【安価SS】可憐のアトリエ 最終話 つづき
1 : 仕掛け人さま   2022/06/23 06:29:25 ID:iD0VEg7JlY
立てーっ!
2 : 兄ちゃん   2022/06/23 06:29:38 ID:iD0VEg7JlY
そんな気はなかったのに1スレをほぼ消化状態にしてしまったので、2スレ目です

前スレhttp://imasbbs.com/patio.cgi?tr=all&read=24313


これまでのあらすじ
旧バンナム皇国領の東に位置する街、ミリ・シタ。
一時は大都市へと発展を遂げる望みのあった、この街は十数年前の流行り病によって当時の市街地を放棄しなければならなかった。
街のはずれ、花香る丘に住む少女・可憐は祖母が亡くなってからは1人暮らしをしているのだった。
ある春の朝、可憐はわんだほーでびゅーてぃふるな年齢不詳の女性・まつりと出会い、錬金術を教わることに……。
街の人たちの依頼解決、冒険、お祭りを経て、季節が秋になる頃、可憐は街では名の知れた錬金術士となっていた。
そんな折り、友人でこれまで冒険も共にしてきた、天空教会のシスター朋花からある依頼をされる可憐。
それは、流行り病に関する隠された真実と脅威が眠っているかもしれない、地下研究施設の探索であった。
かくして可憐は、朋花、師匠のまつり、世話焼き物知りお姉さんの千鶴、別の街からやってきた劇団員エレナ、それから朋花がかつていた霊山から派遣された騎士たち4人の計9人でその施設―――タルタロスを攻略することになったのだが……?
3 : ぷろでゅーさー   2022/06/23 06:31:33 ID:iD0VEg7JlY
前スレに情報が詰まっていることもあって、下手に自分で埋めずにageることもなく、過去ログ入りするまでに本編を終了させるつもりです
ですので前スレは放置しておいてください

本編の状況を確認しておくと、やむを得ない事情でパーティが二手に分かれています
A.可憐・千鶴・朋花・美也・エミリー
B.まつり・エレナ・恵美・貴音

そしてパーティAが今、流行り病に関係する悲劇の産物、ウミウシ型の魔物と戦っている途中です
どういうことなの……?→詳しくは前スレをご覧ください

つづき(TURN3のOFFENSE PHASE安価)はなるべく今日中には提示
遅くとも明朝には
何卒最後までお付き合いください!
4 : 魔法使いさん   2022/06/23 12:41:55 ID:EfZg4A4cuY
次スレおつ
最後まで見届けるよ!
5 : プロデューサークン   2022/06/23 19:53:09 ID:iD0VEg7JlY
>>4
ありがとうございます!励みになります!


エネミー情報 ※前スレのやつのコピペ
(ぶっちゃけ読まなくても、こっちで全部計算するよ!)

悲愴なるツヴァイグランツ
耐久値961

安価3レスの総和により攻撃スキルが決定 
偶数=≪星咲の歌声≫ 基礎値150+確定値3レスの最大値
奇数=≪獅子戦吼≫ 基礎値3レスの最小値×5 下限100・上限200
素数=≪紫電清霜≫ 基礎値100+確定値100

※優先度は奇数<素数
※DEFENSE PAHSEで軽減できる被ダメージ値が基礎値、確定値は軽減無効

補助スキル
≪アクセルレーション≫
2ターン名以降、最終与ダメージが+0.1倍される
→7ターン目の攻撃値が1.6倍になるということ

≪メルヘンリリー≫
1ターンに受ける被ダメージが320を超えることがない
→今回の戦闘は必ず4ターン目を迎えるということ
6 : Pサン   2022/06/23 19:54:06 ID:iD0VEg7JlY
TURN3 OFFENSE PHASE
【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
※00は0ではなく60として扱う

千鶴たちの協力によって、可憐はマナを自身の限界値までチャージすることに成功した
これで最大威力でアイテムを使えるぞ!

≪原初の種火≫
基礎攻撃値 最小値×3.9 小数点以下切捨て 上限150
・いずれかが3の倍数 50
・いずれかが5の倍数 50
・いずれかが8の倍数 50
・いずれかの1の位が6か9 70
・すべて奇数あるいは偶数 90
・いずれかが二桁の素数 90
・最大値と最小値の差が7の倍数 100
・中央値が10の倍数 100
・最小値が30以下の4の倍数 参照する値を最大値に変更  
・最大値が50以下の奇数  倍率を5に変更かつ上限を200に変更

※どれも満たさなかった場合、基礎攻撃値を300に固定する
※8つ以上満たした場合、戦闘終了 

さらに以下の条件を満たすことで追撃が発生する
・総和が30~49  蝶々の追撃 38
・総和が60~89  金色の追撃 50
・総和が100~119 聖母の追撃 70

※どれも満たさなかった場合、千鶴の快癒の光によって味方側耐久値を100回復

【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
何卒ご協力お願いします!
7 : プロデューサー君   2022/06/23 20:20:48 ID:H5xNFUMc2g
おつ
8 : プロデューサーさん   2022/06/23 20:55:04 ID:wHhnS1gjA2
ジュリアの加護を
9 : Pさぁん   2022/06/23 22:06:32 ID:P9fir9xEKk
れおぽん…
10 :   2022/06/23 22:42:27 ID:iD0VEg7JlY
レスありがとうございます!

判定(48,04,32) 総和84

150+50+50+90=340
追撃判定+50
よって合計390となるところを≪メルヘンリリー≫の発動により320

したがって、
悲愴なるツヴァイグランツ 
残り耐久値573-320=253


続きは明日中に投下します
何卒最後までご協力おねがいします!
11 : あなた様   2022/06/24 07:14:16 ID:.mLLc96VKI
再開します
描写ありませんでしたが、千鶴が囮となっている間に可憐が力を溜めるだけではなく、残りの4人で作戦を打ち合わせていたということでお願いします
12 : おやぶん   2022/06/24 07:14:30 ID:.mLLc96VKI
可憐「エミリーちゃんっ、千鶴お姉ちゃんを敵から遠ざけてっ」

エミリー「お任せあれ!」

先に繰り出した大技の反動で、一時的に行動不能になっていたエミリーが、可憐の合図で駆け出す
目標は、今なおツヴァイグランツの注意をその身ひとつで引きつけている千鶴の救援である
敵の死角から接近し、ほぼ密着した状態で雷神剣でその胴体を突く 
が、この一撃は深い傷を負わせることが目的ではない
ツヴァイグランツの体表の硬度が金剛石よりも遥かに高いのはわかっているエミリーである


エミリー「痺れなさいっ、雷神剣・萎靡沈滞の型―――痺鯰!」

狙いは最大出力で放たれる雷撃をもって敵の動きを制限すること
痺鯰(デンキナマズの別称)は麻痺効果のある奥義であり、その威力は並の魔物なら息の根を止めるに至る
しかしツヴァイグランツは動きこそ止まったものの、その状態は長く続かないようだ
すぐにエミリーが千鶴の介抱に向かう

千鶴「はぁ、はぁ……可憐、わたくしはいったい……?」

ツヴァイグランツから距離をとって正気を取り戻す千鶴。

可憐「しばらく休んでいてね、千鶴お姉ちゃん」

可憐(千鶴お姉ちゃんが必死の覚悟で繋いでくれた時間。エミリーちゃんが作ってくれたチャンス、無駄にはできない)

可憐「美也さん、朋花ちゃん、今ですっ!」
13 : そこの人   2022/06/24 07:14:43 ID:.mLLc96VKI
美也「はい~、それ~っ」

秘剣・幸福蝶を優美に振り回す美也
その鱗粉は味方側ではなくツヴァイグランツに振りかかる
可憐を癒したり、エミリーに闘気を授けたときの光の粉とはまるで違う、毒々しい色合いであった
堅固な鎧をも朽ち果てさせる猛毒の術式、これによりツヴァイグランツの体表に備わる天然のシールドを無効化する

朋花「聖域展開ですよ~」

一方で朋花は避難してきたエミリー、千鶴を含めた味方全体を包み込むような聖なる領域を展開する
いや、可憐はその外にいる その手にあるのは最大まで霊力を溜めた錬金杖と、古めかしいランタンのような形をしたアイテムであった

可憐「創世の力よ、今ここに……!」

錬金杖を高く掲げると、もう片方の手にもっていたランタンを離す
すると、杖の周囲を小さく回り始め、しだいに光り始めた

可憐「世界を穿ち、光を届けて……! 爆ぜなさい、原初の種火!」

その言葉でランタン―――可憐が培ってきた錬金術の結晶であり、あのスラグ・フォートレスの砲身を砕いた黒のエクリプスさえをも凌駕する威力を持つ爆弾である原初の種火――――が麻痺しているツヴァイグランツ目がけて、飛んでいく
敵との距離が零となるその直前、可憐は朋花が展開している聖域の内側へと何とか入り込む
そして原初の種火がツヴァイグランツの身に到達し、爆発した!
14 : プロちゃん   2022/06/24 07:15:09 ID:.mLLc96VKI
轟音と熱風が空間を一瞬で支配する 
それに加えて響き渡るは苦悶の鳴き声 もはや歌などではない悲鳴
朋花の精一杯の聖域は瞬く間に溶け、可憐たち5人は床に身を屈めて衝撃をどうにか緩和しなければならなかった


可憐「こ、これでどう!?」

エミリー「わっ! 白と橙の海牛さんが真っ黒に!」

朋花「体表が焦げ、ひび割れ、動きも止まった……?」

美也「お~、私たちの勝利で……え?」

ズズ……
※うどんを啜る音じゃないよ!

千鶴「嘘……まだ動きますの?!」

可憐「なに、あれ……背中から出てきたのは……芽?」

皆がツヴァイグランツの背中を見やる、もたれた頭、その瞳も黒焦げて、生気はないにもかかわらず生えてきた芽は急速に成長する
1つではない無数の芽が背からにょきにょきと珍妙に生えて、そしてほどなくして花を咲かせた
その花の美しさに5人は戦慄する それは現世にある美しさではないと直感したのだ
それは幽世の花に相違ない、今、開けてはならない蓋が開かれたように可憐は感じた
そして―――
15 : Pサマ   2022/06/24 07:15:23 ID:.mLLc96VKI
可憐「せ、背中が裂けて、中から何か……!」

無数の花をその焦げた身に咲かせたウミウシがぱっくりと背中から裂ける
その不可思議な光景に皆が恐れを抱かずにはいられなかった
中から現れたのは巨大なウミウシ以上に奇怪な見た目の生き物だった

千鶴「なんですの!?」

エミリー「あ、あ、そんな……あれは鵺?」

朋花「キマイラ系統の魔物?ですが、あんな特徴を持つという種は知りません」

美也「つぎはぎの怪異、ちぐはぐな容貌、混沌としたあれが、私たちに敵意を向けているのは間違いなさそうですね~」

穏やかな口調とは裏腹に冷や汗を流す美也

可憐「うっ……ダメ、吐きそう……邪気が濃すぎます……っ」

千鶴「来ますわよっ!」
16 : 兄(C)   2022/06/24 07:15:36 ID:.mLLc96VKI
▶エネミー情報が更新されました

混沌なるツヴァイグランツ
残り耐久値253

攻撃スキル更新 
≪アライアンス・スターダスト≫
基礎値(150-最小値)+確定値(100-最大値)


補助スキル更新
≪混沌の花≫
IDに含まれる数字1つにつき
①最終攻撃値+2% 上限20%
②(味方側の)軽減値-3% 下限-30%


うまくいけばTURN4のDEFENSE PHASEをしのいで、OFFENSE PHASEで止めをさせるようにします
可憐たち側の耐久値が0になった場合の展開も考えてはいます
17 : 変態インザカントリー   2022/06/24 07:18:47 ID:.mLLc96VKI
可憐(みんなの消耗が想定よりずっと激しい。回復と補助アイテムがうまくきまればいいけど……私も今のでマナを一旦底をついちゃったから、発動させるのは難しいかも)

TURN4 OFFENSE PHASE
【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
※00は0ではなく60として扱う

可憐は調合してきたアイテムで混沌の力をどうにか対抗しようと試みる!

1.エネルジアニカ
・21~49かつ奇数 25
・3か14の倍数 25
・最大値ではない 30

2.ラアウェの秘薬
・10~28かつ偶数である 15%
・5か17の倍数 15%
・最小値ではない 20%


3.生命の蜜
・素数である 30
・7か10の倍数 20%
・中央値ではない 15+15%

このうち2つ以上が未発動の場合、かつ以下の条件を満たすとエミリー・美也の支援が得られる
・未発動となった値の和が4か11か19の倍数  25%


また、以下の条件を満たすと朋花の支援が得られる 
・中央値が13の倍数 40
・総和が100以上 40
・最大値と最小値の差が9の倍数 30%

※共起なし 効果が大きいものを優先

【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
何卒ご協力お願いします!
18 : プロデューサー君   2022/06/24 08:49:32 ID:cX8PA8kyRI
ほい
19 : P君   2022/06/24 13:34:55 ID:9eB3J7FL3s
回復回復〜
20 : ぷろでゅーしゃー   2022/06/24 17:26:58 ID:.mLLc96VKI
時間が作れそうで、早く進めたいから自レスします
ただ、このレスについては補助スキルのID内数字は無効で
21 : 変態インザカントリー   2022/06/24 17:43:42 ID:.mLLc96VKI
判定(32,55,58) 総和145 ID内数字総数6

混沌のツヴァイグランツの攻撃値
基礎値118
確定値42

基礎値について混沌の花の効果で
+12%適用→132(小数点以下切捨て)


可憐たち側の軽減値/率
30+15+40=85
35%+15%=50%
混沌の花の効果で-18%適用→32%

よって、
基礎値132を32%軽減したうえで、-85
→102-85=17

ここに確定値を足すので、17+42=59

したがって被ダメージ総量は59
可憐たちの耐久値152(前スレ参照)-59=93
22 : バカP   2022/06/24 19:07:48 ID:.mLLc96VKI
混沌なるツヴァイグランツの体が妖しく光ると、そのまま星屑を纏い突進してくる
しかし可憐たちはそれを冷静にいなすと、隙を見て回復アイテムを使用した
とりわけ前衛を務めた千鶴・エミリーの疲労具合は、かなりのものとなっていたが、まだ足は動くようだ

可憐「や、やった!うまく発動できた……!」

千鶴「力がみなぎってきますわ!っと、おっとっと」

朋花「千鶴さん?ふらついているではありませんか~。無理をなさらないでください~」

千鶴「え、ええ」

エミリー「混沌とした見た目ですが動きはさほど速くありません。これなら回避に専念すれば問題ないですね」

美也「はい~、ですがいくら可憐ちゃんのアイテムがあるにしても、これ以上の消耗は避けたいですな~」

朋花「ええ。このタルタロス、まだこの悲しき怪物以上の脅威が眠っている可能性があります。第一、無事に帰るまでが冒険ですからね~」

鵺ともキマイラともつかない混沌とした魔物
その猛攻を受け切った可憐たちは、幕引きのために再び攻撃に転じる

朋花「みなさん、この者の最期は私に任せてくださいませんか~?」

可憐「え?」
23 : 夏の変態大三角形   2022/06/24 19:08:05 ID:.mLLc96VKI
朋花「油断するつもりはありません。ただ……これが本当に、かつて人であったというのなら……一度冥府へと送られたその命をこのような形で現世に取り戻したというのなら、聖母として再び清らかなる約束の地へ、送り返してあげたいのです」

エミリー「朋花様……」

千鶴「ですが、朋花。あなたにあの魔物を退治する術はありますの?」

美也「それならご心配には及ばないですよ~」

可憐「み、美也さん?」

美也「朋花ちゃん、きっと今なら、その霊扇が朋花ちゃんの決意と覚悟、使命に応えてくれるでしょう~」

エミリー「! もしかして……」

千鶴「何をするつもりですの?」

可憐「わ、わからない。けど、朋花ちゃんを信じて、私たちは時間を稼ぐよ……!それでいいかな」

朋花「ええ、ありがとうございます。可憐さん。聖母として、霊山巫女候補第3位≪天空橋≫の朋花として私はなすべきことをするまでです~」
24 : プロデューサーちゃん   2022/06/24 19:08:21 ID:.mLLc96VKI
可憐「じ、陣形展開!朋花ちゃんには指一本触れさせません……!」

エミリー・千鶴・美也「了解(しました~)!」


朋花(ふぅー……必ず成功させなければなりませんね)

朋花は小さく構築させた聖域上で、呼吸を調えた。
そして霊扇を一度、閉じる。朋花は思い出す。
霊山を離れるあの日、母がこの霊扇を自分に渡し、教えてくれたことを。
ただの破魔の霊力が込められた扇子にあらず。この扇子こそが巫女候補としての成熟の度合いを示す、秤でもあったのだ。

閉じた扇子を両手で抱きしめるように持ち、祈るような面持ちで朋花は唱え始める
その詠唱は可憐たちの耳に届かぬ小さな声、そのはずであったのにやがて、聖域が拡大していき、元の声量のまま、部屋にいる生ける者どもの耳に、魂に到達する。

そして―――

朋花「聖なる霊界に住まう獣よ、我が呼び声に応えて、降臨せよ――――」

千鶴「天井に何かが!?あ、あれは魔方陣?」

エミリー「あれは召喚陣です、ですがあの術式は初めて見ます」

美也「はい~、霊山の召喚士が使役できる下級な魔獣とは違いますからね~」

可憐「聖獣?」

エミリー「巫女候補は、はじめ多くいてもその素質の強弱と日々の成長によって淘汰されていくもの。聖獣との盟約は真の巫女として認められるには避けて通れない試練であり、証なのです」

美也(当代の霊山巫女である麗花様であっても聖獣を召喚し、盟約したのは16歳の頃と伺いました~。うまくいくといいのですが~)
25 : 下僕   2022/06/24 19:08:38 ID:.mLLc96VKI
霊山の筆頭花師である朋花の母親は、美也にその秘剣・幸福蝶を譲り渡す際に誓いを立てた。
もしも朋花が聖獣召喚の儀を執り行う状況下となったそのときには、その一部始終をその眼に焼き付け、あとですべて語り聞かせると

美也(朋花ちゃん……)

朋花「天空橋の名で、血で、魂でここに誓約する……来たれ、我が友、血肉となりし聖なる獣よ!」

千鶴「何か出てきましたわ!」

可憐「お、降りてくる……あれって――――」

エミリー「ぶ、豚さんですっ!」

美也「なんと~」

朋花は聖獣の召喚、そして盟約に成功した
その聖獣は大きなぬいぐるみのように可愛らしい姿かたちをした豚であった
丸々としたその体長というのは、縦に80㎝、横に1メートル余りといったところであろうか
千鶴の知る食用の家畜とは似て非なる存在であり、後になって可憐が気づくのだが背の部分にごくごく小さな翼を生やしているのだった
その翼があるから、ではないだろうが空中浮遊をしている様はファンシーであり、つぶらな瞳は盟友である朋花に母性を早くも見出している
26 : ハニー   2022/06/24 19:09:14 ID:.mLLc96VKI
TURN4 OFFENSE PHASE
【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
※00は0ではなく60として扱う
混沌なるツヴァイグランツ 残り耐久値253

朋花は聖獣トクガワ(かつて霊山を救った美しき豪傑が由来だぞ)の力を借りて、混沌なるツヴァイグランツを冥府へと送り返すつもりだ!

聖獣トクガワ
基礎攻撃値 100-最小値×2 上限70 下限0 
・いずれかが奇数
・いずれかが4か7か11の倍数
・いずれかの1の位が1か3か9
・中央値が29~50
・いずれかが素数
・最小値が1桁
・最大値と最小値の差が5の倍数ではない
上記7条件のうち、満たした数によって発動スキルが決定される
1:基礎攻撃値の最小値参照を×1に変更

2~4:基礎攻撃値を70+最小値×2かつ上限を150に変更

5:基礎攻撃値を100+中央値×2かつ上限を200に変更

6:基礎攻撃値を3レス総和×2に変更 上限無し

7:固定値390 


さらに以下の条件を満たすことで千鶴の追撃が得られる
・総和が40~59  75
・すべて奇数   90
・中央値と最大値の和が10の倍数 110

なお、敵側の耐久値が100未満になった場合、FATAL PHASEに以降
【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
何卒ご協力お願いします!
27 : 兄ちゃん   2022/06/25 05:24:56 ID:5tfLiIlUMc
終盤なんで自レスしてでも進めていきますわー
周年イベ開始までには終わらなさそうっす
28 : 兄(C)   2022/06/25 07:54:07 ID:7SRWKw/cjw
姫は子豚ちゃんだったのか

ぶひー
29 : プロデューサー様   2022/06/25 08:00:34 ID:942f9YCtck
おはよう
30 : 仕掛け人さま   2022/06/25 11:49:13 ID:N5WEWy8Wjc
レスありがとうございます!
副業中なんで、判定だけ
(56,07,34) 

該当項目数は6
したがって97×2=194
さらに34+56=90で、10の倍数であることから+110

最終攻撃値304  撃破達成!
オーバーキルやね、さすがトクガワ

続きはなるべく今日中に
何卒ご協力お願いします!
31 : プロデューサーさま   2022/06/25 19:32:21 ID:5tfLiIlUMc
千鶴「なんて可愛らしく、神々しい豚さんですの!じゅるり」

可憐「ち、千鶴お姉ちゃん、聖獣は食用じゃないよ!た、たぶん」

エミリー「てっきり白竜や銀狼、大鷲の姿の聖獣を使役すると思っていましたが、まさか豚さんとは……」

美也「朋花ちゃん、その子の名前は何ていうんですか~?」

朋花「名前……聖なる獣たちには、彼らの存在を縛り付ける真名というのはありません。盟約を交わした私たちが彼らに与えるのが習わし……」

千鶴「ロースやバラ、もしくはヒレなんてどうですの?いえ、モモがいいですわね。美味し……可愛いですから」

可憐「千鶴お姉ちゃんは黙っていようね?」

美也「では霊山の救世主にあやかるというのはどうでしょう~」

エミリー「それってもしや?」

朋花「フェスティバル・トクガワ……。なるほど、ではフェスタというのは――」

美也「トクガワにしましょう~♪」

可憐「え?」
32 : P様   2022/06/25 19:32:40 ID:5tfLiIlUMc
トクガワ「ぶひ?」

美也「お~、気に入ってくれたみたいですな~、むふふ」

朋花「本当にトクガワでいいんですか~?」

トクガワ「ぶひー!」

可憐(何言っているかわからない……!)

