形   2021/07/21 21:26:48 ID:bEnmSjb1gs
真「ひえーっ、天空橋さんを怒らせるのは勘弁だなぁ。で、どう、元気?乙女力(おとめぢから)みなぎっている?」

千鶴「……ぼちぼちですわ」

真「うーん、まだ本調子じゃないみたいだね。わかった、ここはボクのまっこまこりん体操・零式で……」

千鶴「昴、篠宮さん、わたくしからはもう話せることはないわ。怪現象に付き合わされる前に、帰りなさいな」

可憐「怪現象と称される体操、気になるわね」

昴「篠宮さん……」

可憐「冗談よ。帰りましょう」
150 : ボス   2021/07/21 21:27:02 ID:bEnmSjb1gs
病院前、バス停にて可憐たち情報を整理する。
千鶴と共にいたと思われる人物を突き止めなければなるまい。

昴「そいつが部長を突き落したってことになるよな?」

可憐「単なる事故であるのなら、名乗りを上げてそう学園側に言うでしょう?救急車だって呼ぶはずよ」

昴「だよな……あのさ、それってつまり、部長を殺そうとしたってことなんだよな」

可憐「そうとも限らないわよ」

昴「え?」

可憐「例の日の旧棟で、その人物と二階堂先輩の間で諍いが起こった。そしてつい衝動的に、突き飛ばしてしまった、それが今の事態につながっている。こう考えると、必ずしもそこに殺意と呼べるほどの蓄積された負の感情があったかどうかはまだわからないわ」
151 : Pーさん   2021/07/21 21:27:19 ID:bEnmSjb1gs
昴「もしそうだとすると、罪悪感があっても、自分が犯人だと名乗り出る勇気も正義もなかったってことか……」

可憐「一方で、明確な殺意があった線も残っているわね。とすれば、二階堂先輩の口封じを完了させるために動くかもしれない」

昴「そんな……!」

可憐「ま、可能性を論じだしたらきりがないわね。二階堂先輩の交友関係を洗えば、自ずと対象人物は絞られてくるはずよ。あとはそうね、旧棟の歴史をより詳しく調べれば誰か今いる学園関係者に結びつくかもしれないわ」

昴「それで、辿り着いたときはどうするんだ?」

可憐「さあ……探偵は謎を解き、犯人を暴く。それから先は別の人間がやることだわ」

昴「……………」


明らかとなった旧棟の秘密。そして千鶴と共にいた人物の存在。
昴は不安を募らせながら、もう引き返せないことも知る。
解決が近いせいなのか、不謹慎ながらも愉しそうにする可憐を見て思うのは、この事件が終わったら彼女は自分から興味を失って、すーっと離れていってしまうのではないか、などという現時点で考えてもしかたのないことだった。
乗り込んだバス、雨に打たれる窓から望む景色は曖昧模糊としていた。
152 : der変態   2021/07/21 21:29:53 ID:bEnmSjb1gs
※【A】可憐の自己紹介 昴との関係を言うのもよし、千鶴にいきなり何か質問をぶつけるもよし 任せます
※【B】千鶴が握りしめていた紙片の正体(内容)
※【C】旧棟の秘密とは 今回の最重要安価 (ハードル高めなので、詳細設定は後編に持ち越すかも?)
※【ID判定】今回つくレスすべてに対して判定を行い、後編にて聞き込みを行う人物の選定。犯人候補といってもいいかと。判定に際しては既存キャラあり(千鶴・可憐・昴・歩を除く)
※中庭を見つめていた人物のことも忘れていないですよ

その他、最後を上手に締めくくるために、こうしたほうがいい、ああしたほうがいいっていうご意見あればレスお願いします。
実行できる保障はないですが。
レスの有効期限は7/23 12:59:59まで
最後までお付き合いください
153 : ぷろでゅーさー   2021/07/21 23:09:42 ID:0jKea.QTQ.
A昴の相棒です
B大財閥の都市再開発に関するお知らせ
C旧図書室の蔵書について
154 : プロデューサーさん   2021/07/22 00:22:23 ID:MLCwsH20Qc
A「いえ、以前お会いしたはずです」
155 : 魔法使いさん   2021/07/22 19:19:02 ID:ZRkfNEBUgM
ageておきます
もっとレスほしいなーってね
156 : P殿   2021/07/22 20:20:35 ID:cPUBhhSniI
A礼儀正しい自己紹介の後、昴に興味があってご一緒させてもらっている
B学園創立時に関する資料の在り処
C学校として以外にも別の用途で利用されていた
157 : 5流プロデューサー   2021/07/23 04:33:34 ID:bqhqKRnpE.
A:(昴の腕を引き寄せて)「パートナーをさせていただいております」
千鶴「⁉︎」
(千鶴を揺さぶろうとしての事だけど、当の可憐が意識してしまう)
B:Cについてのタレ込みの手紙(読む人が読めば差出人が分かるやつ)
C:中庭を重要視する(表沙汰に出来ない)理由

何気に今回のシリーズが一番難しい気がします……
158 : 仕掛け人さま   2021/07/23 21:49:18 ID:vPmGSX1UcU
レスありがとうございました!
清書は明日か、遅くとも明後日には投下できる予定です
(7月中には完結できそう)

ID判定:後編にて聞き込みを行う相手(4人)
>>153 0jKea.QTQ.→j=三浦あずさ

>>154 MLCwsH20Qc→M=馬場このみ

>>156 cPUBhhSniI→c=星井美希

>>157 bqhqKRnpE.→b=如月千早(登場済)
159 : プロデューサー君   2021/07/25 06:05:29 ID:AvAD75Iwbw
おはようございます
第6話 前編 投下していきます
160 : P君   2021/07/25 06:05:53 ID:AvAD75Iwbw
タイトル

161 : Pサマ   2021/07/25 06:06:12 ID:AvAD75Iwbw
目を覚ました千鶴に可憐と昴の2人が会って話ができたのは、数日が経過してからだった。
病室は一般のものへと移り、容態が急変でもしない限りはもう少ししたら退院できるそうだ。
安堵を通り越して、つい感極まって泣きじゃくる昴。千鶴はさながら姉か母であるかの如く、昴の頭を撫でながら「大丈夫ですわ、心配かけてごめんなさい」と落ち着かせる。
ようやく昴が普通に話せるようになったところで、千鶴は可憐を見やり「あなたは?」と素性を訊ねた。
可憐はぐいっと昴の腕を引き寄せると「私は篠宮可憐です。昴とは……そうですね、相棒とでもいえばいいでしょうか」と言った。
「相棒?」ときょとんとする千鶴に昴が、可憐は季節外れの転校生であることを説明する。同時に、今回の出来事の真相を2人で調べていることも。
千鶴は「そう、あの昴が……」と感慨深げだった。事実、昴1人であったのなら、調査に乗り出すことはなかっただろう。
そうして可憐たちは自然と本題へと移った。旧棟での一件がまったくの事故であるのかそれとも……?

千鶴の証言によれば、当日、千鶴は誰かとともに旧棟にいた。が、それが誰で、そして目的が何であったのかは転落のショックのせいか、ぼんやりとしてしまっているらしい。
星梨花からの情報、すなわち転落前に撮影した『興味深い写真』に関してはその存在を暗に認めつつも、詳細を教えてはくれなかった。
続いてまつりからの情報である千鶴が握りしめていたという紙片について話をしてみる。
紙片にはいくつか数字が並んで記されているだけだった。換字式暗号にしても数字が少なすぎる。何を示しているのか昴も可憐もわからずにいた。
90-59-90のようにわかりやすかったらよかったのだが……。
しばらく考え込んでいた千鶴が「もしかすると」と閃いたふうに口を開いた
162 : 変態大人   2021/07/25 06:06:27 ID:AvAD75Iwbw
千鶴「それは図書の請求記号かもしれませんわ」

昴「セイキュウキゴウ?」

千鶴「ほら、図書館や図書室の本に貼られているラベル、見たことありますわよね?」

昴「えっ、あー、うん、たぶん」

昴はちらりと可憐を見る。知っている?とその目が言う。

可憐「分類法に基づく分類番号や著者名の頭文字、それから巻冊数を表す数字、そういうものを組み合わせせてできている記号のことよ」

あっさりと可憐は応じた。

千鶴「ようするに図書を効率よく管理するうえで用いている記号のことですわ。とくに分類番号の基となる日本十進分類法はほとんどの図書館で使われていますの」

可憐「けれど……私の記憶が正しければ、紙片に並んだ数字は、どうもそれらしくないというか……」
163 : EL変態   2021/07/25 06:06:38 ID:AvAD75Iwbw
昴「そうなのか?」

千鶴「きっと規格が特別なものなのですわ」

昴「えっと、どういうこと?」

可憐「独自の請求記号によって管理されている図書、というわけね。二階堂先輩、もしかしてその本があるのって、旧棟にある旧図書室なんじゃありませんか?」

千鶴「確かめてみないことにはなんとも言えませんわ」

可憐「………ですね」
164 : P殿   2021/07/25 06:06:52 ID:AvAD75Iwbw
その後、上目づかいすばるんのうるうるおねだりによって、千鶴は彼女が知る旧棟の秘密をついに告白する。
知ってのとおり、旧棟はそのまま旧校舎のことであるが、もともとは学校ではなく私立図書館だったのだという。

昴「私立? 公立、私立の私立?」

千鶴「ええ、そうですわ」

可憐「珍しいですよね? そのあたりの事情は詳しくありませんけど」

千鶴「継続的な運営資金上の課題をクリアするのが難しいのは間違いないですわね。莫大な資産を持つ人物や法人の存在があったり、一定数需要が常に確保できる専門性が充実していたり、あるいはよほど利用者から閲覧料や入場料を取りでもしない限り、長く続かないはずですわ」

昴「うーん……つまりさ、旧校舎のもう一つ前が図書館で、そこは結局、つぶれちゃったってことだよな?それで学校へと変わった?」

可憐「この学園のことを軽く調べた際には、そんな事実は見つかりませんでしたが?」
165 : バカP   2021/07/25 06:07:06 ID:AvAD75Iwbw
千鶴「古い校舎のさらにその前なんて、誰も興味を持ちませんわ」

可憐「学園のルーツだとすれば、そうでもないと思います。むしろ学園の年表に記載したっていい」

昴「なぁ、それって、隠されているってことか?」

可憐「だとすれば、歴史の裏に消えた私立図書館ってわけよね」

千鶴「とはいえ、歴史的資料のすべてが抹消されていることもないですわ。わたくしは、偶然、オープンキャンパス先の付属図書館で見つけた本で知りましたの。思えば、偶然にしてはできすぎている、どこか運命を感じる出会いですわね」

可憐「あの、もしかしてその大学というのは……?」

千鶴「ええ、永吉昴が妹なのずるいだろ大学ですわ」

可憐「やっぱり……!」

昴「ここ笑うとこ?」
166 : レジェンド変態   2021/07/25 06:07:22 ID:AvAD75Iwbw
千鶴曰く、あの日旧棟を訪れたのはその私立図書館絡みで、何かを明らかにするためだったとのことだった。
一緒にいた誰かは千鶴がその学園の前身にあたる図書館について知るのを良しとしなかったのだろうか?
千鶴の覚醒により解決に近づいたかと思いきや、新たな謎が浮かび上がった。
私立図書館から学園創立の経緯、そして学園の拡張・拡大。紙片が示す本とは……。

千鶴からもたらされた情報を加えて、可憐は千鶴の交友関係を洗い直し、新たに聞き込み捜査を行うと決めたのだったが……?

