【安価】全13話 765プロ劇場ドラマ制作スレ
1 : 5流プロデューサー   2021/05/23 15:08:43 ID:Ny8OOBMAcI
試しに立ててみた(立っていたらいいけど)

【概要?】
公序良俗を遵守
(初日を除いて)1日1話更新を目標に
各話あらすじ 390字程度 
そのうち安価4〜5箇所程度
スレの過疎・あまりに混沌とした展開等による打ち切りあり
原則連投禁止→安価無効 直下あるいは再安価

今日(5/23)中についたレスのなかからドラマのタイトルをスレ主の独断で決定
ただし、(あくまで安価が主体としたいので)出演者や展開を明示するようなタイトルは採用しない方針
209 : Pちゃま   2021/06/04 23:12:22 ID:ktbnvYeRLs
持ち出した地球儀はキーアイテムになりそうね
210 : おやぶん   2021/06/05 06:34:48 ID:v2EBkq7eEA
地味に桃子方面の問題解決もしなきゃいけないんだよなあ...クライマックス前に桃子の背中を押す形の会話が入ってくるとか?
211 : プロちゃん   2021/06/06 03:24:45 ID:.dtbdR8x7M
第11話 aパート
琴葉「そんな……! それじゃぁ、もう地球は―――?」

歌織「いや、まだよ。まだこっちに向かっているという情報はないわ」

琴葉「あの、いったいどこからの情報なんですか?」

歌織「首都宇宙開発公団よ」

琴葉「え?それって、たしか前にESを送ろうとしていた?」

歌織「そう。私の古い友達がそこに所属しているの。それなりの役職でね。もうけっこうな年にはなるけど」

琴葉「な、なるほど。私たちはどうすれば?」

歌織「確認しておくけれど、アンカーがこの星に矛先を向けたら、それで終わり。止める術なんてないわ。だからそれより先に―――」

琴葉「先に……?」

歌織「スターエレメンツ、その最後の1ピースを揃えなければならないわ」
212 : プロデューサー様   2021/06/06 03:25:06 ID:.dtbdR8x7M
歌織の計画をざっくり説明するとこうなる。琴葉の有するトライスタービジョン(以下、TSV)、すなわち理想の未来への軌跡を見出す能力によって、クリア・スカイのアンカーを半永久的に回避する方法を突き止める。
しかしただの美少女に過ぎない琴葉ひとりの力では今回のような宇宙規模での因果のなかからルートを見つけることは通常できない。
そこで可奈―――彼女の正体は【A】であり、地球人の言葉でいえば霊体だとか付喪神だとか、その種の超常的存在であるらしかった―――の持つ力、バースオブカラー(以下、BoC)で、琴葉のTSVの力を765倍にまで増幅させる。

「!? そ、そんなことができるんですか? でもそんなにこの力が膨れ上がって、私はそれに……」
「耐えられないよ、確実に絶命する。そんなとてつもない力を行使しようとしたら一分だって心身が持たないだろうね。」
「えええっ!!?!?」
「そうなると、アンカー阻止の解法を見出しただけで、それを私たちに伝えることもできないわけだから、何の意味もないわ」
「じゃあ、いったい……」
「もう一つ、ううん、もう一人、必要よ」
「もう一人……?」
「そう。スターエレメンツとしてもう一人が。その子がいれば琴葉の心身を保ったままで、TSVを行使できるはず。今、その子は【B】にいることが、先日、協力者の捜索で判明したわ。まだ本人にはコンタクトできていないみたいだけれどね」
「なんでそんなところに……」
「何はともあれ、急がないとね。準備があるから……明後日の朝、ここを発つわよ。大切な人には挨拶しておきなさい。もしかしたら……いえ、悲観的なことは言わないほうがいいわね」

急展開についていけない琴葉。ただ、大切な人と言われて思い浮かんだのは親友の顔だった―――。
213 : プロデューサーさん   2021/06/06 03:25:19 ID:.dtbdR8x7M
第11話 bパート
そして迎えた翌日。琴葉はまず実家にいる家族に電話をすることにした。
電話口に出たのは、南米にチュパカブラの生態調査をしに行っているはずの姉【C】で、どうやら一時帰国しているらしかった。

「ねぇ、琴葉。何か隠していない?」

互いの近況報告を含む雑談に興じたあと、琴葉に【C】はそう言った。琴葉は大学生活について下手な嘘をついたわけではない。
友達が思うようにできてはいないけれど、それなりに楽しんでいることを伝えたまでだ。
空猫喫茶店、宇宙人、天才少女……この短い間に、いろいろあったな、なんて琴葉はしみじみ感じていたところだった。
昔から不思議と勘の鋭い姉だ。もしかしたら何か察したのかな―――。

「すべて終わったら、お姉ちゃんには話してあげる。……チュパカブラよりも面白いかも」
「へぇ……そっか。期待しているわ」
「元気でね」
「琴葉こそ」
214 : Pサン   2021/06/06 03:25:35 ID:.dtbdR8x7M
琴葉が育に連絡をとると、ちょうど今日は桃子と約束があってこちらの町に来る予定とのことだった。
私、誘われていないんだけど……と琴葉が恨めしく言うと、どうせ暇しているだろうから部屋に寄るつもりではいたと育はけろりと返した。
琴葉が語調を整えて、「話したいことがあるの」と切り出すと「わかったよ。桃子ちゃんも一緒でいいの?」と訊いてきたので、少し迷いはしたが、この際、桃子にも話しておくことにする琴葉だった。

どこまで話したらいいものか―――そんな躊躇いは、対面した育の「ぜんぶ話してよね」という言葉で振り払うことになった。
場所は空猫喫茶店。昼間であるためか、可奈はいない。なんだったら美也も夜行性なのか、それとも副業に忙しいのか一度顔を見せたきり、店の奥に引っ込んだ。
「本日貸し切り」と看板をかけてくれている。そんなことしなくても客なんて来ないとは言うまい。

「わかった、ぜんぶ話すね。……信じてくれるか、わからないけれど」

1時間後。
これまでの経緯と明日出掛けることを話し終えた琴葉。沈黙はほんの一瞬で、桃子が「琴葉さん」と眉を吊り上げ、口にする。

「それ、騙されているよ。そんなのあり得ないって」

きっぱりと桃子は言った。
215 : Pさぁん   2021/06/06 03:25:48 ID:.dtbdR8x7M
歌織さんが宇宙人? たしかにあの人、おかしなところがあるし、全然年をとらない風ではあるけれど……。クリア・スカイなんて、そんな規格外の生命体なんて、桃子、聞いたことない。そのうちチューンイベントで『思い出はクリアスカイ』も実装されるんだろうけれど……」

桃子はまるっきり琴葉の話を、この星の危機を信じてくれなかった。無理もない、と琴葉は思う。
私が逆の立場だったら、頭のおかしくなった友人、変な人に騙されている友人をどうにかしないとって、きっとそう考えるはずだから。

「それと………琴葉さんの、そのアーツビジョンって能力だけど…」
「トライスタービジョンだよ、桃子ちゃん。声優事務所は何も関係ないよ」
「えっと、本当にそんな力、あるの…?」

琴葉のことだからなのか、さすがに桃子も真向から否定できずに、怖々と訊ねてきた。

「うん。すぐに証拠を見せる、ってわけにはいかないけれど。でも……あるよ」
「たとえば、それってどういうことに使ったことがあるの?」
「それは――――たとえば、【D】」
もうかなり昔のことになるけどね、と琴葉は苦笑した。
216 : ダーリン   2021/06/06 03:26:05 ID:.dtbdR8x7M
桃子の表情は暗い。琴葉の話を信じていいものか、悩んでいる。あるいはどう説得するか考えているのかもしれない。
琴葉は先ほどから黙っている育を見る。その表情はいつもどおりだった。

「ねぇ、育さんはどう思うの?」

琴葉が声をかけるより先に、桃子が助けを求めるようにそう訊いた。

「うーん……そうだなぁ。なんかわかる気がする」
「えっ?」

ふわっとした育の返答に惑う桃子、いや、琴葉もそれには面食らっていた。
217 : プロデューサークン   2021/06/06 03:26:19 ID:.dtbdR8x7M
琴葉「育――――それは私を、信じてくれるってこと?」

育「当たり前でしょ? 私にまた隠し事をしていたのは、ちょっとムッとしたかな」

琴葉「それは……」

育「なんて、冗談だよ。誰にだって言えないことがあるよね。秘密にしておきたいことも、できれば触れないままでいたいものも」

琴葉「…………」

育「何はともあれ、私の目は間違っていなかったみたい」

琴葉「え?」

育「琴ちゃんは可愛いだけじゃなくて、特別だって、ずっと思っていたから。何か大きなことを成し遂げるんじゃないかって」

琴葉「えっ、そんな、えっと……」

育「信じるよ、琴ちゃんのこと。だからこそ―――」
218 : そなた   2021/06/06 03:26:37 ID:.dtbdR8x7M
育が琴葉の手をとり、包むようにぎゅっと握る。
「無茶はしないで。ちゃんと帰って来るって約束してよね。琴ちゃんの声すら聞けなくなるなんて、寂しすぎるから」
「育………」
どこまでも強気で、でもその潤んだ瞳に琴葉は決意を固めた。ぜったい、帰ってくるんだ。
そうしてしばらく育と琴葉が見つめ合っていると、
「もうっ、いつまで2人の世界に浸っているの?」
と桃子が呆れた調子で言ってくる。