朋花「やれやれ、しかたありません。では、トクガワ。さっそくですがあなたの力が必要です」

トクガワ「ぶひ?……ぶひ?」

朋花「悲しみをここで断ち切るのですよ~。できますよね~?」

トクガワ「我が盟友よ。その切なる願い、しかと心得た。いざ、参るっ!!」

可憐「普通に話せるの!?」

千鶴「可愛くねぇですわ!」
33 : Pサン   2022/06/25 19:32:55 ID:5tfLiIlUMc
混沌なるツヴァイグランツに向かって一直線に突き進むトクガワ!

朋花「みなさん、伏せて!爆風に備えてくださいっ」

可憐「爆発するの!?」

エミリー「くっ!」

千鶴「可憐、こっちに!どさくさに紛れて抱きしめますわ!」ギューッ

可憐「ま、紛れていないよ?!」

美也「なんと~」ギュッ

朋花「美也さんが、私に抱き着く必要ないですよね~……べつにイヤではありませんが~」

可憐「シリアスはどこに……!」

美也「前スレに置いてきたみたいですな~」



ちゅどーんっっ!!
34 : プロデューサーさん   2022/06/25 19:33:12 ID:5tfLiIlUMc
千鶴「崩れていく……」

エミリー「引導を渡すことができましたね」

可憐「レオンさん……ううん、戦っていたわかった、シーカさんの魂も一緒だったって」

朋花「死者蘇生計画の末路、ということですね」

美也「前スレで読んだブラックウェル卿の日記からすると、あのスラグたちはこの錬金術の怪物を封じ込めるために作られたようですな~」

千鶴「封印後は、ああいうふうに残っているのですから、粗悪品ではありませんの?」

可憐「スラグのことは……まだすべて解明できたとは思わないよ。あの力、普通の錬金術じゃない気がする」

エミリー「つまり、私たちは立ち止まるわけにはいかないのですね」

可憐「うん……最深層に到達してみないことには」
35 : Pさぁん   2022/06/25 19:33:28 ID:5tfLiIlUMc
朋花「その前に恵美さんたちと合流しないとですね~」

千鶴「ところでトクガワはどうなったんですの?」

朋花「あっ。 ん、ん。一度、霊界へと帰ってもらいました~。私の今の霊力ではトクガワを長くは留められないので~」

エミリー「今、『あっ』って言いませんでした?」

朋花「言っていませんよ~?ふふっ」


かくして、混沌なるツヴァイグランツを撃破して、1つの悲劇をようやく終幕させた可憐たち
そのはずだったが―――


可憐「!! 待って!う、動いている!?」

その身を崩落させた混沌(以下略)の残滓が可憐目がけて襲いかかるっ!

千鶴「可憐っ!危ないっ!」

可憐「―――っ」
36 : ぷろでゅーしゃー   2022/06/25 19:33:49 ID:5tfLiIlUMc
一方その頃、まつりたちは……


- タルタロス B4F 第17区画 -

エレナ「大変だったネー」

恵美「いやぁ、いきなり話をしているところに、あんな数の敵がうわーっと押し寄せてくるんだもん、びっくりしちゃったよ」

まつり「でも、恵美ちゃんのあの技、すごかったのです!あの『フローズン・ワールド』はそんじゃそこらの高位魔法だって及ばないのです」

恵美「そのぶん、代償も大きいけどね。ほら、しばらく右腕が上がんないよ、にゃはは……」

貴音「さて。まつり、続きを話してもらいますよ」

まつり「ほ?」

貴音「しらばくれても無駄です。前スレの932レス目あたりからの話、忘れたとは言わせませんよ!」

まつり「一週間近く前のことなんて覚えていないのです」

恵美「まつり、そろそろ観念しなよ。結局、まつりが言いだしたんだよ、えっと、ナンヤイネ・カナザワ・ナンナンブレードだっけ?貴音のお婆さん」

エレナ「全然違うヨー」

まつり「ん?ちょっと待つのです」

貴音「まつり!」

まつり「待つのです、誤魔化しているわけではないのです……ほら、旅立ちのコンパスが通信を拾っているのです」
37 : プロデューサーさん   2022/06/25 19:34:42 ID:5tfLiIlUMc
>>36
区画名前、そのまま前の時のコピーしちゃいました
敵を倒しながら移動したってことで、前とは別区画です
38 : Pサン   2022/06/25 19:34:58 ID:5tfLiIlUMc
恵美「マジ?朋花たちと別れてしばらくしたら、繋がらないままここまで来たんだよね」

エレナ「敵を倒しながら進んでいくうちに、カレンたちと近くの部屋にいるってことナノ?」

まつり「シッ……よく耳をすますのです」

貴音「微かに聞こえるのは雑音ですね。ふむ……今、私たちのいる部屋は広いです。手分けしましょう」

恵美「うん。ちょうど4人だし、それぞれが部屋の隅にゆっくり移動していこう?もしかしたら誰かが音をもっと正確に拾えるかも」

エレナ「三角形の部屋でなくてよかったネ♪」

まつり「そういう問題なのです?」


そうして旅立ちのコンパスの無線機能の傍受を試みる4人。
やがて、エレナが千鶴らしき声を拾う。


エレナ「! チヅルだヨ、この近くにいるんだ!」

千鶴「―――ん、ど――――の!?」

エレナ「なんて言っているんだろう?」
39 : せんせぇ   2022/06/25 19:35:15 ID:5tfLiIlUMc
一歩ずつエレナは声が聞こえやすい方向へと足を進めた。
他の3人はエレナへと近寄っていく。
そして……

エレナ「あっ、聞こえそう」


千鶴「可憐っ!! どこへ消えてしまいましたの!?」


まつり「え――――?」



つづく
40 : 魔法使いさん   2022/06/25 19:37:15 ID:5tfLiIlUMc
次回更新は遅くとも明後日の夜には

次回でようやくシーカ&レオン編は終了予定
そしてついに、まつりが……!?

何卒最後までご協力お願いします!
41 : プロヴァンスの風   2022/06/25 20:09:57 ID:Gw34EEJ/oU
おつおつ!
42 : 監督   2022/06/26 08:24:15 ID:kweA2URB9U
おつ

秘密が明らかに!
つまり…
43 : プロデューサー様   2022/06/27 15:58:07 ID:fPilAiFGo.
再開します

劇中で既に亡くなっている可憐の両親なんですけど、死因を流行り病ではなくて、実は生きたまま霊魂を賢者の石の材料にされていたっていう展開を考えていたんです。
でもそうなると可憐の心情描写をするのが面ど、ではなく自分の良心が傷んだのでやめました。そう、両親だけにね
44 : プロデューサーちゃん   2022/06/27 15:58:21 ID:fPilAiFGo.
可憐「ん………。あ、あれ?ここはどこ?」

我等が主人公、可憐が意識を取り戻したのは薄暗く小さな部屋であった。
可憐は特に怪我をしているわけではないことを確認すると、記憶の整理を始めた。
なぜ自分がここで、ただ1人いるのか。何が起こったのか。

可憐「えっと……。そうだ、混沌の残滓が私に襲いかかってきて……」

聖少女が父親を裏切り、その力を利用し、造り出した賢者の石をもって蘇生させようとした親愛なる女性。
その計画の悲しくも不可避なる運命、取り戻すことのできなかった魂の末路、混沌の化身の残りかす。
可憐はそれに不意打ちを喰らったのだったが……?

可憐「思い、出した……。避けるために咄嗟に横へ飛んだんだ。僅かに残っていた杖の霊力を解放して、自分を強制的に移動させた」

壁にぶち当たる、その衝撃に備えないとならなかったはずだ。
しかし、現実として起こったのは壁の一部がすり抜けた。トンネル効果などではない。
すなわち可憐が飛んだその先にちょうど、隠し部屋があったのだ。

??『可憐!可憐ーっ!』

可憐「ひゃぁっ!! って、これ、旅立ちのコンパスの通信!び、びっくりしたぁ。千鶴お姉ちゃん?」

千鶴『可憐!?無事ですの!?無事ですのね、よかった、本当によかったですわ!』

可憐(涙声……私、少しの間、気を失ってしまっていたから……。向こうからしたら、き、消えてしまったように感じたんだね)
45 : Pしゃん   2022/06/27 15:58:35 ID:fPilAiFGo.
可憐は隠し部屋について説明した。
しばらくして、美也が隠し部屋に入る仕掛けを見つけることができ、合流を果たすことができた。

美也「む~ん……。この部屋、私でも見つけるのに苦労しました~。構造的に、何か特別な結界があるのかもしれません~」

美也は千里眼のような能力を有している設定なのだが、忘れちゃっていた。
それはそれとして、可憐は改めて例の残滓のその後を訊ねる。

朋花「いってしまいましたよ~。円環の理に導かれて」

可憐「そっか……」

エミリー「この隠し部屋というのは、なんなんでしょう?」

美也「? 可憐ちゃん、これは少し形が違いますが、アトリエにあるものと同じではありませんか~」

可憐「同じ?その妙に大きな器が……って、ああっ!こ、これって錬金釜?!暗がりだからよくわからなかった」

千鶴「では、朋花。そのお団子で灯りをつけてくださいまし」

朋花「千鶴さん~?今の私は髪を下ろしていますし、仮にお団子であっても照明器具の効果はないのですが~」

千鶴「そうでしたわね、やれやれですわ」

朋花「どうして、頭を撫でてくるんですか~」
46 : Pちゃん   2022/06/27 15:58:48 ID:fPilAiFGo.
美也の見つけた器が錬金釜であるとすれば、部屋の主はブラックウェル卿その人か、聖少女シーカしかない。
5人はもっと調べてみることにする。小さな部屋なのでそう時間はかからない。
箪笥があれば聖少女の清楚な下着を取得できたかもしれないが、961プロからの圧力でそうした演出はできなかった。
おのれっ、961プロ!

可憐「机にあるこれは……?」

エミリー「可憐さん、それは?」

可憐「えっと、錬金術で調合したものだとは思う」

千鶴「玉ですわね。もしや爆弾では?投げられるぐらいの大きさですわよね。ひー、ふー、みー……4つありますわね」

現実基準で言えば、ハンドボールの球より一回り小さいぐらいだ。

可憐「くんくん……ううん、そういった類のアイテムじゃないよ」

朋花「表面に刻まれているのはただの飾りではないですね~、見たことのない種類ですが魔方陣だと思います~」

エミリー「あれ?よく見たら、1から5の数字がそれぞれ刻まれていますよ。4は見当たらないですけど」

美也「朋花ちゃん、お疲れだとは思いますが試しに霊力をこめてくれませんか~。この1に」

美也の提案により、可憐は朋花にその玉―――魔方陣が刻まれた球状の錬金調合物の1つを渡す。

朋花「……何も起きませんね」
47 : 兄ちゃん   2022/06/27 15:59:02 ID:fPilAiFGo.
千鶴「朋花。それではいけませんわ」

朋花「はい?」

千鶴「語尾に、にゃんをつけて猫のポーズをとってもう一度……」

エミリー「あの、可憐さん。千鶴さんはまだ混乱しているみたいですが……」

可憐「い、一度にたくさんのことが起こったから無理もないかなって。そっとしておこう?」

美也「ふむふむ、なるほど~。では、可憐ちゃんに戻していただいて。可憐ちゃん、試してみてくれませんか」

可憐「錬金術士だけが扱える道具の可能性があるってことだね」

朋花(まず私が試す必要があったのでしょうか~)

美也(むむむ、と力を込める朋花ちゃんは可愛かったので~)

朋花(直接脳内に声を届かせないでくださいね~)
48 : バカP   2022/06/27 15:59:28 ID:fPilAiFGo.
可憐「むむむ~! んっ?――――きゃっ!」

千鶴「光りましたわ!」


??『あー、あー、テスト、テスト』


可憐「こ、声が聞こえる?!」

朋花「? いえ、何も聞こえませんが~」

美也「可憐ちゃんには聞こえているんですか~」


??『ふぅ、どうかな。うまくいっているといいな。こういう特殊な音声記録装置なんて、調合するの初めてだから』


可憐「は、はい。聞こえます。わ、私にだけ?」

エミリー「どうやら錬金術士の力に反応して作動するもので、錬金術士にしか聞こえないようですね」

千鶴「なるほど……」


??『えーっと、誰に向けたメッセージってわけでもないけど、そうだね、えっと……ど、どうもー……シーカです』
49 : ごしゅPさま   2022/06/27 15:59:42 ID:fPilAiFGo.
可憐「やっぱりシーカさんなんだ、この声……」

美也「なんと~」

この部屋の性質を考えれば、女声という時点で見当はついていた。むしろシーカ以外の誰かであれば困惑してしまっただろう。
ちなみにシーカの口調については、詩花の口調をきちんと読みこんでいないので、あくまでシーカ役の演技ってことで。

可憐「大事そうなことがあったら、その都度、み、みんなに知らせるね」

朋花「ええ。聞けるのは一回きりだとは思いませんが、焦らずに落ち着いて聞いてくださいね~」

シーカ『今日はある意味、記念日ですね。司祭様には私の命日として教会に記録してほしいよう頼んでおきましたので』

可憐「……!」

シーカ『聖少女としての私は今日でさよならです。ううん、本当だったらお姉さまが亡くなって、そしてもう一度会うために、錬金術を学び始めたあの日から、既に私は聖少女だなんて名乗れる立場ではなかったのかも』

可憐「……」

シーカ『でも、例の病に冒された時からっていうのは断じて違うと思うんです。この病は身体を蝕むけど、でも心までは狂わせないって。そう思いたい。うん。いずれにせよ、私の計画は表向きは頓挫しちゃいました』
50 : 下僕   2022/06/27 16:00:15 ID:fPilAiFGo.
シーカ『レオンお姉様を復活させられるような、そんな道具。そんな調合は今の私じゃできっこないみたいです。いえ……わかってはいます。ちがう、わかりたくはない、諦めたくはないけど、でも……死者を生き返らせるには、それ相応の代償がいるってのは間違いないと思うんです』

可憐(代償――――)

そうして1つ目の玉の記録は終わった。
可憐は2つ目を再生する。
シーカは父であるタカーオが見つけた錬金術の真髄にして禁忌である賢者の石に死者蘇生の希望を見出したこと語っていた。
タカーオがその賢者の石について知ったのは、どうやら遠方から取り寄せた奥義書のようなものからであるらしい。
タカーオはこの地下研究施設で流行り病の治療法を研究する中で、錬金術にやはり希望―――それは愛娘とは別のものであったが―――を見つけた後、なんとか人脈を頼りにそうした本も手配したのだろう。

3つ目の記録にはシーカが賢者の石の調合をするべく、生ける霊魂集めのために司祭と話をつけたことが記録されていた。

可憐(シーカさんの声、震えていた……きょ、教会で『看病』することになった患者さんの一部をこの施設に移送して、け、賢者の石の『材料』にする……それを成し遂げたのは、狂気ではないんだ。ただ、タカーオさんはそれをシーカの覚悟、つまり……な、なんとしても流行り病の特効薬を得るための犠牲として捉えていたけど……シーカさんからすれば、レオンさんとの再会への一歩だった……)
51 : おにいちゃん   2022/06/27 16:00:30 ID:fPilAiFGo.
シーカが話をつけたというのは、貴音が直接依頼を受けたという、ミリ・シタの天空教会の元・司祭と同一と見ていいだろう。
シーカの享年が二十歳となっていたがその墓標がないのは本人の望むところであったのか。
例のシーカの手記(前スレ参照)についてはどこかで受け取ったのかもしれない。


可憐「これが今ある最後の記録……きっと時系列からすると、シーカさんがお父さんのタカーオさんを裏切る直前か、もしかしたら……」

可憐は玉に霊力を込める。固唾を呑んで見守る4人。
すると―――
52 : プロデューサー君   2022/06/27 16:00:43 ID:fPilAiFGo.
シーカ『結論だけ、言う。
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
私は―――――失敗した』


可憐「っ!!」

シーカ『タイムマシンとか、そういうの全然関係ないけど、とにかく私は失敗した』

千鶴「か、可憐?顔が真っ青ですわよ?」

朋花「千鶴さん、今はお静かに。気持ちはわかりますが」
53 : レジェンド変態   2022/06/27 16:00:55 ID:fPilAiFGo.
シーカ『私ってほんとバカ。薄々、気づいていたんだ。完全な賢者の石なんてのは、ここじゃ作れないって。パパは流行り病の治療薬を作るために使うつもりだったんだよね。それだったら、うまくいったのかな。わかんない、わかんない、わかんないよっ!』

可憐「……っ」

美也「可憐ちゃん……」

シーカ『パパはスラグ?っていうので、お姉さまを封じようとしている。お姉さま……?ふふっ、そう呼んでいいのかな、呼ぶべきなのかな、なんなの……あれはもう人でもなければ、そこらの魔物じゃないもの。……音が近づいてきている。逃げてきたはいいけど、私を見つけたらパパはどうするんだろう?実の娘である私を……たぶんあの人は殺めることはできない。優しい人だから。もしもパパがもっと厳しい人だったら、私につけこまれる隙なんて与えなかったと思うから。それとも親子っていうのはそういうものなのかな。私だったら赦せないだろうな、なんて。決断しないと、そう、だよね。私だけが生き残ってしまうのならいっそ私は……』

可憐「………」

エミリー「可憐さん……」

シーカ『すぅー、はぁー……。これを聞いている誰か。どうせだったら、凄腕の錬金術士がいいな。お願い。もしも……もしも、流行り病がもう収まっていて、それでブラックウェルのお屋敷がまだあったなら。どうか屋敷の裏庭、あのレオンお姉さまのお墓に……花束を。私とお姉さま、ふたりともが愛したあの花、丘の花畑に咲くメルヘンリリーの花束をどうかお願い、供えてください――――さよなら。お姉さま……本当に愛していました。今、会いにゆきます』

可憐の頬を涙が伝う。それが誰に対するどんな想いなのか、可憐自身わからなかった。
他の4人は沈黙し、可憐が落ち着き、すべてを話してくれるのを待つしかなかった。
54 : プロデューサーはん   2022/06/27 16:01:15 ID:fPilAiFGo.
その頃、まつりたちは……


エレナ「あれー!?聞こえなくなったヨー!今、チヅルの声、クリアに聞こえたよね?」

まつり「間違いないのです!可憐ちゃんが消えた、って言っていたのです!」

恵美「うん!聞こえた!すぐに移動したのかな?えーっと、どっちから聞こえたか、みたいなのわかる?」

貴音「ふむ……。こうなれば、壁を打ち壊してしまうのもありかもしれませんね」

エレナ「道は作るものだってことだネ!」

まつり「とはいえ、さっきの戦闘でみんな疲れちゃっているのです」

恵美「うーん、それじゃあさ、探索に戻る?まだ入っていない部屋もあるし、合流できるかも?」

エレナ「期待させておいてこれはないヨー!」

貴音「あれを試してみますか」

まつり「なんなのです?」

貴音「無月・四条流の奥義の1つです。ですが、確実性が低いので、ここまで試さずにおりました」

恵美「やるだけやってみてよ!」

エレナ「奥義だって空気を読んでうまくいくって!」
55 : プロデューサーはん   2022/06/27 16:01:30 ID:fPilAiFGo.
まつり「ということなのです」

貴音「いいでしょう。では……」

貴音は刀を抜く。言及していなかったかもしれないが、この刀こそ千鶴の持つ守護剣ムーンゴールドと対をなす月の刀・無月である。
旧バンナム皇国時代、皇族を守護する最高位の騎士がふるったのがムーンゴールドであるのに対し、無月は皇族の敵対者を闇夜に乗じて暗殺するために、影の騎士がふるった刀である
二本とも同じ名匠によって打たれたものであるが、この話をしだすとこのスレをも終わらせてしまうので割愛する。

恵美「抜いた刀を地面に垂直に刺した?」

まつり「刺してはいないのです。手を離してしまえば、倒れちゃうのです」

エレナ「え、もしかしてこれって……」

貴音「無月・四条流、奥義――――月夜の導き」

コテッ

まつり・エレナ・恵美「………」

貴音「こちらの方向にいるみたいですね。……おそらく」

エレナ「たずね人ス○ッキの要領だヨー!!」

恵美「ってことは的中率70%ってこと?」

貴音「いえ、76.5%ですよ、ふふっ」

まつり「どうして、したり顔なのです!?」
56 : プロデューサーさま   2022/06/27 16:01:44 ID:fPilAiFGo.
そして場面は可憐たち側に戻る


千鶴「そんなことが……これに記録されていましたのね」

可憐「う、うん」

朋花「千鶴さん~?いつまで可憐さんを抱きしめているつもりですか~」

千鶴「姉として当然のことをしているまでですわ」

エミリー「あの、やっぱりまだ混乱しているんじゃ……」

美也「お~、では次は私が可憐ちゃんを抱きしめていいですか~」

朋花「そうはならないですよね~」

可憐「ん、ん。千鶴お姉ちゃん、えっと、離れて」

千鶴「がーん!」
57 : P様   2022/06/27 16:01:57 ID:fPilAiFGo.
可憐「さて―――。そ、それじゃ、探索を再開しよっか。まだ師匠たちと合流できていないし、それにこのタルタロスの真相もまだわkっていないし」

千鶴「きっと最深層でわかりますわね。真相だけに」

美也「なんと~……」

エミリー「うう、千鶴さん、頭がおかしくなってしまったままでしゅ……!」

朋花「いえ、素ですよ~、これは」

可憐(千鶴お姉ちゃんなりに、年長者として和ませようとしてくれている、そ、そうだよね?)