後編につづく
167 : 下僕   2021/07/25 06:11:36 ID:AvAD75Iwbw
情報整理(短め)

1.千鶴は事件当時のことをはっきりと覚えていないが、誰かといっしょにいたのは確か

2.旧棟(=旧校舎)はもともと私立図書館であった 千鶴の握っていた紙片はその図書館のある本を指し示す可能性がある

ご意見・ご想像・アドバイス募集中です
オチをどうつけるか悩んでいますが、もしかしたらオカルトになるかも
後編は早ければ明日の午後に

何卒最後までお付き合いください!
168 : 3流プロデューサー   2021/07/25 09:18:35 ID:6u2VMXsExk
ネタ潰しになるかもしれないけど、オカルトオチならこのみさんが重要人物になりそう(犯人かどうかは別として)
169 : ハニー   2021/07/26 18:45:25 ID:.G19IPoG.Y
定期age
明日の午前にあらすじ投下予定です
170 : プロデューサー   2021/07/27 11:43:17 ID:WJeMefXd6M
第6話 中編(≠後編) あらすじ投下します

時間と体力の都合上、一気に書けませんでした
7月中の完結は無理ですわ……
ミリドラさんのほうもまだ終わっていないみたいだし、セーフ?ということで
171 : プロデューサー   2021/07/27 11:43:29 ID:WJeMefXd6M
第6話 中編
二階堂千鶴が昏々とした眠りから覚めたことは学園内で明るいニュースに違いなかったが、何日にも渡って振り続ける雨は多くの生徒の気分を沈ませるものだった。
千鶴の病室を訪れた翌日、可憐と昴のふたりは放課後にまつりのもとへと行く約束をしていた。
旧棟の旧図書室、それは学園の前身にあたる私立図書館の一部ということが判明したわけだが、ここ数年、実質的な管理を学園側から委ねられているのがまつりなのだ。
172 : Pちゃん   2021/07/27 11:43:44 ID:WJeMefXd6M
教室 朝

昴「篠宮さん?」

可憐「あら、おはよう、昴」

昴「窓の外、何か気になるものでも見えるのか?」

可憐「いえ、なにも。雨、止まないかしらと思っていただけよ。……もしかして見蕩れていた?」

昴「は?」

可憐「窓辺で外を眺める私に」

昴「………」

教室に入って来てすぐに声をかけなかったのは、たしかに「かけられなかった」に近い。
可憐は「なにも」と言いはしたが、その面差しは物思いに耽っていた、そうだ、何か考え事をしているときのものだと昴は思ったのだった。
173 : Pチャン   2021/07/27 11:43:59 ID:WJeMefXd6M
昴「なぁ、それはそうと、気になっていることがあるんだよ。忘れていたって言ったほうが正しいかな」

可憐「中庭で天空橋先輩が感じていた気配のこと?」

昴「察しがいいな」

可憐「ちょうど今さっき確認がとれたところなの」

昴「確認?」

可憐「ええ、あなたが先日、舞浜歩にしたよりはずっとつまらない、なんてことないものだけれど」

昴は可憐の動いた視線を追う。歩の席。まだ来ていない。あれから、まともに話していない気がする。
174 : P君   2021/07/27 11:44:11 ID:WJeMefXd6M
昴「………で、誰に何の確認を?」

可憐「結論を言うわね。あの日、中庭を階上から見ていたのは、豊川風花さんだった」

昴「えっ、あの天空橋先輩の遣いを頼まれていた?」

可憐「そう」

昴「ど、どうして?」

可憐「きまっているじゃない、天空橋先輩目当てよ」

昴「あっ……」
175 : P殿   2021/07/27 11:44:58 ID:WJeMefXd6M
可憐「といっても、確証はなかったわ。ただ、最も可能性のある人物から検証しようって思ったの。それで、天空橋先輩。そこから、私が知っているなかで、あの人に近しい人間は誰だろう、誰から聞いていけばいいだろうってなって、豊川さんが思い浮かんだ。二階堂先輩には今、気軽に訊けないからね」

昴「1番目で当たりを引いちゃったってこと?」

可憐「まあね。『嵐の前の日にね、中庭での出来事なんだけど……』って話を振った途端に、動揺が顔に見て取れたわ。かえって私も動揺しちゃった。え、あなたなのってね。あの子、隠し事ができるタイプじゃない」

昴「でもさ、どうして休日にそんな文化部の部室がある場所になんかいたんだ?」

可憐「別にそこに謎めいたものはないわよ。嵐の前、それはGW明けよね。つまり一年生である豊川さんが入学してからまだ一カ月あまりの頃」

昴「う、うん」

可憐「部活動、どこに入るかまだ迷っていたみたい」

昴「へ?」
176 : Pさぁん   2021/07/27 11:45:23 ID:WJeMefXd6M
可憐「4月のうちに、バレーボール部だったり看護部だったり、グラビアアイドル部だったりに誘われたりはしたそうだけど、どれも断っていたみたい」

昴「えぇ……」

可憐「でも、さすがにどこにも入らないっていうのも気が引けて、それでお友達に誘われて休日に文化部を中心に見学させてもらおうとしていたそうよ」


しかし、その友達が当日に用事ができてドタキャン。しかたなしに1人で足を運んだはいいが、部室に入る勇気が出ずに、廊下をふらふらとしていた風花。
そんな彼女は声を聞く。窓の外、階下。中庭。遠くからでも存在感のあるお団子頭。
一目見て虜になったという―――。

可憐「嵐の後になって、勇気を振り絞って天空橋先輩に直接会いにいったんだって。そうして洗礼を受けて、今に至る、と」

昴「へ、へぇ……」
177 : 貴殿   2021/07/27 11:45:43 ID:WJeMefXd6M
可憐「『このことは朋花様には話さないでくださいっ、なんでもしますから!』なんて涙目で言われちゃった」

昴「それ、篠宮さんはどう応じたんだ?」

可憐「気になる?」

昴「少し」

可憐「梅雨が明けたら、デートしてもらうことにしたわ。一緒にお洋服を見たり、下着だって選んだりするの」

昴「……篠宮さんと体型が近い子ってそんなにいないから、そういう意味でもありがたいってことか?転校してきたばかりでこの近辺のお店のことも詳しくないだろうし、豊川さんが行くような店だと(サイズ的に)好都合かもな」

可憐「むっ。私が期待した反応じゃないわね。いいの?昴もついてくる?」

昴「くっ。い、いいよ、遠慮しとく」
178 : プロデューサーはん   2021/07/27 11:45:59 ID:WJeMefXd6M
教室  昼

可憐と昴は昼食を軽くとってしまうと、千鶴と親しい同級生であり、信頼がおけるという三浦あずさ・馬場このみの2人に会いに3年生の教室へと向かった。
昴たちは千鶴の現状について話した後で、千鶴が旧棟に行った日の放課後(=発見の少し前の時間)に千鶴を見たかどうか訊ねた。むしろ千鶴と他に誰かそばにいなかったかを知りたかった。
もっとも旧棟で待ち合わせをしていたのなら、そして千鶴が人目を忍んで行動していたなら、あずさたち2人が知ることはないのだが……。

あずさ「うーん……もう、半月前ぐらいのことだから、よく覚えていないわね……でも、たしか放課後に千鶴ちゃんに会うことはなかったと思うわ」

その日はグラビアアイドル部の撮影があったから、放課後はすぐに部室(外部スタジオ)に向かったという。梅雨にぴったりなレインコート+水着での撮影だとか。

あずさ「あっ、そういえばその日の朝、千鶴ちゃんが写真がどうこう言っていた気はするわね。んー、けど、写真のこと、いつも話していたから、別段おかしくはないわね」

可憐「どんな些細なことでもかまいませんよ。なんて話していましたか?」

あずさ「えーっと…………【A】だったかしら~」

昴(さ、参考になるか微妙だな)
179 : EL変態   2021/07/27 11:46:13 ID:WJeMefXd6M
あずさ「ちなみに可愛い後輩のことはよく話していたわ~、昴、昴って」

昴「えっ///」

可憐「ふふっ、当然ですね」

昴「なんで篠宮さんが得意気なんだ!?」

このみ「ま、それで朋花ちゃんのお団子はそわそわしていたけどね」
180 : Pさぁん   2021/07/27 11:46:40 ID:WJeMefXd6M
このみ「さて、と。次は私ね。私も部活にすぐ行ったから、千鶴ちゃんには会っていないはずよ」

昴「何部に入っているんですか?」

このみ「麻雀部よ。大会、もうすぐだからね」

可憐「麻雀部というと、部室の位置が特殊でしたよね」

昴「特殊?」

このみ「例外的っていうほうが自然ね。他の文化部といっしょの棟にないし、それに」

可憐「旧棟が望める位置にある」

このみ「そう、よく知っているじゃないの。あれ、もしかして私が知らない間に体験入部しにきた子?」

可憐「さぁ、どうでしょう」

昴「えっと……?」
181 : P殿   2021/07/27 11:46:55 ID:WJeMefXd6M
このみ「千鶴ちゃんのことがあってすぐ、私含め、うちの子たちみんな聞かれたわよ。あの日、旧棟に何か見えなかったかって」

昴「何か見えたんですか?」

可憐「当日の天気を考えれば―――」

このみ「そう。見えないわ、ほとんどね。そもそもの話、卓をそっちのけで窓際で外を眺めている子がいたら、注意するし」

可憐「ですよね」

このみ「でもね、階段から落ちたっていう千鶴の、その転落したときの音さえ聞こえていたらって思うわ。そうしたら、駆けつけられたかもしれないのに。なんだったら、あなたたちが言うように千鶴がもし誰かといっしょにいて、それで言い争って、それを見聞きできていたら、止めることだって……」

可憐「仮定に仮定を重ねてもしかたないですよ」

昴「それより、その日前後でもいいから、部長のことで気になった点は?」

このみ「えっ? あー……そうだ、図書室の寝台特急がどうとかって、」

昴「それ以外で!」
182 : プロデューサー様   2021/07/27 11:47:10 ID:WJeMefXd6M
このみ「ないわね。旧棟と結び付けて、強いて言うならまつり先生と職員室で何か話していたってことかしらね」

可憐「まつり先生と?」

昴「あれ?でもまつり先生って、3年生のクラスは受け持っていないんじゃ……?」

このみ「まあね。でも、ほら、人望があるし、1,2年生のときにお世話になっていた延長で相談しに行く子はいるわよ」

可憐「なるほど」

このみ「まつり先生と言えば、私とのデュオ、『Decided』の実装を楽しみにしているわ」

昴「LTD03だな!」
183 : Pちゃん   2021/07/27 11:47:22 ID:WJeMefXd6M
可憐「LTDなら、個人的には『Eternal Spiral』『秘密のメモリーズ』『Understand? Understand!』を早く実装してほしいってPさんが言っていましたよ……♪イベントコミュがどうなるのか気になるって」