「桃子はやっぱり信じられないよ。この目で見て、実際に確かめるまでは。だから、琴葉さん、桃子も連れていって!」
「へ?」
「えー!! 桃子ちゃん、ずるいよ! 私だって、できることならついていきたいのにー!!」
「いや、あの、えっと……ダ、ダメ!危険だから、育や桃子ちゃんの身に何かあったら……」
「そうだよ、桃子ちゃんは、えっと、天才だけど普通っていうか、その、」
「メタル桃子だけど」
「「!?」」

それから押し問答がはじまって……終わる頃には夕方になっていた。
219 : Pサマ   2021/06/06 03:26:51 ID:.dtbdR8x7M
第11話 cパート
結局、連れてはいけないということに決まって、琴葉たちは空猫喫茶店を出る。
別れ際に、桃子は言う。
「ちゃんと証拠を持ち帰ってくるか、カメラで撮ってくるかしてきてよね。じゃないと、許さないんだから」
向こうで何をどうするのか歌織からまだ一切聞いていない琴葉は返事に困ってしまう。
そんな琴葉に、桃子はあたりを見まわして(育以外に)人気がないのを確認すると、そっと抱き着いてきた。
「桃子ちゃん?」
「無事に帰ってきてよね。そうしないと、琴葉さんが受講している、あのやたら試験が難しいことで有名な演劇史の試験の過去問あげないから」
「ふふっ……それは困っちゃうね」
「でしょ?」
「うん。わかった。約束ね」
琴葉は桃子の小さな体を抱きしめかえしながら、そう言った。育さんは空気を読んで何も言わなかった。
220 : 夏の変態大三角形   2021/06/06 03:27:09 ID:.dtbdR8x7M
第11話 dパート
そしてついに出発当日。夜が明けてすぐ朝靄の中、琴葉は部屋を出る。
歌織との集合場所は空猫喫茶店前。琴葉が到着すると、まだ歌織は着いていなかった。可奈もいない。
が、まるで琴葉を待っていたかのようなタイミングで店の出入り口が開いて、美也が欠伸を噛み殺しながら姿を見せる。

「琴葉ちゃん、これをどうぞ~」

しじみ汁かなと思った琴葉に、美也が渡してくれたのは【E】だった。

「これは?」
「お守りですよ~。私なりに探してみまして、これがいいと思ったので~」
「美也さん……ありがとうございます」
「帰ってきたら、一局、指しましょうね~、むふふ」
「六枚落ちからお願いします」
221 : ご主人様   2021/06/06 03:27:34 ID:.dtbdR8x7M
やがてあたりが明るくなる頃、可奈が姿を見せ、そして時間ちょうどに歌織がどこからともなく現れた。

「琴葉、お手洗いは大丈夫かい? あとから、トイレはドコドコ…?ってなっても知らないわよ」
「もっと他に言うことないんですか?」
「それじゃぁ………この戦いが終わったら、あなたに伝えたいこととお願いがあるの。聞いてくれる?」
「……前向きに考えておきます」

そして美也に見送られて3人(?)は出発する―――――スターエレメンツの最後の1ピースである少女・ミライチャのもとへ……。
222 : 箱デューサー   2021/06/06 03:28:23 ID:.dtbdR8x7M
※【A】可奈の正体 ふわっとした感じでかまいません
※【B】ミライチャ(演:春日未来)の現在の居場所 日帰りできないところでお願いします。でもさすがに無理があるのは採用しないです。冥府とか、そういうの。
※【C】唐突に登場させた琴葉の姉 再登場ないんじゃないかな 実年齢は考慮しなくていいです
※【D】琴葉の過去に関係するわけですが、そんなに詳しく書かなくてもよいかと。TSVの能力、よくわかっていないのはスレ主もいっしょです。
※【E】任せます♡ べつに胸ポケットに入らないものでもいいです。
※メタル桃子は伏線ではないです。

レスの有効期限は 6/7 07:59:59まで
223 :   2021/06/06 06:32:49 ID:pEbi618R.s
A:鳥人属の長(可奈自身は人語を解するカナリアだったが次第に人間らしくなってきた今でも気合を入れれば翼を広げて飛べるらしい)
B:南極基地
C:朋花
E:銀将
224 : プロデューサー君   2021/06/06 07:03:37 ID:XYvd4/Ss9Y
Aバルタン星人みたいなセミ型のエイリアン
B福岡県
Cのり子
225 : Pチャン   2021/06/06 12:56:54 ID:zOl3Kl2N7.
B シベリア
C うみみ
226 : 高木の所の飼い犬君   2021/06/06 19:08:27 ID:a6YhDyH1nc
D.子供の頃に巨大迷路で遊んだ時、一度も迷わずにゴールしてしまった

正直こんな事しか思い浮かばなかった…
227 : 下僕   2021/06/06 19:46:30 ID:OIy9.HrlYQ
A:人造人間(誰がベースかは不明)
B:エネルギー源となる良質な生クリームを求めてイタリアへ
C:海美
D:>>226に一票、何度もあった事にしてもいいかも
E:おもちゃのティアラ(カチューシャとの併用可能)
228 : 下僕   2021/06/07 12:50:44 ID:hIqzDZTx6A
レスありがとうございます!!
以下にまとめていきます
229 : ダーリン   2021/06/07 12:51:01 ID:hIqzDZTx6A
第11話 aパート
歌織の計画をざっくり説明するとこうなる。予言を授かって以来、歌織が探し続けていた存在・スターエレメンツである琴葉が鍵。
琴葉の有するTSV、すなわち理想の未来への軌跡を見出す能力によって、クリア・スカイのアンカーを半永久的に回避する方法を突き止める。
しかしただの美少女に過ぎない琴葉ひとりの力では今回のような宇宙規模での因果のなかからルートを見つけることは通常できない。
そこでスターエレメンツ(計画)のもう一つのピースである可奈の持つ能力BoCによってTSVの効果を765倍まで増幅させる必要があるのだった。
可奈の正体は宇宙金糸雀の残滓であった。宇宙金糸雀はいわゆる鳥人型の宇宙人であったが、その母星は100万年も昔に、歌織の故郷と同様、クリア・スカイによって消滅させられた。
宇宙金糸雀は星屑となって意識なく宇宙空間を彷徨い続け、わずか14年前についに、ここ地球に漂着した。
が、幸か不幸か宇宙金糸雀としての実体を再構築することは叶わず、空猫喫茶店に飾ってあったフルートに憑依する形となった。
青森出身のお嬢様にでも貰ったのかもしれないし、何の関係もないのかもしれない。
230 : Pたん   2021/06/07 12:52:05 ID:hIqzDZTx6A
琴葉「!? そ、そんなことができるんですか? でもそんなにこの力が膨れ上がって、私はそれに……」
歌織「耐えられないよ、確実に絶命する。そんなとてつもない力を行使しようとしたら一分だって心身が持たないだろうね。」
琴葉「えええっ!!?!?」
歌織「そうなると、アンカー阻止の解法を見出しただけで、それを私たちに伝えることもできないわけだから、何の意味もないわ」
琴葉「じゃあ、いったい……」
歌織「もう一つ、ううん、もう一人、必要よ」
琴葉「もう一人……?」
歌織「そう。スターエレメンツとしてもう一人が。その子がいれば琴葉の心身を保ったままで、TSVを行使できるはず。今、その子はイタリアにいることが、先日、協力者の捜索で判明したわ。まだ本人にはコンタクトできていないみたいだけれどね」
琴葉「なんでそんなところに……」
歌織「本場のマリトッツォ・コン・ラ・パンナを食べに行ったみたいね。先月までは福岡でバンドを組んだり、シベリアンハスキーと戯れていたことが報告されているわ」
琴葉「えぇ……?」
歌織「何はともあれ、急がないとね。もともと南極基地を住処としている子だから、そこに戻られると困るわ。私、寒さに弱いのよ」
琴葉「あの、情報量が多すぎて何が何やら」
歌織「明後日の朝、ここを発つわよ。大切な人には挨拶しておきなさい。もしかしたら……いえ、悲観的なことは言わないほうがいいわね」
231 : ダーリン   2021/06/07 12:52:20 ID:hIqzDZTx6A
第11話 bパート
そして迎えた翌日。琴葉はまず実家にいる家族に電話をすることにした。
電話口に出たのは、南米にチュパカブラのためにバレエを公演しに行っているはずの姉・海美で、どうやら一時帰国しているらしかった。

「ねぇ、琴葉。何か隠していない? もしかして柔軟体操怠っているんじゃないの?ちゃんと180度開脚できる?」

互いの近況報告を含む雑談に興じたあと、琴葉に海美はそう言った。琴葉は大学生活について下手な嘘をついたわけではない。
友達が思うようにできてはいないけれど、それなりに楽しんでいることを伝えたまでだ。
空猫喫茶店、宇宙人、天才少女……この短い間に、いろいろあったな、なんて琴葉はしみじみ感じていたところだった。
昔から不思議と勘の鋭い姉だ。ライブをフルコンで終えたときのモーションがかわいすぎる。
もしかしたら何か察したのかな―――。

