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【安価SS】全8話 765プロ劇場ドラマ制作!
1 :
主
2021/08/05 20:36:02
ID:7Ez7aEaegU
立つかなー
2 :
Pたん
2021/08/05 20:36:54
ID:7Ez7aEaegU
立ちました!
第4回となりますが、これまでと内容面でつながりはありません。
安価形式としては、こちらで用意したあらすじ(大枠)の穴を埋めていってもらいつつ、物語の舵取りをしてもらうイメージです
過去の制作に軽く目をとおしていただければ雰囲気がわかるかも
1.メイン:琴葉「星空と珈琲を」
http://imasbbs.com/patio.cgi?tr=all&read=20101
2.メイン:のり子「失われた陽だまりを求めて」
http://imasbbs.com/patio.cgi?tr=all&read=20542
3.メイン:可憐・昴「フレグランスは写らない」
http://imasbbs.com/patio.cgi?tr=all&read=20907
これまでの反省をふまえて今回の方針
・公序良俗を遵守 2021夏中の完結を目標とする
・安価箇所と会話パートを含み、物語の流れを決めていく「下書き」と、展開を追いやすいようにまとめた「清書」で構成予定
・字数については、短すぎず長すぎずを意識 明確な制限はなし 勢いを大事に
・一部例外を除いて安価募集期間(=レスの有効期限)を24時間程度に
・1つでもレスがつけば続行
3 :
プロデューサークン
2021/08/05 20:38:05
ID:7Ez7aEaegU
8/8夕方あたりに第1話をスタートするために、まずタイトル&メインキャスト(3名)候補募集を行います
タイトル名(必須)とジャンル(任意)のレスをお願いします!
ただし、長すぎるものやこれまでの続編と思しきもの、また固有名詞としてアイドルの名前が含まれている等々、こちらが不適切と判断したものは候補から外させてもらいます
そのドラマに出演するキャストをID判定により選出します
=これまと同様にミリシタアプリ内のアイドル順に並べた際の765プロ所属52人それぞれにアルファベット小文字・大文字を割り振る方法
例:天海春香=a、春日未来=n、桜守歌織=Z
IDに3種類以上のアルファベットが原則含まれると仮定して、左から読んだ際に1~3番目に現れたIDで判定処理
※琴葉・のり子・可憐・昴の4人についてのみ判定をずらして処理
※もし2種類以下の場合は直後のレスを使用
→タイトル&メインキャスト候補(最大数6 同一ID無効)選出期限
8/6 18:00まで
万一、これより前に最大数に達したらスケジュール前倒し
4 :
プロデューサーくん
2021/08/05 20:38:40
ID:7Ez7aEaegU
今回は集まった候補それぞれについて、(コラ修行の一環として)イメージコラージュを作成したうえで、多数決か何かで実際に展開するドラマを決めていこうかなと考えています
コラは添付画像を参照 本格的なやつは作れないので、あくまでスレ主個人のイメージの出力ということでお願いします
5 :
お兄ちゃん
2021/08/05 20:39:20
ID:7Ez7aEaegU
【まとめ】
このレス直後から、今回のドラマのタイトル名をレスしてください!
ジャンルの付記は任意
同時に、いただいたレスのIDによってメインキャスト候補(3名)の選出を行います
採用レス最大6(1つでも書く気はあります)
締め切り 8/6 18:00
ご協力お願いします!
6 :
せんせぇ
2021/08/05 20:44:43
ID:zU.aW44.iE
あなたの眼差しはどこへ
切ない要素ありのヒューマンドラマ
7 :
おやぶん
2021/08/05 21:02:07
ID:dz2aXEXeMQ
〇〇(アイドル名)'sキッチンへようこそ
料理バトルドラマ
8 :
do変態
2021/08/06 16:14:25
ID:i1rQQ23QMc
選出処理経過
>>6
zU.aW44.iE
→(z,U,a)→「U」=昴なので再判定→(z,a,W)=(百合子・桃子・春香)
「あなたの眼差しはどこへ」
切ない要素ありのヒューマンドラマ
>>7
dz2aXEXeMQ
→(d,z,a)=(雪歩・百合子・春香)
「〇〇(アイドル名)'sキッチンへようこそ」
料理バトルドラマ
何の因果か、現段階では百合子・春香の2人がメインキャスト内定
残り2時間足らずですが、まだ募集しております!
9 :
der変態
2021/08/06 18:13:41
ID:wBKfmuyAVE
お、立ってる
今回も楽しみにしてます
10 :
プロデューサーさん
2021/08/06 18:30:32
ID:6/be6mwh1k
今頃前回のエピローグを読んでいる大たわけが通ります
今回もどうぞよしなに
11 :
高木の所の飼い犬君
2021/08/06 18:54:52
ID:v9rvx2C67.
もうタイトル募集終わってたか
過去作はシリアスめなのが多いから今回はガッツリコメディとかどうかな〜なんて
12 :
下僕
2021/08/06 19:11:45
ID:wBKfmuyAVE
受験ドラマとか()
13 :
Pたん
2021/08/06 20:51:21
ID:i1rQQ23QMc
あたたかい(?)レスありがとうございます!
パパパパパッとコラ作りました
14 :
変態大人
2021/08/06 20:51:46
ID:i1rQQ23QMc
A
あなたの眼差しはどこへ
15 :
そこの人
2021/08/06 20:54:42
ID:i1rQQ23QMc
B
YUKIHO'Sキッチンへようこそ
※今更ですが、タイトルにアイドル名が含まれていますがID判定選出後を前提にしていたのでこちらも候補に採用しています
16 :
高木の所の飼い犬君
2021/08/06 20:58:05
ID:i1rQQ23QMc
というわけで、それぞれメインキャストのうち最初にIDとして登場したアイドルを使ってタイトル作成してみました
3人で作ろうとしてうまくできずに、けっこうな時間を無駄にしたのは内緒だよ!
8/7 22:00 までにレスがついた数(選択された数)が多い方を今回は制作していきます
念のため言っておくと両方は体力と時間的に無理です
ご協力お願いします!
17 :
ぷろでゅーしゃー
2021/08/06 21:16:54
ID:IFsHHp7NeU
B
18 :
仕掛け人さま
2021/08/06 21:31:40
ID:/BcvpJ9eB.
B!
19 :
お兄ちゃん
2021/08/06 21:57:42
ID:6/be6mwh1k
お盆に描かれたのが不安だがBで
20 :
1
2021/08/07 16:53:34
ID:bkkmXhMgOk
定期age
Bでほぼ確定かなー
こちらの裁量で、締切早めて今夜中(20時〜)にプロローグ部分出せたら出すかもです
21 :
Pサン
2021/08/07 17:10:37
ID:epNo2Ivo7k
今回もできる限り安価に参加したい
22 :
Pチャン
2021/08/08 06:50:17
ID:hWjF25WXBM
レスありがとうございます!
第1話partA投下していきます!