このみ「他にも言い出したらきりがないけどね。名曲揃いだもの」

昴「『たしかな足跡』の、なんというか、すっげー、エンディング感?じーんとくるよな!」

このみ「朋花ちゃんと育ちゃんの『HELLO, YOUR ANGEL♪』はミリシタ中でフラグは立っている!と言われてもうずいぶん立つわね」

可憐「『深層マーメイド』、『アライブファクター』がきたので、『ハルカナミライ』は秒読みなんて思ってもいましたけど……」



調べたらLTDの中では何気に『ジャングル☆パーティー』が真っ先に(『Dreaming!』よりも前に)実装されていたんですねー
184 : プロデューサーさん   2021/07/27 11:47:34 ID:WJeMefXd6M
可憐「ところで、その日、まつり先生と二階堂先輩が話していた内容って……?」

このみ「それがね、9割9分9厘は記憶にないし、聞こえてすらいないんだけど、【B】っていう単語が、ぽんっと出てきたのは覚えているの」

昴「【B】?」

このみ「うん。オカルトっていうか、いかにも超常現象や怪現象なんかとつながる、そのものみたいな言葉でしょう?だから印象に残ったのよ」

可憐「………」
185 : Pたん   2021/07/27 11:47:50 ID:WJeMefXd6M
教室 放課後

昴「収穫なしかー」

可憐「さぁ、どうかしら。パズルのピースは合わせてみないとね」

昴「どういうふうに?」

可憐「どんなふうにでも、よ。私たちは最初から完成形を知っているわけではないのだから、繰り返し試すしかない」

昴「なあ、意味深なことを言って、誤魔化そうとしていない?」

可憐「まさか。ねぇ、昴、気づいた?三浦先輩も馬場先輩も知っていたわ」

昴「え?何を?」

可憐「可愛い昴のこと。やっぱり私の見立ては間違っていなかったわね」

昴「はいはい。まつり先生のところに行こうぜ。あの人、忙しいんだよ。今度はなんか、スチームパンクSF映画に出演するとかしないとかで……」

後編につづく
186 : ぷろでゅーさー   2021/07/27 11:48:16 ID:WJeMefXd6M
※【A】事件当日の朝 あずさが千鶴から聞いた話の内容
※【B】事件当日の昼 職員室でまつりと千鶴の話で出てきた単語
※【C】後編に登場する美希の立ち位置(例:写真部の後輩その2)

今回は【ID判定】は無し 
レスの有効期限は7/28 23:59:59まで
後編は7/30の朝に投下できたらいいなーって

8月初旬には完結させるぞ!
何卒最後までお付き合いください!!
187 : Pーさん   2021/07/27 12:02:38 ID:WJeMefXd6M
追記

>>175の可憐の最初の台詞は、
中庭での怪現象の犯人が歩だとわかった→でも朋花が感じた気配は歩のものではない(歩に確認済)→その人物の関心は中庭にではなくそこにいる人物に対するものなのでは?→だとすれば、一番可能性があるのは、見るからにカリスマの朋花だよね
っていう思考があってのものです。校正時に下手にカットしたら、かなりわかりづらくなってました。申し訳ないです

※LTDの話は伏線ではないです 本編に関係なしです

※美希は生徒会長以外でお願いします グラビアアイドル部所属かは任せます
188 : 兄ちゃん   2021/07/27 23:52:06 ID:4fGFkyoLms
A 学校の近くの喫茶店で季節限定パフェを発売した
B 旧校舎のファントム
C 星梨花の家の使用人
189 : そこの人   2021/07/27 23:53:18 ID:4fGFkyoLms
>>188
C については星梨花と同じクラスのという条件付きで頼んます
190 : P君   2021/07/28 18:06:55 ID:OzV/I9kjLY
定期age
自分で設定しておいて、レスの有効期限が今日中なことにビックリ
この流れ、第2回と同じやね
何が何でも書き切りますけど!
191 : Pちゃま   2021/07/28 18:08:43 ID:OzV/I9kjLY
なんかageられてなくて草
192 : プロデューサーちゃん   2021/07/28 18:38:27 ID:IE06Woqu0s
Aみんなの寝顔を撮るのに目覚めてしまったかもしれない
B旧棟の守護霊
C朋花とは違う方向でカリスマ性のある学生
193 : Pたん   2021/07/29 19:55:46 ID:hSQx9KBQVY
レスありがとうございます!!!
中編投下します
かなりコンパクトにできましたー

194 : 監督   2021/07/29 19:57:53 ID:hSQx9KBQVY
第6話 中編
目を覚ました二階堂千鶴の証言をもとに、引き続き彼女の転落の原因を追究していく可憐と昴。
可憐は、朋花から聞いた「嵐の前の中庭を見守るような気配」についてその人物を突き止めた。
それは可憐たちが和室で朋花と話をするための案内役を務めもした1年生、豊川風花であった。
当時は、5月になってまだ何の部活動にも入っていないことに焦りを感じ始めていた頃であり、偶然、中庭に朋花の姿を見初めて聖母たる彼女に心身を捧ぐ決心をしたそうである。

放課後、千鶴の交友関係を手がかりにということで、昴たちは3年生の三浦あずさ・馬場このみの2人から話を聞く。
あずさからは千鶴が学校近くの喫茶店で発売開始した季節限定パフェが気になっていることや、千鶴が昴以外にも皆の寝顔を撮る快感と喜びに気づいたかもしれないことが情報としてわかった。
パフェと寝顔、それが導く真実の深さは計り知れないが、さしあたっては昴とともに喫茶店に行く約束をする可憐だった。
このみからは千鶴が転落の当日、職員室にてまつり先生と何か会話していたのを見聞きしたという情報が得られた。その会話中に「亡霊」ないし「守護霊」という言葉が出てきたことを彼女は覚えていた。
旧棟の幽霊だなんていかにもな怪談よね、とこのみは言う。一口に霊と言ってもその在り方は多様であるが、いずれにしても最後の手がかりは、やはりまつり先生が握っているとみて間違いないだろう。
近頃はダイヤモンドのように輝くジョーカーだったり、巨大ロボだったりと忙しいらしいが、どうにか話を聞かねばなるまい。
195 : 箱デューサー   2021/07/29 19:58:09 ID:hSQx9KBQVY
かくして可憐と昴は再びまつりのもとへと向かう。

しかし、その道中で、無視するのは気が引けるような光景に出くわす2人。
なんと、あの如月千早が金髪女子を膝枕で眠らせているのだった―――!?
いったい彼女の目的とは……?眠り姫の正体は……!本編に関係してくるのか……?

後編につづく
196 : ダーリン   2021/07/29 19:59:58 ID:hSQx9KBQVY
「ファントム」は「亡霊」で処理しました

後編のあらすじは明日の夜に投下予定
さすがにここまでくると終わり方が見えてきたので安価数は少ないかもです
え?見えてない?

最後まで何卒お付き合いお願いいたします
197 : お兄ちゃん   2021/07/30 22:25:18 ID:T3fH1s6r2s
第6話 後編 投下していきます
198 : そなた   2021/07/30 22:25:33 ID:T3fH1s6r2s
第6話 後編
可憐たちの教室から中央棟1階の職員室へのルートはいくつかあるが、もし仮に最短のものを選んでいたのなら、如月千早に出会うことはなかった。
香りに招かれて、などと可憐は後になって説明あるいは自分の気まぐれに理由づけをしたのだった。
金髪少女に膝枕をしている現場をおさえられた千早の表情はというと、はじめこそ驚きと少しの恥じらいがあったが、しかしすぐに何でもないと言わんばかりのすまし顔となった。
可憐は言う。「事情をうかがっても?」愉しそうに。
199 : 貴殿   2021/07/30 22:25:44 ID:T3fH1s6r2s
千早「あなたたちに関係ないことだわ」

可憐「そうかもしれません。でも最低限、何かそれらしい状況を話しておいた方がいいのでは?」

千早「なぜ?」

可憐「このままでは生徒会総務・如月千早さんは、放課後の空き教室で人目をはばかるような逢瀬を重ねていると噂が立つだろうから」

千早「……永吉さん」

可憐とのやりとりは事態を好転させるどころかややこしくするものでしかないと千早は察して、その隣であわわとしている少女に声をかけた。

昴「は、はい?!」
200 : ごしゅPさま   2021/07/30 22:26:02 ID:T3fH1s6r2s
千早「美希が日頃、お世話になっているみたいね。こういう形で、ええ、こういうタイミングで言うのもあれだけど、ありがとう」

昴「は、はぁ。こんなところで会うとは思いませんでしたけど」

ごろんと寝返りをうったその金髪少女が、自分の知る人物であるのを今更のように昴は思い出す。

可憐「知っている子?」

昴「う、うん。星井美希――――星梨花と同じクラスの1年生で、言うなれば彼女も天空橋先輩や、篠宮さんに近い空気を持っている子だよ」

可憐「へぇ。私はその写真部の後輩ちゃんとも直接の面識はないけど……それで如月先輩との関係は?」

昴「え、えっと……?」

昴は困ったように千早を見る。千早は肩をすくめて「幼馴染よ。天空橋さんと二階堂さんの関係のようなもの、と言ったら伝わる?こっちは年の差があるけれど」と応じた。
201 : P殿   2021/07/30 22:26:18 ID:T3fH1s6r2s
普段、表立って学園内で交友することこそ少ないが、気が置けない仲であるのには違いないようだ。
それこそ、放課後に彼女の昼寝に付き合う程度には。

千早「最初は個人的に補習していたのよ」

可憐「ごくごく健全な?」

千早「もちろん。要領のいい美希でも、課題を下手にサボるとついていけなくなる、それを身をもって知ったみたいね」

星梨花と同じだから特進コースのはずだよ、と昴が可憐に言う。そしておそらくは千早もそうなのだろう。
今になって登場したコース分類だが、この後本編に関わることはないだろうなと可憐は確信するのだった。


千早「ねぇ、あなたたちまだ旧棟について調べているみたいだけど―――」

どこから仕入れたのだろうか、千早のほうからその話を振ろうとした矢先に、眠り姫が目を覚ました。
202 : 師匠   2021/07/30 22:26:34 ID:T3fH1s6r2s

美希「あれ? 昴くんなの!! あと……誰?」

目をぱちくりとさせて彼女は可憐を見つめた。

可憐「篠宮可憐。昴の相棒をやらせてもらっているわ」

キメ顔で髪をファサッとして可憐が言う。テイク3でOKが出た。

美希「ええっ!? そんなの聞いていないの! 昴くん、ちょっと会わないうちに浮気なの?」

昴「浮気も何もそんな関係じゃないだろ!」
203 : EL変態   2021/07/30 22:26:47 ID:T3fH1s6r2s
美希「ええー。つれないの。いつもみたいに『美希、オレのものになれよ』とか『オレの美技に酔いな』とか言ってほしいの」