「すべて終わったら、お姉ちゃんには話してあげる。……チュパカブラよりも面白いかも」
「へぇ……そっか。グラン・フェッテしながら期待しているわ」
「元気でね」
「琴葉こそ」
232 : おやぶん   2021/06/07 12:52:31 ID:hIqzDZTx6A
(中略)
琴葉のことだからなのか、さすがに桃子も真向から否定できずに、怖々と訊ねてきた。

「うん。すぐに証拠を見せる、ってわけにはいかないけれど。でも……あるよ」
「たとえば、それってどういうことに使ったことがあるの?」
「それは――――たとえば子供の頃に巨大迷路で遊んだ時、一度も迷わずにゴールしてしまったことがあったわ」
もうかなり昔のことになるけどね、と琴葉は苦笑した。
「ねぇ、それって右手の法則とかいう、あれじゃなくて?」
「ちがうわ。あれは最短経路ってわけではないし。それに……」
「それに?」
「当時の私はなぜか『その日に偶然、施錠し忘れていたドアから係員専用通路に躊躇いなく入って、誰よりも早くにゴール地点に着く』ってことをしたの。4歳のときよ」
「…………」
「あと、世界樹の迷宮とかエルミナージュシリーズみたいな、ウィザードリィに代表される3DダンジョンRPGは得意だし。アイマスで不思議のダンジョンシリーズ出してくれたら、私、きっとすぐに攻略してしまうわ」
「それは関係ないと思う」
233 : ぷろでゅーさー   2021/06/07 12:52:47 ID:hIqzDZTx6A
(中略)
育が琴葉の手をとり、包むようにぎゅっと握る。
「無茶はしないで。ちゃんと帰って来るって約束してよね。琴ちゃんの声すら聞けなくなるなんて、寂しすぎるから」
「育………」
どこまでも強気で、でもその潤んだ瞳に琴葉は決意を固めた。ぜったい、帰ってくるんだ。
そうしてしばらく育と琴葉が見つめ合っていると、
「もうっ、いつまで2人の世界に浸っているの?」
と桃子が呆れた調子で言ってくる。

「桃子はやっぱり信じられないよ。この目で見て、実際に確かめるまでは。だから、琴葉さん、桃子も連れていって!」
「へ?」
「えー!! 桃子ちゃん、ずるいよ! 私だって、できることならついていきたいのにー!!」
「いや、あの、えっと……ダ、ダメ!危険だから、育や桃子ちゃんの身に何かあったら……」
「そうだよ、桃子ちゃんは、えっと、天才だけど普通っていうか、その、」
「メタル桃子だけど」
「「!?」」

それから押し問答がはじまって……終わる頃には夕方になっていた。
234 : お兄ちゃん   2021/06/07 12:53:05 ID:hIqzDZTx6A
結局、連れてはいけないということに決まって、琴葉たちは空猫喫茶店を出る。
別れ際に、桃子は言う。
「ちゃんと証拠を持ち帰ってくるか、カメラで撮ってくるかしてきてよね。じゃないと、許さないんだから」
向こうで何をどうするのか歌織からまだ一切聞いていない琴葉は返事に困ってしまう。
そんな琴葉に、桃子はあたりを見まわして(育以外に)人気がないのを確認すると、そっと抱き着いてきた。
「桃子ちゃん?」
「無事に帰ってきてよね。そうしないと、琴葉さんが受講している、あのやたら試験が難しいことで有名な演劇史の試験の過去問あげないから」
「ふふっ……それは困っちゃうね」
「でしょ?」
「うん。わかった。約束ね」
琴葉は桃子の小さな体を抱きしめかえしながら、そう言った。育さんは空気を読んで何も言わなかった。
235 : あなた様   2021/06/07 12:53:42 ID:hIqzDZTx6A
第11話 cパート
そしてついに出発当日。夜が明けてすぐ朝靄の中、琴葉は部屋を出る。
歌織との集合場所は空猫喫茶店前。琴葉が到着すると、まだ歌織は着いていなかった。可奈もいない。
が、まるで琴葉を待っていたかのようなタイミングで店の出入り口が開いて、美也が欠伸を噛み殺しながら姿を見せる。

「では、可奈ちゃんをよろしくお願いします~。うちの看板横笛なので必ず返してくださいね~」
美也がフルートを琴葉に託す。可奈はまだ「眠っている」らしかった。

「それとこちらもどうぞ~」
しじみ汁かなと思った琴葉に、美也が渡してくれたのは銀将だった。
「これは?」
「お守りですよ~。私なりに探してみまして、これがいいと思ったので~。私だと思って連れていってください~」
「美也さん……ありがとうございます」
琴葉は礼を言って胸ポケットにしまう。オリハルコン製なので頼もしい。
「帰ってきたら、一局、指しましょうね~、むふふ」
「六枚落ちからお願いします」
236 : レジェンド変態   2021/06/07 12:53:54 ID:hIqzDZTx6A
時間ちょうどに歌織がどこからともなく現れた。

「琴葉、カエルってだいじだよ(Go home) カエルっていうのは(Go home)いちばんあったかいトコあるってことなんだ!」
「帰りたいな!」
「うん、約束だ。それはそうと、この戦いが終わったら、お願いがあるの。聞いてくれる?」
「聞くだけならいくらでも」

そして美也に見送られて3人(?)はイタリアへと出発する。パスポートはない。
いざ、スターエレメンツの最後の1ピースである少女・ミライチャのもとへ……!
237 : Pさぁん   2021/06/07 12:56:55 ID:hIqzDZTx6A
第12話のあらすじは明朝に投稿予定
衝撃の最後を見逃すな!

ちなみに最終話である第13話については、安価ももちろん出しますが、あらすじ段階では締めずに、清書で最後の最後は書きたいなーって。
今のうちからいくつかオチは考えています
238 : そこの人   2021/06/07 15:16:58 ID:PQBBuNOPhk
アンカーが実は2つ降下してくるとかあるかな
1つだけじゃ対策も簡単だからそれをさせないように
239 : ご主人様   2021/06/08 07:46:27 ID:u/wAc2hZkU
第12話(前編) aパート
琴葉が歌織にイタリア行きの便のチケットはとってくれてあるのか確認すると「ないわよ、そんなの」と歌織は返した。
では、どうやってイタリアまで行くのかと琴葉は不思議がりながら、歌織の後に続いて早朝の町を歩いていくのだった。
「ここでちょっと待っていて」と着いたのはマンションのような建物。というより、マンション以外の何物でもない。そう、ビッグバンズコーポだ。うん?それじゃ、コーポか。
名前のインパクトとは裏腹に外見は地味である。10階建てぐらいかな。
しばらく待っていると歌織が誰かを連れてやってきた。

【A】「ほぉ、君が命知らずのお嬢さんか」
琴葉「はい?」
【A】「歌織、たった今、決まったぞ。ラスト・アクトレス号なんてどうだ?」
歌織「まぁ、素晴らしいですわ」

棒読み口調の歌織はともかく、事態が呑み込めない琴葉。手に持った可奈(フルート)をぎゅっと抱きしめて「あの、いったいどういうことなんですか?」と訊ねる。
【A】が話したことには、なんとぉ!地道に自主製作していた飛行船に乗って、イタリアまでひとっ飛びだそうだ。
ラスト・アクトレス号―――それが今まさにつけられた飛行船の名前らしかった。
コーポの地下に安置されたラスト・アクトレス号の形状は【B】だった。なぜ……?
240 : お兄ちゃん   2021/06/08 07:46:46 ID:u/wAc2hZkU
「琴葉、ベルトは締めた? かつては光速の貴婦人と言われた私もこの子を運転するのは初めてだから、どうなるかわからないわ」
不安しかない琴葉だったが、文字どおり乗り掛かった舟だ。後には退けまい。
「発車オーライ!胸にドキドキが響けば 心拍音チューニング 出発ですっ!」
「ですっ♪」
ええい、ままよと琴葉はただ無事を祈るのだった。

39分後――――
歌織「もうすぐつくわよ」
琴葉「39トレインより、ずっとはやい!! ええと、イタリアのどのあたりにいるんですか? そのミライチャっていう方は」
歌織「カプリ島よ」
琴葉「カプリ島?」
歌織「知らない?青の洞窟で有名な」
琴葉「青の洞窟……日清フーズさんが展開している本格イタリアンを銘打ったパスタソースシリーズのことですか?」
歌織「!! しまったわ!!」
琴葉「え?」
歌織「エンジントラブルよ! このままじゃ、墜落しちゃう!」
琴葉「ええっーーーー!!??!!?!?」
歌織「【C】よ、琴葉、【C】するのよ!!」
琴葉「!?」
241 : 魔法使いさん   2021/06/08 07:47:00 ID:u/wAc2hZkU
第12話(前編) bパート
ラスト・アクトレス号は大破したものの、なんとか無事に脱出できたふたり(と可奈)。
人が集まってくる前に、早足でその場を去る。
「ついてきて」
歌織がどこから出したのか、ダウジングロッドめいたものを持って言う。よくよく見ればパスタ(乾麺)だった。

そうしてふたりはビーチにて、遊んでいるミライチャについに出会うのだった……!