23 :
貴殿
2021/08/08 06:51:22
ID:hWjF25WXBM
ゆるゆると時が流れる藍鱒町、この穏やかな町のひっそりとした路地裏に、乙女の悩みを解決してくれるお店があるらしい。
まるで異世界の食材を使って作られた、世にも珍しい料理の数々。お口の中がライブ会場。
支払いは現金?カード?電子マネー?いやいや、どれでもない。悩みと料理に見合った「対価」を客たちは支払うこととなる。
奇怪千万、摩訶不思議、幽玄なる料理店はその在り様とは裏腹に、安直かつ平凡にも店主の名をとって『YUKIHO'Sキッチン』と看板を掲げているという。
オリーブオイルはさほど用いないとの噂ではあるのだが……。
24 :
ぷろでゅーしゃー
2021/08/08 06:51:55
ID:hWjF25WXBM
9月。夏休みが明けて間もない頃。高校1年生の【ID判定】は【A】のことで悩んでいた。
そんな彼女がとぼとぼと独り、下校しているといつの間にか見知らぬ路地裏に迷い込んでおり、辺りから何とも言えないふしぎな香りがするのだった。
その香りにつられるままに、ふらりふらりと路地の奥へと進んでいくと、暗がりにぽつんと明かりの灯る店があった。
香りはたしかにそこからするようだ。看板には『YUKIHO'Sキッチン』―――見た目は【B】
彼女が店の前で立ち尽くしていると、後ろから大きな荷物を背負った、自分と年の変わらない少女がやってきた。
頭にリボンをつけた彼女は「お客さん?」と微笑みかけてきた。曖昧な返事をよこしてから、「このお店の人ですか?」と訊ねてみると、彼女は「はい!」とどこか嬉しそうに返事をよこした。
「えっと……ウェイトレスさん…?」
「うーん、たしかに給仕も任されているけど、それだけじゃなくて、まぁ、いろいろやっているんですよ!えっへん♪」
「は、はぁ……」
「ささ、どうぞ、どうぞ。中に入ってくださいな」
「えっ、いや、でも、そんなに持ち合わせもないですし、それにお腹もそんなに……」
「ですが、ここにたどり着いたということは、貴女にはここで料理を召し上がり、解決したい悩みがあるということ。この世には偶然などなくあるのは必然だけなのです」
断るための体のいい文句を探していると、そばでそんな声がした。声のした方向を見やると、いつからいたのだろう、そこに本を持つ少女がいた。
25 :
P様
2021/08/08 06:52:21
ID:hWjF25WXBM
「あっ、百合子ちゃん」
「春香さん!私のことはセブンテールと呼んでくださいと以前から何度もお願いしているじゃないですか」
「えー……百合子ちゃんっていう名前のほうが可愛いよ?百合子ちゃんにぴったり」
「~~~っ。と、とにかく下手に真名を呼ばれるのは光と闇とあと風の眷属である私にとっては……」
百合子と呼ばれた少女は、春香と呼ばれた子が普通の恰好をしているのと違って、【C】を着ていた。
それから2人はあれやこれやと話し始める。
彼女たちが話しているのを見守ることしかできず、いっそのこと、そろりと引き返してしまおうかと思い始めた。
けれども、この香りに惹きつけられたのも確かな事実で、この場を易々と去ってしまうのも、もったいないような……。
2人に声をかけるべきかと迷っていると、店の扉が開いた。そして現れたのは美しい少女。
「春香、それに百合子。お客様が困っておられるわよ。無駄話はおよしなさい」
面差しにどこか儚さを漂わせるその少女はすぐに状況を把握したのか、それとも開くより先に察していたのか、儚さとはかけ離れた強かな口調でぴしゃりとそう言ってのけた。
26 :
do変態
2021/08/08 06:52:37
ID:hWjF25WXBM
「し、白雪さん。すみません」
「ごめんね、雪歩」
「謝る相手がちがうでしょう?」
「で、ですよね!」
「うう……」
「い、いえ、私なら平気ですから!」
白雪とも雪歩とも呼ばれた少女が見つめてくる。その眼差しは深い部分まで見抜くよう。
「平気ということもないでしょう。ここへとやってきたということは、あなたは今、何か悩みを抱えているはず。心の平穏をかき乱すような問題を」
「―――っ」
百合子が似たようなことを口にはしていたが、それよりもずっと真に迫った、心を見透かされたと感じる声だった。
返答に窮していると、少女が頭を下げる。春香と百合子もそれに倣ってお辞儀をする。
「YUKIHO'Sキッチンへようこそ」
顔をあげた少女は上品な笑みを浮かべて、そう言った。
27 :
do変態
2021/08/08 06:53:15
ID:hWjF25WXBM
※【ID判定】悩める乙女(1人目) このレス直後のレスのIDを判定に使用 メインキャスト3人の場合、ずらして判定。
※【A】抱えている悩みとは? 夏休み明けという設定がありますが、そこを参考にするかは任せます。いきなり重すぎるのは勘弁してください。
※【B】店の佇まいについて
※【C】百合子の服装 過度な露出等、放送できない・事務所NGなものは採用しません セーラー水着もお控えください
※【D】partBで作る料理 ただし食材は現実のもとの異なる予定 効果と対価は悩みが決定しないとダメなのでpartBで安価予定
※第1話では難しいですが、バトル(対決?)要素も第2話以降に加える予定 わ、わわ忘れていたわけじゃないんです、ほんとです、はい、すみません……。
※第1話partB以降、コメディ色強くしていくかも
レスの有効期限 8/9 06:59:59まで
清書は明日中に投下予定
ご協力お願いします!
28 :
プロデューサー様
2021/08/08 07:57:35
ID:s4sCuwvjhI
A休み明けテスト
B茶畑をイメージした和風のデザイン
C赤いノースリーブにジーンズ、そしてスニーカー
Dところてん
29 :
バカP
2021/08/08 08:45:38
ID:AdZjs88QDk
A 文化祭の出し物
B□-ソンの居抜き物件
Cチナ・オアハケーニャ(メキシコの民族衣装)
Dタコス
30 :
Pさん
2021/08/08 09:42:21
ID:JY.aoJowtE
A休み明けから親友とギクシャクしている
B看板が出ている事以外はただの一軒家
Cセンスを疑うレベルの派手な色をした割烹着
D麻婆茄子
31 :
兄(C)
2021/08/08 11:35:34
ID:dWV0WzS8mY
A友人関係
Cアカデミックドレス
Dリゾット
32 :
主
2021/08/08 18:16:37
ID:W3c1lJv0RM
A:部活動での悩み
仲間達の不甲斐なさ(次年度での予算削減を前に、春は予選落ち、このままでは秋では一回戦負けが濃厚)
B:古いが造りはしっかりしている(一見して和風)
C:(添付画像参照)、着替えは一応あるらしい
D:ラタトゥイユ、それを基にしたバリエーションの数々
33 :
Pチャン
2021/08/09 08:40:16
ID:/Re30laops
レスありがとうございます!