昴「言った覚えないぞ?!」

千早「『オレも美希みたいに可愛かったらなー』と口説いた件は聞いているわ」

昴「べつにそういう気はないよ?!」

可憐「……………」

昴「篠宮さん、そこで黙られるとなんか怖いんだけど」

可憐「え? ああ、うん、大丈夫。ちょっと考え事。それより、如月先輩」
204 : 箱デューサー   2021/07/30 22:27:00 ID:T3fH1s6r2s
千早「旧棟のこと?」

可憐「ええ。前は聞きそびれましたが、何か知っているなら教えてください。噂でも怪談でも、なんでも」

美希「キュートー? 千早さん、それってあれだよね、例のユーレイ」

昴「幽霊?」

千早「声よ」

可憐「……声?」

千早「私も実際に耳にしたのよ」

昴「えっ」
205 : 我が友   2021/07/30 22:27:17 ID:T3fH1s6r2s
千早が言うには、まだ彼女が1年生であった頃に旧棟で放課後に、1人で歌っていた際に、謎の声に話しかけられたのだと言う。
以来、千早は旧棟に近づいていない。当時、相談したまつり先生からもそうしたほうがいいと言われたのことだ。
まやかしだと思うには、あまりにはっきりとした声だった。そして、もっと言うと、それは死霊よりも精霊や妖精に近い雰囲気を感じたという。

昴「それってどう違うんだ?」

千早「つまり、悪いものには思えなかったってことよ」

可憐「先輩の歌に反応して現れた妖精さんってところだったわけですか?」

千早「さぁ……徳川先生は何か知っているみたいだわ」

美希「zzzz……」

可憐「声はなんと? 先輩の歌を褒めたんですか?」

千早「【A】って」

昴・可憐「………」
206 : プロデューサーちゃん   2021/07/30 22:27:34 ID:T3fH1s6r2s
千早と美希と別れ、職員室に到着した可憐と昴。
まつりは浜辺でビーチバレーをしてきた帰りのようだった。
シアタートークパーティ、何気に私服SDの更新が素晴らしい。

まつり「ふたりにはすべてを話さないといけないみたいなのです」

可憐がここまで聞いていたことを整理し、追及すると、まつりはしばらくしてからそう口にした。
もはや誤魔化しとおすことはできないと観念した様子であった。
207 : プロデューサーちゃん   2021/07/30 22:27:52 ID:T3fH1s6r2s
まつり「結論、ううん、まつりの推論を先に言ってしまうのです」

昴「というと?」

まつり「千鶴ちゃんの転落、その真相なのです」

可憐「犯人をまつり先生は知っている……見当がついているということですね?」

まつり「そうなのです」

可憐「けれど、それは本人や家族、学園関係者、警察諸々に明かすことができる『存在』ではない、と」

まつり「そこまで察しているのなら話は早いのです」

昴「それは――――?」

まつり「百聞は一見に如かず。と言っても、見ることがかなうか、わからないけど……とにかくついてくるのです」
208 : 変態インザカントリー   2021/07/30 22:28:04 ID:T3fH1s6r2s
まつりに連れられて2人がたどり着いたのは、旧図書室に他ならなかった。
旧棟の他の部屋に比べるといやに厳重に施錠がなされている一室で、可憐も昴もそこに入るのは初めてだ。

可憐「この香り……これまでに嗅いだことのない、まるで異世界のようだわ」

足を一歩踏み入れて、ゆっくりとドアを閉める。

まつり「あながち間違いではないのです」

昴「ど、どういうことですか?」

まつり「周囲を見回してみるのです。気を確かに」

昴「…………。な、なぁ、篠宮さん」
209 : プロデューサー君   2021/07/30 22:28:41 ID:T3fH1s6r2s
可憐「なに?」

昴「ここ、広すぎないか?」

図書室に入る前に確認できたはずだが、そのとき見受けられたものと比べて何倍もの空間が縦にも横にも広がっていた。

可憐「空間が歪んでいる?」

まつり「それは不正確なのです。出入り口の部分でわんだほー!なことが起きているだけで、歪な空間というわけではないのですよ」

昴「まつり先生っていったい……?」
210 : 箱デューサー   2021/07/30 22:29:37 ID:T3fH1s6r2s
まつり「平たくいえば魔法使いなのです」

可憐「おとぎの国のマリーということですか? ってことは昴がステラ?」

まつり「おとぎの国の物語は関係ないのです!」

昴「魔法使いってマジ……?」

まつり「とはいえ、限定的なものなのです。この学園の、旧棟とその近辺でちょっとした魔法が行使できる、力を授けられているのですよ」

可憐「旧棟の解体を阻止するために?」

まつり「よく調べているみたいね。でも39点かな」
211 : おやぶん   2021/07/30 22:34:48 ID:T3fH1s6r2s
昴「赤点だ」

可憐「なるほど、『旧棟』という言い方は曖昧かもね。つまりは、学園の前身である私立図書館、その残された部分がこの旧図書室だとすれば、ここを、あるいはここにある何かを護るために力を持っているってことでしょうか?」

まつり「うん、72点」

可憐「くっ。では、別の方面から。ここ30年で学園が大きく発展を遂げた理由はここと関係しているのではないですか?」

まつり「うーん……それもすこーし、ずれているのです。というのは、ここを残し続けるために学園を援助しようとした結果、無駄に施設が拡大してしまったのですよ」

昴「本当だったらここさえ残っていれば、新棟を次々に建てる必要はなかったってこと?」

まつり「そう。おじい様の意向とそぐわない、まあ、何にも知らない人たちがそのへんはグイグイ推し進めたわけなのです」

昴「おじい様?」

可憐「徳川の名前はやはり……。この国を実質的に牛耳る大組織の1つ、あのトクガワ財閥とまつり先生は関係が尾張……じゃなくて、おありなんですね」

昴「どひゃぁーーっ」

まつり「ほ? 姫は姫と最初から言っているのです」
212 : プロデューサーちゃん   2021/07/30 22:35:01 ID:T3fH1s6r2s
昴「な、なぁ、トクガワ財閥の件は、伏線一切なかったけどいいのか?」

可憐「こ、細かいことは気にしちゃダメ……ですよ?」
213 : 高木の所の飼い犬君   2021/07/30 22:35:27 ID:T3fH1s6r2s
まつり「下手に目立ってしまって、妙な連中に嗅ぎまわられるのも嫌だから、資金の流れは巧妙に隠しているようなのです。ようはトクガワ財閥とこの学園の関係はあくまで裏にあるのですよ」

昴「へ、へぇ」

可憐「数年前の旧棟解体の提案、消えた生徒会役員……」

まつり「ほ? それはべつに裏で誰か生徒を始末したとかではないのですよ? その生徒こそまつりなのです」

昴「は? ど、どういうこと??」

まつり「反抗期だったのです。というのは冗談でも、まつり、まだそのときはここの力を継承していなかったのです。その時はまだ彩花お姉様が……」

そうして可憐と昴はまつりからトクガワ財閥とその歴史、そして図書室(学園)との関係を聞くのだった。
214 : プロヴァンスの風   2021/07/30 22:35:46 ID:T3fH1s6r2s
可憐「にわかには信じ難いことですが、じゃあ、ここにある書物はこの世界の行く末を左右する、と?」

まつり「ざっくり言えば。より適切には、この世界を左右するのに有用な、高位妖精さんたちの授け物なのです」

昴「いやー、まさか江戸時代初期にそんなことが、すっげーなぁ」

トクガワ財閥と妖精さんたちの馴れ初めの詳細を描くと100万字でも足りないのでここでは割愛するのです。

可憐「……こほん。何はともあれ、この不思議空間の維持に、まつり先生が不思議な力を得ていることはわかりました。如月先輩に話しかけた声というのも、ここから漏れ出た力……妖精さんたちの仕業によるものなのでしょう。で、私たちが知りたいのは、」

昴「部長のことだよ!」

まつり「千鶴ちゃんは………うん、千鶴ちゃんには運悪く、見られちゃったのです。まつりがはいほー!と妖精さんたちと戯れているその場面を」

昴「そ、そんな、だから部長を突き落としたのか!?」

まつり「?! ち、ちがうのです。まつり、千鶴ちゃんを突き落すなんてしていないのです!」

可憐「話を聞きましょう」
215 : 兄ちゃん   2021/07/30 22:36:02 ID:T3fH1s6r2s
まつり曰く、千鶴にまつりの祭り(意味深)が目撃されたのは、あの嵐の日直後のことだそうだ。
しかも千鶴はその現場を写真に収めていた。そしてまつりに、(図書室の)秘密を共有することを求めた。
まつりは千鶴のスタンスというのが脅迫からはほど遠い、生徒としてのお願いであり、ついつい彼女の要望に応じてしまう。

可憐「まつり先生と秘密を共有していくうちにまつり先生のことをもっと知りたくなって、禁断の関係をも迫るように……」

まつり「ではないのです。千鶴ちゃんは一通り知ってしまうと満足してくれたのです。なんだったら、不要な記憶は消してほしいと」

昴「記憶を?」

まつり「そうなのです。日常を楽しむうえで、魔法や妖精は刺激的すぎるものだから、と。部分的な記憶の操作は正直、このまつりにしても難易度の高い、アクセルレーションOMをノーツ速度50%でperfect100%程度の芸当だったのです」

昴「全然ピンとこない喩え!」

可憐「うまくいったんですか?」

まつり「それが……魔法をかける前に、あの事件が起こったのです」
216 : 高木の所の飼い犬君   2021/07/30 22:36:22 ID:T3fH1s6r2s
昴「それって、あの転落ってことだよな? え、どういうことなんだ、それ」

まつり「千鶴ちゃんはこの場所の秘密、ひいては旧棟に住まう妖精さんたちの秘密を誰かと分かち合うつもりだったかもしれないのです」

可憐「それって――――」

まつり「当然、まつりではないのですよ? あの日、千鶴ちゃんは、忙しいまつりより先に旧棟に誰かと訪れた……そのはずなのです。そして、どういういきさつがあったのか、千鶴ちゃんは階段から転落して意識不明となってしまった」

昴「最初に倒れている部長を見つけたのはまつり先生なんだよな?」

まつり「そうなのです。実はあのとき、この旧棟に魔力の乱れを感じたのです。だから急いでやってきて、そして発見したのです」

可憐「そのとき近くに誰か?」

まつり「いなかったのです」

昴「うん?じゃあ、どうして部長が誰かといっしょだったなんてわかるんだ?」
217 : 彦デューサー   2021/07/30 22:36:37 ID:T3fH1s6r2s
まつり「意識を失っている千鶴ちゃんの記憶を魔法でのぞき見たのです」

可憐「あの……二階堂先輩はけっこう重体だったんじゃ……」

まつり「ほ?それは(魔法ではない)情報操作、統制なのです。まつりが駆けつけたからには外傷らしい外傷は消し飛ばしたのです」

昴「そういえば、病室での部長、話しで聞いていたような(打撲等の)怪我はしていなかったな……」

可憐「待って、まつり先生が二階堂先輩の記憶を覗き見ることができたのなら、」

まつり「ごめんなのです。犯人はわからないのです」

昴「ええっ?! ここまできて!?」
218 : あなた様   2021/07/30 22:36:54 ID:T3fH1s6r2s
まつり「魔法は万能じゃないのです。というか、犯人がわかっていれば、それ相応の行動に出ているのです」