「ふう、スッキリ!海水のベトベトも砂のザラザラも、ぜーんぶキレイになりました♪ ツルツルでーす♪」
シャワーを浴び終えたミライチャが琴葉に言う。それから琴葉にもシャワーを使うのを促すが、その扇情的な態度に琴葉はドギマギしてしまう。
すると――――
【D】「それ以上、ミライチャをふしだらな目つきで見ることは私が許しません!」
【E】「ミライチャ、メッチャスキ!」
琴葉「あ、あなたたちは……!?」
ミライチャのボディガードたちはミライチャに負けず劣らずの美少女だった。
歌織「へぇ……未来ちゃ保護機構は崩壊したと聞いていたけれど、たいしたものね」
琴葉「えぇ……?」
242 : Pくん   2021/06/08 07:47:14 ID:u/wAc2hZkU
ミライチャ「ふんふん、なるほど! 私の力が必要ってことですね!」
歌織「ええ、協力をお願いできるかしら?」
【D】「待ってください、ミライチャはビーチで遊び疲れているので今日は無理です!」
【E】「明日は明日でミラノでお買い物いかないとなんで、困るよー」
琴葉「人類がどうなってもいいんですか!!」
可奈「ふぁ~、よく寝た。はれ!? ここはどこ!?」
ミライチャ「みんな、落ち着いて。【D】、【E】。よく聞いて。私がこれまで世界を廻ってきた理由、それはきっとここにいる琴葉ちゃんと可奈に会うためだったの!」
【D】・【E】「な、なんだってーー!!」
歌織「私から詳しく話すわ。ただ……その説明をする前に今の銀河の状況を理解する必要があるわ、少し長くなるわよ」
243 :   2021/06/08 07:47:29 ID:u/wAc2hZkU
第12話(前編) cパート
そして迎えたカプリ島の夜
6人は星のよく見える丘へとやってきていた。

星降る夜空を見上げる琴葉に、前から可奈が、後ろからミライチャが抱き着いて、これでもかと抱きしめる。
3人の力をひとつにするべく、本来ならば時間をかけて心身を重ねるのが最も効果的ではあるが、そうしている時間の猶予はないと判断したため、このような方法をとるしかなかったのだった。

歌織「さぁ、琴葉、呪文を唱えるのよ!」
琴葉「!? そんなの知りませんよ!?(いろいろあたって、変な気分に///)」
歌織「思い浮かんだとおりに、心が命じるままに、叫ぶの!」
【D】「私はいったい、何を見せられているの……?」
【E】「zzz……むにゃむにゃ」

琴葉「【F】ーーーーーっ!!!!」

そのとき不思議なことが起こった。  
後編へつづく……
244 : 我が下僕   2021/06/08 07:49:20 ID:u/wAc2hZkU
※【A】ビッグバンズコーポ!!!の住人にして、発明家 口調はまとめるときに合わせます
※【B】ラスト・アクトレス号の形状
※【C】エンジントラブルしたラスト・アクトレス号から無事に脱出する方法とは……!?
※【D】・【E】 ミライチャの友達兼ボディガードのふたり
※【F】スターエレメンツ、発動の呪文 思いつくままに
※安価が多くなったので前編・後編に分けることにしました。実質14話構成に……?いや、でも話によって字数が違うのは今更なので。

レスの有効期限は6/9 01:59:59
清書は早ければ6/9の朝に 後編のあらすじ(下書き)は早ければ6/9の夕方に投下予定
245 : おやぶん   2021/06/08 10:19:09 ID:mL9PPTy3xc
Bソフトクリームのコーンから上の形状
C気力を集中して目的地へテレポート
D静香
E志保
F確かな旋律でブルーシンフォニー!
246 : Pはん   2021/06/08 11:53:58 ID:RhLvufWPxY
A ロコ
D 静香
E 翼
247 : der変態   2021/06/08 17:51:09 ID:40MCgSAVQQ
B:ドロ●ボー一味みたいなチャリ
F:生クリームチョコミントパンケーキ!!!
248 : Pちゃま   2021/06/08 18:20:34 ID:OckYZkPNkw
B:建物が巨大な大砲になって最上階を撃ち出す
C:琴葉と歌織の力が危機に際して融合、巨大な剣「デストレイピア」を作り出す!(命名:歌織)
D:瑞希
E:百合子
F:>>245+>>247+「私達で目覚めよう!」
249 : ぷろでゅーさー   2021/06/09 03:32:00 ID:M0o2LPTrEQ
レスありがとうございます!
以下にまとめていきます
250 : あなた様   2021/06/09 03:32:16 ID:M0o2LPTrEQ
第12話(前編) aパート
琴葉が歌織にイタリア行きの便のチケットはとってくれてあるのか確認すると「ないわよ、そんなの」と歌織は返した。
では、どうやってイタリアまで行くのかと琴葉は不思議がりながら、歌織の後に続いて早朝の町を歩いていくのだった。
「ここでちょっと待っていて」と着いたのはマンションのような建物。というより、マンション以外の何物でもない。そう、ビッグバンズコーポだ。うん?それじゃ、コーポか。
名前のインパクトとは裏腹に外見は地味である。10階建てぐらいかな。
しばらく待っていると歌織が誰かを連れてやってきた。

ロコ「グッモーニン! あなたがブレイブな……いえ、バーニングガールですね!」
琴葉「ブレイズアーップ!」
ロコ「カオリ!たった今、ネームが決まりましたよ! ラスト・アクトレス号ですっ」
歌織「まぁ、素晴らしいですわ」

棒読み口調の歌織はともかく、事態が呑み込めない琴葉。手に持った可奈(フルート)をぎゅっと抱きしめて「あの、いったいどういうことなんですか?」と訊ねる。
ロコが話したことには、なんとぉ!地道に自主製作していた飛行船に乗って、イタリアまでひとっ飛びだそうだ。
ラスト・アクトレス号―――それが今まさにつけられた飛行船の名前らしかった。
コーポの地下に安置されたラスト・アクトレス号の形状は……
251 : 魔法使いさん   2021/06/09 03:32:35 ID:M0o2LPTrEQ
琴葉「あの、これって、う
歌織「ソフトクリームよ。チョコレートの」
琴葉「どうみても立派な巻き
歌織「ソフトクリームよ。誰がなんといおうがソフトクリーム型飛行船よ」
琴葉「………」
歌織「ちなみに琴葉が公園で会ったソフトクリーム店を営むあの人もここの住人よ」
琴葉「そんな気はしていました」

39分後――――
歌織「もうすぐつくわよ」
琴葉「39トレインより、ずっとはやい!! ええと、イタリアのどのあたりにいるんですか? そのミライチャっていう方は」
歌織「カプリ島よ」
琴葉「カプリ島?」
歌織「知らない?青の洞窟で有名な」
琴葉「青の洞窟……日清フーズさんが展開している本格イタリアンを銘打ったパスタソースシリーズのことですか?」
歌織「!! しまったわ!!」
琴葉「え?」
歌織「エンジントラブルよ! このままじゃ、墜落しちゃう!」
琴葉「ええっーーーー!!??!!?!?」
歌織「テレポートよ、琴葉、テレポートするのよ!!」
琴葉「!?」
252 : 魔法使いさん   2021/06/09 03:33:05 ID:M0o2LPTrEQ
歌織「ほら、集中! 琴葉ならできるわ、というかできないと困るわ!」
琴葉「いやいやいや!そんなのできないですよ!?」
歌織「しかたないわね。―――ぽちっとな」
琴葉「こ、これは?」
歌織「デストレイピアよ。これで墜落する瞬間に剣撃を放って衝撃を相殺するわ」
琴葉「そんなことできるんですか!?」
歌織「……? 琴葉がやるのよ」
琴葉「!?」
歌織「私は操縦するので手一杯だもの。大丈夫、私は琴葉を信じているわ」
琴葉「そんな無茶な…!」
歌織「クリア・スカイに比べたら、こんなの危機でもなんでもないわ。琴葉、あなたのTSVならできる。どのタイミングでどうデストレイピアを振ればいいか、わかるはずよ」
琴葉「……!」


結果:できた
253 : バカP   2021/06/09 03:33:22 ID:M0o2LPTrEQ

第12話(前編) bパート
ラスト・アクトレス号は大破したものの、なんとか無事に脱出できたふたり(と可奈)。
人が集まってくる前に、早足でその場を去る。
「ついてきて」
歌織がどこから出したのか、ダウジングロッドめいたものを持って言う。よくよく見ればパスタ(乾麺)だった。

そうしてふたりはビーチにて、遊んでいるミライチャについに出会うのだった……!