可憐「じゃあ、この隠し部屋ともお別れして――――あれ?」

朋花「どうしました?」

可憐「あの隅にあるの、ひょっとして……」

千鶴「あっ、可憐」
58 : プロデューサー殿   2022/06/27 16:02:10 ID:fPilAiFGo.
可憐「あ、あったよ!記録の4が!」

美也「でかしましたね~」

エミリー「けれど、先ほど話してくれた内容を鑑みるに、大した情報はもうないのでは?」

朋花「確認してみるに越したことはないでしょう~」

可憐「うん。それじゃ、再生してみるね」

シーカ『ついに明日、賢者の石の調合が完了する予定ですっ♪ って、はは、何浮かれているんだろうね、私』

可憐(悲劇が起こる前日の記録……)

シーカ『わざわざこういう形で記録をするのは、思い出したことがあるからなんです』

可憐(思い出したこと?)
59 : do変態   2022/06/27 16:02:42 ID:fPilAiFGo.
シーカ『小さい頃に出会った錬金術士さん。私に錬金術の基礎の本をくれて、どこかへ去ったあの人のこと。今の今まで全然思い出せなかったのに、急に鮮明にその時の光景が脳裏に浮かんだんです。運命なのかな。明日、私は一度失ったお姉様を生き返らせるわけだから、錬金術士として偉業を達成するってことですからね、なんて』

可憐(シーカさんが錬金術を知るきっかけとなった錬金術士……手記にも存在自体は書いてあったんだよね)

シーカ『お姫様みたいな人でした。二十歳前後かな?内巻き髪で、かなりの美人。明るくて、自由奔放って感じで、口調も変わっていて』

可憐「え?」

心臓がバクバクとし始めるのがわかった。予感が、強烈な兆しが可憐の胸を打つ。
その時、可憐たちのいる部屋に、影が加わる。

まつり「はいほー!可憐ちゃんたち、やっと会えたのです!」

エレナ「うわーん!チヅルーっ!また会えてよかったヨー!!」

貴音「エミリー……ふふっ、こんな短時間だというのに、成長したようですね」

恵美「朋花もその服の汚れ具合、っていうか、ここの部屋の様子から察するにすごい戦いがあったみたいね、にゃはは」

嬉々とした声。再会を祝う中で、可憐はシーカの声に耳を傾ける。その続きを知りたいような知りたくないような、そんなもどかしい想いは他でもなくシーカの声によって絶たれる。
60 : do変態   2022/06/27 16:03:07 ID:fPilAiFGo.
シーカ『名前……えーっと、なんだっけ。あ、そうそう。――――まつりさん。はいほー!って。ふふっ、思い出してみたら怪しい人のはずなのに、そんなふうに思わなかったんですよね。今頃、どこで何をしているんでしょう。………もっとここにいてくれたら、な。私があの時、本気で錬金術を教わることを選択していれば、流行り病だってすぐに収束できたのかな。えっと、あとは……』

後半部分は可憐の耳に入らなかった。可憐は今、シーカが言った名前を何度も頭で確認する。
かつてシーカが幼い頃に、つまりは20年前以上に出会った1人の錬金術士のことを。

まつり「ほ?可憐ちゃん、それはなんなのです?……どうして、そんな顔をしているのです?」

可憐「師匠………」

可憐は何時間ぶりかに再会したその事実を受け止めてはいない。ただ、問いたいことがあり、ちょうど当人がそこにいたことを認識しているだけに過ぎない。


無事の再会を喜ぶ皆が異様な空気を察して、可憐とまつりに注目し、沈黙する。
可憐はまっすぐまつりの顔を見据えた。口を開くも、声が震える。
だが、訊かずにはいられない。





可憐「まつり師匠、あなたはいったい……何者なんですか?」


つづく
61 : ハニー   2022/06/27 16:05:21 ID:fPilAiFGo.
更新は一旦ここまで
やっっっっっっと、ここまできましたわ!
あとはラスボス戦まで駆け抜けて、エンディングですよ!
前にも触れたとおり、まつりがラスボスっていうのはないですよ、念のため

次回は今週中には


何卒最後までお付き合いください!
62 : プロデューサーちゃん   2022/06/27 20:33:23 ID:oaq6j8TLJw
おつ
ラスボス誰なんでしょうね
あと一息待ってますね
63 : おやぶん   2022/07/02 09:54:18 ID:bTQKyooGig
再開します
そんなに進んでいませんけど、まつりの正体は7割6分5厘ほど明らかになります
64 : ぷろでゅーさー   2022/07/02 09:54:35 ID:bTQKyooGig
千鶴「可憐?その4番目の玉には何が記録されていましたの?」

朋花「まるで……シーカさんが、ここにいるまつりさんに特別なふうに言及した様子ですが」

美也「………」

恵美「えっと、どういう流れ?再会を喜び合って、いざさらなる地下へ、って雰囲気じゃないよね……?」

エレナ「ね、ねぇ、カレン。そんな目でマツリを見るのはやめようヨ、そんな……」

貴音「あたかも目の前にいるのが怪物であるかのごとく眼差しですね」

エミリー「隊長!?」



貴音「さぁ、まつり」

まつり「ほ?」

貴音「今しがた合流した私たちとしては、そこにいる貴女の弟子がどういった記録をどういった形で知り得たのか、それはわかりません」

そう言って貴音はエミリーから離れると、まつりの傍に立つ。敵意こそないが、優しく寄り添うのとは違うのを皆がわかった。

貴音「ですが、貴女が自分自身のことを明かすときが訪れた。そうであると私は思います」

まつり「まつりのことを?」

貴音「ええ、そうですとも。もちろん、貴女から始めるのではなく、弟子が何を知ったのか、これを確かめることから始めてもかまいませんが」

ちらりと貴音は可憐を見やる。まつりがそうであるように、可憐もまた貴音に視線を合わせはしない。
見逃してたまるかといった意気で、互いの表情から心中を読み取ろうとしているのだった。
65 : プロちゃん   2022/07/02 09:54:48 ID:bTQKyooGig
千鶴「ん、ん」

このまま貴音に主導権を委ねてしまうのを恐れたのか、単に厳粛な空気に息を詰まらせてしまったのか、千鶴がわざとらしく咳払いをする。

千鶴「可憐。もう一度訊きますわ。それには何が記録されていましたの?」

シーカの隠し部屋、そこにあった錬金術で調合されたアイテムというのは、音声記録媒体として機能する玉であった。
そのことを手短に、可憐が口をもう一度開くより先に朋花が貴音たちに教える。まつりは合点がいったような面持ちとなり、それから覚悟を決めたようでもあった。

まつり「可憐ちゃん」

ようやく師が、緊張に身をこわばらせている弟子に声をかける。

可憐「師匠……」

まつり「その玉には記録されていたのですね?シーカちゃんの手記にあった出来事、彼女が幼い頃に邂逅した錬金術士のことが」

恵美「へ?でも、それって忘れちゃったって書いてなかった?」

可憐「思い出したそうなんです……賢者の石の調合を終える、その前日に」

まつり「! 賢者の石――――予想はしていたけれど、聞きたくなかったのです。ううん、今はそれよりも……可憐ちゃん」

可憐「はい」
66 : プロデューサーちゃん   2022/07/02 09:55:03 ID:bTQKyooGig
まつり「その錬金術士のことをシーカちゃんはなんて?」

可憐「内巻き髪の美人、お姫様みたいな人。名前は……まつり」

エミリー「それって……!」

美也「なんと~」

エレナ「すごい偶然だネ!ここにいるマツリと一緒だなんて!」

朋花「いえ、そうではありません」

千鶴「まつりは、時間旅行者ということですの?錬金術によって時をかける少女ですの!?」

貴音「その可能性の他にもう一つあります」

可憐「まつり師匠、あなたは――――何歳なんですか」

まつり「難しい質問なのです。なぜなら肉体は19歳で止まっているのですから」

貴音「止まっている……?」

肩をすくめてみせるまつり。すべてを話すときがきたのだった。
そして、最終話を始めた時点の予定では、このへんのシーンをしっかり書きたかったが、既に周年イベントもはじまっているし、2スレ目に突入しているし、そもそも既に4か月経っていることもあって、これ以上長引かせるつもりはないゆえに、簡単に書いてしまうのだった。
67 : おにいちゃん   2022/07/02 09:55:20 ID:bTQKyooGig
まつり「わけあって、まつりは不老の身なのです」

恵美・エレナ「ええっーー!!?!?!?」ドンガラガッシャーン

まつり「と言ってもそんなに長生きしてはいないのです。せいぜい100年足らずなのです」

朋花「ということは、もしかして」

貴音「やはり貴女がフェスティバル・トクガワなのですね?」

エミリー「ひょわあっーーー?!?!?」

まつり「それは微妙に違うのです。あの時、まつりが魔物の強襲から霊山を救う手助けをしたのは違いないけど、そんな名乗りはしなかったのです!」

美也「む~ん……一部の騎士を除いて、多くが避難していたらしいですからね~。実際に会って話した人は少なく、あくまでその活躍を讃える意味合いで広まった名前なのかもしれませんね~」

まつり「そういうことだと思うのです。たぶん朋花ちゃんのおじい様のネーミングセンスが悪いのです」

朋花「!? おじい様を知っているんですか」
68 : Pたん   2022/07/02 09:55:37 ID:bTQKyooGig
皆がまつりに質問攻めでも始めるような素振りをしたその時、可憐が例の玉を床に叩きつけた。
そして、まつりを相手にまくし立てる。

可憐「そんなことはどうでもいいんです!! フェスティバルだかカーニバルだか、ハンニバルだか、そんなことは、本当にっ、どうでもいいことなんですっ!!」

千鶴「か、可憐?」

可憐「私が知りたいのは、師匠……あなたがミリ・シタを少なくとも一度訪れていて、シーカさんに出会っていて……!その後に起こった流行り病を食い止められることができたか否かっ、そこなんです!ど、どうなんですかっ!!」

まつり「可憐ちゃん……」

可憐「し、師匠が不老であることは錬金術ときっと関係あるんですよね?はっきり言って、それは間違った錬金術の使い方に他なりません」

まつり「っ!」

可憐「私たちがついさっきまで死闘を繰り広げていた魔物もまた、誤った錬金術の産物でした。聖少女と呼ばれた女の子が切望し、実の父親を裏切り、得ようとした……死者蘇生。そんな、人の道理を外れたことを望んだがために生まれた、悲劇の怪物でした……!」

貴音「なんと、そんなことが」

可憐「師匠!どうなんですかっ、私に錬金術を教えてくれたあなたは、いつも優しくて頼もしいあなたは……この街を救えたんじゃないですか!?それなのに、それなのにっ!そんな間違った錬金術の使い方をして、人の道に背いた身体で、いったいあなたは何をしていたんですか!!!」

朋花「可憐さん、落ち着いて話を、」

可憐「落ち着いてなんかいられないよ。だって、そうでしょう?信じていたんだよ!!信じたかった……レオンさん、それからシーカさんが混沌として交わったあの花咲くウミウシを葬ったそのとき、私は思ったんです……私は錬金術をこんなことに使わない、使いたくないって。正しい使い方で、正しい結果を得るんだって」
69 : P殿   2022/07/02 09:55:56 ID:bTQKyooGig
可憐「それ、なのに……」

膝から崩れ落ちる可憐を誰も止められはしなかった。やがて嗚咽が部屋に虚しく響く。
そんな状況下、混乱する仲間たちのうちで、まつりに話の続きを促したのは美也であった。
厳密には貴音がまつりに声をかける寸前で、美也が先に口を開いた。

美也「わけあって、というのはどういうわけなんですか~」

まつり「え?」

美也「まつりちゃんの不老。可憐ちゃんは間違った錬金術の結果と捉えていますが、それが第三者から受けた呪いでないとは限らないですよね~?」

と、美也がそこで貴音に目配せをする。それを受け、貴音がつなぐ。

貴音「不老の呪い……なるほど、そういう見方もできましょう。いずれにせよ貴女はまだ詳細を語っておりません。黙っていては、弁解もできないでしょう?」

朋花「ええ、お話していただきましょう。過去に何があったのか」

千鶴「可憐……。つらいでしょうが、まつりの話を聞かないとですわよ」

千鶴が床で蹲り泣き続ける可憐の背をさする。中腰で立ち続けるわけにもいかず、可憐同様、床に膝をつける千鶴だった。
70 : Pくん   2022/07/02 09:56:12 ID:bTQKyooGig
まつり「長々と話すつもりはないのです。まず3つの事実を受けとめてほしいのです」

エレナ「3つの事実?」

恵美「それってなに……」

まつり「1つ目。まつりがミリ・シタの流行り病を知ったのは、それが教会の支援によって収束した後だったのです」

朋花「シーカさんと出会った後、長居をしなかったと?」

まつり「そうなのです。当時、まつりは各地を転々としていたのです。ざっと計算し、記憶を辿ってみると……流行り病が猛威をふるっていた頃は、ここより遥か遠方の地でスペースチュパカブラの侵略を阻止していたのです」

千鶴「荒唐無稽ですわね」

まつり「でも、事実なのです」

美也「ということは、当時のまつりちゃんはミリ・シタを救うことができない環境下にいたということですな~?」

まつり「……そうなるのです」

千鶴「あの、2つ目に行く前に、なぜミリ・シタを訪れたのかを訊いても?特に目的のない旅行でしたの?」

まつり「それはそのまま2つ目の事実に繋がるのです」

エミリー「というと?」
71 : 魔法使いさん   2022/07/02 09:56:25 ID:bTQKyooGig
まつり「まつりは、可憐ちゃんの伯祖母にあたるのです」

エレナ「??」

朋花「まつりさんは、可憐さんのおばあ様のお姉さんということですか~?」

エミリー「どひゃぁあ!!」

恵美「言い換えたら、可憐の両親にとってのおばさんってこと?!」

美也「よくわかりませんが、まつりちゃんはおばあちゃんなんですね~」

まつり「ぐぬぬ」

貴音「シーカと会った日、貴女がこの街を訪れたのは実の妹に会うためだったというわけですか」

まつり「そうなのです。でも……直接、会うことはなかったけどね」

恵美「どういうこと?」

まつり「その時には既に妹の息子が結婚していたのです。妹の旦那さんはいなかったけれど、妹と息子夫婦3人で仲良く暮らしているのをまつりは遠めから見たのです」

千鶴「えっと……可憐から聞いた覚えがありますわ。可憐がともに暮らしていた父方のおばあ様の配偶者、すなわちおじい様は別の街で早くに亡くなってしまったのだと」
72 :   2022/07/02 09:56:44 ID:bTQKyooGig
貴音「まとめましょう。貴女はこの街を、妹の様子を確認するために訪れたことがある。が、その幸せそうな様子を遠目から見ただけで声はかけなかった」

まつり「……否定はしないのです」

貴音「その時にシーカに出会ったのはまったくの偶然ですか」

まつり「それも否定しないのです。ただ、敢えて言うなら錬金術士というのは惹かれあうものなのです。だから、あの日の巡り合いも必然と言えるのです」

美也「けれど、まつりちゃんはシーカちゃんに本を渡しただけで彼女を弟子にしていませんよね~」

まつり「それはそうなのです。なにも、各地で素質のある子に声をかけまくっていたわけではないのです。まつりは……この身体になってからは、基本的には孤独に身も心も置いていたのです」

恵美「ねぇ、前提としてさ。まつりが妹さんと一緒に暮らしていなかったのは、妹さんは不老ではなかったのが原因なわけだよね?」

まつり「……。たとえば―――不慮の事故、誰かからの呪いでまつりが不老となったのなら、もしかすると妹はずっと傍にその命尽きるまでいてくれたかもなのです」

エレナ「エ?その言い方ってつまり、まつりのフロウの理由って、事故や呪いじゃないってこと?」

まつりは曖昧に首を振ったが、直後、溜息を堪え、そして「3つ目の事実に繋がるのです」と言った。
73 : 我が下僕   2022/07/02 09:57:11 ID:bTQKyooGig
まつり「私が……」

皆の顔、下を向いている可憐以外の表情を見て、一度は目線を合わせて切り出す。まつりが「私」という一人称を使うのが彼女なりに、誠意をもって過去を話すためなのだと一同は感じ取った。

まつり「私が望んで不老になったのではないのは確か。でもね――――この身体が私の罪と罰であるのも確かなんだ」

ゆっくりと可憐が顔をあげる。上がりきると、それを待っていたかのようにまつりは続きを話し始めた……。




つづく
74 : あなた様   2022/07/02 09:58:58 ID:bTQKyooGig
更新は一旦ここまで
次回はなるべく早くに

まつりの過去編はサクッと書いて、可憐と和解(?)して、決戦してエンディング!って感じになりそう

ちなみにラスボスはアイドルでもなく事務員でもない、ようはアイマス関係ない無生物になりそう


何卒最後までお付き合いください!
75 : プロデューサー様   2022/07/03 08:04:56 ID:Zyj6tEjP/Q
おつ
流石にフェスティバル・トクガワは伝言ゲームでの変わ方じゃないよね
間にロコが噛んでるに違いない
76 : スレ主   2022/07/08 11:03:53 ID:4mn.FRrPSM
今日か明日には続きを更新したい所恵美です!にゃはは……
77 : ハニー   2022/07/10 04:21:33 ID:C7muPk81ic
かなり短いですが更新します
まつりが皆に過去を明かす場面からです
78 : 我が下僕   2022/07/10 04:21:49 ID:C7muPk81ic
まつり「今から76年ほど前、私はとある小さな島国で生まれた」

貴音「島国?その名は?」

まつり「言ってもわからないと思う。大都市の専門家が発行しているような地図であっても載ることのないような、いわゆる地図にない島―――エド。それが島の名であり国の名前だった」

朋花「そのエドでまつりさんは家族と暮らしていたのですね~」

まつり「うん。いちおう、お姫様だった」

千鶴「お、お姫様!?」

美也「なんと~、この劇中では本物のお姫様なんですな~」

エミリー「いちおうというのは?」

まつり「エドの皇族というのは形だけで実際に支配力があり、統治していたわけではなかったから。かつてはそういう時代もあったそうだけれど」

恵美「う~ん、まぁ、島の歴史は長くなりそうだから、いいかな。ね、それで何があったわけ?」

エレナ「そうそう、ダイジな部分、教えてヨ!」
79 : Pさん   2022/07/10 04:22:08 ID:C7muPk81ic
まつり「私が11歳のとき、エドに異邦人がやってきた。ほとんど漂着したと言ってもいい有様で、最初に発見したのは私の母。多少、議論があったみたいそうだけれど、最終的にうちでその人の面倒をしばらくは見ることとなった」

まつり曰く、そのような漂流者というのはエドの歴史上、片手で数えられる程度にしかいないらしい。
地図にない島、その理由というのは特殊な海域と島を覆う霧、それらがある種の魔法らしき作用をもって、外界と島とを隔てていた。つまり交易というのもないし、そもそもできない環境下であった。
ひょっとしたら、かつて高名な魔法使いが、わけあって人の世から姿を消すために島を利用したのかもしれない。そしてまつりたち島の皇族というのはその魔法使いの子孫にあたる……そうしたエドの歴史も設定しはじめると長くなりすぎるので省略させていただく。


まつり「その漂流者は錬金術士だった。しかも、可憐ちゃん含めてまつりがこれまで出会った中で最も優れた錬金術の使い手だったんだ」

貴音「ふむ……エドに来ることができたのも、錬金術のおかげということなのでは?」

まつり「うん。その錬金術士は世界を旅していたの。若い頃はどこかの宮廷でその名を馳せていたみたい。でも老いて、世界のことをもっとよく知りたくなったんだって」

エレナ「その気持ちはなんとなくわかるナー」
80 : プロちゃん   2022/07/10 04:22:29 ID:C7muPk81ic
朋花「察するに、まつりさんはその錬金術士に師事することとなったんですね?」

まつり「そう。その錬金術師は島にきてから、ほんの一カ月で島中の問題を次々に錬金術で解決していった。当然、錬金術を教えてほしいという人もたくさん出てきたの」

しかし島に暮らす765人のうちで錬金術の素養があったのは、まつりただ1人であった。
年老いた錬金術士は島に漂着してすぐに、どうにかして島から離れることを考えていた。自分が骨をうずめる地はここではないと。
錬金術士は島から出るための道具を調合するのに、必要な材料を集めるための時間を多く要した。そのなかでまつりを最初は手伝いをしてくれる少女にしか見ていなかった。
だが、まつりに錬金術の素養を見出すと考えは変わる。長年、錬金術を修めてきた者として、世界を旅している間に弟子をとろうとしたこともあったが、うまくいった試しがなかった。
その錬金術士は人に何か教える才能には恵まれなかったのだった。加えて言うなら、その性格というのも、錬金術という摩訶不思議な術をその心身に深く浸してきたからだろう、偏屈といっていいものであった。

当時のまつりの理解が及ぶところではなかったが、その錬金術士がまつりを弟子として認めた最大の理由というのは、まつりの錬金術士の素養にあるのではない。
言ってしまえば、まつりが超のつく美少女であったからだった。
悲しいかな、その錬金術士はそのような美少女に慕われること、教えを乞われることなどそれまでの人生で一度もなかったのである。それで半ば有頂天になってまつりをに己が極めてきた道を教えるのを決意したのである。
81 : そこの人   2022/07/10 04:22:46 ID:C7muPk81ic
まつり「私が17歳になってすぐの頃に、ついに私とその錬金術士は島の外に安全に出られる道具の調合に成功した」

年老いた錬金術士はまつりを実の孫娘のように可愛がっており、共に島の外に出ることを提案した。

エミリー「それでまつりさんは外に?」

まつり「ううん、そうではないの」

エレナ「ン?島に残ったってこと?」

まつり「そう。その錬金術士さんも断られることはわかっていたみたい」

まつりが外界に興味がなかったわけではない。しかしそれよりもエドのことを、家族や島の人たちのことを愛していたから、外に出ることは選ばなかった。
錬金術士は2つ言い残した。
1つは、今後はまつりがエドの錬金術士として島の人たちを助けていかねばならないということ。
そしてもう一つは、その錬金術の力を決して道理に外れた目的で使ってはならないということ。
82 : Pさん   2022/07/10 04:23:01 ID:C7muPk81ic
まつり「でも…………」

まつりは沈黙する。エミリーが不安そうに見やり、それから彼女の隊長へと顔を向けた。
貴音は頷き、まつりに問う。

貴音「でも、なんですか?」

まつり「………。結局、2つとも守れなかった」

千鶴「! それではあなたは錬金術を、道理に外れた目的に?」

まつり「そのとおりだよ。ただ、そうだとわかったのは後になってからだった」

美也「それって、最初から不老を求めたのではないということですよね~?」

不老というのが人道の外にあるのは、誰もが知るとおりである。無論、それを求める人が少なからずいるのもだが。
83 : ご主人様   2022/07/10 04:23:16 ID:C7muPk81ic
可憐「師匠は……」

それまで黙っていた可憐がゆっくりと立ち上がる。肩を貸す千鶴。

可憐「いったい何を望んだのですか?れ、錬金術で何をしようとしたんですか……?」

まつり「些細なこと、うん、私にはそれがそんなにも困難だとは思っていなかったの」

朋花「まつりさん、今はもったいぶる状況ではないでしょう。あなたの弟子のためにも」

可憐「………」

まつり「私は――――」





まつり「妹にも錬金術を行使できる力を与えようとした。姉である私と同じ錬金術士になりたい、妹のその願いを叶えようとしたの」
84 : der変態   2022/07/12 08:12:51 ID:HsIJFekh7o
まつりの妹は可愛かった。
そりゃあもう姉に勝るとも劣らずの美少女であった。
小さな島国であるエドにとって、その2人の姫君こそが宝であった。
似つかわしい王子様が現れないことだけが悩みだった。