可憐「たしかに……」

まつり「千鶴ちゃんの記憶の断片と現場での魔法の痕跡から、わかったことは2つなのです」

昴「2つ?」

まつり「1つは、千鶴ちゃんと一緒にいたその誰かは、妖精さんに魅入られてしまったようなのです。」

可憐「魅入られるとどうなるの?」

まつり「思考や感情が支配され、最もひどい状態となると身体そのものに憑かれてしまうのです」

可憐「そこだけ聞くと、悪質な妖精ね」

まつり「妖精さんたちに悪気はないのです。ただ、可愛い子と遊びたいというだけなのです、きっと」

昴「ふつうに迷惑な話だな……」
219 : Pちゃん   2021/07/30 22:37:15 ID:T3fH1s6r2s
まつり「妖精憑きの状態の人は、まつりでもちょっとやそっとじゃ識別できないのです。旧棟を離れてしまうとなおさらなのです」

可憐「妖精憑き、ね。その状態に陥った誰かさんが、二階堂先輩を突き落したってことですよね」

まつり「そこにどういう気持ちがあったかはわからないけどね。必ずしも悪意じゃない、妖精さんの戯れだったかもしれない」

昴「でも、部長は現に意識不明にもなっているんだ」

まつり「……ごめんなのです、まつりがもっとしっかりしていれば」

可憐「…………。それで、その人物を突き止める何か手立てはあるんですか?もし仮に今の推測がすべて合っていたとしたら、誰か学園の生徒が妖精に憑かれているままってことでは?」

まつり「そうなのです」

昴「憑かれたままだとどうなるんだ?」
220 : 師匠   2021/07/30 22:37:28 ID:T3fH1s6r2s
まつり「わからないのです」

可憐「え?」

まつり「前例がないのです。もしかすると【B】なんてことに……」

昴「ええっ!?」

まつり「妖精さんは本質的には自分を持たない、言い換えれば存在感が希薄なのです、ゆえに憑くのです。憑いていることさえ自分で忘れちゃうかもなのです」

可憐「犯行を無自覚な犯人になり得るってことですよね」

昴「やっぱり普通に迷惑な話だ……」
221 : P殿   2021/07/30 22:41:10 ID:T3fH1s6r2s
※【A】旧棟の妖精さんの、千早(の歌)に対する反応とは?
※【B】妖精憑きは放っておくとどうなるの?


レスの有効期限は7/31 23:59:59まででお願いします
8/1が副業休みなので後編の清書を処理後、その日中に最終話書き上げる予定です
222 : 高木の所の飼い犬君   2021/07/30 22:47:07 ID:T3fH1s6r2s
情報整理(簡易版)

・学園の発展関係はすべてトクガワ財閥が秘密の書庫を維持するためにしていたことだったんだよ!
・千鶴はあの日、誰かと共に旧棟にいて、そしてその人物は妖精に憑かれてしまったのでは?
・まつりの魔法は万能ではないので、妖精憑き(=犯人)捜しは難航しているのです
・成り行きで美希が千早とキテるけど、そんな関係ないと思う

真相(今回のオチ)を察した方もいるかと思います。
推理レスをすると、たぶんマジで当たっちゃいます。そこは遠慮していただいて、本編終了後に「思っていたとおりだったわ」みたいなレスお願いしたいです

最後の最後まで何卒お付き合いください!
223 : 貴殿   2021/07/30 23:04:00 ID:T3fH1s6r2s
>>221
大事な大事なことが抜けてました

【C】まつりが、千鶴の記憶の断片と現場での魔法の痕跡からわかったもう1つの事実は?ふわっとした感じでかまいません
224 : プロデューサー   2021/07/31 08:53:00 ID:QlhNVrDO3E
A 「もう少し遊びのある歌い方でもいいんじゃない?」
B 人格を乗っ取る
C 千鶴は転落させられたこと自体は恨んでいない
225 : Pちゃん   2021/07/31 21:12:31 ID:ucLM8jDs0g
A:「素敵…引き付けられていくみたい」
(千早「何を引き付けているの⁉︎」)
B:いくつかあるが、幼児退行が最も多い(ふざけて大惨事を引き起こすことも)
C:千鶴は自ら落ちた(これ以上の事態悪化を防ぐためか?)

前回来れなかったから焦る焦る……
作者には落ち着いてラストまで持って行っていただきたいなーって
226 : Pはん   2021/08/01 03:05:22 ID:cCXjBTz5ZM
レスありがとうございます!!!
第6話 後編清書 投下します
227 : プロデューサー君   2021/08/01 03:06:06 ID:cCXjBTz5ZM
第6話 後編
職員室に向かう途中、空き教室で金髪美少女を膝枕する千早に巡り合った可憐と昴。
少女の正体は1年生特進コース所属で、写真部の後輩である箱崎星梨花とも同じクラスである星井美希であった。
彼女と千早は年の離れた幼馴染であり、2人は姉妹のように仲がいいみたいだ。
一方で美希は星梨花を通じてなのか、昴とも仲がいいらしい。目を覚ました美希は「昴くん」とじゃれついた。
千早曰く、昴は『オレも美希みたいに可愛かったら』と自嘲気味に口説いた事実もあるとのこと。
1年生の頃に千早は、旧棟で気晴らしに歌を歌っていた時に、人ではない何者かの声を耳にしたのだという。
「素敵……ああ、この歌に引きつけられてしまう……でも、もう少し遊びがあってもいいんじゃない?」
その不思議な体験を経て、歌い方を変えたかはわからない。ただ、相談したまつりは旧棟に近づかないようにと千早に忠告した。
まつりが旧棟の秘密を握っている、そう確信できた可憐たちは千早と、再び眠り出した美希を後にして職員室へ。
228 : ハニー   2021/08/01 03:06:17 ID:cCXjBTz5ZM
果たしてまつりは旧棟の秘密を知っていた。というより、彼女は旧棟の秘密を管理し、維持する立場の人間であった。
400年以上前にまつりの血族と妖精たちが交わした契約について話を聞くふたり。旧図書室は異空間に等しかった。
結論として、旧棟に限定して魔法使いであると言えるまつりは、千鶴の転落が妖精によって引き起こされたものではないかと推測していた。
旧棟に住まう妖精たちは得てして好奇心旺盛であるようだ。易々と一般の生徒と交流させていい結果をもたらすことはない……。
嵐の前、偶然にもまつりの秘密を目撃した千鶴は、以来、まつりと旧棟の神秘を共有していたが、日常に戻るために記憶を消す予定でもあった。
あの転落の日、まつりがいないうちに、千鶴が誰かといっしょに旧棟を訪れていたことは間違いない。
そしてその誰かは千早とは別の形で、妖精に関心を持たれて、またその人物自身も妖精に魅入られてしまったのだろう。
まつりが転落現場で千鶴の外傷を癒しながら、その記憶をのぞき、また現場での魔法の痕跡を探ることでわかったことは2つ。
1つはその人物は今、妖精憑きとなっているということ。まつりは実例を目の当たりにしたことはないので、もし仮に当人に出会っていてもすぐにそれだと判別できないそうでもある。
妖精憑きとなった場合、はじめこそ頭が冴え冴えとして普段以上の思考力を持ち合わせさえするも、やがて精神バランスに支障をきたし、幼児退行が引き起こされる―――文献にはそうあるらしい。
そしてわかったこととして2つ目は、千鶴は転落について恨みを持っていないということ。
もしかするといっしょにいた人物との諍いの末に……というわけではないのか?
229 : Pたん   2021/08/01 03:06:35 ID:cCXjBTz5ZM
まつりたち3人は旧図書室を出た。
すべての真相が明らかになることを期待していた昴としては、もやもやが残っていた。
部長といたその人物とは誰なのか、魔法や妖精まで登場したとなると、もはや解決は普通の糸口からではたどり着けないのでは……?
可憐の表情をうかがうと、彼女もまた難しい顔をしていた。

電話が鳴る。まつりのようだ。不意になされる英語でのやりとり。
「ふたりともごめんなのです。知り合いの外交官からの依頼で、ちょっと怪物退治しに行かないといけなくなったのです」
そう言ってまつりは足早に行ってしまった。旧棟に限定しての魔法使いなのでは……?と思う2人であったがあえて追及はしなかった。

「ねぇ、昴」

これからどうしようか、今日はとりあえず帰ろうか、そう考えていた昴に可憐が声をかける。

「なに?」

「もしかしたら私………わかったかもしれないわ」

「え―――?」

いつもの自信ありげな口調はどこへやら、声を震わせ、可憐は言う。
230 : Pたん   2021/08/01 03:07:00 ID:cCXjBTz5ZM
可憐「謎はすべて解けた………ううん、そうじゃない、きっとこう言ったほうがいいのかしら」




可憐「魔法を解く時間がやってきたんだってね――――」


最終話につづく
231 : Pサマ   2021/08/01 03:11:48 ID:cCXjBTz5ZM
※清書の原則と外れた字数やレス数となりましたが、クライマックスということでご容赦ください

※真相を察した人もいるでしょうが……ド直球なネタバレレスはお控えください

>>227訂正ありました 「昴くん」→「昴くん♡ 昴くん♡」 


最終話はこれまで同様(?)、あらすじ投下というより最終安価をとるだけの実質的な清書投下をすぐにする予定
今日中に終わるかも!
232 : あなた様   2021/08/01 22:08:15 ID:cCXjBTz5ZM
フレグランスは写らない 最終話投下します
書き切れなかったので途中まで(安価なし)

233 : 番長さん   2021/08/01 22:08:33 ID:cCXjBTz5ZM
季節外れの転校生・篠宮可憐。
思えば、昴は彼女のことを多くは知らない。転校してきたのには何か事情があるのか、初めての転校なのかそれとも慣れているのか。
前にいた学校では何部に所属していたのか、友達はどれだけいて、恋人はいたのか、どこで誰とどういうふうに過ごしてきたのか。
中庭での怪現象と二階堂部長の気になる振る舞い。
あの日、写真部にふらりと現れた篠宮さんに何も話さなかったら、彼女が自分の香りに興味を持つことがなかったら。
彼女と友達になることはなかったのだろうか。歩の秘め事にも気づかずにいたのだろうか。
まつり先生や旧棟の不可思議にも触れず、天空橋先輩や如月先輩といった生徒会の人たちと面識を持つことがなく、じめじめとした梅雨を雨音に耳を傾けるようにでも過ごしていたのかな―――。
234 : プロデューサーちゃん   2021/08/01 22:08:52 ID:cCXjBTz5ZM
窓から夕明かりが差し込む。一時的だろうが、雨が止んでいる。
厚い雲間を裂く光の梯子が遠くに臨む。
可憐と昴は旧棟の空き教室の1つにいた。まつりか、あるいは妖精たちが掃除をしているのか、埃っぽさがない。
今すぐにでも授業を始められる。