「ふう、スッキリ!海水のベトベトも砂のザラザラも、ぜーんぶキレイになりました♪ ツルツルでーす♪」
シャワーを浴び終えたミライチャが琴葉に言う。それから琴葉にもシャワーを使うのを促すが、その扇情的な態度に琴葉はドギマギしてしまう。
すると――――
静香「それ以上、ミライチャをふしだらな目つきで見ることは私が許しません!」
志保「ミライチャ、メッチャスキ!」
琴葉「あ、あなたたちは……!?」
ミライチャのボディガードたちはミライチャに負けず劣らずの美少女だった。
歌織「へぇ……未来ちゃ保護機構は崩壊したと聞いていたけれど、たいしたものね。それにしてもあの静香って子……妹に瓜二つで、びっくりして心臓が止まったわ」
琴葉「えぇ……?」
254 : 兄ちゃん   2021/06/09 03:33:37 ID:M0o2LPTrEQ
ミライチャ「ふんふん、なるほど! 私の力が必要ってことですね!」
歌織「ええ、協力をお願いできるかしら?」
静香「待ってください、ミライチャはビーチで遊び疲れているので今日は無理です!」
志保「明日はミラノにいく予定もありますし」
琴葉「人類がどうなってもいいんですか!! もう時間がないんです!今進める人間だけでも進まないと、みんな駄目になりますよ!」
志保(なんだか台詞をとられた気分……)
可奈「ふぁ~、よく寝た。はれ!? ここはどこ!?」
ミライチャ「みんな、落ち着いて。静香ちゃん、志保ちゃんも。よく聞いて。私がこれまで世界を廻ってきた理由、それはきっとここにいる琴葉ちゃんと可奈に会うためだったの!」
しずしほ「な、なんだってーー!!」
歌織「私から詳しく話すわ。ただ……その説明をする前に今の銀河の状況を理解する必要があるわ、少し長くなるわよ」
255 : ダーリン   2021/06/09 03:34:16 ID:M0o2LPTrEQ
第12話(前編) cパート
そして迎えたカプリ島の夜
6人は星のよく見える丘へとやってきていた。

星降る夜空を見上げる琴葉に、前から可奈が、後ろからミライチャが抱き着いて、これでもかと抱きしめる。
3人の力をひとつにするべく、本来ならば時間をかけて心身を重ねるのが最も効果的ではあるが、そうしている時間の猶予はないと判断したため、このような方法をとるしかなかったのだった。

歌織「さぁ、琴葉、呪文を唱えるのよ!」
琴葉「!? そんなの知りませんよ!?(いろいろあたって、変な気分に///)」
歌織「思い浮かんだとおりに、心が命じるままに、叫ぶの!」


静香「私はいったい、何を見せられているの……?」
志保「zzz……んっ、可奈、それはドロップじゃないわよ……むにゃむにゃ」

琴葉「生クリームチョコミントパンケーキーーっ!!!!」

そのとき不思議なことが起こった。  

後編につづく
256 : レジェンド変態   2021/06/09 10:09:36 ID:5mMLgxoH.w
気を利かせて証拠写真を歌織さんが撮ってくれたけど、肝心のクリア・スカイより未来と可奈に抱きつかれている画像の方が多くて育さんと桃子の誤解が深まりそうだな
257 : 兄ちゃん   2021/06/09 17:52:27 ID:M0o2LPTrEQ
第12話(後編) aパート

琴葉が全身全霊で唱えた胃もたれしそうな呪文。
真夜中だというのに、琴葉たちに上空から光が差し込む―――!

琴葉「!!!!!!!!!」

刹那、琴葉の脳裏に、いや、魂に刻まれる言葉と映像ッッ!
そうなんだ、これがアンカーを、クリア・スカイを乗り越えるための解法―――

次に琴葉が目を覚ましたとき、そこは病室のような場所であった。


琴葉「知らない天井……」

歌織「やっとお姫様のお目覚めね」
258 : P様   2021/06/09 17:52:49 ID:M0o2LPTrEQ
琴葉「あの、私……」
歌織「ゆっくりでいいわよ。あれだけの力を一度に受けたのだから」
琴葉「あれはいったい……」
歌織「言うなれば天啓ね」
琴葉「雷に打たれた、そんな感じでした」
歌織「そう。……みんなを呼んでくるわね」
琴葉「お願いします」


可奈「琴葉ちゃぁああああん!!!!!」ダキッ
琴葉「わっ! か、可奈!?」
可奈「わーん、よかったよぉぉぉ!」
志保「………」
静香「志保、あなたなんて顔しているの」
志保「……」ゲシッ
静香「うわっ、いきなりローキックはやめなさい!」
259 : プロデューサー殿   2021/06/09 17:53:04 ID:M0o2LPTrEQ
ミライチャ「で、どうだったの? アンカーを回避する方法、見えた?」
一同「………」ゴクリッ

琴葉「ええ……それは――――」

まず、【A】をして、そのあと【B】をします。
それができたら【C】をして、最後に【D】をしたら、回避成功☆

一同「???????」

可奈「ここ、笑うとこ?」
260 : 番長さん   2021/06/09 17:53:23 ID:M0o2LPTrEQ
第12話(後編) bパート
琴葉が皆に話した、アンカーの回避方法。
それは明らかに関連性のない、しかもそのものに意味があるかもよくわからない、4つの行動だった。
誰もが最初は琴葉がまだ寝ぼけているのか、それとも渾身の悪ふざけかと思った。
が、琴葉自身が戸惑いの表情を浮かべながら「間違いありません」と言う。
イタリアまで来て、まさか得た答えがこんなものだったなんて……誰よりも琴葉がそう思っていた。

琴葉「私は……失敗したの?」

琴葉はすがるように皆を見る。可奈とミライチャに(物理的に)包まれて、発動した真・TSVはアンカーを回避する術とはほど遠いものではないか。
自分は何も成し遂げられなかったんじゃ――――
261 : Pちゃん   2021/06/09 17:53:36 ID:M0o2LPTrEQ
歌織「バタフライ・エフェクトね」
琴葉「え?」
262 : ご主人様   2021/06/09 17:53:48 ID:M0o2LPTrEQ
歌織「急がば回れ、ううん、これは違うわね。なるほどね……そうきたわけね」
琴葉「ど、どういうことですか」
歌織「ねぇ、琴葉。TSV関係なしに、アンカーを回避するための最短ルートってなんだと思う?」
琴葉「えっ?」
歌織「アンカーから逃れる方法。どんなのが思いつく?」
琴葉「え、えっと……アンカーを迎撃する?」
歌織「地球の位置をずらすわけにはいかないものね」
琴葉「は、はい」
歌織「でも前にも言ったとおり、少なくとも今の人類の持つ技術では、どうあっても無理よ、迎撃なんて」
琴葉「だから、アンカーがこっちに向かってくる前に、手を打つ、でしたよね?」
歌織「そう。でも、実際にどうすればいいかなんてわからなかった。だからこそのスターエレメンツ計画。超常的な能力者による解を、期待するしかなかった」
琴葉「……でも、私が出した答えは」
歌織「たしかに聞いてみたところで、まぁ、ちんぷんかんぷんってやつよね」
琴葉「…………」
263 : ダーリン   2021/06/09 17:54:01 ID:M0o2LPTrEQ
歌織「でも、間違いないと思うわ」
琴葉「!!」
可奈「あ、あの~、どういうことなんですか、歌織さん」
静香「そうですよ、ちゃんと説明してください!(ミラノに出かけるまで)私たちには時間がないんです!」
志保「バタフライ・エフェクト、さっきそう言いましたよね」
ミライチャ「うーん、私、わかっちゃったかも~」
かなしほしず「!?」

ミライチャ「つまり、琴葉ちゃんが示してくれた4つの行動が、因果律を組み替えるってことなんじゃないかな」
琴葉「?」
歌織「さすがミライチャね、賢いわ」
ミライチャ「え~?ほんとですか、でへへ~」
264 : Pちゃま   2021/06/09 17:54:20 ID:M0o2LPTrEQ
歌織「琴葉が見出した4つの行動、そのひとつひとつは取るに足らない、率直に言わせてもらうと意味不明、支離滅裂なものだけれど、それらをその順番にこなすことで宇宙規模での事象に変化をもたらすことができるかもしれない」
琴葉「そんなこと、まさか、本当に?」
歌織「通常、ある事象に関して、その原因のすべてを明確に、そしてつぶさに、過不足なく突き止めて、理解することは不可能に近いわ。なぜなら、ある事象、変化というのはほんの些細な条件、極めて小さな差異によって極大の変化、予想不可能な事象を導くことがあるから」
琴葉「極小の変化が極大の変化をつくる……そういうことですか」
歌織「風が吹けば765プロ劇場が儲かる、っていう具合にね」
琴葉「それじゃあ、私が、いえ、私たちが見出した答えは―――」
歌織「試してみる価値は大いにあるわ」

真・TSVによって琴葉たちが得た答え。その4つの行動を果たすべく、琴葉たち3人は、ミライチャたちに別れを告げて帰国した―――。

琴葉「って、ラスト・アクトレス号は大破したんですよ!! どうするんですか!?」
歌織「落ち着きなさい。【E】ですよ、【E】!」
可奈「ええーっ!!??」
265 : ダーリン   2021/06/09 17:54:37 ID:M0o2LPTrEQ
第12話(後編) cパート

(まとめるときに加筆予定)
266 : der変態   2021/06/09 17:55:45 ID:M0o2LPTrEQ
※【A】~【D】 スターエレメンツによって見出された答え。4つの行動。ぶっちゃけ順番はそんなに重要視しない。本文にあるとおり、1つずつを見れば、あまりに意味不明で取るに足らない行動。とてもではないが宇宙規模の何かを阻止するようなものではない。
メタ的なことを言うと、クリア・スカイの錨(アンカー)を皆様の自由度の高い安価(レスアンカー)で解決する、という構図を実は第7話あたりから決めていました。でも、宇宙でのあれこれは描写できないし、だったら(美也もちょうど登場しているから)これかな、と。

※【E】イタリアからどうやって帰国しよう……?