Recipe1 partA
投下していきます
あとタイトルイメージ、作り直してみました
雪歩の立ち絵は某素材スレからお借りしました。やっぱクオリティ高いっすね
ただサムネだと肝心のドラマ名読めないかも…
今回、各話に合ったコラ作りは今のところ作るかは未定です
34 :
P君
2021/08/09 08:40:35
ID:/Re30laops
Recipe01 partA
9月。夏休みが明けて間もない頃。高校1年生の佐竹美奈子は友人関係で悩んでいた。
休みが明けてからというもの親友とギクシャクしている。原因は夏休みにある。
もともとは夏休みに定期的に会って、遊ぶついでに勉強を、という計画を立てていた。そうだ、遊びが最優先。
高校1年生の夏は一度しかないのだから――――。八月中旬まではうまくいっていた。最高の夏だった。遊びに勉強、部活。なかったのは恋愛ぐらいか。
親友が熱中症で倒れた日、美奈子はわっほ、わっほと部活動に励んでいた。
彼女が倒れたことを知ったのは日をまたいでから。いくつかの偶然の重なりが、その倒れた日に限って親友と連絡をとらない選択を美奈子にさせたのだった。
その選択を親友は快く思わなかった。それから2人のすれ違いが始まった。
「お見舞いにきてほしいなんて言うつもりはないけれど、でも気にかけてほしかったし、単純に……声が聞きたかった、安心させてくれるその声を……」
そんなふうにぼそぼそと電話口で言われたのは、もう夏休みが終わりに差し掛かった頃だった。
結局、夏休み明けテストの出来も散々で、文化祭の出し物の準備にだって身が入らず、何にも事情を知らないクラスメイトから非難されもした。
35 :
バカP
2021/08/09 08:40:48
ID:/Re30laops
美奈子が独りで俯き気味に重い足取りで下校しているといつの間にか見知らぬ路地裏に迷い込んでいた。
辺りから何とも言えないふしぎな香りがする。その香りにつられるままに、ふらりふらりと路地の奥へと進んでいくと、暗がりにぽつんと明かりの灯る店があった。
香りはたしかにそこからするようだ。見た目は古めかしい和風の一軒家。その色合いは茶畑を想起させる。古くはあるが、造りはしっかりしており、今なお住居として機能している気配は充分にする。
とすれば、異様に思えるのは掲げられた看板――『YUKIHO'Sキッチン』
いやいや、ミスマッチじゃない?と美奈子は思う。親友がいたなら、声に出してオーバーにツッコミをいれていたかも。
美奈子が店の前で立ち尽くしていると、後ろから大きな荷物を背負った、自分と年の変わらない少女がやってきた。
頭にリボンをつけた彼女は「お客さん?」と微笑みかけてきた。美奈子は曖昧な返事をよこしてから、「このお店の人ですか?」と訊ねてみると、彼女は「はい!」とどこか嬉しそうに返事をよこした。
「えっと……ウェイトレスさん…?」
「うーん、たしかに給仕も任されているけど、それだけじゃなくて、まぁ、いろいろやっているんですよ!えっへん♪」
「は、はぁ……」
「ささ、どうぞ、どうぞ。中に入ってくださいな」
「えっ、いや、でも、そんなに持ち合わせもないですし、それにお腹もそんなに……」
36 :
ご主人様
2021/08/09 08:41:07
ID:/Re30laops
「ですが、ここにたどり着いたということは、貴女にはここで料理を召し上がり、解決したい悩みがあるということ。この世には偶然などなくあるのは必然だけなのです」
断るための体のいい文句を探していると、そばでそんな声がした。声のした方向を見やると、いつからいたのだろう、そこに本を持つ少女がいた。
「あっ、百合子ちゃん」
「春香さん!私のことは風来のセブンテイルと呼んでくださいと、以前から何度もお願いしているじゃないですか」
「えー……百合子ちゃんっていう名前のほうが可愛いよ?百合子ちゃんにぴったり」
「~~~っ。と、とにかく下手に真名を呼ばれるのは光と闇とあと風の眷属である私にとっては……」
春香と呼ばれた子がごく普通の服装をしているのに対し、百合子と呼ばれた少女は黒いドレスを着ていた。
いわゆるゴスロリに分類されるであろう代物だ。美奈子の視線に気づいて百合子は言う。
「これはビスクドール・ノワールというんです!」
ふわっとその場で一回転。そしてドヤ顔。かわいい。
「大丈夫?百合子ちゃん、今度は言い間違いしていない?」
「なっ!べ、べつにあれは私のせいじゃないです!……こほん。『深淵の住人より漆黒のドレスを賜った可憐で無垢な人形姫は、無慈悲な運命の糸に抗い続ける。…その時間は刹那か永遠か』」
「衣装詳細だね。あ、気にしないで。この子、いつもこんな感じだから」
「そ、そうなんですね」
どうやら2人は親しい仲であるようだ。
37 :
プロデューサーちゃん
2021/08/09 08:41:28
ID:/Re30laops
それから2人はあれやこれやと話し始める。
彼女たちが話しているのを見守ることしかできず、いっそのこと、そろりと引き返してしまおうかと思い始めた。
けれども、この香りに惹きつけられたのも確かな事実で、この場を易々と去ってしまうのも、もったいないような……。
2人に声をかけるべきかと迷っていると、店の扉が開いた。そして現れたのは美しい少女。
「春香、それに百合子。お客様が困っておられるわよ。無駄話はおよしなさい」
面差しにどこか儚さを漂わせるその少女はすぐに状況を把握したのか、それとも開くより先に察していたのか、儚さとはかけ離れた強かな口調でぴしゃりとそう言ってのけた。
「し、白雪さん。すみません」
「ごめんね、雪歩」
慌てて2人は謝る。
「謝る相手がちがうでしょう?」
「で、ですよね!」
「うう……」
「い、いえ、私なら平気ですから!」
今度は美奈子が慌てた。
38 :
仕掛け人さま
2021/08/09 08:41:42
ID:/Re30laops
そして、白雪とも雪歩とも呼ばれた少女が美奈子を見つめる。品定めとは違うが、しかしその眼差しは深い部分まで見抜くようだった。
「平気ということもないでしょう」
「へ?」
「ここへとやってきたということは、あなたは今、何か悩みを抱えているはず。心の平穏をかき乱すような問題を」
「―――っ」
百合子が似たようなことを口にはしていたが、それよりもずっと真に迫った、心を見透かされたと感じる声だった。
返答に窮していると、少女が頭を下げる。春香と百合子もそれに倣ってお辞儀をする。
「YUKIHO'Sキッチンへようこそ」
顔をあげた少女は上品な笑みを浮かべて、そう言った。
partBにつづく
39 :
おやぶん
2021/08/09 08:44:27
ID:/Re30laops
※【D】についてはどれを採用したかはpartBで明示
※親友については特定しません あの子だと、2話以降に登場するかもしれないし。兼ね役でもいいですけどねー
ご意見・ご想像募集中です
partBは早ければ今夜、遅くとも明後日早朝には
何卒最後までお付き合いください!