可憐は教壇に立ち、そして昴をすぐ目の前の席に座らせた。

「さて――――」

それは教師のようでもあり、探偵のようでもあり、しかし結局は篠宮可憐という少女その人でしかなかった。
その瞳はあの邂逅を思い出させるように爛々としている。昴はそう思った。
甘美なる謎と秘密、人の心の光と闇とが擦れて散る火花、その焦げつく香り
あのとき、可憐はそう口にした。レスを読んでみたから間違いない。昴に、というよりほとんど独り言で、うっとりと。
235 : Pサマ   2021/08/01 22:09:11 ID:cCXjBTz5ZM
可憐「まつり先生は言った。『妖精さんは本質的に自分を持たない、言い換えれば存在感が希薄なのです、ゆえに憑くのです。憑いていることさえ自分で忘れちゃうかもなのです』ってね」

昴「すっげー……似ていたよ、今の」

可憐「でしょう?」※テイク5

昴「なぁ、篠宮さん、それで『魔法を解く時間だ』ってのは?これは篠宮さんの言葉なわけだけど」

可憐「慌てないで、昴。初歩的なことから考え直してみましょう。私たちはそうするだけの手がかりを得て、人物と会って、情報を知り、ここにいる」

昴「う、うん」

可憐「二階堂先輩の転落。これが起きたのは中庭での怪現象から数日が経ってのこと。そうよね?」

昴「その時系列が逆になることはないよ」

可憐「そう。そして昴は怪現象が起きた後で、二階堂部長の様子が変、そわそわしていると思った」

昴「部長は何か知っているんじゃないか、そう考えたんだ」
236 : おにいちゃん   2021/08/01 22:09:29 ID:cCXjBTz5ZM
可憐「けれど、事実は違った。中庭での怪現象は舞浜歩によるもので、二階堂部長のそわそわは実はべつにあった」

昴「……旧棟の秘密、まつり先生の『魔法』を目撃していたってことだよな。写真まで収めていた」

可憐「ええ。証拠を見せてもらってはいないけれどね。まつり先生が処分したかもしれない。二階堂部長は秘密について記憶を消してもらうつもりだったみたいだし。もしかすると、もう消してしまっているのかも?転落で意識を失ったついでに」

昴「それはどうかな……二階堂部長の状態が長期化せずに目を覚ましたのだって、運が良かったって聞いたぜ」

可憐「あのまま目を覚まさない可能性もあった、か。怖いわね」

昴「うん。ま、なんにしても中庭の一件に部長は絡んでいなかった、それはわかるよ」

可憐「二階堂先輩が旧棟を訪れた理由ってなんだと思う?」

昴「うーん……本人ははっきりと覚えていないって病室で話してくれたんだよな」

可憐「まつり先生の予想では、記憶を消す前に、誰かとこの不思議な空間、旧棟のことを共有しておきたかったんじゃないか、だったわよね」
237 : 監督   2021/08/01 22:09:46 ID:cCXjBTz5ZM
昴「部長らしいと言えばらしいかな。写真で残すわけにもいかないし。話だけじゃ信じられないようなものなわけだし、一緒に誰かとやってきたんだろうな」

可憐「私たちは二階堂部長の交友関係も調べたわよね」

昴「家族関係は全然だけどな。状況を考えれば、部長が外部の人間をわざわざ入れるとも思えないけど。あくまで学園関係者だろうな」

可憐「親友である天空橋先輩に、親しい間柄の三浦先輩、馬場先輩。あと病室にきた菊地先輩も」

昴「他にも部長を慕っていた人はいるだろうけど、旧棟にいっしょに行くってなったら限られるよな」

可憐「そこよ」

昴「え?」

可憐「もう一度、その点について考えてみると、必然的に候補に上がる人物がいる」

昴「それって………」
238 : プロデューサーさま   2021/08/01 22:10:01 ID:cCXjBTz5ZM
昴「もしかして、星梨花か? 同じ写真部だし。星梨花が日常の疑問をどんどん口にして、部長がそれを説明するってのは部の日常茶飯事なんだ」

可憐「そうなの?」

昴「ああ。とくにBBSにおいてはセレブ知識を披露している部長は、物知りなんだよ」

可憐「なるほどね。星梨花ちゃんとはそう言う意味で相性はよさそうね」

昴「………でも、星梨花じゃない」

可憐「というと?」

昴「確認したからだよ。部長が転落したその日、星梨花は学校外の習い事があるかだかで早々に下校しているんだ。そのときは、えーっと、たしか大神さん、望月さん、木下さんっていう星梨花の同級生と4人で下校したらしいから証人にもなると思う」

可憐「………」

昴「加えて言うなら、帰路で『トイレはドコドコ?』ってきょろきょする不審者に出くわして通報もしているみたいだし」

可憐「世も末ね」
239 : 我が下僕   2021/08/01 22:10:17 ID:cCXjBTz5ZM
昴「あとは、そうだな、部長と親しいとすれば、生徒会メンバー? ほら、天空橋先輩、話していただろ?部長は生徒会の仕事を手伝っていたって」

可憐「…………」

昴「生徒会長とかどうなんだろうな。歩の件があるから、あまり話したいとは思えないんだけど」

可憐「…………」

昴「し、篠宮さん? どうしたのさ、黙りこくって」




可憐「大事な人を忘れているわ」

昴「えっ」
240 : 兄ちゃん   2021/08/01 22:10:36 ID:cCXjBTz5ZM
昴「えっと、大事な人? いっしょに孤島に行ったっていう、北沢さんや島原さん、それに、」

可憐「ちがうわ。さっきも話したとおり、二階堂先輩がいっしょに旧棟に行くとしたら、それはかなり親しい人物に限定される」

昴「あ、ああ」

可憐「そう、たとえばそれは――――同じ部の寝顔の素敵な可愛い後輩とかね」

昴「へ?」

可憐「どう?」

昴「ど、どうって、何言ってんだよ、篠宮さん。だって、それ、えっ、そんなこと……」

可憐「ねぇ、昴。確認していい?」
241 : プロデューサー殿   2021/08/01 22:10:57 ID:cCXjBTz5ZM
昴「!」

可憐「思い出して。当時、つまりは二階堂千鶴が階段から転落したとされる日のその時間帯、あなたがどこで何をしていたのか。私に教えてくれるかしら?」

昴「それだったら―――――」

図々しくも沈黙が横たわった。そのことに一番驚き、うろたえているのは、他ならぬ永吉昴だった。
口をパクパクとさせる。何も出てこない。すんなりと出てくるはずの答え、簡単に説明のいくもの。あの日の記憶。
部活動がなければ自分はいつものように1人で家に帰って、レモンの蜂蜜漬けでも、作るなり食べるなりしていたのではないか。

思い出せない。
中身が入っていると思って持ち上げた薬缶が空だったかのような、浮つき。
あるはずの記憶が、探してみれば、そこにはなく。

次に迫りくるのは「なぜ?」という感情。
ううん、そうじゃない。

昴「篠宮さん、もしかして、あの日、部長といっしょにいたのは、そして階段から転落させた人物ってのは―――」
242 : ごしゅPさま   2021/08/01 22:11:12 ID:cCXjBTz5ZM
昴はゆっくりと、昴自身を指差した。
信じられない、そんな顔をしてもなお、彼女の可憐ぶりに目の前の転校生は微笑んでみせるのだった。

可憐「昴、きっともうあなたしか候補はいないのよ。消去法、こんな形で決着するのもどうかと思うけど」

昴「そんな………」

可憐「妖精は自分を持たない、か。ねぇ、昴。ついでにもう一つ教えて。美希ちゃんが言っていたことは本当?」

昴「は? こ、このタイミングで美希? え、なんのこと」

可憐「『オレも美希みたいに可愛かったらなー』って。本当にそう言ったの?」

昴「………うん。それは覚えているよ」
243 : プロデューサークン   2021/08/01 22:11:34 ID:cCXjBTz5ZM
可憐「私、うん、あの場にいた私だけびっくりしちゃった」

昴「そんなに? べつに深い意味なんて、」

可憐「あった。なぜなら私は一度も聞いたことがなかったの」

昴「??」






可憐「昴が『オレ』だなんて一人称を使うのを、私は出会ってから今日まで一度だって聞いていないのよ」
244 : Pしゃん   2021/08/01 22:11:56 ID:cCXjBTz5ZM
可憐「まつり先生も知らない、ううん、今回だけの方法なのかもしれないわ」

昴「ほ、方法……って」

可憐「永吉昴、あなたが妖精憑きかどうか判明させるためのね。さぁ、言える?永吉昴本来の一人称、あなたは使えるかしら」

昴「そんなの、ただ言うだけ……」

可憐「そうよ。簡単なこと。だから、お願い――――昴、私と会う前に、あなたが自分自身を指し示すのに用いていた『オレ』を、今ここで使って」

昴「オ………オ……」
245 : そなた   2021/08/01 22:12:22 ID:cCXjBTz5ZM
可憐「………」

昴「……オ―――オォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」



空気が震える。いや、空間がと表現すべきか。
教室の窓がカタカタと軋む。心なしか机も椅子もガタガタと。
永吉昴の身体から灰色の靄が立ち込めている。
異様、異質、異常。
可憐は息を呑む。覚悟はあった。が、この光景は、この真実は――――




可憐「この香り、へぇ、妖精って思ったより獣みたいなのね」
246 : プロちゃん   2021/08/01 22:12:37 ID:cCXjBTz5ZM
昴「………」

可憐「まぁ、Nカードみたいな表情。あの宣材写真で昴を勘違いしている人もいるんじゃないかしら」

昴「この子は最高よ」

可憐「CV変わった?」

昴「ふふ……らしくないわね、篠宮可憐。あなた、怯えている。強がってもわかるわ」

可憐「どうして、って聞いていいかしら」

昴「私がこの子に憑いた理由?」

可憐「そう。まさか本当に一目ぼれ?わかるかわからないかで言えば、わかるけど」
247 : 箱デューサー   2021/08/01 22:12:53 ID:cCXjBTz5ZM
昴「お得意の推理で当てて見せればいいんじゃない?」

可憐「捜査は私主体に行っていたけど、言うほど推理してきたわけではないわよ。さっきのだって、推理ってわけじゃない。そうよ、私はただ、昴に確認がとりたかった、それなのに……」

昴「悲しげな顔。でも、私にはわかる。あなたはこの状況下をどう切り抜けるか考えているわ。賢い子。あの子と同じ」

可憐「まつり先生……じゃないか。あの人はどちらかというと強かっていうタイプ。脳筋って言ったら怒られちゃうわね。そもそも原作だとフィジカル面は強調されているけど、それよりも年下への面倒見や気遣いができるアイドルとしてって―――ううん、今はそんなことよりも」

昴「閃いた、って顔ね」

可憐「ええ。わかった。二階堂先輩ね。うん、よくよく考えなくてもそれしかない。あなたは、つまり妖精さんは二階堂先輩がお気に召したのね。けれど、彼女はあなたたちを、この無機質な秘密の花園を忘れ去ることに決めた。だから、あなたは昴の身体を借りて抗議した。ちがう?」