※第13話も前編・後編にわけるかもしれないし、わけないかもしれないです。

レスの有効期限は6/10 15:59:59まで 清書投下は早くて6/11の朝
周年には間に合わせるぞ! 最後までお付き合いください!!
267 : 監督   2021/06/09 17:58:42 ID:M0o2LPTrEQ
あと、蔵出し画像
下手に最終話で貼るとあたかも育と歌織のダブルヒロインみたいになっちゃうので、ここで出すだけしておこうかなと。
本当なら人物相関図作りたかったのですが、そんな体力と時間なかったのと、そこまでキャラ掘り下げできていないよな……と
もともと>>1にあるとおり、「あらすじ」で最後まで走ろうとしていたスレなので何卒ご容赦を!

268 : 5流プロデューサー   2021/06/09 18:04:46 ID:8WZnpPBWGk
A足元を耕す
Bたまたま歌織が持っていた割り箸を植える
Cその周りでよさこいソーラン節を踊る
D頃合いを見て空を見上げ、某巨大ヒーローの必殺光線みたいに両腕を十字に組む
Eたまたま通りかかった日本人旅行者(紗代子)に協力を仰ぐ
269 : 貴殿   2021/06/09 18:12:41 ID:A7a2W.dC6c
D 珈琲を淹れる
B 10円玉をコイントスして3回連続で表を出す
E 都合よく観光に来ていたビッグバンズコーポの別の住人の力を使う
270 : P殿   2021/06/10 07:10:35 ID:kxfy.3p6jM
A:例の地球儀を持ってくる
B:ミライチャにボタンを押してもらう(この時点でどこのかは分からない)
C:可奈にローキック
D:ありったけの面々でコーヒーを淹れる
E:実はビッグバンズコーポは移動式だった
271 : プロデューサー殿   2021/06/10 17:04:08 ID:.50Onej6qY
すみません
更新遅れます
272 : 高木の所の飼い犬君   2021/06/10 21:38:00 ID:.50Onej6qY
って、自分で明日の朝に設定していたんですね。
書いたので以下にまとめます。
273 : プロちゃん   2021/06/10 21:38:18 ID:.50Onej6qY
第12話後編 aパート
(前略)
ミライチャ「で、どうだったの? アンカーを回避する方法、見えた?」
一同「………」ゴクリッ

琴葉「ええ……それは――――」

1.足元を耕してありったけの割り箸を植えます。
2.皆で淹れた珈琲を注ぎながらソーラン節を踊ります。
3.可奈のボタンをミライチャが押します。
4.頃合いを見て空を見上げ、両腕を十字に組んで、例の地球儀に皆でローキックをかまします。
回避成功!!!!!!!


一同「???????」

可奈「わ、私のボタンってなに!?」
274 : 貴殿   2021/06/10 21:38:34 ID:.50Onej6qY
第12話後編 bパート
琴葉が皆に話した、アンカーの回避方法。
それは明らかに関連性のない、しかもそのものに意味があるかもよくわからない、4つの行動だった。
誰もが最初は琴葉がまだ寝ぼけているのか、それとも渾身の悪ふざけかと思った。
が、琴葉自身が戸惑いの表情を浮かべながら「間違いありません」と言う。
イタリアまで来て、まさか得た答えがこんなものだったなんて……誰よりも琴葉がそう思っていた。

琴葉「私は……失敗したの?」

琴葉はすがるように皆を見る。可奈とミライチャに(物理的に)包まれて、発動した真・TSVはアンカーを回避する術とはほど遠いものではないか。
自分は何も成し遂げられなかったんじゃ――――
275 : プロちゃん   2021/06/10 21:38:55 ID:.50Onej6qY
(中略)
歌織「琴葉が見出した4つの行動、そのひとつひとつは取るに足らない、率直に言わせてもらうと意味不明、支離滅裂なものだけれど、それらをその順番にこなすことで宇宙規模での事象に変化をもたらすことができるかもしれない」
琴葉「そんなこと、まさか、本当に?」
歌織「通常、ある事象に関して、その原因のすべてを明確に、そしてつぶさに、過不足なく突き止めて、理解することは不可能に近いわ。なぜなら、ある事象、変化というのはほんの些細な条件、極めて小さな差異によって極大の変化、予想不可能な事象を導くことがあるから」
琴葉「極小の変化が極大の変化をつくる……そういうことですか」
歌織「風が吹けば765プロ劇場が儲かる、っていう具合にね」
琴葉「それじゃあ、私が、いえ、私たちが見出した答えは―――」
歌織「試してみる価値は大いにあるわ」

そして……
真・TSVによって琴葉たちが得た答え。その4つの行動のうち3つまでは果たされた。次の春には新たな割り箸たちがカプリ島で産声をあげるだろう。
可奈はミライチャにボタンを押され過ぎて悶絶していた。
残るは例の地球儀にローキックをかますこと。歌織曰く、空猫喫茶店に置いてあるという。早急に帰国しなければならない―――。

琴葉「って、ラスト・アクトレス号は大破したんですよ!! どうするんですか!?」
歌織「落ち着きなさい。………感じるわ」
可奈「えっ? か、感じるって何をですか?」ビクビクビクンッ
276 : おにいちゃん   2021/06/10 21:39:07 ID:.50Onej6qY
歌織「どうやら近くにいるみたい。彼女が」
琴葉「彼女って……?」
歌織「ビックバンズコーポの住人よ」
琴葉「ってことは、やっぱり宇宙人?」
歌織「ええ。彼女なら、ぷっぷかぷ~と、私たちを日本まで届けてくれるわ」
琴葉「嫌な予感しかないんですが」
麗花「あれれー?歌織さんじゃないですか、こんなところでどうしたんですか?」
歌織「噂をすればなんとやら。麗花、頼みがあるの。……って、そちらのお嬢さんは?」
琴葉「!? い、委員長!? どうしてここに!?」
紗代子「田中さん!?」
277 : Pはん   2021/06/10 21:39:29 ID:.50Onej6qY
第12話(後編) cパート
準備があるから、と歌織は麗花と可奈を連れてどこかへ行ってしまう。
残された琴葉と紗代子は思い出話に花を咲かせる……ことは難しく、ぎこちなく会話が進む。

琴葉「えっと……あの、ここにはどうして?観光?」
紗代子「え? あ、いや、その……麗花さんとのハネムーンで」
琴葉「」

そうして紗代子から宇宙人・北上麗花との運命的な出逢いから、今日にいたるまでの奇々怪々な日々を聞くことになった琴葉であった。

琴葉「委員長、私ね……世界を救うの。なんて、馬鹿みたいに聞こえるでしょ? でもね、本当のことなんだよ」
紗代子「田中さん……ううん、信じるよ。私、ちょっとやそっとのことじゃ、もう驚かないもの」
琴葉「そっか。ありがとう」
紗代子「田中さん、変わったね」
琴葉「え?」
紗代子「最後に会ったとき、卒業式の日に見かけたときは、どことなく虚ろな瞳をしていた」
琴葉「………」
紗代子「けれど、今は決意を抱いている。透明だったみたいなのが、今では羽ばたいた無限の願いで鮮やかに染まっていく、そんな雰囲気」
琴葉「vivid color……名曲よね」
紗代子「きっとあの歌織さんって人との出会いが琴葉を変えたんだね」
琴葉「そうかな」
紗代子「うん。知らない世界に指先すくむけど知りたいこの気持ちが翼に変わったんだね」
琴葉「ハミングバード……名曲よね」
278 : プロデューサーさん   2021/06/10 21:39:51 ID:.50Onej6qY
歌織「琴葉、準備ができたわ。紗代子ちゃん、ごめんね、せっかくのハネムーンを邪魔しちゃって」
紗代子「いいんです。麗花さんと共に生きるって、こういう思いがけないことを楽しむことでもありますから」
歌織「ふふっ、麗花は幸せ者ね」
麗花「はい、はーい!それじゃあ、みんな、いきますよー?」
可奈「あ、あの、こんなんで本当に日本まで飛べるんですか!?」
琴葉「それって、ダンボールアニマル!?」
歌織「宇宙金糸雀を再現したものよ」
麗花「しゅっぱつしんこー♪」

そして一同はカプリ島を後にして、日本へと飛び立った………
最終話につづく
279 : 我が下僕   2021/06/10 21:44:25 ID:wRe1nN8N8k
乙であります
自分でネタを出しといて何だけど、どう収拾をつけるんだろう?
って、残り一話⁉︎早過ぎる……!
280 : お兄ちゃん   2021/06/10 21:45:19 ID:.50Onej6qY
第12話は以上です。レスありがとうございました。無茶ぶりに付き合ってくださり、大助かりです。
我ながら無茶苦茶な天海で、心がこわれそうだよ(マリオネットの心並感)

もう先に言っちゃうと、最終話あっさり終わると思います。
ビシッと安価で締めることができれば幸いです。
281 : バカP   2021/06/11 04:35:39 ID:d.apkLsWTw
第13話 aパート

琴葉「いやあ、クリア・スカイは強敵でしたね」
可奈「アンカーがふたつもみっつもあるかと思ったら、なかった~♪」

6月某日 スターエレメンツ計画は成就し、観測されたはずのアンカーは広大な宇宙の闇へと消えた。
それから数日を経て、ある日の夜。星空の下、空猫喫茶店に関係者が集まって祝賀会(?)を催すのだった。

琴葉たちのローキックによって例の地球儀は完全に破壊された。
琴葉「しかたがなかったとはいえ、ひどいことをしてすみません。あれは……あなたの故郷の模型でしたよね?」
歌織「いいのよ。私たちは物に執着しないから。思い出さえあればそれでいいの。ふふっ、クリア・スカイの危機が去った今、心が晴れ晴れとしているわ」
美也「まさに澄み渡った晴天というわけですな~」