40 :
せんせぇ
2021/08/09 09:07:41
ID:ycadqa5K0E
始まったばかりだけど、どういう風なバトルになるのか楽しみ
41 :
魔法使いさん
2021/08/09 09:15:12
ID:z75Xwyy2Ws
いかん、ツッコミという言葉で親友枠は奈緒なのかと思ってしまう
42 :
兄ちゃん
2021/08/09 15:06:25
ID:/Re30laops
予定より早いですが書けたので、Recipe1 partB(下書き)投下します
43 :
ダーリン
2021/08/09 15:06:52
ID:/Re30laops
薄暗く長い廊下だった。
お店にしては小さな玄関から入って、土足のまま進んでいく。
雪歩の背中を追う。雪歩は姿勢がいい。なんというか洗練されている歩き方だった。自分よりも身長の低い少女からそんな格式高い印象を受ける美奈子。
従業員用の出入り口なんてあったのかな、気がつけば百合子も春香もいない。玄関まではいっしょだったような。
ようやく雪歩が足を止め、戸を開く。「こちらへ」と半身を返して、美奈子を誘う手振り。
戸の先は明るい。美奈子は進む。
和モダンとでも形容すればいいのか、室内は完全な和室でも洋室でもない。
和洋折衷と言うしては主体はあくまで和。もてなす相手と振る舞う料理が多岐にわたるからこその造りだろうか。
正直、内装を描写するのは面倒だし、読むほうだって疲れるだろうから好きに想像してほしいというのが伝わってきた。
「体質で食べられないもの、好みで食べたくないものはおありですか?」
「い、いえ………。あ、あの、私―――」
何からどう言えばいいのか。お金なんて夏休み中に散財したから今は財布に765円しかないってことや、この劇中では佐竹飯店は存在しないってこと、そして親友のと件。
美奈子の頭に次々と浮かんでは沈んでいく考え。浮かび続けるのは、ここで待つことしか自分はできないのだという直感。
が、不安は募る。それを見て取ったのだろう、雪歩がそっと美奈子の手を握り、微笑む。
「なるようにしかなりません。あとは祈ることしかできないのです。あなたも私も」
占い師にしても料理人にしても無責任な台詞。安心というより、ぽかんと呆けてしまった美奈子を置いて、雪歩は去った。
44 :
おやぶん
2021/08/09 15:07:16
ID:/Re30laops
― 厨房 ―
百合子「白雪さん、白雪さん!」
雪歩が入ると百合子が興奮した様子で近づいてくる。
百合子「今日は何にします?あの人に何をお出しするんです?」
雪歩「さぁ?春香が持ってきてくれたものしだいだわ」
春香「うんうん♪ ちょうど私の仕入れが終わったタイミングでやってきたんだから、あの子のための食材なんだって思うな。きっとそうに違いないよ。今日はね、面白いものが手に入ったんだ」
雪歩「へぇ…?」
春香「ほら、この魚!」
百合子「わぁ、真っ白な魚。雪みたいですね」
春香「ね? 尾も白い!だから面白い!ふふっ」
雪歩・百合子「…………」
雪歩「で? お勧めはあるかしら?」
春香「オスメスなら。この蝶の番なんてどうかな?」
雪歩「あの子は見たところ、パンピーみたいだから、そんな初恋バタフライなんて食べさせられないわよ」
百合子「ん、ん。ここはやっぱり私に任せていただけませんか」
春香「で、でたー! 百万のレシピを知る乙女にして、厨房のシベリア鉄道、人呼んで、とある料理の禁書目録(インデックス)こと、七尾百合子だぁー!」
百合子「セブンテイルズです!」
雪歩「名前、ころころ変わるね。まあ、いいわ。ここにある食材でのレシピの候補の検索、お願いできる?なるべく早く」
百合子「お任せあれ!サーチ&デストロイは得意分野です!」
春香「いや、壊さなくていいから」
雪歩「その間、私はお客様にお茶を出してくるから」
春香「はーい」
45 :
高木の所の飼い犬君
2021/08/09 15:07:36
ID:/Re30laops
厨房に残った百合子と春香。百合子が深呼吸をする。
大切に抱えていた本を、表紙を上にして呪文を唱えはじめる百合子。
百合子「百万の味の力を秘めし魔導書よ 我の前にその味を示せ 契約のもと七尾百合子が命じる――――」
春香(やっぱり百合子ちゃんじゃん。というかレシピ知っているのは本であって百合子ちゃんではないのでは?)
百合子「【A】!」
魔導書が自動で開き頁がめくられていく!
尽きることのない頁は行ったり来たりを繰り返す。この場にある食材、また季節やその他の条件を基に魔導書がレシピを導き出す!
しばらくして、バサッ、バサッと頁が数枚、勝手に本から離れて舞った。
百合子「あわわわ」
そのうちの一枚が百合子の顔に貼りつく。
百合子「んー、んー!」
春香「はいはい、今とってあげるから」
散らばった頁を拾うと共に百合子に貼りついた頁を回収する春香。
春香「へぇ……これなんてよさそうだね」
百合子「春香さん、読めないですよね」
春香「雰囲気ですよ、雰囲気!ほら、イラストも載っているから、なんとなーくわかるでしょ?」
百合子「それはそうですけど……えっと、これは―――」
顔に貼りついてたいた一枚を百合子は見る。
46 :
プロデューサーちゃん
2021/08/09 15:07:53
ID:/Re30laops
雪歩「ふうん、【B】を具材に使ったタコス?面白そうね」
百合子「きゃぁっ! も、もう、白雪さん、いつ戻っていたんですか!そんな後ろから耳元で……恋しますよ!」
春香「タコスかー。だったらトルティーヤを生地をこねるところからやってさ、タコスパーティにしようよ!」
雪歩「タコスパーティ?」
百合子「みんなでやるから尊いんですよね、絆が深まるんですよ!」
雪歩「悪くない案だけど、今は例のお客様のために作るだけにしておきましょう」
春香「えー」
雪歩「隠し味は……心太でもいれておこうかな」
47 :
Pサマ
2021/08/09 15:08:15
ID:/Re30laops
春香「しゃあっ! 完成!!」
百合子「!? えっ、あの、レスとんでませんか?だって、調理しているところなんて一切……」
雪歩「『YUKIHO'Sキッチン』の中ではこの世の時間は消し飛び、すべての食材は切られたことにも、焼かれ、煮られたことにも気づかない!残るのは『結果』だけなんですぅ!」
百合子「ひ、ひええええ」
春香「第1話からがっつり描写すると尺がどうこうより、2話以降の描写のハードルがあがっちゃうんだよぉ~!」
― 客間 ―
雪歩「お待たせしました」キリッ
美奈子「これは……」
予想外の一品に動揺する美奈子。さっき出された冷たい麦茶をそのまま浴びせられたかのような衝撃。
和食じゃないにしても、まさかこれがくるなんて。……変わった匂いがする。
にこにことしている雪歩だが、食べることを断れば般若の表情になるかもしれない。
美奈子「ええい、ままよ!」
余談だが『はじける夏の味♪ 佐竹美奈子』の覚醒後イラストの美奈子にかぶりつきたいPも多いのではないだろうか