昴「お見事」
248 : あなた様   2021/08/01 22:13:06 ID:cCXjBTz5ZM
可憐「さて、では2つに1つね」

昴「つまり?」

可憐「あなたが昴の身体を借りて二階堂先輩を突き落としたのか、それともあなたが脅迫のつもりで昴の身体で階段から自ら落ちたのか」

昴「すごい、冴えきっているわね。……後者に近いわ。べつに本気で落ちようとは思っていなかったけれどね」

可憐「慣れないことをするからよ」

昴「まったくね。千鶴ちゃんはこの子をかばって一緒に階段を転げ落ちるし、入れ替わりでもするかと思ったわ」

可憐「あなたが二階堂先輩の手に、あの紙片を握らせたのね」

昴「他にいないわよね」
249 : プロデューサーさま   2021/08/01 22:13:23 ID:cCXjBTz5ZM
可憐「書かれた請求記号に応じた本、図書室で探すのをすっかり(書き手が)忘れていたわ。何に関する本なの?」

昴「なんだと思う?」

可憐「ヒントはくれる?」

昴「わがままね」

可憐「それが人間よ。知りたくなって、知っても、深く知りすぎるのは躊躇うことがある。深淵を何百年にもわたって引き受けることになるかもしれない」

昴「そうね、そのとおりなのでしょうね。………私は妖精で、千鶴ちゃんは人間。めぐりあえたのは奇跡で、ほんの短い時間であっても私が彼女に魅了されるには充分な時間だった。でも、どうしたってずっとはいっしょにいられない、記憶を持ったままであってもね」

可憐「普通の方法では、かしら。ひょっとしてあなたが場所を示した本、そこには妖精との契約についてでも書かれているとか?」

昴「悪くない答えね。概ね正解」

可憐「ふふ、ありがとう」
250 : Pしゃん   2021/08/01 22:15:18 ID:cCXjBTz5ZM
昴「もう一つ、問題出してあげるわ」

可憐「―――――『なぜ、ここまで私があなたに打ち明けるのか』かしら」

昴「たいしたものね。私としてはもう少し『裏方』として力を蓄えておきたかったけれどそうもいかないみたい」
251 : おやぶん   2021/08/01 22:15:36 ID:cCXjBTz5ZM
妖精「あのね、あなたも私のものにしたいのよ」



瞬間、室温が下がったような気がした。
可憐の背筋にひどく冷たい汗が伝う。

可憐「……そんなことできるの?」

妖精「試したことはないわ。でも、試す価値はある。所詮、あなたたちは人間で、私は妖精。ふふふふふふ」

可憐「言葉を選んでいる暇はないわね。さっさと昴から出て生きなさい、おとぎ話はもう終わりよ!FairyTaleじゃいられないの!」

妖精「Angelタイプのくせに! あなたじゃ私を止められないわっ! あのまつりとかいう継承者だって欺いてみせる! 私はここの、学園の支配者となり、千鶴ちゃんをお姫様として迎えるのよ!!!」
252 : 時間と体力ないよー   2021/08/01 22:18:45 ID:cCXjBTz5ZM
残りは明日の夜か、遅くとも明後日には
ネタバレになりますが、前にレスをいただいたあの子はこの場に登場します

(妖精攻略の)ご意見・ご想像、未回収の伏線諸々、募集中です!
読んでくださればわかるとおり、忘れていたことについても無理やりどうにかぶちこめたらうぶちこみます!

何卒エピローグまでお付き合いください!
253 : 変態インザカントリー   2021/08/02 19:52:29 ID:IpefGal2po
お待ちしております!
254 : プロヴァンスの風   2021/08/02 22:00:35 ID:DqNLf5U2Ws
続きを投下していきます
255 : プロデューサーはん   2021/08/02 22:01:56 ID:DqNLf5U2Ws
前回のタイトル、最後とは言え話数表記が急に日本語になるのも変なので、こっちに差し替えておきますね

256 : Pちゃん   2021/08/02 22:02:18 ID:DqNLf5U2Ws
狭い教壇、空き教室の前側が2人の舞台となった。観客はいない。
可憐と妖精の距離がまた一歩、縮まる。
どのようにして、昴に憑いている妖精が可憐をも支配下におくのか、見当もつかない。
熱い接吻でもするのかしら―――張りつめた空気の中で可憐はそんなことを思う。
じりじりと。迫る妖精に浮かぶ不敵な笑み。知っているはずの少女に貼りつく知らない表情。
ああ、ライヘンバッハの滝で宿敵と対峙しているようだわ、と可憐が現実逃避にも等しい空想に吸い込まれてしまいそうになった、その時。
妖精が動いた。

その細く美しい指先があと数ミリというところで可憐の首に絡みつく、その狂気を遅れて感じた刹那、妖精の動きが止まった。
驚愕の相を露わにする妖精の瞳は可憐を見ていない。後方、いきなり開いた出入り口、そこにいる人物に視線は釘つけとなったのだ。

「すべて思い出しましたわ」

二階堂千鶴がそこにいた。
257 : 魔法使いさん   2021/08/02 22:02:30 ID:DqNLf5U2Ws
二階堂千鶴がそこにいた。


千鶴だけではない。病み上がりのためなのか、肩を貸してもらっている。昴の同級生である舞浜歩に。

妖精「千鶴ちゃん……どうして、ここに」

千鶴「言いましたでしょう、すべて思い出したと。その子、昴から出ていきなさいな。もう終わりにしましょう」

妖精「嫌だっ!!」

可憐「まるで悪戯を先生に見つかった生徒ね」

妖精「黙れ!」
258 : プロちゃん   2021/08/02 22:02:52 ID:DqNLf5U2Ws
歩「あー……えっと、実はアタシ、状況をうまく飲みこめていないんだけどさ、昴であって昴じゃないってのは、なんとなくわかるよ」

千鶴「わたくしがこの旧棟の秘密を、あなたたち妖精のことを知ってしまったのがいけないのですわ。選ばれた者以外、関わるべきではなかった」

妖精「千鶴ちゃんだったら、その選ばれた者になれるよ。私が選んであげる。あの内巻き娘なんかよりずっといい!」

歩「って、言っているけど……?」

千鶴「ごめんなさい。わたくしはあなたとは生きられない」

どこまでも真摯に応じる千鶴。彼女が妖精と直に対話したことがあったかはわからない。可憐の見立てではあくまで妖精は千鶴のことを遠巻きに眺めていたに過ぎない存在だった。昴に憑りつく以前から千鶴に接触していたのなら、まつりが警戒しないわけがない。
すべてはあの日、おとぎ話の継承者であり管理者たるまつりが不在の旧棟で、千鶴が大切な後輩と共にいるのを目にした妖精のあまりに人間らしい感情。
嫉妬から起きた事件だったのだろう。
259 : そなた   2021/08/02 22:03:07 ID:DqNLf5U2Ws
妖精「嘘……なんで…そんな、そんなのってひどいよ」

妖精が膝から崩れ落ちた。涙を流すその姿は痛ましい。
だが、それは借り物の身体だ。返してもらわねばならない。
昴に涙は似合わないものね。

この状態の妖精を問いただすのは難しいと判断した可憐は、まつりと連絡を取ることを考える。
忙しい身であるのはわかるが、この状況をどうにかできそうなのは、彼女しかいない。
こんなことだったら、妖精の祓い方を訊いておくべきだった。今更そう思っても、まさしくあとの祭りであった。
260 : EL変態   2021/08/02 22:03:23 ID:DqNLf5U2Ws
妖精「ふ、ふふふふふふふ」

可憐たちがまつりに連絡しようとしていると、妖精が不気味に笑い出した。
やれやれ、と可憐は嫌な予感を嗅ぎ取る。まだエンディングを迎えられないみたいね。

妖精「わかった。そうよね、私じゃダメよね。所詮は住む世界が違うもの」

可憐「そうね。……落ち着きなさい。たぶん今、あなたが考えていることは、最悪なことよ」

あの日、この妖精がしたことを考えれば、何をしようとするかは予想がついた。ついてしまった。

妖精「あなたたちにとってはね」

すっと、妖精は窓際へと移動する。窓がひとりでに開く。
―――ここは3階よ?! 特に描写がなかったけれど!
焦る可憐たちを見て愉しそうに、いや、哀しそうに妖精は笑った。
261 :   2021/08/02 22:03:39 ID:DqNLf5U2Ws

妖精「千鶴ちゃん、さよなら。私はこの子を……道連れにするわ!」

千鶴「!!」

可憐「そんなことさせないっ」

千鶴に歩が肩を貸している今、瞬時に動けるのは可憐しかいなかった。

歩「篠宮さん!!」

千鶴「いけませんわ!!」

妖精のもとへ、ちがう、大切な友人のもとへと駆けだした可憐に千鶴と歩が叫ぶ。
身を挺して庇って、生きていられる高さではない。
262 : EL変態   2021/08/02 22:04:32 ID:DqNLf5U2Ws
可憐「どりゃぁあああああ!!!」

美しい少女から雄叫びといって差支えない声があがった。
窓から飛び降りようとしていた妖精は逆に教室の中に引っ張られ、そしてそのまま可憐の繰り出した背負い投げをもろに喰らった!
※スタント起用 誰も怪我しないように撮影しました

千鶴「え?」

歩「す、昴ぅ!!!!」

可憐「ほんと、最悪だわ………」

昴「きゅ、きゅー……」


かくして妖精は可憐によって物理的に祓われた。
この技こそ退魔の背負い投げ――――前の学校で不良生徒相手にやむを得ない事情で繰り出さざるを得なかった必殺技なのだった。

そして可憐の転校理由でもあった。


エピローグにつづく
263 : エピローグは明日の夜を予定   2021/08/02 22:08:19 ID:DqNLf5U2Ws
妖精の攻略法、いくつか考えましたが、ここにきてまどろこしいのも嫌だなーと思って、これにしました。
可憐の身体能力が高いのは物語冒頭で明かされているし、初期設定であったし、転校の理由にもできたし!