千鶴「桃子ちゃん、そろそろ帰りませんこと? もう眠そうですわよ?」
桃子「そんなことないよ、まだまだ夜はこれから……ふわぁ」
育「桃子ちゃん、ちゃんと眠らないと大きくなれないよ?」
桃子「ふうん、それじゃあ育はこれまでずっと夜更かししてきたんだ?」
育「むっ……」
千鶴「こら、桃子ちゃん、失礼なことを言って……!」


静香「なんだか懐かしい気分になる喫茶店ね」
志保「そうね、同感だわ」
ミライチャ「えー?それってもしかして前世の記憶とかそういうの~?」
282 : Pくん   2021/06/11 04:35:57 ID:d.apkLsWTw
琴葉「本当に終わったんですね。なんだか実感が湧かないですけど」
歌織「宇宙戦艦にでも乗ってドンパチやらないとダメかしら?」
琴葉「それは、遠慮願いたいですね。そういえば―――」
歌織「何かしら?」
琴葉「あの、ほら、言っていたじゃないですか。この戦いが終わったら、伝えたいことがある、みたいな」
歌織「ああ、あれ。実はね、琴葉にお願いがあって」
琴葉「お願い?」
歌織「あのね、うちのマンション、経営がうまくいっていないのよ。ほら、そういう安価もあったでしょ?」
琴葉「そういえば……そうだったかも。って、それで私に? あの、お金なんて全然持っていないですよ?」
歌織「まさか直接お金をせびるなんてしないわよ。えっと、私ね、副業することにしたの」
琴葉「副業?」
歌織「本業になるかもだけれどね。音楽教室で講師として働くことにしたの」
琴葉「それってもしかして、桜守音楽教室? ここでその話、回収するんだ……」
歌織「うん。それでね、そうなるとマンションの管理に時間を割けなくなっちゃうから、琴葉に手伝ってもらえたらって」
琴葉「私が?」
283 : プロデューサーさま   2021/06/11 04:36:11 ID:d.apkLsWTw
歌織「そう。ってわけで、一緒の部屋に住まない? そのほうが都合がいいから」
琴葉「ふぁっ!?」
歌織「もちろん、家賃は格安にしておくわよ。家事もしてくれるんなら、タダでもいいぐらい」
琴葉「え、いや、でも、私、大学が……」
歌織「それなら、ラスト・アクトレス号の後継機であるスコーピオで通学すればいいわ。最速でマッハ3.9出るわよ」
琴葉「でもでも! い、いきなり、そんな一緒に住もうだなんて、言われても……」
美也「む~ん……琴葉ちゃんには、うちでも働いてもらいたいとも思っていたのですが~」
琴葉「え!?」
桃子「ちょっとふたりとも!勝手すぎるよ! 琴葉さんは桃子の助手として研究室に入るんだからね」
琴葉「え? え?」
可奈「あのー、琴葉さん、よかったら私とセッションを……」
ミライチャ「それより私たちと世界をめぐりませんか?」
育「………琴ちゃん、最後には私のところに帰ってくるよね?」
284 : ご主人様   2021/06/11 04:36:30 ID:d.apkLsWTw
第13話 bパート
歌織「やれやれ、琴葉はモテモテだね」
琴葉「も、もうっ、からかわないでくださいっ」

そのとき店のドアが開かれる。
美也「お~、待っていましたよ~」
どうやら美也の知り合いらしい。自然と皆の注目が集まる。
285 : 兄ちゃん   2021/06/11 04:36:46 ID:d.apkLsWTw
エレーナ「みんな、はじめまして!エレーナだヨ!」
夜だというのに太陽みたいな笑顔。琴葉はそう思った。

美也「エレーナさんは、クリア・スカイからの使者だそうです~」
一同「は?」
エレーナ「イヤー、まさかインガリツを曲げてまで回避するとは思わなかったヨー」
琴葉「え?………え?」
歌織「それで、まだ地球を狙っているの?」
美也とエレーナを除けば、皆がぽかんとしているなかで、歌織が冷静な声でそう訊ねた。
エレーナ「ううん、調査だヨ!」
可奈「調査?」
エレーナ「ウン! ワタシたちの侵略を退けたその力の持ち主と仲良くなりにきたんだヨー」
育「ってことは……」
 
皆の視線がエレーナから、別の人物に移る。
286 : 貴殿   2021/06/11 04:37:05 ID:d.apkLsWTw
琴葉「わ、私!?」
歌織「やれやれ……琴葉、モテすぎるのも問題だと思うわよ」
美也「でも、これで琴葉ちゃんが独りじゃないって、嫌と言うほどわかってくれましたよね~?」
琴葉「あ……」

あの日、育と電話で喧嘩して、美也と歌織と初めて出会ったあの夜。私はたしかに孤独を感じていた。
けれど今は――――
琴葉は不意に涙が出そうになって目元を抑える。いつの間にかすぐそばに歌織がいて、すっと肩を抱いた。

歌織「で、何から始める?」
その囁きは、その妖しい微笑みはあの日と同じだ。
287 : Pーさん   2021/06/11 04:37:24 ID:d.apkLsWTw
皆が見守る中、琴葉はまだやり残したことってあったかな……とこれまでの安価を振り返りつつ、これからの未来に想いを馳せる。

琴葉「【A】」
(以下、加筆予定)
288 : プロデューサーさん   2021/06/11 04:41:16 ID:d.apkLsWTw
※【A】 最終安価です。
琴葉がやり残していること、この後、琴葉が最初に手を付けること、この物語を締めくくる一言、なんでもありです。
どんでん返しっていうのはなかなかできないとは思いますが。

終わり良ければ総て良しかなって
「星空と珈琲を」の最後(の展開)を委ねます!
レスの有効期限は6/11 23:59:59 明朝には最終稿だせたらな、と。
289 : 夏の変態大三角形   2021/06/11 06:35:17 ID:rmb430cHLk
A 「演劇史の試験明日(0時回ってるなら今日)だったー!!」
290 : do変態   2021/06/11 06:57:52 ID:z5kjGrtkGk
Aねえ・・・、しちゃう?
291 : プロデューサー様   2021/06/11 14:48:00 ID:NYdiJjIEq6
A セリフじゃないけど最後は大学で友達ができるやつかな
292 : プロデューサーちゃん   2021/06/12 04:28:19 ID:FMi0ib6etE
最終話投下していきます
293 : P殿   2021/06/12 04:28:36 ID:FMi0ib6etE
最終話 aパート

琴葉「いやあ、クリア・スカイは強敵でしたね」
可奈「アンカーがふたつもみっつもあるかと思ったら、なかった~♪」

6月某日 スターエレメンツ計画は成就し、観測されたはずのアンカーは広大な宇宙の闇へと消えた。
それから数日を経て、ある日の夜。星空の下、空猫喫茶店に関係者が集まって祝賀会(?)を催すのだった。

琴葉たちのローキックによって例の地球儀は完全に破壊された。
琴葉「しかたがなかったとはいえ、ひどいことをしてすみません。あれは……あなたの故郷の模型でしたよね?」
歌織「いいのよ。私たちは物に執着しないから。思い出さえあればそれでいいの。ふふっ、クリア・スカイの危機が去った今、心が晴れ晴れとしているわ」
美也「まさに澄み渡った晴天というわけですな~」

千鶴「桃子ちゃん、そろそろ帰りませんこと? もう眠そうですわよ?」
桃子「そんなことないよ、まだまだ夜はこれから……ふわぁ」
育「桃子ちゃん、ちゃんと眠らないと大きくなれないよ?」
桃子「ふうん、それじゃあ育はこれまでずっと夜更かししてきたんだ?」
育「むっ……」
千鶴「こら、桃子ちゃん、失礼なことを言って……!」

静香「なんだか懐かしい気分になる喫茶店ね」
志保「そうね、同感だわ」
ミライチャ「えー?それってもしかして前世の記憶とかそういうの~?」

このみ「まさか私たちまで呼んでもらえるなんてね」
莉緒「感謝!」
ロコ「うう……ラスト・アクトレス号、あなたのデスは無駄にしません……」
294 : プロデューサーちゃん   2021/06/12 04:28:55 ID:FMi0ib6etE
琴葉「本当に終わったんですね。なんだか実感が湧かないですけど」
歌織「宇宙戦艦にでも乗ってドンパチやらないとダメかしら?」
琴葉「それは、遠慮願いたいですね。そういえば―――」
歌織「何かしら?」
琴葉「あの、ほら、言っていたじゃないですか。この戦いが終わったら、伝えたいことがある、みたいな」
歌織「ああ、あれ。実はね、琴葉にお願いがあって」
琴葉「お願い?」
歌織「あのね、うちのマンション、経営がうまくいっていないのよ。ほら、そういう安価もあったでしょ?」
琴葉「そういえば……そうだったかも。って、それで私に? あの、お金なんて全然持っていないですよ?」
歌織「まさか直接お金をせびるなんてしないわよ。えっと、私ね、副業することにしたの」
琴葉「副業?」
歌織「本業になるかもだけれどね。音楽教室で講師として働くことにしたの」
琴葉「それってもしかして、桜守音楽教室? ここでその話、回収するんだ……」
歌織「うん。それでね、そうなるとマンションの管理に時間を割けなくなっちゃうから、琴葉に手伝ってもらえたらって」
琴葉「私が?」
295 : プロデューサー   2021/06/12 04:29:07 ID:FMi0ib6etE