48 :
せんせぇ
2021/08/09 15:08:37
ID:/Re30laops
美奈子「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」
春香「おかわりもあるからね」
百合子「宴だ~~!!!」
美奈子「!?(いつからここに!?)」
雪歩「いかがですか、お味は」
美奈子「え、えっと、不思議な味ですけど……で、でも美味しいです、このナチョス」
雪歩・百合子・春香「ナチョス!?!??」
美奈子「ち、ちがいましたか?」
春香「百合子ォ!!」
百合子「私ですかぁ!? 白雪さんがタコスって……」
雪歩「あー、うん、おいしいですよね、ナチョス。えっと、イタリア?」
春香「メキシコだよ!国旗の色で判断するんじゃないよ!」
百合子「国旗についてはマークの有無以外に緑の濃さも違うって話ですしね!」
雪歩「タコスもナチョスもトルティーヤ使っているから似たようなものです。そうですよね?」
美奈子「アッ、ハイ」
49 :
お兄ちゃん
2021/08/09 15:09:12
ID:/Re30laops
雪歩「さて、実はそのタ…ナチョスにはあなたの悩みを解決する効果があるんです」
美奈子「えっ!?」
雪歩「ですが、同時に対価として【C】という結果をもたらしもするんです」
美奈子「なんで!?」
百合子「世の中、得るだけのことなんてありえません。同時に失いもするんです」
美奈子「え、えぇ……」
春香「こんな等価交換、某錬金術師でも予想だにしなかったでしょうね」
雪歩「さ、そろそろお帰りください。日が完全に沈むとこのあたりはよく出ますから」
美奈子「で、でるって、痴漢とか?まさか幽霊?」
春香「チュパカブラですよ、チュパカブラ!」
美奈子「!?」
百合子「心配ですね。白雪さん、この方に何か魔除けのアイテムを授けたほうが……」
雪歩「うーん、塩でも撒く?ちょうどこの前、可愛い見習いサンタにもらったんだけど」
美奈子「け、けっこうです!お邪魔しました!」バタンッ
美奈子は急いで店を出る。廊下はなぜか来た時よりずっと短くなっていたのだった。
路地裏を抜けるところで、後ろを振り返ると建っている場所からしてその奥にかすかに見えるはずの店はどこにもなかった。
狐か狸にでも化かされたのだろうか、いや、あの子たちだったらむしろ妖精?
いずれしても口にはまだナチョスの匂いが残っていた。
……胃洗浄したほうがいいかな。
(以下、美奈子と親友のギクシャク解決編加筆)
50 :
あなた様
2021/08/09 15:09:32
ID:/Re30laops
その夜
雪歩たち3人がナチョスではなくタコスパーティをしていると、ドンドンドンと店の扉を叩く音がした。
3人は顔を見合わせる。ここに来れるのは資格のある者だけ。お客さん?
しかし基本的には一日、一組のはずだが……。
百合子「あ、あの、ひょっとしてチュパカブラなんじゃ……」
雪歩「師匠お手製の結界をどうこうできるチュパカブラなんていないと思う」
春香「どうする?これも縁。いなくなるのを待つのはあんまりじゃないかな」
雪歩「それもそうね。春香、見てきて」
春香「!?」
百合子「ふふっ、言いだしっぺの法則ですよ」
雪歩「念のため百合子も連れていっていいわよ。囮にはなるでしょ」
百合子「鬼畜!」
春香と百合子がおそるおそる店の出入り口までいって、扉に向かって声をかけると、くぐもってはいるが聞いたことのある声が返ってきた。
春香「え?【ID判定】さん/ちゃん/(呼び捨て)!?」
百合子(誰……?)
51 :
あなた様
2021/08/09 15:10:13
ID:/Re30laops
扉を開けると、息を切らして彼女は言う。
「雪歩さん/ちゃん/(呼び捨て)を呼んで!奴らが動き出したわ!」
百合子「や、奴ら!? ほ、ほほほんとにチュパカブラが」
春香「ううん、そうじゃないよ、百合子ちゃん」
パニックになりかけの百合子とは違い、春香は冷静であったがその表情には緊張感がある。
訪問者と春香は顔を見合わせ、頷き合った。
春香は何か心当たりがありそうだが……?
52 :
Pさん
2021/08/09 15:10:49
ID:/Re30laops
※【A】百合子が魔導書の力を解放するときの掛け声とは?
※【B】特製タコス(ナチョス)に用いる材料は? 1レス最大3つまで可 採用枠は最大で5 逆に少なければこちらで適当に足します
※【C】美奈子の悩みを解決するための対価 文中の「失う」にとらわれなくてもいいです
※【ID判定】訪問者 この直後のレス 登場済みキャラの場合、再判定処理
※物語の方針は二転三転するかも(予防線)
レスの有効期限は 8/10 17:59:59まで
ご協力お願いします!
53 :
おにいちゃん
2021/08/09 15:45:39
ID:er3ivkB3Xk
A:お願いだから開いてください!
B:鯖、ナス、味噌
C:あらゆる関節を曲げ伸ばすとよく鳴る
54 :
変態インザカントリー
2021/08/09 15:49:57
ID:mh7PowzCpQ
B 何かの肉(少なくとも牛豚鶏羊等一般的なものではない)、キャベツ、チリソース(オリジナルブレンド)
C 何故かこの店の存在を他人に話す気がなくなる
55 :
Pチャン
2021/08/09 16:51:00
ID:ycadqa5K0E
A開けゴマ!
B大根、白菜、春菊、豆腐、茄子
C今日から1週間、語尾が「ザマス」になるザマス
56 :
ボス
2021/08/10 09:07:00
ID:g6tAJHZbEI
A: ‘Gia Corm Fillippo Dia!’など、何処かで見たような呪文
いくつか繋げ合わせたりして、他の人に「適当なんじゃない?」と突っ込まれたりして
B:何故かあるミニリンゴ、ミニプルーン、胡椒の植木から生の実をもぎ取ってすりつぶす
C:記憶を一時的に失う(ベタなところで友達との思い出とか)
何かの拍子で記憶が蘇ると涙が止まらなくなる
57 :
プロデューサーくん
2021/08/10 12:24:50
ID:5jKd.SlkxU
Aウィンガーディアム・パトローナム!
58 :
Pサマ
2021/08/10 22:26:14
ID:RMhXCeYKZw
レスありがとうございます!
Recipe1 partB 加筆清書投下していきます
>>2
で「清書」は「展開が追いやすいようにまとめたもの」なんて言っていますが忘れてください!
59 :
Pサン
2021/08/10 22:26:33
ID:RMhXCeYKZw
Recipe1 partB
(前略)
雪歩にレシピの選出を頼まれた百合子はそれまで大切に胸元に抱えていた本を天にかざすように持ち直す。
百合子「百万の料理を知り、幾数億の味をもたらす魔導書よ―――」
本が百合子の手を離れ浮遊する。そして妖しげな光を発し始めた!