しかし姉の知らぬところで妹は劣等感を募らせ続けていた。

錬金術である。


島の人口がちょうど1000人に到達した年、まつりは18歳になった。
まつりは溺愛してやまない妹がこの頃様子がおかしいことに気づいていた。
わけを話すように言っても拒まれてしまう。
両親は反抗期なのだろうと、まつりからしてみれば楽観視していた。

例の錬金術士が島を去り、代わりにまつりが島の錬金術士としての役割を立派に果たし始めて1年。
まつりの妹の劣等感は姉に対する拒絶反応に変わりつつあった。
表立って姉を傷つけるような真似をしなかったのは、1つに姉への畏れがあり、1つに揺るぎない愛情があったからだろう。

それでも妹が錬金術が使えないことには変わりない。歴然とした事実が妹を打ちのめし続けた。
そして……
85 : Pはん   2022/07/12 08:13:01 ID:HsIJFekh7o
まつり「妹の誕生日。私はめっきり話さなくなってしまった妹に贈り物をした。けれど、気に入るどころか、錬金術で調合されたその特別なお守りを彼女は私が見ている前で砕いてしまった」

恵美「そんな……」

まつり「でも私はめげずに、訊いた。何がほしいのか、何が望みなのか。お姉ちゃんにできることだったら、なんでもするって」

朋花「そして、まつりさんの妹は願ったんですね」

可憐「…………錬金術の才覚を」


まつりが妹に言われて思ったことは、単純だ。
どうして早くそのことを閃かなかったのだろう?という自問であった。
まつりは島を去った師が、島中で自分にしか錬金術の素養がないと断定したものだから、妹に望まれるそのときまで、どうにかして錬金術の素養を後天的に開花させるという考えをもたなかったのである。
師匠はそうした方法の有無からして、何も話してくれなかった。でも、それができないなんてことはない、とまつりは信じた。


まつり「可憐ちゃんにも話したとおり、錬金術の素養というのは血筋に依る部分が大きい。それなら、私に使えて実の妹に使えないほうが不自然で、道理に合っていないと、その時になってようやく感じたの」

貴音「―――とはいえ、必要なのは血筋だけではないのでしょう?」

まつり「そう、そのとおり。もっとよく検討し、調査して、考察してみるべきだった。それで正解が得られたかはともかく、錬金術の行使というのがあまりに特別な才能であるのには気づけたはずだった……」
86 : おにいちゃん   2022/07/12 08:13:28 ID:HsIJFekh7o
錬金術を行使できない人間にその能力を与える。
そのような道具を調合しようと決めてから半年が過ぎ、まつりは19歳となった。
結果は実らず、まつりは自身の無力さを思い知り、妹に幻滅されているとも感じた
姉が妹との約束を違えたことなどこれまで一度もなかったのである。

幸か不幸か、結果からすればそれは後者であったが、まつりは類まれなる錬金術の素養をもっていたのみならず、エドという国、その島が大本を辿れば錬金術に行き着く史実がまつりに、妹の願いを諦めさせなかった。
エドは錬金術によって作られた人工島であったのだ。そのことに師が気づいていたのかまつりにはわからない。まつりが思うに、気づいたうえで沈黙を選んでいたのだろう。
調合に明け暮れるある日、まつりは偶然にも家、すなわちエド皇族のお屋敷のなかで、妹の夢をかなえる手がかりを見つけてしまう。
それは記録。錬金術によってのみ解読可能な書物であり、それがエドの成立経緯を示していたのだった。そしてそこには、師から教わらなかった調合術もあった。
それこそが、錬金術の真理に触れる道具への誘いであり、破滅への一歩ともなった……。
87 : Pさぁん   2022/07/12 08:13:37 ID:HsIJFekh7o
エレナ「zzzz……」

千鶴「エ、エレナ!こんな大事なシーンで眠ってはいけませんわ!」

朋花「まつりさんの妹さんが願ったこと。それは錬金術を行使できる力、ですがそれは想像していたよりもずっと、実現が難しいものだった」

美也「けど、試行錯誤を繰り返す日々のなかで、見つけた書物でまつりちゃんは知ったんですね。エドが人工島でそれは錬金術によって作られたものであること、そしてそれと関連して、錬金術の真理と呼べる何かに近づく調合品のことを」

可憐「話を追うに……まつり師匠は、その錬金術の真理に触れることで、妹さんが錬金術が使えるようになるって思ったんですよね」

エミリー「その道具って何だったんですか?」

まつり「鍵だよ、真理の鍵。真理の扉を開くための。でもね、もうわかっていると思うけど、失敗しちゃったの」

恵美「それで、どうなったの?」
88 : 魔法使いさん   2022/07/12 08:13:50 ID:HsIJFekh7o
まつり「エドは水底に沈み、国は滅びた。生き残ったのは私と妹、それからほんの数名だけ」

可憐「え……?」

恵美「ちょっ、ちょっと待ってよ!!なんでっ、そうなるの?!」

貴音「回りくどいのもいけませんが、端折りすぎではないのですか?」

エレナ「zzz……むにゃむにゃ。マツリが調合したっていうシンリのカギってのは、錬金術で作られた島を元の素材にでも戻しちゃったってことなのカナ?」

美也「なんと~。眠っていながら話を聞いて理解し、推測できるなんてエレナさんはすごいですな~」

千鶴「どういうことですの!?」

朋花「自然界にある理を歪めて、万物を創造してみせる錬金術。その真理に触れることが禁忌であり、厄災をもたらすとしても何らおかしくはありませんね~」

エミリー「ええと、まつりさんが不老になったのもその時なのですか……?」

まつり「気づいたのは後になってからだったけれど、間違いないだろうね。あの光……世界を歪める原初にして終焉なる光を浴びて、私の身体はもはや人ではなくなってしまった」

貴音「妹君は?彼女もまた当事者であるのですから、何か変化があったのでしょう?」
89 : プロデューサー様   2022/07/12 08:14:30 ID:HsIJFekh7o
まつり「それは……」

可憐「師匠。隠し事はもうなしです。そうですよね?」

まつり「っ……。そうだね。妹は……あの子には大きな変化はなかった、と思う」

千鶴「思う?」

まつり「その……私が引き起こした未曾有の災害から、緊急用の転移石を使って私たち数名が何とか島の外に無事に転移できたはよかったけれど、3年足らずで私は妹たちと別れた。だから、その後のこと、えっと、つまりは可憐ちゃんのお祖母さんとしてこの地で亡くなるまでのことはほとんど知らない」

朋花「妹さんと別れた理由は、不老が発覚したからですか」

まつり「それは引き金になったに過ぎないよ。だって、そうでしょう?私が全部……みんなを深い海の底に沈めたんだよ?むしろ少しの間だけでも妹と一緒に行動できたのは、見ず知らずの島の外で安定した生活を送るためには協力する以外の選択肢がなかったから、それだけ」

エレナ「カレンは心当たりあるノ?おばあちゃんが特別な能力あったかどうかって」

恵美「真理の鍵の影響、何もないとは思えないけど……どう?」

可憐「どうだろう?わかるのは、私が生まれたときから、おばあちゃんはおばあちゃんで、最期までそうだったってこと。もしも何か人と違うところがあったって、そんなの……もう、些細なことだよ」

千鶴「可憐……」
90 : Pサマ   2022/07/12 08:14:45 ID:HsIJFekh7o
まつり「付け加えておくことがあるとすれば、私は既に錬金術としての力をほとんど失っているということかな」

千鶴「ええーっ!?そうなんですの?!」

可憐「そんな気はしていました……」

千鶴「どひゃぁっー!! 平然としているっ、さすがはわたくしの妹ですわー!」

エレナ「チヅル、落ち着きなヨー」

可憐「培ってきた知識と経験はそのまま、でも錬金術を行使することはもうできないんですよね……?」

まつり「……うん」

可憐「し、師匠は一度だって実際に私の目の前で調合したことがありませんでした……ただのめんどくさがりにしては、師匠が口頭で教えてくれるその姿、眼差しは真剣すぎましたから」

貴音「ついでに訊いておきましょう。その身体、不老とはいえ弱まってきているのではありませんか」

朋花「貴音さん、なぜそう思うのですか?」

貴音「あのフェスティバル・トクガワだというのならば、動きが悪いですから」

恵美「えー、いや、それはあれでしょ、あくまで伝説は伝説で……」

まつり「銀髪ちゃんの言うとおりなのです。まつりのこの身体は、かつてほど強靭ではないのです」

美也「なんと~」

まつり「思えば、シルバーブレードと黒龍を退治していたあの頃が全盛期だったかもしれないね」

貴音「! なるほど、私のおばあ様とは戦友であったのですね……ようやく理解が追いつきました」

エレナ「前スレで、ちょろっと出てきた名前なんて覚えていないヨー!」
91 : そこの人   2022/07/12 08:14:59 ID:HsIJFekh7o
朋花「話をまとめてみましょう~」


【まつり姫の秘め事】
その正体は2年前に亡くなった可憐の祖母の姉。
地図に無い島、そして今や海底に沈んだ島国エドの生き残りにして、お姫様であった。
島に残された錬金術の奥義書を解読して、真理の鍵を調合し、妹の願いを叶えようとするも失敗に終わる。
以来、不老の身体となり、世界各地に武勇伝を残す。これはまつりにしてみれば、一種の贖罪の軌跡でもある。
ミリ・シタには流行り病が起こる以前に、一度訪れており、幸せな家庭を築いた妹を遠目に見るのみで会いはしなかった。
幼かった頃の詩花に錬金術の素養を見出し、旅路で収集した錬金術関連の書籍を一冊譲渡している。(これ、妹さんが知ったらどう思ったんだろう……)
不老の身体とはいえ、年々、衰弱しておりかつては神殺しとまで謳われた天下無双の体術を披露することは今では無理なようだ。
そもそも、真理の鍵の効果とまつりの不老とがどういった関係にあるか不明。おそらく本編完結に至っても明かされないだろう。
こじつけるとすれば、水底に沈んだエド、そこに暮らしていた千人前後の人間の魂、その寿命というのをまつりがある意味で吸収したという事態なのかもしれない。
まつりが魔法学等々、多種多様な知識を持ち合わせているのも勉学の賜物以外に、そうした島に生きていた人の智を文字通りその身に刻んでいるからなのだろうか。
92 : Pさん   2022/07/12 08:15:13 ID:HsIJFekh7o
まつり「大丈夫だよ、可憐ちゃん」

可憐「え?」

まつり「このタルタロスの調査が終わったら、うん、ミリ・シタの未来を救うことができたなら、私はこの街を離れるから」

千鶴「それって――――」

まつり「私は可憐ちゃんと違って、錬金術を正しく使えなかった人間。私は罪人であり、紛うことなき悪。失われた命、島をして、この事実は決して覆らない。私はこの身が朽ち果てるまで、罪滅ぼしのために世界をめぐる。その覚悟はできているから」

朋花「………」

エレナ「マツリ……ワタシはいつもの頭ふわふわな話し方のほうが好きだヨ?」



可憐(まつり師匠……私は……)




つづく
93 : 5流プロデューサー   2022/07/12 08:15:51 ID:HsIJFekh7o
次回は早ければ明日にでも
遅くとも明後日の夜には
94 : プロヴァンスの風   2022/07/12 13:36:55 ID:.Q6zyAc5bQ
おつ
いよいよクライマックスかな
95 : プロデューサー君   2022/07/13 07:37:20 ID:cCju3iMSLE
明らかになったまつりの素性と過去。
タルタロスの調査後にミリ・シタを去ると話したまつりに可憐は何も返せずにいた。
前スレで貴音は、まつりが今回の調査より前にこのタルタロスの存在を知っており、何か重大な事実を隠しているのではないかと疑っていたが、そんなことはなかった。
まつりはミリ・シタを二十数年ぶりに訪れ、可憐に亡き妹の面影と錬金術の素養を見出した。彼女に錬金術を教えることに決めたのはある意味で贖罪なのだろうか。
錬金術。それはまつりの妹(可憐の祖母)が望み、得られなかった力だ。
可憐に備わる錬金術の素養こそが、妹が受けた真理の鍵の影響ではないかと、まつりは思いもする。ようするに隔世遺伝めいた効果であり、妹自身は錬金術を使えないまま亡くなったが、その孫娘である可憐には錬金術を使える力が宿ったのだと。
だが、そんなのは実証しがたいことだ。単に神様の悪戯によって可憐に発現した能力かもしれない。
いずれにせよ、まつりが可憐に錬金術を教えていたことが、今回の依頼に役立った。
穢れの神域と呼ばれたこの場所に眠る真実を今、9人の探索者が解き明かそうとしている……。

一同は最深部に向けて探索を再開するのだった。
96 : 師匠   2022/07/13 07:37:34 ID:cCju3iMSLE
- タルタロス B5F 37区画 -


千鶴「また階段?たしかここが地下5階ですから、次で地下6階ですわよね?」

美也「はい~。でも、次が終点みたいですよ~」

貴音「千里眼をもってして、視えるのであれば間違いないでしょう」

美也「ですが、む~ん……この気配、どうも普通ではないですね~」

恵美「ここまで来て、一番最後の部屋に何もなかったら、それはそれで困るって」

エレナ「ねぇ、ちょっと確認していいカナ?」

朋花「なんでしょう」

エレナ「えーっと、みんなで情報をまとめてみたところ、ここでブラックウェル卿が流行り病の治療法を研究していたのは嘘じゃなかったんだよネ?」

可憐「は、はい。彼は協力者と共に街から離れたこの場所で、ど、どうにか流行り病を終結させようとしていたみたいです」

まつり「可憐ちゃんたちが見つけた記録によれば、卿は娘であるシーカによって錬金術を知り、自身にもそれを行使できる力があるのがわかると、それが治療に役立てられないかを模索し始めた」

エミリー「行き着いたのが、賢者の石……だったんですよね」

貴音「その対価は多くの生ける人魂であり、それは天空教会の当時の司祭をシーカが説得して、得たものだった」

恵美「ようはさ、生贄にしたってことだよね。ここまで来たら遠回しに言ってもしかたないよ」
97 : Pはん   2022/07/13 07:37:46 ID:cCju3iMSLE
可憐「でも……調合した賢者の石―――それは不完全なものだったみたいだけれど―――は特効薬の製造ではなく、シーカさんの願いを叶えるために使われた」

貴音「失った大切な人を取り戻すために、ですね」

美也「その願いの結果が、私たちが出くわしたあのウミウシさん……」

誰も口にせずとも、感じていた。この一連の出来事がまつりの過去と根本は似通っていると。
まつりもシーカも錬金術の可能性を信じて、しかし結果としてより大きな喪失を招いた。

エレナ「ブラックウェル卿は、そのウミウシさんにやられちゃったノ?」

朋花「どうなんでしょうか。卿は封じ込めるためにスラグたちを調合して、現に封印は一時的に成功していたわけですし」

可憐「言われてみれば、卿の最期は謎のままだね。の、遺されたメモ書きからすると、たしかにあのウミウシとは対峙しているようだけれど……」

エレナ「案外、助かってここを出て、別の街に移って今も生きているなんてこともあり得るのカナ?」

貴音「いえ、それはないでしょう。流行り病の治療法を追い求めた人物。無責任にここを放棄したうえで、街に住む人々に何も知らせずに離れるなど、行動原理に合いません」

恵美「それじゃ、やっぱり……?」

まつり「遺体は発見できていないのです。可憐ちゃんたちの戦ったウミウシさんとやらが、全部丸飲みにしていたとしてもおかしくはないけれどね」

可憐「あるいは……地下深くに逃げ込んだ」
98 : 我が友   2022/07/13 07:38:01 ID:cCju3iMSLE
千鶴「前スレで触れていたとおり、ここは研究施設としてある前に、遺跡なのですわよね?」

まつり「ここまでの探索で得た資料をもとにすると、ブラックウェル卿たちは遺跡の全容を解明してはいないようなのです」

朋花「感染の進む街から離れて、秘密裏に人道から外れた研究にも打ち込める場所としてここが選ばれただけなのでしょう」

可憐「穢れの神域………」

貴音「司書(※百合子のこと)が探し出した書物にあった名前でしたか?思えば、深部に至ってなお、ここにそうした神性も穢れも感じませんが」

エミリー「かなり無機質な雰囲気ですよね。卿たちが研究をする際に手を施したのでしょうか」

エレナ「一生懸命、クリーニングでもしたってこと?」

美也「可憐ちゃんはこの階段の下にどういった気配を感じますか~」

可憐「え?くんくん………美也さんの言うとおり、普通ではない何か。けど、よくわかりません」

千鶴「やれやれ、結局のところ、わたくしたちにできるのは進むこと。下りてみるしかないのですわね」

恵美「ま、そういうことだね、にゃはは」
99 : プロデューサーちゃん   2022/07/13 07:38:14 ID:cCju3iMSLE
- タルタロス B6F 39区画 -


それまでよりも長い階段を降りると、薄暗いだだっ広い空間が広がっていた
そして部屋の中央には――――


可憐「これは………えっと、な、なに?巨大な、銅像?」


可憐たちを迎えたのは、人の形を模した巨大な像であった。
拘束具らしき装置が全身に繋がれている。

エレナ「ねぇ、これってガン○ム?」

千鶴「モビルスーツってやつですの!?」

可憐「ふ、2人とも世界設定をぶち壊すようなこと、い、言わないようにしましょう……?」

美也「今更ですね~。ええと、目測で7.65mぐらいでしょうか~」

朋花「迂闊に近づかないようにしましょう」

貴音「! 皆、あれを見てください」

部屋の隅に「それ」はあった。


まつり「あれって……白骨死体?」
100 : そこの人   2022/07/13 07:38:28 ID:cCju3iMSLE
一同は貴音が見つけた白骨死体の元へと近づく。

エレナ「チ、チヅル~」ギュッ

千鶴「エレナ? 今まで魑魅魍魎と戦ってきたではありませんの。人骨ぐらいで怖がってどうしますの」

エミリー「着ている服からすると、この骨は……」

恵美「ずいぶんと身なりいいよね。もしかして、この人が?」

貴音「ふむ。では、失礼して」

貴音が人骨と身につけているものを検分する。
天空騎士団の第四部隊の巡礼者として、殺人事件の捜査にもあたったことのある貴音だ。
貴音とミステリは合いそうやね。探偵役でも犯人役でも。


貴音「……? これは手紙?」

まつり「遺書なのです?」

可憐(師匠の口調が戻っているのは仕様です)

朋花「読んでみましょう」

美也「では、私が黙読しますよ~」

恵美「音読しようよ!?」

エミリー「あ、あの! 蝶々騎士様だとゆっくりすぎるかと。ここは錬金術士様が読まれるのが筋ではありませんか」

可憐「えっ、あ、うん。そうだね、そういう流れだよね……」
101 : ごしゅPさま   2022/07/13 07:38:43 ID:cCju3iMSLE
果たしてそれは、タカーオ・ブラックウェルの遺した手紙だった。
震えた筆跡で記されていた内容の大部分は、後悔であった。
初期段階で治療法を確固たるものにしていれば、より安価な薬品の製造に努めていれば、ずっと仕えてきてくれたレオンをもっと気に掛けていれば、愛娘であるシーカと本心での会話を何度も重ねてさえいれば……。
いっそ錬金術に出会っていなかったのなら、その言葉はまつりに響く。もしもあの日あの時あの場所で、師に会わなければ、錬金術を知らなければエドは今でも存続し、まつりと妹の2人の姫君のもとで繁栄の時代を築いていたかもしれない。


まつり(でも……)

手紙を読み続ける弟子の顔をまつりは見つめた。

まつり(それは可憐ちゃんたちとも出会わなくなるということ。この魂と身体は既に罪で染まっているけれど、それでも私はこの出逢いを、短かったけれどミリ・シタでの日々を大切に想う。妹が生涯の幕を閉じたこの地で、その孫娘と会えて、私は嬉しい。可憐ちゃんも……そう感じていたら嬉しいけれど)



可憐「『終わりになったが、今、手紙を読んでいるあなたたちの前にそびえる巨像、それこそがこの遺跡の真実であると私は判断した』」

エレナ「手紙を持ち帰ってから読んでいたら困っていたね」

千鶴「まず読み手が現れるかどうかから問題ですわよ」

朋花「この遺跡の真実……?」

可憐「『かつてここは穢れの神域と呼ばれた場所であると、我が屋敷の蔵に残っていた古い書物にあった』」
102 : バカP   2022/07/13 07:38:59 ID:cCju3iMSLE
タカーオは、可憐たちが知らない部分、憶測しかできなかった穢れの神域について、彼が見つけた書物で知り得た話を簡潔に綴っていた。
皇国時代、この地での戦争に高位の呪術師が参加し、その者はこの土地に根付いていた神を呪術で支配し、使役してみせたのだという。
しかしその神をもってしても強大な魔術には打ち勝てず、この地の神は消滅し、穢れだけが残ってしまう。
皇国時代はこのような出来事がそこらかしこで起こっていたという。古代には神は不可侵であったのが、皇国時代においては高位の魔術師連中の契約相手となり、それは武器や人と一体化することもあった。
タカーオ曰く、例の流行り病の起源というのも、戦時に魔術師ないし呪術師が特定の動植物にかけた魔法や呪いにあるという。

可憐「『この地下何層にも及ぶ空間は、神域の民たちが地上の穢れから逃れるために作った一つの都市であるようだ。彼らは神が消えてなお、この地を離れることはできなかった。最初はほんの地下一階、二階でしかなかったのが、年月をかけて地下深くへと生活圏を広げていった』」

貴音「地下帝国の誕生といったところでしょうか」

恵美「にしては、狭いけどね。人もそんなに多くはいなかったんじゃない?」

エミリー「それよりも気になるのは、そうした都市の痕跡が卿たちが研究目的で踏み入れた時にはなかったらしい、ということですよね」

美也「時代に開きはありますよね~。皇国崩壊の戦争というのが390年ほど前で、それが終戦してからここに地下都市が形成されてどれぐらい維持されたのか……」

千鶴「そして何をきっかけに無に帰したのか、ですわね」

可憐「………」

朋花「可憐さん?」

音読をやめた可憐の顔は青ざめていた。それはちょうど、あのツヴァイグランツと対峙したときを思い起こさせる。
103 : レジェンド変態   2022/07/13 07:39:31 ID:cCju3iMSLE
まつり「地下都市の民たちに何があったのです?」