エピローグ、もしかすると安価ないかもです
(最終安価、作りたい気持ちもあるにはあるんですけど)

最後の最後までお付き合いくださいませ!!
264 : ご主人様   2021/08/03 23:29:34 ID:5CI3xf.xPA
遅くなりました!
安価なしです!
エピローグ投下していきます!
265 : 夏の変態大三角形   2021/08/03 23:30:04 ID:5CI3xf.xPA
旧棟での妖精祓いから1週間後
東棟 屋上


可憐「………」

朋花「こんなところにいたんですね~」

可憐「天空橋先輩?どうしてここに……」

朋花「それはこちらの台詞ですよ~?ふらりふらりと彷徨っているので、探すのに苦労しました~」

可憐「何か私に用ですか」

朋花「ええ、遅くなりましたが千鶴のことでお礼を言いたくて~」

可憐「礼を言われるようなことなんてなにも」
266 : ごしゅPさま   2021/08/03 23:30:17 ID:5CI3xf.xPA
朋花「でも、貴方がいなければ千鶴は人ならざる者の花嫁となっていたと聞きましたよ~?」

可憐「そこだけ切り取ると、素敵なお話に聞こえなくもないですけどね。そういった小説や漫画だったら掃いて捨てるほどあるんじゃないですか」

朋花「可憐さん、貴女―――」

可憐「なんですか」

朋花「やさぐれていますね」

可憐「……べつに」

朋花「昴ちゃんのことで、ですね~」
267 : せんせぇ   2021/08/03 23:30:33 ID:5CI3xf.xPA
可憐「………」

朋花「聞きましたよ~。千鶴が転落したあの日から、貴女が旧棟ですべてを解決した1週間前までの日々、その時間の記憶が消えてしまったのだと」

朋花の言うとおりだった。昴の記憶が消えた。
可憐の退魔の背負い投げによって、すなわち妖精を祓ったことで、憑いていた頃の記憶をすべて消し飛ばしたと解釈すればいいのか、それとも妖精の最後の悪あがき、可憐に対する報復であるのか。
妖精、むしろ魔物と化す寸前であったあの子がいなくなった今では確かめようがない。
可憐と過ごした日々をきれいさっぱりに忘れていた昴。
元来、可憐は友人を作るのが上手ではない。前の学校においても、もしもっと可憐が周囲の人間と友好関係を築くことができていたのなら、例の不良生徒との突然の対峙もなかったのかもしれない。
可憐が転校するきっかけとなったいざこざについては詳しく語るつもりはない。
結論として、本来の可憐というのは刺々しい薔薇のようなもので、その美しさも強かさも、他人を魅了するが実際に触れることは躊躇してしまう、そんな存在であった。
そういうわけで、彼女がこの学園で得た友人というのは貴重であり、大切であり、失くしたくないものだった。
268 : 下僕   2021/08/03 23:30:45 ID:5CI3xf.xPA
朋花「私としては、また最初からやり直せばいいと思いますよ~?」

可憐「香りが違うんです」

朋花「……香り?」

可憐「はい。あの日、何気なく写真部を見学しにいって、私を惹きつけたあの子の香り。それが今はしない」

朋花「それは、えっと、つまり人ではない者が憑いていたからこその香りだったと?」

可憐「おそらくは。今の昴は私の知る昴であって、昴ではないんです」

朋花「今の昴ちゃんからは貴女が好むような香りはしないんですか~?」
269 : そこの人   2021/08/03 23:30:58 ID:5CI3xf.xPA
可憐「……わかりません」

朋花「そうですか~。私からすれば、やっぱりただやさぐれているように見えますね~」

可憐「――っ」

朋花「ふふっ、存外、貴女は傷付きやすいところがあるのでしょう~、貴女自身がそれをこれまでは意識していなかっただけで」

可憐「……そうなんでしょうか」

朋花「そんな子犬のような眼差しを向けられてしまうと……。幸い、ここには誰もいません。泣きたいのであればいくらでも泣いていいんですよ~?この聖母が抱きしめてあげましょうか~?」

可憐「いえ、そんなことをすれば、そこで見守っている豊川さんが妬いてしまうでしょう」

朋花「え?」
270 : ハニー   2021/08/03 23:31:16 ID:5CI3xf.xPA
ガタガタと可憐の声に反応して、屋上の出入り口に音が鳴る。扉がほんの少し開いている。
扉のすぐ後ろにいて聞き耳を立てていたのだろう。

可憐「香りには敏感なんです」

朋花「この私でさえ気づかなかったというのに、なるほど、たしかに貴女は名探偵ですね~」

可憐「まさか。今じゃ、ただの拗ねている大型犬みたいなものですよ」

朋花「………昴ちゃんとちゃんと話してみては?」

可憐「前向きに考えておきます」

朋花「ふふっ、千鶴を通じて朗報をお待ちしていますよ~。では、私はこれで。急用もできたので~」

可憐「お手柔らかに。可愛い後輩でしょうから」

朋花「ふふふっ、そうですね~」
271 : レジェンド変態   2021/08/03 23:31:46 ID:5CI3xf.xPA
朋花が去ると可憐はまたひとりで空を眺めた。
快晴。梅雨明け宣言はなされていないが、どうせ数日後には明けていましたと遅れての宣言がされるに違いない。
なんだか疲れちゃったなと可憐は座り込む。背中を預けられる壁があるところまで移動した。
思えば、昴のこと以外でも展開のあった1週間だった。
なかでも、39万ドルもの臨時収入があったというまつり先生が、園芸部員たちのために温室等の設備やその他諸々に投資したのは忘れようがない。
依頼の報酬といっていたが、いったいどんなことを成し遂げたらそんな大金を得られるのか。
あと、もう一つ。あの中庭には旧棟の妖精たちを鎮める魔法や儀式に用いるような植物を代々育てているそうで、そのせいもあって一般生徒ではなく業者によって管理されてきたのだという。
まつり先生に自分のしたことを明かした舞浜歩からの情報だ。お咎めらしいお咎めはなかった代わりに、今度からまつり先生の副業(?)を手伝うことになったとも聞く。
歩は「命がいくつあっても足りなさそうなんだよな……」と苦笑いしていた。


あと、どこから聞きつけたのか知らないが菊地先輩からは、乙女武闘部に誘われている。
旧棟とはべつの意味で得体のしれない部だ、今のところ断っているが、見学だけでもいってみようか。
兎にも角にも、これからのことはゆっくり考えればそれでいい―――。
272 : プロデューサー殿   2021/08/03 23:32:15 ID:5CI3xf.xPA
どれぐらい時間が経ったのだろう、数分か、数十分か。
目を覚ました可憐はついうっかりこんな外で居眠りしていたことに気がついた。
そして、すぐそばにいる少女の存在に。

昴「あっ」

可憐「へ? す、昴!?」
273 : 貴殿   2021/08/03 23:32:27 ID:5CI3xf.xPA
昴「ち、ちがうんだ、オ、オレ……ほら、いつの間にか梅雨っぽくなくなって、空が綺麗なものだから、近くで撮りたいなーって、それで偶然、ここが施錠されていないことがわかって、それで、あの……つい綺麗だから撮っちゃったんだ」

可憐「撮ったって―――もしかして私の寝顔!?」

昴「ご、ごめん!」

可憐「消しておいて。それは記録するものじゃないわ」

昴「……どうしても?」
274 : プロデューサー様   2021/08/03 23:32:39 ID:5CI3xf.xPA
可憐「逆に訊くけどどうしても残したいわけではないでしょう?」

昴「でも……無防備に眠る篠宮さん、綺麗だったよ?」

可憐「~~~っ」

昴「あっ、もしかして照れているのか? その表情、いいな。1枚撮っていい?」

可憐「よくない!」

昴「えー」

可憐「えー、じゃないわよ」
275 : 魔法使いさん   2021/08/03 23:32:55 ID:5CI3xf.xPA
昴「あのさ、篠宮さん」

可憐「なに」

昴「いろいろありがとな。オレ、全然覚えていないけど、なんとなく、うん、篠宮さんにはいっぱいお世話になったっていうか、いっしょに過ごした、そんな気はするんだ」

可憐「でも、覚えていないのよね」

昴「うっ……それはそうだけど」

可憐「はぁ……まぁ、いいわ。ええ、もうなんだか、意地を張っていたのが馬鹿みたい」

昴「篠宮さん?」
276 : Pチャン   2021/08/03 23:33:11 ID:5CI3xf.xPA
可憐「私は今の昴の香りも好きよ」

昴「!?!?」

可憐「だから、その『篠宮さん』っていうのやめなさい。これからは可憐と呼んで」

昴「い、いきなりだな」

可憐「私としてはこの数日、考えていたことだけどね。もう一度、昴とお友達になれるかどうかって」

昴「……そっか」

可憐「うん」

昴「な、なぁ、可憐」

可憐「……うん」
277 : 夏の変態大三角形   2021/08/03 23:33:24 ID:5CI3xf.xPA
昴「へへっ、なんだか気恥ずかしいな」

可憐「すぐに慣れるわ。私もそうする」

昴「そういうものかな?」

可憐「そういうものよ。で、まだ何か言いたいことあるみたいだけれど?」

昴「ああ。可憐、写真部に入らないか?」

可憐「え?」

昴「実は部長からも『誘ってみればいいじゃない』って言われていて……」
278 : 下僕   2021/08/03 23:33:41 ID:5CI3xf.xPA
可憐「ふうん、写真部に入ったら、昴の寝顔撮り放題? 図書室の寝台特急さん♪」

昴「ええっ!? あの話も知っているのか!? 撮り放題って、そ、そんなことないけど……1枚ぐらいなら」

可憐「ま、いいわ。前向きに検討してみるわね」

昴「お、おう。あと、もう一ついい?」

可憐「なに?」

昴「記念に1枚。えっと、オレたちの新しい関係に? ちゃんと記録残しておけば、たとえまた忘れたって、思い出せるかもって」

可憐「そうね、もっと2人で写真を撮っておけばこうはならなかったのかも……ううん、考えたってしかたない、か」
279 : そなた   2021/08/03 23:34:06 ID:5CI3xf.xPA
昴「撮っていいかな?」

可憐「………」

昴「可憐?」

可憐「んー、やっぱダメ。代わりに――――」

昴「えっ―――」

ぎゅっと。
可憐が昴を抱きしめる。唐突な抱擁に唖然とする昴。
280 : Pはん   2021/08/03 23:34:31 ID:5CI3xf.xPA
可憐「フレグランスは写らない」

昴「!」

可憐「昴、この香りをよく覚えておくのよ。記録じゃなくて記憶に強く刻み付けなさい。………いい?」

昴「う、うん」

可憐「忘れたら嫌だからね。そんなの……ダメなんだからね」

昴「可憐? ………泣いているのか?」

可憐「ち、ちがうわ。ちょっと花粉症気味なだけ」


昴を抱きしめたまま、涙が零れ落ちないよう、可憐は澄み切った空を見上げた。すっかり夏の空だ。
ふふっ、推理するまでもないわね。
この夏は忘れられない夏になる――――――
281 : 下僕   2021/08/03 23:35:01 ID:5CI3xf.xPA
765プロ劇場ドラマⅢ
『フレグランスは写らない』


282 : プロデューサーさま   2021/08/03 23:40:58 ID:5CI3xf.xPA
ご愛読・ご協力ありがとうございました!!

あれ?これはどうなった?みたいな部分もあるかと思いますが、そのあたりは何卒お許しを
(主に反省点を)語りたいことはアホほどあるんですが、だらだらと書いてもみっともないので、1点だけ
昴の一人称、「オレ」も「私」も使ってこなかったのは、半分は偶然でした
昴を最初から黒幕めいた何かにする気はなかったってことです
ただ、3話過ぎたあたりからは何かに使える伏線になるかなとは考えていました(双子ネタとか)

本当にお付き合いありがとうございました
(需要関係なしに?)次回も8月中にスタートしたいなーと思っていますので、ご愛読・ご協力してくださると嬉しいです
283 : プロデューサーちゃん   2021/08/04 00:07:18 ID:tYSdkG6Tis
おつかれさまでした!
名前 (空白でランダム表示)
画像 ※JPEG/PNG/GIFのみ。最大サイズ合計: 8MB



画像は3650日で自動削除する
画像認証 (右画像の数字を入力) 投稿キー
コメント スレをTOPへ (age)

※コメントは15行まで
※画像などのアップロードの近道 : http://imgur.com/
※コメント書き込みの前に利用規約をご確認下さい。