百合子「我が声に応え その力を示せ 契約のもと七尾百合子が命じる」
百合子「テクマクマヤコンテクマクマヤコンマハリクマハリタヤンバラヤンヤンヤン」
本がひとりでに開く!
百合子「私の願いを聞けぇええええええ!!」
頁がめくられていき、行ったり来たりと決して頁の尽きることのない魔導書が乙女の叫びに応じて求めるものを探し始めた
やがて十数枚の頁が本を離れて極小の竜巻に乗って浮遊し、そしてはじけた!
百合子「あわわわわわわわわ」
そのうちの一枚が百合子の顔に貼りつく。
百合子「んー、んー!」
春香「はいはい、今とってあげるから」
60 :
バカP
2021/08/10 22:26:53
ID:RMhXCeYKZw
(中略)
雪歩「どうやら材料には茄子と……」
春香「かこ?」
雪歩「ううん、ナス」
百合子「ナンス?」
雪歩「なすだよ。卵サイズの丸型から細長い大長、形や色は時と場所で様変わりするけれど、今回はこっちの世界で広く流通しているものでいいみたい」
百合子「あの、これって何のお肉を使うつもりですか?頁には、用いる肉によって効果が違うとありますが」
春香「よしっ、きた!これなんてどう?」
百合子「?? なんですか」
春香「カエルですよ、カエル!ゲコゲコ~♪」
百合子「えっ」
雪歩「グルヌイユってやつね。フランス語で食用の蛙を指す言葉。食べるのは専ら後ろ足の部分だけ」
61 :
Pサマ
2021/08/10 22:27:15
ID:RMhXCeYKZw
雪歩「味噌チリソースをベースにして、この際、百合子が大事に育てているミニリンゴをもぎとって、すりつぶしてつかうわね」
百合子「ああっ!ひ、ひどい!育て上げれば禁断の果実に成長するっていうふれこみの品種なのにぃ」
春香「どうせろくでもないって」
雪歩「ん……味は悪くないわね」
百合子「そ、そうですか。えへへ……」
― 客間 ―
雪歩「お待たせしました」キリッ
美奈子「これは……」
予想外の一品に動揺する美奈子。さっき出された冷たい麦茶をそのまま浴びせられたかのような衝撃。
変わった匂いがする
62 :
Pさん
2021/08/10 22:28:01
ID:RMhXCeYKZw
雪歩の作ったナチョスは美奈子の悩み、すなわち親友とのこじれてしまった関係を修復する効果があるとのことだった。
しかしその一方でその親友との思い出の一部を失ってしまうらしかった
「一時的なものよ」
雪歩はそう言ったが、帰路についた美奈子は不安でしかたがなかった。
家へと歩きながら、彼女との出会いからひとつずつ、できるだけ丹念に思い出をたどっていこうとする。
何を失っているかわからない。どうせならあの日のことを、熱中症で倒れた彼女のもとへと、駆けつけることができなかったどころか、その日のうちに知ることもなかった、薄情な自分の記憶を失くしてくれたらよかったのに……。
不思議な味のナチョスを食べて、妙に浮ついた心はしだいに沈んでいって、美奈子は例の路地裏に迷い込んだときと同様に、俯き気味となってしまった。
だからなのか、家の前で待つ親友の姿に気づいたのはすぐ近くになってからだった。
顔をあげた美奈子に、親友は驚く。
「美奈子……なんで泣いているんや」
「えっ――――」
視界が滲むのを抑えられない。親友との思い出の軌跡を辿れば辿るほどに自分の不甲斐なさに涙をこぼしていたのだ。
美奈子は簡単に店での出来事、料理について話す。
「し、信じられないと思うけど」
話し終わってからそう言い足し、こんなこといきなり話されても困るよねとますます暗い気持ちになった。
しかし、親友は「なるほどなぁ」となぜか得心したふうにうなずく。
「私な、美奈子にどうしても会いたくなったん。会って、話して、それで……また元どおりになれたらって」
「……!」
「そのへんてこ料理にかけられた魔法のせいか知らんけど、とにかく私―――」
63 :
魔法使いさん
2021/08/10 22:28:24
ID:RMhXCeYKZw
「美奈子がいないとダメみたいや」ギュッ
「あ……」
「なんかひとつ、ふたつ思い出消えたからって、そんなの2人で思い出せばいい。なんだったら、これからどんどん新しい思い出作っていけばいいんちゃうかなーって」
「うん……うん……!」
「あー、もう泣きすぎ!ほら、わっほーい!って。な?」
「わ、わっほーい……ふふふ」
「やっぱり美奈子は笑っていた方がかわええな」
「~~~っ。も、もうっ!」
春香「エンダァーーーーーイヤァーーーー!!」
64 :
P君
2021/08/10 22:28:42
ID:RMhXCeYKZw
百合子「ちょっ、春香さん、うるさい!ここまで尾行してきたのバレたらどうするんですか!」
春香「よかったよぉ……あんな料理でどうにかなって」
百合子「あんな料理!?」
??「ん……百合子さん、呼んだ…?」
百合子「あ、●奈ちゃん!? 呼んでないよ?! なんでいるの!?」
雪歩「やれやれ、一件落着ね。……帰ってタコスパーティにしましょう」
春香「わっほーい!」
65 :
Pしゃん
2021/08/10 22:29:03
ID:RMhXCeYKZw
雪歩たち3人がナチョスではなくタコスパーティをしていると、ドンドンドンタコスと店の扉を叩く音がした。
3人は顔を見合わせる。ここに来れるのは資格のある者だけ。お客さん?
しかし基本的には一日、一組のはずだが……。
雪歩の指示で春香と百合子がおそるおそる店の出入り口までいく。
戸に向かって声をかけると、くぐもってはいるが「うっうー」と声が返ってきた。
春香「え!? やよい!?」
戸を開けると、息を切らして少女が言う。
やよい「ゆ、雪歩さんを呼んでください! あ、あの人たちが動き出したそうなんれす!」
百合子「!? まさか名前を呼んではいけない例のあの人、闇の帝王」
やよい「ちがいます」
百合子「あっ、はい」
66 :
高木の所の飼い犬君
2021/08/10 22:29:49
ID:RMhXCeYKZw
春香「そっか、あの子たちが……。雪歩に知らせないとね」
いつになく真剣な顔つきで春香はそう呟くのだったが―――?
Recipe2につづく
67 :
バカP
2021/08/10 22:31:05
ID:RMhXCeYKZw
ご意見・ご想像募集中です
Recipe2下書きの投下は早ければ明日 遅くとも明後日の夜には
ご協力お願いします!
68 :
Pさん
2021/08/11 07:40:25
ID:7m2an7Czlc
Recipe2下書きを投下していきます!