可憐「ブラックウェル卿はこう書いています。『彼らは地下にいたがために戦争が終わったのを知らなかったのだろうか、それとも知っていても復讐を諦めなかったのだろうか』」

貴音「復讐?」

エレナ「ふーん、ひょっとして、地下でせっせと地上の敵をどかーんってするためのヘイキでも作っていたノ?」


まつり・朋花・美也「!!!」

エレナの言葉に3人は一斉に同じ方向を見る。
エミリーは首をかしげ、貴音は黙り込み、千鶴はお腹を鳴らした。


可憐「『結論を言おう。その巨像を壊してくれ。それはまだ生きている。時が来れば動き出し、ミリ・シタは流行り病以上の厄災に見舞われることとなる』」

エレナ「エエーッッ!?!??!!?」

可憐「『そうだ、終末の日を迎えるのだ。おそらくは稀代の錬金術士が作ったのだろう、その機械仕掛けの巨神兵こそが神域の民をすべて葬り去ったに違いない。失敗したのだ、彼らは。御することのできない力がすべからく破滅を招くものなのだ』」

千鶴「ぬ、濡れ衣ではありませんこと?」

可憐「『拘束具をもってしてギリギリの状態で封印されているが、いつ目覚めるかはわからない。シーカとそしてほとんどの協力者を失い、たどり着いた先でこのようなものと出会ってしまうとは、絶望しかあるまい』」
104 : 箱デューサー   2022/07/13 07:39:45 ID:cCju3iMSLE
朋花「ギリギリの状態で二十年近くもっているとすれば、それはもうギリギリではないのでは?」

美也「なんと~」

まつり「よく見て。拘束具のいたるところにひび割れが生じている」

貴音「やるしかないのですね」

可憐「『未来に希望を託す。それが過去に取り返しのつかない失敗をし、もはや息絶える寸前の人間が唯一できることだ』……師匠」

まつり「え?」

可憐「この巨神兵もまた錬金術の負の遺産みたいです」

まつり「………うん」

可憐「それなら、今を生きる錬金術士が責任をもって打倒さないといけない。………ですよね?錬金術は世界を変える……未来を作る力なんですから」

ぎこちない微笑みを可憐がまつりに向ける。まつりは目頭が熱くなると共に、思わず抱きしめたくなるのを抑えて、肯いた。
105 : P殿   2022/07/13 07:39:57 ID:cCju3iMSLE
千鶴「最終決戦ですわね」

朋花「ええ、ここで負の因果を断ちますよ~」

エミリー「若干の説明不足があるでしょうが、脳内補完でお願いしましゅ!」

恵美「やってやろうじゃん、これが本物のジャイアントキリングってね!」

エレナ「先手必勝だヨー!」

貴音「地下都市の民を葬り去った巨神兵、相手にとって不足はありませんね」

美也「終わり良ければ総て良しですな~。みんなで力を合わせて倒しましょう~、お~!」

まつり「この像からは穢れを感じないのです。ううん、何も感じないのです。きっと目に映るすべてを壊すだけの存在なのです。そんなの悲しすぎるのです……」

可憐「みなさん、構えてください。オペレーション・ヴァルキュリア開始です!」



可憐たちのたたかいはこれからだ!
106 :   2022/07/13 07:42:05 ID:cCju3iMSLE
一旦ここまで
なるべく今日中にはラスボス戦開始します

補足しておくと、地下都市の民の亡骸は生き残り=巨神兵をどうにか拘束して封印した人たちによって埋葬されたか、そもそも巨神兵によって跡形もなく消滅したかだと思います
エミリーに言わせたとおり、脳内補完でお願いしまっし!


何卒最後までお付き合いください!
107 : Pしゃん   2022/07/13 19:02:55 ID:cCju3iMSLE
再開します
ご協力お願いします



イベントバトル:甦る悪夢と錬金術士の覚醒

勝利条件
機械仕掛けの巨神兵の耐久値を0にする

敗北条件
可憐たち全員が戦闘不能状態となる


※これまでどおり投稿時刻秒数を使用
※1ターンはDEFENSE PHASEとOFFENSE PAHSEで構成されている
※安価3レスが揃うまでは、3~6時間(目安)に一度、スレ主自身がレスする
→遅くとも半日程度で1フェイズ、一日で1ターンは進めたいということ
※あまりにグダるようであれば数値の倍率等を後から変更しサクサク進行する
108 : Pサマ   2022/07/13 19:03:10 ID:cCju3iMSLE
エネミー情報

機械仕掛けの巨神兵
耐久値????


可憐「あの……何もわからないんですけど」

まつり「目覚める前に、ぶっ壊してしまうのですっ!」

千鶴「チェーンソーで真っ二つですわ!」

朋花「決戦を前に所持していた回復アイテムで皆が全回復済みです。全力で行きましょう」

エレナ「ラストバトルのはじまりだヨー♪」
109 : プロデューサーちゃん   2022/07/13 19:03:44 ID:cCju3iMSLE
TURN0 OFFENSE PHASE
【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
※00は0ではなく60として扱う

攻撃基礎値=3レス総和×39 上限9000
補正値 3レス総和が50以下の時+76  51~100以下の時+39
条件を満たすことで追撃が発生!

・いずれかが二桁の3の倍数
→百花繚乱の舞 総和+20 

・いずれかが素数
→魚座の誓い 倍率+1

・偶数が2つ以上かつ同じ数値がない
→双子姫の饗宴 総和+40 

・いずれかが7か11の倍数
→闇夜の眷属の調べ 倍率+2

・最小値と最大値の差が20未満
→晴天の嵐 総和+55

・中央値が5の倍数かつ45以下
→天の川銀河の煌めき 倍率+3

・すべて奇数
→シリウスの陣形 倍率+4

・値の大小が1<2<3を満たし、かつ4の倍数を含む
→ダイヤモンドノヴァ 総和+80

・3レス平均が38~41かつ最小値が1桁
→マイペースビッグバン 倍率+8

☆上記の9項目いずれも満たさない場合、固定値3900


何卒ご協力お願いします!
110 : バカP   2022/07/14 00:49:43 ID:S.vs8tN5nM
自レスっと
111 : 我が友   2022/07/14 06:59:48 ID:S.vs8tN5nM
自レスー
112 : 我が友   2022/07/14 07:11:55 ID:m0v4fZy/rY
おっと続き来てた
ラストバトルのはじまり!
113 : 師匠   2022/07/14 09:37:21 ID:RtkKzdqZMU
副業中なので判定だけ
(43,48,55) 総和146

146+20+55+80=301
倍率は割愛

与ダメージは上限値9000で計算
甘すぎたのではなく、まさか自分で40後半を連続でとるとは予想外だったんですわ…
続きは遅くとも明日の夜には
114 : 夏の変態大三角形   2022/07/15 19:04:33 ID:ZN/rDbQB5U
再開します

可憐たち9人のそれぞれの奥義が炸裂し、深い眠りにつく巨神兵を破壊する……っ!!
たかだか地上3階建てに及ばなほどの高さをした機械仕掛けの巨像であるのに、倒れ行くその轟音と壊れていく光景は崩壊と言うに相応しい。
可憐たちはブラックウェル卿の遺言を叶え、彼が最期に未来へ託した希望をしっかりと繋ぎ止め、今、災厄の復活を阻止した――――
埃が舞い、にわかに靄に包まれたその部屋で、誰もがそうであるよう確信していた。

いいや、実を言えば2人。巨神兵の崩壊を目の当たりにしてなお、それがそのまま幸福なエンディングへと続くことはないと予感した人物がいる。
その1人は、まつり。彼女はあの日のこと、エドが沈んでいく様を思い出していた。
転移石があくまで緊急用の代物で、島を出てどこか陸へと転移できるのか、そこが安全であるのか等々、保障らしい保障など皆無であったことも思い返す。妹と他数名しか救えなかった事実、他でもなく自分自身のせいで失われた国と人……。
まつりはそうした暗い過去から、明るい希望をつまりは巨神兵の破壊を簡単には心から信じることなどできなかったのだ。
そしてもう一人………
115 : 師匠   2022/07/15 19:04:55 ID:ZN/rDbQB5U
可憐「くんくん……」

千鶴「可憐?」

可憐「――――みんな、まだだよ」

ザワ……ザワ……

エレナ「ヘ?」

朋花「まさか」

まつり「どうやら、今やっとお目覚めのようなのです」



エミリー「隊長!!」

貴音「狼狽えてはなりません。拘束具ごとその身を粉々にしたと思いきや、よもや……その巨体も拘束具だったとは」

美也「中から現れた一回り小さな、あれが……この地下都市を滅亡に追いやった存在のようですな~」

恵美「ね、ねぇ、思ったことをそのまま言っていい?あれ―――めちゃくちゃ可愛い女の子だよね」

砕かれた巨神兵から姿を見せた真の敵。それは機械仕掛けの美少女だった。
どんななりをしているのかは、各々のご想像にお任せする。
116 : 彦デューサー   2022/07/15 19:05:18 ID:ZN/rDbQB5U
朋花「いい趣味していますね、まったくもって」

まつり「美少女型殺戮兵器だなんて、今日日流行らないのです」

エレナ「言葉が通じそうにないのはよかったのカナ、悪かったのカナ?」

千鶴「宙に浮いていますわよ!?反重力装置を備えていますの!?」

可憐「いくよ、みんなっ。私たちの明日を護るために……!」


▶エネミー情報が更新されました
117 : 監督   2022/07/15 19:06:07 ID:ZN/rDbQB5U
機械仕掛けの美少女ミリオン
耐久値999(=9999-9000)

可憐たちのDEFENSE PHASE時、3レス総和によって発動スキルが決定される
・奇数
【ユニオンキャノン】
基礎攻撃値=(180-総和)×3+確定ダメージ(60-最小値)

・偶数
【ルミエール・パピヨン】
基礎攻撃値=最小値×10/最大値×5の高いほうの数値+確定ダメージ(3レス平均×0.5)


さらに以下の条件を満たしていると追撃が発生する
・総和が素数
【ドリーム・プレリュード】
確定ダメージ(100-中央値)×2 上限100

・2つ以上が7の倍数
【虹色の波動】
確定ダメージ(最大値+77)


また以下の補助スキルも有している
【グロウマップ】
1ターンで500以上のダメージを受けない。
118 : ハニー   2022/07/15 19:07:26 ID:ZN/rDbQB5U
TURN1 DEFENSE PAHSE 

【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
※00は0ではなく60として扱う
※基礎攻撃値のうちで確定ダメージを除く部分を軽減する数値/軽減率を判定

可憐たち 耐久値765
天使のごとく微笑みを見せ、ミリオンが可憐たちに襲いかかる!
霊山騎士たちが守護陣形をとってくれるが……?!※エミリーは見習い騎士

1.貴音 
神速の居合術で攻撃をいなせるか(共起なし)
・20~50の偶数→かろうじて軌道を僅かに逸らせた 40
・4の倍数→受け流しになんとか成功した 15%
・40~49→敵は反撃されまいと攻撃を中止した 75
・中央値かつ素数→カウンターがきまった! 25%

2.恵美 
氷撃で敵の動きを封じられるか(共起あり)
・6の倍数→こおりのつぶてがヒット 20
・9の倍数→氷のジャベリンがヒット! 30
・最小値かつ奇数→ブリザードが敵を襲う 55
・17~43のうちで素数→氷の精霊が力を貸す 70 

3.美也
基礎軽減値有り=3レス平均値
癒しの魔法でダメージを軽減できるか(効果最高を採用)
・3か8の倍数→みゃお~ 基礎軽減値を中央値×3に変更
・17~38→みゃおみゃ~ 基礎軽減値を3レス平均値+最大値に変更
・3レス総和が100以上  みゃ? 基礎軽減値を最小値×5に変更(上限150)


さらに以下の条件を満たすことで千鶴がムーンゴールドの光で支援する
・最大値と最小値の差が9か11の倍数→これがセレブの輝きですわ! 15%
・3レス総和が50以下→ノブレス・オブリージュですわよ! 50

【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
何卒ご協力お願いします
119 : 5流プロデューサー   2022/07/16 05:39:13 ID:RcpV/DFeho
自レスー
今月中には終わりたい
120 : 我が下僕   2022/07/16 08:27:50 ID:kqvVS2Rmkw
はいよ!
121 : 高木の所の飼い犬君   2022/07/16 10:27:52 ID:dQg/n0GnTs
みゃおみゃお〜
122 : 監督   2022/07/16 11:13:03 ID:fVvXZFyIBQ
副業中なので判定のみ
(13,50,52) 総和115

ユニオンキャノン
(180−115)×3=195
確定ダメージ60−13=47
追撃無し

貴音→失敗
恵美→失敗
美也→基礎軽減参照値の変更→65
千鶴→支援無し
合計軽減値65

よって被ダメージは130+47=177

765−177=588
2人失敗したのに思ったよりダメージ受けないのは彼女が目覚めたばかりだからだと思いますわ

オフェンスフェイズは今日中に提示します
レスしてくださって、本当にありがとうございます!
123 : ボス   2022/07/16 19:11:36 ID:iC8p7T.BtY
機械で奇怪な少女が宙にふわふわと浮いたまま、可憐たちに向かって鋼の手のひらをかざす。
そこに高濃度の霊力が球体となって可視化されるまでに数秒もかからなかった。
あの要塞型スラグの砲撃並の攻撃をこの機械少女はその手から放とうとしている、そのことを須臾の間に頭で理解できた者などいない。

戦闘経験に長けた貴音とまつりとがほとんど反射的に、他の皆に向かって少女の正面から離れるよう叫んだ。
果たして少女の手のひらから砲撃ならぬ光撃が繰り出される。しかも1つではない。
壁や床は傷つき、広く殺風景な空間が瞬く間に凸凹となった。戦場。一言で表せば、既にそこはそう呼ぶべき空間となっていた。

貴音(まずいですね。この部屋ごと崩されては生き埋めになりかねません。ここは……打って出ましょう!)

そう判断した貴音が居合の構えをとる。無月流の中には飛翔する敵にも及ぶ、飛ぶ斬撃なるものがあるのだ。
だが、構えた貴音を危険因子として察知したのか、機械少女ミリオンは無差別な光撃をやめて貴音へと目がけてユニオンキャノンを撃つ!

貴音「なっ!」

直撃は避けられたものの、神速の居合術は不発に終わる。
124 : ハニー   2022/07/16 19:11:47 ID:iC8p7T.BtY
ユニオンキャノンの乱れ打ちによって強制的に崩された陣形、立て直すためには時間が必要である。
それはその場にいる皆が承知していた。攻めに転じる機会を何とかして作らないといけないのだ。機械だけに。

恵美「アタシが動きを止める!凍てつけ―――って、えええっ!??」

氷輪騎士こと恵美が絶対零度の魔法をもってミリオンの動きを止めようとしたものの、詠唱中に間合いをすぐ傍まで詰められてしまう!

朋花「お姉様!」

そのままゼロ距離での光撃、咄嗟に床面を凍らせ、つるっと滑走しなければ大怪我をしていたことだろう。

可憐(一秒の気のゆるみが命取り……こっちは9人もいるのに、い、今のままじゃ太刀打ちできない……!)

美也「可憐さん、この戦況を覆すためのアイテムをあなたは持っているはずですよ~」

可憐「え?」

美也「私には見えるんです~。まだ使っていないアレを使う時ですな~」

可憐「アレって……そ、そうか、アレなら!」
125 : 師匠   2022/07/16 19:12:38 ID:iC8p7T.BtY
TURN1 OFFENSE PHASE
【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
※00は0ではなく60として扱う


1.可憐 時の石版を使用(共起なし)
・5の倍数→時を減速させる 合計攻撃値を1.2倍に
・6の倍数→時をとても減速させる 1.5倍に
・8の倍数かつ中央値→時を加速させる 2倍に
・21-30かつ最小値→時をとても加速させる 2.4倍に

2.まつり 基礎攻撃値=3レス総和※下限50(共起あり)
・偶数である→お姫様マッハパンチ+35
・中央値ではない→お姫様タックル+50
・3の倍数である→お姫様ラリアット+60
・31-50である→お姫様アイアンクロー+70

3.朋花(トクガワ) 基礎攻撃値=最小値×5※上限150(共起あり)
・奇数である→ぶひー+25
・9の倍数である→ぶひ?+55
・21-40ではない→ふひ♪+65
・最大値である→ブヒーモス+65

さらに以下の条件を満たすとエミリー・エレナの支援を受けられる
※可憐の効果を受けない、あくまで追撃の判定
・最大値と最小値の差が7か10の倍数→金色手裏剣殺法 総和の半分(小数点以下切捨て)
・総和が4か13の倍数→甦る禁断のデスサンバ 88

安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定です
何卒ご協力お願いします
126 : EL変態   2022/07/16 21:14:43 ID:dQg/n0GnTs
ゆるふわ〜
127 : プロデューサー殿   2022/07/16 21:26:41 ID:ODufDeXMxs
えーい!
128 : おにいちゃん   2022/07/17 03:47:32 ID:URZi4W/lE6
最後は自レス〜
129 : Pさん   2022/07/17 03:56:20 ID:URZi4W/lE6
判定(43,41,32) 総和116

可憐→石版の効果最低限のみ
まつり→116+70=186
朋花→32×5=160→上限150

支援
デスサンバ 88

合計与ダメージ186+150+88=424
続きは遅くとも明朝には
130 : ボス   2022/07/18 05:31:46 ID:jXHMQzwiAs
まつりの師曰く、時空操作の効果を持つ道具の調合は優れた錬金術士であることを証明する指標であり、錬金術士にとって1つの到達点でもあるそうだ。
そしてその道具の効果が小範囲かつ一時的に限定されるものであれば何ら問題はないが、そうではない場合は禁忌とみなされる。
いわゆる因果律に干渉し、世界の均衡を脅かす力をも発揮するのであれば、それは真に時空に介入する存在であるのだから、認められないとしたのである。
古代から近代にかけ歴史の裏で暗躍したとされる、錬金術士たちの間のみでの取り決めではないだろう。そこには上位精霊や神々に「指導」があったに相違ない。
彼ら側からしてみれば、錬金術というのはそもそも彼らが人に気まぐれで与えたものであり、むしろ借り物の力であるよう扱う者もいる。
実体の精査は難しい。理由の1つは大陸全土での度重なる魔法戦争で、この世界のマナバランスは崩壊していることにある。
今では妖精を見ることができ、触れ合える人間すらもほんの一握りなのだから。って感じの設定を増やしたところで、どこまでいってもふわっとしているのはファンタジーなんだからしかたないでしょ!
131 : 夏の変態大三角形   2022/07/18 05:32:01 ID:jXHMQzwiAs
可憐がタルタロスの探索をするために調合した時の石版は、かつてエドでまつりが調合しようとしてできなかった種類の道具に相当する。
小さな島国であったこと、すなわち素材収集の限界を考慮すれば、このことは必ずしも現在の可憐の錬金術の腕というのが過去のまつりよりも勝るものとなったことを意味しない。
それでも、可憐が錬金術を学び始めて一年も経たないうちに、時の石版を調合できるまでとなったのは、おそらくは過去に生きた高名な錬金術士たちからすれば驚嘆と賛美、あるいは畏怖に値するものであった。

そうしたこともふまえて、可憐が美也に言われるまで時の石版を持ってきていることを忘れていたのは、その道具の調合が可憐にとって満足のいくものではなく、言ってしまえば不完全な調合品であったからである。
地下迷宮に石版というのが、いかにも謎解き、冒険の醍醐味のように感じたがゆえにノリで携帯したのである。

可憐(う、うまくいくといいけど……!)

可憐「時を司る精霊よ、因果の理から我を隠し、不可避にして絶対の時流からただ一時逃れたらん――――えーいっ!」

霊力を込めた錬金杖で時の石版を叩く可憐。


千鶴「機械少女の動きが止まった!?って、もう動きましたわ!」

可憐「ジャスト0.765秒です、いい夢見れましたか?」

恵美「なにがどうジャストなの!?」

朋花「もちろん、この私が聖獣を召喚するまでの時間ですよ~」

千鶴・恵美「え?」

そんなに素早くトクガワを呼び出せるんだったら、最初から呼び出しておけよと言いたくなるがそれは野暮と言うもの。
可憐が不完全な時の石版を使用して作った隙で、朋花はトクガワを召喚した!
132 : 高木の所の飼い犬君   2022/07/18 05:32:25 ID:jXHMQzwiAs
トクガワ「ぶひぶひ」

貴音「なんと。話には聞いていましたが、本当に盟約を結んだのですね、巫女候補よ」

エレナ「かわいいブタさんだネ♪」

貴音「丸々として美味し……ではなく気品がありますね、じゅるり」

エミリー「た、隊長。その反応は既に千鶴さんがしていますから(>>31)」

まつり「どうしてトクガワなのです?」

美也「細かいことは気にしないで、ど~んと構えましょう~」

朋花「さぁ!いきなさい、トクガワ!ぶつかって自爆しなさい!」

まつり「そんな扱いなのです?!なんだかひどいのですー!」

トクガワ「我が盟友よ、今度そこにいる姫っぽい子を紹介してくれ。一目惚れしてしまったのでな///」

まつり「えぇ……早くぶつかりにいくのです」

可憐(姫っぽいって師匠のことでいいのかな。もしかして貴音さん?)

美也(Princessタイプということであればエミリーちゃんかもしれませんね~)

可憐(美也さん、心を読まないでください!)
133 : 仕掛け人さま   2022/07/18 05:32:45 ID:jXHMQzwiAs
ミリオンに向かって突進するトクガワ!
ちょとつも~しん♪も~も~しんっ♪らんららら~ん♪どか~ん♪

可憐「や、やった……?」

朋花「いえ、まだのようです」


トクガワの決死の爆撃突進も虚しく、ミリオンのミリシタリウム鋼の装甲を破壊するには至らなかった。
皆が落胆から気持ちを切り替えて再び武器をとるなかで、エレナだけが武器を外した。
が、それは戦意を消失したわけではない。皆が目を疑った。彼女は踊ろうとしている。



エレナ「みんな、ここはワタシに任せて!」

千鶴「その珍妙なポーズは……っ!!デスサンバですの!?エレナ、いけませんわ、それはあなたの魂を削るのですわよ!!」

エレナ「でもワタシ―――ミリ・シタが好きだから」

千鶴・可憐・朋花「!!!」
134 : ごしゅPさま   2022/07/18 05:33:11 ID:jXHMQzwiAs
エレナ「引っ越してきたときは、部屋に怨霊みたいのが憑りついちゃって、嫌だナー、怖いナー、って思っていたノ」

可憐「そ、そういえばそんなことありましたね」

まつり「妖精さんの仕業だったのです」

エレナ「でもカレンたちが解決してくれて、ワタシ、この街でたくさんのトモダチを作って、お祭りではパレードもして……」

千鶴「エレナのパレード衣装、とてもファンタジスタでしたわ!いつだって元気にハローですわ!」




エレナ「ワタシ、この命を賭けてもこの街を守りたい!」

大きな街からやってきたシティガール。今ではすっかりミリ・シタの一員。劇団セレブレイトスプラウトのエレナと言えば街の人にとってお日様なのだ。
そうして踊りはじめたエレナの体が光に包まれる!それは可憐たちが知る(でも実際には描写が一切されてこなかった)デスサンバの邪悪な光とはまるで違う!