歌織「そう。ってわけで、一緒の部屋に住まない? そのほうが都合がいいから」
琴葉「ふぁっ!?」
歌織「もちろん、家賃は格安にしておくわよ。家事もしてくれるんなら、タダでもいいぐらい」
琴葉「え、いや、でも、私、大学が……」
歌織「それなら、ラスト・アクトレス号の後継機であるスコーピオで通学すればいいわ。最速でマッハ3.9出るわよ」
琴葉「でもでも! い、いきなり、そんな一緒に住もうだなんて、言われても……」
美也「む~ん……実は私からも提案があったのですが~」
琴葉「え?美也さんからも?」
美也「はい~、株式投資の結果、私の総資産が765億円に達しましたので、380プロダクションを立ち上げたいと思っていまして~、琴葉ちゃんにアイドルデビューしてほしいんですな~」
琴葉「!??!?!」
296 : 番長さん   2021/06/12 04:29:30 ID:FMi0ib6etE
桃子「ちょっとふたりとも!勝手すぎるよ! 琴葉さんは桃子の助手として研究室に入るんだからね。全然活かされなかった心理学部設定も、ちゃんと活かすんだから!」
琴葉「え? え?」
可奈「あのー、琴葉さん、よかったら私とセッションを……」
ミライチャ「それより私たちと世界をめぐりませんか?」
育「………琴ちゃん、最後には私のところに帰ってくるんだよね」


歌織「やれやれ、琴葉はモテモテね」
琴葉「も、もうっ、からかわないでくださいっ」
297 : Pはん   2021/06/12 04:29:55 ID:FMi0ib6etE
最終話 bパート
そのとき店のドアが開かれる。
美也「お~、待っていましたよ~」
どうやら美也の知り合いらしい。自然と皆の注目が集まる。

エレーナ「みんな、はじめまして!エレーナだヨ!」
夜だというのに太陽みたいな笑顔。琴葉はそう思った。

美也「エレーナさんは、クリア・スカイからの使者だそうです~」
一同「は?」
エレーナ「イヤー、まさかインガリツを曲げてまで回避するとは思わなかったヨー」
琴葉「え?………え?」
歌織「それで、まだ地球を狙っているの?」
美也とエレーナを除けば、皆がぽかんとしているなかで、歌織が冷静な声でそう訊ねた。
エレーナ「ううん、調査だヨ!」
可奈「調査?」
エレーナ「ウン! ワタシたちの侵略を退けたその力の持ち主と仲良くなりにきたんだヨー」
育「ってことは……」
 
皆の視線がエレーナから、別の人物に移る。
298 : 仕掛け人さま   2021/06/12 04:30:13 ID:FMi0ib6etE
琴葉「わ、私!?」
歌織「琴葉、モテすぎるのも問題だと思うわよ」
美也「でも、これで琴葉ちゃんが独りじゃないって、わかってくれましたよね~?」
琴葉「あ……」

あの日、育と電話で喧嘩して、美也と歌織と初めて出会ったあの夜。私はたしかに孤独を感じていた。
けれど今は――――独りじゃない。こんなにも、大勢の人が私を慕ってくれている。
琴葉は不意に涙が出そうになって目元を抑える。歌織が、すっと肩を抱く。ずるいなぁ。

歌織「で、何から始める?」
その囁きは、その妖しい微笑みはあの日と同じだ。

皆が見守る中、琴葉はまだやり残したことってあったかな……とこれまでの安価を振り返りつつ、これからの未来に想いを馳せる。
299 : Pたん   2021/06/12 04:30:33 ID:FMi0ib6etE
琴葉「演劇史の試験明日だったー!!!!」
一同「へ?」
琴葉「ど、どどどどどうしよう!? 全然勉強していないわ!」

海美「ねぇ……(追試)しちゃう?」
琴葉「お姉ちゃん!? なんでここに!?」
海美「こんな楽しそうな集まりがあるのに黙っているなんて薄情じゃない? ……チュパカブラなんかよりずっと面白そうね♪ 話、聞かせてもらうわよ?」
琴葉「え、あの、試験勉強……桃子先輩、例の…」
桃子「zzzzz」
琴葉(眠っているーっ!!!)
千鶴「田中さんならなんとかなるはずですわ」
莉緒「気合!」
このみ「そうそう」
琴葉「うう、他人事だと思って……」
歌織「しかたないわね。私が手伝ってあげるわ。今夜は寝かせないわよ?」
エレーナ「夜のカーニバルのはじまりだヨー♪」
育「琴ちゃん……最後は私のもとに帰ってくるよね?」
美也「まぁまぁ、今は星空と珈琲を楽しみましょう~」
可奈「タイトル回収ですね~」
300 : 下僕   2021/06/12 04:30:49 ID:FMi0ib6etE
最終話 cパート

未理音大学構内
慌ただしく駆ける女子学生が一人……。

琴葉「寝過ごしちゃった!!! もう、時間がないわ! 歌織さんに作ってもらった朝食のゲーミングうどん、おかわりしなきゃよかった!」

曲がり角でごっつん☆

琴葉「きゃっ!!!! す、すみません!」

??「いてて……アタシのほうこそ、最後まで出番ないのかなってぼーっとしていて」

琴葉(わっ……すごい可愛い子。埼玉生まれの読モみたい)
301 : Pチャン   2021/06/12 04:31:02 ID:FMi0ib6etE
??「って、あれ? 謎のカチューシャ美少女じゃん」
琴葉「えっ!?」
??「天才少女・周防桃子さんといっしょにいるのが何回か目撃されていて、ピーチファンクラブから目をつけられているって噂の……」
琴葉「ええーっ!!」
恵美「アタシは所恵美。そっちは?」
琴葉「わ、私は田中琴葉……です」
恵美「ふうん、いい名前じゃん。姉妹でボイスロイドとかしてそう」
琴葉「えっと、あの、それで桃子先輩の……」
恵美「ま、立ち話もなんだからどこかで落ち着いて話さない? あれ? でも、なんか急いでいるんだっけ?」
琴葉「あーっ!!!! 演劇史の試験、遅刻しちゃう!」
恵美「え? それ、延期になったやつじゃん」
琴葉「へ?」
302 : プロデューサークン   2021/06/12 04:31:28 ID:FMi0ib6etE
恵美「前回、来てないの?」
琴葉「……ちょっとイタリアに行っていて」
恵美「!?」
琴葉「何かあったんですか、前回」
恵美「突然、特別講師扱いで、七尾百合子ちゃんと天空橋朋花ちゃんが来てさー」
琴葉「『リリィ・ナイトと天空の騎士団』の!?」
恵美「うん。もうそれで大騒ぎ。予定していた分、進まなくて試験は延期って話になっちゃって。なぜか朋花ちゃん、あの徳川さんと因縁があるみたいでバチバリしはじめちゃうし…」
琴葉「徳川さんって、あのお菓子作りサークルの姫であり王子であり魔女であり悪魔であり姉であるって噂の…!?」
恵美「それに百合子ちゃんは百合子ちゃんで妄想に浸り始めるし……ほんと面白かったよ、なんて、にゃはは♪」
琴葉「そ、そんなことが……」
恵美「そういうわけだからさ、琴葉、時間ある?」
琴葉「え?あの、琴葉って、そんないきなり―――」
恵美「えー?いいじゃん。もう、友達っしょ?アタシたち、なんか初めて会った気がしないっていうか」
琴葉「それはそう……かも」
恵美「アタシのことは恵美でもめぐみんでもメグミーでもいいからね♪ ほら、じゃあ、行こう! 大学近くの公園にさー、衝撃的な体験が出来るって話のソフトクリームの屋台があるらしくてさー……」
琴葉「う、うん!」
303 : 3流プロデューサー   2021/06/12 04:32:21 ID:FMi0ib6etE
これからの未来のことはわからない。でも私はもう独りじゃない。
世界だって救えたし、きっとなんだってできる……よね?


アイマスBBS 安価SS 「星空と珈琲を」
おしまい!

304 : 我が下僕   2021/06/12 04:35:24 ID:FMi0ib6etE
以上です。
レスを一度でもしてくれた方も、最後の最後までお付き合いくださった方も、実は読んではいたって方も、今、偶然のぞいてみたって方も、みんな、みんなありがとうございます!!!

言うほど安価SSか?いや、安価SSだよ!
少なくとも書いている側としては、わりと楽しかったので、また周年明けにでも安価つかって何かやれたらなーって

本当にありがとうございました!
305 : 夏の変態大三角形   2021/06/12 06:40:17 ID:jFoi71KS9I
乙!使わなかった安価の回収も上手いしシンプルに面白かったよ!
306 : おにいちゃん   2021/06/12 07:16:23 ID:6FMGS7LKh6
お疲れ様でした
楽しかったです
307 : ぷろでゅーしゃー   2021/06/12 07:19:01 ID:2Hie/7JGnw
お疲れさまでした
何気にハジケリストの素養を秘めた投稿者さんに拍手
308 : 貴殿   2021/06/12 20:01:28 ID:GQhC.utqNs
お疲れ様でした。楽しかったです。


……それで第二弾はいつ始まるのでしょうか?
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