69 :
5流プロデューサー
2021/08/11 07:40:48
ID:7m2an7Czlc
店主にして料理担当・雪歩
仕入れから給仕、清掃、会計、その他諸々なんでもやります!春香
百万のレシピが記されし魔導書と契約した妄想文学少女・百合子
タコスパーティに興じていた3人のもとを訪れたのは――――
― 雪の間 ―
雪歩「…………」
春香「それで、やよい、本当なの?その……あの子たちが動き始めたって」
やよい「うう……念押しされちゃうと、自信なくなっちゃいます。で、でも!たしかに聞いたんです」
70 :
我が下僕
2021/08/11 07:41:18
ID:7m2an7Czlc
雪歩「誰から?」
やよい「【ID判定①】さんです」
百合子「え、それってあの凄腕の情報屋のこと?風の噂で聞いたことありますよ」
春香「うん。腕がよすぎて、名前が知れ渡ってしまっているんだけどね。まぁ、偽名には違いないし、変えないということは何か思い入れがあるんだろうけど」
雪歩「やよいは取引したわけじゃないでしょう?……やよいには甘いからね、あの人」
やよい「えーっと、口を滑らせてしまった感じだったかなーって」
春香「もしくは演技かもね。やよいにその情報を持たせてここに導くための」
雪歩「………」
百合子「あ、あの!」
71 :
Pしゃん
2021/08/11 07:41:43
ID:7m2an7Czlc
春香「わっ、どうしたのいきなり大声あげて」
雪歩「お花摘み? はぁ……しかたないわね。さっさといってらっしゃい」
やよい「空気呼んでほしいかなーって」
百合子「ち、ちがいます! 私、その、知らないんです」
百合子「『HOTDOGS』っていったい何者なんですか」
72 :
ぷろでゅーしゃー
2021/08/11 07:41:57
ID:7m2an7Czlc
春香「あー……」
雪歩「そっか、百合子と出会ったのはあの後でだったわね。あの頃は百合子もまだ契約者でなかっただろうし」
春香「知る由もない、か」
百合子「意味深トークはいいですから、とにかく教えてください!わ、私だって今はおふたりの仲間なわけですし」
やよい「そうなんですかー?」
春香「うーん……」
雪歩「仲間って言われると、ニュアンスが……」
百合子「私の扱いひどくないですか!?」
雪歩「もう家族みたいなものでしょ?」
春香「そうそう」
百合子「えっ、あ、そういうことですか!! え、えへへ……なんだか照れちゃいますね」
雪歩(……ちょろいわね)
春香(まぁ、そこも可愛いんだけど)
やよい(そろそろ話を進めていいですかー?)
73 :
兄(C)
2021/08/11 07:42:17
ID:7m2an7Czlc
雪歩が百合子に『HOTDOGS』について説明する。
それは3人組の料理人を示す名前であるそうだ。『YUKIHO'Sキッチン』のように特定の場所に店を構えてはいないが、彼女たちが雪歩たちと同じくハザマであることには違いない。
百合子「ハザマ?」
春香「私たちのように異界とこちらに跨って活動する料理人を指す言葉だよ。異界の食材、というより物質全般の、こっちの世界にもたらす影響を考えるとハザマの活動を快く思わない人たちもいるけどね」
雪歩「実際、機関には目をつけられがちね」
百合子「機関!? な、なんですかその中二病ワード!詳しく訊いていいですか!?」
春香「詳しくは知らないよ?」
雪歩「掘り下げるのも面倒だからたぶん最後までそんな関わらないよ」
やよい「雪歩さんは、掘るのは得意だって思いますよ!」
74 :
ハニー
2021/08/11 07:42:45
ID:7m2an7Czlc
春香「で、『HOTDOGS』に話を戻すけど……」
HOTDOGS ハザマの美少女料理人グループ
3人のメンバーのうち2人については正体を雪歩たちは知っている。
1人は雪歩と春香の幼馴染であり、超人的な嗅覚を持つ少女・篠宮可憐
もう1人は可憐を『YUKIHO'Sキッチン』側から引き抜いた張本人である高坂海美
百合子「引き抜いた……?」
春香「そのへんの話は、また追々ね」
雪歩「………」
百合子「その熱犬たちが動きだしたって……ただのハザマの料理人とはちがうってことですか?」
春香「女子力ですよ!女子力!」
百合子「へ?女子力?」
雪歩がさらに説明する。
ここでいう女子力というのは、特定の異界料理によって主に乙女が得られる超常的な力のことだという。
百合子もそのことについては知っている。実際、これまでの『YUKIHO'Sキッチン』にきた客に対して、女子力UPメニューを振る舞ったこともあった。
春香「高濃度の女子力はオトメティックパワーに変換されるんだよ」
百合子「それはキネティックパワーと似たようなものと考えてもいいですか」
雪歩「中らずと雖も遠からずね」
やよい「すっごい力なんですー!建物の支柱とかブンブン振り回せるようにもなるんですよ」
百合子「ひぇええ」
75 :
Pさん
2021/08/11 07:43:06
ID:7m2an7Czlc
春香「『HOTDOGS』たちはオトメティックパワーを効率よく摂取し、しかもそれをなるべく負担なしに運用できるような料理を作り上げようとしているの」
百合子「いったいなんのために……」
春香「さぁ……世界征服?」
百合子「壮大!」
雪歩「力を求めることに小難しい理由なんていらないわ。自分たちの作る料理で超人を生み出すことができる、それを快楽だと感じるのじゃないかしら」
百合子「でも……危険、ですよね?」
春香「うん。実際、私たちの師匠は―――」
雪歩「春香。それ以上いけない」
百合子「……私たちは家族じゃなかったんですか?」
雪歩「ごめんね、百合子。今はまだ話せない。けれど、いつか必ず話すから」
やよい「まだ書き手が考えていないだけかなーって」
76 :
Pくん
2021/08/11 07:43:25
ID:7m2an7Czlc
百合子「まとめると……異界料理によって得られる高濃度の女子力、つまりオトメティックパワーは扱いが危険なもので、こちらと異界の均衡さえも脅かす存在になり得る。そしてそのOPを効率的に取り込む料理を作ろうとしているハザマが『HOTDOGS』……こ、これ、けっこうシリアスな展開なんじゃ…」
春香「落ち着いて百合子ちゃん。今すぐに彼女たちとの全面戦争編に突入するわけじゃないよ。居場所だってわからないし、止めるには情報が足りなさすぎるって」
雪歩「何はともあれ―――やよい、ありがとうね。今日はもう遅いから泊まっていきなさい。空き部屋はあるけど……客用の布団はきちんと綺麗にしていたかしら」
春香「んー、じゃあ、私といっしょに寝よっか」
やよい「えー」
春香「喜ぶところでしょ!!わた、春香さんと同衾できるんだよ?一生の思い出にしなよ!」
雪歩「やよい、【A】でいい?」
やよい「うっうー、わかりましたぁ!」
(以下、加筆予定)
77 :
プロデューサーはん
2021/08/11 07:43:38
ID:7m2an7Czlc
翌朝、春香がやよいを家まで送り届けに出発してから、百合子は厨房に向かう雪歩を引きとめる。
百合子「あの、白雪さん……その、」
雪歩「質問は1つだけ」
百合子「は、はい。じゃあ、【B】」
(以下、雪歩の返答加筆)
78 :
プロちゃん
2021/08/11 07:44:20
ID:7m2an7Czlc
昼過ぎ。3人で小さな中庭を上手に使って流しそうめんを堪能し、その片付けがちょうど終わった頃、誰かが店に近づく気配を3人は感じた。
雪歩「パンピーね」
百合子「お客様ですね!」
春香「大したもの、仕入れていないんだけどなー」
果たして店の前できょろきょろとしている、いかにも迷い込んできた少女/女性を春香が見つけた。
彼女の名前は【ID判定②】というらしい。
『HOTDOGS』のことは気になるが焦ってもしかたない。まずはいつもどおり運命によって訪れるお客様をもてなさなくては。
春香「『YUKIHO'Sキッチン』へようこそ!」
Recipe2 partBにつづく
79 :
プロデューサーくん
2021/08/11 07:45:37
ID:7m2an7Czlc
※【ID判定①】情報屋 今後どこかで一度は必ず劇中で直接面識を持つ人物 直後のレスで判定 登場済キャラおよび可憐・海美→再判定処理
※【A】やよいが誰と寝ることになるか 雪歩・百合子・春香のうち1人を選択してください 原則多数決
※【B】『HOTDOGS』の話を聞いた翌朝に百合子が雪歩にする質問1つ。核心部分の質問は誤魔化されるのは確実 べつに『HOTDOGS』に無関係でもかまいません
※【ID判定②】迷える乙女(2人目) このレスから二つ目のレスで判定 ①とかぶれば再判定処理
※【C】2人目の乙女が抱える悩みとは? ふわっとした感じでも詳細あってもいいです
※【D】partBで作る予定の料理
レスの有効期限は 8/12 06:59:59まで(延長の可能性あり)
何卒ご協力お願いします!