可憐「デスサンバじゃない、こ、これは」

エミリー「あれはまさか伝説の、陽光律動管弦楽団式舞踊では!」

貴音「ええ、間違いありません。あれは太陽のりずむです」

恵美「サンリズム・オーケストラが使えるエレナは太陽の守護者……ってコト!?」

貴音と千鶴が継承している刀剣が月の力を持ち、皇国時代に各々の役職で大きな意味と価値を誇っていたのは前述のとおりであるが、皇国時代には太陽の守護者と呼ばれる者もいた。
この月の守護者と太陽の守護者について話し始めると長くなるので泣く泣く省略させていただく。

美也「見てください、機械仕掛けの女の子がエレナさんの踊りに苦しんでいますよ~」

エレナの太陽の舞は、地下深くの暗がりで孤独の中にいたミリオンには眩しすぎる。
ミリオンの制御系システムを一時的に麻痺させることに成功したようだ。

まつり「このチャンス、逃しはしないのです!」
135 : せんせぇ   2022/07/18 05:33:27 ID:jXHMQzwiAs
まつりの鬼の手、もとい、姫の手に尋常ではないオーラが宿る。エレナが操る巨大な魔導籠手すらも矮小に思えるぐらいだ。
開かれたその手のひらは、もはや乙女とはかけ離れた武器となる!
まつりはミリオンに急接近する。宙に浮くのもお構いなしに、その跳躍は軽々と彼女との距離をゼロにする。
まつりが強大なオーラを纏った姫の手でミリオンの顔面を掴む!

貴音「あ、あれは伝説の……!」

エミリー「ご存知なのですか、隊長」

美也「伝説のバーゲンセールですな~」

朋花「プリンセス・アイアンクロー」

可憐「プ、プリンセス、なに?」

朋花「プリンセス・アイアンクローです~。かつてフェスティバル・トクガワが霊山での魔物撃退戦の際に、巨大な邪鬼を討つのに使ったとされる神拳の1つですね~」

恵美「どひゃあ!」

千鶴「鉄の爪というよりも、虎や竜に近いのでは?」
136 : 仕掛け人さま   2022/07/18 05:35:50 ID:jXHMQzwiAs
まつり「堕ちろっ!なのです!」

顔面を掴むと、勢い任せにそのまま地面へと打ち付ける
掴み技の域を超えたそのプリンセス・アイアンアクローをもってしても、ミリオンの脳天を粉砕することはできない。
しかし確実に効いているようだ。

まつりの手をなんとか解いて、ミリオンが再び戦闘姿勢をとる。
浮遊ユニットは壊れたようだ。作り物の眼球がぎろりと可憐たちを睨む。
敵対行動は止めないつもりらしい。恐れを知らない彼女を説得することは不可能だろう。こちらの降伏も受け付けはしない。

可憐(ふ、防ぎます、この子の攻撃を何としても!出し惜しみはしませんよ……!)
137 : P君   2022/07/18 05:36:16 ID:jXHMQzwiAs
TURN2 DEFENSE PAHSE 
【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
※00は0ではなく60として扱う
※基礎攻撃値のうちで確定ダメージを除く部分を軽減する数値/軽減率を判定

可憐は指揮を執り、陣形を組んでミリオンの攻撃に備えるが……?
以下のaとbで、より軽減値が高くなる側を自動採用

a)トワイライトエタニティ・サバイバルストラテジーフォーメーション
1.まつり 共起あり
・偶数→ほ? 15
・5の倍数→ はいほー! 20
・10の倍数→わんだほー! 25
2.貴音 共起なし
・4の倍数→卯月 10
・2桁の素数→神無月 30
・40-49→霜月 40
3.恵美
・最小値かつ20以下→淡雪 30
・中央値かつ偶数→細雪 30
・最大値かつ50以下→締雪 30

b)蒼天の万華鏡・火光の巫女の陣 
1.朋花 共起なし
・4の倍数→雪の舞 5%
・9倍数→月の舞 7%
・素数→花の舞 10%
2.エミリー 
・00-19→風鏡刃 3%
・20-39→雷鏡刃 3%
・40-59→風雷万華鏡 13%
3.美也
・最小値かつ偶数→アゲハ 10%
・中央値かつ奇数→セセリ 10%
・最大値かつ3か8の倍数→タテハ 12%



可憐は天使のささやきを使用 
基礎軽減値=総和の10%を軽減率として使用
→100なら被ダメージを10%軽減できるということ
以下の条件を満たすことで参照する値を変更する 共起なし
・総和が100以下→体が目覚める音色  中央値×4に変更 上限200
・総和が7/17/23いずれかの倍数→魂が目覚める音色 最大値×3に変更
・総和が素数かつ70以上→天使が宿る音色 総和×2に変更 上限300

【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
何卒ご協力お願いします!
138 : プロデューサーはん   2022/07/18 08:16:39 ID:Txy7c53hY.
ほいほい
139 : プロデューサー君   2022/07/18 10:23:11 ID:jXHMQzwiAs
自レスー
140 : プロデューサーちゃん   2022/07/18 15:24:56 ID:jXHMQzwiAs
最後も自レスー
141 : 師匠   2022/07/18 17:28:03 ID:jXHMQzwiAs
判定(39,11,56) 

a)
まつり→ミス
貴音→30
恵美→ミス

b)
朋花→ミス
エミリー→3%
美也→12%

したがってbを採用
加えて、総和が106であることから、可憐の使用する天使のささやきにより10%軽減(小数点以下切捨て)
合計軽減値=軽減率は25%

ミリオンの発動スキル(>>117)は総和が偶数なので【ルミエール・パピヨン】
基礎攻撃値=56×5=280
確定ダメージ35×0.5の小数点以下切捨てなので17
追撃は無し

したがって可憐たちの被ダメージは
280×0.75+17=227

可憐たちの耐久値588-227=361
なお、記載漏れしたミリオンの残り耐久値は575
142 : 夏の変態大三角形   2022/07/18 19:03:40 ID:jXHMQzwiAs
浮遊ユニットが壊れたはずのミリオンの背中から光の羽が生える。

エレナ「エエーッ!また飛んじゃうの?しかも今度は蝶みたいな羽を生やしちゃったヨー!」

千鶴「蝶の羽と言えばやはり真っ先に思いつく曲は、美也の初恋バタフライですわね」

美也「お~、ありがとうございます~」

千鶴「羽根や翼と関連する曲は他にも多数ありますわ」

恵美「MVで実際に飛んじゃうアイドルもいるぐらいだしね。ね、朋花」

朋花「そうですね~。あの『Maria Trap』でのアピールは聖母として子豚ちゃんの期待にお応えできたと思います~」

貴音「それではここで一曲、お送りします。豊川風花で『祈りの羽根』……え?しない?そうですか。真、名曲なのですが」
143 : 魔法使いさん   2022/07/18 19:03:51 ID:jXHMQzwiAs
まつり「あの羽は飛翔のためのものじゃないのです!」

可憐「えっ、ど、どういうことですか師匠!」

美也「む~ん、もしかしてナノマシン技術とミノフスキー物理学技術を応用したシステムですか~」

エミリー「綺麗な羽が……ぶ、分身しましたよ!まるで光の蝶が何羽も……どうなっているんですか」

まつり「気をつけるのです!あの一羽一羽が高威力の霊力体、閃光爆撃なのです!」

千鶴「やばいですわよ!」

可憐「ち、千鶴お姉ちゃんの言葉遣いが崩れるレベルの危険度なんだ……!」

朋花「それはべつに物差しにならないと思いますが~」
144 : 監督   2022/07/18 19:04:06 ID:jXHMQzwiAs
美也「蝶には蝶をぶつけたらいいですな~」

朋花「秘剣・幸福蝶……賭けてみましょう」

エミリー「私も支援致します!」


まつり「可憐ちゃん、天使のささやきは持ってきているのです?」

千鶴「はい?たしかに可憐の囁きボイスASMRは興味がありますが……」

恵美「そういうの、朋花が詳しいんじゃない?」

朋花「ノーコメントです~」

まつり「何を勘違いしているのです、『天使のささやき』は補助アイテムなのです!魔法使いの笛を調合する際の素材にもなっているのです!」

可憐「あ、ありました!」

エレナ「小さなベル?」

まつり「それを鳴らして、あの光の羽の攻撃に備えるのです!」

可憐「は、はひ!」
145 : Pさぁん   2022/07/18 19:04:20 ID:jXHMQzwiAs
美也「っと……力の使い過ぎでふらふらしますな~」

可憐(美也さんたちの陣形と、師匠のアドバイスで使ったアイテムで大ダメージを防げはしたけれど……せ、戦況としては長引けば長引くほど不利なのがわかる……。い、いくら集中しているとは言っても疲労の蓄積で、美也さん以外だって目に見えて動きが鈍りつつあるよね)

可憐(あ、あれを使ってみるしか……けど、もし運が悪ければ窮地に追い込まれかねない……)

貴音「可憐」

可憐「た、貴音さん?」

貴音「迷いは捨てなさい。無理やりにでも私たちの潜在能力を引き出せる道具、残っているのではありませんか」

千鶴「! そうなんですの、可憐」

可憐「う、うん。でもね、副反応が怖いから、この戦況だと下手をすれば―――」

まつり「慎重に様子見している段階ではもうないのです。あの機械少女、まだ何か能力を隠している気がするのです」

朋花「切り札があると?」

エミリー「だとすれば、それを切られる前にこちらから……?」

恵美「やるしかないみたいね」
146 : Pはん   2022/07/18 19:05:25 ID:jXHMQzwiAs
TURN2 OFFENSE PHASE
【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
※00は0ではなく60として扱う

3レスの総和によって可憐の使用する補助アイテム「失われた神々の霊薬」の効果が決定する
・79-94→合計攻撃値が85%に減少
・50-69→〃115%に上昇
・100-120かつ奇数を含む→〃80%に減少
・40-70かつ5の倍数を含む→〃130%に上昇
・29-89かつ素数→〃150%に上昇
上記のいずれも満たさない場合に限り、総和の50%の数値が攻撃値に加算される


1.まつり&朋花 基礎攻撃値=最大値×2 上限100
・偶数かつ10の倍数ではない→+20
・20-39かつ中央値ではない→倍率を3に変更
・4か9の倍数→倍率を4に変更

2.貴音&千鶴 基礎攻撃値=100-中央値  
・奇数→+30
・40-49かつ最小値ではない→減算値を最小値に変更
・10か11の倍数→基礎参照値を130に変更

3.恵美&エレナ 基礎攻撃値=39+最小値
・最大値ではない→+25
・20-39かつ素数ではない→基礎参照値を76に変更
・3か16の倍数→加算値を最大値に変更

※1~3いずれも共起なし 最高値となるものを採用

さらに以下の条件を満たすことでエミリーの追撃が発生する
・いずれかが13の倍数→風遁・螺旋手裏剣 125-このレスの数値
・値の大小が2<3<1を満たす→無双稲妻突き このレスの数値×4

【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
何卒ご協力お願いします!
147 : der変態   2022/07/18 19:51:41 ID:mXC27rCYEA
ハイホー
148 : 変態大人   2022/07/18 20:36:25 ID:SPW7DUdd2c
おお~
149 : 下僕   2022/07/19 04:35:08 ID:/RWTdm25KE
自レスー!
150 : Pしゃん   2022/07/19 04:50:08 ID:/RWTdm25KE
判定(41,25,08) 総和74

可憐 74×0.5=37
まつとも 41×2=82
たかちづ 75+30=105
めぐエレ 39+8+25=72

合計攻撃値37+82+105+72=296

ミリオン残り耐久値575−296=279
3ターン目のオフェンスで倒せそう!
151 : 監督   2022/07/19 07:01:50 ID:/RWTdm25KE

タルタロス突入前に、みんなで作戦名決めていたのをすっかり忘れていたわー
なんかノリでヴァルキュリアとか言っているし(>>105
戦場のヴァルキュリアは3と4をプレイしたんですけど、まぁまぁ楽しめました
調べ直したら4にはカレン・スチュアートっていうキャラクターがいましたよー
伍長ですよ!伍長!

再開します
152 : あなた様   2022/07/19 07:02:05 ID:/RWTdm25KE
可憐「こ、これでどうですか……!」

失われた神々の霊薬を可憐が使用する。
検索すると某ソシャゲの回復アイテムも引っかかるがアトリエシリーズのほう
まぁ、アトリエシリーズもソシャゲあるらしいっすけどど

千鶴「うおおおおお!力がみなぎってきま……したわ?うん?」

朋花「想像していたよりは身体に対する負担もない分、効果も高くないようですね~」

恵美「あ、でもさ、ほらほら見てよ、アタシのアホ毛ビンビンだよ!」

貴音「なんと」

美也「お~。エレナさんのアホ毛も嬉しそうですな~」

エレナ「ノビノビしているヨー!」

エミリー「たしかにまつりさんの髪の巻き具合もいつもより、ほどよくくるりとしているような」

まつり「気のせいなのです」
153 : プロデューサーちゃん   2022/07/19 07:02:17 ID:/RWTdm25KE
貴音「千鶴、いきますよ。今こそ月の力を存分に揮うのですっ!」

千鶴「よくってよ!」

貴音の持つ名刀・無月と千鶴の持つ名剣・ムーンゴールドが共鳴する。
まつりは在りし日の貴音の祖母の姿を思い出した。今は現役を引退し病床に伏しているらしいかつての戦友。天に召されるのも時間の問題だろう。
自らの不老について、罪の意識と別離に対する悲哀から、妹と別れて以来長らく知人や友人、ましてや恋人といったものを持たなかったまつり。彼女にとってシルバーブレードの存在はありがたかった。
貴音と千鶴、2人の若き騎士と剣士、互いに譲れない想い、大切な仲間をもつ乙女たちが刃を振るう様をまつりは感慨深げに見た。
剣術を少しは教わってみてもよかったかな、と今更ながら思うのであった。

貴音「無月・四条流奥義―――月牙天衝」

千鶴「二階堂セレブ流奥義――満月大根斬り!!」

エレナ「もろパクリだヨーー!!」

美也「今更ですな~」

朋花「あの、千鶴さんの技はべつに剣技ではないのでは」

可憐「ふ、雰囲気最優先でいこう……!」
154 : Pチャン   2022/07/19 07:02:31 ID:/RWTdm25KE
パロディアタックにさすがのミリオンも打ちのめされる!
が、すぐに立ち上がると反撃の体勢をとった。


可憐「み、みなさん、プランBでいきますよ」

千鶴「Bということは……バスト?はっ!ひょっとしてアナザーシェーダー(仮)がついに実装されて、これまでになかった陰影が描写されることで凹凸がたとえ真正面からでも視認できるってことですの!?」

恵美「かがくの ちからって すげー!」

エレナ「対象年齢があがっちゃうよー!」

朋花「馬鹿なことを言っていないで真剣に戦いましょうね~」

美也「なんと~、プランBのBはバカのBだったんですか~、む~ん……」

エミリー「可憐さん。本当は何なんです?」

可憐「ん?ないよ、そんなの」

貴音「どひゃあ!」
155 : バカP   2022/07/19 07:02:44 ID:/RWTdm25KE
可憐(よ、よし。空気を和ませることができました、パ、パーフェクトコミュニケーションです……!)

ミリオンには彼女たちのやりとりが理解できなかった。
ミリオンには残されているのは破壊衝動しかなかった。
ミリオンは自分が製造されたときのことをメモリーに記録していない。
ミリオンは地下都市で育まれた科学と錬金術と魔法とが一体となって彼女を作り上げたその歴史を知らない。
ミリオンはもしかすると、記録していたのかもしれない。

ブラックウェル卿の推測は誤りで、ミリオンは最初は暴走などしていなかった可能性だってある。
いずれにせよ……最深層部での孤独の時間から解き放たれた彼女は今、可憐たちを、死闘の中でも見せる笑顔を笑い声を排除しなければと判断した。
それはあたかも、機械に心が宿り、寂しさと憎悪の入り混じった「感情」が彼女のなかで爆発しているようであった

可憐(オペレーション・ミリオンライブもこれで最終局面……守ってみせます!ミリ・シタの明日を!)
156 : EL変態   2022/07/19 07:03:16 ID:/RWTdm25KE
TURN3 DEFENSE PAHSE 
【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
※00は0ではなく60として扱う
※基礎攻撃値のうちで確定ダメージを除く部分を軽減する数値/軽減率を判定

可憐(ここで倒れるわけにはいかない。この状況に最適な陣形で迎え撃たないと……!)

下記のaとbの陣形で軽減値がより高くなった側を自動採用
どちらも共起あり

a)インヴィンシブル・ジャスティス
基礎軽減値=3レス平均値×2
・いずれかが3の倍数→30
・いずれかが10か15の倍数→40
・中央値が偶数→25
・総和が80-110→35
・大小関係が2<1<3→参照値を最大値に
・すべて偶数→倍率を3に変更


b)ダイヤモンド・クラリティ
基礎軽減値=最小値×4
・いずれかが6の倍数→40
・いずれかが7か8の倍数→40
・最小値が奇数→30
・総和が60-90→20
・大小関係が1<3<2→参照値を中央値に
・すべて奇数→倍率を5に変更 

いずれかが4の倍数であるとき、ミリオンの基礎攻撃値が1.3倍になる
ただし、13の倍数を含むか総和が13の倍数のとき、ミラージュミラーによって無効化

また、いずれかが9の倍数であるとき、ミリオンの追撃を除く確定ダメージ部分が1.5倍になる
ただし、21の倍数を含むか総和が21の倍数のとき、聖炎の女神によって無効化

総和が70以上のゾロ目(77,88,99,111)の場合、防衛シーンカット、FATAL PHASEに移行
何卒ご協力お願いします!
157 : 変態インザカントリー   2022/07/19 09:27:02 ID:sG7IU8araQ
面妖な
158 : Pさぁん   2022/07/19 10:56:19 ID:/RWTdm25KE
自レスー
159 : プロデューサー様   2022/07/19 12:38:31 ID:sG7IU8araQ
>>157 だけどいいかな?
ダメなら↓
160 : バカP   2022/07/19 13:03:56 ID:/RWTdm25KE
>>159
こっちが自レスしてばかりなのでかまいませんよー

判定(02,19,31)
総和52 平均17(小数点以下切捨て)
a→17×2=34
b→8+30=38
よって、bを採用
軽減値は38

総和が偶数なのでミリオンの発動スキルはルミエール・パピヨン
31×5+17×0.5=163.5→163
被ダメージは163−38=125
よって残り耐久値361−125=236

ユニオンキャノンなら詰んでましたわ

続きは今日中に
161 : 仕掛け人さま   2022/07/19 18:07:18 ID:/RWTdm25KE
前述のカレン・スチュアート、中の人は昴やんけ!
やは~ 運命感じる~

再開します
162 : 兄ちゃん   2022/07/19 18:07:35 ID:/RWTdm25KE
千鶴「ふぅ……なんとか乗り切りましたわね。あの光る蝶々の群れ、二度目とは言え回避に専念してなお、すべてを無力化するのは不可能ですわ」

エミリー「ですが錬金術士さまの的確な戦術指揮のおかげで誰も戦闘不能にならずに済んでいます」

貴音「ええ。ああも大胆不敵な動きを指示して、それが見事にはまるとは……高い危機察知能力を身につけているのみならず、高度な俯瞰能力を備えているとしか思えませんね」

恵美「いやぁー、あの貴音が褒めちぎるのも納得の、ほんと大した指揮だったよ、今のは」

エレナ「カレンすごいネ!それなのに、ほら、あのすまし顔、クールでカッコいいヨ~♪」

美也「……」

朋花「美也さん?どこか怪我でも?」

美也「いえ、大丈夫です~。ただ、感服していました~。今の可憐ちゃんの指揮、私では思い至りもしませんでしたから~」

まつり「リスクを考えれば当然なのです。仮に、あの光る蝶々ではなく砲撃をされていたら、全員が無事では済まなかったと思うのです」

美也「はい~。ですが、あの優しい可憐ちゃんがこの局面で根拠なしに、あの機械少女が砲撃をしないと判断を下したわけではないはずです~」

朋花「洞察力……いえ、可憐さんの場合は嗅覚と言うべきでしょうか、戦いの中で鋭敏化されていき、美也さんをも越える戦術家となっているとは……ふふっ、あの涼しげな表情、頼もしいですね~」

千鶴「さすがわたくしの自慢の妹ですわ!」






可憐(あ、危なかった~~~~!!!!!)
163 : 彦デューサー   2022/07/19 18:07:48 ID:/RWTdm25KE
可憐は得意のポーカーフェイスで皆には知られないようにしていたが、今の指揮・陣形展開の結果は、可憐にしてみればまったくの偶然に過ぎなかった。
一瞬、そうなのだ、ほんの一瞬、ミリオンが予備動作らしき動きに入るその瞬間に、可憐はその鋭敏な感覚を有する鼻で匂いを嗅ぎ取った。
それは確かに嗅ぎ取ったと感じられたものであるのに、可憐の脳裏には視覚イメージとしてまざまざとそれが映し出された。それはミリオンが再びあの光る蝶々を放つ光景であった。
起こった現実と照らし合わせて結論付ければ、それは未来視ならぬ未来の香りを嗅ぎ取ったということとなる。(生クリームの匂いはしていないぞ!)
そうは言っても可憐には自覚がなかった。未来を嗅ぎ取る力を発現させたことなどこれまで一度もなかったのだから当たり前である。
ゆえに、可憐にとっては「偶然」でしかなかったのだ。
客観的に見れば、他の皆が話したとおりである。

可憐の指揮は非常に的確で優雅でさえあった。これを機に、戦術指揮官・可憐ちゃん概念流行らねぇかななどと思うのである。
765で参謀キャラといえば律子がまずもって出てくるだろう。そしてリーダーとしては春香。
なるほど、そう考えると(公式の)可憐が春香と律子からそうした態度を学び取り、劇場の孔明として君臨する日も近いのかもしれない。
次のテールイベントでそういう片鱗を見せてくれたり、なんて。それはさすがにないかな。
164 : Pーさん   2022/07/19 18:08:01 ID:/RWTdm25KE
可憐(光る蝶を出し切って、あの機械仕掛けの女の子も消耗しているみたい。ここがチャンス……!)

可憐(タルタロス探索準備期間中―――)

可憐(まつり師匠が大量に狩ったメタルキングチュパカブラで得た素材と経験値)

可憐(それら全部をつぎ込んで調合したアイテム……今、使います!)
165 : プロデューサーちゃん   2022/07/19 18:09:08 ID:/RWTdm25KE
TURN3 OFFENSE PHASE
【安価→直下3レス分の投稿時刻秒数にて判定 自動判定】
※00は0ではなく60として扱う
※[]が攻撃値 基礎攻撃値は今回無し

Do the Alchemist‼ ~国色天香チュパカブラ~
・いずれかが3の倍数 [70]
・いずれかが4の倍数 [70]
・いずれかが5の倍数 [80]
・いずれかが7の倍数 [80]
・いずれかが素数 [90]
・最小値が奇数 [75]
・最大値が偶数 [75]
・中央値の一の位が0 [100]
・総和が6の倍数 [90]
・総和が8の倍数 [90]
・総和が13の倍数 [120]
・総和が50-80 [85]
・総和が75-110 [85]
・すべて奇数 [150]
・大小関係が2<3<1 [100]

上記15条件について満たした条件3つごとにボーナス値30を加算する
また、満たした条件数が2以下の場合のみ以下の値が加算される
・総和×3.9(小数点以下切捨て)

さらに以下の条件を満たすことで、地下都市の霊魂が可憐たちに味方する
・このレスの値と中央値の差が5以下 [90]
・このレスの値が素数 [59]
・このレスの値が3の値より大きく2の値より小さい [90]

そして総和が39の倍数かつすべて偶数だった場合、可憐ちゃんがSHS状態となり1人でミリオンを破壊してエンディングを迎える

何卒ご協力お願いします!
166 : 監督   2022/07/19 18:12:55 ID:sG7IU8araQ
ほい
167 : そなた   2022/07/19 21:38:47 ID:/RWTdm25KE
自レス〜
次イベの可憐、キャラが強すぎて草
168 : バカP   2022/07/20 03:41:21 ID:Ci/2SoEIEU
最後も自レスでいくぞ!
169 :   2022/07/20 03:46:30 ID:Ci/2SoEIEU
判定(55,47,21) 総和123
70+80+80+75+(以下略)

ミリオンの残り耐久値を上回ったのは確定的に明らか

可憐たちの勝利ッ!!

続きは今日中に少しでも更新
170 : 我が友   2022/07/20 05:06:35 ID:Ci/2SoEIEU
まつり「!! 可憐ちゃん、その道具はまさかっ!」

千鶴「な、なんですの、その妖しく光る玉は。崩玉ですの?」

可憐「チュ、チュパカブラのうちで稀少個体の、れ、霊魂を390個集めて調合したものです……!」

朋花「相手がチュパカブラとはいえ、やっていることはブラックウェル興が調合しようとした賢者の石と似通っていますよね、それ」

恵美「これって、正義を掲げてきた主人公が知らず知らずに悪に手を染めていたっていう展開!?」

エレナ「ウーン、でもチュパカブラだし、いいんじゃナイ?」

美也「なんと~」

貴音「彼らもこの世界で生きる存在。家族もいるでしょうし、いたずらに魂を狩る行為が正当化されることはないでしょう」

エミリー「あの、それでどんな効果が?」

可憐「百聞は一見に如かず、です。え、えーいっ!」
171 : 監督   2022/07/20 05:06:52 ID:Ci/2SoEIEU
♪~ ♪~

ミリオン「!?」

突如流れ始めたハードコアテクノの音にミリオンは警戒レベルを最大限に引き上げた。
何かとんでもないことが起ころうとしている、彼女はそれを悟った。

千鶴「私たちは冒険者です」

エレナ「今から敵を倒します」

朋花「難攻不落のダンジョンを攻略します~」

まつり「まつりたちは冒険者なのです!」

チュパチュパ チュパカブラ

ミリオン「?????」

貴音「夢が作ってく新たな時代」

エミリー「ミリ・シタ(ここ)で叶ってく確かな未来」

恵美「常にスマイルがアタシのスタイル」

美也「Do the IDOL!!ですな~」

ミリオン「!!!!」
172 : 監督   2022/07/20 05:07:04 ID:Ci/2SoEIEU
ミリオンの制御系システムに深刻なエラーが発生していく
彼女を取り囲んで珍妙なダンスをしながら奇妙な歌を歌う9人の美少女に、ミリオンは混乱する
機械の心身でありながら、彼女は絶望を感じた
これまでのどの攻撃とも異なる、謎の儀式がミリオンを内側から蝕んでいく
いかにミリシタリウム鋼の装甲をもってしても、そのほとんど呪術と言ってもいいような攻撃からは逃れようがない

そしてとうとうミリオンは膝から崩れ落ちた


可憐「今です……!」

可憐の合図によって、チュパカブラの魂で強化された仲間たちがミリオンを強襲する!
173 : ボス   2022/07/20 05:07:32 ID:Ci/2SoEIEU
エミリー「煌めけ、蒼天の万華鏡!」

美也「羽ばたけ、ハニーオブバタフライ~!」

恵美「いくよ――死ぬ気の零地点突破、めぐみーエディション!!」

エレナ「盛り上がっていくヨー♪ ファンタジスタ・カーニバル♪」


千鶴「貴音、わたくしに合わせなさいっ!」

貴音「いいでしょう!これが2人の月の刃を継承する者の奥義っ!」

千鶴・貴音「神有月!!」


朋花「逝きなさい、安らかに。マリア・レクイエム!!」

まつり「必殺姫シリーズ……姫パンチ!」


可憐「これが私たちの、ひゃくまんのパワーです!」チュパッ
174 : 魔法使いさん   2022/07/20 05:08:15 ID:Ci/2SoEIEU
ここぞとばかりに披露した皆の必殺技で大破したミリオン
その前に可憐は立った。


可憐「え、えっと、なんか、うん、しっちゃかめっちゃかな終わり方でしたけど……」

ミリオン「………」

可憐「――――おやすみなさい」



かくしてタルタロスの探索は終わりを告げ、ミリ・シタに再び悪夢が訪れる危険はなくなった。

まつり「みんな、家に帰るまでが冒険なのですよ!」

一同「おー!」

タカーオ、シーカ、それにレオン。ミリ・シタに帰ったら改めて弔ってあげようと可憐は決める。
それから時間の許す限り、自分の未来を考えて次の一歩を踏み出すのだ。


エピローグにつづく(そこで最終安価あり)
175 : 兄ちゃん   2022/07/20 19:47:02 ID:Ci/2SoEIEU
実はタルタロスの中の時間の流れは地上のそれとは異なっており、皆が地上に戻ると既にそこは荒れ果て、終末を迎えた世界であった……なんていうとんでも展開はなく、可憐たち冒険者は無事にタルタロスを脱出したッ!

そして緊張の糸が解けると、一気に疲労が押し寄せて、可憐は出入り口から数歩した場所で腰が抜けたようにぺたんと座り込んでしまった。

可憐「あ、あれ、す、すみません……んっしょ、あ、あれれ……」

全身に力が入らないことに誰よりも可憐自身が驚いていた。
それから可憐はその座り込んだ状態のまま、泣き始めた。自然とあふれ出る涙を止められなかった。
これについても可憐自身が驚いていた。

千鶴「可憐………頑張りましたわね」

ここにいる誰よりも千鶴が知っている。たった半年余り前まで、可憐は丘のあの家に1人で暮らす言ってしまえば根暗で塞ぎこみな女の子だった。
祖母を亡くして以来、彼女にとっての安らぎは千鶴のような数少ない友人とのふれあいを除けば、あの丘に咲き、香る花々と戯れることぐらいであった。
それがどうだろう、この半年余り、まつりと出会ってから、錬金術と巡り合ってからの日々というのは。
街で多くの人間と知り合い、悩みを解決するために、森へ、洞窟へ、山へ、海へ……各地を探検した。
それに大バザール祭では運営側に立ち、見事、大成功を収めるのに多大な貢献をした。
そして今、ミリ・シタと切り離し難い忌まわしき過去との決着をつけた――――。
176 : 師匠   2022/07/20 19:47:14 ID:Ci/2SoEIEU
可憐「千鶴お姉ちゃん……わ、私、やったよ、やれたんだよね、そう、なんだよね……?」

千鶴「ええ」

可憐「朋花ちゃん、エレナさん、美也さん、恵美ちゃん、貴音さん、エミリーちゃん、そしてまつり師匠……」

まつり「ほ?まつりは最後の最後なのです?」

可憐「―――ありがとう、ミリ・シタを救ってくれて、本当に……ありがとうございます!」

皆が顔を見合わせる。やがて、まつりがスッと可憐の前に立つと、その手をとり、それからその背に担いだ。
一連の動作に無理もなければ迷いもなく、貴音は小声で「ほう」と口に出してしまったほどだ。

可憐「きゃあっ!」

まつり「ふふ……さて、それではみんな、帰るのです。ミリ・シタの……花香る丘の錬金術士の凱旋なのです!」

可憐「し、師匠!?私、ちゃんと自分で歩けますから……た、たぶん」

朋花「まつりさん~?落とすことなんてしないよう、しっかりと運んであげてくださいね~」

まつり「もちろんなのです♪」
177 :   2022/07/20 19:47:27 ID:Ci/2SoEIEU
エレナ「じゃあ、ワタシ、歌うネ!元気が出る曲がいいよネー」

恵美「お、いいじゃん。うーん、じゃあ、あれにする?『Criminally Dinner ~正餐とイーヴルナイフ~』!明日からイベント開始っしょ?」

エミリー「この状況に合うとは思えないのですが!?」

貴音「ふむ……では、間をとって『ワールド・アスレチック・COOK-KING 〜勝者必食!? スポ食の秋〜』でいきましょうか」

千鶴「どの間をとったらそうなるんですの?!」

まつり「提案!それだったら『Vacation VS Summer ~ナツとヤスミのアンビバレント!~』がいいのです」

朋花「やれやれ、ここはやっぱり『Thank You!』ではありませんか~。オペレーション・ミリオンライブの締めくくりとして最適だと思うのですが~」

美也「そういうことならミリ・シタということで『Brand New Theater!』もいいですな~」

恵美「最高は塗り替えていくものってね!にゃはは♪」


そんなこんなで楽しくおしゃべりしつつ、歌いながら一同はミリ・シタに帰還する。
そして――――
178 : 監督   2022/07/20 19:47:37 ID:Ci/2SoEIEU
探索から一週間
ミリ・シタの街は秋を深めていた。

どこからか冒険の話を聞きつけたのか、百合子や律子はタルタロスでの出来事に興味津々といったふうで可憐に取材を繰り返している。
莉緒と歩は千鶴と朋花の要請を受けて、あの森一帯の立ち入り禁止処置を進めている。いずれはあの地下研究施設そのものを埋めてしまう方針だ。
歌織と静香も加えて、残存スラグへの対策を話し合う貴音とエミリー 花香る丘で蝶々と遊ぶ美也
琴葉は帰ってきたエレナに事あるごとに過剰なスキンシップをしては風紀を乱して、やんわりとあずさに怒られもしている
一方、すっかり昴の工房に入り浸るようになったロコ・のり子であったが、奈緒と美希はそれを新たなネタに盛り込んだりもしているようだ。
他にサブキャラっていたっけ……
そんな中でまつりは旅立ちの準備を進めているのだった。
179 : Pさん   2022/07/20 19:48:08 ID:Ci/2SoEIEU
一旦ここまで
早ければ明朝に続きを
何卒最後までお付き合いください!
180 : プロデューサー殿   2022/07/21 21:51:15 ID:nBkP0t8AiY
遅くなりましたが再開します

可憐ちゃんが登場するイベントがいよいよ始まりましたが、このSSは終わる一歩手前です

181 : プロちゃん   2022/07/21 21:51:32 ID:nBkP0t8AiY
- ミリオンストリート -

エレナ「カレン~、こっち、こっち!」

可憐「お、おはようございます、エレナさん」

エレナ「おはヨ♪えへへ、ぎゅーっ」

可憐「わわっ、きゅ、急にそんな抱き着かれても……!」

エレナ「今日は来てくれてありがとネ!ワタシたちの公演楽しんでいって!」

可憐「は、はい」

琴葉「うん、楽しみにしている」

可憐「琴葉さん!?いつからそこに」

琴葉「? いたよ、ずっと。エレナあるところに琴葉ありって学校で習わなかった?」

可憐「な、習っていません……」

エレナ「もうっ、コトハ!今日はせっかくカレンに劇団セレブレイトスプラウトのミリ・シタ公演を見せることができる日なんだから、邪魔しちゃダメだからネ?」

琴葉「邪魔だなんて、そんな。公演中は可憐さんのそばで実況解説役に徹するつもりよ。エレナの魅力を存分に話してあげるつもり」

可憐「そ、そうなんですね。ありがとうございます」

エレナ「ふーん。あ、そうだ。カレン、公演が終わったら話したいことがあるから帰らないで待っていてくれる?」

可憐「は、はい」
182 : 3流プロデューサー   2022/07/21 21:51:46 ID:nBkP0t8AiY
公演後

可憐「ここでいいのかな? 琴葉さんは急用があるってことで名残惜しそうというか悔しそうにハンカチ噛みしめながら去っていったけど……」

エレナ「カレン!来てくれたんだネ♪さぁさぁ、座って、座って」

可憐「えっと……それで、話って?」

エレナ「んーっとね、タントウチョクニューに言うと、ワタシたちの仲間にならない?」

可憐「仲間?」

エレナ「ウン!パパンとママンがね、39プロジェクトって言って、可愛い女の子たちのダンスチームを結成するつもりなノ!」

可憐「39プロジェクト?な、なんだかとっても馴染み深いような……」

エレナ「デショ?ワタシもそう思うナー。ダンスだけじゃなくてね、歌も歌うし、劇団の外でもモデルやいろいろ宣伝とか、そういうお仕事も引き受けていく、そんなチームにする予定なんだって!」

可憐「それに私が……そ、そんなの無理です、私なんて地味だし……」

エレナ「そんなことないヨー!それとも忘れちゃったノ?女神杯で誰が優勝したのか」

可憐「え、えっと二カ月半前でしかも前スレのことだから、忘れちゃいました……てへへ」
183 : プロデューサー殿   2022/07/21 21:52:00 ID:nBkP0t8AiY
エレナ「カレンだったでしょ!!」

可憐「は、はひ!」

エレナ「すぐに答えを出さなくてもいいヨ♪きっと他にも可憐を誘ってくる人いると思うからネ」

可憐「え?」

エレナ「それじゃあネ!この後は、打ち上げあるんだー♪」

そうしてエレナは小躍りしながら去っていった。



可憐(エレナさんと一緒に劇団セレブレイトスプラウトの新プロジェクトに参加する、かぁ……)

可憐(これも私の未来の選択肢の1つってことだよね……!)
184 : 5流プロデューサー   2022/07/21 21:52:14 ID:nBkP0t8AiY
- バザール通り -

千鶴「可憐、わたくし決めましたわ」

可憐「え?コロッケに何をかけるかでそんな真剣な表情しなくても……」

千鶴「違いますわ!それはそれで大事な選択ですけど、そうではなく!」

可憐「な、なにを決めたの、千鶴お姉ちゃん」

千鶴「――――先延ばしにしていた、商業都市への留学、わたくし行きますわ」

可憐「ええっ!?(前スレの話だから忘れていた……)」

千鶴「何も今日明日出発というわけではありませんわよ?」

可憐「え、えっと……」

千鶴「あなたのおかげですわ、可憐」

可憐「私の?」

千鶴「ええ。あなたが成長していく姿をそばで見るうちに、わたくしももっと広い世界を見てみたくなりましたの」
185 : 5流プロデューサー   2022/07/21 21:52:28 ID:nBkP0t8AiY
可憐「千鶴お姉ちゃん……」

千鶴「大商人になろうとは思ってはいませんが、ですが、いけるところまでいってみたいと思っていますの。ミリ・シタは本当にいい街ですわ。わたくしにとっての誇りです。そういう意味では自慢の妹であるあなたと同じですわね」

可憐「そ、そうかな、えへへ……」

千鶴「かつて、流行り病によってこの街の発展は停滞どころか後退せざるを得なかった。でも、それはあの冒険で真の意味で過去になった。ですわよね?」

可憐「う、うん。もう脅威なんてないだろうから……」

千鶴「だからこそ、わたくしはこの街の未来をより明るいものにするべく、学ぶべきことを学びに行きたいのですわ」

可憐「………そっか」

千鶴「可憐、そのような別離を想っての寂しい表情をしているところ、悪いのですけれど……」

可憐「?」

千鶴「一緒に来ませんこと?」

可憐「へっ?!わ、私が?商業都市に!?」
186 : そこの人   2022/07/21 21:52:44 ID:nBkP0t8AiY
千鶴「あなたに商業を学べと言っているのではありませんわ。ただあなたの錬金術というのは武器になりますから。どんな都市でも生活費を稼ぐこと以上のことはできるでしょうね」

可憐「た、たしかに」

千鶴「けれど、これは建前ですわ」

可憐「え?」

千鶴「わたくしのわがままですの。――――あなたと離れたくない。そんな妹離れできない、わたくしからのお願いですわ」

可憐「!」

千鶴「答えは今すぐでなくていいですわ。ただ、言えるのはわたくし一人でも留学する決意は変わらないということ。そして、」

可憐「どんなに離れていたって、わ、私たちの絆は確かだってことだよね?」

千鶴「ええ!ふふっ、さすがわたくしの妹ですわ。血よりも濃い、揺るぎない絆でわたくしたちは繋がっていますわ!



可憐(千鶴お姉ちゃんと共に商業都市へと赴き、新たな生活をはじめる……)

可憐(これも私の未来の選択肢の1つってことだよね……!)
187 : ぷろでゅーしゃー   2022/07/21 21:52:59 ID:nBkP0t8AiY
- 教会通り -

朋花「可憐さん、お呼び出てしてすみません」

可憐「だ、大丈夫。それより話って……?」

朋花「聡明な錬金術士である可憐さんなら見当はついているのではありませんか~」

可憐「えっと…………私を霊山に誘いたい?」

朋花「そのとおりです~。もう少し込み入った話にはなりますが、要約してしまえばそういうことになりますね~」

可憐「確認だけど、朋花ちゃんは恵美ちゃんや美也さんと一緒に霊山に戻るんだよね?」

朋花「ええ、そのままずっと霊山にいるつもりはありませんが~。このミリ・シタは私にとって第二の故郷です~。そうきっぱりと別れを今生の告げるには思い出がたくさんありすぎますね~」

可憐「そ、そっか。なんだか嬉しいな、えへへ」

朋花「ですが、やはり一度霊山に戻らなくてならないのも事実。此度の報告だけではなく、私の成長をお母様や巫女様たちにお見せしたく思います~」

可憐「そうだね……家族は大切にしないと」
188 : プロヴァンスの風   2022/07/21 21:53:12 ID:nBkP0t8AiY
朋花「可憐さんには霊山直属の錬金術士、というよりは私の専属錬金術士となっていただきたく考えているんです~」

可憐「専属?」

朋花「ええ。恵美お姉様、それに美也さんを私の専属護衛騎士として任命するつもりです~」

可憐「ええと、巫女および巫女候補の特権なんだよね、そういうの」

朋花「はい、ただのお付きの者とは違った意味合いを持つ存在です。この私が巫女となった暁には彼女たちにもそれ相応の権利や資格が付与されるのですから」

可憐「………」

朋花「ん、ん。すみません、霊山事情のことは可憐さんにとってさほど重要ではなかったですね~」

可憐「べ、べつにそういうわけじゃ……」

朋花「可憐さん、私は嘘が嫌いですから正直に話しましょう。私は……錬金術士としてのあなたのその力、利用する心づもりです」

可憐「……何のために?」

朋花「無論、この世界をより良くするために」
189 : プロデューサーくん   2022/07/21 21:53:25 ID:nBkP0t8AiY
朋花「ここだけの話ですが、それが可能ならば私にとって霊山巫女候補という立場は些末なものです」

可憐「えっ」

朋花「ふふっ、貴音さんやエミリーちゃんが聞いたらどんな顔をするかわかりませんね~。それに……」

可憐「それに?」

朋花「私はその……あなたのことを信頼しています。いえ、信愛を寄せているというほうが近いでしょう。ですから、その……」

可憐「えっと……?」

朋花「あなたと離れ離れになるのが嫌ということです~。ん、ん。利用すると言った手前、何をと思ったかもしれませんがこれは本心です~」

可憐「朋花ちゃん……」

朋花「返事は今すぐでなくてかまいません~。可憐さんを深く慕う人が少ないないのは知っていますから~」



可憐(朋花ちゃんたちと共に霊山へと行き、そこで霊山錬金術士を務める……)

可憐(これも私の未来の選択肢の1つってことだよね……!)
190 : ぷろでゅーしゃー   2022/07/21 21:53:54 ID:nBkP0t8AiY
- 墓地 -

可憐「ここにいたんですね……まつり師匠」

まつり「ほ?見つかっちゃったのです」

可憐「シーカさんにレオンさん、それにタカーオ・ブラックウェル卿……ようやく時を経て安らかに眠れることができた……そうですよね?」

まつり「そう信じたいのです」

可憐「あ……その花、おばあちゃんが好きだった……」

まつり「そうなのです」

可憐とまつりはシーカたちの墓前から、可憐の祖母、そしてそれはまつりの妹でもある女性の墓前へと移動する。
小さな墓だ。刻まれた名前以外は取り立てて特徴のないものだ。
そこに眠る二人にとってかけがえのない存在に思いをはせながら話す。