80 :
Pさぁん
2021/08/11 08:02:06
ID:UfZDEfHL/Q
A 雪歩
B よく潰れませんね、ここ
C なかなか営業の成果が上がらない
D フレンチトースト(とコーヒーのセット)
81 :
3流プロデューサー
2021/08/11 08:17:26
ID:mSrz58yb.E
A雪歩
B彼女達は何故熱犬・HOTDOGSを名乗っているんでしょう?
Cダイエットしたい
Dパンケーキ
82 :
Pちゃま
2021/08/11 09:16:54
ID:UfZDEfHL/Q
本筋とは全く関係ないけど百合子は毎話別のコスプレじみた服装をしてほしい
83 :
ご主人様
2021/08/11 18:14:50
ID:SKjUkgd3JM
A:春香(雪歩ばかりこき使うのはどうかなーって)
B:差し当たっての対応策(今度は春香を引き抜きにかかるのでは?)
(Aで雪歩が選ばれたら疲れた描写が欲しいです)
C:久しぶりに旧友と会えるのはいいけれど、昔交わした約束を守れそうにない(探し物を見つけられないとか)
D:中華点心セット(何処か和風寄り)
ところでこっちの雪歩も犬は苦手なのでしょうか?
84 :
プロちゃん
2021/08/11 21:20:55
ID:7m2an7Czlc
定期age
ID判定処理
・情報屋
>>80
UfZDEfHL/Q →U=永吉昴
・悩める乙女(2人目)
>>81
mSrz58yb.E→m=我那覇響
なぜか料理が得意な子が悩んでいますね 次はあの子かな?
レスはまだ募集中です!!
いただいたご意見・質問は本編で応えていけたらなと思います
85 :
Pサン
2021/08/12 00:21:03
ID:wywwGhiHjg
C堅苦しい性格を直したい
Dケバブ
86 :
プロデューサー
2021/08/12 07:02:43
ID:uoh2IMcE4s
レスありがとうございます!
Recipe2 partA 清書
投下していきます
87 :
我が友
2021/08/12 07:03:03
ID:uoh2IMcE4s
Recipe2 partA
乙女の悩みを対価をもって叶える料理店『YUKIHO'Sキッチン』
店主はこの世界と異界とを跨り活動する料理人・ハザマである雪歩
その幼馴染にして異界での仕入れから、給仕、清掃、会計その他諸々、なんでもこなす春香
2人との巡り合いは運命の悪戯なのか、八百万のレシピが記されし魔導書と契約した乙女・百合子
ある夜、タコスパーティに興じていた3人のもとを訪れたのは――――
88 :
ぷろでゅーさー
2021/08/12 07:03:17
ID:uoh2IMcE4s
― 雪の間 ―
雪歩「…………」
春香「それで、やよい、本当なの?その……可憐ちゃんたちに動きがあったって」
やよい「うう……念押しされちゃうと、自信なくなっちゃいます。で、でも!たしかに聞いたんです」
雪歩「誰から?」
やよい「プレアデスさんです」
百合子「!! えっ、プレアデスってあの凄腕の情報屋の?風の噂で聞いたことあります!永吉昴が妹なのずるいだろう大学を主席で卒業後、今や大企業になったと言っても差支えないあの永吉昴が妹なのずるいだろう(株)の創立にも裏方として携わったっていう……」
春香「2022年の市場区分再編成もプレアデスが一枚噛んでいる、むしろ昴ちゃんになら噛まれてもいいって噂も耳にしたよ」
雪歩「けれど、どうしてやよいに情報を?インサイダー取引?」
やよい「えーっと、そのシュワシュワしていそうな取引のことは知りませんけど、プレアデスさんと話をしていたらポロッと口を滑らせたみたいに教えてくれたんです」
雪歩「へぇ、あの人、やよいには甘いからね」
89 :
プロデューサーさん
2021/08/12 07:03:33
ID:uoh2IMcE4s
『HOTDOGS』について知らない百合子のために雪歩が説明する。
『YUKIHO'Sキッチン』のような店舗を持たずに活動している3人組のハザマであり、そのうちの1人は雪歩と春香の幼馴染である篠宮可憐であるそうだ。
そしてその可憐を雪歩たちのもとから去る理由を作ったのが、メンバーの1人、高坂海美であるという。
最後の1人についてはその名前さえ知らないというのが現状であった。
しかし、彼女たちの狙い、少なくとも計画の一部を雪歩たちは知っていた。
それは特定の食材を用いた異界料理によって得られるオトメティックパワーの効率的な運用、ひいては何らかの目的の達成のための武力(おとめぢから)の調達であるらしい。
雪歩と春香、そして可憐の師匠はこのオトメティックパワーによって何か悪い事態に巻き込まれてしまったようだが、雪歩たちは百合子にまだそのことを話すべきではないと判断している。
(中略)
春香「んー、じゃあ、私といっしょに寝よっか」
やよい「えー」
春香「喜ぶところでしょ!!わた、春香さんと同衾できるんだよ?一生の思い出にしなよ!」
雪歩「やよい、私といっしょでいい?」
やよい「うっうー、わかりましたぁ!」
春香「はぁ、しかたないなぁ。ま、雪歩、ちっちゃいから2人でちょうどいいか」
雪歩「あ゛?」
春香「なんでもないです」
百合子(言うほど春香さんと白雪さん、体格差ないよね)
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