まつり「私ね……」

そう切り出したのはまつりだった。お姫様口調ではない素の彼女。

まつり「ミリ・シタに再びやってきたのは、妹が亡くなったのを遠く遠くの国、ここからだとちょうど世界の裏側と言ってもいい場所でね、感じ取ったからなんだ」

可憐「おばあちゃんが亡くなったのを感じ取った……?」

まつり「そう。変に聞こえるかもしれない、信じてもらえないかもしれない。でも、その日の朝に私はそれまで何十年も流してこなかった涙を1人さめざめと流して目覚めた」

可憐「………」
191 : ボス   2022/07/21 21:54:12 ID:nBkP0t8AiY
まつり「そうして私は数少ない戦友に別れを告げて、この地へと向かった。でもね、順調に行けば2年でたどり着ける道程がプラス1年して3年になっちゃったのは、私が……怖がっていたからなんだと思う」

可憐「師匠が怖がっていた?」

まつり「うん。あの子の死を受け入れることを、受け入れてしまうことを、ね」

まつりが小さな墓に花を供え、それからその墓を猫や赤子を撫でるかのように愛しそうに撫でた。
可憐は知らなかったが、冷たい石が何も答えぬことを人一倍理解している、しないといけなかった彼女がそうした態度を人前で見せるのは珍しいことだった。

まつり「やっとのことで覚悟を決めて、ここに戻ってきたの。ねぇ、可憐ちゃん。わかるかな。最初、私がここに来て何をしようとしていたか。それは妹を弔うためだけじゃないんだよ」

可憐「それは………」

まつりは可憐の答えを待った。可憐には直感するものがあったが、それを口にしてしまうのを恐れていた。
それはきっと、まつりが妹の死を確かなものとするのを恐れたのに似ている。
それでも可憐はまつりの目を見て、そこに濁りのないことがわかると、思いついた答えを彼女に言う。

可憐「師匠がここへと戻ってきたのは―――死に場所にするため、ですか」
192 : プロデューサー殿   2022/07/21 21:54:32 ID:nBkP0t8AiY
まつりは肯いた。そして、可憐が反射的に何か言おうと口を開いた瞬間に「でもね」とまつりが制した。

まつり「その考えはまるで針で突かれた風船みたいに弾け飛んでしまった。わかるよね?私が何と出会ったか」

可憐「妹さんの面影を持つ孫娘…………私、ですよね」

まつり「そういうこと。不思議だよね。本当にね、本当に……ここには呪われたこの命を絶つために……妹を弔って、それから自決するために戻ってきたの。でも、あなたと出会って変わってしまった。ふふっ、大袈裟に聞こえる?でも、事実だから」

可憐「師匠……」

まつり「可憐ちゃん。あなたに錬金術を教えようとしたのは、最初、贖罪であったのかもしれない。妹の願い、私が叶えられなかったどころか、すべてを壊してしまった原点。その錬金術を、あなたが使えると一目見て確信したの。それで私は……生きることにした」

可憐「あ、あの!師匠、もしかして今はもう、」

まつり「安心して」

可憐「!」

まつり「たくさんの冒険、そしてあの地下迷宮での出来事を通じて、私は決めた。新たな目標をね」

可憐「新たな目標……?」

まつり「この身が滅ぶまで世界を巡り、救える者を救えるだけ救うこと。常人離れした力を揮うことはいずれできなくなるだろうけれど、だとしても、最後の最後まで贖いたい、エドに生きた人たちのため、この地で生を全うした妹のため。私が止まることは許されないんだって」
193 : der変態   2022/07/21 21:54:46 ID:nBkP0t8AiY
可憐「師匠は……ま、まつりさんはそれで幸せなんですか」

まつりは微笑む。ただそれだけだった。可憐はその純粋な微笑みに何も言うことができなかった。
迷いが、1週間前はあったであろう迷いがそこになかった。
まつりは再び背負うことを、背負ったまま最後のその時を迎えるその瞬間まで歩むのを止めないことを、覚悟している。
幸せかどうか。それを問いかけ、自分はどういった答えがほしいのか、可憐はもはやわからなくなった。

可憐「まつり師匠、それなら私も―――」

まつり「ダメ」

可憐「っ!!」

まつり「ダメだよ、可憐ちゃん。その先は……お願い、言わないで。可憐ちゃんなら、もっと……それこそ、幸せな道を選べるはずだから」

可憐「………」

まつり「ん、ん。えっと……まつりにはわかるのです。可憐ちゃんは既に何人からかこの先の未来について選択を迫られているというのを」

可憐「ど、どうしてそれを?!」
194 : EL変態   2022/07/21 21:54:59 ID:nBkP0t8AiY
まつり「みんなのことを見ていればわかるのです。みんな、可憐ちゃんが大好きなのです!」

可憐「あ、あの!その『みんな』に師匠もいるんですよね……?」

まつり「もちろんなのです♪」

可憐「まつり師匠、私は………私はまだ決められません。でも、きっと答えを出します。私の未来をこの手でつかむために」

まつり「それがいいのです」



可憐(覚悟を決めて、まつり師匠と共に旅に出る……)

可憐(これも私の未来の選択肢の1つにあると思う)
195 : せんせぇ   2022/07/21 21:56:01 ID:nBkP0t8AiY
【最終安価】

可憐が選んだ答えは?いずれか必ず1つだけを選択お願いします
(スレ主自身が贔屓しないように、あえて簡潔に示したつもりです)

a.ミリ・シタに残りアイドル錬金術士として活躍する(エレナ) 
b.商業都市へと向かい、見聞を広めて錬金術で経済を動かす(千鶴)
c.霊山へと赴き、巫女候補お抱え錬金術として課題の解決に臨む(朋花)
d.師匠と終わりの見えない冒険の旅に出る(まつり)


先に言っておくとどれを選んでも、短ければ1レス、長くても数レスでエンディングは済ませるつもりです。
(書き残しというか、心残りがあるにはあるのでエンディングとは別に付け足すかも)

スレの有効期限は7/23 16:59:59まで
原則多数決 同数票の場合は投稿時刻秒数の和の大きい側を優先
(とはいえ、自虐するつもりはありませんがそんなにレスつかないでしょう)

どうか可憐ちゃんを導いてあげてください!
何卒最後までご協力お願いします!
196 : 我が友   2022/07/22 21:48:17 ID:tuTeyQCf/w
自レスあげ
197 : プロデューサー   2022/07/23 06:43:07 ID:BdZZwyzSgQ
どれも魅力的だけど
1かな
198 : Pちゃん   2022/07/23 06:55:48 ID:fCtrenmX0Y
C
199 : Pちゃん   2022/07/23 09:05:13 ID:BdZZwyzSgQ
>>197
Aですすまない
200 : do変態   2022/07/23 21:27:41 ID:vlHLnc/ERg
レスありがとうございます
再開します
最終更新です!
201 : 魔法使いさん   2022/07/23 21:28:01 ID:vlHLnc/ERg
可憐が皆とのやりとりを経て、自身の今後を考え始めて1週間―――彼女はとある場所に来ていた……。


-教会通り 天空教会 -

朋花「……では、可憐さんは共に霊山へ行き、聖母に力を貸してくださるのですね~」

可憐「えっと、聖母というよりも朋花ちゃんに、だよ……?」

朋花「そこに違いはないと思うのですが~」

可憐「ううん、わ、私はあると思う。私はべつに霊山の巫女や騎士のあれこれ、複雑な事情に巻き込まれるつもりはないの」

朋花「………」

可憐「私のこの選択は、朋花ちゃんの友達としてだから。朋花ちゃん、言ってくれたよね?離れ離れになりたくないって……。私もそう。だ、だから一緒に行くことにしたんだよ。もっと朋花ちゃんと同じ時間を過ごせたら、って」

朋花「はぁ……」

可憐「ええっ!?な、なんでそこでそんな深い溜息を……?そ、そんなダメダメなこと言っちゃったかな……」

朋花「いえ―――なんと言いますか、恵美お姉様といい、美也さんといい、あなたたちは私の心をかき乱すのが得意ですね~」

可憐「へ?」

朋花「なんでもありませんよ~。可憐さんの選択、嬉しく思います~。それは確かな事実、本心だと明かしておきましょう~♪」

可憐「朋花ちゃん……てへへ」
202 : 貴殿   2022/07/23 21:28:15 ID:vlHLnc/ERg
朋花「ところで、可憐さんのこの選択、他の方々には?」

可憐「じ、実は先に話を済ませちゃっているの。エレナさん、千鶴お姉ちゃん、それにまつり師匠。み、みんなが私の背中を押してくれた」

朋花「そうですか……。ここを発つ前に私も彼女たちと改めて話さないといけませんね~」

可憐「それなら、まつり師匠とは早めに会っておかないと」

朋花「というと?」

可憐「私たちや千鶴お姉ちゃんよりも先に、この街を離れてしまいそうだから」

朋花「なるほど……。あの方には個人的に聞きたいこともありますし、明日にでも会いに行くことにします~」

可憐「う、うん」

まつりがフェスティバル・トクガワとして霊山への魔物の侵攻を食い止めるのに伝説的な活躍を見せてから半世紀。
霊山で生まれ育った朋花としては、話しておきたいことがあってもおかしくはない。

可憐(師匠と言えば……やっぱりあのことが引っかかるよね……試してみてもいいかも)
203 : バカP   2022/07/23 21:28:34 ID:vlHLnc/ERg
- 可憐のアトリエ -

可憐「し、師匠!あ、あの、話したいことがあるんです」

まつり「ほ?どうしたのです?朋花ちゃんたちと霊山に行くことにした話なら今朝聞いたばかりなのです」

可憐「い、いえ、それ(朋花ルートのエンディング)とは全然関係ない件で」

まつり「もしかして『CriminallyDinner~正餐とイーヴルナイフ~』のことなのです?それならまつりも続きが気になっているのです」

可憐「え?」

まつり「可憐ちゃんのゼノビアとしての演技、妖艶な雰囲気なのがグッとくるのです!わんだほー!なのです」

可憐「あ、ありがとうございます……えへへ―――って、それも関係ないです!」

まつり「ノリツッコミなのです」

可憐「師匠……真剣な話なんです」

まつり「ほ?」

可憐「私、思うんです。おばあちゃん……師匠にとっての妹さんが、師匠との再会を夢見たことがなかったのはあり得ないって」
204 : P君   2022/07/23 21:28:50 ID:vlHLnc/ERg
まつり「それは……どういう意味なのです?」

可憐「師匠とおばあちゃんが、島を離れ、この大陸で共に数年を過ごし、それから別れ……長い年月が流れました。孫娘である私がここにこうしている程度に」

まつり「気持ちのいい別れ方では決してなかったのです。あの時の妹の目を今も覚えているのです。あの瞳にあったのは……憎悪なのです」

可憐「でもっ!」

まつり「可憐ちゃん、この期に及んでどうしたのです?回りくどいのは嫌なのです。……嫌だよ?」

可憐「師匠……。私、信じたいんです。おばあちゃんが姉であるまつり師匠のことをおばあちゃんなりに赦し、再会を夢見ていたって」

まつり「ねぇ、可憐ちゃん。妹から私のことを聞いた覚えは?……ないんだよね」

可憐「そ、それはそうですけど。ま、待ってください。私、思いついたことがあるんです」

まつり「思いついたこと?」
205 : 貴殿   2022/07/23 21:29:05 ID:vlHLnc/ERg
可憐「はい―――これです!」

まつり「それは………」





まつり「『ベールミスト』?」

可憐「そうです。覚えていますか?きゅ、旧市街地に引っ越してきたエレナさんのお家、そこで起きたポルターガイスト事件を解決するために使った道具です」

前スレの47レスあたりでその名前が出てきた道具である。
エレナの家で起きた問題の解決。
それは可憐がまつりに促され、花香る丘の錬金術士として引き受けた最初の依頼でもあった。

まつり「『ベールミスト』……それは一時的に人や物を隠す効果がある霧吹き」

可憐「そして、使用する素材によっては、逆に隠匿されている何かを発見する効果を与えることもできる道具、ですよね」

まつり「そうなのです。それを使って、可憐ちゃんはエレナちゃんおお家に居ついていた妖精さんたちを見つけてあげたのです」

可憐「私は……こう信じています。おばあちゃんは、まつり師匠がずっとずっと大切に今も想っている妹は、姉との再会を考えて何か残していたって」

まつり「!」

可憐「きっとこの家に。ミリ・シタの街並みを一望できるこの家。遥か彼方の島国に咲いていた花と同じ種類の花がこの丘にあり、その花をおばあちゃんは、そして師匠も愛していた……」

まつり「可憐ちゃん……」
206 : 兄ちゃん   2022/07/23 21:29:24 ID:vlHLnc/ERg
可憐「おばあちゃんだって、師匠を大事に想っていたに違いないんです!だから、えーいっ!!」

まつり「わっ」

可憐が残っていたベールミストをアトリエ中にこれでもかとまき散らす。
ありとあらゆる場所にその魔法の力を届けようとする。
信じたいから。信じているから。自分の感じたものが真実であると。かつておばあちゃんは、師匠を強く憎んだ。けれどそれは今や流行り病がそうであるように、遠くの過去に過ぎない。
どんなに遅くても亡くなる前には愛しさに変わった、ううん、その想いを取り戻したに違いないのだと。

可憐はそう強く思った。そうであってほしいと願いもそこにあった―――。


まつり・可憐「…………」

まつり「何も起きない、ね」

可憐「そんな……」

まつり「可憐ちゃん、そんな顔しないで」

可憐「し、師匠、私は……」

まつり「わかっている。あなたを責めるなんてしないよ。ありがとうね。私のためを想っての行動だもんね」

可憐「……ぐすっ……。師匠、あの時はごめんなさい」

まつり「え?」
207 : レジェンド変態   2022/07/23 21:29:40 ID:vlHLnc/ERg
可憐「タルタロスで、私、師匠を責めるようなことを言いましたよね。(>>68)師匠の過去のことをちゃんと知らないで」

まつり「気にしないでいいのに。可憐ちゃんは何も悪くないよ。正しい。そのまま、うん、お願いだからこれからもその正しい可憐ちゃんでいてほしいって私は思う」

可憐「師匠……」

カタッ

可憐「ん?」

まつり「今のは?」

カタッ……

可憐「天井?」

カタッ!

可憐「え……」

2人は音の鳴った天井の一部を揃って眺めた。
やがて、一部が崩れ落ちた。
いや、崩れるというよりも、それはあらかじめそうなるように仕掛けてあったようだった。
天井の一部が何かに呼応したのだ。作動した。
何に?……ベールミストに、だ。

可憐・まつり「え―――?」

師弟は外れた天井板、そこから何かがゆっくりひらひらと落ちてくるのを目にした。
それは封筒であった。銀でも金でも虹色の蝶もなかったが、その封筒が重要なものであるのを直感した。
208 : 高木の所の飼い犬君   2022/07/23 21:29:56 ID:vlHLnc/ERg
可憐「師匠!こ、これ……!」

拾い上げたのは可憐だった。封筒の裏に書かれた宛先らしき文字列を読むと、興奮気味にまつりに封筒を渡す。

まつり「えっと……『私の愛しい孫娘・可憐へ』―――あっ」

否応なく目に入る。宛先には続きがある。

まつり「『大嫌いで、でも世界で一番大好きなお姉ちゃんへ』」

可憐「師匠!これ、これって、おばあちゃんの字ですよ!……ぐすっ……よかった、あったんだ……私、間違っていなかった……!」

まつり「そんな泣くことないって」

可憐「師匠だって、涙目じゃないですか!」

まつり「えっ。……ベールミストが目に染みただけだよ」

可憐「よ、読みましょう!」

まつり「うん。その前に、可憐ちゃん。もう一度言っていい?」

可憐「な、なんですか」

まつり「ありがとう」

可憐「……!」

まつり「私はあなたを誇りに思う。あなたと出会えて本当に……よかった。まだ生きてみることを選んで……よかった」


そうして可憐たちは2人で手紙を読んだ。
内容は2人、ううん、3人だけの内緒なのです♪
209 : Pーさん   2022/07/23 21:30:14 ID:vlHLnc/ERg
後日

- 巡礼街道 -

美也「お~、もう出番がないと思っていましたよ~」

恵美「いやー、いい天気だね!旅立ちの日には最高だよ、にゃはは」

貴音「エミリー?何をそんなに緊張しているのですか」

エミリー「い、いえっ!その……行きと違って帰りのこの旅路では巫女候補である朋花様やその右腕となるであろう錬金術士さまも守らないといけないと考えると、つい……」

恵美「ええ~?気負いすぎだって!それよかさ、霊山に着いたら、エミリーって正式な騎士になる手筈になっているんでしょ?」

エミリー「ほわっ?!」

貴音「恵美……言ったはずですよ。その件は私が時機を見て話すと。やれやれ」

恵美「あ、あれー?もしかしてまだ言っていなかった?」

美也「なんと~。所属は貴音さんと同じく第四部隊ですか~?」

エミリー「ど、どうなんですか隊長!正式な騎士になっても、私、隊長を隊長としてお慕いししたいのですが……」

貴音「はて。騎士任命の儀にはここにおられます巫女候補様も関係してきますし、私の一存では決められませんね」

朋花「貴音さん~?こういう時は、エミリーちゃんの気持ちを汲んだ答えをするべきではありませんか~?」
210 : Pちゃん   2022/07/23 21:31:23 ID:vlHLnc/ERg
貴音「まさか。騎士たる者、個人の情に流されなどしません」

恵美「かったいなー、相変わらず」

貴音「ですが」

恵美「うん?」

貴音「私にとってエミリーは愛弟子です。慕う気持ちは偽りないとだけ申しておきましょう」

エミリー「貴音さま///」

美也「お~。そうなると……エミリーちゃんの騎士名、何がいいでしょうか~。どう思いますか~、可憐ちゃん」

可憐「こ、ここで私に振るんですか!?え、えっと……」

朋花「美也さん~?それこそここで決めることではないですよ~?」

可憐「あ、あの!じゃあ、金色騎士とか?」

恵美「安直!」
211 : せんせぇ   2022/07/23 21:31:38 ID:vlHLnc/ERg
美也「! おや~?」

朋花「……この感じ、魔物の気配ですね~。しかも敵意を向けてきていますね~」

恵美「ああ、もうこんないい天気なんだから、出てこなくていいのに」

貴音「ふっ。私たちなら朝飯前ですよ……お腹が空きましたね」

可憐「ほ、ほんの2時間前、街を発つ前に千鶴お姉ちゃんの手料理を食べたじゃないですか」

恵美「そういえばさー、エレナの所属する劇団の本部がある街も通る予定なんだっけ。楽しみだねー」

朋花「ふふっ、そうですね~」

エミリー「来ます……!」

美也「それでは可憐ちゃん、指揮をお任せしてもいいですか~?」

可憐「は、はい!」
212 : Pちゃま   2022/07/23 21:32:36 ID:vlHLnc/ERg
可憐(私はある日、素敵な女性と世界を変える力とに出会った)


可憐(そして今―――その力を手に、そしてその人の言葉を頼りに、自分自身の未来を切り開こうとしている)


可憐(大丈夫。私なら、みんなとなら……できるよね♪)


可憐「さぁ、みんな!いくよ……!」




【安価SS】全5話 765プロ劇場ドラマ制作
可憐のアトリエ  完

213 : 箱デューサー   2022/07/23 21:38:56 ID:vlHLnc/ERg
以上です!
完結しました!

もうなんかいろいろ言いたいですけど、まずはやっぱり、
ありがとうございました!!!!!
たった1名、2名、3名はいたのかな、いないんじゃないかな?たとえそれだけでも励まされ、勇気づけられたといいますか、ありがたかったです
このシリーズ通して、「やりたいようにやる。需要とか知らん」って感じで安価SSにあるまじき突き進み方ですけど、でも読んでくれている人がいるって嬉しいものやなって
感謝です、ほんま

あー、あとがきっぽいの書こうと思うといくらでも書けるけど、これまでどおり手短に
書き溜めてはいないんで、書けたら投下します

214 : バカP   2022/07/23 21:57:31 ID:vlHLnc/ERg
2点に絞って、サクッと。

まず元ネタについて。
前スレ冒頭でも触れているとおり、今年の5月で25周年を迎えたアトリエシリーズが大本ですね。
現在はコーエーテクモゲームスの1セクションであるガストブランドから発売されているゲームシリーズです。
詳しいことは公式HP見るなり、実際に最新作や良作をプレイしてみたりがいいんじゃないでしょうか。
アイテム名(あとマップ名の一部)はだいたいこのアトリエシリーズから。
それから、わかる人にはわかるような、一昔前の少年ジャンプのネタがちらほらあったり、某タワーディフェンスのソシャゲだったり、わりとパロディネタも多かった気がします。
アイマスは言わずもがな

それから、この安価SSシリーズについて
2か月以内の完結とは何だったのか
いや、ほんと反省点を挙げていくと100万あるんじゃないかな
なにより安価SSとして、きちんと高頻度に(自由度の高い)安価を出して、ってのが最終的に全然できていなかったのは問題
開きなおって言わせてもらうと、自分は楽しかったです!途中、グダグダのグダって感じが何回かあって、ぶっちゃけ投げ出そうか迷いもしたけど、でもレスくれる人がいて、それでよしっ!やるぞ!ってなって
同時進行でSS書いては投下してってのもあったし
とまぁ、思うところたくさんあるんですけど、ここまでにしておきますわ
リアル事情で当分はSSそのものを書く余裕ってのが物理的にも精神的にもなくなるだろうってとのが今から予想できるので、もし仮に、次のシリーズやるとしたら秋ですね
早くて9月?
終わってすぐに、しかもそんな人気無いのにこういうの考えちゃうあたり、書くのが好きなんやなって自分で思いますわ
215 : Pちゃま   2022/07/23 22:01:18 ID:vlHLnc/ERg
まとめると、ここまで読んでくれた方、協力してくださった方、ありがとうございました!
次回があれば、それはずっと先になりそうですけど、今回の反省を生かして、今度こそ独りよがりではない楽しませる安価SS目指してみます!

何度でも言いたいから言います
本当にありがとうございました!!

(公式の)可憐ちゃん、可愛いしカッコいいんで、もっと推してどうぞ♡

216 : そこの人   2022/07/24 08:38:03 ID:L08Yg7ICxM
おつかれさんでした
楽しく読ませて頂きました!
名前 (空白でランダム表示)
画像 ※JPEG/PNG/GIFのみ。最大サイズ合計: 8MB



画像は3650日で自動削除する
画像認証 (右画像の数字を入力) 投稿キー
コメント スレをTOPへ (age)

※コメントは15行まで
※画像などのアップロードの近道 : http://imgur.com/
※コメント書き込みの前に利用規約をご確認下さい。